目次
外壁に使用される防水シートの種類と特徴
防水シートには主に「透湿防水シート」と「アスファルトフェルト」の2種類があります。それぞれの特徴について見ていきましょう。
「透湿防水シート」は防水しながら湿気を逃がす
透湿防水シートは、主にポリエチレン不織布が材料として用いられています。「雨水などの水は室内に入れず、室内の湿気は屋外に逃がすことができる」という優れた機能があります。
- 主な用途: サイディング仕上げの外壁(木造建築物に多い)
- メリット: 結露から守り、雨漏りのない外壁にすることができる
工場ですでに加工された外壁仕上げ材であるサイディングの内側にこのシートを張る工法が、モルタル仕上げよりも新しい工法として定着しています。
「アスファルトフェルト」は湿気も逃がさない
アスファルトフェルトとは、古紙に繊維くずを混ぜたアスファルトをしみ込ませた防水紙です。 水を通さないだけでなく「湿気も逃がさない」という性質があり、主にモルタル仕上げの外壁に使用されてきました。
- 主な用途: モルタル仕上げの外壁
- 役割: モルタルは乾燥収縮などでひび割れが発生しやすい欠点があります。ひび割れから雨水が侵入した際、それを防ぐためにアスファルトフェルトが使われています。
一般的なのは「透湿防水シート+通気構法」
現在、木造建築物の防水シートには、アスファルトフェルトよりも透湿防水シートを用いた「通気構法(つうきこうほう)」が一般的です。

通気構法とは?
防湿防水シートと外壁仕上げ材との間に空間(通気層)を設けて、通気を促す工法のことです。
- アスファルトフェルトの場合: 雨水の侵入を防げるものの湿気も逃がさないため、木造住宅では結露が生じやすいデメリットがありました。
- 透湿防水シートの場合: 防水できる上に湿気を逃がすため、結露が生じにくくなります。
結露が発生すると柱や土台を腐らせたり、建築物全体の強度や耐震性を低下させたりします。また白アリを引き寄せる原因にもなるため、結露が起こらないようにするこの工法は非常に重要です。
透湿防水シートの張り方のポイント【基本編】
雨漏りを防ぐために張る透湿防水シートは、基本的なルールを守って施工することが大切です。
① 下から上へ張るのが鉄則
透湿防水シートは「下から上」へと張っていくことが大切です。
雨水は上から下へと流れ落ちていきます。もしも雨水が外壁の中まで入り込んだ場合、下のシートが上のシートの手前(外側)に重なっていると、その隙間に雨水が流れ込んでしまいます。 逆に、下から順に張り、上のシートを下のシートに被せるようにすれば、水はシートの上をスムーズに流れ落ちていきます。
② シワやヨレをつくらない
シワやヨレのないようにしっかりと張ることも基本です。 シワがあると、万が一外壁から雨水が侵入してきた場合に、透湿防水シートを伝って流れ落ちるはずの雨水がシワ部分に溜まってしまい、室内まで染み出してしまう可能性があります。
※シートは長い帯状になっているため、右利きの方の場合には右から左へと張ると作業効率が良いでしょう。
③ 重ね代(かさねしろ)は10cmとる
透湿防水シートを張る際、シートとシートが重なる部分は、必ず規定数値以上重ねるようにしましょう。
- 上下の重なり: 約10cm
- 角の部分: 最低でも約15cm
この「重ね代」をしっかり確保することが、隙間からの水の侵入を防ぐポイントです。
タッカー留めとテープ処理の基準
タッカー留めは等間隔で行う
タッカーとはホッチキスのような道具で、壁などの平面部分にシートを固定するために使われます。 透湿防水シートはこのタッカーで留め付けられるのが一般的です。もしもタッカーの留め付けが乱れているとシワやヨレの原因になりますので、等間隔でしっかりと留めていくことが大切です。
【注意点】打ちすぎないこと しっかりと留め付けたいあまり、タッカーを必要以上にたくさん打ち付けるのはよくありません。タッカーによって小さい穴が開くため、そこから雨水が侵入する可能性があるためです。 タッカーの打ち留め間隔は約10cm〜程度がおすすめです。
開口部回りは防水テープでとめる
窓などの開口部回りでは、タッカーでとめただけでは雨水の侵入を防ぐのに十分ではありません。そこで「防水テープ」を使って重ねてとめていきます。
- 貼り方の順序: 開口部の下から横、そして上部へと防水テープを貼っていくようにしましょう。これも雨水の流れを考慮した順序です。
箇所別!透湿防水シートの施工方法
雨漏りは平面部分よりも、部材同士がぶつかる箇所で発生しやすいため、以下の場所は特に注意が必要です。

土台水切り部分
外壁の下方を見ると、外壁と土台の間にL字型もしくはシート状の金属がはみ出ているのが分かります。この部材を「土台水切り」と呼びます。
土台水切りがないと、上から流れ落ちてきた雨水が土台の中へと浸み込んでいき、土台が劣化してしまう恐れがあります。土台水切りがあれば雨水は地面へと流れ落ちていきます。
- 施工順序の重要性: 土台水切り部分は、透湿防水シートを張る前に取り付けられます。透湿防水シートが張られた後に土台水切りを施工しては、雨水が土台に流れ込んでしまう可能性があるからです。 「土台水切り設置 → その上から透湿防水シートを被せる」という順番を間違えずに施工することが重要です。
入り角・出角部分
入り角(いりずみ/壁が凹んでいる角)や出角(でずみ/壁が出っ張っている角)など、壁と壁がぶつかる部分は、雨漏りしやすい場所です。透湿防水シートを張るときは特に気をつけて張るようにしましょう。
- 重ね代: 少なくとも15cm、余裕があれば30cmほどとっても、とりすぎとは言えません。
- 張り方: 平面同様、下から上を意識しながら張っていきましょう。
サッシ回りなどの開口部
サッシ(窓)回りなどの開口部は特に雨漏りしやすい場所なので、透湿防水シートを張るだけでは不十分だといえます。防水テープ等でしっかりと防水を行うことが大切です。
- テープの貼り方: 開口部の下部から横、上部へと貼っていくことで、雨水を下へ流れるように誘導することができます。
ダクト回りの配管など、貫通部分
透湿防水シートを貫通して、屋内から屋外へとつながっている換気扇ダクトやエアコン配管の回りなどは、開口部分と同様、雨漏りしやすい場所です。 そのため透湿防水シートをタッカーで張った後に、防水テープ等でしっかりと防水を行うことが大切です。
軒天(のきてん)部分
軒天とは屋根が外壁よりも外へと張り出している部分で、建物下から見ると天井として見える屋外部分です。 ここは屋根材の下に防水シートがすでに張られているはずなので、軒天自体に透湿防水シートを張る必要はないでしょう。
ただし、軒天と外壁との取り合い部分は雨漏りが考えられます。先にアスファルトフェルトなどの防水シートを張ったあとで、そこに透湿防水シートを差し込むようにするとよいでしょう。
外壁と下屋の取り合い部分
下屋(げや)とは母屋から張り出した屋根のこと(1階の屋根など)です。 雨漏りが発生しやすい箇所に、この下屋と外壁との取り合い部分があります。
- 施工ポイント: この取り合い部分では、透湿防水シートを張る前に「先張り防水シート」を張って防水を行います。その上に透湿防水シートを張るのですが、先張り防水シートよりも短めにおさめるのがポイントです。
バルコニー回り
バルコニー回りの外壁も雨漏りがよく起こる箇所です。 バルコニーを覆うように透湿防水シートを張り、その上から胴縁(どうぶち)と呼ばれる細めの縦材が施工されます。さらに上から外壁材であるサイディング材が張られます。胴縁があると透湿防水シートとサイディングとの間に隙間ができ、湿気を外へと逃がすことができます。
施工中に透湿防水シートが破れた時の補修方法
施工中に透湿防水シートが破れてしまったら、その部分は張り直さなくてはなりませんが、小さな破損なら防水テープを上から貼って補修することができます。
ただ、防水テープをしっかりと貼らないと、その隙間から雨漏りすることも考えられます。 シワやヨレを作らないようにきれいに貼りましょう。もしもタッカーの打ち方がよくなく穴が開いてしまった場合も同様に、上から防水テープなどを貼って雨漏りを防ぎましょう。
雨漏りを防ぎ快適に長く暮らすために大切なのが、防水シートを使った外壁の施工です。 特に透湿防水シートと通気構法の組み合わせなら、湿気を逃がして結露を防ぐことができ、白アリなどの問題や、耐震性・耐熱効果の低下を防ぐことができるでしょう。
しかし、透湿防水シートも熱などにより経年劣化します。耐用年数は約20年と言われていますので、築年数が経過した建物は、メンテナンスやリフォームを検討することをおすすめします。
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