目次
耐震天井とは?
日本は地震の多い国として知られています。これから起こりうる地震から身を守るため、家屋の耐震対策をしっかりする必要があります。
耐震対策としては、家の外装である屋根や壁、柱や土台の補強がよく行われますが、家の内装の耐震対策も非常に重要です。
内装の中でも、天井の耐震対策を行うことは家の強度を高めます。
一般的な天井は吊り天井というものです。吊り天井は、建物の天井裏から金属のボルトなどの吊り材で枠組みを吊り下げ、表面に石膏などの天井ボードを取り付けたものです。
スペースができる分、配線や配管を天井裏の空間に配置したり、空間が遮音の役割を果たすというメリットがあります。
しかし、天井をぶら下げている構造のため、地震の揺れの影響を受けやすく、天井の破損、落下が発生しやすくなるというデメリットがあります。
地震時に破損、崩壊が起こらない天井にするには耐震天井の工事をすることがおすすめです。
耐震天井とは、クリップなどパーツの補強、ブレース(筋交い)の取り付け、クリアランス(隙間)の設置の3つのポイントをクリアした、耐震設計の天井のことです。
実証試験や性能評価をクリアした天井にすることで、安心して暮らせる住まいの実現に近づけるでしょう。
耐震天井にする必要性とは?
これまで天井は内装の一部とされており、耐震基準がありませんでした。
しかし、最大震度7の地震を観測した東日本大震災では、大規模な建物の天井脱落による被害が大きかったことを受け、天井の耐震性を見直されることとなったのです。
平成25年に建築基準法が一部改正され、特定天井に該当する場合は脱落防止対策が必要になりました。ただし、対象となるのは6m以上の高さにある200㎡以上の場合ですので、一般住宅にはほとんど適用されることはないでしょう。
高い場所からの天井落下は、大きな衝撃をもたらします。天井を軽くする、または脱落しないように補強することは重要です。特定天井に指定されなかった住居においても、天井の耐震性を高めることは、地震対策として有意義なことといえるでしょう。
課題点としては、耐震天井の施工技術を持ち合わせている業者が少なく、耐震天井の普及があまり進んでいないことがあげられます。
天井の耐震基準は?
平成23年3月に発生した東日本大震災では、天井の落下により事故が相次ぎました。そこで平成25年8月に建築基準法施工第39条が改正され、「特定天井の構造方法」が明確化されました。
特定天井とは脱落によって重大な危害を生じる天井とされ、具体的には「高さが6M超、面積は200㎡超、質量2㎏/㎡超の吊り天井で人が日常利用する場所に設置された天井」と定義されています。
具体的には体育館や空港等、大型施設の天井が該当することが多いです。
既存の建物や新築計画中の建物が特定天井に該当する場合は、ネットやワイヤの設置といった定められた対策、防災拠点施設であれば行政指導による改修といった対策が必要となります。
既存建築物の場合は天井が損傷しても落下しないような落下防止措置を講じる必要があります。新築の場合は、震度5弱~5強で天井が損傷しないことを検証し安全性を示す必要があります。
検証方法は3ルートあり、いずれかのルートで検証する必要があります。仕様ルート、計算ルート、大臣認定ルートがありますが、いずれにしても業者に依頼をして耐震性を検証してもらう必要があります。
対応可能な業者が限られてしまうため、しっかりと対応可能な業者を選定する必要があります。
天井を耐震補強の方法は?
天井の耐震補強の方法はさまざまあり、天井の状態や検証方法・結果によっても変わってきます。そんな耐震補強の方法を紹介していきます。
吊りボルト
吊りボルトを天井に設置し支持材に緊結する工法です。この工法は天井を吊りボルトで支持することにより天井の落下を防ぎます。
こちらの工法は吊りボルト単体で使用されることもありますが耐震クリップや耐震ブレースと併用して使われることが多いです。
クリアランス施工
天井のふところに応じて、天井材・段差と壁の間のクリアランスを設置する施工の事を言います。これによって地震の際に天井と周囲が衝突することによる破損・落下を防ぎます。屋内運動場のような比較的大きな天井がある場所で施工する例が多いです。
膜天井
膜天井は特定天井に指定されませんが、大空間でも高い安全性を持つ天井構造です。耐震補強にはあたりませんが、代替案として紹介します。
膜天井は軽い・柔らかい・強いという特徴を持っており、吊り材が不要なので室面積や天井高さに制限されることなく、広い天井にも施工可能です。
既存の天井の耐震性を上げるために補強するといった工事では、万一の落下の際には被害を抑える事はできません。膜天井なら軽い為、万一の落下でも安全なのでおススメします。
耐震天井の工事方法
天井の耐震診断
工事が必要な天井かどうか耐震性をチェックします。地震で壊れなかったからといって耐震性が高いと考えるのは危険です。見た目では分からない破損を発見する可能性もあるため、点検口や仮設通路を作ったうえでの目視をするのがよいでしょう。
耐震天井工事の工程
耐震診断の結果、工事をする必要があると診断されたら、工事計画書を作成します。同時に費用の算出をします。
工事は3つの工程です。クリップ、ビスなどパーツをしっかり固定して取り付け、部材の強度を高めます。次に、ブレース(筋交い)を取り付け、天井の揺れを抑えます。最後に、クリアランス(隙間)を壁との間に作り、衝突を防ぎます。
不備がないか確認し終えたら、工事完了となります。
天井の耐震クリップとは?
クリップとは下地材を結束している部品の事で、これは地震時に落下原因として挙げられるもののひとつです。耐震クリップとは、既存のクリップに追加して耐震クリップを追加する事により天井の破損と落下を防止する工法のことです。
この工法のメリットは耐震クリップをはめ込むだけなので手間がほとんど掛からないことです。
そのため、広さにもよりますが工期が短いので重宝されています。また、材料も少なくて済むことから、他の耐震天井と比べてローコストで済む事もメリットの一つとされています。
耐震クリップ工法は、体育館や大規模なホールなどの天井破損や脱落対策として多く使われている工法で、在来工法に比べて約2倍の揺れに耐えることができます。
天井の耐震ブレースとは?
耐震ブレースと天井の振れ止め対策の事をいいます。天井のふところが大きな場所は吊りボルトが長くなり、地震時に天井の揺れにつながるので天井の破損、脱落を起こしやすくなります。
そこで水平力を負担するためにブレース材と呼ばれる振れ止めを吊りボルトや野縁受けの部分に強度のバランスを考えながら設置していきます。この時、バランスよく分散させる為にV字に取り付けることが多いです。
こちらの工法も耐震クリップ工法と同様に手間が少なく、工期、費用とも抑える事ができます。さらにクリップ工法と平行して施工可能な部分も魅力の一つです。
また導入される場所としても、耐震クリップ工法で挙げた体育館やホールに加えオフィスにも使用されることが多いです。
耐震天井のリフォームは住みながら可能か判断するためには?
耐震天井のリフォームをする際に、住みながら工事ができるのか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ここでは、住みながら耐震天井のリフォームができるのか、判断するための流れについて見ていきます。
まずは耐震診断を行って耐震天井リフォームの内容を把握
建物によって耐震天井リフォームの方法は異なります。
すべて解体してから工事を行う必要があるものもあれば、解体せず一部を補修するだけで耐震性が向上するものもあります。
まずは耐震診断を行い、どの部分に負担がかかっているのかなど建物の弱点を知ることが大切です。
耐震診断の結果から、どの程度の耐震リフォームが必要なのかを把握することが可能になります。
耐震天井リフォームの工事内容・日程を検討
耐震診断の結果をもとに、リフォームの内容や工事にかかる日数・日程を検討します。
工事の日数は工事内容や広さなどにより大きく異なります。耐震金具を取り付ける程度の補強であれば約2日〜約3日で終わることがほとんどですが、ほぼ一からの耐震天井にするには約2週間かかるのが一般的です。
工事内容・日程から住みながらの工事が可能かどうか決定
決定した工事内容や日程から、住みながらの工事が可能かどうかを判断します。
工期が短くて済む場合や、天井を解体せずに行える工事の場合には住みながらの工事が可能でしょう。
しかし、一度天井を解体する必要がある場合や、工期が2週間以上かかる場合には仮住まいを検討した方がよいでしょう。
住みながらの耐震天井リフォームを行う際には、工事中の人の出入りが激しいこと、騒音が発生すること、立ち入りできない場所が出てくることなど、生活に支障をきたす点があることに注意が必要です。
耐震天井の工期
耐震天井にするためにかかる期間は、建物の規模や屋根の広さなどによって異なるため、詳細は見積もり時に業者に直接確認する必要があります。
しかし耐震天井にする場合は、約2週間程度はかかると考えていいでしょう。
ただし耐震金具を天井に取り付けるだけなどの規模の小さい工事の場合は約2日間の工期が一般的であるため、短期間での天井耐震リフォームが可能となります。
耐震補強する場所やどのような耐震金具を使用するかによって工期が変わるということを頭に入れておくといいでしょう。
耐震天井がもし破損してしまったら?
大きな地震の揺れに対応する耐震天井ですが、絶対に破損しないということはありません。そこで、JACCAが行っている耐震天井保証制度を施行前に申請することで、破損が起きた場合の保証を受けることができます。
地震により建築用鋼製天井下地またはシステム天井フレーム材が落下した場合、規定の範囲内において現状復旧の対応をしてくれます。
保証限度額は施工金額の範囲内とし、保証書1枚につき、3,000万円までとなっています。
保証期間は5年間です。ただし、5年ごとに有料の点検を受け、更新手続き(有料)を行った場合のみ、最長30年間まで更新できます。
定期的な点検以外にも
- 震度5以上の地震、火災、水漏れ、水没等が発生した場合
- 建物の大規模な修繕、増改築、天井に係る電気設備等の設置、修繕、撤去をする場合
いずれかの事項が発生した場合は点検を受けなければなりません。
耐震天井にするメリット・デメリット
メリット
耐震天井化してある家屋では、想定可能な範囲の地震であれば、過去に例がないような揺れでない限り天井が破損したり落下することはないと言われています。
また、地震大国日本では震度2〜4程度の地震が頻繁に発生していますが、度重なる地震が発生しても耐震性が下がらないとされています。
天井の落下を防ぐことは、人命を守ることに繋がるため安心して建物を利用できるでしょう。
デメリット
耐震天井のデメリットは、緻密な耐震設計や施工技術が必要になるため施工できる業者が限られることです。
また、安全を確保するために施工する際に手間がかかるため、人件費が高額になったり工期が長くなったりする可能性があります。
その他に、耐震天井の場合は壁とのクリアランス(隙間)を開ける必要があるため遮音性能や防音性能を保つことも難しくなります。
耐震天井のリフォームにかかる費用・相場
天井の耐震リフォーム工事では、耐震用のクリップやブレースなどの金物が用いられます。
耐震用のものを使用していない場合と比べて、耐震性が約2倍になるといわれています。
この耐震、補強リフォームにかかる費用の相場は100平方メートルあたり約20万円です。
使用される金物の耐震性の高さにより価格の相場が異なります。耐震性が高いものほど価格の相場が高くなります。
いずれにしても約15万円~20万円で施工でき、定期的なメンテナンスも必要ないため、耐震性が高いものを選ぶことがポイントです。
しかし、事前に耐震診断を行う場合、天井の面積などによりますが、約30~50万円ほどかかるため、耐震診断を受けるつもりならその費用がかかることに注意が必要です。
天井の補強工事のため、屋根裏に入るときに天井点検口を広げたり壁を加工する必要がある場合もあります。
その場合は廃材が発生するため、廃材処分費が別途請求されます。そして、元の状態に戻す際に壁やクロスをするのにも別途費用がかかります。
耐震天井の施工が可能な業者の探し方は?
インターネットから情報を収集する
すべてのリフォーム業者が耐震天井の施工に対応している訳ではありません。
耐震診断や耐震リフォームは比較的新しいノウハウや技術が必要とされるため、ベテランの職人さんでも耐震の工事を行ったことがない方のほうが多いのが現状です。
そのため、まずは耐震天井リフォームに対応している業者の情報をインターネットで集める必要があります。
業者を決める際には、きちんと耐震診断を行っているか、工事内容についてわかりやすく詳細な説明をしてくれるか、適切な日程設定を行ってくれるかなどが判断のポイントです。
特に、耐震リフォームを効果的に行うためには耐震診断が大切になってきます。きちんとした診断を行わずに診断結果を出すような業者には気を付けましょう。
ハピすむを活用して天井耐震に対応している業者を探す
業者を決める際、どの業者であれば安心して工事を任せられるのかわからないとお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ハピすむでは、厳しい審査を通過した全国1000社以上の優良なリフォーム会社をご紹介しています。
リフォームについて詳しいスタッフによるサポート体制も整っており、リフォームにまつわるご相談に乗りつつ、お客様にぴったりなリフォーム会社選びのお手伝いをしています。
耐震天井に対応している業者探しにお悩みの際にはお気軽にご相談ください。
簡単に無料で見積もりが出来ますので、ぜひこちらからリフォーム費用の無料相見積もりをご利用ください。
耐震天井のリフォームに補助金・助成金は出る?
耐震天井のリフォームにかかる費用を少しでも抑える方法として、各自治体で補助金の支給を行っている場合がありますので、積極的に活用しましょう。
住宅・建築物安全ストック形成事業
住宅・建築物安全ストック形成事業とは、住宅・建築物の最低限の安全性の確保のための制度です。建物所有者が実施する住宅・建築物の耐震診断、耐震改修などを行う際に、地方公共団体と連携し、国が補助金を受給してくれます。
対象となる天井は、固定された客席を有する劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場等となります。
防災拠点施設である体育館、庁舎等。6m超の高さにある200㎡超の吊り天井を有する建築物、耐震診断の結果、天井が脱落する危険性が高い建築物です。
補助の対象費用は天井の耐震改修工事費です。撤去費用も含まれます。1回の申請で補助される限度額は、天井面積1平方メートルあたり31,000円となっています。
耐震天井のリフォームと併せてするべき工事は?
住居の耐震性を高めるために、他の箇所の耐震工事を同時にすることをおすすめします。
耐震対策として有効な工事として、内壁側から壁補強をする工事、外壁側から壁補強をする工事、建物の基礎部分を補強する工事、屋根を軽量のものにする工事などがあります。
すべての工事をするとなると多額の費用がかかってしまうため、予算内でできるよう工事に優先順位をつけましょう。費用対効果の高い補強工事を優先して組むのがおすすめです。
壁紙・内壁リフォームの業者選びで後悔しないために
必ず相見積もりを複数取って比較しましょう!
なぜならリフォームの費用・工事方法は、業者によって大きく異なるからです。
とはいえ「信頼できる業者が分からない」「何度も同じ説明をするのが面倒」と踏み出せない方もいらっしゃると思います。
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