ケレン作業とは?塗装に欠かせない下地調整の種類とやり方を解説

ケレン作業とは?錆びた鉄部をワイヤーブラシで下地調整する様子

塗装の仕上がりや耐久性を左右するのが、下地を整えるケレン作業です。この記事では、ケレンの目的や種類ごとのやり方、業者へ依頼する際の注意点などをわかりやすく解説します。

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ケレン作業とは

ケレン作業とは、塗装前に被塗面の錆(サビ)や汚れ、古い塗膜などを取り除く表面処理です。塗装工事では、下地調整(下地処理)の工程にあたります。

ケレン前の金属面にある錆・古い塗膜・汚れをワイヤーブラシで除去し、塗装しやすい下地へ整える流れを示した図
ケレン作業で除去するものと作業前後の違い

塗装工事のケレン作業の工程

  1. 足場設置・養生
  2. 高圧洗浄
  3. 下地調整
    ひび割れ補修
    ケレン作業
    シーリング補修
  4. 塗装
    下塗り
    中塗り
    上塗り
  5. 完了検査
  6. 足場解体
足場・養生、高圧洗浄、下地調整、塗装、完了検査、足場解体の順に進み、ケレン作業が下地調整に含まれることを示した図
塗装工事におけるケレン作業の工程

ケレンの意味と語源

「ケレン」の語源は、英語の「クリーン」だといわれています。塗装前の素地をきれいにする作業を指す言葉として使われています。

ケレンが必要なケース

ケレン作業の要否や程度は、塗装する素材と劣化の状態によって異なります。鉄部では、錆や塗膜の剥がれが目立たなくても、汚れや粉化物を落とし、塗料の密着を高めるために表面を整えます。

ケレンが必要なケースの例

  • 塗装する箇所に錆が発生している
  • 古い塗装が残っている
  • 汚れが残っている

高圧洗浄などで付着物を落としきれない場合は、ケレン作業が必要です。対象は錆が生じた金属だけではありません。劣化した塗膜が残る木製の戸袋や、コンクリート・モルタルの既存下地にも行われます。国の「公共建築改修工事標準仕様書」でも、コンクリートやモルタルの改修時に既存下地を処理する工程として示されています。

※ 参考:国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」

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ケレン作業の目的

ケレン作業の目的は、塗料の密着性を高め、塗装を長持ちさせ、仕上がりを整えることです。これらの役割を知っておくと、施工内容が適切か判断しやすくなります。

ケレン作業の目的である塗料の密着性向上、塗装の長寿命化、仕上がりの改善を3つに分けて示した図
ケレン作業の3つの目的

【目的1】塗料をしっかり密着させる

ケレン作業で錆や汚れを取り除くと、塗料が下地に密着しやすくなります。付着物が残っていると被塗面と塗料の間に隙間ができ、塗膜が剥がれやすくなるためです。さらに、被塗面に細かな傷をつける「目粗し」をすると、凹凸に塗料が入り込み、密着性が高まります。

【目的2】塗装を長持ちさせる

下地に錆やコケが残ると、塗膜の内側で腐食が進み、塗膜の剥がれや構造物の劣化につながるおそれがあります。ケレン作業で被塗面を整えることで塗装が長持ちし、建物の保護にもつながります。

【目的3】仕上がりをきれいにする

なめらかに仕上げるには、ケレン作業で付着物や段差を取り除き、被塗面を平らに整える必要があります。塗膜は薄いため、下地のわずかな凹凸も仕上がりに影響します。美観を整えるうえでも、丁寧な下地調整が欠かせません。

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ケレン作業の種類とやり方

ケレン作業は1〜4種に分かれ、4種から1種へ数字が小さくなるほど作業の程度が重くなります。戸建て住宅やマンションの塗装工事では、主に2種・3種ケレンが行われます。

1種はブラスト処理で全面除去、2種は電動工具と手工具で広範囲を除去、3種は部分除去、4種は軽い清掃と研磨を行う違いを示した図
1種〜4種ケレンの作業内容の違い

1種ケレン

1種ケレンは、4種類のうち最も高度な素地調整です。ブラスト処理で錆や既存塗膜を除去し、鋼材面を露出させます。橋梁などで採用される方法です。粉じんや騒音への対策に加え、研削材やケレンかすの処理も必要なため、一般的な戸建て住宅で行われることはほとんどありません。

ケレン作業の費用
3,000円〜(1㎡あたり)

2種ケレン

2種ケレンでは、ディスクサンダーなどの電動工具と手工具を併用し、錆や既存塗膜を除去して鋼材面を露出させます。広い範囲に錆や塗膜の劣化がみられる場合に選ばれる方法で、建物の高さや種類ではなく、下地の状態によって判断します。住宅では、劣化が著しい部材をケレンするより、交換したほうがよい場合もあります。

ケレン作業の費用
1,500〜3,000円(1㎡あたり)

3種ケレン

3種ケレンでは、部分的な錆や劣化した塗膜を除去し、状態のよい塗膜は残します。戸建て住宅で一般的に行われる方法です。ディスクサンダーなどの電動工具に加え、ワイヤーブラシなどの手工具も使われます。

ケレン作業の費用
500〜1,500円(1㎡あたり)

木部のケレンについて
木造住宅では、塗膜が剥がれた戸袋や破風板などの木部にも下地調整が必要です。劣化した塗膜はスクレーパーや研磨紙で除去し、状態のよい塗膜は残します。なお、木部の下地調整には、鋼材に用いる1〜4種の分類は当てはまりません。

4種ケレン

4種ケレンは、錆や塗膜の剥がれがほとんどなく、下地が比較的良好な場合に行う作業です。ワイヤーブラシや研磨紙、専用スポンジなどを使い、粉化物や汚れを落として密着している塗膜を残します。塗料の密着を高めるため、必要に応じて表面を軽く研磨することもあります。

ケレン作業の費用
200〜600円(1㎡あたり)

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ケレン作業を業者に依頼するときの注意点

ケレン作業は重要な下地調整ですが、塗装後は施工状況を判断しにくくなります。依頼前に見積書の内容を確かめ、施工中は写真を残してもらいましょう。古い塗膜や外壁の仕上塗材には、石綿や鉛などの有害物質が含まれている場合があります。施工業者が事前調査を行い、必要な飛散・ばく露防止対策を見積もりに反映しているかも確認してください。

見積書のケレン作業記載、施工写真、相見積もり、石綿や鉛などの事前調査を業者依頼時の確認点として示した図
ケレン作業を業者へ依頼するときの確認ポイント

見積書の項目を確認する

塗装業者から見積書を受け取ったら、ケレン作業が含まれているか確認します。「下地調整」など、別の名称で記載されることもあります。

ケレン作業に関連する言葉

  • 下地調整(下地処理)
    塗り替え前に、劣化した塗膜や汚れを除去して表面を整える作業
  • 素地調整
    塗装前に被塗面を塗装に適した状態へ整える作業
  • 素地ごしらえ
    新しい下地に塗装する前の処理
  • 錆落とし
    ケレン作業のうち、錆を除去する工程
  • 目粗し(目荒らし)・研磨紙ずり
    塗料の密着や表面の平滑性を高めるための作業

該当する項目が見当たらないときは、ケレン作業を行うか業者に直接確認してください。

施工写真や作業報告書で確認する

下地調整の状態は塗装後に見えなくなるため、施工写真や作業報告書の提出を依頼しておきましょう。契約前に、各工程の写真を提出してもらえるか確認しておくと安心です。写真があれば施工前後を比較でき、気になる点も業者に伝えやすくなります。

相見積もりで適正価格を確認する

見積金額が極端に安い場合は、必要な下地調整が十分に含まれていない可能性があります。複数の業者から見積もりを取り、作業箇所、ケレンの程度、面積、単価、処分費などの内訳を比べてください。工事工程や使用塗料も比較すると、金額だけでは分からない違いを判断しやすくなります。

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