目次
浴室暖房乾燥機とは?
浴室暖房乾燥機は、乾燥機・暖房機・換気扇が一体になった多機能な設備です。以下に、それぞれの機能について詳しく解説します。
①浴室乾燥・衣類乾燥機能
浴室暖房乾燥機を導入する、もっとも代表的な目的が乾燥機能です。
浴室内の湿気を取り除いて乾燥させることで、梅雨の時期や雨の日など、外に洗濯物を干せないときに浴室を乾燥室として利用できます。また、乾燥した状態を保つことによってカビや結露を防ぎ、清潔で衛生的な浴室を維持することができます。
②浴室暖房機能
浴室暖房乾燥機は、強力な暖房機能をもっています。冬場や寒い日にも浴室内を暖め、快適に入浴を楽しむことができます。ダクトを配管することによって、脱衣室の暖房が可能な機種もあります。
また居室と浴室の温度差を減らすことで、ヒートショック(急激な温度変化による身体への負担)も防ぐことができます。
ヒートショック対策のためには入力前後で気温差が生じにくい浴室にリフォームすることが大切です。
おすすめのリフォーム方法はこちらです。
・窓をペアガラスに交換 / 断熱内窓を追加
・在来工法浴室から断熱型のユニットバスに交換
・浴室の壁や床下に断熱材を追加する断熱リフォーム
・浴室暖房乾燥機の設置(本記事で紹介!)
③換気機能
浴室暖房乾燥機は、換気扇の機能も併せもっています。
浴室内の湿った空気を屋外に排気して、室内からの空気を取り込み循環させます。24時間運転して常に新鮮な空気と入れ替えることで、カビや臭いを防ぎ、浴室内の環境を清潔に保ちます。
また、浴室内の嫌な臭いを取り除き、常にフレッシュな気持ちよい空間を維持することができます。
④送風・涼風機能
浴室暖房乾燥機には涼風機能もあります。
ファンによって風を吹き出す送風運転が可能で、高温多湿な夏場の入浴時やシャワーの後などに、窓がない浴室でも涼しさを感じることができます。
⑤その他の機能
機種によっては、次のような特殊な機能を備えているものもあります。
ミストサウナ機能::微細な霧のような高温の水滴を出すことで、ミストサウナのようなリラックス効果があり、美容や健康を気にする方に特におすすめです。
プラズマクラスターイオン機能:乾燥運転時にプラズマクラスターイオンを放出し、カビ菌を分解・除去します。これにより、浴室内の清潔さを保ちやすくなり、アレルギー対策や浴室内の衛生管理を重視する方に適しています。
浴室暖房乾燥機の種類
浴室暖房乾燥機は、取り付け位置のタイプと熱源方式によって分類されます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
取り付け位置のタイプ
天井埋め込み型
天井埋め込み型の浴室暖房乾燥機は、天井に埋め込んで設置されるもっとも一般的な形式です。ユニットバスに設置されるのはこのタイプです。
見た目がすっきりしており、浴室全体を均一に効率よく暖めることができるのが特徴です。本体のほとんどは天井裏に納まっているため、天井裏に十分なスペースが必要です。
換気ダクトを接続する必要があり、工事費用がやや高めになる傾向があります。
壁掛け型
外部に面する壁面に取り付けるタイプで、戸建て住宅の在来工法浴室に設置しやすい形式です。
設置が比較的簡単で、スペースを必要とせず、後付け施工もしやすいのが特徴です。本体が壁から出っ張るため目立ってしまうことや、暖房や乾燥のための気流がやや偏りやすく、天井埋め込み型に比較して効率が劣るデメリットがあります。
熱源方式の違い
乾燥や暖房を行うためのエネルギー源として、電気式のタイプと、ガス(都市ガスまたはプロパンガス)給湯器を使用する温水式のタイプがあります。それぞれにメリット・デメリットがあり、施工条件や使用目的に応じて選択します。
電気式
熱源として電気式のヒーターを利用するタイプで、もっとも多く普及しています。
一般的な100Vの電源で手軽に設置できるタイプと、200vの電源を使用するハイパワーなタイプがあります。電気式は本体価格が比較的安価で、製品の選択肢も豊富です。
電源さえあれば設置できるので、現場の状況に左右されにくく、比較的容易に取り付けることができます。
デメリットとしては、温水式に比べてランニングコストがやや高く、暖かさや立ち上がりの速さもやや劣ります。温水式に近いハイパワーを求める場合は200vタイプがおすすめですが、ブレーカーの改修や電気容量の変更が必要になって追加費用がかかり、ランニングコストも高くなる傾向があります。
温水式
熱源として屋外のガス給湯器から温水を供給し、循環させるタイプです。
高効率で立ち上がりが速くハイパワーな暖房と乾燥能力が特徴で、同じ能力の電気式に比べてランニングコストが低く、使用されている方の評価も高い製品です。
ただし、暖房機能付きのガス給湯器とセットで運用するため、既存の給湯器が対応していれば交換は容易ですが、対応していない場合には新たに給湯器の交換工事が必要となり、費用や工期も多くかかります。
交換費用はどれくらい?
浴室暖房乾燥機の交換費用は、機種や設置条件によって異なります。一般的な費用のめやすは以下の通りです。
既存の浴室暖房乾燥機を交換する場合
工事内容 | 費用相場 |
---|---|
電気式(100v) ↓ 電気式 浴室暖房乾燥機 (100v・本体交換のみの場合) | 15〜20万円 |
電気式(100v) ↓ 電気式 浴室暖房乾燥機 (200vタイプ・電気工事ありの場合) | 25〜30万円 |
ガス温水式 ↓ ガス温水式 浴室暖房乾燥機 (本体交換のみの場合) | 20〜25万円 |
電気式 ↓ ガス温水式 浴室暖房乾燥機 (給湯器の交換・追加が必要な場合) | 40〜60万円 |
電気式からガス温水式へ変更する場合には給湯器からの交換または追加が必要になり、費用は多くかかります。
また、100vタイプを200vタイプに変更する場合や、ガス温水式から電気式へ変更する場合には、ブレーカーの改修や配線などの電気工事が発生します。
浴室暖房乾燥機を後付け(新設)する場合
工事内容 | 費用相場 |
---|---|
電気式 浴室暖房乾燥機 (100v) | 20〜30万円 |
電気式 浴室暖房乾燥機 (200v ※ハイパワーなタイプ) | 25〜35万円 |
ガス温水式 浴室暖房乾燥機 (給湯器の交換が必要な場合) | 50〜80万円 |
既存のお風呂に浴室暖房乾燥機がない場合に、これを後付けすることができます。後付けのケースでは、新たな電気配線や温水配管、換気ダクトや外壁への開口処理・補強などの工事が必要になります。
浴室暖房乾燥機のランニングコストの比較
とても便利で快適な暮らしに役立つ浴室暖房乾燥機ですが、電気代が高い?ガス代はいくらかかる?とランニングコストが気になる方も多いのではないでしょうか。
浴室暖房乾燥機のランニングコストは、使用する熱源方式と使用条件によって異なります。以下に、電気式とガス温水式のランニングコストの比較例を示します。
電気式(100vタイプ) | 月間ランニングコスト: 約2,160円 |
ガス温水式(都市ガス) | 月間ランニングコスト: 約1,525円 (ガス料金:約1,477円+電気料金:約48円) |
【試算の条件】
電気式の試算 | ガス温水式の試算 | |
---|---|---|
消費エネルギー | 約1200W | ガス消費量: 約6MJ/h 消費電力:約30W |
料金内訳 | 電気料金: 27円/kWh | 都市ガス料金: 約160円/m³ |
以上の試算のように、ランニングコストは一般的にガス温水式の方が低くなると考えられます。ただし、これらは電気料金・ガス料金の設定や使用する時間によっても大きく変わります。
家族がお風呂に入る間隔を短くしたり、洗濯物干しでは、ある程度の自然乾燥を併用するなど、省エネルギーに配慮して使用することでランニングコストを下げることができます。
耐用年数・交換のタイミングは?
浴室暖房乾燥機の交換のタイミングは以下のような場合が考えられます。
故障したとき
動作時にカラカラ、ガタガタといった異音が出るようになったり、温度の上昇や湿度管理が不安定になるなど、明らかな故障のサインが見られた場合は交換を検討しましょう。
早めに対処することで、浴室にカビが生えたりすることによる大きな修理費用を避けることができます。
耐用年数を迎えたとき
浴室暖房乾燥機の寿命は一般的に約10〜15年程度で、多くのメーカーは耐用年数を10年程度に定めています。
浴室は湿気や水がかりによって傷みやすい環境であり、これより短い期間で故障する場合もあります。
耐用年数を過ぎた機器を使い続けると、漏電などのトラブルの危険性が高まります。設置から10〜15年以上過ぎた浴室暖房乾燥機は、故障がなくても交換を検討することをおすすめします。
新たに導入したい場合
これまで普通の換気扇だったものを、快適さや利便性を向上させるために浴室暖房乾燥機に交換するケースもあります。また、浴室のリフォームやユニットバスの交換時に、浴室暖房乾燥機を交換したり、新たに導入するのもよい方法です。
特に、在来工法の浴室で寒さや湿気に困っている場合、ユニットバスへ交換するとともに浴室暖房乾燥機を導入することで、とても快適で便利な浴室にリフォームすることができます。
>>タイル張りのお風呂からユニットバスへの交換はこの記事で紹介!
>>ユニットバスの交換はこの記事から!
工事費用を抑える方法はある?
浴室暖房乾燥機の工事費用を抑えるためのポイントを以下に解説します。
既存の配管や電気設備を活用する
既存の配管や電気設備をなるべく活用し、変更を最小限とすることで、工事費用を抑えることができます。
特に、電気式→ガス温水式、100vタイプ→200vタイプといった変更を避けることで、費用を抑えることができます。
使用目的に合ったシンプルな機種を選定する
浴室暖房乾燥機は、多くのメーカーやシリーズがあり、それぞれ暖房能力などの機能が異なります。使用目的や空間の広さに合った、無駄のない機種を選定することで費用を抑えることができます。
経験豊富なリフォーム会社にリーズナブルな機種を提案してもらうこともよい方法です。
浴室のリフォームと同時に工事する
浴室のリフォーム時に浴室暖房乾燥機の設置を同時に行うことで、それらを別々の時期に行うよりも工期と経費を削減することができ、トータルでの費用を抑えることができます。
交換にかかる日数はどれくらい?
浴室暖房乾燥機の交換にかかる日数は、一般的に以下の通りです。
現地調査から見積もり作成、契約まで | 約1週間 |
契約から機器の発注・準備 | 約1~2週間 |
現場での工事期間 | 約1~2日 |
実際の工事は、単純な交換であればほとんどの場合は1日で終わりますが、電気配線やブレーカーの改修などの付帯工事によって多少増える場合があります。
また、後付け施工の場合は既存部分の改修内容によってさらに増える場合があります。
浴室暖房乾燥機の施工事例
ここでは、浴室暖房乾燥機を採用したリフォーム事例を紹介します。
浴室換気暖房機の交換工事
住宅の種類 | 一戸建て |
リフォーム費用 | 約12万円 |
施工期間 | 1日 |
採用メーカー•シリーズ | 三菱:バスカラット24 V-141BZ |
浴室乾燥暖房機が動かなくなったため交換しました。既設のYAMAHA製の乾燥暖房機は後継品がなく、間口が420×420と広いため、三菱製を採用し、隙間パネルを使用して納めています。
古くなったユニットバスの交換
住宅の種類 | マンション |
施工期間 | 3日 |
老朽化したユニットバスを交換するとともに、要望であった浴室暖房乾燥機を採用しています。
浴室乾燥機完備の明るいユニットバスに交換
住宅の種類 | マンション |
リフォーム費用 | 約70万円 |
施工期間 | 4日 |
採用メーカー•シリーズ | TOTO |
明るいユニットバスにしたい、浴室乾燥機をつけたいという要望に応え、古いユニットバスを交換しています。
浴室暖房乾燥機の交換で注意すべきポイント
浴室暖房乾燥機の交換・後付け工事で注意すべきポイントについて解説します。
2室換気・3室換気に注意!
1つの換気扇や浴室暖房乾燥機で、ダクト配管を通して洗面脱衣室やトイレなど複数の部屋を同時に換気するシステムを2室換気・3室換気といいます。
既存がこのような換気システムになっている場合には、交換時にも同様にしなければなりません。
一般的な浴室暖房乾燥機よりも価格が高く、施工費用も多くなります。リフォームの際には既存の換気システムを確認し、対応する機器を選定することが大切です。
建築基準法の換気量に注意!
建築基準法では、シックハウス対策のために必要な換気量が定められています。
浴室暖房乾燥機も換気扇の1つとして、この規定に関わる場合があります。換気量の計算を行って、既存の浴室換気扇よりも換気量が少なくならないよう、適切な機器を選ぶことが重要です。
電気配線や分電盤に注意!
浴室暖房乾燥機を設置する場合に、ブレーカーの改造や増設が必要になることがあります。また、ブレーカーからの電気配線を通すスペースがなく、部屋に露出してしまうことがあります。
また、浴室暖房乾燥機は消費電力が大きいため、既存の契約電力容量から増やす必要性が生じる場合もあります。リフォームを依頼する場合には、電気工事についてよく確認しましょう。
Q&A
- 浴室暖房乾燥機は自分で交換できる?
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浴室暖房乾燥機は、原則としてDIYでの交換はできません。本体の吊り込みや電源の接続に専門知識と技術・資格が必要であり、安全性や保証の観点からも、専門業者に依頼することが必要です。
- 浴室暖房乾燥機の設置はどこに頼める?
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浴室暖房乾燥機は、換気扇に近い性質の設備です。換気扇や換気ダクト、エアコンの取り付け、電気工事などを取り扱っているリフォーム会社や設備工事業者に依頼することが基本となります。
また、ガス温水式の場合は温水配管などに特殊な部分があるため取り扱い業者はやや限定され、ガス会社系列の施工店が得意としている場合があります。
リフォームする際のポイント
もしリフォームを実際に行うとなった際には、ぜひお近くのリフォーム会社に一度ご相談することをおすすめします。
リフォーム会社に相談する時に一番気になるのは「いくらかかるのか」という金額の部分かと思います。
正確なリフォーム金額を知るためには、リフォーム前に「現地調査」を受ける必要があります。
その際に、損をしないリフォームを実現するために重要なことが一点あります。
それは、リフォーム会社1社のみに現地調査と見積もりをお願いするのではなく、複数社に依頼して、必ず「比較検討」をする!ということです。
複数の会社に依頼する時のポイントは「同じ条件」で依頼することです。バラバラの条件で依頼をすると、正しい比較ができません。
このポイントをきちんと押さえ、複数の会社の提案を受けることでご希望のリフォームの適正価格が見えてきます。
「色んな会社に何度も同じことを伝えるのがめんどくさい…。」という方はカンタンに複数社を比較検討できるサービスもございますので、ぜひご利用ください。
一生のうちにリフォームをする機会はそこまで多いものではありません。
後悔しない、失敗しないリフォームをするためにも、リフォーム会社選びは慎重に行いましょう!