

目次
モルタル外壁とは
モルタル外壁は、セメント・砂・水を混ぜたモルタルで仕上げる外壁です。耐久性があり、独特の質感を出せるため、多くの住宅で採用されています。主な長所は、次のとおりです。
- 下地としての耐久性が高く、適切にメンテナンスすれば長く使いやすい
- 厚みのある外壁のため、防音性が期待できる
- 意匠性が高く、さまざまなデザインに対応可能
- セメントを主成分とするため、火に強い性質がある
これらの特性により、モルタル外壁は見た目と機能性の両方を兼ね備えた外壁素材として人気があります。
モルタル外壁の弱点

モルタル外壁には多くの長所があります。一方で以下のような弱点もあります。
- 防水性は高くない
- 汚れが目立ちやすい
- 外壁塗装の塗り替え費用が高くなりやすい
- 出来栄えに差が出る
ここからは、防水性・汚れやすさ・塗り替え費用・仕上がりの差を順に見ていきます。
防水性は高くない
モルタル外壁は、防水性があまり高くありません。モルタル自体に吸水性があるため、雨水や湿気を吸い込みやすく、塗装による保護が切れるとひび割れや劣化が進みやすくなります。5〜10年を目安に業者へ点検を依頼し、必要に応じて塗り替えを検討しましょう。
汚れが目立ちやすい
モルタル外壁は表面に凹凸があるため、汚れが付着しやすく、目立ちやすい傾向があります。大気中の汚染物質や排気ガス、雨水によるシミが目につくこともあります。汚れを抑えるには、定期的な清掃や防汚性のある塗料の使用が有効です。
外壁塗装の塗り替え費用が高くなりやすい
モルタル外壁の塗り替えには手間がかかりやすく、費用も高くなる傾向があります。ひび割れや浮きが生じた場合は、補修作業が必要となり、費用が加算されます。費用を抑えるためには、早めのメンテナンスや適切なタイミングでの塗り替えが必要です。
出来栄えに差が出る
モルタル外壁の仕上がりは、施工業者や職人の技量に左右されます。美しい仕上がりを求めるなら、施工実績を確認し、事前の打ち合わせで仕上げのイメージを共有しておきましょう。
モルタル外壁の劣化症状と原因

モルタル外壁は耐久性に優れていますが、年月が経つと次のような劣化症状があらわれます。

- クラック(ひび割れ)
- 塗装の剥がれ、浮き
- モルタルの剥がれ・浮き
- 塗料の色あせやチョーキング(白化)
- カビやコケ
【劣化症状1】クラック(ひび割れ)
モルタル外壁に発生するひび割れは、主に以下の2種類に分類されます。

- ヘアクラック
- 構造クラック
それぞれの症状と原因、対処の目安を見ていきましょう。
1. ヘアクラック

ヘアクラックとは、モルタル表面に発生する細いひび割れで、一般的には幅0.3mm以下、深さ4mm以下のものを指します。乾燥や温度変化でモルタルが収縮すると発生します。すぐに危険とは限りませんが、放置すると水分が内部に入り、劣化が進むおそれがあります。見つけたら早めに業者へ相談し、塗り替えや補修の必要性を確認しましょう。
2. 構造クラック

構造クラックは、建物の動きや下地の不具合などで発生する、比較的大きなひび割れです。幅が0.3mmを超えるひび割れは補修を検討する目安になりますが、すべてが構造上の問題とは限りません。ひび割れの幅や深さ、発生場所、進行状況を専門業者に確認してもらい、原因に合った補修を行いましょう。原因を解消しないまま表面だけを埋めると、再びひび割れが起こる場合があります。
【劣化症状2】塗装の剥がれ、浮き

モルタル外壁の塗装が剥がれたり浮いたりする主な原因は、紫外線や雨水による塗膜の劣化です。定期的な塗装メンテナンスを怠ると劣化が進み、剥がれや浮きにつながります。軽微なうちなら塗装工事で済む場合もありますが、放置すると大規模な補修が必要になることもあります。
【劣化症状3】モルタルの剥がれ・浮き
塗装だけでなく、モルタル自体が剥がれたり浮いたりすることもあります。長年の風雨や地震などによるダメージが蓄積し、モルタルの接着力が弱まることで発生します。外壁塗装の際に劣化した塗膜が残っていると剥がれ・浮きの原因になるため、下地処理を丁寧に行うことが大切です。
【劣化症状4】塗料の色あせやチョーキング(白化)

外壁の塗料が色あせたり、表面に白い粉が付いたりするチョーキング(白化)現象は、主に紫外線による塗膜の劣化が原因です。チョーキングは塗膜の耐久性が低下しているサインでもあるため、早めに外壁の塗り替えを検討しましょう。耐久性の高い塗料を選べば、メンテナンスサイクルを延ばしやすくなります。
【劣化症状5】カビやコケ

湿気がこもりやすい場所では、カビやコケが発生しやすくなります。日当たりや風通しが悪い場所、樹木が近い外壁は特に注意が必要です。美観を保つには定期的な清掃が有効で、汚れがしつこい場合は高圧洗浄やバイオ洗浄※を検討します。外壁を傷めるおそれもあるため、洗浄は業者に依頼しましょう。
※ バイオ洗浄とは、高圧洗浄時に外壁の汚れやカビ・コケに対応した洗浄剤を併用する方法です。薬剤の種類や安全性は製品によって異なるため、周囲の植物や金属部、排水への影響も含めて業者に確認しておきましょう。高圧洗浄だけでは落ちにくい汚れや、カビ・コケの再発抑制に効果が期待できる場合があります。
【劣化症状別】モルタル外壁の補修方法と費用相場
モルタル外壁を長持ちさせるには、劣化症状に合った補修方法を選ぶことが大切です。主な補修方法と費用相場を、症状別に確認しておきましょう。

| 症状 | 補修方法 | 費用相場 |
|---|---|---|
| ひび割れ | パテ補修・シーリング補修など | 5,000〜50,000円/箇所 |
| 塗膜の剥がれ浮き | 下地処理・塗り替え | 2,500〜6,000円/㎡ |
| モルタルの剥がれ浮き | 左官補修 | 3,500〜8,000円/㎡ |
| 塗料の色あせ チョーキング | 塗り替え | 2,500〜6,000円/㎡ |
| カビやコケ | 高圧洗浄・バイオ洗浄など | 300〜500円/㎡ |
※ 足場費用や養生費、下地補修費は、建物の高さや劣化範囲によって別途かかる場合があります。
劣化症状ごとに、補修方法と費用相場の詳細を見ていきましょう。
ひび割れの補修費用
ひび割れの補修費用相場は、1箇所につき5,000〜50,000円です。ヘアクラックはパテ材を使った簡易補修で対応できる場合があります。一方、構造クラックは症状が深刻なこともあり、モルタル補修や塗装の再施工が必要になる場合があります。
塗膜の剥がれ・浮きの補修費用
塗膜の剥がれ浮きの補修費用相場は、2,500〜6,000円/㎡が目安です。足場費用や下地処理費は、建物の高さや劣化範囲によって別途かかる場合があります。塗膜が剥がれたり、浮いたりすると、モルタル外壁の防水性や美観に影響を与えます。まずは浮いた部分を取り除き、下地を整えたうえで再塗装を行うのが一般的です。剥がれや浮きが限定的であれば、部分的な補修で費用を抑えられるか業者に相談してみましょう。
モルタルの剥がれ・浮きの補修費用
モルタルの剥がれ浮きの補修費用相場は、3,500〜8,000円/㎡が目安です。足場費用や下地補修費は、建物の高さや劣化範囲によって別途かかる場合があります。モルタルが剥がれたり浮いたりしている場合、内部にまでダメージが及んでいる可能性も考えられます。劣化したモルタルを除去し、下地の状態を確認したうえで補修することが大切です。
塗料の色あせやチョーキング(白化)の補修費用
塗料の色あせチョーキングの補修費用相場は、2,500〜6,000円/㎡(足場費用含む)です。紫外線や雨風の影響で、塗料が色あせたり、チョーキング(表面の白い粉)が発生した場合、塗膜の劣化が強く疑われます。色あせが広範囲にわたる場合、外壁全体の再塗装を検討する必要があります。
カビやコケのある外壁の補修費用
カビやコケの洗浄費用相場は、300〜500円/㎡(足場費用含まず)です。湿気が多い場所では発生しやすいため、洗浄を繰り返すだけでなく、防カビ・防藻機能のある塗材や雨で汚れが落ちやすい塗材での外壁塗装も選択肢になります。業者に相談し、状態に合った補修方法を検討しましょう。
モルタル外壁の仕上げの種類

モルタル外壁の仕上げには以下のような種類があります。
- リシン仕上げ
- スタッコ仕上げ
- 左官仕上げ
- 吹付けタイル
仕上げ方法によって、外観の印象やメンテナンス性は変わります。代表的な仕上げの特徴を見ていきましょう。
リシン仕上げ

リシン仕上げは、モルタル外壁の仕上げ方法の中でもよく使われる方法です。リシンとは、骨材と呼ばれる小さな粒状の素材を混ぜた塗料で、吹き付けて仕上げます。リシン仕上げの特徴は、ザラザラとした独特の質感です。メリットとしては比較的安価であること、外壁に落ち着いた風合いを出しやすいことがあげられます。一方、凹凸があることで汚れが付きやすい点には注意が必要です。防水性を高めたい場合は、下地の状態や塗材の種類を業者に確認しましょう。
スタッコ仕上げ

スタッコ仕上げでは、リシン仕上げよりも厚みのある塗膜を作れます。スタッコとは、セメントや砂などを混ぜた材料です。スタッコを外壁に塗りつけ、その上に仕上げ材を塗布することで完成します。スタッコ仕上げの特徴は、高い耐久性と独特の重厚感のある仕上がりです。耐候性が高く、ひび割れにも強いため、長期間にわたって外壁を保護します。施工が難しく、費用がやや高くなる点に注意しましょう。

左官仕上げ

左官仕上げは、職人の手でモルタルや仕上げ材を塗りつけ、独自の模様やテクスチャを作り出す仕上げ方法です。左官職人の技術が反映されるため、他の仕上げにはないオリジナリティを持ちます。左官仕上げのメリットは、デザインの自由度が高く、自然な風合いを持つ仕上がりが得られることです。仕上げ材によっては、防藻・防カビ性や汚れにくさなどの機能を選べる場合もあります。一方、職人の技術によって仕上がりに差が出ることや、施工費用が高くなる点には注意が必要です。
吹付けタイル

吹付けタイルは、タイル状の模様を外壁に施す仕上げ方法です。下地を整えた後、スプレーガンで塗材を吹き付けて仕上げます。吹付けタイルはタイルのようなすべらかな表面になり、汚れも落ちやすい点が特徴です。また、模様や色を自由に選べるため、建物のデザインに合わせた仕上げができます。

自分でモルタル外壁の補修は可能?
モルタル外壁の補修は、技術的にはDIYで行える場合もあります。ただし、基本的には業者への依頼がおすすめです。ひび割れや塗膜の剥がれがある場合、構造的な問題や下地の劣化が隠れていることがあり、表面的な修繕だけでは十分な効果を得られない可能性があります。補修後の仕上がりにムラが出ると、美観や耐久性にも影響します。

2006年9月より前に着工した建物では、外壁の仕上げ材などに石綿が使われている可能性もあるため、削る・はがす・高圧洗浄するといった作業は自己判断で行わず、専門業者に相談しましょう。
※ 参考1:厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト
※ 参考2:厚生労働省 石綿総合情報ポータル「発注者・施主」
【Q&A】モルタル外壁の補修でよくある質問
モルタル外壁のクラックを見つけた場合の応急処置のやり方は?
小さなクラックは市販のクラック補修剤を使用し、応急処置として隙間を埋めましょう。ただし、一時的な対策に過ぎません。早めに業者に依頼し、点検と本格的な補修をしてもらいましょう。
外壁塗装と同時にクラックの補修を依頼できるか知りたい
外壁塗装と同時にクラック補修の依頼はできます。塗装を行う前にクラックを補修することで、塗装の仕上がりがより美しく、耐久性も向上します。
モルタル外壁の補修後に補修跡は残る?
モルタル外壁の補修後、若干の補修跡が残るケースもあります。特に大きなクラックや剥がれを補修した場合、補修部分が目立つことがあります。塗装などの追加作業で仕上げを整えることが一般的です。
モルタル外壁に穴が開いてしまった場合、一面の修繕になるのか知りたい
モルタル外壁に穴が開いた場合でも、損傷の範囲や深さによっては一部の修繕で済むことがあります。一方、穴が大きい場合や周辺のモルタルまで劣化している場合は、一面全体の修繕が必要になることもあります。自己判断は避け、業者に状態を確認してもらいましょう。












