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火災保険で屋根は修理できる?
火災保険を利用して、屋根を修理することは可能です。
しかし、屋根の修理で火災保険を利用する際は、以下の点に注意しなければなりません。
- すべてのケースで、火災保険が適用されるわけではない
- 必ずしも屋根の修理費用がタダになるわけではない
- 契約内容や補償範囲によっては、火災保険が適用されない場合もある
- 屋根の状況確認は、危険なため専門業者に依頼する
火災保険で屋根を修理する際は、あらかじめこれらの内容を確認しておきましょう。
火災保険の補償内容
火災保険の補償内容は、保険会社やどれを組み合わせるかなどによっても異なります。
ここでは東京海上日動火災を例に、火災保険の基本的な補償内容を見ていきましょう。
- 火災リスク
- 風災リスク
- 水災リスク
- 盗難・水濡れ等のリスク
- 破損等のリスク
参考:東京海上日動火災
【補償内容1】火災リスク
「火災リスク」には、以下の補償内容が該当します。
- 火災
-
建物や家財が火災によって被害を受けた際の補償を指し、失火や延焼、ボヤなども補償に含まれます。
例えば、火災により屋根が焼失したり、煙で屋根裏が汚損した場合などが補償の対象になります。
- 落雷
-
文字通り、雷による被害を補償するものです。
例えば、屋根に直接雷が落ちて破損したり、屋根に取り付けられたアンテナが損傷したりした場合などが補償の対象になります。
- 破裂・爆発
-
ガス漏れなどによる爆発や破裂が原因で、建物や家財が損傷した際に補償が行われます。
例えば、屋根裏に設置されたボイラーが爆発し、屋根が損傷した場合などが補償の対象になります。
【補償内容2】風災リスク
「風災リスク」には、以下の補償内容が該当します。
- 風災
-
台風や強風によって引き起こされる被害が対象です。
例えば、強風によって屋根材が飛ばされたり、屋根の一部が剥がれた場合などが補償の対象になります。
- 雹(ひょう)災
-
雹による被害が、補償の対象です。
例えば、雹が降って屋根瓦が割れたり、屋根に穴があいたりした場合などが補償の対象になります。
- 雪災
-
大雪や雪崩による被害が含まれます。
豪雪で屋根が崩れたり、屋根の積雪荷重により建物が損傷した場合など、雪に関連する被害が補償の対象になります。
【補償内容3】水災リスク
「水災リスク」の補償内容は、水災のみとなっています。
台風や集中豪雨による洪水や高潮が原因で発生する浸水被害をいいます。
※ 浸水には条件があり、東京海上日動では「床上浸水、地盤面より45cmを超える浸水、または損害割合が30%以上の場合」と定められています。
これらの条件を満たした水害によって建物や家財が損傷した場合に、火災保険の申請が可能です。
例えば、豪雨により屋根が損傷し、雨漏りが発生して室内が浸水した場合も補償の対象になります。
また、「土砂災害」も対象となり、急な豪雨によって土砂が家屋に流れ込み、屋根や外壁に損傷を与えた場合にも補償されます。
【補償内容4】盗難・水濡れ等のリスク
「盗難・水濡れ等のリスク」には、以下の補償内容が該当します。
- 盗難
-
強盗や窃盗(未遂も含む)によって建物や家財が損害を受けた場合に適用となります。
一見、屋根とは無関係のように思えますが、例えば空き巣が屋根裏に侵入した際に屋根材が破損した場合なども補償の対象になります。
- 水濡れ
-
排水設備の事故や他の住戸からの漏水が原因で、家屋や家財が損傷した場合に適用されます。
例えば、屋根に搭載した太陽熱ソーラーが破損し、それが原因で雨漏りが発生した場合などが補償の対象になります。
- 建物の外部からの物体の衝突
-
これは、ボールが外から飛んできて屋根の瓦が割れた場合などが補償の対象になります。
- 労働争議等に伴う破壊行為
-
労働争議等で集団による暴力行為で屋根に傷ができた場合などが補償の対象になります。
【補償内容5】破損等のリスク
これまで解説した内容以外にも、予期せぬ日常の出来事で生じた損害も補償の対象になります。
例えば、雪下ろし作業中に誤って屋根を壊してしまった場合などがこれに該当します。
損傷が機能に影響を与える場合は補償対象ですが、表面的な傷は除外されることがあるため注意しましょう。
火災保険で屋根の修理代が支払われるケース
ここでは、屋根の修理代が火災保険で補償されるケースについて解説します。
条件を満たす場合は保険会社から修理代が支払われるため、この機会にしっかり確認しましょう。
【支払われるケース1】被害の原因が補償対象である
火災保険の補償を受けるには、損害原因が契約の補償範囲内である必要があります。
火災保険の補償内容は契約によって異なるため、自分の補償内容を確認する必要があります。
例えば、台風の強風で屋根が破損したり、雪の重さで瓦が割れたりした場合には「風災・雹災・雪災」の補償が適用されます。
損害の原因が補償外の場合は対象とはならないため、契約内容をよく確認し、補償の適用範囲を把握することが重要です。
【支払われるケース2】被害から3年以内に請求
保険の請求は、被害から3年以内に行わなければ権利が消滅するため、対応が必要です。
これは保険法に基づいており、3年間請求がない場合、保険金や返還請求の権利は時効により失われてしまいます。
例えば、過去の台風で屋根に損害を受けた場合、すぐに修理せずに放置すると、請求期限を過ぎてしまうことがあります。
修理が必要な際は、被害を確認したら早めに手続きを進めることが大切です。
【支払われるケース3】損害額が免責金額以上である
火災保険で屋根の修理費用を補償してもらうためには、屋根の修理にかかる費用が免責金額を超えている必要があります。
免責金額とは、保険金支払い時に契約者が自己負担しなければならない金額で、これを下回る損害については補償が行われません。
例えば、免責金額20万円で設定している場合、損害額は20万円以上である必要があります。
保険証券を確認し、設定している免責金額を把握しておくことが重要です。
火災保険で屋根の修理代が支払われないケース
ここでは、屋根の修理代が火災保険で支払われないケースを紹介します。
【支払われないケース1】被害の原因が補償対象ではない
損害の原因が契約の補償対象ではない場合、その修理費用は支払われません。
例えば、契約に「風災」の補償が含まれていない場合、屋根瓦が強風によって飛ばされ被害を受けた修理代の補償は行われません。
保険の補償範囲は契約内容や保険会社によって異なるため、自分の契約がどのような補償を提供しているかを事前に確認することが大切です。
契約内容に基づき、補償対象外のリスクを理解しておけば、万が一の際にも適切に対応できるでしょう。
【支払われないケース2】経年劣化が原因
経年劣化によって生じた損傷は、火災保険の補償対象とはなりません。
火災保険は、自然災害や突発的な事故による損害を補償するものであり、通常、経年劣化による損傷はカバーされていません。
ただし、劣化が進んだ状態の屋根が、突然の事故や自然災害によってさらに損傷した場合、その部分については保険の適用が検討されることがあります。
損傷が経年劣化によるものか、それとも新たな事故によるものかをしっかり分別することで、適切な補償を受けられるでしょう。
【支払われないケース3】施工不良が原因
施工不良が原因で発生した損害については、火災保険の補償が適用されないことがあります。
具体的には、業者の取り付けが不適切で屋根材が剥がれ落ちた場合などをいいます。
このようなケースでは、施工を担当した工事会社が加入している工事保険などで対応するため、施工会社の保険内容を確認することが重要です。
もし施工不良による問題が疑われる場合、施工業者に相談するなど適切な対応が必要です。
【支払われないケース4】修理金額が20万円以下である
火災保険には「免責金額」という設定があり、損害額がこの金額を下回る場合、保険金が支払われない仕組みになっています。
修理費用が免責金額を超える場合にのみ、保険金が支給されます。免責金額は火災保険を契約する際に設定するため、保険証券などで契約時の内容を確認しておきましょう。
屋根修理における火災保険の申請方法
屋根修理における火災保険の申請方法は、以下のとおりです。
- 証券番号
- 契約者名
- 事故日時(事故日が不明な場合は、損害を発見した日を伝えましょう)
- 損害状況
- 被害の原因
- 修理業者
- 保険金請求書
- 被害状況がわかる写真
- 修理見積書
- 罹災(りさい)証明書
提出した書類をもとに保険会社が査定を行います。査定によっては保険金の支払いができない場合や、修理見積金額の一部しか補償されないことがあります。
損害額が高額な場合は、鑑定人が来訪して屋根を調査するケースもあります。
査定後の損害額に契約者が合意すると、保険会社から保険金が振り込まれます。
契約者の希望がある場合は、保険会社から修理業者へ直接修理代を支払うことも可能です。
火災保険を使った屋根修理で悪徳業者を見極めるポイント
火災保険を絡めた訪問業者との問題は、多くの人々が直面している課題です。
「火災保険を使えば無料で屋根の修理ができる」「修理から保険請求までサポートする」といった営業文句で、突然やってくる業者には要注意です。
このような業者は、高額な費用を請求するなどのトラブルを引き起こす場合があるため、あらかじめ悪徳業者を見極める力が私たちに求められます。
【ポイント1】「火災保険を使って無料で修理できる」といわれた
「屋根の修理は火災保険を使って無料で行えます」と営業してくる業者がいたら、注意しましょう。
火災保険の内容や補償範囲、保険金額は保険契約によって異なるため、「完全に無料で修理できる」と断言することはできません。
業者の言葉を鵜呑みにし、「修理の契約をしたのに保険が下りず、自費で支払う羽目になった」といったトラブルが増えています。
火災保険で修理費用がカバーされる場合もありますが、その際には保険金が実際に支払われた後に修理の契約を進めましょう。
【ポイント2】保険金の一部を手数料として取られる
火災保険の申請を「代行」や「サポート」することで、保険金の一部を手数料として要求してくる悪徳業者がいます。
火災保険は契約者自身で申請できるため、「代行」や「サポート」は必要ありません。
そのため、保険金の一部を搾取しようとしてくる業者には注意が必要です。
【ポイント3】修理のキャンセルに違約金が発生する
修理業者との修理契約時に「違約金はかからない」と説明されたが、実際に修理をキャンセルする時に違約金を求めてくる悪徳業者がいます。
このようなトラブルを防ぐためにも、修理業者との契約は保険金額が確定して、修理代が補償されることが確認できてから行うようにしましょう。
【ポイント4】虚偽の報告を強いられる
業者が「経年劣化も保険でカバーできる」と誤解させて、保険金の請求を煽るケースがあります。
チラシや訪問で「保険で住宅修理が可能」と謳い、「修理代の自己負担なし」として修理を勧めてきます。
しかし、保険で補償されるのは自然災害や事故による損傷のみです。経年劣化による損傷は対象外となります。
もし虚偽の申請が発覚した場合、保険契約が解除されたり、支払った保険金の返還が求められることがあります。
このような場合、詐欺罪に問われるとたとえ未遂であっても重い刑罰が科される場合もあるため、十分に注意しましょう。
【ポイント5】故意に壊して被害を偽造する
点検や修理を依頼すると、業者が屋根にのぼることがあります。
その際、点検と偽り故意に屋根を傷つけるケースが報告されています。
悪徳業者は、屋根瓦を踏みつけて割ったり、棟板金を無理に引き剥がしたり、カッターやペンチで破壊したりする可能性があります。
このような被害を回避するためにも、知らない業者を屋根にのぼらせないように注意しましょう。
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