目次
アスベスト(石綿)とは
アスベスト(石綿)は、非常に細かい繊維状の天然鉱物です。耐熱性や断熱性、耐摩擦性が優れていることから、日本では高度経済成長期をピークに建築材などに使用されていました。
しかし、1970年代から健康への被害が問題視されるようになりました。
2006年には、アスベストの含有率が0.1%を超える含有建材の製造・提供・使用を禁止する法律が施行されています。
アスベストによる健康被害
アスベストは人間の髪の毛の直径よりも細く、肉眼では見ることのできない細かい繊維からなっています。飛散したアスベストを吸い込むと、肺の組織内に長く留まり有害性が高まるのです。
- 石綿(アスベスト)肺
- 肺がん
- 悪性中皮腫
アスベストによる健康被害は、呼吸困難・咳・胸痛などの症状を引き起こします。また、潜伏期間が15〜50年と長いのも特徴です。
リフォームや解体作業によって空気中にアスベストが飛散することにより、これらの重篤な病気を引き起こすリスクが上がります。
アスベストのレベル
アスベストの危険性は飛散のリスクに応じて3つのレベルに分類されます。
- レベル1:最も危険
- 除去時の飛散リスクが非常に高い
- 石綿含有量が多い吹付け材など
- レベル2:中程度の危険
- 作業中に飛散する可能性がある
- 石綿含有の保温材、断熱材など
- レベル3:比較的低い危険
- 破壊しない限り飛散リスクは低い
- 石綿含有の成形板(屋根材、壁材、床材)など
このように、レベル1が最も飛散リスクが高いことがわかります。
アスベスト除去を行う際には、厳重な飛散対策が欠かせません。
アスベストが含まれているおそれのある部位
戸建て住宅やマンションで、アスベストが使用されている可能性のある箇所を具体的に解説します。
戸建て住宅
戸建て住宅において、アスベストは以下の部位に使用されているおそれがあります。
- スレートボード
- スラグせっこう板
- パルプセメント板
- けい酸カルシウム板
- ロックウール吸音天井板
- せっこうボード
- パーライト板
- 壁紙
- ビニル床タイル
- 窯業系サイディング
- 宅屋根用化粧用スレート
- ルーフィング
一般的な木造戸建て住宅においてレベル1・2の建材が使われていることは珍しく、多くの場合飛散リスクが最も低いレベル3の建材が使用されています。
ただし、築20年以上の建物には、屋根材にアスベストが含まれている恐れもあります。
マンション
マンションの専用部分では、戸建て住宅と同様の部位にアスベストが使用されている可能性もあります。
- エレベーターシャフト
- 機械室
- 吹付け壁
- 駐車場
配管やボイラー周辺、吹付けの壁や天井などに使用されていることがあります。
アスベストのレベル1には、すべてのアスベスト含有吹付け材が製造中止となった1989年以前に建てられたビルや工場などが該当します。
また、2004年までに建てられた建物には、レベル2の建材が使用されていた可能性もあります。
とくに築年数の古いマンションをリフォームする際には、細かいアスベスト調査や除去の必要が出てくるかもしれません。
リフォーム時にアスベストを除去する際の注意点
リフォーム時のアスベスト調査や除去に関する注意点を解説します。安全なリフォームを行うために、必ず確認するようにしましょう。
【注意点1】アスベストに関する法律を確認する
アスベストに関するさまざまな法律があります。
- 大気汚染防止法:大気汚染防止、健康に悪影響のある粉じんの規制
- 労働安全衛生法施行令:作業場でのアスベスト曝露リスク低減
- 石綿障害予防規則:アスベストによる健康被害を予防
- 廃棄物処理法:アスベストを含む廃棄物の取り扱い
リフォーム工事の前に、確認しておきましょう。
【注意点2】リフォームの内容によっては事前のアスベスト調査が必要
アスベストの事前調査の報告が義務付けられる建築物の対象工事は、以下のとおりです。
- 延べ床面積が80平方メートル以上の解体工事
- 請負合計金額が税込100万円以上の改修工事
- 石綿等が含まれていないことが明らかな材料の除去及び、当該材料の除去等を行う時に周囲の材料を損傷させるおそれのない作業
- 木材、金属、石、ガラス等のみで構成されているもの
- 畳や電球等で石綿等が含まれていないことが明らかなもの
- 石綿が飛散する可能性がほとんどないと考えられる、極めて軽微な損傷しか及ぼさない作業
- 釘を打って固定する、又は刺さっている釘を抜く等
- 現存する材料等の除去は行わず、新たな材料を追加するのみの作業
- 既存の塗装の上に新たに塗装を塗る作業等
- 国土交通省や経済産業省による用途や仕様の確認、調査結果から石綿が使用されていないことが確認された工作物等の解体・改修等の作業
- 具体的な工作物に関しては、引用元「4.3.1 事前調査の対象」を参照
【注意点3】アスベスト調査は義務化されている
2022年 | アスベスト事前調査結果の「報告」義務化 |
2023年 | 「有資格者」によるアスベスト事前調査・分析の義務化 |
2022年4月1日には大気汚染防止法の改正により、建築物のリフォームや解体の前にアスベスト調査を実施・報告することが義務付けられました。
さらに、2023年10月1日からは厚生労働省が所管する石綿障害予防規則に基づき、有資格者による事前調査の結果報告が義務化されました。
【注意点4】事前にアスベスト調査をしないと罰則がある
調査の結果、アスベストが含有されていなかった場合でも、必ず自治体と労働基準監督署に報告しなければなりません。
原則、石綿事前調査結果報告システムから電子申請で報告を行います。
調査結果の報告を怠った場合は、30万円以下の罰則が科せられます。
また、アスベスト除去などの措置義務に違反すると、3ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金となるので留意しましょう。
アスベストの事前調査は、建物の解体・リフォーム工事を行う業者が実施します。ただし、調査費用は施主が負担し、設計図書や調査記録等の情報提供をする必要があるでしょう。
アスベスト調査の流れ
建築物の設計図書等を確認します。着工日が2006年9月1日以降であれば「石綿なし」と判断され、調査報告書の提出のみとなります。図面調査の費用相場は2〜3万円です。
現地にて目視調査を行います。まれに図面に書かれている構造と実際の建物の構造が異なるケースもあるため、図面と照らし合わせながら調査しなければなりません。現地で下地なども細かく確認し、石綿が含まれている建材かどうかを確認します。
現地でアスベストの有無がわからない場合は、建材の一部分を採取して成分分析にかけます。
まず、定性分析でアスベストが含まれているかどうかを調査。万が一アスベストが含まれていた場合は定量分析の上、含有率を調査します。
分析結果が出たら、アスベストの有無に関わらず調査報告書を作成し、労働基準監督署や各自治体に提出します。
リフォーム時のアスベスト除去にかかる費用
リフォームする建物にアスベストが含まれていた場合は、リフォームに取り掛かる前にアスベスト飛散防止対策工事が必要です。
アスベスト処理面積 (単位:平方メートル) | 除去費用目安 (1平方メートルあたり) |
---|---|
300以下 | 2万〜8.5万円 |
300〜1,000 | 1.5万〜4.5万円 |
1,000以上 | 1万〜3万円 |
ただし、工事費用は工事の方法や除去面積、アスベストのレベルによっても異なります。
リフォームでアスベストを除去する具体的な方法
アスベストレベルに応じていくつかの届出書を行政や自治体へ提出する必要があります。
- 特定粉じん排出等作業実施届出書
- 工事計画届出書
- 建築物解体等届出書
また、各自治体の条例等により、規模要件に応じた届出が必要になる場合もあるので確認しましょう。
近隣住民の方々への挨拶や、工事内容の説明を行います。周囲の人から見える位置に「アスベスト解体工事」であることがわかるような掲示物を設置する必要があります。また、除去工事の事前準備としてアスベストの細かい繊維が飛散しないように、養生シートで現場を隔離します。
アスベスト除去作業の際に、作業員は使い捨ての防護服や防塵マスクの着用が義務付けられています。真空掃除機などの機材や粉じん飛散抑制剤などを用いるなどして、危険レベルにあった除去方法を行います。
除去されたアスベストは、黄色と透明の専用ポリ袋で二重梱包します。計画した処理経路にて搬出し、危険レベルに合わせた廃棄物処理が行われます。
施工中の写真や廃棄物マニフェストなどを合わせて、所轄官公庁へ工事完了の報告書を提出します。記録は、3年間保管します。
リフォーム時のアスベスト除去に活用できる補助金制度
アスベスト除去などが必要なリフォームでは、国や地方自治体により、補助金制度が利用できる場合もあります。
補助対象とするアスベストは、吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウールです。
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