2024年09月20日更新

監修記事

モルタル外壁の補修方法とは?よくある劣化の症状と原因・注意点も解説

ご自宅のモルタル外壁がひび割れたり、塗料が剥がれたりしていませんか?モルタル外壁は耐久性が高く、デザインの自由度が高いなどのメリットがありますが、弱点もあります。
本記事ではモルタル外壁に起こる劣化症状、原因、補修方法、費用相場などを詳しくご紹介します。外壁の劣化でお悩みの方はぜひご一読ください。

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モルタル外壁とは

モルタル外壁
モルタル外壁

モルタル外壁とは、セメント、砂、水を混ぜ合わせたモルタルによって仕上げられた外壁のことです。

耐久性に優れ、独特の質感があるため、多くの住宅に採用されています。

モルタル外壁の長所としては以下の点があげられます。

  • 耐久性が高く、耐用年数は約30年
  • 防音性に優れているため、外部の騒音を軽減
  • 意匠性が高く、さまざまなデザインに対応可能
  • 耐火性があるため、安全性が高い

これらの特性により、モルタル外壁は見た目と機能性の両方を兼ね備えた外壁素材として人気があります。

モルタル外壁の弱点

塗り壁施工の様子
塗り壁施工の様子

モルタル外壁には多くの長所があります。一方で以下のような弱点もあります。

  • 防水性は高くない
  • 汚れが目立ちやすい
  • 外壁塗装の塗り替え費用が高くなりやすい
  • 出来栄えに差が出る

防水性や汚れに対する弱点・塗装の塗り替え費用や施工時の出来栄えの差について解説します。

防水性は高くない

モルタル外壁は防水性があまり高くありません。

モルタル自体に吸水性があり、雨水や湿気を吸収しやすいので、定期的に塗装を行わないと、ひび割れや劣化が進行しやすくなります。

対策としては、5〜10年を目安に、業者へ点検をしてもらいましょう。

汚れが目立ちやすい

モルタル外壁は表面が粗いため汚れやすくて目立ちやすいという欠点があります。

特に大気中の汚染物質や排気ガス、雨水によるシミが顕著にあらわれます。

汚れを防ぐためには、定期的な清掃や防汚性のある塗料の使用が有効です。

外壁塗装の塗り替え費用が高くなりやすい

モルタル外壁の塗り替えには手間がかかりやすく、費用も高くなる傾向があります。

ひび割れや浮きが生じた場合は、補修作業が必要となり、費用が加算されます。

費用を抑えるためには、早めのメンテナンスや適切なタイミングでの塗り替えが必要です。

出来栄えに差が出る

モルタル外壁の仕上がりは、施工業者や職人の技量に大きく依存します

美しい仕上がりにしたいなら、信頼できる施工業者を選ぶことが重要です。

事前に施工実績を確認したり、しっかりとした打ち合わせを行ったりすることが、満足のいく仕上がりを得るためのポイントです。

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モルタル外壁の劣化症状と原因

塗膜のひび割れ
塗膜のひび割れ

モルタル外壁は耐久性に優れた素材です。それでも年月とともに以下のような、さまざまな劣化症状があらわれます。

  • クラック(ひび割れ)
  • 塗装の剥がれ、浮き
  • モルタルの剥がれ・浮き
  • 塗料の色あせやチョーキング(白化)
  • カビやコケ

それぞれの症状と原因について詳しく見てみましょう。

劣化症状① クラック(ひび割れ)

モルタル外壁に発生するひび割れは、主に以下の2種類に分類されます。

  • ヘアクラック
  • 構造クラック

それぞれの症状と原因、対策を解説します。

1. ヘアクラック

ヘアクラック
ヘアクラック

ヘアクラックとは、モルタル表面に発生する細かいひび割れのことで、一般的には幅0.3㎜以下、深さ4mm以下のクラックのことです

乾燥や温度変化によってモルタルが収縮することで発生します。

見た目には小さな亀裂に見えますが、放置すると水分が内部に浸透し、さらなる劣化を引き起こします。

ヘアクラックは緊急性があるものではありませんが、劣化の初期症状です。見つけたら早めに業者へ相談し、外壁の塗り替えを行いましょう。

2. 構造クラック

構造クラック
構造クラック

構造クラックは、建物の動きや沈下によって生じる大きなひび割れで、幅が0.3mmを超えるクラックのことを指します。

このタイプのひび割れは、建物の基礎部分や構造が問題になっていることが多いため、専門業者の診断と補修が必要です。

原因を特定して、必要に応じてコーキングを充填し、外壁塗装を行うことで再発を防げます。

劣化症状② 塗装の剥がれ、浮き

塗料の剥がれ
塗料の剥がれ

モルタル外壁の塗装が剥がれたり浮いたりする原因として、紫外線や雨水の影響での塗膜劣化が考えられます。

定期的な塗装メンテナンスを怠ると、劣化が進行し、剥がれや浮きに繋がります。

軽微であれば、塗装工事だけで済むかもしれないところが、放置することで大規模な工事になる可能性もあるので、注意しておきましょう。

劣化症状③ モルタルの剥がれ・浮き

塗装だけでなく、モルタル自体が剥がれたり浮いたりする症状も見られます。

長年の風雨や地震などの外的要因によるダメージが蓄積し、モルタルの劣化により接着力が弱まることで発生します。

外壁塗装を行う際に劣化した塗膜が残っていると剥がれ・浮きの原因となるため、しっかり下地処理を行うことが対策となります。

劣化症状④ 塗料の色あせやチョーキング(白化)

チョーキング(白化現象)
チョーキング(白化現象)

外壁の塗料が色あせたり、表面が粉状になるチョーキング(白化)現象は、主に紫外線の影響による塗膜の劣化が原因です。

チョーキング(白化)は、塗膜の劣化が進行して耐久性が失われているサインなので、早めに外壁を塗り替えましょう。

対策としては、耐久性の高い塗料(ラジカル塗料など)を使用すること。一般品と比較してメンテナンスサイクルを引き伸ばせます。

定期的なメンテナンスも効果的です。

劣化症状⑤ カビやコケ

カビやコケ
カビやコケ

湿気がこもりやすい場所には、カビやコケが発生します。

たとえば、日当たりが悪く、風通しの悪い場所などは、カビやコケが繁殖しやすい環境です。

樹木が近接していると繁殖しやすく、美観が悪くなります。

対策は定期的に清掃を行うことで、高圧洗浄が効果的です。自分では行わず必ず業者に依頼しましょう。

汚れがしつこい場合はバイオ洗浄が効果的です。

バイオ洗浄とは?

高圧洗浄時に、特殊な薬剤を使用して洗浄すること。

薬剤は植物性成分を主成分とする洗浄剤なので、人体や環境への安全性に配慮されています。

高圧洗浄では落ち切らない頑固な汚れを落とせます。殺菌効果もあるので、カビやコケの繁殖抑制の効果もあります。

【劣化症状別】モルタル外壁の補修方法と費用相場

モルタル外壁の補修費用相場
モルタル外壁の補修費用相場

ここまで紹介した通り、モルタル外壁は経年劣化により、さまざまな症状があらわれます。

外壁を長持ちさせるためには、それぞれの症状に応じた適切な補修方法と費用を把握することが重要です

以下に補修方法と費用をまとめましたので、参考にしてみてください。

症状補習方法費用
ひび割れパテ補修5千〜5万円/箇所
塗膜の剥がれ浮き塗り替え2.5千〜6千円/m2
(足場費用含む)
モルタルの剥がれ浮き左官工事3.5千〜8千円/m2
(足場費用含む)
塗料の色あせチョーキング塗り替え2.5千〜6千円/m2
(足場費用含む)
カビやコケ洗浄300〜500円/m2
(足場費用含まない)
症状ごとの補修費用の目安

劣化症状ごとに、補修方法と費用相場の詳細を見ていきましょう。

ひび割れの補修費用

ひび割れの補修費用相場は1箇所につき、5千〜5万円です。

ひび割れはモルタル外壁の最も一般的な劣化症状で、ヘアクラックの場合、パテ材を使った簡易補修が一般的です。

構造クラックだと、症状が深刻で、モルタルの補修や塗装の再施工が必要となります。

塗膜の剥がれ、浮きの補修費用

塗膜の剥がれ浮きの補修費用相場は2.5千〜6千円/m2(足場費用含む)です。

塗膜が剥がれたり、浮いてしまうことは、モルタル外壁の防水性や美観に影響を与えます。

まずは浮いた部分を剥がし、その後再塗装を行います。

剥がれや浮きが限定的であれば、部分的な補修で費用を抑えられるか業者に相談してみましょう。

モルタルの剥がれ・浮きの補修費用

モルタルの剥がれ浮きの補修費用相場は3.5千〜8千円/m2(足場費用含む)です。

モルタルが剥がれたり浮いたりしている場合、内部にまでダメージが及んでいる可能性を考慮しましょう。劣化したモルタルを除去し、新たに塗り直す補修が必要です。

塗料の色あせやチョーキング(白化)の補修費用

塗料の色あせチョーキングの補修費用相場は2.5千〜6千円/m2(足場費用含む)です。

紫外線や雨風の影響で、塗料が色あせたり、チョーキング(表面の白い粉)が発生した場合、塗膜の劣化が強く疑われます。

色あせが広範囲にわたる場合、外壁全体の再塗装を検討する必要があります。

カビやコケのある外壁の補修費用

カビやコケの洗浄費用相場は300〜500円/m2(足場費用含まない)です。

湿気が多い場所では、モルタル外壁にカビやコケが発生やすいです。

カビやコケが発生するたびに高圧洗浄を繰り返すよりも、防カビ・防藻機能のある塗材雨で落ちやすい塗材での外壁塗装がおすすめです。

業者と相談をしてから、補修方法を検討しましょう。

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モルタル外壁の仕上げの種類

塗り壁施工の様子
塗り壁施工の様子

モルタル外壁の仕上げには以下のような種類があります。

  • リシン仕上げ
  • スタッコ仕上げ
  • 左官仕上げ
  • 吹付けタイル

それぞれの仕上げ方法には異なる特徴やメリットがあり、建物のデザインや耐久性に影響を与えます。

代表的なモルタル外壁の仕上げ方法について、特徴とメリットを詳しく解説します。

リシン仕上げ

出典:ソフトリシン(エスケー化研)

リシン仕上げは、モルタル外壁の仕上げ方法の中でも特に人気が高いです。

リシンとは、骨材と呼ばれる小さな粒状の素材を混ぜた塗料です。吹き付けて仕上げます。

リシン仕上げの特徴は、ザラザラとした独特の質感です。

メリットとしては比較的安価であること、外壁表面の細かい凹凸が雨水を弾いてくれるので防水性が高まることです。

一方、凹凸があることで汚れが付きやすいというデメリットもあります。

スタッコ仕上げ

出典:スタッコフレックス使用例(スペック)

スタッコ仕上げでは、リシン仕上げよりも厚みのある塗膜を作れます。

スタッコとは、セメントや砂などを混ぜた材料です。スタッコを外壁に塗りつけ、その上に仕上げ材を塗布することで完成します。

スタッコ仕上げの特徴は、高い耐久性と独特の重厚感のある仕上がりです。耐候性が高く、ひび割れにも強いため、長期間にわたって外壁を保護します。

施工が難しく、費用がやや高くなる点に注意しましょう。

>>スタッコ仕上げはこの記事で紹介!

左官仕上げ

出典:ジョリパット∞ JQ-500使用例(アイカ)

左官仕上げは、職人の手でモルタルを塗りつけ、独自の模様やテクスチャを作り出す仕上げ方法です。

左官職人の技術が反映されるため、他の仕上げにはないオリジナリティを持ちます。

左官仕上げのメリットは、デザインの自由度が高く、自然な風合いを持つ仕上がりが得られることです。
モルタルの厚みを調整できるため、断熱性や防音性の向上も期待できます。

一方、職人の技術によって仕上がりに差が出ることや、施工費用が高くなる点には注意が必要です。

吹付けタイル

出典:セラミクリーンタイル(エスケー化研)

吹付けタイルは、タイル状の模様を外壁に施す仕上げ方法です。

下地を整えた後、スプレーガンで塗材を吹き付けて仕上げます。

吹付けタイルはタイルのようなすべらかな表面になり、汚れも落ちやすい点が特徴です。

また、模様や色を自由に選べるため、建物のデザインに合わせた仕上げができます。

>>吹き付けによる外壁塗装はこの記事で紹介!

自分でモルタル外壁の補修は可能?

モルタル外壁の補修は、技術的にはDIYで行うことも可能です。しかし、基本的にはおすすめできません。

特にひび割れや塗膜の剥がれが発生している場合、構造的な問題の可能性があり、表面的な修繕だけでは十分な効果を得られないことが多いのです。

また、補修後の仕上がりにムラが出やすく、美観や耐久性に悪影響を与えることもあります。

費用を抑えるためにDIYを検討する方もいますが、最終的にはプロの業者に依頼した方が確実で、安全性も高まるでしょう。

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モルタル外壁の補修でよくあるQ&A

モルタル外壁のクラックを見つけた場合の応急処置のやり方は?

小さなクラックは市販のクラック補修剤を使用し、応急処置として隙間を埋めましょう。

ただし、一時的な対策に過ぎません。早めに業者に依頼し、点検と本格的な補修をしてもらいましょう。

外壁塗装と同時にクラックの補修を依頼できるか知りたい

外壁塗装と同時にクラック補修の依頼はできます。

塗装を行う前にクラックを補修することで、塗装の仕上がりがより美しく、耐久性も向上します。

モルタル外壁の補修後に補修跡は残る?

モルタル外壁の補修後、若干の補修跡が残るケースもあります。

特に大きなクラックや剥がれを補修部分した場合、目立つことがあります。塗装などの追加作業で仕上げを整えることが一般的です。

モルタル外壁に穴が開いてしまった場合、一面の修繕になるのか知りたい

モルタル外壁に穴が開いてしまった場合、損傷の範囲や深さによっては一部分のみの修繕で済むこともあります。

穴が大きい場合や周辺のモルタルが劣化している場合は、一面全体の修繕が推奨されます。いずれも素人判断はできないので、業者に相談しましょう。

>>外壁の穴埋めはこの記事で確認!

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】岩納年成

大手ゼネコン会社にて、官公庁工事やスタジアム、免震ビル等の工事管理業務を約4年経験。
その後、大手ハウスメーカーにて注文住宅の商談・プランニング・資金計画などの経験を経て、木造の高級注文住宅を主とするビルダーを設立。
土地の目利きや打ち合わせ、プランニング、資金計画、詳細設計、工事統括監理など完成まで一貫した品質管理を遂行し、多数のオーダー住宅を手掛け、住まいづくりの経験は20年以上。
法人の技術顧問アドバイザーとしても活動しながら、これまでの経験を生かし個人の住まいコンサルテイングサービスも行っている。

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