2024年03月19日更新

監修記事

築30年・築35年の住宅のリフォームと建て替えを比較!

何らかの不具合や故障が発生し始める築30年の家は、リフォーム費用も高額になりやすく、同じ費用を掛けるのであれば、建て替えを選択すべきか悩んでしまうものです。この記事は、築30年と築35年の家で、リフォームと建て替えそれぞれのメリット・デメリットや費用を解説しています。

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築30年前後は家のメンテナンスを行う時期

「住宅の平均寿命は約30年」という説を、一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

国土交通省の『平成27年度住宅市場動向調査』によると、リフォームを実施した住宅の平均築年数は、約27.9年という結果になりました。

つまり、新築から30年経つと、家のリフォームを行わなければならない時期に差し掛かることになります。

では一体なぜ、住宅の寿命は築30年と言われ、リフォームが必要になってしまうのでしょうか?

ほとんどの設備に耐用年数が訪れる

30年という期間は、ほとんどの設備に故障や不具合が発生し始める時期でもあります。

主な住宅設備の耐用年数

・トイレ:約10年
・給湯器:約15年
・外壁、屋根:約10~15年
・キッチン、お風呂、洗面台:約20~25年
・フローリング:約20~30年

設備は、使い方や施工の仕方次第で、長く使うこともできれば、反対にすぐに壊れてしまうこともありますが、リフォームを行うべきかどうかは、この耐用年数を目安に判断することができます。

ほとんどの設備が30年以内に耐用年数を迎えることを考えると、築30~35年の住宅では、ほぼ間違いなくリフォームが必要になると言えるでしょう。

このように、何らかのメンテナンスが必要になる築30年前後の住宅について、築30年と築35年に分けて、リフォームと建て替えのどちらを行うべきか、費用面やメリット・デメリットの違いを比較してみましょう。

なお、ご紹介している費用は、水回り設備の価格や工事の手間賃を含む、トータルの費用です。

築30年・築35年の住宅のリフォームと建て替えを比較!
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築30年の住宅でリフォームと建て替えを比較

築30年の家は、家のあちこちで不具合や故障が頻発するため、部分的なリフォームでは追い付かず、結果として高額で大規模なリフォームが必要になってしまいます。

そのため、高額な費用が必要になるのであれば、リフォームよりも建て替えを選んだ方が良いのではないかと悩んでしまう方も少なくはありません。

ご自身の住宅に最も適した方法を選択するためにも、築30年の家で行うリフォームと建て替えの、それぞれの内容や特徴をしっかり把握しておきましょう。

築30年の住宅をリフォーム

リフォームにも、部分的なリフォームと、建物の基礎以外をすべて作り替えるスケルトンリフォームなどの全体リフォームがあります。

築30年の家では、設備の総取り換えなど、大規模な全体リフォームが行われやすい傾向にあります。

築30年住宅のリフォームの費用相場

・部分的なリフォーム:約200~500万円
・全体のリフォーム:約1200~1400万円

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築30年住宅のリフォームのメリット

築30年目の住宅では、設備の劣化や不具合が目に付きやすいため、リフォームのし忘れを防ぎやすいというメリットがあります。

一方、築30年未満の住宅では、故障しそうな設備を見落としてしまい、工事後に再びリフォームが発生するケースも少なくはありません。

築30年経っている家であれば、ほぼ確実に、家全体の不具合をまとめてリフォームすることができるでしょう。

築30年住宅のリフォームのデメリット

リフォームを選択することで、建て替えよりも工事費用を抑えることができます。

住宅の状態が良ければ、元の設備を活かした部分的なリフォームで、高額な費用をかけて建物全体に手を入れなくても、新築のような住宅を手に入れることも可能です。

ただし、安全性や快適さに関わる箇所は、しっかり手を加えておかなければ、リフォームしても高い満足度を得ることができない恐れがあります。

建物の基礎の状態や、断熱性・気密性・耐震性など、費用を投じるべき箇所を見落とさないよう、注意が必要です。

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築30年の住宅を建て替え

建て替えを行うと、新築同然の家を手に入れることができますが、築30年目ともなれば、費用も高額になりやすいため、慎重に判断する必要があります。

築30年住宅の建て替えの費用相場

築年数に関わらず、住宅の建て替え費用は約1500~2300万円が相場です。

ただし、築30年以上の住宅では、断熱性や耐震性など、建物の性能が不足していることも多く、建て替えの際に約100~300万円の追加工事が発生する恐れもあります。

築30年住宅の建て替えのメリット

建て替えでは、建物全体を新築のように作り替えることができるため、間取りの作り替が容易で、リフォームすべき箇所を見落とすリスクもありません。

また、目的に合わせて間取りを作り替えやすいため、二世帯住宅化や、狭小住宅の空間の有効活用など、特別な事情を抱える住宅の問題解消に適しています。

築30年住宅の建て替えのデメリット

建て替えの最大のデメリットは、まだ使える設備や建材まで解体してしまうことです。

長いあいだ人が住んでおらず、手入れも行き届いていない建物であれば、劣化が著しく進んでいるため、建て替えを選ばざるを得ないこともあるでしょう。

しかし、築30年でも、雨漏りの点検や外壁の再塗装など、定期的なメンテナンスや手入れが行き届いていれば、築年数の割に良い状態を保っていることがあるため、解体すると使える設備まで撤去してしまう恐れがあります。

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築35年の住宅でリフォームと建て替えを比較

家の築年数は5年違うだけで、必要な手入れや補修の内容も変わってきます。

続いては、築35年の家で、リフォームと建て替えのメリット・デメリットを比較してみましょう。

築35年の住宅をリフォーム

新築から35年経った家では、様々な箇所に深刻な劣化が生じ始めます。そのため、リフォームの規模に関わらず、築30年の住宅よりも費用はやや高額です。

築35年住宅のリフォームの費用相場

・部分的なリフォーム:約400~600万円
・全体のリフォーム:約1300~1500万円

築35年住宅のリフォームのメリット

リフォームする箇所が多く、費用が高額になりやすいため、建て替えと同額、またはそれ以上の費用になる恐れがあります。

あるいは、大規模な工事を行う予定ではなかったのに、壁を解体したところ、構造材や基礎の劣化が発覚し、想定外の工事が必要になってしまうケースもあるでしょう。

ただし、一回のリフォームでまとめて工事を行った方が、解体や養生といった重複する作業が一度で済むため、費用を節約することもできます。

築30年・築35年の住宅のリフォームと建て替えを比較!

築35年住宅のリフォームのデメリット

築35年の住宅でリフォームを行うと、築30年未満の住宅と比較すると、どうしても費用が高額になってしまいます。

故障した設備の交換費用だけでなく、床や壁など、使用に問題がなくても汚れや傷みが目立つため、自ずと手を加える箇所が増えてしまうことが、費用を高額にする要因です。

しかし、まだ使えることを理由にそのまま残してしまうと、リフォームで新品に交換した箇所と並んで余計に古びた印象になってしまうため、リフォーム後の満足度は低くなってしまうでしょう。

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築35年の住宅を建て替え

建て替えは費用が高額になりますが、築35年の住宅では最も良い選択になることもあります。

築35年住宅の建て替えの費用相場

住宅の建て替え費用の相場は、約1500~2300万円です。

増築を行う場合はプラス約100~300万円、二世帯住宅化など建物面積を増やし、設備を追加する場合は、プラス約500~800万円が必要です。

二世帯住宅に!建て替えとリフォームの比較を詳しく

築35年住宅の建て替えのメリット

築35年の住宅の建て替えは、リフォームとほとんど変わらない費用で行えることがあります。

リフォームと違い、基礎も含めてすべて作り替えることができるため、最も安全な方法で、新築同然の家を手に入れることができるでしょう。

また、建物の新築から35年経ち、基礎や地盤に劣化が生じていた場合なども、費用は高額になりますが、劣化を放置せずに補修することができます。

築35年住宅の建て替えのデメリット

費用がリフォームとほとんど変わらないとはいえ、建て替えの方が高額になりやすい点には注意が必要です。

また、築35年目の住宅であれば、10年目や20年目に何らかの簡易なリフォームが既に行われていることもあります。

このような、過去に一度でもリフォームを実施した住宅では、建て替えの際にその設備まで解体しなければならないため、住宅に掛けたトータルのメンテナンス費用は高額になってしまいます。

将来的な家族状況を十分考えて判断する事が大切です。

住宅リフォームの減税や補助

住宅のリノベーションやリフォームには各種の減税や補助金の制度があり、一定の条件で支援を受けることができます。

補助金については、各自治体により各種の制度が増えたり、内容が変化していますので最新の情報を確認しておきましょう。

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築年数ごとのフルリフォームと建て替えの検討

他の築年数におけるフルリフォーム/建て替えの考え方を知りたい方は、こちらページでも詳しく解説しています!

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】下久保彰

2級建築士。建築設計や施工業務を30年以上経験。最近は自営にて各種請負業務を行う。

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