2024年04月23日更新

監修記事

フルリフォームで固定資産税は変わらない!?スケルトンやリノベーションで上がるって本当?

フルリフォームをしたいけれど固定資産税が上がっては困るからどうしようとお悩みの方に、今回は、フルリフォームと固定資産税の関係を解説します。さらに固定資産税が上がるフルリフォームと上がらないフルリフォームについてもご紹介していきます。

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フルリフォーム・リノベーションをしたら固定資産税は上がる?下がる?

フルリフォーム・リノベーションの内容によって、固定資産税が上がる場合と上がらない場合があります。

ここでは、リフォームと固定資産税の関係を解説して、固定資産税が上がるケースと上がらないケースの違いを見ていきましょう。

「固定資産税」とは家屋などの固定資産に課せられる地方税

「固定資産税」とは、固定資産である家屋、土地、償却資産に対して市区町村によって課せられる税金のことです。

償却資産(しょうきゃくしさん)とは土地と建物以外の事業用資産のことで、法人税や所得税を算出するときの減価償却の対象となる資産のことです。

例えば、事業運営に使われるパソコンや机、いすなどの事務用品、製造業なら工場の機械やコンベアーなどの運搬設備がそれにあたります。

毎年1月1日時点で固定資産税が算出され、後日、納品通知書が納税対象者に送付されます。

固定資産税は評価額によって変わる

固定資産税は「固定資産税評価額」をもとに算出されます。

固定資産税評価額は国土交通省によって示される建物や土地の時価の約70%ですが、3年ごとに見直されるため評価額も変わります。

固定資産の評価は建物の経年劣化や、地価の下落、上昇などが原因で変わるので、それに対応して固定資産税額も変わります。

また、標準税率とは通常用いられる税率なので、市区町村は財政等の理由から税率を上下させることがあります。

つまり、同条件の固定資産でも住む場所によって税額が変わるということになります。

フルリフォーム・リノベーションで固定資産税は影響する?

フルリフォームの実行の有無は固定資産税に影響します。というのも、フルリフォーム・リノベーションにより住宅の固定資産としての価値が変わるためです。

ただし、すべてのリフォームが家屋の価値を変えるわけではありません。
リフォームには固定資産税が上がる場合と変わらない場合があります。

固定資産税が上がる場合と変わらない場合との違いは?

リフォームが固定資産税に影響するかは、確認申請が必要なリフォームかどうかが決め手となります。

確認申請とは、リフォームによって建築基準法や都市計画法の基準に合っているか審査を受けることで、自治体の役所または民間の指定確認検査機関で申請を行います。

では、確認申請を行うようなリフォームとはどのようなリフォームなのでしょうか。

それは、大規模な修繕または大規模な模様替えで、床面積を増やすような増築や、柱や床、屋根などの建物の主要構造部を修繕するようなリフォームです。

一方、確認申請を必要としないリフォームとは、規模の小さなリフォームで部屋の間取り変更を伴わない内装の改修などです。

確認申請が必要のないリフォームは、行政がリフォームをしたのかどうかを把握できないので、リフォームをしていないものとして資産評価が行われます。

そのため固定資産税にも影響しません。

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固定資産税が上がるフルリフォーム・リノベーションとは

固定資産税が上がるリフォームとは、確認申請をしなければならないようなリフォームです。

では、確認申請を行う必要のあるリフォームとは、どのようなリフォームなのでしょうか。

ここでは、固定資産税が上がる3つのリフォームを紹介します。

①建物の主要構造部を改修するリフォームで固定資産税が上がる

壁や柱、床、はり、屋根または階段などの建物の主要構造部、または非常時の避難のときに主要とされる部分うち、半分以上壊して新しく作り替える部分がひとつでもあるような大規模の修繕では確認申請が必要です。

例えば、屋根を和風の日本瓦屋根から金属屋根にする場合、屋根の半分以上か、下地もあわせて張り替えるような改修工事は確認申請の対象です。

ただし。同じ屋根の張り替えでも木造2階建て住宅なら確認申請は必要になりません。

確認申請が必要なのは、住宅に限って言えば、木造以外の2階建て以上の住宅で、延べ床面積が200㎡を超えるケースです。

スケルトンリフォームで固定資産税が上がる

建物の構造部分だけを残して解体して全面的なリフォームを行うのが、「スケルトンリフォーム」です。

スケルトンリフォームでは、壁を抜いてダイニングキッチンにするような間取りを大きく変更や、キッチンの位置を変更するなどして、元の住宅からは想像のつかないような自由度の高いリフォームが可能です。

見た目が変わるだけでなく、建物の機能性や耐久性などいろいろな面で改善されることから住宅としての価値が大きく変わるため、確認申請が必要となります。

それにともない固定資産税も大幅に上がる可能性があります。

②延べ床面積を増やすリフォームで固定資産税が上がる

増築工事によって住宅の延床面積が10㎡以上大きくなる場合には、木造住宅や鉄骨住宅など、住宅の基礎構造と関係なく確認申請が必要です。

具体的には、既存住宅に新しく部屋やサンルームを増やす工事や、平屋建てに2階部分を増設する工事です。また同じ敷地内に別棟を建てることも増築です。

延床面積が増えることで資産価値が変わり、固定資産税も上がることが考えられます。

また増築工事の際には不動産登記も必要となりますので、忘れずに行いましょう。

庇、屋外階段、塀のリフォームも確認申請が必要

延べ床面積が増えなくても固定資産税が上がるかもしれない増築があります。

そのリフォームとは、庇(ひさし)、屋外階段、塀の増築です。

これらの増築では延べ床面積が増えることはありませんが、確認申請が必要なため、固定資産税が上がる可能性があります。

③対象物件の用途変更を行うリフォームで固定資産税が上がる

これまで住宅として使っていた物件を事務所や店舗としてリフォームを行い、建物の用途目的が変わった場合には、確認申請が必要です。

用途変更を行うと建物の安全基準が変わるため、基準に準拠してリフォームが行われたのかを確認しなくてはならないからです。

また建物の用途が変われば固定資産としての価値も変わりますので、その結果、固定資産税が上がることがあります。

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固定資産税が上がらないフルリフォームとは

固定資産税が上がらないリフォームとは、確認申請を必要としないリフォームだと前述しましたが、具体的にはどのようなリフォームを指すのでしょうか。

ここでは固定資産税が上がらないリフォームを紹介します。

①構造上主要でない部分の変更リフォームなら上がらない

確認申請を必要としないリフォームとは、建物の状態を維持するためのリフォームです。

その一例が、建物の構造上で主要ではない部分の変更リフォームです。

間仕切り壁や間柱や付け柱、揚げ床(二重床)などは主要構造部とは関係がないので、リフォームを行っても確認申請の必要はなく、固定資産税にも影響しません。

②間取り変更なしの内装リフォームなら上がらない

柱などの住宅の基礎部分には手をつけずに行われる内装リフォームなら、確認申請は必要ありません。

たとえば、壁紙の張り替えや床材の張り替えなどです。

また建物の耐火性と関係なければ、間仕切り壁のリフォームも確認申請なしでリフォームができます。

間取りの変更を伴わない内装リフォームなら確認申請は必要ないので、固定資産税も変わりありません。

③耐震補強のためのリフォームなら上がらない

耐震補強のためのリフォームでも、建物全体の半分以下に行われる耐震リフォームは、確認申請はいりません。

柱は主要構造部のひとつですが、建物の総本数の柱の半分以下ならば大規模な修繕にあたりませんし、柱や梁でも鋼板などを巻き付けるだけの補修なら、建物のすべての柱に行っても確認申請は必要ありません。

また免震改修の補強方法に、建物の基礎の下に免震装置を取り付ける基礎免震は、基礎が建物の主要構造部の一部とみなされていないため確認申請は不要です。

建物の中間部に免震装置を付ける中間免震でも、柱の半分以上を切断しなくて済むのなら確認申請なしでリフォームを行えます。

耐震改修計画の認定を受ければ確認申請は不要!

大規模な改修となるような耐震改修でも、国土交通省が定める基準を満たしていることを管轄の行政庁に認定してもらえれば、確認申請は必要なくなります。

ただし確認申請を行わなくても大規模な修繕に違いはないので、この場合には固定資産税に影響があるかもしれません。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】下久保彰

2級建築士。建築設計や施工業務を30年以上経験。最近は自営にて各種請負業務を行う。

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