建て替えをする場合のメリット・デメリット
建て替えの特徴
①工事の前提・検討目安の築年数
- ・既存住宅の全てを解体して、ゼロから設計していくため思い通りの躯体・間取りに出来る
- ・築30年以上が目安
②費用・税金・ローン
- ・費用相場:約2500~3300万円(リフォームより+1500万円アップ)
- ・税金:新しい固定資産税が発生する。長期優良住宅と認定されれば控除がつく
- ・住宅ローン:リフォームよりも低金利で高額のローンが組める。まだ住宅ローンが残っている場合は組み直しローンなどを利用する。
③工事期間
- ・工期:約5カ月~半年(リフォームより+3カ月アップ)
梅本「建て替えを選択するほうが適しているのは、そもそもリフォームが出来ない場合のほか、より自由度が高い設計や長期的な居住を求める場合ですね?ここに書いてある以外で気になるのは引っ越しでしょうか。荷物をすべて出して仮住まい先に引っ越すところから始まるのですよね?」
稲垣「そうですね。解体して基礎工事から始めますので、工期も当然リフォームより長くなります。完成までは仮住まい先を確保して引っ越して頂くことになります。このショールームにいらしていただくとわかりますように、住友林業ではリフォーム・新築・緑化などが一か所でお話出来るようになっています。いろいろな面から比較検討しないと不安な場合にはリフォームと新築を並行してお話を進められます。」
梅本「多額のローンが比較的簡単に組めるのは建て替えのメリットといえますが、建て替えの場合はローンの金額自体、リフォームよりかなり大きくなりますよね。古い住宅ローンがまだ完済していない場合はどうなるのでしょうか?手続きなどに手間がかかりそうですね?」
稲垣「住宅ローンの組み直しを利用することもあります。築25~30年の住宅のローンはだいたい500万から2000万円ぐらい。この残債を新しいローンに乗せ換えて組み替えることが多いです。」
梅本「まずは金融機関で相談するのが大事ですね。」
「長期優良住宅」に建て替えるメリット
稲垣「このほか建て替えのお金の面でのメリットとしては、優遇税制も上げられますね。長期優良住宅の認定を受けられる住宅だと固定資産税が安くなります。」
梅本「なるほど、建て替えの場合は費用が高い・固定資産税が上がるというデメリットが気になりましたが、長期優良住宅には金銭面でのメリットもあるのですね。」
参考資料
長期優良住宅の普及の促進に関する法律
第一章 総則
(目的)
第一条
この法律は、現在及び将来の国民の生活の基盤となる良質な住宅が建築され、及び長期にわたり良好な状態で使用されることが住生活の向上及び環境への負荷の低減を図る上で重要となっていることにかんがみ、長期にわたり良好な状態で使用するための措置がその構造及び設備について講じられた優良な住宅の普及を促進するため、国土交通大臣が策定する基本方針について定めるとともに、所管行政庁による長期優良住宅建築等計画の認定、当該認定を受けた長期優良住宅建築等計画に基づき建築及び維持保全が行われている住宅についての住宅性能評価に関する措置その他の措置を講じ、もって豊かな国民生活の実現と我が国の経済の持続的かつ健全な発展に寄与することを目的とする。
梅本「簡単に言うと、耐久性・耐震性の基準を満たしていて、リフォームがしやすい、維持管理がしやすい物件と認められると、認定がもらえるのですか?」
稲垣「あとエネルギー使用の効率性ですね。これらを満たした物件であれば、長期優良住宅と認められ、住宅ローン控除の拡大、登録免許税・不動産取得税・固定資産税の減税などが受けられます。特に長期優良住宅の固定資産税の軽減は税額の1/2が5年間軽減され、通常より2年も長く恩恵を受けられるのです。年度によって減税の優遇制度は異なります。」
梅本「軽減課税は建て替えの大きな金銭的メリットですね。」
稲垣「じつは建て替えを選ぶことで、将来のリフォームがラクになる、というメリットもあります。国の定める建築基準が変わり、性能がより高い家を造るように指導していますので、今後は家がより長く “もつ”ようになるはず。50年後にはリフォームに適した基礎工事を施した中古住宅が増えることが予想されます。躯体がしっかりした、リフォームがしやすい設計の家に建て替えたメリットがそこでも出るはずです。」
梅本「将来のリフォームを考え、いま建て替えるというわけですね。」
若林「火災保険も省令準耐火住宅に建て替えると安くなります。T構造(耐火)とH構造(非耐火)という2つの構造がありますが、木造住宅はふつうH構造(非耐火)です。これを省令準耐火住宅に建て替えることで木造でも鉄筋コンクリート建てと同じT構造(耐火)の保険料にできます。木造から比べると半額以下です。」
「住友林業」の建て替えの特徴とは?
梅本「住友林業さんの建て替えの特徴はどういう点でしょうか?」
稲垣「住友林業は設計士が多い、というのは大きいと思いますね。通常、営業担当が設計士に仕事を引き継ぐまでが長いと、設計士抜きで営業が出来る範囲内でお客様に説明をしたり、プランを描いたりすることになります。住友林業は営業担当1人に対する設計士の数が他社よりも格段に多いので、初期の段階からお客様・営業担当のミーティングに設計士が入ってプランを立てることが可能です。」
梅本「なるほど、設計士さんがすぐに来て下さるのは頼りになりますね。」
稲垣「そして当社の持つ設計技術、BF(ビッグフレーム)構法です。耐久性・耐震性が高く、リフォームがしやすい、メンテナンスがラク…という長期優良住宅を建てるのに適した建築工法です。通常の柱の5倍の幅がある『ビッグコラム』という構造材を使用することで、以前は必要とされた『筋かい』が不要となり、柱や壁といった設計への物理的な制約を最小限に抑えられるようになりました。開放感があり、リフォームによる間取り変更がしやすい家を建てることが可能です。」
若林「あと、他社さんと大きく違うのは保証期間ですね。どの会社さんでも『30年の保証やってますよ』と、言いながら、実際は15年から20年目の時点で大きな外部メンテナンスを入れます。住友林業では基本30年目までメンテナンスが要りません。“もつ”材料を使っているので…ですから、メンテナンスコストが低いということですね。
住友林業として森林を育てているメリットも大きいと思います。我々は創業以来330年にわたって蓄積してきた木に関する知見をもとに、林業をはじめ製造や流通、建築までをすべてやっています。森を育ててその木材で家を建て、メンテナンスすると、サステナビリティやトレイサビリティを追求することが可能です。川上から川下まで管理をしながら家を提供している。だからお客様に安心感が与えられる。そこは強みです。」
日本は国土面積の約70%を森林が占める世界有数の森林大国です。住友林業は総面積約4.8万ヘクタールの社有林を管理しており、2020年3月時点で日本国土の約800分の1に相当します。さらに海外では約23万ヘクタールもの森林を管理・保有し、国内外で持続可能な森林経営を実践しています。また、1991年にはつくば市に期の総合研究所を設立し、安心で安全な家づくりのために、木の可能性を日々研究し続けています。
資産価値から見る「良い建て替え」とは?
若林「長期優良住宅のように75~90年もつ家だと、建てたお客様が50年住んだとしても、建物にはあと数十年の寿命があります。一世帯住宅を二世帯住宅にリフォームしたり、一部を店舗にしたり、というのとは別に、その地にもう住み続けない、別地へ移住する、というお客様の持ち家、これをどうサポートしていくかも住友林業の取り組みの一つです。」
梅本「一生同じ場所に住み続けられるかは、わからないところがありますよね。」
若林「私どもでは『資産住宅』という考え方を持っています。家を資産として考えるのです。そのためには、貸すこと・売ることが出来なければなりません。統一された中古住宅の査定方法が必要です。それが『スムストック』です。」
梅本「『スムストック』ですか。初めて聞きました。」
若林「『スムストック』は『優良ストック住宅推進協議会』が認定した中古住宅です。会員である大手住宅メーカー10社が供給してきた建物のうち、一定以上の条件を満たす建物をさします。中古住宅に対する一般の査定では統一した計算式がなく、本来の価値が算出出来ません。『スムストック』はこれを解決するために統一基準を設定し、中古住宅という枠組みにとらわれず建物本来の価値を評価しようというものです。安心して購入・売却・居住できる中古住宅のスタンダードを作ろうとしているのです。」
梅本「長期優良住宅を建てることを通して、どんなライフステージ・どんなライフスタイルにも対応していこう、という試みと考えていいでしょうか?」
若林「そうですね、たとえば長期優良住宅の目的の一つに、優良な中古住宅の市場を活性化させる、という目的もありまして、住友林業には長期優良住宅のオーナー様の移住・住み替えをサポートするグループ会社もあるのです。
いい建て替えをするということは、ただ高い建物を買っただけでなく安心感を一緒に買えるということです。75-90年建ち続けるという評価をもらえる。3世代にわたって基本的には性能が変わらずに維持できる、ということです。建築したり、リフォームしたりする会社側もそれだけの長い期間お付き合い出来るのが理想的です。住友林業は何十年後も無くならない会社としてあり続けたいと思っています。」
(完)
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