2024年04月11日更新

監修記事

免震リフォームはできる?気になる地震対策について

リフォームで免震工事を行うことはできるのでしょうか?住宅の地震対策の種類と、それぞれの工法の特徴、リフォームで導入することができる地震対策、免震工事で気をつけることや工事を依頼する業者の選び方などについてご紹介していきます。

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リフォームで免震工事はできるのか?

免震リフォームはできる?気になる地震対策について

リフォームで地震対策をする場合、主に3種類の工事方法から選択して導入します。

この3種類の工事方法には、どのような特徴やメリット・デメリットがあるのでしょうか?

免震工法によるリフォーム

「免震工法」とは、地面から伝わる揺れを建物にできるだけ伝えないようにする工法です。

基礎部分と建物の間に揺れをいなす装置を挟み込む形で施工します。

建物に伝わる揺れそのものを弱めることができるため、建物へのダメージが抑えられるだけでなく、家具等が地震によって倒れるのも防ぐことができ、地震対策リフォームとして効果の大きい工事と言えるでしょう。

しかし、建物と基礎の間に免震装置を追加する必要があるため、リフォームで導入するにはコストがかかり、工期についても長くなるというデメリットがあります。

制震工法によるリフォーム

「制震工法」とは、建物に伝わった揺れを吸収することでダメージを抑える工法です。

柱や梁の間にダンパーを取り付け、この部分が建物の揺れに合わせてゆっくり伸び縮みすることで建物に加わった揺れを吸収していきます。

地震の力を吸収することができるため、揺れ幅をある程度小さくすることができ、施工も壁を解体して取り付けるだけで行えるため、比較的コストパフォーマンスの良い工事だと言えるでしょう。

ただ、十分な制震力を発揮するためには、複数のダンパーを柱と梁の間に設置する必要があるため、建物の構造や築年数によっては導入が難しい場合もあります。

耐震工法によるリフォーム

耐震工法とは、建物を補強して地震の揺れに耐える工法です。

筋交いや耐力壁を追加して建物の構造強度を高め、地震で揺れた際に柱等が破損するのを防ぎます。

建物の構造強度を高めることができるため、古い住宅の強度を高め、台風等の対策や、老朽化した住宅の耐久性を向上させられるという点もメリットです。

また、建物の外に金属製のフレームを設置して建物と接続する工法を用いることができるため、比較的幅広い設計の建物に対応できるというメリットもあります。

ただ、耐震工法は建物が揺れに耐えられるようにする方法ですので、揺れの大きさそのものを小さくすることができません。

大きな地震の場合は、揺れによって家財に被害が出る場合がありますので、これらの固定も行っておく必要があります。

免震だけじゃない!地震対策リフォームはほかにもある

免震工法は建物に伝わる地震の揺れを軽減することができるため、家財道具への影響が少なく、建物へのダメージも抑えられますが、工事が大がかりになってしまうという問題があります。

新築の場合は基礎を作った時点で免震装置を組み込めるため、リフォームで導入する場合と比べてコストを抑えることができますが、リフォームの場合は建物をジャッキで持ち上げて施工したり、建物をある程度解体したりして設置しなければなりません。

そのため、既存住宅に免震装置を追加するリフォームは、多額の費用がかかり、工期も長くなるため、免震のみを目的とするリフォームが行われることはほとんどありません。

また、木造住宅の場合は免震工事以外の工法でも地震対策として有効なため、施工実績そのものがほとんどないのが現状です。

木造住宅に対して、リフォームで地震対策を施したいという場合には、免震以外の工法、例えば、耐震や制震を取り入れた方が、工期や費用の面から有利と言えるでしょう。

ただし、壁や屋根を解体して柱の状態からリフォームを行うスケルトンリフォームを行う場合については、比較的容易に免震装置を導入することが可能です。その場合免震工事に適合する基礎工事が行われているかどうかの検証も検討の対象となります。

もし、スケルトンリフォームを予定していて、できるだけ地震対策を施しておきたいという方は、免震工法の導入を考えてみるのも良いでしょう。

木造住宅ではどのような地震対策が行われているのか?

木造住宅では、一般的に制震と耐震による地震対策リフォームが行われています。

これらの工事は、建物にあまり手を加えず施工することができ、部屋ごとの施工も可能なため、住み続けたまま比較的安価に、短工期でのリフォームが可能です。

実際のリフォーム現場では、内壁を一部解体して柱と梁を露出させ、その部分に制震ダンパーを設置する工事や、間仕切り壁を解体し、石膏ボードのかわりに構造強度を高めることができる耐力壁を設置する工事が主流です。

どちらの工法も、建物の一部解体が必要ではありますが、間取りや見た目を大きく変えずに地震対策を行うことができるため、耐震強度等だけを高めたいという方に向いています。

耐震リフォームにかかる費用

耐震リフォームでは、リフォームを行う前に専門家に依頼し、建物の耐震診断を実施します。

耐震診断では建物がどれだけの地震に耐えられるか、法令上の耐震基準に適合しているかどうかなどが調査され、建物の強度が耐震基準に届いていない場合には、耐震補強工事を実施するというかたちが一般的です。

費用については、一戸建ての建物全体に耐震補強工事を施す場合で約100万円からが相場ですが、寝室などの一部の部屋のみに行う場合は、約30万円からが相場とされています。

また、昭和56年5月31日以前の耐震基準で建てられた木造一戸建てについては、自治体から補助が受けられる場合もあるため、該当する住宅にお住まいの方は役所の担当課に問い合わせてみると良いでしょう。

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地震対策リフォームで気を付けたいこと

免震リフォームはできる?気になる地震対策について

地震対策リフォームは、建物全体を強化する方法と、部分的に補強を行う方法の2種類があります。

部分的なリフォームを用いた場合、工事範囲が狭いため、費用が抑えられるというメリットがありますが、建物全体の耐震強度を高めることができないため、限定的な対策として考えておいた方が良いでしょう。

根本的な地震対策を考えるなら、老朽化によって強度が低下した壁や柱、基礎の交換を行いつつ、建物全体の補強を行うのが最も効果的です。

もし、費用面の問題で全体リフォームが難しい場合には、就寝中の地震から身を守れるよう、寝室等に耐震リフォームを施すという方法もあります。

ただし、この方法はあくまで睡眠時の対策ですので、起床中に起きた地震に対しては、何らかの対策を考えておいた方が良いでしょう。

家具の倒壊による被害にも対処しておく

建物そのものが地震に耐えられたとしても、それだけで地震から身を守れるというわけではありません。

過去の大震災でも、建物は揺れに耐えたにもかかわらず、家具の倒壊に巻き込まれてしまったという事例があります。

建物に地震対策リフォームを施す際には、家具を金具で建物に固定したり、突っ張り棒を用いたりして、家具の倒壊を防ぎましょう。

旧耐震基準の建物には早急な地震対策が必要

昭和56年5月31日以降、耐震基準が新しくなり、より地震に耐えられる構造で建物が造られるようになりました。

しかし、旧耐震基準で建築された建物は2018年現在でも日本中に数多く存在しているのが現状です。

このような建物は、新基準で耐えられる地震にも耐えられない可能性が高いため、一刻も早い地震対策が必要だとされています。

費用の項目でも紹介しましたが、各市町村では旧基準で建てられた木造住宅に対し、耐震リフォーム費用と耐震診断費用の一部を補助する制度を行っています。

住宅の建築年から、耐震性が不安な場合や費用面でリフォームが難しいという場合は、自治体に相談してみると良いでしょう。

地震対策のリフォームに最適なリフォーム業者の選び方

地震対策リフォームを実施する際には、どうやって業者を選べば良いのでしょうか?

基本的な業者の選び方としては、資格を持った専門家が耐震診断を行っていること、自宅の構造に近い物件のリフォーム実績が豊富なこと、費用や工事方法について親身に相談に乗ってくれることなどに注目すると良いでしょう。

また、近隣や知人等が地震対策リフォームを行っているなら、工事を依頼した業者について教えてもらうのもおすすめです。

地震対策リフォームでは、リフォーム補助金を目当てに、住民の不安を煽って相場に合わなかったり、必要な工事が省かれていたりするリフォームプランに契約させようとする悪徳業者も確認されています。

複数の業者に見積もりを依頼する相見積もりを行えば、費用や工事の内容を比較することができるため、このような悪徳業者の見分けがつきやすくなり、安心して工事を任せられる業者を見つけやすくなるでしょう。

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免震リフォームの本当の意味とは

免震 リフォーム

地震大国日本で住宅の地震対策を考えている人は少なくありません。今後大震災レベルの地震がいつ発生するか分からない中、住宅の耐震性を見直す人が多いため住宅の免震リフォームは増加傾向にあります。

しかし、実際「免震リフォーム」の本当の意味を知っている人はどれ程いるのでしょうか。

実は、免震リフォームと言っても地震対策のリフォーム方法は「免震」「耐震」「制震」の3種類あり、それぞれ意味が異なります。

「免震」「耐震」「制震」それぞれに特徴があるため、リフォーム方法などを知り今後の地震対策に役立てていきましょう。

免震とは

「免震」とは、土台となる基礎と建物の間に横方向に動く機器を入れることで地震による振動が直接建物に伝わりにくくすることです。

免震の場合、大きな揺れが発生しても地面と逆方向に建物を動かすことで揺れを相殺し建物に伝えにくくするため、地震が立て続けに発生しても建物自体が傷つきにくい構造になっています。

免震・耐震・制震の3つの中では、「免震」が最も建物と人命を守ることができる方法だと言えるでしょう。

免震は、地震対策が急速に発展したことによって比較的新しく生まれた方法であるため、新しい大型マンションやタワーマンションなどの大型の建物に施されている方法でもあります。東京スカイツリーにもこの免震構造が取り入れられています。

免震は主に建て替えが難しい大規模施設などで導入されている方法です。

耐震とは

「耐震」とは、地震が発生して建物が揺れても振動に耐えることができ、建物が損傷しにくくする構造のことです。

日本では「建築基準法」という法律で建物の耐震の基準値が定められていて、新築で建物を建てる場合はこの建築基準法で定められた耐震基準を満たす必要があります。

また、建築基準法とは別に耐震性能を表す指標として「耐震等級」が設けられています。「耐震等級」とは、建物の構造の強さを表すもので地震の揺れによる崩壊や倒壊のしにくさの基準として使用されています。

耐震等級の取得義務はなく、耐震等級がなくても耐震性能が優れている建物もたくさんあります。しかし、耐震等級を取得した建物の場合は地震保険が割安になるため、建て売りや注文住宅の販売時のアピールポイントにもなっています。

住宅を購入する際は、耐震等級の取得の有無も選ぶポイントとなるでしょう。

制震とは

「制震」とは、地震が発生しても振動を吸収し、建物が耐えられるように作られた構造のことを言います。建物の内部にダンパーや重りなどの制震部材を組み込んで、地震による振動を吸収します。

地震によって地面が揺れると上階になるにつれ振れが大きくなります。しかし、建物に制震部材を取り込んでいる場合は、上階の揺れを軽減させることができるため、2階以上の建物(高層ビルなど)に特に有効です。

免震リフォームにかかる費用相場

免震リフォームにかかる費用相場はどれくらいなのでしょうか。「免震」「耐震」「制震」リフォームそれぞれの費用相場と内訳を見ていきましょう。

免震リフォームにかかる費用相場と内訳

免震リフォームにかかる費用相場は約250万円~約350万円(免震装置費、設置費等含む)です。この費用は地盤の状態や敷地の条件、面積などによって異なります。

また免震装置を設置する場合、メンテナンス費用が年間約3万円かかるでしょう。

耐震リフォームにかかる費用相場と内訳

耐震リフォームは耐震強化したい場所や費用を選ぶことができるため、多くの住宅で取り入れられているリフォームです。住宅の耐震化を行う際に選ばれやすい基礎・内壁・外壁・屋根のリフォーム費用相場は以下の通りです。

【基礎の耐震補強をする場合】
・リフォーム内容:耐力壁を設置する際の基礎の新設、無筋コンクリートを増し打ちして補強する
・費用相場:約4万円~約5万5,000円(1平方メートルあたり)

【内壁の耐震補強をする場合】
・リフォーム内容:室内側や押入内部から構造用の合板や筋交いで補強する
・費用相場:約9万円~約12万円(幅910mmの場合)
※内装仕上げ費用などを含む

【外壁の耐震補強をする場合】
・リフォーム内容:外壁側から構造用の合板や筋交いで補強する
・費用相場:約13万円~約15万円(幅910mmの場合)
※外壁仕上げ費用などを含む

【屋根の耐震補強をする場合】
・リフォーム内容:屋根材を軽量なものに葺き替えし建物への負担を軽減する
・費用相場:約1万5,000円~約2万円(1平方メートルあたり)

制震リフォームにかかる費用相場と内訳

制震リフォームでは、制震装置と呼ばれるダンパーやバネ構造の機器を建物に取り入れる工事を行います。

費用は約30万円~約100万円が相場で、取り入れる機器や建物の規模によって費用は異なります。

地震対策リフォーム費用に関係する項目とは?

地震対策リフォームの費用は、リフォームを行う家屋の面積や状態、依頼するリフォーム会社や住宅の規模、リフォームに使用する機器などが大きく関わってきます。

また、鉄骨系、木質系、コンクリート系、ユニット系など構造材質によってもリフォームの方法と費用は大きく変わってきます。

しかし、同じような条件下の建物でリフォームを行う場合にその費用を左右するのは、どのリフォーム会社に依頼するかでしょう。

近年地震対策リフォームの希望者が多く、地震対策を行うリフォーム会社も増えてきました。

しかし、元々専門分野ではないリフォーム会社の場合、依頼を受けても別会社に委託することもあり費用が割高になるケースがあります。

耐震・免震・制震リフォームいずれにせよ、行いたい工事の適切な相場がどれくらいなのかを把握してから信頼できるリフォームに依頼するようにしましょう。

また、地震対策リフォームに関してはほとんどの自治体は何らかの補助策を設けています。
補助金については、各自治体により各種の制度が増えたり、内容が変化していますので最新の情報を確認しておきましょう。

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免震・耐震・制震リフォームの特徴とメリット・デメリット

免震 リフォーム

次に免震・耐震・制震リフォームのそれぞれの特徴とメリット、デメリットをご紹介します。

免震リフォームの特徴とメリット・デメリット

免震リフォームは、横方向の地震に有効で地震の揺れを直接建物に伝えないため、住宅内の家具などが倒れるリスクを減らすことができますが、縦方向の地震には効果が小さくなってしまいます。

また強風が吹くと建物が揺れてしまう可能性もあります。さらには免震リフォームは地盤や地下室設置の制約があり、これらをクリアしないと施工できない可能性があるので注意が必要です。

基礎部分に施工する関係で新築時でないと施工するのが難しい場合があるため、導入を検討する際には専門業者に相談することをおすすめします。

免震リフォームのメリット・デメリットと費用の目安

免震リフォームのメリット・デメリットは以下の通りです。

【免震リフォームのメリット】
・地震の規模に対する損傷の程度は、通常レベルの地震では建物に大きな損傷はなく、大震災レベルでも揺れを建物に伝えない
・地震の揺れが建物に伝わりにくく揺れにくい
・家具が倒れるリスクが少ないため室内の安全性が確保される

【免震リフォームのデメリット】
・台風などの強風が発生した場合、2階以上が揺れやすい
・リフォーム工事に制約があり、地盤が弱い場合や地下室への免震装置の設置は難しい

【免震リフォームの概算費用と費用レベル】
・概算費用:約350万円~約550万円
・費用レベル:△(3つの方法の中で最も高額)

耐震リフォームの特徴とメリット・デメリット

大きな揺れにも耐えられるような構造にすることで、地震がきても建物の倒壊を防ぎ、大きな損傷を建物に与ないのがこの方法の特徴です。

免震とは違い、地震の揺れは建物に伝わるため免震と比較して家具が倒れるリスクを減らすことはできません。

しかし、地盤や地下室設置などの制約などがあまりなく、ほとんどの住宅に対応できるリフォーム方法のため、地震対策の多くは耐震リフォームが用いられています。

また耐震リフォームは耐震化や耐震構造などとも言い、壁や柱の数を増やし強度を高めるリフォームや、既存の柱や壁の負担を減らして耐力を高める方法があります。

耐震リフォームのメリット・デメリットと費用の目安

耐震リフォームのメリット・デメリットは以下の通りです。

【耐震リフォームのメリット】
・地震の規模に対する損傷の程度は通常レベルの地震では大きな損傷がなく、大震災レベルでは建物が倒壊しない程度
・台風などの強風が発生した場合でもほぼ揺れない
・設置の制約がほぼ無い

【耐震リフォームのデメリット】
・地震の揺れが建物に直接伝わりやすい
・揺れによって家具が倒れるリスクがあるため室内の安全対策が必要

【耐震リフォームの概算費用と費用レベル】
・概算費用:約150万円~約500万円(1軒あたり)
・費用レベル:◯(工事内容によって費用はさまざま)

制震リフォームの特徴とメリット・デメリット

壁や柱に制震機器を設置し地震などの振動を制御して軽減させる構造です。大震災レベルの場合でも建物内部で振動を吸収し、揺れを軽減するのが特徴です。

耐震と同じく地震の揺れは建物に直接伝わりますが、耐震とは違い2階以上の揺れは軽減され、家具が倒れてくるリスクも軽減されるでしょう。

耐震のリフォーム方法には壁内にダンパーという機器を組み込んだり、柱が交わる仕口(しぐち)にバネのような構造をもつ機器を取り付けるなどがあります。

制震リフォームは技術力が必要なため、実績が多く信頼できるリフォーム会社に依頼することが大切です。

制震リフォームのメリット・デメリットと費用の目安

制震リフォームのメリット・デメリットは以下の通りです。

【制震リフォームのメリット】
・地震の規模に対する損傷の程度は通常レベルの地震では建物に大きな損傷はなく、大震災レベルの地震でも揺れを吸収する
・台風などの強風が発生した場合、建物がほぼ揺れない
・設置の制約がほぼ無い
・2階以上の揺れは軽減され、家具が倒れるリスクも少ない

【制震リフォームのデメリット】
・地震の揺れが直接建物に揺れが伝わり、1階は揺れが軽減されにくい
・1階は揺れによって家具が倒れてきやすく室内の安全対策が必要

【制振リフォームの概算費用と費用レベル】
・概算費用:約30万円~約100万円
・費用レベル:◎

耐震性を高める工法にはどんなものがある?

これらの耐震工法にはどのような特徴があるのか、それぞれの工事方法について見ていきましょう。

耐震・耐震リフォームとはどのようなものなのか?

耐震リフォームとは、名前の通り地震に耐える構造による耐震工法です。

柱や壁、基礎などの躯体部分を補強または追加し、地震の際に建物そのものが揺れても壊れにくい構造にしています。

建物が地震などの揺れによって壊れないことを目的として行われる工法ですので、揺れ自体を防ぐことはできません。

また、揺れを減らすといった機能もありませんので、建物の高所ほど揺れが大きくなるという特徴もあります。

この工法は一般住宅向けの耐震リフォームで広く用いられていますので、耐震リフォームを行うといえばこの工法が最初の選択肢となるでしょう。

工事の内容としては、柱と梁、基礎を金具でつなぎ合わせて接合部の破断を防止し、壁を耐力壁に変更または筋交いの追加などを行って補強することにより横揺れの影響を抑えていきます。

費用は工事を行う範囲によって変わりますが、金具を柱に取り付けるだけなら10カ所で約40万円、耐力壁や筋交いを追加する場合には約50万円、建物全体に施す場合には約100万円が相場です。

制震・制震リフォームとはどのようなものなのか?

制震リフォームとは、地震の揺れを吸収して減衰することで建物への影響を抑える工法です。

戸建て住宅などにも用いられており、構造としては柱と柱の間に油圧ダンパーを設置し、この部分がゆっくり縮むことで揺れを抑制していく仕組みとなってます。

耐震リフォームと違い、揺れそのものの勢いを減らすことによって建物を守る方式ですので、地震の際に家具等が倒れるといった被害についてもある程度軽減が可能です。

また、揺れ全般に広く対応していますので、地震以外の建物の揺れ、例えば台風や突風による影響も抑えることができます。

実際の施工では、壁を解体して柱と梁を露出し、油圧タンパーを角に設置。

住宅の構造や強度にもよりますが、1坪あたり1個をバランス良く設置すると良いとされています。

ダンパーの設置が完了したら壁を付け直し、内装工事を行えばリフォームは完了です。

施工費用は10カ所に施工した場合で内装工事等を含めて約50万円からとなります。

免震・免震リフォームとはどのようなものなのか?

免震リフォームは、耐震や制震とは種類が大きく違う工法です。

耐震リフォームや制震リフォームでは、建物に加わった揺れの力をどうやって耐えるかという考え方で作られています。

しかし、免震は建物の基礎部分にゴムやベアリングを設置することにより、地面と建物の間に力を逃がす空間を作成。

これにより、建物に伝わる地震の揺れを減衰させることができるのです。

イメージとしてはサーカスのピエロが玉乗りをしているのを想像すると分かりやすいかもしれません。

玉乗りではボールはゆらゆら動きますが、足でボールの上を移動することで体そのものは安定しています。

これと同じことを建物に行うことで、建物自体の揺れを抑えることが可能となるのです。

免震による地震対策は、他の対策方法に比べて揺れそのものを抑えることができるため、より被害を抑えやすいという特徴がありますが、建物全体をゴムやベアリングを内蔵した免震装置に乗せておく必要があります。

そのため、リフォームで免震装置を組み込む場合には建物全体をジャッキアップして持ち上げなければなりません。

建物全体のジャッキアップとなると場合によっては建物の補強も必要となりますし、基礎の形状によっては基礎の作り直しも必要となりますので、どうしても費用や工期は大きくなります。

自宅に免震リフォームを施したい、免震リフォームが可能かどうか知りたいという方は、リフォーム会社に相談し、建物の調査を行った上で見積もりを立ててもらうと良いでしょう。

また、見積りを行う際には、複数のリフォーム会社に依頼して相見積もりをとってもらうことも重要なポイントです。

相見積もりを行うことでそれぞれの会社がどのような工事を想定しているかが把握できますし、同水準の施工内容でより適正な価格の会社を見つけることができます。

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耐震補強工事と耐震改修工事の違いは?

耐震リフォームを検討していると「耐震補強工事」と「耐震改修工事」の2つの言葉をよく聞くことがあると思います。

両方とも耐震対策の工事のことを指しどちらもそこまでの違いはありませんが厳密にいうと違いますので両方の意味を解説していきます。


築40年の戸建ての耐震補強工事。床下は土間打ちを行い、必要に応じて梁を補強する工事を追加(施工:バレッグス)

耐震改修工事

改修とは「建物などの悪い部分を直す」という意味を持ちます。つまり「耐震改修工事」とは、現行の耐震基準に満足していない建物に対して補強をして現在の耐震基準を満足させる工事のことです。

そのため、まずは建物が耐震基準に達しているかを確認するため「耐震診断」をしていきます。「耐震診断」を行うことで建物の特徴が見えてきてその建物にあった耐震改修を検討していきます。

「耐震改修工事」には大きく3つあります。耐震補強、制震補強、免震補強の中から建物に不足している補強を施して耐震基準を達するようにしていきます。

つまり「耐震改修工事」は「耐震診断」の結果に伴って建物の耐震性を向上させ基準を満足させることです。

したがって「耐震診断」は必ず行う必要があり診断結果を見ながら建物の構造的な特徴を把握しながら工事内容を決めていきます。逆にいうと診断結果で基準をクリアしている場合は不要ということになります。

耐震補強工事

前述でも少し触れましたが「耐震補強工事」とは「耐震改修工事」の方法の大きく3つある中の一つで最も一般的な補強工事のことを言います。耐震補強とは耐震性が不足している建物を補強して耐震性を改善することです。

一般的には壁を補強することが多いですが建物の状況によっては柱や梁、土台や基礎といった部分も補強する対象になることがあります。

具体的には耐震壁の増設、袖壁の増設、ブレースの増設、柱の鋼板巻きによるせん断性の向上などがあります。

耐震補強工事を検討する場合、コストは当然ですが施工性も重視されます。それは「建物を使いながら補強したい」や「解体は最低限にしたい」など施主の希望が優先されるためです。

耐震補強工事の費用目安はどの程度かかる?

耐震補強工事の費用は工事の内容で様々です。また、マンションと戸建てでは状況がまったく変わってきますし戸建てでも木造と鉄筋コンクリートでは費用も内容も全然変わってしまいますので事前の確認が重要になってきます。

戸建て


写真提供:藤建設

前述の通り戸建てでも木造と鉄筋コンクリートでは工事内容も費用も大きく変わります。木造と鉄筋コンクリートの耐震補強の費用の目安を紹介します。

木造住宅

木造住宅は一番耐震補強がしやすい住宅と言えます。

工事内容も土台や柱に劣化による補修・交換や壁の補強、屋根や外壁の補強と様々あります。

目安としては約100万円前後から行えるものもあれば、約1,000万円以上になる工事もありますので業者との打ち合わせが必要となってきます。

鉄筋コンクリート

鉄筋コンクリートは木造に比べ費用が高くなる場合が多いです。

工事の内容は柱の補強や耐震金物の取付などが一般的でそれ以外にもありますが高額になりがちです。また費用は平方メートルあたり約2万円前後になることが多く約300万円~約500万円が相場となります。

マンション

マンションは集合住宅のため、外壁や共用部といったところは個人の自由では補強工事を行うことはできません。しかし、部分的な工事であれば内容にもよりますが約100万円くらいから行うことも可能です。

しかし、建物全体の耐震基準をクリアするのであれば個人では限界がありますので管理組合や管理会社に一度問い合わせを行う必要があるでしょう。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】小川愛

二級建築士、宅地建物取引士。愛知県名古屋市にて高級分譲住宅設計・施工会社に勤務。土地取得からプランニング、施工、販売、お客様のお引っ越し、アフターサービスまでの、住宅に関わる全ての業務に従事。

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