2024年08月09日更新

監修記事

住宅ローンにリフォーム費用を組み込むには?方法と流れを解説

住宅ローンにリフォーム費用を組み込むと返済計画が立てやすいだけではなく低金利での借入れが可能です。当記事では、住宅ローンにリフォームローンを組み込む3つの方法や手続きの流れについて解説します。住宅購入とともにリフォームを検討している方や、住宅ローンにリフォーム費用を上乗せしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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住宅ローンとリフォームローンを合算する3つの方法

リフォーム ローン 住宅 ローン

結論から先に申し上げると、住宅ローンとリフォームローンの合算は可能です。

合算方法は住宅購入に伴いローンを組むのか、すでに住宅ローンを組んでいる(持ち家がある)かによって異なります。

はじめに、住宅ローンとリフォームローンを合算する3つの方法を詳しく確認しましょう。

【方法1】リフォーム一体型住宅ローン(住宅購入時)

住宅購入時に住宅ローンとリフォームローンを合算したい場合、選択肢の1つとしてリフォーム一体型住宅ローンがあります。

リフォーム一体型住宅ローンとは、その名の通りリフォーム費用と住宅購入費用を一括で借り入れできるローンです。

リフォーム一体型住宅ローンは、ローンの申し込み時にリフォームの見積書が必要であるため、あらかじめリフォーム内容を決定しておく必要があります。

しかし、物件価格の20%程度をリフォーム費用として融資可能なので、大規模なリフォームにも対応可能です。 

フラット35を利用する場合には、さらに高額なリフォーム費用にも対応できるケースがあります。

リフォーム一体型住宅ローンにおける借入条件の多くは、住宅価格とリフォーム費用の合計金額が1億円以下です。

【方法2】リフォーム費用を加味した住宅ローンを組む(住宅購入時)

リフォーム費用を含めた住宅ローンの借り入れをすることで、実質ローンが一括化できます。

住宅ローンにリフォーム費用を含める場合には、概算よりも多めの費用で申し込みをしてください。

なぜなら、一度審査を通った住宅ローンの減額は可能ですが、増額はできないからです。

特に、まだリフォーム範囲が定まっていない場合には、想定よりも多めの金額で申し込みをしましょう。

再審査は金融機関に悪い印象を与える

融資額を増額するためには再審査が必要です。

再審査は計画性がないと、金融機関に悪い印象を持たれてしまうリスクがあります。

【方法3】借り換えでリフォーム費用を住宅ローンに組み込む(持ち家)

すでに所有している家のリフォーム費用を住宅ローンに組み込む場合、住宅ローンの借り換えが必要です。

金利の低いタイミングでうまく住宅ローンの借り換えを利用すれば、リフォーム費用を捻出するための有効な手段となります。

少なくなった返済額の分をリフォーム費用に充てられれば、月々の負担額も抑えられるでしょう。

借り換えの諸費用もローンに組み込める

住宅ローンの借り換えには抵当権の設定にかかる費用や、ローン手数料等の諸費用が発生しますが、これらの費用もローンに組み込めます。

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リフォームローンと住宅ローンは併用できる?

リフォーム費用は住宅ローンと合算可能ですが、リフォームローンと住宅ローンの併用も可能です。

2つのローンを同じタイミングで申し込むことも可能ですし、住宅ローンの返済中に新たなリフォームローンを組むこともできます。

しかし、ローンの併用は他に借り入れがある状態での審査となるため、後から申し込んだローンの融資が難しくなる可能性が考えられるでしょう。

リフォーム費用を住宅ローンに上乗せできる?

リフォーム費用を住宅ローンに上乗せしたい場合、住宅ローンの借り換えが必要です。

住宅ローンの中には、借り換え資金の使途の中に増改築資金が含まれているものがあります。

例として、住信SBIネット銀行の住宅ローン資金使途の例をまとめたので確認してみましょう。

住信SBIネット銀行の住宅ローン資金使途
  • ご本人またはご家族がお住まいの、現在お借入れ中の住宅ローンの借換資金
  • ご本人またはご家族がお住まいのご自宅にかかわる増改築資金
  • お借換にかかわる費用
  • 登記費用
  • 火災保険料・地震保険料
  • 事務取扱手数料
  • 収入印紙代

引用:【住信SBIネット銀行】(住宅ローン)借入の条件はなんですか?

すでに契約している住宅ローンに対して、追加でリフォーム費用の上乗せはできないため注意しましょう。

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住宅ローンとリフォームローンの違いとは?

住宅 ローン リフォーム ローン 合算

住宅ローンとリフォームローンとでは、どのような点が異なるのでしょうか。

下記にそれぞれのローンの借入条件の特徴をまとめたので、ぜひ参考にしてください。

ローンの種類住宅ローンリフォームローン
金利低め高め
審査厳しい比較的緩い
借入年数最長35年15年前後
借入可能額1億円以内程度1,500万円以内程度

それぞれのローンの用途や、どのような方に適しているのかを詳しく解説します。

リフォームローンの対象は建物の増改築とメンテナンス

リフォームローンは、建物の増改築やメンテナンスに利用できるローン商品です。

住宅ローンと比較すると借入限度額や借入年数に制限がありますが、審査が比較的緩くリフォーム制限がないため、少額のリフォームから気軽に利用できます。

しかし、金利は住宅ローンよりも高めに設定されているため、できるだけ低い金利で借り入れたい方や、大規模なリフォームを予定している方には不向きと言えるでしょう。

住宅ローンは新築工事とリフォームのどちらにも利用できる

住宅ローンは住宅購入に用いるローンですが、リフォームにも利用できます。

リフォームのみを使途とした場合住宅ローンの契約はできませんが、住宅費用にリフォーム費用を組み込む形であれば融資は可能です。

低い金利で最長35年までの借り入れが可能であるため、月々の返済額を抑えたい方や大規模なリフォームを検討している方に適しています。

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住宅ローン・リフォーム一体型住宅ローンのメリット

リフォームローンを使わず、住宅ローンやリフォーム一体型住宅ローンでリフォーム費用の融資を受けると、以下のメリットがあります。

住宅ローン・リフォーム一体型住宅ローンのメリット
  • 返済計画が立てやすい
  • 低金利で借入れ可能
  • 住宅ローン控除が受けられる
  • 借入れ可能な期間が長い

それぞれのメリットを詳しく解説します。

【メリット1】返済計画が立てやすい

住宅ローンやリフォーム一体型住宅ローンは、返済計画が立てやすいメリットがあります。

住宅関連の返済が一括化されるため、残債の確認もしやすくなるでしょう。

また、借入れ時の事務手数料や保証料の支払いも1度で済むため、リフォームローンと住宅ローンを併用するより諸経費を抑えられるのが大きな魅力です。

【メリット2】低金利で借入れ可能

一般的にリフォームローンよりも、住宅ローンやリフォーム一体型住宅ローンの方が低金利で借り入れできます。

リフォームローンの金利は2〜5%前後である一方、リフォーム一体型住宅ローンの金利は1%前後です。

下記に金利毎の返済シミュレーションをまとめたので、ぜひ参考にしてください。

金利1%と金利2%の返済額の違い

1,000万円のローンを15年間で返済する場合、返済額は以下のとおりです。

金利月々の返済額総支払額
1%56,849円10,772,812円
2%64,350円11,583,075円

上記のとおり、低金利で借入れすると月々の返済額を抑えられるだけでなく、総支払額も数十万単位で変わってきます。

【メリット3】住宅ローン控除が受けられる

住宅ローンやリフォーム一体型住宅ローンでは、要件を満たすと住宅ローン控除の対象となります。

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を購入した方を対象とした税負担の軽減措置です。

詳しい条件については、リフォームで受けられる住宅ローン控除 を参考にしてください。

【メリット4】借入れ可能な期間が長い

最後に挙げられるメリットは、借入れ可能な期間の長さです。

リフォームローンの借り入れ可能期間が15年程度である一方で、住宅ローンやリフォーム一体型住宅ローンは最長35年の借入れが可能です。

借入れ可能な期間が長ければ、その分月々の返済額を抑えられます。

月々の負担を抑えながらもリフォーム費用を捻出したい方にとって、住宅ローンやリフォーム一体型住宅ローンは最適と言えるでしょう。

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リフォーム一体型住宅ローンの手続きの流れ

一般的な住宅ローンの場合には、建物の引き渡し日が融資を受ける実行日となります。

しかし、リフォーム一体型住宅ローンの場合、建物の引き渡し日に建物分の融資、リフォーム完了後にリフォーム費用分の融資が実行されます。

手続きの流れをよく理解して、準備を整えましょう。

STEP
資金計画

希望の物件が見つかったら、リフォーム費用の概算を算出します。

この際、リフォーム会社に依頼すると予算に合わせたリフォームの提案が可能です。

建物費用とリフォーム費用の割合に注意

金融機関によりますが、リフォーム一体型住宅ローンで融資可能なリフォーム費用は建物費用の20%程度です。

STEP
費用の見積もり

リフォームの範囲が決定したら、リフォーム費用の見積もりを依頼します。

建物費用とリフォーム費用の総額が明らかになったタイミングでリフォーム一体型住宅ローンの仮審査を受けましょう。

仮審査に通らない場合、収入に合った資金計画へ見直しをしてください。

STEP
物件申し込み・リフォーム会社と契約

リフォーム一体型住宅ローンの場合、住宅ローンのように建物を購入してからリフォームを発注するのではありません。

物件の申し込みと並行して、リフォーム契約を進めていきましょう。

STEP
ローン申し込み・引き渡し

続いて、リフォーム一体型住宅ローンの本審査の申し込みをします。

本審査通過後、金融機関から融資額のうちの建物分が支払われ、物件引き渡しがおこなわれます。

STEP
リフォーム工事着工

物件の引き渡しが完了したら、いよいよリフォーム工事開始です。

リフォームが完了した時点で金融機関から融資されたリフォーム費用がリフォーム会社へ支払われます。

借り換えの流れ

住宅ローン借り換えの場合、物件の引き渡しが発生しません。

このため、リフォーム完了後にまとめて融資が実行されます。

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住宅ローン・リフォーム一体型住宅ローンの必要書類

住宅ローンとリフォーム一体型住宅ローンの必要書類はほとんど変わりません。

まずは、それぞれに共通している必要書類から解説します。

【必要書類】
  • 本人確認書類
  • 収入証明書
  • 資金計画表
  • 不動産売買契約書

上記に加えて、リフォーム一体型住宅ローンではリフォームの見積書や工事請負契約書、重要事項説明書などが必要となります。

通常の住宅ローンよりも用意する書類が多いため、前もって確認をしておきましょう。

必要書類は金融機関によって異なるため、早い段階で確認をしておく必要があります。

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リフォーム一体型住宅ローンの注意点

リフォーム一体型住宅ローンはさまざまなメリットがある一方で、気をつけなければならない注意点もあります。

注意点をあらかじめ理解して、今から対策を講じておきましょう。

【注意点1】差し押さえのリスクがある

リフォーム一体型住宅ローンは抵当権の設定が必要なローン商品です。

このため、ローンの支払いが滞った場合には家や土地が差し押さえされるリスクがあります。

抵当権とは

購入した建物や土地を担保としてローンを借り入れること

【注意点2】リフォームローンより審査が厳しい

リフォーム一体型住宅ローンは、リフォームローンと比較して審査が厳しい傾向にあります。

年齢や年収によっては審査に通らない、もしくは希望の融資を受けられない可能性があるでしょう。

収入に対する融資額の割合にもよりますが、審査のハードルは決して低くないことを理解しておいてください。

【注意点3】金融機関が限られる

リフォーム一体型住宅ローンは近年需要が高まっているローン商品ですが、まだまだ取り扱う金融機関が少ないのが現状です。

希望する金融機関でリフォーム一体型住宅ローンの取り扱いがないケースも十分に考えられます。

このため、リフォーム一体型住宅ローンを利用する際には、事前に取り扱いのある金融機関を調べておく必要があるでしょう。

【注意点4】素早い動きが求められる

リフォーム一体型住宅ローンは、審査とリフォーム契約を並行しておこなう必要があります。

審査に必要な書類を準備する傍で、リフォームの図面や見積書などの用意もしなければならないため、素早い動きが必要です。

他の人が先に契約してしまう可能性も

事前審査や書類の用意に時間がかかると、他の人が先に物件を契約してしまう可能性も考えられます。

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リフォームローンの返済額のシミュレーション【借り方別】

リフォーム ローン 金利

リフォーム一体型住宅ローンを利用する場合と、住宅ローンとリフォームローンを併用する場合では、月々の返済額が大きく異なります。

結論から先に申し上げると、リフォーム一体型住宅ローンの方が月々の支払額を抑えられます。

この項では、借り方に応じた返済額のシミュレーションをご紹介しましょう。

【借り方1】リフォーム一体型住宅ローン

はじめに、リフォーム一体型住宅ローンを借り入れた場合の返済額をシミュレーションします。

借り入れ条件
借入額3,500万円
(内500万円がリフォーム費用)
返済期間35年
(10年固定)
金利1.735%

月々の返済額や総返済額は下記の通りです。

月々の返済額111,239円
年間の返済額1,334,868円
総返済額46,720,380円
参考:りそな銀行住宅ローンシミュレーション

【借り方2】住宅ローンとリフォームローンの併用

次に、住宅ローンとリフォームローンを併用した場合の返済額をシミュレーションします。 

借り入れ条件
住宅ローンリフォームローン
借入額3,000万円500万円
返済期間35年
(10年固定)
15年
金利1.735%2.875%

この場合、月々の返済額や総返済額は下記の通りとなります。

住宅ローンリフォームローン
月々の返済額95,347円34,229円
年間の返済額1,144,164円410,748円
総返済額40,045,740円6,161,220円

参考:りそな銀行住宅ローンシミュレーションMUFG|ネットDEリフォームローン返済額シミュレーション

リフォーム一体型住宅ローンで借入れした場合と比較すると住宅ローンリフォームローン併用は月々の返済額が18,337円多くなります。

一方で、総返済額が多いのは借入期間の長いリフォーム一体型住宅ローンです。

それぞれの借り入れシミュレーションを比較して、ニーズにあったローン商品を選択しましょう。

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リフォーム一体型住宅ローンにおすすめの金融機関

住宅 ローン リフォーム ローン 合算

リフォーム一体型住宅ローンにおすすめの金融機関3社の金利や特徴をまとめました。

2024年8月現在の金利です

SBI新生銀行リノベーション(リフォーム)資金
  • 変動金利(半年型):年0.42%〜
  • 当初固定金利(10年):年1.10%〜
  • 事務手数料定額型を採用しており、諸経費が抑えられる
イオン銀行住宅ローンリフォーム活用プラン
  • 変動金利:年0.38%〜
  • 当初固定金利(10年):年1.50%〜
  • 保証料・一括繰越返済料:0円
ARUHIフラット35リノベ
  • 当初5年の金利が、最大で1.00%抑えられる
  • リフォームの種類が、性能向上リフォームのみに限定されている
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リフォームで受けられる住宅ローン控除

リフォームを住宅ローンに組み込む場合、所得税控除(住宅ローン控除)を受けられます。

「住宅ローン控除」とは、住宅を取得するために住宅ローンを利用する場合に所得税や住民税が所得から控除される制度です。

下記に、リフォームで住宅ローン控除を受ける条件をまとめました。

リフォームで住宅ローン控除を受ける条件
  • 控除を受ける人の所得が3,000万円以下である
  • リフォームにかかる費用が100万円を超えている
  • リフォーム対象住宅が自らの居住用物件である
  • リフォーム後の床面積が50平方メートル以上、かつ床面積の2分の1以上が自己の居住用である
  • 家屋の壁や柱、床などについて、一定規模以上のリフォームをおこなう
  • リフォームの目的が住宅の耐震性の向上やバリアフリー化、省エネ化を図るためのものである
  • 特定の制度との併用がない

住宅ローン控除を受けるためには、この他にも細かな要件が定められています。

住宅ローン控除を利用したい場合には、事前にリフォームを依頼する工務店に相談しておくと良いでしょう。

控除を受けるためには、建築士事務所に所属する建築士等が発行できる「増改築等工事証明書」が必要です。

「住宅ローン控除」「住宅ローン減税」の違い

「住宅ローン控除」と「住宅ローン減税」は、どちらも住宅ローンを利用して住宅を取得した人の金利負担を軽減する同じ制度です。

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リフォーム一体型住宅ローンに関するよくある質問

住宅ローンの諸費用はどのくらい?

住宅ローンの諸費用は、中古物件か新築物件かで下記のように異なります。

住宅ローンの諸費用
  • 中古物件:購入価格の6〜10%
  • 新築物件・・購入価格の3〜7%

諸費用に含まれるものを例に挙げると、融資手数料やローン保証料、仲介手数料や各種保険金などがあります。

リフォームローンを組む際の目安は年収の何割?

リフォームローンで組める金額は年収を基に計算されます。

一般的には、返済負担率が年収の35%以内となるのが目安です。

しかし、年齢や他社からの借入れ金額によってはこの限りでないため注意してください。

>>リフォームローンの審査ポイントはこちら

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】小川愛

二級建築士、宅地建物取引士。愛知県名古屋市にて高級分譲住宅設計・施工会社に勤務。土地取得からプランニング、施工、販売、お客様のお引っ越し、アフターサービスまでの、住宅に関わる全ての業務に従事。

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