目次
シックハウス症候群とは?
シックハウス症候群とは、新築住宅に使われている建材や家具に含まれる以下の物質により室内が汚染されてしまう健康被害のことです。
- 粒子状物質(菌や生き物を含む細かな物質)
- 化学物質(人工的に作り出された細かな物質)
- 揮発性有機化合物(蒸発することで健康被害をもたらす物質)
住宅の高気密・高断熱化が進む現代では、空気が同じ空間に留まりやすくなる影響で、シックハウス症候群が起こりやすくなっています。
とくに、24時間換気システムを導入していない建物や空気清浄機を置いていない建物では、シックハウス症候群が発生しやすいため十分に注意しなければなりません。
なおシックハウス症候群は、築古の建物でも発生するリスクがあります。
住宅で生活をするすべての人に、シックハウス症候群を発症するリスクが隠れているため、本記事を読んで具体的な対策を理解していきましょう。
シックハウス症候群と似た症状に「化学物質過敏症」というものがあり、2つの症状には以下のような違いがあります。
シックハウス症候群 | 化学物質過敏症 | |
---|---|---|
発症する場所 | 屋内 | 屋内外 |
症状の改善方法 | 原因環境(建物)から離れると改善される | 化学物質のある空間すべてが原因環境であるため改善が難しい |
つまり、シックハウス症候群は屋内限定で発生する症状です。
場所を問わず症状が起こる化学物質過敏症とは、複数の面で条件が違います。
シックハウス症候群の症状
シックハウス症候群は、主に4つの症状を引き起こします。
屋内で体調を崩しやすい人は、自身の症状にあてはまるかチェックしてみましょう。
【症状1】目の不快感
「屋内にいると目の調子が悪くなる」「目が充血してしまう」といった症状がある人は、シックハウス症候群が関係しているのかもしれません。
屋内に漂っている化学物質が目の粘膜に入り込み、痛みを生じさせるケースがあります。
眼障害や視力の低下のリスクもあるため、そのまま放置したり、目をこすったりするのはやめましょう。
【症状2】鼻やのどの炎症
シックハウス症候群を発症すると「屋内にいると鼻水が止まらない」「のどがイガイガする」など、炎症を引き起こす場合があります。
化学物質は目に見えないほど小さいことから、呼吸をする際に鼻やのどの粘膜を傷つけて炎症を引き起こします。
呼吸器官にも影響をおよぼすため、咳などを放置すると、肺炎といった病気を発症するかもしれません。
【症状3】皮膚のかゆみ
細かい化学繊維が肌に付着すると、アレルギー反応を起こして皮膚にかゆみが出る場合があります。
とくに敏感肌の人は、シックハウス症候群でかゆみを感じやすい傾向が強い傾向があります。
肌全体がかぶれたり、ひっかいて傷跡が残ったりすることもあるので、早めにシックハウス症候群を解決しなければなりません。
【症状4】頭痛やめまい
化学物質を吸い込んでシックハウス症候群を発症すると、頭痛やめまいを感じる人がいます。
屋内にいるだけで体調不良になるため、ストレスが溜まりやすいことに注意しなければなりません。
日常生活にも影響が出ることから、原因を見つけて改善することが重要です。
シックハウス症候群が発症する原因
シックハウス症候群を発症する原因に、7つの項目が挙げられます。
自宅の状況と比較して、あてはまる項目がないかチェックしてみましょう。
【原因1】建築材
シックハウス症候群は、建物自体に使われている以下の建築材の影響を受けて発症することがあります。
- 合板
- パーティクルボード
各建築材には、ホルムアルデヒドと呼ばれる揮発性有機化合物が含まれており、アレルギー症状を引き起こすのが特徴です。
長期的に吸引すると、結膜炎や鼻咽喉炎、皮膚炎などのトラブルを発症するおそれがあると言われています。
【原因2】仕上げ材
建築材と同じく、内装に使われている以下の仕上げ材の影響でシックハウス症候群を発症する場合があります。
- 壁材(クロス・漆喰など)
- 床材(フローリング・タイルなど)
人工的につくられている仕上げ材は、建築材と同じくホルムアルデヒドや、可塑剤(かそざい)と呼ばれる柔軟性のある成分を含んでいるのが特徴です。
直接壁に触れたり、はだしで床を歩いたりすると、シックハウス症候群の影響で皮膚のかゆみなどが起こるかもしれません。
【原因3】家具
屋内に配置している家具も、建築材や仕上げ材と同じ材料が使われているため、シックハウス症候群を引き起こす原因になると言われています。
国内で製造されたJAS規定を満たしている製品ではなく、規定などが異なる海外製の家具などを購入すると、原因物質の影響を受けてしまうかもしれません。
【原因4】布製品
屋内に配置する、以下の布製品にもシックハウス症候群を引き起こすリスクがあると考えられています。
- カーテン
- カーペット(ラグ)
- 寝具
たとえば、化学繊維でつくられている製品や、防虫対策の薬剤が使われている製品を屋内に配置すると、かゆみや炎症が起きてしまうかもしれません。
おしゃれなインテリアを購入する際には、入念に素材チェックをする必要があります。
【原因5】タバコ・防虫剤・芳香剤
人によっては、タバコ・防虫剤・芳香剤といった成分に反応して、シックハウス症候群を引き起こす人がいます。
タバコに含まれるニコチンのほか、防虫剤・芳香剤に使われている薬剤のせいで体調不良を起こすかもしれません。
加齢とともに免疫力が落ちてシックハウス症候群を発症する人もいるので、十分に注意しましょう。
【原因6】ダニ
寝具といった布製品などにすみつくダニの影響で、シックハウス症候群を発症する人もいます。
ダニは湿気を好む生き物であるため、6月などの梅雨の時期はダニが繁殖して炎症を引き起こされるケースも少なくありません。
また、ダニに付着した細菌を吸い込むことによりシックハウス症候群を発症する場合もあるので、定期的なダニ対策が欠かせません。
【原因7】カビ・ほこり
自宅に溜まったカビやほこりを放置していると、呼吸をする際に吸い込み、シックハウス症候群を発症することがあります。
掃除を怠った場合に発症する人もいるので、床だけではなく壁や天井も含めてキレイに掃除することが重要です。
シックハウス症候群になりやすい人の特徴
前述した原因のある建物に住んでいる人が、必ずシックハウス症候群を発症するわけではありません。
発症しやすい人ならではの特徴を紹介しているので、自身の生活環境にあてはまるか確認してみましょう。
【特徴1】高気密な家に住んでいる
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の家など、室内の空気を逃さない高気密な建物に住んでいる人は、空気が留まる影響でシックハウス症候群を発症しやすくなります。
気密性を高めることで室内の温度を維持しやすくなりますが、定期的に空気の入れ替えをしなければ、急にシックハウス症候群を発症するかもしれません。
【特徴2】呼吸器疾患を患っている
以下のような呼吸器疾患を患っている人は、患っていない人に比べてシックハウス症候群を発症しやすいと言われています。
- 喘息
- アレルギー性鼻炎
家にいるだけで疾患が起こるため、早めに対策することが欠かせません。
【特徴3】家の清掃を怠っている
普段から掃除を怠っている建物は、ゴミやほこりのないキレイな家に比べてシックハウス症候群を発症しやすいと言われています。
ほこりが溜まると、そこにカビや細菌が繁殖してしまうため、放置すればするほど発症しやすい環境へと変わっていくでしょう。
ほこりやカビは、築古の建物でシックハウス症候群を発症する原因のひとつであるため、定期的な掃除を徹底することが重要です。
シックハウス症候群をセルフチェックする方法
シックハウス症候群を発症しやすい建物なのか、自分でチェックしたい人は、紹介する3つの方法を試してみるのがおすすめです。
【方法1】室内空気中化学物質の空気濃度指針値を調べる
シックハウス症候群の原因物質の値について、厚生労働省が定めている室内濃度指針値をさんこうにすることで、シックハウス症候群を発症しやすい建物なのか判断が可能です。
発性有機化合物 (VOC) | 用途 | 室内濃度指針値 |
---|---|---|
ホルムアルデヒド | 合板 壁紙用接着剤 | 100μg/m3 (0.08ppm) |
アセトアルデヒド | 接着剤 防腐剤 | 48μg/m3 (0.03ppm) |
トルエン | 接着剤 塗料の溶剤 | 260μg/m3 (0.07ppm) |
キシレン | 接着剤 塗料の溶剤 | 200μg/m3 (0.05ppm) |
エチルベンゼン | 接着剤 塗料の溶剤 | 3800μg/m3 (0.88ppm) |
スチレン | 樹脂や合成ゴムの原料 畳心材 断熱材 | 220μg/m3 (0.05ppm) |
パラジクロロベンゼン | 衣類の防虫剤 トイレの芳香剤 | 240μg/m3 (0.04ppm) |
テトラデカン | 灯油 塗料の溶剤 | 330μg/m3 (0.04ppm) |
クロルピリホス | 防蟻剤 | 1μg/m3 (0.07ppb) ※小児の場合は0.1μg/m3 (0.007ppb) |
フェノブカルブ | 防蟻剤 | 33μg/m3 (3.8ppb) |
ダイアジノン | 殺虫剤 | 0.29μg/m3 (0.02ppb) |
フタル酸ジ-n-ブチル | 塗料や接着剤 可塑剤 | 17μg/m3 (1.5ppb) |
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル | 壁紙や床材等の可塑剤 | 100μg/m3 (6.3ppb) |
なお、上記の値を調べる際には、専門機関が販売している「室内空気環境測定キット」を利用するのがおすすめです。
【方法2】 セルフチェックリストを確認する
自分で測定ができないとお悩みの方は、厚生労働省が公開している資料に掲載されているセルフチェックリストを活用するのがおすすめです。
参考:科学的エビデンスに基づく新シックハウス症候群に関する相談と対策マニュアル改訂新版(厚生労働省)
症状をチェックするリストがまとめられており、「はい」の数が多ければ多いほどシックハウス症候群の可能性が高いと判断できます。
【方法3】専門業者に調査を依頼する
本当にシックハウス症候群が起こりやすい建物なのか、正しい判断をしたい方は、専門業者に調査を依頼するのがおすすめです。
専門業者は以下の方法で調査をすることにより、室内環境を詳しく調べてくれます。
- アクティブ法(吸引方式):空気中の化学物質を一度に捕集する方法
- パッシブ法(拡散方式):時間をかけて化学物質を捕集する方法
経験豊富なプロから現状と対策についてアドバイスをもらえるため、自分で判断できない方は専門業者に相談してみましょう。
シックハウス症候群の治療方法
シックハウス症候群の症状が現れている人は、アレルギー科で次の検査を受けることにより、具体的な症状を診断してもらえます。
- 眼球運動検査
- 呼吸機能検査
- 気道過敏性検査
- 瞳孔反射検査
- 化学物質負荷検査
しかし、シックハウス症候群を完全に治療する薬はありません。
症状を緩和する薬を服用しつつ、改善するのを待つしかないと覚えておきましょう。
シックハウス症候群の対策方法
シックハウス症候群は「家を建てるとき」「引越したとき」「日常生活」「古い家」の4つのシーンで対策が可能です。
今の状況に合わせて、対策を始めてみましょう。
【対策1】家を建てるときにできる対策
注文住宅として家を建てるときに、以下のポイントを意識すれば、シックハウス症候群のリスクを減らせます。
- シックハウス症候群を発症させる材料を避ける
- 24時間換気システムを導入する
まず建材には、ホルムアルデヒドの拡散に関するガイドラインが設けられており、F☆☆☆☆やF☆☆☆といった表記がされています。
☆の数が多いほど、シックハウス症候群の原因になりやすいホルムアルデヒドが拡散されにくくなるため、なるべく品質の高いものを選ぶと良いでしょう。
また、気密性の高い家を建てる方は、各部屋に24時間換気システムを導入することが大切です。
空気を循環させて屋外へ排出できる仕組みを整備すれば、原因物質を排除しやすくなります。
【対策2】引越したときにできる対策
引っ越しをした当日は、窓を開いて家中を換気しましょう。
入居する前まで閉め切られていた家には、シックハウス症候群の原因物質が多く漂っているため、新しい空気を取り込んで換気をすることにより、発症のリスクを減らせます。
さらに、壁や床などに原因物質が付着するケースもあるので、要らないタオルなどで家全体を拭きあげる対策も有効です。
【対策3】日常的にできる対策
日常的にできる対策として挙げられるのが、次の項目です。
- 毎日家を換気する(空気清浄機を設置する)
- 掃除機をかけてほこりを取り除く
- 水場の水滴を取り除く
空気中に漂う物質を屋外に出すことはもちろん、日常的に溜まってしまうほこりを除去することにより、シックハウス症候群のリスクを減らせます。
また、洗い物・入浴をした後は使った場所の水気を拭き取ることも重要です。
ほこりやカビを放置するとダニといった害虫も増えてくるので、早めに対処しましょう。
【対策4】古い家でできる対策
築古の建物に住んでいる方は、次の対策を実施しないとシックハウス症候群のリスクが発生しやすくなります。
- 古くなったカーテンを買い替える
- 定期的に家全体の大掃除をする
- 家が広い場合は清掃会社に相談する
古い家であるほど、ほこりやカビの被害を受けやすいのが特徴です。
長く使っているものがある家ほど、シックハウス症候群のリスクが高まりやすいことも含め、この機会に家具を家の外に出して、大掃除を始めてみてはいかがでしょうか。
シックハウス症候群対策としておすすめのリフォーム
シックハウス症候群のリスクや症状を減らしたいなら、今の家をリフォームすることで解決できる場合があるとご存知でしょうか。
具体的なリフォームの例を解説します。
【リフォーム1】 安全な素材に交換する
自宅に使われている仕上げ材にホルムアルデヒドといった原因物質が多く含まれている場合には、基準を満たす安全な素材に交換するのがおすすめです。
たとえば以下に示す方法で、シックハウス症候群のリスクを減らせます。
- ホルムアルデヒドの含有量が少ないF☆☆☆☆の材料に変える
- ほこりがつきづらく、カビが生えにくい素材に変える
リフォーム業者に相談すれば、シックハウス症候群対策としての最適案を出してもらえるので、まずは業者探しからはじめましょう。
【リフォーム2】 24時間換気システムを導入する
自宅の各部屋に24時間換気システムを導入すれば、屋内の空気が屋外に排出される仕組みをつくりだせます。
24時間換気システムとは、常時室内の空気を入れ換えるシステムであり、以下に示す種類のシステムを、通年して稼働し続けるのが特徴です。
- 第一種換気:給気・排気の両方を機械で強制的におこなう
- 第二種換気:給気のみを機械で強制的におこなう
- 第三種換気:排気のみを機械で強制的におこなう
リフォーム工事では、配管の設置といった作業から始めなければなりません。
また空調が効きにくくなったり、花粉やPM2.5などの物質を給気してしまったりすることもあるため、家の状況に合わせて導入を検討する必要があります。
シックハウス症候群対策としてリフォームする注意点
シックハウス症候群対策としてリフォームを始めたい方は、あらかじめ注意点を把握しておくことが大切です。
【注意点1】予算を決めておく
シックハウス症候群対策としてリフォームをする際には、前もって予算を決めておきましょう。
なぜなら、シックハウス症候群対策を意識しすぎると、リフォーム費用が高額になってしまうからです。
たとえば、リフォーム費用の予算を100万円とした場合、和室を洋室に変更する、床下の湿気対策をする、無垢フローリング材などの自然素材に変更するなど、予算に応じて対策する範囲を決めることが欠かせません。
【注意点2】業者選びに力を入れる
リフォーム業者のなかには、高額な金額を請求してくる悪質業者もいるため、比較検討をしながら慎重に業者を選ばなければなりません。
たとえば、以下のポイントを比較することで信頼できる業者を見つけられます。
- Webサイトに豊富な実績が掲載されている
- 見積もり確定後に追加料金が発生しない
- 口コミ・評判が多い(良い)
とはいえ、自分自身で業者を比較するのは大変です。
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シックハウス症候群の対策についてよくある質問
- 新築住宅でシックハウス症候群はいつまで続くの?
-
新築住宅のシックハウス症候群は、建築してからおよそ4~5年続くと言われています。
注文住宅を建てる場合は、なるべく原因物質を減らせる対策をすることが重要です。
また、分譲住宅を購入する際には、築年数が5年以上の建物を選ぶのが良いでしょう。
- シックハウス症候群は完治するの?
-
シックハウス症候群には確立された治療法がないため、現在は完治が難しい病気だと言われています。
ただ原因物質のある場所から距離を置く、原因物質を減らすといった対策で、症状の緩和が可能です。
屋内の清潔さを保つことはもちろん、リフォームをして快適な家づくりを始めることをおすすめします。
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