目次
- 1 住宅を民泊に転用する前に知っておくべきポイント
- 2 住宅を民泊施設に転用する際の内装工事にかかる費用目安
- 3 住宅を魅力的な民泊施設に仕上げる内装工事のポイント
- 4 「住宅宿泊事業法」について
- 5 住宅を民泊施設に転用する際の間取り変更パターンとポイント
- 6 民泊施設に適した水回りのリフォームポイント
- 7 民泊施設開業に備えたトイレリフォームを行う前に知っておくべきこと
- 8 民泊施設に適したトイレリフォームのパターンや費用
- 9 建物を民泊施設に転用する際の寝室の改築パターン
- 10 建物を民泊施設に転用する際に寝室の改築にかかる費用
- 11 建物を民泊施設に転用する際に寝室の改築費用を抑える方法
- 12 民泊施設に適した天井リフォームのポイント
- 13 民泊施設の天井リフォームにかかる費用目安とポイント
- 14 建物を民泊施設に改築する際の注意点
- 15 民泊施設改築におけるフローリング張替費用は?パターン別に解説
- 16 住宅を民泊用施設に改築する際のフローリング張替えのポイント
住宅を民泊に転用する前に知っておくべきポイント
住宅を民泊用に使用するにあたり、事前に知っておくべきポイントとして「住宅宿泊事業法」があります。
Airbnbなどで個人の住宅を民泊施設として利用するケースが増えている中、2018年6月15日に施行された新しい法律です。
内装工事などに着手する前に、内容を一通り抑えておく必要があります。
住宅宿泊事業法での住宅の定義
住宅宿泊事業法とは、民泊施設運営にあたり宿泊者の安全面や衛生面の確保、健全な民泊のサービス普及を図るために平成29年6月に制定された法律のことです。
この法律により、旅館業法対象外の賃貸マンションや空き家などの個人宅でも民泊施設として申請することが可能になりました。住宅宿泊事業法では、民泊の営業について様々な要件が定めらています。
住宅宿泊事業法の要件は以下の通りです。
【住宅宿泊事業法の要件】
- 住宅専用地域で営業することが可能
- 年間営業日が180日以内であること
- マンション管理規約で民泊が禁止されている場合、民泊営業は不可
- 家主居住型民泊の場合、原則として住民票がある住宅であること
- 家主居住型民泊の場合、住宅提供する者も宿泊していること
- 家主不在型の場合、生活の本拠地でなく住宅提供する者が住んでいなくてもよい
- 家主不在型の場合、民泊施設管理者に委託もしくは住宅提供する者を管理者として登録する必要がある
民泊施設を開業する際は、上記の要件を守らなければなりません。また、営業日が180日以上に超えてしまうと、旅館業法が適用になるので営業日数には注意が必要です。
住宅宿泊事業法では建物に関する幅広い規定がありますが、住宅を民泊用としてリフォームする際に関わってくる、住宅の定義についてのみご説明します。
都道府県へ届け出を提出し、民泊利用の申請を行うことで、民泊施設として住宅を使うことができます。
ここで「住宅」と呼ばれる施設には設備条件と居住条件を満たしている必要があります。
- 設備要件
「台所」「浴室」「便所」「洗面設備」
- 居住条件
「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」
「入居者の募集が行われている家屋」
「随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋」
詳しくは、民泊制度ポータルサイトでご確認ください。http://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/overview/minpaku/law1.html
また、
- 住宅専用地域内でも営業が可能
- 営業日数は1年のうち180日以内(国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより算定)
という点も抑えておいてください。
「民泊制度運営システム」と呼ばれるところからオンライン上での届け出が可能ですので、民泊施設として利用を開始する前に行っておきましょう。
旅館業簡易宿所営業における民泊施設のお風呂・トイレの設備要件
旅館業簡易宿泊所営業とは、違う場所にある複数の客室を1つのフロントで管理・運営する民泊のことを言います。
旅館業簡易宿泊所営業では、宿泊施設から近い場所に温泉や銭湯などがある場合、浴室や浴槽が無くても営業許可が可能なケースがあります。
また、トイレ設備に関して旅館業簡易宿泊所営業では「適当な数のトイレを確保する」とされていますが、「適当な数」とは各自治体の条例などによって異なるため、民泊施設を開業する地域の条例の確認が必要です。
では、旅館業簡易宿泊所営業における民泊施設のお風呂・トイレの設備要件を見ていきましょう。
【お風呂設備の要件】
- 浴槽の水を利用者ごとに取り替えることができる
- ろ過器などを使用する場合、決められた基準を満たすこと
- 共同の浴室やシャワー室を設置する場合、脱衣所に十分な広さを確保する
【トイレ設備の要件(地方自治体の条例の例)】
- 宿泊部屋の定員人数が5人以下の場合:トイレが2つ
- 宿泊部屋の定員人数が6~10人以下の場合:トイレが3つ
- 宿泊部屋の定員人数が11~15人以下の場合:トイレが4つ
- 宿泊部屋の定員人数が16~20人以下の場合:トイレが5つ
- 宿泊部屋の定員人数が21~25人以下の場合:トイレが6つ
- 宿泊部屋の定員人数が26~30人以下の場合:トイレが7つ
※トイレ設備の要件は各地方自治体によって異なります。詳しくは、開業する地域の自治体に確認してください。
住宅宿泊事業法における民泊施設のお風呂・トイレの設置要件
住宅宿泊事業法では、届出の対象となる住宅にお風呂とトイレの設置が義務づけられています。旅館業簡易宿泊所営業とは違い、近くに温泉や銭湯などの施設があったとしても、お風呂の代替にすることはできません。
しかし、お風呂の設備は3点ユニットバスや浴槽がないシャワー室のみでも要件を満たすことができるため、空き家などの個人宅や賃貸マンションなどでも許可が通りやすくなっています。
またトイレは、届出の対象となる住宅にトイレ(和式・洋式どちらも可)か3点ユニットバスがあれば共同トイレが無くても申請可能になるため、水回りのリフォームコストが大幅に抑えられる可能性があります。
先程ご説明した旅館簡易宿泊所営業の設置要件で民泊開業を諦めていた物件も、申請可能になるかもしれません。
賃貸住宅を民泊に利用する場合の注意点
賃貸物件では、民泊などで居住者以外の人に部屋を貸し出すこと(また貸し)は原則として禁止されています。
賃貸マンションの1室を民泊施設として貸し出したいと思っても、管理規約などで民泊運営が出来ない物件もあります。
この場合、民泊施設として営業してしまうと賃貸契約自体が解除される可能性も否定できませんので、リフォーム前に貸主の許可などを忘れずに得ておきましょう。
住宅を民泊施設に転用する際の内装工事にかかる費用目安
実際に住宅を民泊用として利用する際の、内容と工事費用についてご紹介していきます。
相場としては2DK〜3DK(33平方メートル以上)の広さで、約150万円〜200万円が目安です。具体的な内訳や、部屋や設備における工事の費用について詳しくみていきます。
マンションの1室の内装工事
1LDK〜2LDKのマンション(50平方メートルほど)の1室においてスケルトンの段階まで解体し、内装工事を行う場合、合計で約500万円〜1,000万円ほどが相場となっています。
外国人向けの和室にリフォームする場合
海外からの旅行者が利用しやすいように、トイレやお風呂のサイズを大きくするといった工事も必要になるでしょう。
トイレの和式から洋式への取り替えは約40万円前後かかります。ユニットバスの施工には本体の金額として約50万円〜100万円がかかるほか、工事費として約20万円〜80万円がプラスされます。
外国人向けに和室を取り入れる場合、フローリングから畳へ変更する際の相場は約50万円となっています。
住宅を民泊施設に転用する内装工事費用のポイント
具体的な費用の内訳では、お風呂やトイレ、キッチンなど水回りの設備が最も高額です。
また、床への防音材施工、押入れのクローゼットへの変更、浴室乾燥機の追加、エアコン工事、扉や間仕切りを変更する工事などは金額が高くなりやすい傾向があります。
最も安いのは壁紙の張替えで、1平方メートルあたり約1,000円前後で済む場合もあるようです。また、フローリングの表面だけの上張り(タイルカーペットの上張りなど)やペンキといった工程も比較的安くなっています。
ただし、壁材や床材のグレードや種類によって金額は異なりますので、どの資材を選ぶかもポイントです。
内装工事費用を抑えるためには、水回りを含む大掛かりな工事を避けて、内装をきれいにすることを意識すると良いかもしれません。
部分リフォームによる間取り変更や民泊に適した内装にするための費用
例えば、民泊施設として使用するために、2つの部屋をつなげてベッドを数台置くスペースを設ける工事を行う場合、フローリングの張り替えを含めた工事費用の目安は、
約20〜40万円です。(フローリング張り替え材工1万/1㎡)(壁、天井クロス他雑工事)含む。
また、トイレのスペースを拡張する工事を行う場合には、トイレ本体価格(5~10万円)と工事費用(配管・間仕切りなど)を合わせて約30〜60万円が費用の目安となります。
ユニットバスを設置し浴室のバリアフリー化を行う費用の目安は約50〜70万円です。また、トイレに手すりを設置し、間口を拡張し、床を滑りにくい素材に替えるバリアフリー工事は約20万円が目安となります。
民泊に適した間取りにするためにはいくつかの工事を組み合わせることも多く、リフォームにかかる費用の目安は、総額で約200万円以上と言われています。
間取り変更時のリフォーム内容ごとの費用の目安
間取り変更を行うために壁を撤去する工事を行う場合、壁の撤去だけではなく、壁があった部分の床・壁・天井の補修が必要な場合があります。どのような補修を行うかによって、工事費用は大きく異なります。
間取り変更時に壁の撤去と簡単な修繕のみを行う場合の費用は、約10〜20万円が目安です。簡単な修繕とは、壁や天井の溝は板などで埋めてクロスで仕上げ、床は見切り材で補修するような場合を言います。
リビングと洋室をつなげてクロスを全面貼り替える場合(16畳分)の費用の目安は約30〜50万円、6畳の洋室2部屋をつなげてクロスを全面貼り替える場合は、約10〜20万円が目安です。
リビングと和室(6畳)をつなげて、畳をフローリングに交換する場合の費用の目安は約40〜60万円、リビングと和室(6畳)をつなげて、和室の床・壁・天井を洋風にリフォームする場合は約50〜80万円が目安です。
古民家をスケルトンリフォームして間取り変更する場合の費用の目安
古民家をスケルトンリフォームして間取り変更する場合の費用の目安は、約2,500万円〜3,800万円です。
スケルトンリフォームとは、住宅を柱・梁・土台だけにして内装や外装、設備などを全面的にリノベーションすることを言います。解体費用がかかり、部分リフォームに比べて施工面積が広くなるため、費用が高額になりがちです。
しかし、建て替える場合と比べると費用を抑えることができ、部分リフォームでは難しい自由度の高いリノベーションを行うことができます。バリアフリー化などのリフォームもスムーズに行うことが可能です。
材料費や手間代は延べ床面積によって変わるため、延べ床面積が小さい場合には費用を抑えることが可能です。また、あらかじめ耐震補強が行われていた古民家の場合は、より少ない費用となるでしょう。
住宅を魅力的な民泊施設に仕上げる内装工事のポイント
魅力が感じられる民泊施設にするための内装工事には、どのようなポイントがあるのでしょうか。工事前に確認しておきましょう。
写真の印象が良い内装を作る
ほとんどの民泊はインターネット上の情報で、宿泊するかを判断されます。民泊サイトなどでは紹介される写真の見栄えがとても重要です。
同じ立地条件や設備の条件下の物件であれば、最後の決め手はイメージであることがほとんどなので、見栄えの良い内装に仕上がるようにします。
例えば壁紙を白系の色にするだけで清潔感が高まり、広く開放的な空間に見えます。好みが分かれそうな個性的な装飾よりも、シンプルかつモダンな雰囲気に全体を統一させると、好感度も上がるでしょう。
また、海外から訪れる外国人の利用も見込み、特に日本らしい宿泊施設を外国人が好む傾向を生かして、和風な内装にするのもおすすめです。
セキュリティー面を強化
物件の安全性も、民泊として利用してもらう際に、非常に大切になってきます。必要なセキュリティ面の強化も内装工事の際に行いましょう。
玄関などの出入り口や大きめの窓などの鍵は機能しているかをチェックし、壊れている場合は速やかに修理してください。
最近ではスマートフォンで施錠の操作や確認ができる「スマートロック」も便利で好評です。比較的に取り付けも容易なので、導入できる場合は検討してみてはいかがでしょうか。
他にも、玄関への動線や道路に面した軒下に防犯カメラを設置するのもおすすめです。安心して利用できる民泊施設であるというアピールにもなります。
「住宅宿泊事業法」について
民泊とは、個人が住宅やマンションなどの一部または全部を活用して宿泊サービスを行うことを言います。これまでは、民泊事業を行う場合には旅館業法上の許可が必要とされていました。
しかし、旅館業法の許可を得ずにマンションの1室を貸すなどするいわゆる「ヤミ民泊」が問題視されており、2017年にヤミ民泊の対策を目的の一つとする「民泊新法」が制定されました。
民泊施設のニーズが高まり、安全面、衛生面の確保がなされていない、近隣トラブルが社会問題となっているなどの問題に対応するために正式にルールが整備され、2018年6月15日には「住宅宿泊事業法」が施行されています。
「住宅宿泊事業」とは、旅館業法第3条の2第1項に規定する営業者以外の者が宿泊料を受けて届出住宅に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる日数が180日を超えないものとされています。
住宅宿泊事業法では、年間180日間という営業日数の制限があるため、180日を超える場合には、旅館業法での申請が必要となります。
住宅宿泊事業法における「住宅」の設備要件としては「台所」「浴室」「便所」「洗面設備」が掲げられています。
また、「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」「入居者の募集が行われている家屋」「随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋」という要件を満たしている必要があります。
この要件を踏まえて、空室のある賃貸物件をリノベーションして民泊施設として利用したいというニーズも増えてきています。
住宅を民泊施設に転用する際の間取り変更パターンとポイント
個人宅を民泊施設に使用する場合には、宿泊客用のベッドを数台置くことのできる広いスペースを確保することが必要となるでしょう。間取り変更のパターンとそのポイントをまとめました。
仕切りを取り払い和室とリビングを一体化させるパターン
和室とリビングとの間にある仕切りや襖を取り払うことにより、明るく広い空間ができ、開放感のある和室を作ることが可能です。外国人観光客に気軽に畳の部屋を体験してもらうことができます。
写真で紹介する際にも、和室が見えることにより日本文化を体験したいと思う外国人観光客によい印象を与え、民泊の稼働率を上げる手助けになるでしょう。
備え付けの仕切りを取り払う際には、床・壁・天井の補修工事が必要となる場合があります。また、既存の床・壁・天井をそのまま使うことができない場合や、雰囲気を変えたい場合には新しい物と交換するとよいでしょう。
和室と洋室の仕切りを取り払い間取り変更を行うパターン
和室と洋室との間の仕切りを取り払い間取りの変更を行う場合には、和室の畳をそのままにするのかフローリングに替えて洋風にするのかによって、部屋の印象は大きく変わります。
床をフローリングに交換した場合には、ベッドを数台置くことが可能になります。間取り変更に加えて壁紙の色を白い物に交換すると、部屋全体が明るく清潔感のある印象になります。
和室の雰囲気を残して和洋折衷のインテリアを取り入れたリフォームを行えば、日本文化を体験したい外国人観光客のニーズに応えることも可能になるでしょう。
2020に向けて民泊に関する各種の法規制が運用されようとしています。先ずは最寄の自治体の保健所や役所に相談することから始めましょう。
民泊施設に適した水回りのリフォームポイント
次に、民泊施設に適した水回りのリフォームポイントをご紹介します。
民泊施設に適したトイレへのリフォームポイントと費用
外国人宿泊客の中には、和式トイレが不満だと感じている人もいると言われています。
そのため、民泊施設を開業するにあたり訪日外国人を客層として考えている場合、リフォームするときは和式トイレを洋式トイレにリフォームしたり、トイレの広さを十分に確保するリフォームが有効です。
ここでトイレのリフォームにかかる費用相場を見ていきましょう。
和式トイレを洋式トイレへリフォームするときの費用相場は、約34万円(施工費、便器設置費、紙巻器などの設置含む)になります。
また、外国人利用客から民泊施設への問い合わせでウォシュレットの有無の確認があることから、トイレはウォシュレットの方が望ましくリフォームの際のポイントとなります。
ウォシュレットの設置の費用相場は約11万円~約12万円(施工費、便器設置費、紙巻器などの設置含む)です。
トイレは頻繁に使用する場所なので、少しコストはかかりますが結果的に利用者の満足度に繋がるリフォームになるでしょう。
民泊施設に適したお風呂へのリフォームポイントと費用
民泊施設に空き家などを活用する場合、給湯器が古く浴槽が狭いことがあるかもしれません。今後民泊施設として開業していくためには、できるだけメンテナンスがしやすいようなお風呂へリフォームするのがポイントです。
また、お風呂が在来工法でタイル壁の場合、清掃がしずらくメンテナンスが大変になる可能性があるため、リフォーム時に清掃がしやすいパネル式の壁を選ぶといいでしょう。
新しい給湯器の設置と浴槽の交換にかかる費用の相場は以下の通りです。
【賃貸マンションのバランス釜をガスふろ給湯器へ交換する場合】
- 相場価格:約20万円~約30万円
- 内容:浴槽交換(台付シャワー水栓設置含む)、パックイン給湯器設置
- 相場価格:約20万円~約30万円
- 内容:浴槽パネル(天井・壁)、浴室床シート(床)、その他設備(鏡、タオル掛け、照明)
合計 約40万円~60万円
【タイル壁のお風呂からユニットバスへ交換する場合】
- 相場価格:約50万円~約100万円
- 内容:解体費、仮設費、基礎工事費、電気工事費、配管工事費、その他施工費
民泊施設に適したキッチンへのリフォームポイント
基本的に宿泊者がキッチンを使用する機会はあまり多くないため、コストを抑えるためには既存のキッチンを利用できるようにきれいにするといいでしょう。
例えば、キッチンの劣化した木部を塗装し、ステンレスを研磨するだけでも見栄えが良くなります。
また、キッチンの壁紙は防火・防汚・防臭機能が付いた壁紙にリフォームすると、清掃などのお手入れが簡単で安全性を上げることが可能になります。
特に空き家などを利用して民泊施設を開業する場合、お風呂やトイレは旧式のものがほとんどです。
コストを抑えるためには、トイレやお風呂はリフォームしキッチンは最低限のメンテナンスにするなど、メリハリをつけてリフォームするといいでしょう。
民泊施設開業に備えたトイレリフォームを行う前に知っておくべきこと
住宅宿泊事業法について
住宅宿泊事業法は、民泊が急増する中で、安全性や衛生面の質の確保、騒音やゴミ出しによるトラブルの社会問題化、観光客ニーズの多様化などに対応するため、新たに制定され、2018年6月15日に施行されました。
住宅宿泊事業法の施行前は、宿泊事業を営む場合に、旅館業法に基づく許可が必要とされ、客室の延床面積について、一人当たり3.3㎡以上必要であるなどの規定により、宿泊施設の規模が制限されていました。
住宅宿泊事業法の施行に伴い、これまでは旅館業法の対象外とされていた「住宅」でも、一定の要件を満たせば、民泊施設として申請できるようになりました。
一定の要件を満たした民泊用の「住宅」については、「設備要件」と「居住要件」として定められており、設備要件として台所、浴室、トイレ、洗面設備の設置が規定されています。
設備の設置場所については、必ずしも同じ棟に設置されている必要はなく、同一の敷地内の建物に使用可能な施設がある場合は、複数棟の建物を1つの「住宅」として、申請することが可能です。
居住要件として「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」、「入居者の募集が行われている家屋」、「随時その所有者、賃借人または転借人の居住の様に供されている家屋」のいずれかに該当することと規定されています。
ただし、民泊の場合は営業日数が180日以内に限定され、180日を超える場合は、旅館業法に基づく許可が必要となります。
なお、都市計画法で「住居専用地域」に指定されている場合は、自治体の条例により、営業が制限されることもあるので、注意が必要です。
旅館業簡易宿所営業におけるトイレの設置要件
旅館業法ではホテル、旅館の他、民泊の利用形態に近いと考えられる「客室を多人数で共用する簡易宿泊営業」などについて、トイレ設置要件を規定しています。
具体的には「適当な数」が必要とされており、客室にトイレがない場合は、男性用と女性用で区別されている共同トイレの設置や、手洗い設備の設置が義務付けられています。
また、自治体によっては、トイレの設置数を条例で定めているケースもあります。
2018年1月の旅館業法改正に伴い、トイレ数や洗面設備の広さについての詳細規定が削除されましたが、旅館業法に基づくトイレを設置する場合には、相当の広さが必要であることについては、大きな違いはありません。
住宅宿泊事業法における民泊施設のトイレの設置要件
一方、住宅宿泊事業法におけるトイレの設置要件は、一般的に求められる機能を有していれば足りるとされており、和式か洋式かは要件とされていません。また、トイレ機能を併せ持つユニットバスも、認められる可能性があります。
民泊施設に適したトイレリフォームのパターンや費用
日本を訪れる外国人の民泊需要は増加傾向
日本政府観光局が公表した2018年上半期の訪日外客数は約1,600万人で、前年の同じ時期に比べて、約16%増加して過去最高を記録するなど、日本を訪れる外国人数は増加を続けています。
また、2020年には東京五輪があるため、今後、民泊需要は高まっていくものと期待されています。
このような状況で、安全性、立地・交通アクセス、快適性などにおいて、訪日外国人の宿泊施設に対するニーズにいかに対応し、他の施設との差別化を図れるかが、民泊への集客のカギとなるとも予測されています。
日本を訪れる外国人のトイレに対するニーズ
TOTO株式会社が2016年2月に公表した「訪日外国人の宿泊施設へのニーズ調査結果」では、日本を訪れる前に宿泊施設に期待していたものは、トイレが第2位の56.5%を占めています。初めて温水洗浄便座を使う人も多く、快適性が話題になることもあるようです。
その一方で、この調査からは、和式トイレを二度と使いたくない、トイレの使い方が分からなかったといった不満も明らかになっています。
トイレのリフォームを考える際には、このような動向を踏まえることが重要なポイントになってきます。
トイレをリフォームする場合の費用
トイレをリフォームすると言っても、単純な取替えから、電気工事、水道工事、大工仕事が必要になるケースまで、工事内容は幅が広く、工事作業が多いほど費用はかかります。
単純な便座・便器の取替えと言っても、便座だけ交換する場合と、便座と便器をセットで交換する場合、機種の選択によっても費用が異なります。
また、トイレのスペースの広さや、一戸建て住宅かマンションかといった違いによって、工事が可能かどうかという問題も生じてきます。高層階では、十分な水圧があるかどうかも考慮する必要があります。
このように、現在あるトイレをどれくらいリフォームするかによって、必要となる工事の内容や費用が変わってきますが、床や壁の内装工事が少ないほど、費用を安く抑えることが可能です。
以下では主な事例を紹介しますが、費用はあくまでも、目安として考える必要があります。
外国人利用者向けに広いトイレにリフォームする場合の費用目安
トイレのスペース拡張工事にかかる費用は、工事内容によって様々ですが、収納スペースの範囲で拡張すると、費用の目安は約20~50万円に抑えることができます。
マンションの場合は、トイレに隣接する部分に十分なスペースがなく、拡張工事をできない場合もあるので、注意が必要です。
和式から洋式トイレにリフォームする場合の費用目安
和式と洋式トイレでは、床の形状が異なります。そのままでは設置できないため、現状の床を壊して、作り直す必要があります。
床の解体やコンクリートの打ち直しを行うことになるため、リフォームに数日を要し、解体処分にかかる作業時間と費用も嵩むことになります。
また、水洗のための給排水設備の新設や変更のほか、コンセントが設置されていない場合は、電源設備の新設や変更も必要となることがあります。
費用の目安は、温水洗浄付きトイレ、紙巻器、タオルハンガーなどの設備・機材費が約13万円~、解体撤去、内装・電気・給排水工事、設置費などの工事費込みで約30万円~となっています。
便器にもグレードがあり、グレードの高いものほど機能性に優れ、グレードの低いものほどシンプルで低価格となります。
全自動洗浄、暖房洗浄便座などの機能を備えた、グレードの高いものは約18万円~が目安となります。逆にタンク付きで、シンプルな暖房便座の場合は約3万円~が目安となります。
トイレに温水洗浄便座を設置する場合の費用目安
すでに洋式便器が設置されている場合は、便座を交換するだけで済むことから、費用を抑えることが可能です。また、交換作業はそれほど複雑ではないため、DIYに慣れている方なら、自ら施行することも可能です。
ただし、温水洗浄便座を設置するためには、トイレ内にコンセントが必要なため、コンセントがない場合などは、別途電気工事が必要です。
温水洗浄便座の設置にかかる費用の目安は、温水洗浄便座費用、撤去・設置費を含め、約5~10万円となっています。
トイレの内装リフォームにかかる費用の目安
便座・便器を交換した後に、取替え前のトイレ跡を残したくない場合や、取替えのついでに内装を新しくしたい場合のほか、床や内装を変えてトイレの雰囲気を変えたいといった場合に、床や壁、天井の張替えを行うことが考えられます。
便器と一緒に、壁や天井などの内装材を取替えると、トイレに新築のような趣を作り出すことが可能です。特に、外国人利用者向けに和風の内装にすると、アピールポイントになることでしょう。
床の張替え工事費用の目安は約2万円~、壁や天井クロスの張替え工事費用の目安は約3万円~となります。
この他にも、トイレドアの交換(約2万円~)、紙巻器やタオル掛けなどのアクセサリー交換(約2,000円~)、窓枠や巾木などの木部の塗装や交換(約1万円~)、照明器具の交換(約5,000円~)などのリフォームが考えられます。
建物を民泊施設に転用する際の寝室の改築パターン
民家を民泊施設にするためには、心地よく宿泊してもらうためにも寝室をはじめ改築・リフォームは必要です。戸建て・古民家など個人宅の建物の種類別に改築のポイントを見ていきましょう。
一戸建住宅を民泊施設に転用する際の寝室の改築パターン
戸建て住宅を民泊施設にする場合、二階建の個人宅であれば二階の寝室をリフォームし、一階のキッチンなどは共有スペースというスタイルが一般的です。
塩ビタイルなどの床材を使用して和モダン風の寝室に改築・リフォームすると、和モダンな雰囲気の民家を好む外国人旅行客に好まれます。強度も有り、水に強い素材になりますのでメンテナンスの面でもメリットがあります。
また、宿泊の荷物を置けるような棚を作ったり、日本の伝統文化に関する本を置いたりするのも外国人旅行客に対するホスピタリティが行き届き高評価を得られるでしょう。
古民家を民泊施設に転用する際の寝室の改築パターン
古民家を改築する場合は、古民家ならではの趣を残すのがおすすめ。例えば囲炉裏などは必要な部分のみ補強工事・リフォームを行い、雰囲気を大切にすれば外国人旅行客も喜ぶでしょう。
二階建の場合は、二階部分を戸建て同様に寝室として使い、一階部分を共有スペースにしてオーナーとのコミュニケーションの場として利用すると良いでしょう。
古民家で部屋数が少ない場合は、宿泊を1組限定にして営業することも可能です。宿泊してもらった方には、口コミを投稿してもらうなどして存在を知ってもらうことも有効です。
建物を民泊施設に転用する際に寝室の改築にかかる費用
それでは具体的に、民家などの建物を民泊施設にするための寝室の改築にかかる費用をご紹介します。
一戸建住宅を民泊施設に転用する際に寝室の改築にかかる費用
二階建の戸建ての個人宅で、洋室一部屋を寝室に改築する場合の費用は、壁紙交換や床の交換が基本工事となり、約50万円~が相場となっています。
必要であればフローリングの貼り替えや、バリアフリーの観点から畳や絨毯をフローリングに交換・リフォームすることもあります。
騒音対策としては、窓を複層にしたり、床にコルクやマットを敷くのも有効です。費用が許すのであれば、消臭効果が高い壁紙や左官の壁、絨毯にすると、営業後の手入れも楽になるでしょう。
古民家を民泊施設にする改築にかかる費用
古民家を民泊施設にするための改築にかかる費用は、古民家の状態にもよりますが、戸建てやマンションより高く約300万円~が相場です。
これは、柱・梁・住宅基礎・耐震性強化など安全性を確保するための補強や、配電盤や水道管などの修理に費用がかかるためです。
マンションの一室を民泊施設に転用する際に寝室の改築にかかる費用
マンションの一室を民泊施設に改築する場合の費用は約25万円~が相場です。宿泊客が使いやすいようにオープンクローゼットにしたり、壁紙を貼り替えたりするのが主流です。
また、内壁と天井に調湿パネルを設置して調湿対策を施したり、耐湿性のある壁紙にするのも営業後のメンテナンスを考えると有効な選択肢です。
フローリングを交換する際は、遮音等級に関する規定がある場合もありますので、必ず管理会社に確認をしましょう。
建物を民泊施設に転用する際に寝室の改築費用を抑える方法
内装の改築で費用を抑えられるのが壁紙の貼り替えです。価格は平方メートルあたり約1000円~が相場で、近年ではホームセンターなどにも壁紙が販売されています。
白の壁紙にすると清潔感が生まれ、写真に撮った際の見栄えも良いため、宿泊客にSNSでの拡散が期待できます。和モダンを演出するならば、抹茶やうす茶色も雰囲気が出ます。
民泊施設に適した天井リフォームのポイント
リフォームと聞くと壁や床の張替えが真っ先に思い浮かびますが、リフォームすることで部屋の雰囲気を特に大きく変える箇所が、「天井」です。
天井リフォームには、簡単にできるだけでなく費用も高額になりにくく、利用できる素材の選択肢が豊富といった多くのメリットがあります。
初期費用を抑えて民泊施設リフォームを済ませたい時や、水回り機器など他の設備にコストをかけたい場合は、ぜひ天井リフォームによる大幅なイメージチェンジに挑戦してみましょう。
低予算リフォームならクロス貼替えがおすすめ
天井は、クロスを張替えたり、板材が剥き出しの天井に新しくクロスを張るだけでも印象が大きく変わります。
クロスは柄や色の種類が豊富なだけでなく、量産品であれば安価に購入できるため、低予算リフォームにおすすめの素材です。
狭くて開放感に欠ける部屋でも、天井のクロスを明るめの色味の新品に交換するだけで、視覚効果で広く明るい部屋のように演出することができるでしょう。
また、クロスが貼られておらず板材がむき出しの天井であれば、そのままクロスを貼だけで工事が完了しますので、既存クロスの処分費用や撤去費用がかからずコストを抑えることも可能です。
メンテナンス重視ならプリント合板の板張りリフォーム
プリント合板とは、ベニヤの合板に木目などの柄や色が印刷された建材です。
本物の木をまるごと使った無垢材と違って価格も比較的安く、表面がコーティングされているので汚れにくく、吹き掃除のみで手軽にメンテナンスを済ませられるなどのメリットがあります。
特に、民泊施設は維持管理を貸主自身が行う場合が多いため、メンテナンスが簡単なプリント合板は得られるメリットが大きいと言えるでしょう。
プリント合板には衝撃にやや弱いという欠点がありますが、天井は人や家具が普段接触しない箇所ですので、耐久性もクリアできていると言えます。
躯体現し天井で都会的な雰囲気に
マンションの天井の多くは「二重天井」になっていますが、1枚撤去して「躯体現し」仕上げにするだけで、天井が高く広い空間にリフォームすることができます。
コンクリートがむき出しになると室内にモダンな雰囲気が生まれるため、都心部で民泊施設を開業する場合は、宿泊者にも喜ばれるでしょう。
ただし、天井を一枚減らす分、部屋の防音性が若干下がる恐れがありますので、取り掛かる前に設計士などに相談しておくことをおすすめします。
また、躯体現し天井にすると、部屋の位置によっては断熱性が落ちることがあり、最上階の部屋は特に太陽熱の影響を受ける恐れがあるため、躯体現し仕上げは避けた方が良いでしょう。
なお、一枚の天井にクロスや板が貼られている「直天井」は、二重天井と違ってそれ以上天井を高くすることはできませんのでご注意ください。
自然素材を使って和の趣を演出
天井に「漆喰」や「珪藻土」などの自然素材を使って塗装リフォームすれば、和の趣が演出できるだけでなく、自然素材が持つ調湿効果や消臭効果も付与することができます。
その他、代表的な自然素材としては「無垢材」があり、天井に板張りすることでお部屋の高級感が増し、調湿効果のほか、天然の木がもたらす香りやリラックス効果なども得られます。
ただし自然素材は費用が割高になりやすく傷つきやすいため、費用を抑えたい、またはメンテナンスを楽にしたいという場合は、天井はもちろん、壁や床への使用は避けた方が良いでしょう。
民泊施設の天井リフォームにかかる費用目安とポイント
以下は、民泊施設で天井リフォームを行う時の費用目安です。
その他、もし予算を越えてしまいそうな時や費用を抑えたい時におすすめの、「型落ち素材」の利用テクニックについてもご紹介します。
天井に空いた穴や傷の補修工事にかかる費用の目安
- 約1万5千~3万円/一箇所あたり
民泊施設開業時に最低限やっておかなければならないのが、穴や傷の補修リフォームです。
天井のクロスや板に激しい傷みやシミなどがなければ、部分的な補修だけでリフォームが住み、初期費用を抑えることができるでしょう。
天井のクロスや板の張替えにかかる費用の目安
- 約2~7万円/20平方メートルあたり
一室の天井約20平方メートルであれば、張替えの工期は約1日で済むことがほとんどです。
なお、下地材に雨漏りやカビなどの劣化が見られる場合は、下地の補修費用がかさむ分費用も高額になり、工期も1日伸びる恐れがありますのでご注意ください。
また、漆喰や珪藻土などの塗材を選ぶと左官工事が発生し、その場合は20平方メートルあたり約11~15万円の費用が発生する可能性があります。
費用を抑えたいなら型落ち素材を利用しよう
新商品が出たために「型落ち」になった素材は、部材価格が下がる傾向にあります。
型落ちといっても中古品や粗悪品ではありませんので、部材の品質自体は保証されおり、民泊施設の天井リフォームで使うことも可能です。
特に、天井は日常的に至近距離で目にしない箇所であり、キッチンや家電と違って機能性は求められませんので、型落ち素材によるリフォームが適していると言えるでしょう。
建物を民泊施設に改築する際の注意点
民泊施設を運営する場合、家主は国に届け出を行い、許可を取得してから運営をしなくてはいけません。ここで民泊を行うために知っておくべき法律をご紹介します。
新法民泊のもとで営業を行う
民泊施設を運営するには、旅館業法とは別に2018年6月15日より施行された新法民泊(住宅宿泊事業法)を遵守する必要があります。
この法律は、旅館業法の元で運営を行うホテル・旅館とは別に、住宅街でも民泊営業を可能とするもので、家主は都道府県や政令指定都市などに民泊申請の届け出をする必要があります。
旅館業法とは異なり、営業日数は最大180日、マンションの管理規約で民泊営業不可、改築・水回り基準を定めていることがあるため管理会社に必ず承諾を得ることなど、注意点が定められています。
さらに、消防用設備の設置や避難経路、トイレや浴槽などの水回り基準、夜間の騒音への注意喚起などをまとめたパンフレット・張り紙の準備も民泊申請と合わせて行うことが必要です。
旅館業法の簡易宿所営業のものとで営業を行う
2020年の東京オリンピックの時だけではなく、長期的に民泊事業を行い時は、旅行業法の中の簡易宿所営業の許可を取得し民泊施設を運営するというやり方もあります。
旅館営業の許可を取得するには原則5部屋以上の客室と、それに伴う定員を必要としますが、ペンション・山小屋・カプセルホテルなどその基準に達しない施設は簡易宿所営業にあたります。
客室数に制限はありませんが、客室床面積や入浴・トイレなどの水回り基準、換気の設置や、自治体によってはフロントの設置も義務付けられています。
もちろん、宿泊客と周辺住民の安全確保のため、寝室や階段付近への煙探知機や消防用設備の設置、避難・通報などの防火安全対策は必須です。
せっかく寝室を民泊用に改築しても、法律を守って申請・設備の設置をしていなければ営業ができなくなってしまうことも。そうならないためにも事前に必ずチェックしておきましょう。
民泊施設改築におけるフローリング張替費用は?パターン別に解説
フローリングの張替え費用は、張替えるフローリングの面積と、張替え作業の工程の数によって異なります。また、合板フローリングにするか、無垢のフローリングにするかという、フローリングの価格の違いでも変わります。
価格帯は広く、簡単には出せませんが、例を挙げながら、費用と工期の目安をご案内します。
物件全室と廊下のフローリングを張り替える場合の費用と工期
物件全室のフローリングを廊下と共に張替えると、施設全体の統一感が生まれ、すっきりしたイメージになります。
民泊物件には様々なタイプがありますが、一般的な1ベッドルーム(リビング)+キッチン+廊下のフローリングを張り直す場合の費用は、約60万~約100万円かかります。工期は、約2週間必要です。
和室の畳をフローリングに張替える場合の費用と工期
和室の畳をフローリングに変更して、ベッドを置くことも、民泊の改築では一般的です。フローリングに変更することで、畳を裏返すなどのメンテナンス作業を減らすこともできます。
畳はフローリングよりも厚みがあるため、畳を外した、そのままフローリングを張ることができません。フローリングが敷居のラインと同じになるように、下地の調整が必要になります。費用は約35万~約65万円、工期はおよそ3日以上かかります。
和室は、柱が壁面より張り出しているデザイン(真壁)になっていることが多く、見た目が気になる場合は、障子や襖とともに、変更が必要になる場合があります。
フローリングを畳に張替える場合の費用と工期
訪日外国人は畳を好む傾向があるため、フローリングを畳に変更し、民泊施設としての魅力につなげられる場合もあります。畳は多目的に使えるほか、イグサの香りなど天然素材を楽しめ、日本らしさを体験してもらえます。
この場合も、フローリングよりも畳が厚いために、部屋の扉が開かないなどの不具合が出ないよう。根太などの組み替えが必要になります。費用は約20万~50万円で、工期はおよそ3日以上かかります。
張替え以外に、フローリングで仕上げられたリビングの一部に畳を敷き、畳を置くスペースをつくる方法もあります。
住宅を民泊用施設に改築する際のフローリング張替えのポイント
フローリングの張替えには、通常のリフォームと同様に工事を進める過程で、想定外の費用が発生することがあります。
どんな費用が発生する可能性があるのかを知っていれば確認もでき、急な増額にも慌てません。フローリングの張替えで確認したい点や、工期短縮、安さにつながるポイントをご紹介します。
既存のフローリングをはがす工事で、普段見えない下地の状態を確認できる
既存のフローリングや畳をはがすと、普段は目にすることのない、下地の状態を確認することができます。
フローリングや畳を支える下地材が、経年劣化や湿気で傷んでいる場合は、補修が必要になります。早めに傷みを発見できれば、簡単な補修で対応できます。
歩くとフローリングがフワフワしたり、きしみ音がしたりする場合は、下地が傷んでいる可能性が高いです。床下の状態は、長く住宅を維持するためには重要なポイントですので、改築の機会に丁寧に対応したい箇所です。
補修費用は、傷みの範囲によって異なり、約5万~15万円になります。また、傷んだ下地材を新しくする場合は、廃材の処理費用も加算されます(約1万円~)。
はがして状態を見ないとわからない部分ですので、補修費用は用意しておいた方が安心です。
フローリングの重ね張りでコストをおさえる
既存のフローリングの上に、新しいフローリングを重ねて張る工法(レイヤー工法)は、既存のフローリングの撤去と処分が必要ないため、コストをおさえることができます。
また、工事中の音やほこりの発生も減らすことができ、工期も短くなるメリットがあります。
重ね張りでは、既存のフローリングに「たわみ」や「ゆがみ」がない状態かの確認が必要です。重ね張りのフローリングは薄いため、既存のフローリングの影響を受けやすくなります。そのため、既存のフローリングにたわみがあると、きれいに仕上がりません。同じ状況が起きるだけでなく、症状が進んで補修をする場合、重ね張りをした費用が無駄になってしまいます。
また、重ね張り用のフローリングを、既存のフローリングの上に重ねるため、その分の厚みが増します。生じてしまう床の段差を解消するため、見切り材での対応や、扉の調整が必要になります。
フローリングの重ね張り工法の費用は、貼り付けるフローリングの価格によって異なり、6帖サイズで約8万~15万円になります。工期は最短1日と短めです。
マンションのフローリング張替えは、管理規約の防音規定に準じなければならない
マンションでは、階下の部屋の住民は他人です。そのため、音の問題には十分配慮しておくことも、民泊施設としてスムーズに運用していくために重要になります。
吸音効果のあるカーペットや畳をフローリングに変更する場合は、特に注意が必要です。そもそも規約で禁止している場合や、遮音性能の高い等級のフローリングに限定している場合もあります。
改築前に、必ず管理規約を確認し、防音規定に沿った遮音性能のフローリング材を使用します。遮音性能の高いフローリング(等級はL-40などと表記されます)ほど、価格は高くなります。遮音等級の表示がメーカー自主表示によりΔL等級によって表記、または併記されるようになってきていますので読み替えて判断し、管理組合や施工会社にご相談ください。
また、防音性能のない無垢のフローリングを選ぶ場合は、無垢のフローリングが禁止されていないかを確認し、下地材で防音基準をクリアしなければなりません。
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