2024年01月24日更新
リフォームローンの計算方法は?審査や頭金についてもご紹介
住宅のリフォーム工事でも大きな工事になると、ローンを借りて工事費用を準備することmもあります。リフォーム工事の資金計画を立てる時、自分たちにあった業者の探し方やローンの組み方、ローンの計算方法や審査・頭金について知っておきましょう。
目次
リフォームローンの基本情報
リフォームローンとは
リフォームローンとは、住宅の増改築や修繕等のリフォーム・リノベーション工事を行う際に必要な資金を融資するローン商品のことです。
銀行や信販会社などの金融機関で申し込むことができ、担保の必要がない無担保ローンと、担保が必要な有担保ローンとがあります。
住宅ローンとの違い
リフォームローンは住宅ローンとどう違うのでしょうか?
住宅ローンは、原則として住宅の新築または購入を目的とした場合に利用することができます。
一部の住宅ローンでは、追加融資という形でリフォーム費用の資金を借りることができたり、中古住宅の購入費用とリフォーム費用が一体で融資されたりするものもありますが、基本的に住宅ローンは住居を購入(新築)することを目的としたローン商品です。
そのため、融資可能額もリフォームローンに比べて大きく、年収などの条件にもよりますが、金融機関によっては1億円までの融資を受けることもできます。
また、融資額が大きいことから、返済期間も長く設定されており、リフォームローンでは一般的に約15年が返済期間の上限ですが、住宅ローンの返済期間は最長で35年です。
その他にも、リフォームローンと住宅ローンでは金利の面に違いがあり、現在では、リフォームローンは2%から5%が金利の相場ですが、住宅ローンの場合は約1%が金利の相場とされていますが、金利は、経済情勢により変動しますので、注意が必要です。
ただし、住宅ローンは融資時に取得予定の土地や建物を担保としなければならず、融資決定までにかかる時間も担保の調査等が必要となるため、約1カ月が目安です。
無担保のリフォームローンでは、手続きが早い金融機関の場合、申請翌日には審査が終わる場合もあります。
リフォームで利用できるローンの選び方
リフォームで利用できるローンは複数あり、それぞれ金利体系や融資の限度額など、細かい違いがあります。ローンの利用を検討している場合には、違いについて理解した上で自分にあったローンを選びましょう
金利体系で選ぶ
まず、リフォームで利用できるローンには大きく分けて「変動金利型」「固定金利型」と2つの金利体系が存在します。
変動金利型とは市場の金利が変動すると、それに連動する形で金利が変動するシステムを指します。
変動金利型のリフォームローンを利用する場合、金利は年に2回変動更新されますが、必ずしも毎回変更されるわけではありません。
市場の金利に合わせてリフォームローンの金利が変動するため、1年間同じ金利のままになる可能性もあります。また、金利が下がればローンを早く返済できる可能性もあるのです。
この点が変動金利型のメリットであり、反対にデメリットとして金利が上がる可能性があり総返済額が増えることがあります。
一方で、固定金利型のリフォームローンの場合、金利は市場に関係なく完済時まで変わりません。
また、固定金利型には2パターンあり「長期間固定金利型」と「固定金利選択型」に分かれます。
前者は金利が完済時まで変わりません。一方で、後者は1年、2年、3年、5年、7年、10年いずれかの期間を選び、その期間内は金利が固定されるシステムです。
後者のメリットには、選んだ期間が満了した際に変動金利型や再び固定金利型を選べる点が挙げられます。
融資の限度額で選ぶ
リフォームローンは有担保型であるか、無担保型であるかによって融資の限度額が異なります。
リフォームローンの融資限度額は、有担保型のほうが高く設定されています。有担保型リフォームローンの借り入れ限度額は約1000万円〜1億円が一般的です。
一方、無担保型リフォームローンの借り入れ限度額は約500万円〜1000万円が一般的ですが、担保の有無に加え、金融機関によっても異なります。
団体信用生命保険の有無で選ぶ
近年、リフォームローンを組む際に多くの金融機関が条件としているのが「団体信用生命保険」への加入です。
団体信用生命保険とは、リフォームローンの返済中に契約者が万が一亡くなった場合や高度機能障害などになった場合に、ローンの残債を保険金で支払うものを指します。
金融機関によっては、融資金額が一定の額を超えた場合に加入が義務になっていたり、契約者の希望により加入することを委ねていたりします。
なかには加入しなくても良い金融機関もありますが、団体信用生命保険に加入するメリットは多いため、確認しておきましょう。
団体信用生命保険に加入するメリット
リフォームローンは無担保融資であるケースが多いため、契約者が病気やケガで働けなくなったり、万が一死亡して返済できなくなった場合は代替案が限られ、契約者家族に大きな負担がかかる可能性があります。
しかし、団体信用生命保険に加入しておけば、契約者に万が一のことがあったときには生命保険が下りるため、契約者家族の負担が経済的にも精神的にも軽くなります。
また、団体信用生命保険はその名のとおり団体契約扱いとなるため、個人で加入する生命保険よりも保険料は割安です。
加えて、なかには保険料を契約者の代わりに負担してくれる金融機関もあります。
一方で注意点としては、過去の病歴により加入できない場合や、ローンの返済途中には加入ができなかったり、保険料が掛け捨てである点などが挙げられます。
工事費用を基準に選ぶ
前述したように、リフォームローンには担保型と無担保型があり、担保型のリフォームローンは、家屋を担保として登記する際に事務手数料などの諸費用が約20万円程度かかります。
したがって、リフォームの規模が小さく、融資希望額も低い場合に担保型のリフォームローンを利用すると、かえって費用がかさんでしまいます。
よって、リフォームローンを選ぶ際には工事費用や希望する融資額にも着目して選ぶようにしましょう。
「フラット35」とはどのような金融商品なの?
フラット35とは、民間の金融機関(全国で300以上)と住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が提携し、協力しあって借入期間が最長35年という長期の全期間固定金利を実現した住宅ローンのことです。
※住宅金融支援機構とは、政府が全額出資して発足した独立行政法人です。
新築住宅や中古住宅の購入、新築のための土地購入および建築費、または中古住宅の購入と同時に行うリフォームやリノベーションなど、住宅取得や取得に伴う増改築に必要な資金を融資してくれるという制度です。
そのため、現在住んでいる住宅の増改築や、リフォームのみの資金貸付は行っていないので注意が必要です。
また、国が創設した「住宅ローン減税」の拡充や「すまい給付金」などの制度は、住宅にかかる一連の経費を大きく圧縮することができますので平行して検討を進めましょう。
フラット35の特徴
固定金利
資金の受取時に、返済が終了するまでの借入金利および返済金額が決定します。
フラット35は全期間固定金利で、返済期間中に金利が変わることがないため、毎月の支払額が一定金額となり、繰上げ返済などの計画を立てやすいという特徴があります。
保証料・保証人と手数料
住宅ローンを借り入れる際の保証料は必要ありません。また、保証人も不要です。
返済期間中に繰り上げ返済をしたり、返済方法の変更をしたりする場合も繰上げ返済手数料などの手数料はかかりません。
質の高い住宅を取得する場合
省エネルギー性や耐震性など、より質の高い住宅を取得する場合は、金利を一定期間引き下げることのできる「フラット35s」を利用することができます。
職業制限
職業制限がないため、会社員以外の自営業者や派遣社員なども安定収入があれば審査を通過する可能性が高いという特徴があります。
固定金利タイプ・変動金利タイプのそれぞれの特徴について
フラット35の特徴として、全期間固定金利だということを説明しましたが、ここでは固定金利タイプと変動金利タイプとは、どういうものなのかということを簡単に説明します。
固定金利タイプ
フラット35の特徴でも説明したように、借り入れした時の金利が変わらないものが固定金利制で、全期間固定金利型は固定金利タイプに含まれます。
メリットとしては借り入れした後に金利が上がっても、借り入れ時の金利が継続するため、返済額が変わるということがありません。
しかし、反対に金利が下がった場合でも返済額が変わらないので、その場合はデメリットになる可能性もあります。
変動金利タイプ
変動タイプには「固定金利期間選択型」と「変動金利型」があります。
固定金利期間選択型
固定金利期間選択型というのは、例えば、借り入れ当初3年間は年利1.4%で、それ以降は変動金利になるというものです。
メリットとしては、固定金利期間中は返済額が一定なので返済計画が立てやすいということと、固定期間終了後に金利が下がった場合、返済額は減少するということです。
デメリットは、借り入れ後に金利が上昇した場合は、返済額が増加してしまうということです。
変動金利型
変動金利の場合は、返済期間中であっても、金融状況の変化に伴って定期的に金利が変動するため、返済額もその都度変わっていきます。
メリットは借入後に金利が下がった場合は返済額も減少するということです。
しかし、借り入れ後に金利が上昇した場合は、返済額が増加してしまいます。また、金利が急上昇した場合は「未払利息」が発生してしまうということも考えられるので、注意が必要です。
※未払利息とは…変動金利の住宅ローンでは、経済状況に応じて通常半年ごとに見直しがあります。その一方、毎年の返済額の見直しは一般に5年で、見直し後の返済額は見直し前の返済額の1.25倍が限度とされています。
つまり、返済額が変わっていない5年の間に急激な金利上昇が起こり、半年ごとの金利見直しによって適用金利が引き上げられると、利息部分の返済金額が毎月の返済金額よりも多くなる可能性があります。
その超えた部分の利息は繰り延べとなり、未払利息となります。
フラット35の利用条件および注意点
フラット35の利用条件と、注意点について見てみましょう。
主な利用条件
申し込みできる人
申し込み時の年齢が満70歳未満の方。ただし、親子リレー返済を利用する場合は満70歳以上であっても申し込み可能です。
※親子リレー返済とは、申し込み者の子や孫などの直系卑属や定期収入のある配偶者で、申し込み時の年齢が70歳未満、さらに連帯債務者となる方が後継者となり、申し込み者から続けて返済をする返済方法です。
年間合計返済額について
フラット35以外の住宅ローン、自動車ローン、教育ローンやカードローンなどのすべての借入れに関して、年収に対して占める年間合計返済額(総返済負担率)が次の基準を満たしている人。
- 年収400万円未満の場合…総返済負担率は30%以下。
- 年収400万円以上の場合…総返済負担率は35%以下。
資金使途(使い道)
申し込み者本人または親族が住むための新築住宅の建設・購入資金、中古住宅の購入資金。
借り入れ対象住宅
フラット35を利用できる住宅は、住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合した住宅でなくてはなりません。
また、一戸建ての場合の床面積は70平方メートル以上、マンションなどの共同住宅の場合は床面積30平方メートル以上という決まりがあります。
住宅の建築費(建築のための土地取得費用も含む)または住宅購入価格は消費税込みで1億円以下となっています。
フラット35の注意点
技術基準について
借り入れ対象住宅の項でも少し触れましたが、フラット35を利用するためには、住宅金融支援機構が定める技術基準があり、その基準に適合していることを証明する「適合証明書」が必要となります。
住宅金融支援機構が定めている「技術基準」について見てみましょう。
※新築住宅の場合
- 断熱構造…住宅の天井・屋根・外壁・床下などに「断熱等性能等級2レベル以上」の厚さの断熱材を施工しなくてはなりません。
- 床の遮音構造…RC構造のマンションにおいては、界床の厚さが15cm以上必要とされています。
※中古住宅の場合
- 耐震性…建築確認日が昭和56年6月1日以降であることとされています。昭和56年5月31日以前の建築確認日の場合は、耐震評価基準などに適合する必要があります。
- 劣化状況…一戸建の場合は、土台や床組みなどに腐朽や蟻害がないということ。また、マンションの場合は、外壁や柱などに鉄筋の露出がないことなどが必要条件となります。
※新築住宅・中古住宅共通の技術基準
- 住宅の構造…耐火構造・準耐火構造または耐久性基準(基礎の高さや床下換気口などに関する基準)に適合していなくてはなりません。
これらの適合基準に合っている住宅かどうかを見極める必要があります。
フラット35の申し込み手順について
フラット35を申込む場合は、住宅建設・新築住宅購入・中古住宅購入の3つのケースがあります。
それぞれの申込みについて見てみましょう。
住宅建築する場合
住宅を建築しようとする人は、住宅金融支援機構と提携している銀行で「フラット35」を融資してもらうための申込みをします。
1週間から2週間後に審査結果が分かりますが、合格した場合は設計検査の申請をし、そこでも合格した場合に工事着工となります。
着工中、中間現場検査の申請、合格を経て竣工となります。竣工後は竣工現場検査があり、ここで適合証明書の申請をして、証明書が交付されます。
適合証明書を提出した後に、融資契約、資金の受け取り、抵当権設定および登記を済ませ、火災保険加入後に入居となります。
新築住宅購入の場合
購入者はフラット35の取り扱い金融機関(銀行など)で借り入れのための申込みをします。借り入れの審査が通過後、建築業者が申請し、合格した「適合証明書」を購入者が住宅金融支援機構に提出します。
その後、融資のための契約をし、資金の受け取りが完了したら登記・抵当権設定をします。火災保険の加入、入居については住宅を建築する場合と同様です。
中古住宅購入の場合
中古住宅購入の場合も新築住宅購入と大きな違いはありませんが、中古住宅では建築業者がいないので、購入者が借り入れを申し込む前に物件調査の申請をします。
適合証明書の申請の後に証明書が交付された場合は、新築住宅購入と同じ手順で手続きをすることができます。
フラット35の借入れ条件について
ここではフラット35を借入れる際の条件や金利について見てみましょう。
フラット35の借り入れ条件および金利について
借入額
借り入れできる金額は100万円以上8000万円以下です。(1万円単位)
非住宅部分を除いた建設費や購入価格を超えて借り入れることはできません。
借入期間
借入期間は15年以上(60歳以上の場合は10年)です。借入期間の上限は80歳から申し込み時の年齢を引いた年数、もしくは35年のどちらか短い方の期間となります。
借入金利
フラット35の特徴の項でも説明したように、全期間固定金利です。
借入金利は申込時ではなく、資金受取時の金利が適用されます。借入金利に関しては、銀行など各取扱金融機関によって異なるので注意が必要です。
また、借入金利は借入期間(20年以下・20年以上)や、建築費または購入価額に対する借入金額の占める割合を示す「融資率」や、加入する団体信用生命保険の種類などによっても異なります。
例えば、借入期間が20年以上35年以下の場合、融資率9割以下の場合の金利の範囲は、年1.360%~年1.990%で、最も適応されることが多い金利は年1.360%です。
金利に範囲があるのは銀行によって金利が異なるためです。
しかし、同じ条件でも融資率が9割を超えている場合の金利は、年1.800%~年2.430%で、最も適応されることが多い金利は年1.800%です。そのため多くの場合、融資率9割以下よりも高くなってしまいます。
※借入金利は2018年1月時点の情報です。
フラット35を利用して住宅購する際には、可能ならば頭金(ローンを借りないで現金で用意する資金)は物件購入代金の1割以上用意した方が、金利は安くなるということになります。
担保
借り入れの対象となる住宅および土地に、住宅金融支援機構が抵当権者として第1順位で抵当権を設定します。
その際、抵当権の設定のための費用は物件購入者の負担となります。
火災保険
返済が終了するまでの返済期間は借入対象住宅に対して、損害保険会社、または法律規定の火災保険に加入しなければなりません。火災保険料は融資の対象とはならず、物件購入者負担となります。
融資手数料と物件検査手数料
前出の通り保証料は必要ありませんが、融資手数料は各金融機関によって異なります。ご自身が契約する金融機関で確認する必要があります。
また、フラット35の申請方法の項で、建設や物件購入の際に適合証明書を提出する必要があるということを説明しました。
住宅金融支援機構の定めている技術基準を満たしていることを証明書で確認する場合には、物件検査手数料が必要となるので留意しましょう。
フラット35の返済方法について
返済方法は次の4つの方法があります。
- 元利均等返済毎月払い
- 元金均等返済毎月払い
- 元利均等返済ボーナス併用払い
- 元金均等返済ボーナス併用払い
※ボーナス併用払いの場合は、ボーナスの割合は融資額の40%未満です。
元利均等返済と元金均等返済の特徴
元利均等返済
「元利均等返済」とは毎月支払う返済額が一定となる返済方法です。つまり、元金と利息を足した金額が毎月同額となります。
返済金額が一定のため、返済計画は立てやすくなります。また、返済開始当初の支払金額は元金均等返済よりも安くなります。
しかし、借入金残高の減少は遅くなるため、同じ返済期間の場合は、元金均等返済よりも支払総額は高くなります。
元金均等返済
「元金均等返済」は毎月支払う返済額のうち、元金の額が一定となる返済方法なので、元金は一定ですが、利息部分が少しずつ少なくなっていきます。そのため、返済が進んでいくと毎月の支払額も減っていきます。
元利均等返済と比べると元金が早く減少するため、同じ返済期間の場合は元利均等返済よりも総返済額は少なくて済みます。
ただし、返済開始当初の返済額は高くなるため、支払い始めの返済負担は重くなり、借り入れ時に必要とする収入も高くなるという特徴があります。
フラット35を利用した場合の資金計画シュミレーション
ここでは、フラット35の住宅ローンを利用して新築一戸建てを購入した場合と、新築マンションを購入した場合の大まかな資金シュミレーション例を見てみましょう。
仮に、どちらのケースも38歳の夫が住宅を購入する場合で見てみましょう。妻は専業主婦で子供なしという設定にします。
また、いずれのケースも元利均等返済毎月払いで、ボーナス時の返済はないこととし、貯金額は1000万円と想定します。
新築一戸建てを購入した場合のシュミレーション
3500万円の新築住宅を購入するために必要な諸経費を含めた合計価格は
- 新築物件購入価格:3500万円
- 税金・登記費用:約150万円
- 住宅ローン手続き等の諸費用合計:約14万円
- その他の費用:約54万円
合計:約3720万円
仮に3500万円の土地付き一戸住宅を購入した場合は、約220万円の諸費用がかかるということになります。ただし、融資手数料・保証料・団体信用生命保険料含まれていません。
そこで「フラット35」の借入期間35年ローン(このケースの場合は73歳完済)で3000万円を借入れ、元利均等返済毎月払い(ボーナス払いなし)を選択した場合、自己資金は約720万円必要となります。
また、35年ローンを全期間固定金利1.360%で計算した場合、毎月の支払金額は約9万円、年間返済額は約108万円となり、借り入れ金額3000万円に対して35年間の総支払額は約3780万となります。
新築マンションを購入した場合のシュミレーション
前項の新築一戸建て購入の例と全く同じ条件で、3000万円の新築マンションを購入する場合を想定して、シュミレーションしてみましょう。
- 新築マンション価格:3000万円
- 税金・登記費用:約29万円
- 住宅ローン手続き時の諸費用合計:約11万円
- その他の費用:約75万円
合計:約3115万円
フラット35の借入金額を2500万円とすると、自己資金は約615万円必要となります。
全期間固定金利で金利を1.360%として計算した場合、毎月の支払額は約7万5000円となります。
年間返済額約90万円、総支払額(35年間)は約3143万4000円となります。
このシュミレーションでは融資手数料・保証料および団体信用生命保険の費用は含まれていません。融資手数料が必要な場合手続き費用が多少上がります。
また、団体信用生命保険に加入した場合、毎月の支払金額は保険料加算の分、上昇します。
フラット35のメリットとデメリット
ここまでフラット35の特徴などを説明してきましたが、メリットとデメリットとしてまとめてみましょう。(フラット35の特徴や注意点などの内容と重複する内容も含まれます。)
フラット35のメリット
長期間返済で月々の返済負担が軽くなる
フラット35は最長35年まで借りることが出来るので、短期間返済と比べると毎月の返済金額を少なくすることができます。
将来の資金計画が立てやすい
金利が変わらず、毎月の支払額も変動金利のように大きく変わることがないので、将来の人生設計や返済計画が立てやすいというメリットがあります。
保証料不要
一般に住宅ローンは土地の代金、建物建築費および付帯工事しか借りることはできません。しかし、シュミレーションでも見たように住宅購入や建築には、様々な諸費用がかかり、それらは現金で用意しなくてはなりません。
金融機関によってはローン保証料を数十万円に設定しているところもあるため、保証料が要らないということは住宅購入や建築する際には大きなメリットです。
繰り上げ返済手数料が不要
ローンを借り入れ、返済開始から数年して金銭的に余裕が出たというときに繰り上げ返済をすることも考えられます。その際、通常の住宅ローンの場合は繰り上げ手数料として約1万円~3万円必要になることが多いのです。
しかし、フラット35は返済手数料がかからないので、気軽に返済をしていくことができ、借り入れ元金を減らしていくことができます。
保証人不要
フラット35では保証人を立てる必要がありません。また、通常の銀行ローンよりも審査が通りやすいとも言われています。
個人事業主や個人営業など、一般には審査が通りにくいといわれている職業の方でも、借り入れやすく、また、借入金額も比較的多く借り入れできる傾向があります。
団体生命信用保険の加入は任意
銀行の住宅ローンの場合は、債務者が返済期間中に万一の事故や病気、または死亡などの理由で返済ができなくなってしまった場合を想定して、団体信用生命保険に加入することを義務付けているのが一般的です。
しかし、フラット35では団体信用生命保険への加入は任意となっています。つまり、民間の生命保険などを選ぶこともできるため、より保険料の少ない生命保険に入ることが可能になります。
フラット35のデメリット
金利が高いことと金利が低くなった場合のリスク
長期間固定金利で借り入れできるフラット35は、変動金利よりも若干高めに設定してあります。
固定金利は金利変動を気にする必要がないので安心感がありますが、将来的に経済状況などによって、借り入れした時よりも金利が下がってしまう場合は注意が必要です。
物件にも利用条件が決められている
前出のフラット35の利用条件および注意点の「借り入れ対象住宅」でも説明しているように、住宅金融支援機構が独自に定めた基準をクリアしなくてはなりません。
※詳しい内容は「借り入れ対象住宅」と「技術基準について」の項をご参照ください。
これらの条件に当てはまらない場合は借入れすることができないという点は、デメリットといえるでしょう。
自己資金が少ないと金利が上がってしまう
一般に諸経費は融資を受けることができないので、諸経費の他に土地を含む物件購入価格の1割以上の自己資金を用意しないと金利が大きく変わってしまいます。
※フラット35の借入れ条件についての項の「借入金利」の項をご参照ください。
つまり、融資金額が物件購入価格の9割を超えてしまうと金利が高くなってしまうのです。そのため、自己資金をある程度用意しないとなりません。自己資金が少ない場合はデメリットとなります。
フラット35sとはどういうものなの?
フラット35sとは、フラット35で住宅ローンを借り入れる際の借り入れ対象住宅が、省エネルギー性や耐震性などの機能を備えた、質の高い住宅である場合に借り入れ可能となる優良住宅ローンです。
フラット35sの特徴は、フラット35の借入金利から一定の期間、金利を引き下げてくれるというものです。
詳しく見てみましょう。
フラット35sにおける2つのプラン
フラット35sには「金利Aプラン」と「金利Bプラン」があります。金利Aプランは金利引き下げ期間が返済開始から10年間であるのに対し、金利Bプランは引き下げ期間が返済開始から5年間となります。
例えば、平成30年3月31日までの申込み受付の場合、金利の引き下げ幅が年利0.25%引き下げられます。
つまり、各金融機関のフラット35の借入金利から、5年間(Bプラン)および10年間(Aプラン)の期間、さらに0.25%引き下げた金利で貸し付けしてもらえるということになります。
優良住宅ローン「フラット35s」の利用条件
優良住宅ローンのフラット35sを利用するためには、フラット35で定められている技術基準をクリアしている住宅ということに加えて、フラット35sで定めた技術基準を1つ以上満たさなくてはなりません。
その内容は「省エネルギー性」「耐震性」「バリアフリー性」「耐久性・可変性」の4つです。その項目内で定めた基準のうち、1つ以上の技術基準をクリアすれば、フラット35sの対象住宅となり得ます。
例えば、金利Bプランでは省エネルギー性の項目において「断熱等性能等級4の住宅」と「一次エネルギー消費量等級4以上の住宅」という基準が定められています。
フラット35の技術基準と、上記のどちらか1つをクリアしていれば、金利Bプランの借り入れが可能ということになります。
では、金利Aプランとは何が違うのか見てみましょう。
上記の金利Bプラン同様、省エネルギー性の項目で比較してみると「認定低炭素住宅」「一次エネルギー消費量等級5の住宅」「性能向上計画認定住宅」という3つが挙げられています。
内容的には、金利Aプランの方が金利Bプランよりも、さらに上の基準が設けられているということになります。
中古住宅のフラット35sに関する基準と注意点
フラット35sは一般に新築住宅と中古住宅共通の基準ですが、他に中古タイプ基準が設けられています。
中古タイプ基準は、省エネルギー性(開口部断熱と外壁等断熱)と、バリアフリー性(手すり設置と段差解消)に関する基準が設けてあります。
中古住宅でフラット35sを利用する場合は、フラット35sの新築住宅・中古住宅共通基準もしくは、中古タイプ基準のいずれかを満たす必要があります。
中古住宅購入時にリフォームする場合のフラット35とは?
フラット35は新築住宅の購入や建設のための資金、または中古住宅の購入資金を借入れるための金融商品であることを説明してきました。
それでは、リフォーム・リノベーションなどの増改築の際に利用できるフラット35に関連した商品を見てみましょう。
フラット35(リフォーム一体型)
中古住宅を購入し、併せてリフォーム工事をする場合は、その資金や費用をフラット35(リフォーム一体型)という金融商品で借り入れすることが可能です。
ただし、既に住んでいる住宅のリフォームのみの費用に関しては、借入れすることができないので注意が必要です。
リフォーム工事の内容は特に決まりがないので、自由にリフォームすることが可能です。
例えば、省エネ型エアコンの取りつけや水回りのリフォーム、また壁や天井のクロスの張替えや浴室・階段への手すりの設置などが挙げられます。
性能向上リフォーム工事をする場合のフラット35について
中古住宅購入と併せて性能向上リフォーム工事および中古住宅の維持保全にかかる措置を行う場合は「フラット35リノベ」という商品を利用できる可能性があります。
ここで間違えやすいのは「リフォーム」と「リノベーション」の使われ方の違いです。
イメージの問題もあるのですが、リノベーションというと何となく、マンションなどの躯体を残しただけにして、空間全体を変えてしまう大がかりなリフォームを想像してしまうこともあるかもしれません。
しかし、フラット35リノベは大がかりなリフォームを意味するのではありません。
フラット35(リフォーム一体型)の性能向上リフォームを行う場合や、性能向上リフォームが行われている中古住宅を購入するという場合に、借入金利を一定期間だけ引き下げるという制度です。
つまり「フラット35リノベ」とは、住宅のリノベーションをした場合の制度でなく、性能向上リフォームを行う購入中古住宅に対して、金利引き下げを行うという金融商品ということになりますので、注意しましょう。
フラット35リノベの基準について
フラット35リノベの利用基準として、性能向上リフォーム工事に加えて中古住宅維持保全のための措置が必要とされていますが、どのような住宅のことなのかを簡単に説明します。
耐久性と可変性に優れた住宅
耐久性に優れていて、長期にわたって良好な状態で使用するための措置を講じた住宅でなくてはなりません。
省エネルギー性に優れた住宅
高水準の断熱性などを実施した住宅とされています。
耐震性に優れた住宅
強い揺れに対して、倒壊したり崩壊したりしない程度の耐震性を備えた住宅である必要があります。
バリアフリー性に優れた住宅
高齢者の日常生活をサポートしやすくするための住宅であることが求められます。
これらの耐久性、省エネ性、耐震性、バリアフリー性を備え、フラット35リノベの基準に1つ以上適合した場合、フラット35リノベを利用することが可能となります。
フラット35リノベの金利引き下げプランについて
フラット35リノベには金利プランAと金利プランBがあります。Aプランは返済開始から10年間、Bプランは返済開始から5年間の金利引き下げを行います。
平成30年3月31日までに申し込みをして適用になった場合、フラット35の借入金利からさらに年0.6%の金利が引き下げられます。
フラット35リノベに関する注意点
フラット35リノベを利用する際の注意点を見てみましょう。
性能向上リフォームの基準
フラット35の技術基準を満たすことができず、フラット35を利用することができないという場合も、リフォーム工事をすることでフラット35リノベの基準を満たす場合は、フラット35が利用可能になる場合があります。
しかし、金利Aプラン、金利Bプランのいずれかを利用する場合、それぞれの金利プランに必要な「基準に適合する性能向上リフォーム」をする必要があります。
さらにフラット35の技術基準とその他の融資基準を満たさなければ利用対象にはなりませんので留意してください。
受付期間と併用について
フラット35sとフラット35リノベには予算金額が設定されています。そのため、予算の金額に達する見込みになった場合は、受付を終了してしまうので注意が必要です。
また、フラット35sとフラット35リノベとの併用はできません。利用する場合は、どちらか一方を選ぶことになります。
「フラット35借換融資」について
現在、他の金融機関の変動ローンなどを借り入れている方などが、フラット35に借り換えることは可能です。
借り換えについて説明します。
借り換えに適しているケース
現在よりも高い金利で借りている場合や、変動金利で借り入れしているが安定した固定金利に借り換えて、将来のライフプランを立てやすくしたいというような場合に利用できます。
また、フラット35sを利用していた場合、優遇金利期間が終了した際に、通常のフラット35の金利の方が低かったというような場合も、借り換えできる場合があります。
借り換えの利用条件について
借り換え申し込みができる方の条件
原則として、借り換えの対象となる住宅ローン債務者ですが、借り換えに伴って債務者を1名追加(合計2名まで)することが可能です。
申し込み可能な期日など
申し込みに関しては、住宅取得に伴う住宅ローンの借入日から、借り換え融資のための申し込み日まで1年以上経過していること。
また、借り換え融資の申し込み日前日までの1年の間、滞納や遅延なくローン返済をしていることが条件となります。
「フラット35借換融資」の資金使途について
申し込み者本人が所有していることと、本人または親族が住む住宅のための住宅ローン借り換えであることが決められています。
したがって、リフォームローン、多目的ローン、投資用ローンなど、住宅ローン以外でのローン借り入れには利用することができません。
対象住宅および対象住宅ローン
ローン借り換えであっても、フラット35であることに変わりはありません。そのため、住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合している住宅でなくてはなりません。
また、住宅取得の際に借り入れた額が8000万円以下であり、住宅の建築費や購入価格の100%以下であることと、住宅の建築費用または購入価格が1億円以下であるということが条件となっています。
フラット35子育て支援型・地域活性化型について
フラット35の子育て支援型・地域活性化型とは、子育て支援や地域活性化に対して積極的な取り組みを行っている地方公共団体と住宅金融支援機構が連携して行う金融商品です。
住宅取得に対して地方公共団体の補助金交付などの財政的な支援と併せて、フラット35の借入金利を一定の期間引き下げてくれるという制度になります。
フラット35の子育て支援型・地域活性化型の金利引き下げ
フラット35子育て支援型もしくは地域活性化型のどちらかを一つを単独利用した場合、返済開始から5年間は、金利下げ幅年0.25%で利用することができます。(平成30年3月31日までの申し込み受付の場合)
また、子育て支援型や地域活性化型はフラット35sと併用利用することができます。この場合は、さらに金利の引き下げがあります。
- フラット35s(金利Aプラン)併用の場合…当初5年間は年0.5%引き下げ、6年目から10年目までは年0.25%の引き下げ。
- フラット35s(金利Bプラン)併用の場合…当初5年間だけ年0.5%引き下げ。
子育て支援型・地域活性化型の事業概要
子育て支援および地域活性化の事業詳細については、いずれも各地方公共団体がそれぞれの地域の実情を踏まえて、個々に決定します。
ここでは、一般的な事業概要を見てみましょう。
フラット35子育て支援型
子育て支援型とは、若年の子育て世帯が住宅を取得する。もしくは、子育て世帯と親の世帯が同居したり近居したりするために住宅を取得する。
これらのいずれかに該当する場合に、補助金交付などの財政的支援を受けられるという制度です。
ただし、対象となる子育て世帯の年齢や、対象となる子育て世帯と親族世帯の家族構成や、同居に必要な住宅要件、また近居の場合の距離などは、各地方公共団体が個別に定めます。
フラット35地域活性化型
地域活性化型は、次のいずれかに該当する場合の補助金交付などの財政的支援です。
- UIJターンを契機とする住宅取得。
- コンパクトシティ形成のために、居住誘導区域外から居住誘導区域内に移住する際の住宅取得。(居住誘導区域は地方公共団体が居住を誘導すべき区域を定めるものなので、当該居住誘導区域が定められていない場合は利用対象とはなりません。)
※UIJターンとは、出身地に戻るUターン、出身地以外の地方に移住するIターン、出身地の近くの地方都市に戻るJターンとした、地域活性化のためのそれぞれの形態のことです。
※コンパクトシティ形成とは、都市機能を備え、歩いて生活できる集約型のまちづくりを目指して拡散している都市機能を集約させて、生活圏の再構築を進めることです。
フラット35子育て支援型・地域活性化型の利用条件と注意点
利用条件
子育て支援や地域活性化のフラット35を利用するためには、住宅の耐久性などのフラット35で定められた技術基準やその他の融資基準を満たす必要があります。
利用に際しては、それらの条件に加えて地方公共団体から「フラット35子育て支援型・地方活性化型利用対象証明書」の交付を受けなくてはなりません。
また、利用対象証明書とフラット35の適合証明書は、資金の借入れ契約前までに提出する必要があります。
その他の注意点
借り入れ申し込みはフラット35の取扱金融機関で行いますが、フラット35子育て支援型および地域活性化型には予算金額があります。
そのため、予算金額に達する見込みとなった場合には、受付けは終了となります。
また、「フラット35子育て支援型・地域活性化型」は「フラット35借換融資」には利用できません。
さらに、「フラット35子育て支援型」と「フラット35地域活性化型」は併用できませんので留意しておきましょう。
フラット35団体信用保険(団信)の加入について
最初に平成29年10月1日からの変更点について説明します。
平成29年10月1日以降にフラット35の団体信用保険に申し込み加入した場合は、フラット35の月々の支払いに、団体信用生命保険に必要な経費が含まれるようになりました。
そのため、年払いでの団信特約料の支払いが必要なくなったため、一度に大きな出費をすることがなくなりました。
フラット35の団体信用生命保険とは
フラット35の団体信用保険は、加入者が死亡または所定の身体障害状態になった場合などに、それ以後のフラット35の返済債務が不要になるという生命保険です。(この際、住宅の持ち分や返済割合は問いません。)
フラット35の団体信用生命保険の加入は任意となります。
フラット35の団体信用生命には、「新機構団信」と「新3大疾病付機構団信」があります。保障内容が異なるので、良く検討してからどちらか1つを選ぶようにすることをおすすめします。
それぞれの概要について簡単に説明します。
新機構団信
死亡または身体障害者福祉法が定めている障害等級が、1級または2級障害に該当し、身体障害者手帳の交付を受けた場合に、保険金が支払われます。
例えば、ペースメーカーを埋め込んで、日常生活が極度に制限されているという場合や、人工透析を受けることで、自己身辺の日常生活が困難であるなどの身体障害状態は1級として認定されています。
新機構団信は80歳の誕生月の月末まで保障されます。
また、連帯債務者であるご夫婦が2人で加入できる「デュエット」(夫婦連生団信)という団信もあります。
「デュエット」は万一、ご夫婦のどちらかが死亡・身体障害になられた場合に、夫婦の住宅持分や返済割合に関係なく以後のフラット35の返済が不要になるというものです。
新3大疾病付機構団信
新3大疾病付機構団信は新機構団信の内容に加えて、がん・急性心筋梗塞・脳卒中の3大疾病が原因で、一定要件に該当する場合にも保険金が支払われます。
さらに、公的介護保険制度で定めている要介護2~5の状態になった場合にも保険金受取の対象になります。
保障期間は75歳の誕生日月の末日までです。その後、75歳の誕生日月の翌月からは新機構団信の保障内容で、80歳まで引き継がれます。
フラット35団信の注意点など
保険金額の上限
新規で申し込む場合はフラット35の借り入れ予定額が保険金額になります。これは借り入れ金額が生命保険金として支払われるためです。
保険金額の上限は1億円です。
また、既にフラット35を返済中の場合や、他の住宅金融支援機構と組み合わせるという場合も、合算して1億円までの保険金額(債務残高)が保険金額となります。
フラット35で2つの借り入れをすることをダブルフラットと呼びますが、この場合はそれぞれの団信に加入することができます。ただし、片方だけ加入することはできないので注意が必要です。
加入する団信によって違うフラット35の借入金利
加入する団体信用生命保険に応じてフラット35の借入金利が異なります。
- 新機構団信…新機構団信付きフラット35の借入金利
- 新機構団信(デュエット)…新機構団信付きフラット35の借入金利+0.18%
- 新3大疾病付機構団信…新機構団信付きフラット35の借入金利+0.24%
保障終了の80歳に達するなど団体信用生命保険の保障内容に異動があった場合や、住宅金融支援機構が免責となる場合でも、契約時の金利が変更になることはありません。
また、住宅金融支援機構が債務弁済充当を行わないことになったときでも、契約時の金利は変更にならないので注意しましょう。
フラット35の団信には入らなくてはいけないの?
今まで見てきたように、フラット35の借り入れをして、万一病気や事故などで住宅ローンが支払えなくなってしまったという場合に備えるのが団信です。
特に、借り入れ当初は債務金額も多いので、万一に備えて団体信用生命保険などの生命保険に加入したほうが安心といえるでしょう。
もちろん、民間の生命保険の保険金をフラット35の住宅ローンに充当することも可能です。
場合によっては、団信の保障内容と同額保険料の民間保険の保証内容と比べた場合、民間の保険料の方が安いという可能性もあります。
どちらが良いのかはご自身の判断になるので、しっかりと比較検討することをおすすめします。
リフォームローンの審査項目
リフォームローンを利用する場合には融資が受けられるか否かの審査が行われます。ここでは、どのような審査項目があるのかについて見ていきましょう。
金融機関が融資を行う際に考慮する項目
金融機関がリフォームローンを融資する際の審査基準は、金融機関ごとに独自に定められていて公表はされていませんが、国土交通省の「民間住宅ローン実態に関する調査」によると、以下の項目が挙げられています。
- 借主の健康状態
- 借主の完済時の年齢
- 担保評価
- 勤続年数
- 借主の借入時の年齢
- 年収
- 連帯保証
- 金融機関の営業エリア
- 返済負担率
- 融資可能額
- 他の債務状況や返済履歴
- 雇用形態
- 国籍
- 所有資産
年齢や健康状態による審査基準
年齢や健康状態は、リフォームローンをきちんと完済できるかどうかの判断に大きく関わるポイントです。
リフォームローンの年齢の上限は多くの場合、借り入れ時に70歳、完済時に80歳と設定されています。
また、リフォームローンを組む歳の健康状態は、前述の団体信用保険に加入できるかどうかを条件としているケースが一般的です。
収入による審査基準
リフォームローンを組む際の最低年収は一般的に約200〜300万円とされており、勤続年数は最低1年以上が目安です。
自営業の方がリフォームローンを組む場合には、その事業による収入が最低2年以上あるかどうかがポイントと言われています。
返済負担率による審査基準
返済負担率は、カーローンなどのリフォームローン以外のローン残債と合算して考慮されるという点をおさえておく必要があります。
合算した際の負担率が高いと、リフォームローンとして借りられる金額が下がってしまうケースもあります。
リフォームローンを利用する際の流れ
ここでは、実際にリフォームーンを利用する場合の流れについて見ていきましょう。
仮審査を申し込む
リフォームローンの審査は「仮審査」と「本審査」の2段階に分かれており、まずは仮審査を申し込みます。
仮審査はインターネットからの申し込みが可能なケースが多く、借り入れ希望額などの必要事項を入力して送信後、結果を待ちます。この時点では、リフォーム工事の資金計画を具体的にするため、工事内容と工事金額が決まっていることが望ましいです。金融機関によっては見積書の提出を求められることもあります。
審査結果が通知される
仮審査の申し込むと最短で翌日、一般的には3〜4日ほどで結果が通知されます。
仮審査が通れば、次に本審査の申し込み手続きへと進んでいきます。
本審査に申し込む
本審査の申し込みには、本人確認書類や源泉徴収票などの返済の原資となる収入を証明する書類が必要です。必要書類が揃ったらリフォームローンを申し込む金融機関に郵送し結果を待ちます。
一般的に本審査の結果は、申し込みから3日程度で通知されます。
契約手続きに入る
本審査で融資可能と判断されれば、融資決定の通知が届きます。融資決定を受けて、リフォーム工事の契約を工事業者を締結することになります。
これでリフォームローンの申し込みは完了となり、リフォームローンの契約手続きへと進みます。融資金額や金利、返済方法などを記載したローン契約(金銭消費貸借契約書)に貸主である金融機関と借主が署名捺印して契約を締結します。
融資を受ける
実際にリフォームローンの融資を受けるには、金融機関にリフォームが完工したことを届け出る必要があります。
工事業者が契約した工事内容を引渡し、注文者が受領したことを明らかにした工事完了証明書類に、署名・捺印したものを金融機関に提出します。
届け出が確認されると、リフォームローンを申し込んだ金融機関に指定した口座に融資額が振り込まれます。
金融機関にもよりますが、一度資金の借主に融資資金を振り込むと同時に工事業者に工事代金を払い込む方法と、直接工事業者の指定口座に資金を振り込んで工事代金を支払う方法があります。
リフォームローンを組むときの計算方法について
リフォームローンは、民間の信販会社や銀行などの金融機関がいろいろなタイプのローンを用意しています。
また、リフォーム会社が信販会社と提携してリフォームローンを取り扱っているところもあります。
リフォームローンの計算方法や金利の種類・相場を知っておきましょう。
リフォームローンの計算方法を知ってしっかりシミュレーションしよう
リフォームローンを借りる時、「いくら借りられるのか」、「月々の返済額はいくらになるのか」この2点がとても大事です。
リフォーム工事の詳細が決まり、見積もりができると「いくら借りられるか」「頭金とあわせて、工事代・必要経費が準備できるのか」が気になります。
また、月々の返済額やボーナス時の返済額も重要です。
ローンは毎月返済していかなくてはなりません。月々の返済額は、年収と毎月返済できる金額を考慮して決めます。
ローンの返済額などは、各金融機関のホームページなどでシミュレーションできるようになっています。
リフォームローンの商品内容は、各金融機関により金利の種類やパーセント、経費などが違います。
詳細は、各金融機関で確認しましょう。
リフォームローンの借入先を探すには「ハピすむローン比較」が利用できます。
シミュレーションの内容が理解できるように、リフォームローンの計算方法の違いを知っておきましょう。
リフォームローンの計算方法
リフォームローンを契約すると、融資を受けた額に利息を追加して返済しなければなりません。
この利息がどれだけ発生しているかは、毎月元金に1カ月あたりの金利を掛けることで計算することができます。
例えば、1,000万円の融資を受け、年間の金利が2%だった場合、月辺りの金利は年利の2%を12カ月で割ったもの、つまり0.166%です。
返済による利息を計算するときの計算式は
- 1,000万円×0.166%
ですので、1カ月の金利は16,600円、年間で約20万円が利息ということになります。
ただし、元金は毎月返済されているため、年間の利息を計算するためには、元金の減少も考慮しなければなりません。
元金の減少を含めた場合の計算方法は、毎月の元金返済額が10万円だった場合、返済を一回行ったとすると、
- 990万円×0.166%
ですので、利息は16,434円に減少します。
ローン商品の返済方法には、元金を一定額返済する方法(元金均等方式)と、月額返済額を一定にする方法(元利均等方式)とがあり、返済方法次第で同じ金額を返済しても元金の減少するペースが変わる点に注意が必要です。
元金均等方式で返済する場合、元金が減るペースが速いため、返済の利息合計を抑えることができ、やや返済初期の月額負担が大きくなります。
元利均等方式で返済する場合は、元金の減少ペースが比較的緩やかで、やや返済の利息合計が大きくなるでしょう。
リフォームローンの金利相場について
リフォーム金利は、金利の種類・借入額・借入期間・担保の有無などにより異なります。
また、同じ金融機関でもローンの種類によって、借入期間や借入限度額・金利が異なります。
金利は、2~5%、借入限度額は500~1,000万円、借入期間の最長は10~15年のタイプが多く用意されています。
主な銀行のリフォームローン(2019年2月調査・無担保タイプ)
金融機関 | 金利種類 | 金利 | 借入限度額 | 借入期間 |
---|---|---|---|---|
イオン銀行 | 固定 | 2.5% | 30~500万円 | 1~10年 |
三井住友銀行 | 変動 | 4.975% | 10~1,000万円 | 1~15年 |
三菱UFJ銀行 | 変動 | 1.99~2.975% | 50~1,000万円 | 6ヶ月~15年 |
りそな銀行 | 変動 | 3.475~4.475% | 10~500万円 | 1~10年 |
大型タイプ | 変動・固定 | 2.475%・2.975% | 50~2,000万円 | 1~15年 |
住信SBI銀行 | 変動 | 2.475~4.475% | 10~1,000万円 | 1~10万円 |
みずほ銀行 | 変更・固定 | 3.975%・4.2%・4.3% | 10~500万円 | 6ヶ月~15年 |
金利には変動と固定がある
リフォームローンの金利には、固定金利型、変動金利型、固定金利選択型の3種類があります。
固定金利型は、借入期間中金利が完済まで変わらず、毎月の返済額が同じになります。
毎月の返済額を同じにして、家計管理を楽にしたい方や、これから金利が上昇しやすい経済状況の時にメリットがあります。
変動金利型は、年2回(主に4月と10月)の金利見直し時に金利が変更になるタイプです。
繰り上げ返済を積極的に行える方、これから金利が下がる経済状況の時にメリットがあります。
固定金利選択型は、ローン契約時に固定金利期間を選択し、一定期間は固定金利。
その後、変動金利となるタイプです。しばらくは、返済額を固定して、その後金利を検討したい方に向いています。
契約時の金利は、固定金利型>固定金利選択型>変動金利の順で高くなっているのが一般的です。
総額500万円ローンを組んだ時の月々の返済額について
500万円のリフォームローンを借りた場合の月々の返済額を下記の銀行でシミュレーションしてみました。
(2019年2月調査)主な銀行の返済シュミレーション表
銀行名 | イオン銀行 | みずほ銀行 | 三菱UFJ銀行 |
---|---|---|---|
借入額 | 500万円 | 500万円 | 500万円 |
返済年数 | 10年 ボーナスなし | 10年 ボーナスなし | 15年 ボーナスなし |
金利 | 固定金利2.5% | 変動金利3.875% | 変動金利2.875% |
月々の返済額 | 47,134円 | 50,325円 | 34,229円 |
返済総額 | 5,656,080円 | 6,039,000円※ | 6,161,220円※ |
※変動金利のローンなので、返済総額は契約後の金利の変動により変わります
リフォームローンは借り入れ可能額が低い
住宅ローンの場合、借り入れ可能額は1億円までですが、リフォームローンは住宅ローンに比べて大幅に借り入れ可能額が低く設定されています。
銀行などのリフォームローンの場合、借り入れ可能額で多いのは1,000万円です。
ただし、こちらも金融機関によって融資限度額に違いがあり、多ければ1,500万円から、少なければ800万円までが上限となっている場合もあります。
借入限度額は超えないほうがいい
リフォーム工事は、工事代金以外に税金(印紙代や登録免許税など)や引っ越し費用・仮住まい費用・司法書士への報酬などの諸経費がかかります。
リフォームローンでは、諸経費を含めて借りることができるローンもあります。
リフォームローンを借りる時に気を付けたいのは、工事代金と諸経費を合わせてローンを組んだ時に借入限度額を超えないことです。
借入限度額を超えると、超えた分は自己資金で支払うことになりますし、借入後の生活に支障がでることが心配されます。
借入限度額を超えるということは、年収に対して支払い額が多すぎるということです。
ローンは完済するまでの支払い能力がなければなりませんし、生活に支障が出ないように上手に資金計画を立てることが何よりも大切です。
また、住宅ローンの返済が残っている場合は、住宅ローンとリフォームローンなどを合わせて、年収に対する借入限度額を超えないようにしなければなりません。
金融機関では、住宅ローンや自動車ローン、携帯電話のローンなどの返済金の残債を含めて、リフォームローンの審査を行います。
借入限度額は、年収に対する返済負担率で決まります。
- 年収250万円の場合、年収に対する返済負担率 25%以内
1年間の返済額は62万5千円、月々約52,000円 - 年収400万円の場合、年収に対する返済負担率35~40%以内
1年間の返済額は、140~160万円、月々約11万6千円~13万3千円
リフォームローンを借りる時には、工事代金以外の諸費用も含めて資金計画を行い、無理のないローンにしましょう。
リフォームローンの審査について
リフォームローンの審査には、返済能力を確認する仮審査(事前審査)と申込み後に詳しく調査がおこなわれる本審査があります。
本審査では、返済ができなかった場合、どのように返済されるのかなども審査されます。
リフォームローンと住宅ローンはどちらが厳しいのか?
リフォームローンの審査は、住宅ローンの審査と比べると、審査内容が少なく、審査が早く、通りやすいといわれています。
通りやすい理由は、リフォームは土地と住宅という資産がすでにあるということ、借入金額が住宅ローンより少ないこと、借入期間も短いことにあります。
また、リフォームローンは無担保のタイプが多く、その分金利が割高というのも理由の一つです。
住宅ローンを組んでいる銀行のほうが手続きは楽
住宅ローンが残っている期間にリフォームローンを組む場合は二重ローンとなります。
この場合、住宅ローンを借りている金融機関とは別の金融機関に申込みをすると、審査期間が長くなる傾向にあります。
住宅ローンが残っている場合には、まず住宅ローンを借りている金融機関にリフォームローンの相談をしましょう。
住宅ローンとリフォームローンを合算する『借り換えローン』を提案してくれたり、住宅ローンの返済実績やその他の口座引き落としなどの取引の実績が分かっているため、新たに別の金融機関と取引するよりは一般的に手間がかかりません。
リフォームローンの頭金について
住宅ローンでは頭金を必ず入れます。
だいたい、諸経費分は頭金として用意すると良いといわれています。リフォーム工事でも工事代金以外に税金や引っ越し・仮住まいの費用が必要なケースがあります。
リフォーム工事の場合、頭金はどうしたらよいのでしょうか?
頭金なしでもリフォームはできるのか?
頭金が必要か、必要でないかは、リフォーム工事の金額と工事以外の諸経費がどのぐらいかかるかによります。
諸経費には、工事請負契約時に支払う印紙税、引越し費用、仮住まい費用、完成後の司法書士報酬料・登録免許税などがあります。
印紙税は、契約金額により変わります。
工事代金500~1,000万円(消費税抜き)の工事の印紙税は、1万円(2020年3月31日まで5千円)です。
リフォーム工事の内容により仮住まいの必要がない場合は、引越し費用もかかりません。
諸経費が少ない分、用意する自己資金は少なくて済みます。
リフォームローンを組む場合であっても、工事やリフォーム業者によっては「頭金なし」でできる工事もあります。
頭金の請求はリフォーム業者によって異なる
リフォーム工事の場合、工事金額の支払い方はリフォーム業者により頭金の請求方法が異なります。
また、工事金額や工事期間によっても異なります。
工事代金の支払いは、工事規模によりますが工事期間が1ヶ月以内と短期間のリフォーム工事では、契約時の頭金や工事中の中間金の支払いが無く、工事が完了した時点での一括支払いというケースも多く見受けられます。
リフォーム工事の場合は、頭金を請求する業者もあれば、工事の後一括請求する業者もあり様々です。
リフォーム業者とも資金計画の内容をよく相談しておきましょう。
頭金があれば月々の返済は楽になる
リフォームローンの融資が実行されるのは、リフォーム工事が完了してからになります。
工事の手付頭金の支払いや引っ越し・仮住まいがある場合は、その分のローン以外の現金が必要になります。
リフォームローンの実行は、リフォーム工事が完了してからになるので頭金が準備できれば、ローンの借入額が減り、月々の返済はその分少なくなり、楽になります。
リフォームローンで税金の減税が受けられるかについて
リフォームローンでも税金の減税制度はある
住宅ローンを利用した場合には住宅ローン減税などの優遇税制の適用を受けることができますが、リフォームローンを利用した場合についても、同様にローン型減税の適用を受けることができます。
また、工事内容によっては固定資産税の減免措置を受けることができます。
住宅ローン減税は、返済期間が10年以上のローンを利用して大規模なリフォーム工事を行ったときこの制度を利用することができます。
10年未満の返済期間のリフォームローンを利用した上で税制上の優遇を受ける場合には、住宅ローン減税ではなくローン型減税を利用する方法があります。
ローン型減税とは、5年以上の返済期間があるローンを組んでリフォームを行った場合に適用となるものですので、住宅ローン減税に比べて小規模な工事であっても税制上の優遇を受けることができるでしょう。
ローン型減税を受けられるリフォーム工事の内容には条件があります。
ローンを組んで省エネリフォームをすると受けられる減税制度について
省エネリフォームで窓や壁の断熱性を高めると、空調の効きも良くなるほか、あたたかい空気や冷たい空気が逃げにくくなるため空調効率もよくなります。
つまり省エネリフォームをすれば、快適に過ごせるようになるだけでなく、光熱費の節約もできるのです。
このようにメリットのある省エネリフォームですが、さらに減税制度を利用することもできます。
条件を満たした省エネリフォームを行うことで所得税の控除を受けられる制度です。
具体的にはどのような工事が省エネリフォームの減税対象になるのでしょうか。
まず、全ての居室の窓全部について、ペアガラスや二重サッシなどに変更する改修工事を行うことが必要です。
居室とは、リビング・ダイニング・寝室・個室など継続的に使用する部屋のことです。
また、居室の窓全部の改修工事にあわせておこなわれる壁や床・天井の断熱工事も減税対象になります。(省エネ基準以上)
尚、投資型減税では、窓の改修工事と併せて行う太陽光発電設備の設置や高効率給湯器の設置工事なども対象になります。
省エネリフォームの減税適用要件には次のようなものがあります。
- 省エネリフォーム工事をして2021年12月31日までの間に入居するすること
- 省エネリフォーム工事から6カ月以内に入居すること
- 税額控除を受ける年分の合計所得金額が、3,000万円以下であること
- 工事費用から補助金などを控除した額が50万円以上であること
減税制度は省エネリフォーム費用を現金で払うのかローンを組むのか、またローンを組んだ場合はその返済期間によって内容が異なります。
この章では、省エネリフォームで受けられる減税制度の種類について解説します。
現金かローンで省エネリフォームをすると受けられる投資型の減税制度
「投資型」の減税制度は、ローン利用の有無にかかわらず利用が可能な制度です。
一般的には、自己資金で省エネリフォームをおこなった場合や、5年以内のローンを組んだ場合に申請されます。
投資型減税の期間は、リフォーム工事が完了して居住を開始した1年間です。
また、2021年12月31日までに居住を開始することが条件です。
控除率は工事費用の10%で、控除限度額は省エネ改修のみの場合は25万円、太陽光発電設備の設置も同時におこなった場合は35万円となります。
5年以上のローンで省エネリフォームをすると受けられるローン型減税制度
5年以上のローンを組んだ場合の減税制度の期間は、リフォーム工事後の居住開始から5年間です。
ただし2021年12月31日までに居住している必要があります。
また控除率は工事費用の2%(借入金年末残高1,000万円上限)で、控除限度額は年間12万5千円となります。
10年以上のローンで省エネリフォームをすると受けられる住宅ローン減税制度
住宅ローン減税制度は、新築や中古で自宅を取得した場合だけでなく、一定のリフォーム工事をおこなって10年以上のローンを組んだ場合にも利用できます。
2019年4月現在、住宅ローン減税の期間は10年間ですが、2019年10月1日に消費税が10%への増税されることへの対策として13年間に延長される予定です。
13年間に延長されるには、消費税が10%の住宅を取得して2019年10月1日から2020年12月31日までに入居することが条件になります。
控除率は工事費用の1%(借入金年末残高4,000万円上限)で、控除限度額は年間40万円となります。
ローンを組んでバリアフリーリフォームをすると受けられる減税制度について
バリアフリーリフォームとは、高齢者等の住居で安全のための手すりの設置や段差の解消、介助のためのスペースなどを設ける工事のことを言います。
一定の条件を満たすことで、このバリアフリーリフォーム工事費用についても所得税の減税制度を利用することができます。
バリアフリーリフォームの減税制度を受けるための要件は下記のものです。
- バリアフリー工事をして2021年12月31日までの間に入居すること
- バリアフリー工事から6カ月以内に入居すること
- 税額控除を受ける年分の合計所得金額が、3,000万円以下であること
- 次のいずれかに該当する個人であること
- イ. 50歳以上
- ロ. 介護保険法に規定する要介護又は要支援の認定を受けている
- ハ. 所得税法上の障害者である
- ニ. 高齢者等(65歳以上の者又は上記(ロ)若しくは(ハ)に該当する者をいいます。)である親族と同居を常況としている
- 次のいずれかのバリアフリー工事であること
- イ. 通路又は出入口の幅を拡張する工事
- ロ. 階段の改良によりその勾配を緩和する工事
- ハ. 浴室を改良する工事
- ニ. 便所を改良する工事
- ホ. 手すりを取り付ける工事
- ヘ. 床の段差を解消する工事
- ト. 出入口の戸を改良する工事
- チ. 床の材料を滑りにくいものに取り替える工事
減税の内容は、バリアフリーリフォーム費用を現金で支払うのか、ローンを組むのか、またローンを組んだ場合はその期間によって異なります。
この章では、バリアフリーリフォームで受けられる減税制度の種類について解説します。
現金かローンを組んでバリアフリーリフォームをすると受けられる投資型の減税制度
投資型の減税制度は、ローンの有無にかかわらず利用が可能な制度です。
一般的には、自己資金でバリアフリーリフォームをおこなった場合や、5年以内のローンを組んだ場合に申請されます。
控除の期間は、バリアフリー工事完了して入居から1年分です。
投資型の減税制度では、バリアフリー工事費用200万円までが控除対象になり、控除率は10%で、控除限度額は20万円になります。
5年以上のローンを組んでバリアフリーリフォームをすると受けられるローン型減税制度
5年以上のローンを組んでバリアフリーリフォームをする場合は、ローン型減税制度が受けられます。
控除の期間は、バリアフリーリフォーム工事が完了して入居後5年です。
控除率は2%(借入金年末残高1,000万円上限)で、控除限度額は年間12万5千円となります。
10年以上のローンを組んでバリアフリーリフォームをすると受けられる住宅ローン減税制度
バリアフリーリフォームを住宅ローンを組んで行ったときも条件を満たすことで減税制度を受けることができます。
前述のとおり2019年4月現在、住宅ローン減税の期間は10年間ですが、消費税が10%引き上げられることへの対策として13年間に延長される予定です。
控除率は工事費用の1%(借入金年末残高4,000万円上限)で、控除限度額は年間40万円となります。
ローンを組んで耐震リフォームをすると受けられる減税制度について
耐震リフォームをおこなった場合も条件を満たすことで、所得税の控除を受けることができます。
個人が2021年12月31日までの間に、自身が住むための住宅に耐震リフォームを行った場合に減税が受けられる制度です。
この住宅耐震改修特別控除を受ける要件は、下記の通りです。
- 昭和56年5月31日以前に建築された自身の住む住宅であること
- 耐震リフォームが、現行の耐震基準に適合するものであること
耐震リフォームとは、たとえば柱や梁・基礎の補強、屋根を瓦から軽い屋根材への葺き替えなどがあります。
減税の内容は、耐震リフォーム費用を現金で支払うのかローンを利用するのか、また、ローンを利用する場合はその期間によって内容が異なります。
この章では、耐震リフォームで受けられる減税制度の種類について解説します。
現金かローンを組んで耐震リフォームをすると受けられる減税制度について
投資型の減税制度は、他のリフォーム減税制度と同じようにローンの有無にかかわらず利用が可能な制度です。
控除の期間は、耐震工事完了後に入居から1年間です。
投資型の減税制度では、耐震工事費用250万円までが控除対象になり、控除率は10%で、控除限度額は25万円になります。
10年以上のローンを組んでバリアフリーリフォームをすると受けられる住宅ローン減税制度
10年以上の住宅ローンを組んでバリアフリーリフォームを行った場合にも減税が受けられる場合があります。
2019年4月現在、住宅ローン減税の期間は10年間ですが、消費税が10%引き上げられることへの対策として13年間に延長される予定です。
控除率は工事費用の1%(借入金年末残高4,000万円上限)で、控除限度額は年間40万円となります。
国や自治体が実施する補助金制度の対象となるリフォームについて
ここまでは、リフォーム工事に対して所得税が控除される減税制度を確認しました。
ほかにも、リフォーム工事で固定資産税の減額を受けることも可能ですので、詳しく見ていきましょう。
各補助金制度は都道府県、市区町村などがそれぞれでおこなうため、一括した基準を示すことができません。
加えて、補助金については毎年見直しが行われます。以下に対象となるリフォーム工事ごとに大まかな内容を解説しますが、最終的にはお住いの地方自治体のホームページや、窓口で確認されることをおすすめします。
耐震診断・耐震リフォーム
耐震診断や耐震補強のリフォームを行った際に補助金が受け取れる場合があります。
多くの場合、耐震診断の結果、現行の耐震基準に満たない場合に行われる工事に適用されます。
たとえば、東京都中央区の一般木造住宅では、耐震診断については診断費用の全額、耐震補強工事については工事費用の1/2(限度額300万円)が助成されます。
介護保険法に基づく住宅改修リフォーム
介護リフォームとは、要介護者に安全な自宅環境を整えるためのリフォームを指します。
たとえば、手すりの取りつけや段差の解消、扉を引き戸に取り替えるなどの工事のことです。
介護保険法では、住宅改修の工事に対して支給限度基準額(20万円)の9割(18万円)が上限で支給されます。
ゼロエネルギー住宅へのリフォーム
ゼロエネルギー住宅とは、外壁の断熱性能を高めて、太陽光発電など発電設備を備えた年間のエネルギー消費量をゼロにすることを目指した住宅です。
このネット・ゼロ・ハウス・エネルギーは略してZEH(ゼッチ)といわれ、ZEH関連事業として補助金が支給されます。
ZEHの設計・建築・販売は、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)に登録された「ZEHビルダー」であることが申請要件になります。
対象となるのは、自身が住むための住宅で、新築住宅または新築分譲住宅、既存の住宅でZEHを取得したものになります。
平成30年度では、交付要件に満たす住宅で一戸当たり定額70万円(地域・規模によらず)が支給されています。
さらに蓄電システムを導入すると、上限30万円で1kwあたり3万円が支給されます。
ほかに、より高性能な「ZEH+」では一戸当たり115万円、蓄電システムを導入した場合は上限45万円で1kw3万円が支給されます。
ZEHを申請する場合は、まずその土地のZEHの実績が多いZEHビルダーをさがし、補助金申請を前提としたZEH仕様の住宅を依頼することが一般的です。
長期優良住宅化リフォーム
長期優良住宅化とは、既存住宅の品質向上を目指して、住宅を長く使用するための取り組みです。
長期優良住宅の認定基準は、
- 劣化対策
- 耐震性
- 省エネルギー性
- 維持管理・更新の容易性
- 可変性(共同住宅)
- 居住環境
- 住戸面積(一戸建て75平方メートル以上)
- 維持保全計画
- バリアフリー性(共同住宅)
のすべての認定基準を満たすことが必要です。
既存住宅をリフォームして、長期優良住宅の認定を取得すると補助金を受けることが可能になります。
平成30年度の補助率は、対象の工事費用の1/3で、限度額は1戸当たり200万円です(さらに省エネ性能を向上させる場合は250万円)。
エネファーム設置リフォーム
家庭用燃料電池システム「エネファーム」を住宅に導入するとき、エネファーム購入費用の一部の助成が受けられる場合があります。
平成30年度を見てみると、補助金は燃料電池の種類によって異なり、固体高分子形(PEFC)の場合は3万円、固体酸化物形(SOFC)の場合は6万円です。
ただし、機器の価格と工事費の合計が基準価格以上で裾切価格以下であることが条件になります。
また、設置対象の建物区分が既築、燃料種別がLPガス、補助対象システムが寒冷地仕様、マンション設置の場合は、3万円が追加補助されます。
国による補助制度のほか、自治体独自の助成金を受け取れる場合もありますので、確認するとよいでしょう。
一般のリフォームでも補助金制度を受けられる場合がある
地方公共団体が実施する住宅リフォーム支援制度の項目では、耐震化、バリアフリー化、省エネルギー化、環境対策、防災対策、同居対応などがあります。
申請を行わなければ補助金が支給されないため、リフォームを行う前にお住いの地方自治体がおこなっている補助制度を、忘れずに確認して申請しましょう。
ここまで確認したリフォーム以外に、下記のリフォーム工事を行った場合、補助金の対象になる可能性があるので参考にしてください。
- 水洗トイレの改修
- 防音対策工事
- 浄化槽の設置
- アスベスト対策工事
- 火災報知機の設置工事
- 地域材の活用
- 緑化促進
- ごみ処理機設置工事
- 克雪対策工事
- 一般的なリフォーム
長期優良住宅化の場合
キッチン、浴室、トイレ、玄関の少なくとも2つ以上増設して、多世帯が同居できるようにリフォームを行ったとき、工事費の10%の所得税減税が受けられ、5年以上のリフォームローンを使用して行った時は、ローン型減税を受けることができます。
ローン型減税の減税となる税額は、同居対応リフォーム工事の費用から受けた補助金を差し引いた額(上限250万円)に相当するローン残高の2%とその他の工事に相当するローン残高1%の合計額が所得税額から控除されます。
住宅をリフォームして耐震性能および省エネ性能・耐久性を向上させ、長期優良住宅の認定を受けた場合で、耐震改修工事や省エネ改修工事のそれぞれの標準的工事費用から国等が実施する補助金の額を差引いた金額が50万円以上であるとき所得税額の控除を受けることができます。
所得税額の税額控除についてはローン型と1年だけ(投資型)のものとがあり、ローン型の場合は上限工事費1,000万円の1%までが5年間控除され、1年間のものは省エネ、耐久性向上工事に限り、上限250万円の2%までが控除されます。
リフォームに関する税金の優遇制度を大まかに述べましたが、工事の内容によって複合して利用することができるものや、同時に利用できないもの、さらに工事内容以外にも適用要件があるので注意が必要です。
また、リフォーム工事の内容によって、国や地方自治体が実施している補助制度を利用できる場合があります。制度の対象となる工事や補助の内容は、自治体により様々です。
リフォーム工事を行う際には、事前に税理士や補助金や減税の制度などに詳しいリフォーム業者に相談してみると良いでしょう。
リフォームローンの審査が通りやすい人の特徴は?
リフォームローンの審査に通りやすい人は、他社での借り入れが全くないかもしくは少ないという特徴があります。
また勤務先の雇用が安定していて勤続年数も1年以上と長く、年収に余裕があるという点も当てはまります。
リフォームローンにおいては融資の目安の最低ラインを200万円以上に設定している金融機関もあるので、年収は多ければ多いほどよいでしょう。
リフォームローンの審査では安定を重視する金融機関が多い傾向があります。
アルバイトより正社員、中小企業より大手企業、民間企業より公務員といった雇用形態の方が審査に通りやすいです。
大手企業や公務員が有利なのは社会経済が不安定になっても雇用が維持されたり、収入が下がりにくいからですね。
年齢は20代後半から30代前半くらいが通りやすいようです。
さらに家族構成も審査に影響を及ぼす場合があります。
たとえば家族がいる人の方が、いざというときに返済費用を援助してもらえたり、家族が居住する住宅を守るために一生懸命働くので返済が滞らないだろうといった理由から審査が有利になると金融機関は考えます。
ただし、これらの条件を全て満たしていなくても、他の審査基準をクリアしていれば問題なく融資が受けられるでしょう。
リフォームローンが通らない人の特徴は?
リフォームローンで審査に通りにくい人は、審査に通りやすい人とは逆の特徴があります。
たとえば年齢が高かったり他社での借り入れがあり、返済負担率が大きいなどです。
一般的に年齢が高い方が収入に余裕が生まれるので、一見すると問題なくリフォームローンが借りられそうですよね。
しかし40歳を過ぎると長期のローンを組んだ時に、完済まで働き続けることが難しいでしょう。
また、健康状態が悪ければ融資が受けられないということもありえます。
加えて勤続年数が少なく1年に満たない人だとリフォームローンの審査に通るのは困難でしょう。
金融機関の審査ではスコアリングという手法を用いて融資の可否が決められます。
勤続年数の短さは、このスコアリングのスコアを大きく下げてしまうので審査に通る可能性が大幅に下がってしまいます。
そして企業に雇用されていないいわゆる自営業の人は年収の安定性が疑われるので審査が厳しくなります。
審査基準は全体的に上がりますし、近年の収入が安定傾向にあっても、審査すら認められず審査を行わない金融機関も存在するほどです。
余程、年収が大きく収入が安定していなければ、自営業でリフォームローンの審査を通るのは難しいでしょう。
リフォームを依頼する際の業者の最適な選び方を知りたい
住宅のリフォームをしようと思った時に、数あるリフォーム業者の中から依頼する業者を探し、選ぶのはなかなか大変なことです。
まずは、身近な人のおすすめ業者やリフォーム会社のホームページ、「ハピすむ」などのリフォーム業者とのマッチングサイトなどのネット、専門雑誌、などで評判の良い業者などから相談してみましょう。
その中から依頼するリフォーム工事を得意とする業者や相性の良い業者を選ぶと良いでしょう。
リフォーム業者はそれぞれ得意分野があります。
水回りのリフォームが得意な会社、外壁塗装工事が得意な会社、大工工事が得意な会社、リノベーションが得意な会社など様々です。
建設業の許可の有無や建築士・施工管理技士などの技術者やその他の有資格者の在籍 状況や工事実績なども確認しておくとよいでしょう。
建設業の許可業者であれば、国土交通省の建設業者検索サイトで許可の内容を調べることができますし、工事実績については許可を出している国や都道府県など許可行政庁の窓口で閲覧することができます。
また、会社や担当スタッフとの相性も重要です。自分たちの身になって考えてくれる、必要な情報を的確にアドバイスしてくれる、コミュニケーションがとりやすいなどスムーズに打合わせができる、話しやすいかどうかなども判断しましょう。
リフォーム会社を選定する際、見積もり金額の安さだけで選ばず、金額がある程度高くても相性やアフターサービス・保証の内容が手厚い会社を選んだほうが良いケースもあります。
良いリフォームを行うには、リフォームしたい箇所や仕上がりのイメージや予算、資金計画などをあらかじめ決めておきましょう。
新築した時やリフォームした時の経歴のわかる建築図面や契約書、見積もり書なども用意しておくと打ち合わせがスムーズに進めることができます。
また、依頼する工事内容を綿密に打ち合わせ、予算や工事日程の希望などをはっきり伝え、コミュニケーションを良く取ることも大切です。
また、工事中に必要な追加工事が出たり、工事が不可能な箇所がでてきたりすることがリフォーム工事ではあります。
リフォーム会社とコミュニケーションを密にとりながら、不明な点がないように工事を進めるようにしましょう。
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この記事の監修者プロフィール
株式会社フレッシュハウス
樋田明夫フレッシュハウスでリフォームの営業担当を長年経験し、数々のリフォームコンテストでの受賞実績を持つ。現在はフレッシュハウス本社における営業戦略室の室長として、大規模リフォームから通常のリフォーム物件まで幅広く対応中。
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