2024年01月24日更新

監修記事

マンションの耐震補強費用はどれくらい?地震対策のリフォームについて

マンションの耐震補強は、地震の多い日本において重要な問題のひとつで、ある程度経年したマンションは特に早急に解決が必要です。今回は、マンションの耐震補強について、費用や施工の流れ、工法の種類や施工依頼のやり方などについて詳しくご紹介します。

マンションの耐震補強の流れとかかる費用とは

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耐震補強は、地震などの災害時に建物崩壊のリスクを回避するためにも、非常に重要になってきます。そのため、マンションは建築基準法を満たす基準の耐震性を備えている必要があるのです。

特に、建築基準法が改正される前の1981年(昭和56年)以前に建てられたマンションは、現在の建築基準法が定める耐震基準に満たない可能性が高く、早急に耐震工事をすべきと警告されています。

耐震補強の流れと主な費用について、大まかにまとめると次のようになります。

耐震補強の流れ

耐震補強工事の流れについてみていきましょう。

  1. 耐震診断
  2. 耐震性能の判断
  3. 耐震補強計画の検討
  4. 耐震補強の設計と見積
  5. 耐震補強工事施工

現状の建物を調査しながら、耐震診断の準備が行われ、整った段階で耐震診断が行われます。通常、マンションの耐震診断は二段階に分けて実施され、一次診断では問題箇所があるかどうか、マンションの共有部分をメインに耐震性を診断します。

一次診断の結果を見て必要と判断されると、二次診断へ進みます。本診断とも呼ばれ、柱や壁の耐震性を測定し、補強が必要かどうかの最終判断がくだされます。

診断では構造耐震指標値(ls値)という数値が用いられ、数値が高いほど耐震性が弱く、耐震補強が必要という意味になります。

ここで出された診断判定に基づき、耐震補強工事の計画を立てます。またこの時点で予算も決まるでしょう。

見積もり内容を確認できたら、工事の実施となります。耐震診断依頼から施工完了まで、多くの場合およそ10カ月から1年ほどかかります。

耐震補強にかかる費用

耐震補強工事にかかる費用は、建物の状態や条件により異なるため、一概には言えないものの、目安として過去のデータを調べると一戸あたり安くて約300万円、高くて約1,000万円前後となっています。

マンションの共用部や1階の店舗のみといった部分的な補強工事は、約100万円以下で済むこともあります。

また、耐震補強工事だけでなく耐震診断自体にも費用が発生します。費用は、鉄筋コンクリート造で1平方メートルあたり約1,000〜2,500円、鉄骨造で約1,000〜3,000円、木造だと建物全体で約20万〜50万円が目安です。(木造?アパート?マンションの規模は建設不可能)

具体的な費用については、専門業者に耐震診断の見積もりを取り確認しましょう。

代表的なマンションの耐震補強方法と費用相場とは

ここからは、マンション耐震補強の代表的な方法と、それぞれの費用について詳しくみていきます。主な施工方法には、下記の3種類があります。

  • 壁の耐震補強
  • 柱の耐震補強
  • 外付けフレームの耐震補強

壁の耐震補強

壁の耐震補強工事は建物の耐久性を高める目的で行われており、いくつかの種類があります。

既存の壁に新しい鉄筋コンクリートの壁を増設し、補強する「後打ち壁増設工事」は、建物外部だけでなく内部にも設置できるので、多くのマンションに幅広く取り入れられています。

壁がなく柱と梁だけがある部分には、耐震壁の増設が可能で、大きめの直行部材が多い箇所への施工が効果的とされています。

その他、壁を強化するように鉄骨ブレースを柱と梁に囲まれた部分に増設する鉄骨枠組み補強工法は、開口部には影響を出すことなく耐震性を強化できる方法です。

施工費用は建物ごとに異なりますが、目安として鉄筋コンクリート壁の増設が1箇所あたり約100万円とされています。

柱の耐震補強

柱の耐震補強施工は、建物のしなやかさを増すことによって、振動を逃がして建物の倒壊を防ぐのに役立ちます。

主な工法として、鉄筋コンクリート造の建物で既存の柱の近くに隙間を設け、柱と壁の間を離す「耐震スリット施工」があります。一般的な耐震工事のひとつで、柱に動ける遊びを設けることにより、地震の揺れに対し柱が湾曲に揺れ、力を上手に逃がすことによって建物の倒壊を予防する方法です。

他にも、炭素繊維シートや鋼板を既存の柱に巻きつける柱補強施工もよく用いられています。費用の目安として、柱補強施工の場合、炭素繊維シートで1箇所あたり約80万円、鋼板で約100万円となっています。

外付けフレームの耐震補強

建物の外側に鉄骨ブレースを増設する外付け鉄骨補強や、耐震壁など構造躯体を建物の外側に増設するバットレス増設といった、建物外部の増設によって補強する方法もあります。

これらの方法は、既存の躯体への影響が少なくて済む分、いずれの施工でも建物周囲や敷地内に余裕が必要になってきます。

鉄骨ブレース増設の費用の目安は、1箇所あたり約200〜300万円です。

その他の耐震施工には、耐震ダンパーなどを設けることで、建物に及ぶ振動を吸収させて構造体への損傷を軽減させる制震機構の組み込みや、建物の基礎や中間層に免震装置を設置し、建物への振動を大幅に低減させる免震構造化といったものがあります。

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マンションの耐震補強費用を軽減する方法はあるの?

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以上のように、マンション耐震補強工事は費用が高額になりやすい傾向にあります。しかし、耐震補強については助成金制度や税制の優遇制度、融資制度などがあり、それらを利用することにより、耐震補強費用を少しでも抑えることが可能です。

2018年10月現在で、マンション耐震補強費用を抑えるために活用したい制度について、詳しくご説明していきます。

耐震補強の助成金制度

建築基準法の改正とともに、旧耐震基準で建築された建物への耐震補強施工が自治体によって推奨されています。地震等による被害を減らすためにも、適切な耐震化を促進するために、助成金制度があります。

ほとんどの自治体では、分譲賃貸マンションにおける耐震診断や耐震アドバイザーの派遣、補強設計から耐震補強工事に至るまで、費用の一部が助成されることになっています。

ただし、助成金を受けられるかどうかは、自治体ごとに異なる対象基準が設けられているため、実際に助成金対象となるか改めて確認する必要があるでしょう。また、自治体の予算内で行われるため、年度途中であっても受付が終了される可能性もあります。

耐震補強費用に対する税制の優遇制度

マンションの耐震補強工事に関して、さまざまな税制優遇措置が設けられています。先に述べたように、旧建築基準法に沿って建設されたマンションが、耐震補強により耐震性を改修しやすくなるように、耐震改修促進税制が制定されました。

税制の優遇には、所得税額の特別控除と、固定資産税額の減額措置の2種類があります。所得税額の特別控除は、2008年(平成20年)までに耐震補強を行ったケースに適用され、工事費用の約10%が、20万円を上限として所得税額から控除されます。

固定資産税額の減額措置は、昭和57年以降所在している住宅において、耐震補強工事を行った際にその住宅にかかる固定資産税額が減額されます。幅広い耐震補強工事で適用できるよう、対象条件がゆるく設定されているので、積極的な活用が望まれています。

申告期限が耐震工事完了から3カ月以内と決まっていますので、忘れずに市町村へ申告を行いましょう。

耐震補強工事の融資制度

耐震補強工事に対する融資制度も、金融機関などで複数設けられています。マンションの場合、管理組合などを含めて工事費用や内容を決定しなければならず、資金の融通もききにくいため、満足のいく補強工事ができる可能性が下がってしまいます。そういった背景からも、融資制度の活用がおすすめです。

住宅金融支援機構は、マンション共用部分リフォーム融資制度を設けています。共用部分をはじめ、施設改良を目的とした工事費用の80%を上限として、低金利で融資を受けられる制度で、耐震補強工事も対象です。

融資を利用する場合の工事は、耐震診断により改修が必要と判断された部分すべてにおいて、補強施工を行う必要があります。そのため、建物全体における耐震補強工事への融資認定が多くなっています。

耐震診断報告書と改修設計書、年次計画書、資金計画書といった書類を揃えて行政機関へ提出し、審査を受けて通った場合にのみ融資が認定されます。

部分的な耐震補強工事において融資を受けるには、耐震評価喜寿に基づいた、必要な補強や部材の交換に対する融資である、リフォーム融資を検討すると良いでしょう。

この他、主要銀行など金融機関でも耐震工事を対象としたリフォームローンを特別な低金利で設けています。特に、耐震診断の義務付け対象となるマンションの場合、比較的低金利で大規模融資も可能なケースがあります。

工事資金が用意できるか心配な場合、利用できる融資がないかどうか、事前に調べてみましょう。融資を申し込む際には、マンションが対象条件を満たしているかも、充分に確認するようにしてください。

マンションの耐震補強を依頼する業者の選び方はあるの?

では、実際にマンションの耐震補強工事を依頼したい場合、どのようにして施工業者を決めたら良いのでしょうか。

マンションの耐震改修工事は、大手建設会社やゼネコンのリフォーム部門や、下請けリフォーム専門会社などが担当しています。

大手建設会社やゼネコンでは、同じ会社が建てたマンションのみを対象としている場合もあります。耐震補強工事について請け負っているかを事前に確認するようにしましょう。

リフォーム専門会社だと部分的な補強工事が得意で、マンション全体に渡る大規模な改修工事は難しいことも考えられます。耐震診断で指摘された部分の補強工事の経験が豊富である、得意とする業者に最終的な施工を依頼するのがおすすめです。

耐震補強工事について見積もりを依頼する際に、はじめから1社に絞らず複数の業者に依頼を出すようにします。見積もりの内容や費用を比較しながら、依頼先を絞っていくようにしましょう。

複数の会社に見積もり依頼を出すなら、ウェブサイトの活用がおすすめです。一括見積もりサービスを設けているサイトもあり、同じ相談内容を複数の業者に同時に送れ、それぞれの対応も比べることができます。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】小川愛

二級建築士、宅地建物取引士。愛知県名古屋市にて高級分譲住宅設計・施工会社に勤務。土地取得からプランニング、施工、販売、お客様のお引っ越し、アフターサービスまでの、住宅に関わる全ての業務に従事。

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