2024年10月23日更新

監修記事

【2024年】給湯省エネ事業のリフォーム補助金を解説!「エコキュートは対象?予算はいくら?」申請方法も紹介

給湯省エネ事業の補助金制度の詳細な内容・申請方法・対象製品についてわかりやすく解説した記事です。給湯省エネ事業では、エコキュート・ハイブリッド給湯器・エネファームの設置工事で補助金が受け取れます。また対象になるエコキュートの省エネ効果、予算上限や新築も対象になるかなど詳しく紹介しています。給湯器のリフォームを予定している人は、ぜひご覧ください。

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経済産業省のリフォーム助成金「給湯省エネ事業」とは?

給湯省エネ事業」とは、経済産業省が推進する助成金プログラムの一つで、主な目的はエネルギー効率の高い給湯器の普及を促進することです。新たに省エネ性の高い給湯器を購入またはリースする個人や事業所に対して、費用の一部が助成されます。

一般家庭や事業所がエネルギー効率の良い給湯器を設置することを促し、国全体のエネルギー消費を削減し、地球温暖化対策に貢献することを目指しています。

給湯省エネ事業は、持続可能な社会の実現に向けた戦略の一部であり、新たな技術の普及とエネルギーの効率的な使用を奨励するものです。

また、省エネ給湯器への移行により、エネルギーコストの節約と快適な生活環境の両方を実現できるというメリットもあります。

正式名称は「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金」と言いますが、ここでは「給湯省エネ事業」と呼びます。申請期間や助成対象・金額などは下表をご覧ください。

申請期間 2023年3月31日から2023年12月31日まで
(※予算が尽き次第、終了予定)
補助対象 省エネ性能に優れた給湯器の購入またはリース
補助金額 エコキュート:5万円
ハイブリッド給湯器:5万円
エネファーム:15万円

出典:「給湯省エネ事業 事業詳細」(経済産業省)

「住宅省エネ2023キャンペーン」ってなに?

『住宅省エネ2023キャンペーン』は、2023年(令和5年)から始まった新たな助成金・補助金事業です。2050年のカーボンニュートラルを目指す取り組みの一環として、家庭エネルギー消費を大幅に削減するために、断熱性能を強化した住宅の普及や省エネ給湯器の導入等を積極的に推進するために設けられました。

『住宅省エネ2023キャンペーン』では、以下3つの新補助事業があります。

  • 給湯省エネ事業(経済産業省)
  • 子どもエコすまい支援事業(国土交通省)
  • 先進的窓リノベ事業(経済産業省・環境省)

出典:「住宅省エネ2023キャンペーン【公式】」(国土交通省)

住宅省エネ2023キャンペーン』の特徴は、従来組み合わせられなかった国の補助金が併用可能となったことです。たとえば、先進的窓リノベ事業と給湯省エネ事業を同じ工事で申請するといった使い方ができます。

さらに、3つの事業を同時に利用する場合には、一度の申請で手続きが可能です。事業者にとっても、一度で申請できることは手間が省け、効率的です。リフォームの詳細がどの事業に該当するのか確認し、利用する制度を選定してから申請を進めていきましょう。

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給湯省エネ事業の補助金の対象者は?マンションも戸建ても対象に

給湯省エネ事業の補助金の対象者は全世帯で、住戸の種別が戸建て・マンション・アパートいずれも対象です。

補助金対象者は大きく分けて、新築・リフォームで対象機器を取り付ける工事請負契約または不動産売買契約を結んだ人か、対象機器を設置する住宅の所有者などの2つに分けられます。

①:対象設備を設置する住宅の所有者など

②:給湯省エネ事業者と契約を結び、以下1~4のいずれかの手段で本事業の対象となる高効率給湯器(対象設備)を取り入れる

  1. 【工事請負契約】新築の注文住宅に対象設備を購入して設置する
  2. 【不動産売買契約】対象設備が既に取り付けられた新築分譲住宅(一戸建てもしくは共同住宅等)を購入する
  3. 【工事請負契約】改装時に対象設備を購入して設置する
  4. 【不動産売買契約】既存の給湯器から対象設備に替えることを前提にした既存住宅(一戸建てもしくは共同住宅等)を購入する
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給湯省エネ事業では新築でも既存住宅でも補助金対象になる

給湯省エネ補助金が対象とする住宅は、新築住宅と既存住宅で異なります。新築住宅と既存住宅の定義は以下の通りです。

  • 新築住宅:建築されてから1年以内で、まだ誰も居住していない住宅
  • 既存住宅:建築から1年以上経過した住宅、あるいは過去に人が居住していた住宅

なお、住宅の形態は一戸建てであろうと共同住宅であろうと関係ありません。改修工事を行う場合、別荘や賃貸物件、シェアハウスも補助対象となります。

また、住居と店舗が一緒になった物件の場合、補助対象は住宅部分のみとなるため注意しましょう。

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給湯省エネ事業ではエコキュートもエネファームも補助金対象

対象になる給湯器とその補助金額は下表の通りです。

  ①エコキュート ②エネファーム ③ハイブリッド給湯器
お湯を沸かす仕組み 電気と空気の熱でお湯を沸かす 電気とお湯を同時に作り出す 電気とガスでお湯を沸かす
条件 2025年度の省エネ基準を達成した機種 一般社団法人燃料電池普及促進協会(FCA)に登録されている機種 一般社団法人日本ガス石油機器工業会の基準を満たし、年間給湯効率が108%以上の機種
メリット ガスが不要
お湯を沸かすコストが安い
エネルギーの無駄が少ない
災害時に発電できる
必要に応じてお湯を沸かすためのエネルギーが変わる
給湯と暖房が一台で行える
デメリット 導入コストが高い
貯湯タンクの設置スペースが必要
発電した電気は売電できない
ガスが必要
導入コストが高い
設置スペースが必要
ガスが必要
導入コストが高い
設置スペースが必要

どの機器も補助金事務局に登録された製品のみが対象となり、公式HP上で製品型番の検索が行えます。自分の検討している機器が、補助金の対象機器かどうかを事前にチェックしましょう。

①省エネ効果が高いエコキュート(ヒートポンプ給湯器)

エコキュート(ヒートポンプ給湯器)の補助金は一台あたり5万円です。2025年度の省エネ基準を達成したモデルが補助の対象となっています。しかし、「おひさまエコキュート」の場合は、基準を満たしていない機種も補助対象となります。

ヒートポンプ給湯器とは、エネルギーを効率的に利用して給湯する設備です。外部の空気や地中熱をエネルギー源として利用し、冷媒と呼ばれる物質を介して水を温めます。

ヒートポンプシステムの仕組みは、エネルギーを吸収して蒸発させる「蒸発器」、冷媒を圧縮して高温にする「圧縮機」、冷媒から熱を取り出して水を温める「凝縮器」、そして冷媒の圧力を下げる「膨張弁」の4つの部分から成り立っています。

エネルギー源として外部の空気や地中熱を利用するため、省エネ効果が非常に高いのが特徴です。さらに、電気を主なエネルギー源とする従来の給湯器と比べて、CO2排出量が大幅に減るという環境にやさしいメリットもあります。

ヒートポンプ給湯器の導入は、エネルギーの効率的な利用と地球温暖化防止に役立つ設備でもあるといわれています。

②家庭用燃料電池(エネファーム)

一台当たりの補助金額である15万円が家庭用燃料電池(エネファーム)に適用されます。
補助が受けられるのは、一般社団法人燃料電池普及促進協会(FCA)に登録されている機種だけです。

家庭用燃料電池とは、一般的に「エネファーム」とも呼ばれ、自宅で電力と熱を効率的に同時に作り出すシステムのことです。主に都市ガスやプロパンガスを燃料とし、化学反応を通じて電気と熱を直接生み出します。

基本的には、ガスを水素と二酸化炭素に分解し、その水素と空気中の酸素を電池の電極で反応させることで電気を作り出します。このときの化学反応により生じる熱を、給湯や暖房に利用することが可能です。

エネファームの最大の特長は、効率的なエネルギー利用とCO2排出量の削減です。通常、電力会社から供給される電気は、発電所で発電したあとに送電する過程で多くのエネルギーが失われます。

しかし、エネファームは自宅で直接電気を作り出し、生じる熱も有効に利用できるため、エネルギーの無駄が少なく、環境に優しいと言えます。

③ハイブリッド給湯器

ハイブリッド給湯器については、補助金額は一台当たり5万円となっています。補助の対象となるのは、一般社団法人日本ガス石油機器工業会の基準を満たし、年間給湯効率が108%以上の機種です。

ハイブリッド給湯器は、その名前が示す通り、ガスと電気の両方を利用する給湯器のことを指します。通常のガス給湯器と電気ヒーターを組み合わせたシステムを備えています。

特長としては、ガスと電気の使い方を状況に応じて最適に切り替えることができる点です。たとえば、一日のうちで電力消費が低い深夜時には電気を使用してお湯を作り、貯湯タンクに蓄えておきます。一方、一日中でガスの効率が良いとされる夕方のお湯使いが多い時間帯には、ガスを利用します。

状況に応じて最適なエネルギー源を選択することで、エネルギーの効率化を図りつつ、ランニングコストの節約が可能です。さらに、電力会社の時間帯別電力料金(時間帯別電力)を上手く利用することで、より経済的になる場合もあります。

ただし、ガスと電力の両方を使うため、設置する際にはガス配管と電気配線の両方を考慮する必要があります。

給湯省エネ事業の補助金対象になる給湯器のメリット比較

給湯省エネ事業では、以下の3つの給湯器に対して補助金が支給されます。

  • エコキュート
  • エネファーム
  • ハイブリッド給湯器

この中でエコキュートは電力と空気の熱エネルギーを用いて水を温める装置で、他の二つとは異なり、ガスは必要ありません。そして、主な熱源が圧縮により高温化した空気であるため、他の給湯器と比較してランニングコストが抑えられる傾向にあります。

ハイブリッド給湯器は、電力とガスの両方を使って水を加熱します。ガスと電力を適宜切り替えて利用するため、ガス給湯器と比べて経済的になることがありますが、エコキュートほどの節約は見込めません。

エネファームは、給湯機能と電力生成機能を両方持つ装置です。発電過程で発生した余熱を使用して水を温めるため、エネルギーの無駄遣いを防ぎます。ただし、エコキュートが40万円から70万円程度であるのに対し、エネファームは100万円以上となることが多いです。

運用費や設置費用などを全体的に考慮すると、給湯省エネ事業に申し込む際はエコキュートが人気のため選択肢のひとつにするのが良いでしょう。

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給湯省エネ事業の補助金対象にならないものは?

補助金の適用外となる項目には、中古製品やメーカー保証範囲を超えた設備、住宅以外での設置、エネルギー効率が前の機器より低い製品の使用、補助金額を下回るコストの工事が含まれます。

さらに、自分自身で行うDIY工事や、建主が直接対象機器を提供する方式、対象機器と設置が分離された工事も補助金の適用外です。

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給湯省エネ事業の補助金額・補助上限額

給湯省エネ事業の補助額は導入する機器によって異なります。それぞれの機器ごとの補助額は、下表をご覧ください。

機器 エコキュート エネファーム ハイブリッド給湯器
補助金額 1台あたり5万円 1台あたり15万円 1台あたり5万円

給湯省エネ事業では、エコキュート・ハイブリッド給湯器の場合、1台あたり5万円です。エネファームの場合は1台あたり15万円となります。

ただし、補助金の申請は戸建て住宅では最大2台、共同住宅では最大1台までの上限があるため注意が必要です。

たとえば、二世帯住宅にエコキュートを2台導入した場合、補助金は合計で10万円、エコキュートとエネファームをそれぞれ1台導入した場合、補助金は合計で20万円となります。

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給湯省エネ事業の申請はいつまでにすればいいの?

給湯省エネ事業は、2022年11月8日以降に開始され、遅くとも2023年12月31日までに契約が成立した工事が補助金の対象となります。

契約が成立した日 2022年11月8日から最長で2023年12月31日まで(ただし、予算上限に達した場合はそれ以前に締め切り)
作業開始日 給湯省エネ事業者(住宅省エネ支援事業者)の登録申請日以降(こどもみらい住宅支援事業(国土交通省)の登録事業者については、事務局開設日である2022年12月16日、あるいは登録申請日のいずれか遅い日)
支給申請期間 2023年3月末から予算が上限に達するまで(最終的には2023年12月31日まで)

補助対象となる契約日は2022年11月8日から2023年12月31日までで、支給申請は2023年3月下旬から開始します。作業開始日は登録事業者により異なります。

事業の予算は300億円と定められており、これが上限に達した時点で申請の受付が終了します。利用したい方は早めに工事を計画することをおすすめします。

給湯省エネ事業の公式HPでは、予算と申請金額の比率が定期的に公開されています。こまめにチェックして、利用できるかどうかを確認しましょう。

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給湯省エネ事業の補助金対象になるための条件は?

補助金の対象になるためには、給湯器を新しく買う場合と、給湯器をリースする場合で条件が異なります。ここでは、それぞれのケースについて詳しく解説します。

給湯器を新しく買う場合

給湯器を新しく買う場合は、4つの基準を満たす必要があります。ここでは、4つの基準を詳しく解説していきます。

【基準その1】工事の内容

「給湯省エネ事業」の認定事業者と契約し、以下の方法のいずれかで効率的な給湯器(対象機器)を取り付けた場合に対象になります。

  • 新築住宅で対象機器を購入、設置(工事請負契約)
  • 新築の分譲住宅(戸建てまたはマンション等)に対象機器が設置されているものを購入(不動産売買契約)
  • リフォームに対象機器を購入、設置(工事請負契約)
  • 既存の給湯器を対象機器に取り替えた既存(中古)住宅(戸建てまたはマンション等)を購入(不動産売買契約)

【基準その2】対象機器を設置する住宅の所有者など

所有者とは、以下の人々を指します。ただし、新築分譲業者や再販業者など、販売目的で住宅を所有している人々は対象外となるため注意が必要です。

  • 住宅を所有し、そこに住む個人またはその家族
  • 住宅を所有し、貸し出す個人または法人
  • 賃借人
  • 共同住宅の管理組合・法人

【基準その3】対象となる住宅

対象となる住宅は、以下のいずれかを満たす必要があります。なお、戸建てまたはマンションなどの形態は問われません。

  • 新築住宅、既存住宅
  • 建築後1年以内で、まだ誰も住んでいない住宅(※1)
  • 建築後1年以上経過した住宅、または過去に人が居住したことがある住宅(※2)

※1「建築日」は、基本的に検査済証の発行日
※2 新たに対象機器が設置されていても、既存住宅の購入は補助対象外

【基準その4】工事期間

補助金を受け取るには、工事の契約日は「2022年11月8日~2023年12月31日まで」と定められています。また、工事開始日は、「給湯省エネ事業」の認定事業者の登録申請日以降となります。

具体的な日付は以下の通りです。

  • 【新築注文住宅】住宅の工事開始日
  • 【新築分譲住宅】住宅の引き渡し日
  • 【リフォーム】対象機器(初めての1台)の設置工事開始日
  • 【既存住宅の購入】住宅の引き渡し日

給湯器をリースする場合

給湯器をリースする場合、補助金を受け取るには、以下の4つの基準を満たす必要があります。

【リース基準その1】工事の内容

  1. 建築を依頼した新築住宅に対して、建築主がリースにより対象機器を設置する
  2. 建設途中の分譲住宅(一戸建て)に、住宅購入者がリースにより対象機器を設置する
  3. 建設途中の分譲住宅(アパートやマンション等)に、管理組合等がリース(※3)により対象機器を設置する
  4. 既存住宅(一戸建てまたはアパートやマンション等)の改修時に、住宅所有者等がリースにより対象機器を設置する

※1 住宅省エネ2023キャンペーンの住宅省エネ援助事業者に登録し、「給湯省エネ事業」に登録された事業者。「補助金利用を相談できる事業者の検索|こどもエコすまい支援事業事務局」から検索可能(公開を希望する登録事業者のみ)。
※2 全ての場合でリース契約書(借家契約書)の提出が求められます。
※3 分譲事業者のリース契約を管理組合が引き継ぐ場合も含む。(2022年11月8日以降の契約に限り、リース契約の当事者でない住宅購入者が、戸ごとに補助を受けることはできません)

【リース基準その2】対象機器を設置する住宅の所有者など

住宅の所有者は以下のような人々を意味します。ただし、住宅の所有者であっても、売却目的で住宅を所有する新築分譲事業者や買取再販事業者は対象外です。

  • 自宅として持ち、住む個人またはその家族
  • 所有住宅を貸し出す個人または法人
  • 借家人
  • 共同住宅などの管理組合・管理組合法人

【リース基準その3】対象となる家は次の条件を満たす家

なお、一戸建て・アパート・マンションなどの形態は問われません。

  • 新築住宅
  • 既存住宅
  • 1年以内に建設され、かつ未居住の住宅

※「建築日」は、原則、検査済証の発出日とする 1年以上前に建設された住宅、または過去に人が居住した住宅。
※未使用の対象給湯機器が設置されていても、既存住宅の購入は補助対象外です。

【リース基準その4】補助対象期間

工事の契約日は「2022年11月8日~2023年12月31日まで」です。工事開始日は、「給湯省エネ事業」の認定事業者の登録申請日以降となります。具体的な日程は以下の通りです。

  • 新築注文住宅:住宅の工事開始
  • 新築分譲住宅:住宅の引き渡し日
  • リフォーム:対象機器(初めての1台)の設置工事開始日
  • 既存住宅の購入:住宅の引き渡し日
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給湯省エネ事業の申請方法を解説

給湯省エネ事業で補助金を受け取るには、申請方法を事前に理解しておくことが重要です。ここでは、申請方法として、事業者登録申請、申請手続きのおおまかな流れ、申請に必要な書類、台数制限について詳しく解説します。

事業者登録申請について

給湯省エネ事業では、対象設備の購入を行う事業者が依頼者に代わって補助金の申請を手続きします。依頼者自身が直接補助金の申請をすることはありません。

補助金を申請するためには、事業者が事業の開始前に代行事業者としての登録を完了していることが条件です。そのため、工事を依頼する際には、選んだ業者が事業者登録を済ませているかを確認してください。

なお、事業者登録の申請は2023年1月17日から開始されています。

申請手続きのおおまかな流れ

給湯省エネ事業を利用する方法を、下表にまとめました。

①製品購入と事業者登録 購入契約は2022年11月8日以降に締結する必要があります。事業者としての登録が工事開始前であれば、購入契約の後でも大丈夫です。
②設備の工事 給湯器の工事が始まり、完了まで進行します。
③補助金の申請 工事が完了したら、代行事業者が補助金の申請を行います。
④補助金の承認と交付 審査が完了すると、定められた手続きを経て補助金が交付されます。この補助金は代行事業者ではなく、直接施主に交付されます。

申請に必要な書類

給湯省エネ事業で必要な書類は下表の通りです。

本人認証書類 運転許可証またはマイナンバーカードなど、本人であることを証明する書類
口座情報確認書類 通帳の写しやスクリーンショット
契約および工事開始日証明書類 工事契約書のコピーなど、契約日と着工日がわかる文書
工事前後の日付付き写真
給湯器の固有番号確認書類 給湯器の写真や保証書など、給湯器の個別番号が確認できるもの

一戸当たりの台数制限

給湯省エネ事業では、住宅のタイプにより、補助対象となる設備の数量が制限されています。一戸建て住宅では、最大2台まで補助対象となる設備の申請を受け付けます。

設備の種類に制限はなく、たとえばエコキュートを2台、あるいはエコキュートとエネファームをそれぞれ1台ずつのように、自由に選択して申請できます。

しかし、マンションやアパートなどの共同住宅では、補助対象となる設備は1台までと制限されているため注意が必要です。

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申請方法に関する3つの注意点

給湯省エネ事業を申請するときには、いくつかの注意点があります。ここでは、申請するときの3つの注意点を解説します。

【申請方法の注意点①】申請期間は2023年12月31日!でも予算上限に達して終了することも

補助金の申請期間は2023年3月31日から2023年12月31日までと定められていますが、用意された予算の300億円に達した段階で受付が終了します。

2023年5月の段階で、既に総額の5%分の申請が行われています。ただし、現在の進行具合を見ると、予算が即座に上限に達することは考えにくいです。

しかし、給湯器の購入は秋や冬に向けて増える傾向があるため、そのタイミングで申請ができない可能性もあるため注意が必要です。

また、給湯省エネ事業では、契約日と工事開始日が重要です。契約日については、2022年11月8日以降であれば、補助金申請の対象となる可能性があります。これは2023年3月31日前に契約を結んだ場合でも該当します。

工事開始日は状況により異なり、詳細は以下の通りです。

  • 注文建築の新築住宅では、住宅建築の着工日
  • 新築分譲住宅では、住宅引き渡しの日
  • リフォームの場合は、対象設備の設置工事開始日
  • 既存住宅を購入する場合は、引き渡し日

それぞれの状況に応じて工事開始日の定義が異なるため、注意しましょう。

【申請方法の注意点②】「先進的窓リノベ事業」や「こどもエコすまい支援事業」との併用

給湯省エネ事業は、国の予算を元にした補助金制度であるため、同様に国庫から支給される他の給湯器補助金制度との併用は許可されません。

ただし、地方自治体が主導していて国からの財源供給がない補助金制度とは併用できます。

国が実施している補助金制度の中には、「住宅省エネ2023キャンペーン」の下で行われている「こどもエコすまい支援事業」や「先進的窓リノベ事業」などがあります。

これらも国の予算を元にした補助金制度ですが、補助の対象となる給湯器が重複しない場合、併用可能です。

一般的に「給湯省エネ事業」と「先進的窓リノベ事業」の組み合わせは問題ありませんが、「給湯省エネ事業」と「こどもエコすまい支援事業」の組み合わせは注意が必要です。

たとえば、先進的窓リノベ事業は窓や窓ガラスの改装が主な対象となるため、給湯器のリフォームと並行して利用できます。しかし、こどもエコすまい支援事業はリフォーム工事に給湯器が含まれることがあるため、給湯省エネ事業と併用して同じ給湯器に対する補助金は申請できません。

重複した申請が行われると、両方の申請が無効とされ、返金が必要となる場合があります。

そのため、給湯省エネ事業とこどもエコすまい支援事業を一緒に利用したいときは、給湯器のリフォームについては給湯省エネ事業を、その他のリフォーム工事についてはこどもエコすまい支援事業を利用、といったように申請すると良いでしょう。

【申請方法の注意点③】申請を予約する

補助金の申請は工事が完了し、引き渡し後に一度に行えますが、工事が始まった後でも予約申請ができます。

近年、補助金に対する関心が高まりつつあり、たとえば2022年の「こどもみらい住宅支援事業」では、期限日が来る前に予算が上限に達してしまいました。

補助金の助けを借りて工事を契約したものの、最終的に補助金が得られないなどの状況を避けるためにも、予約申請をしておきましょう。予約申請を行うことで、予約後3ヶ月間は、補助金の予算が確実に保証されます。

予約申請をしておけば、予算が上限に達して申請受付が終了してしまっても、補助金が保証されているため、工事完了を焦る必要はありません。

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給湯省エネ事業と「こどもエコすまい支援事業」とは何が違う?

こどもエコすまい支援事業」は、若い夫婦や子育て中の家庭が高いエネルギー効率を持つ住宅を購入した際に、最大100万円、また、全ての家庭が該当するリフォーム工事を実施した場合、5万円から30万円の補助金が受け取れる制度です。

こどもエコすまい支援事業は給湯省エネ事業とは異なり、エネファームは補助対象になりません。また、エコキュートとハイブリッド給湯器に対する補助金の金額が給湯省エネ事業よりも低いというのが特徴です。

機器 エコキュート エネファーム ハイブリッド給湯器
給湯省エネ事業 50,000円 50,000円 150,000円
こどもエコすまい支援事業 27,000円 27,000円 なし

そして、こどもエコすまい支援事業では補助金の総額が5万円を超えなければ申請できません。

また、台数に関わらず一定の補助金である27,000円が付与され、補助対象となるには給湯器の設置以外の工事も必要になるため注意が必要です。

【2023年】こどもエコすまい支援事業のリフォーム補助金を解説!対象工事の条件や申請方法も紹介!

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給湯省エネ事業と「先進的窓リノベ事業」とは何が違う?

給湯省エネ事業と先進的窓リノベ事業は、どちらも国から提供される補助金制度ですが、補助対象となる領域が異なります。

給湯省エネ事業は、省エネ性の高い給湯器やエコキュート・エネファーム・ハイブリッド給湯器の取り付けに対する補助金です。対象となるのは、新築住宅や既存住宅のリフォーム時に省エネルギーの給湯器を導入する場合などです。

一方、先進的窓リノベ事業は、高性能な窓へのリフォーム工事に対して補助金が交付されます。窓の断熱性能を高めることで冷暖房負荷を減らし、エネルギー消費を削減することが目的です。

給湯省エネ事業と先進的窓リノベ事業の違いは補助対象が「給湯器のエネルギー効率向上」か「窓の断熱性向上」かという点です。

【2024年】先進的窓リノベ事業の補助金を解説!「予算はいつまで?リフォーム対象は?」申請方法も紹介

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】久田麻里子

2級建築士、インテリアコーディネーター、住環境福祉コーディネーター。ハウスメーカー、リフォーム会社での建築業を幅広く経験。主婦・母親目線で様々なリフォームアドバイスを行う。主な担当は水回り設備リフォーム、内装コーディネート、戸建てリフォームなど。

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