築30年・築35年の住宅、リフォームと建て替えはどちらがいい?

「うちの家、築30年だけど、まだ使えるからリフォームはもったいない?」そう考えているなら、それは大きな誤解かもしれません。築30年〜35年こそ、家が根本的な寿命を迎えるリフォーム・建て替えの最適な時期です。給排水管や断熱材など、目に見えない重要部分の寿命が同時に来るこのタイミングを逃すと、費用はかさみます。ここではリフォームと建て替えのどちらがいいか、解説しています。
 
 

2025年11月12日更新

監修記事
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築30年でリフォーム・建て替えはもったいない?

築30年といっても、まだまだ住めそうならリフォームや建て替えるのはもったいないと感じる人は多いでしょう。しかし、建ててから30年も経過しているなら、むしろリフォーム・建て替え時です。

住宅の平均寿命は30年

家の寿命は30年といわれており、国土交通省から公表されている「令和5年度 住宅市場動向調査報告書」によると、築年数30年前後でリフォームが行われたようでした。

詳しく見ると、新築住宅として購入した住宅は平均26.3年、中古で購入した住居は平均33.4年でリフォームが行われています

参照:国土交通省 令和6年度 住宅市場動向調査報告書  P:323

ほとんどの設備が耐用年数を迎える

30年も経過していると、大半の設備で故障や不具合が起こっているでしょう。住宅の設備には耐用年数が設定されており、国税庁から発表されています。主な住宅設備の耐用年数は、以下のとおりです。

設備耐用年数
トイレ10年
給湯器15年
外壁、屋根10~15年
キッチン15年
お風呂(木造住宅)22年
お風呂(RCマンション)47年
フローリング20~30年

参照:主な減価償却資産の耐用年数表

表を見ると、ほとんどが30年以内に耐用年数を迎えます。そのため、築30年の住宅は、リフォームや建て替え時といえるでしょう

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築30年・35年の家をリフォームや建て替えを行った4つの事例

築35年の家をリフォームすればどうなるか、あらかじめ知っておきたい所でしょう。築30年以上の住宅をリフォームまたは建て替えた4つの事例を紹介します。

Before
費用約2,500万円
工事期間3か月
面積135㎡
施工範囲トイレ、キッチン・台所、お風呂・浴室、洗面台
・洗面所、壁紙・壁、床・フローリング、
和室、洋室、窓、階段・廊下、
外構・エクステリア、屋根・屋根塗装、
外壁・外壁塗装、リビング、ダイニング

135m²の一戸建てを、約2,500万円かけて大規模改修した事例です。玄関の狭さや暗さ、リビングの使いづらさなど複数の課題を抱えていた住まいから、生活スタイルに合わせて一新しました。

重視したのは、快適な空間づくりと温熱環境の改善です。玄関横の和室の押入れをシューズクロークに改装し、下駄箱を一新することで開放的な玄関へと生まれ変わりました。

また、床暖房の設置やサッシのペアガラス化、内窓の追加により、家全体の断熱性が大幅に向上しています。

広いリビングを有効活用できるように、リビングとダイニングの間には小上がりの茶の間を新設し、あえてダイニングとキッチンをかけて空間にメリハリをつけました。(施工:株式会社鈴木工務店)。

Before
費用約737万円
工事期間1.5か月
面積61㎡
施工範囲トイレ、お風呂・浴室、洗面台・洗面所、
壁紙・壁、床・フローリング、和室、洋室、
階段・廊下、玄関ドア・玄関、リビング、
ダイニング

相続した実家を、家族4人が快適に暮らせる空間へと一新した事例です。61m²の住まいを、総工費約740万円、工期1.5か月で現代的な生活スタイルに合わせて改修しました。

最大の変更点は、独立型だったキッチンを対面式に変更した点です。カウンターを設けて、家族とのコミュニケーションがとりやすい空間に生まれ変わりました。

また、半坪と狭かった浴室を1坪に拡張して洗面台を廊下に移設させて、ゆとりある水回り空間を実現しています。

収納スペースに関しては細かいヒアリングを重ねて、リビングには見せる収納と隠す収納をバランスよく配置し、キッチン周りの壁には造作収納を設けるなど、限られた空間を最大限活用しています。

2階の子ども部屋にも収納スペースを確保して内装を一新させて、家族それぞれが心地よく過ごせる住まいへと生まれ変わりました。

設備の刷新と収納の充実により、35年前の住まいが現代的で機能的な空間に進化しています(施工:山商リフォームサービス株式会社)。

費用約1,600万円
工事期間3か月
面積
施工範囲トイレ、キッチン、浴室、洗面所、壁、床、
階段、廊下、洋室、玄関、リビング、ダイニング

両親から引き継いだ築30年の一戸建てを、約1,600万円をかけて快適な住まいへと改修した事例です。福岡県の中間市という、寒冷地での生活を考慮し、断熱性能の向上と家事動線の改善を重点的に行いました。

断熱対策として、外壁に断熱材を施工して床暖房も新設したことで、冬場の室内温度を安定して保てるようになりました。間取りの面では、キッチンを中心にダイニングとリビングを一体化させて、開放的な空間を実現しています。

洗面脱衣所への動線も見直したことで、家事の効率が大幅に向上しています。古くなった給排水管も一新し、キッチン、浴室、トイレなども現代的な設備に交換しました。

両親の時代から続く住まいが、高い断熱性能と使いやすい動線を備えた快適な空間へと生まれ変わりました(施工:悠悠ホーム株式会社)。

Before
費用
工事期間3か月
面積130㎡
施工範囲トイレ、キッチン、お風呂、洗面台、壁紙、
床、和室、洋室、窓、リビング、ダイニング、
ベランダ、階段、廊下、庭

空き家だった木造住宅を、高齢夫婦の暮らしに合わせて大規模改修した事例です。ご要望にあった「デザインよりも老後の暮らしやすさ」を重視し、和のテイストを残しながら現代的な住まいへと生まれ変わらせました。

1階の和室2部屋の間仕切りを撤去し、23帖の広々としたLDKに造り変えています。

キッチンは壁付けから対面式のペニンシュラ型に変更し、ご要望にあったパントリーとパン工房も新設させて、趣味の料理を楽しめる空間に生まれ変わりました。また、リビング壁面には天井まで届く大容量の収納を確保し、床の間も収納スペースに改修しています。

老後の住みやすさとしてバリアフリー化も重視しており、トイレを1.5帖に拡張、車椅子でも出入りしやすい引き戸を採用など、将来の介護に備えた構造にしました。

さらに、内窓を設置して断熱性と防音性を向上させ、年間を通して快適に過ごせる住まいを実現しています(施工:株式会社テンイチ)。

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リフォームと建て替えはどちらがいい?

リフォームと建て替えのどちらがいいかは、予算や住まいの状態、家族構成などさまざまな要因によって変わってきます。ここでは、それぞれがおすすめとなるケースについて、具体的なポイントを解説していきます。

💡リフォームがおすすめの人

以下3つのいずれかに当てはまるなら、リフォームがおすすめです。

  • 家への思い出を残したい
  • 修繕費用を抑えたい
  • 仮住まいへの引っ越しに抵抗がある

小規模のリフォームなら大半がそのまま残るため、子育ての思い出が刻まれた我が家を残したいと考える方には、改善したい部分だけ新しくするリフォームがいいでしょう

また、部分的なリフォームであれば、費用も抑えられます。キッチンやバスルームの入れ替えであれば1週間程度、内装の張り替えでも2-3週間程度で完了するため、仮住まいを探して引っ越しする必要もありません。

そのため、「家の思い出を残したい」「費用は抑えたい」「引っ越しするのが面倒」と考えている人は、部分的なリフォームを選びましょう。

💡建て替えがおすすめの人

以下のどれかに当てはまるなら、建て替えるのがいいでしょう。

  • 耐震性や断熱性を高めたい人
  • 大きく間取りを変更したい人
  • 持ち家を長持ちさせたい人

35年も前の住宅では旧耐震基準で建てられているので、耐震性に不安がある住宅は多いです。また、子どもが独立した場合や、高齢の親と同居する場合など、ライフスタイルの大きな変化がある方にも建て替えた方がいいでしょう。

建て替えの方が間取りの自由度が高いため、バリアフリー化や省エネ性能の向上、家族構成に合わせた間取りの変更などへ柔軟に対応できます。

さらに、基礎から新しく建て替えるため、リフォームで修繕するより家が長もしするのも、建て替えのメリットです。

「古い基準に不安がある」「大きく間取りを変えたい」「家を長持ちさせたい」と考えている人は、建て替えを選びましょう。

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築30年の住宅でリフォームと建て替えを比較

築30年・築35年の住宅のリフォームと建て替えを比較!

築30年・築35年の住宅でリフォームと建て替えを比較

築30年・35年の住宅は、多くの設備が耐用年数を迎え、大規模な工事が必要です。リフォームと建て替えでは、費用や工期、メリット・デメリットが大きく異なるため、しっかりと比較して検討しましょう。

費用

部分的なリフォームの場合、築30年と築35年では下表のように費用に差があります。

築年数費用の目安
築30年200〜600万円
築35年400〜600万円
築年数ごとの部分的なリフォーム費用の目安

全面的に改修する場合は、築30年と築35年どちらも1,200〜1,500万円程度が目安です。さらに二世帯住宅への改築や増築を行う場合は、500〜800万円ほど費用が必要になるでしょう。築30年以上の住宅では、地盤の補強や断熱性能の向上などに、100〜300万円必要なケースもあります。

一方、建て替えの場合は解体費用を含めて1,500〜2,300万円が目安となります。

リフォームのメリット・デメリット

リフォームの場合は、以下5つのメリットがあります。

  • 建て替えより低コストで可能
  • 工事期間が短い
  • リフォーム減税を受けられる
  • 仮住まいに引っ越ししなくても可能
  • 思い出が残る

一方で、間取りの自由度が低く大掛かりな間取り変更は難しいです。また、リフォーム中に修繕が必要か箇所が見つかって、追加費用が発生する可能性もあり得ます。

部分的に改修するならリフォームを選んで、事前に補修が必要な箇所はあるか業者に調べてもらいましょう。

建て替えのメリット・デメリット

建て替えのメリットは、以下の4つです。

  • 基礎から作るため間取りの自由度が高い
  • 設備をすべて一新できる
  • 耐震性や断熱性を高められる
  • 低金利のローンを組める

建て替えは基礎から立てるため、自由に間取りや設備を決められます。しかし、建て替えると3〜8か月かかる工事期間中は仮住まいが必要で、引っ越しも2回必要です。また、費用もリフォームより高額な上に、不動産取得税と登録免許税がかかります。

予算に余裕があり、大掛かりな間取りや設備の変更、性能の向上が目的なら、建て替えを選ぶのがいいでしょう。

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リフォームや建て替えで利用できる補助金と減税制度

リフォームや建て替え時に利用できる補助金や減税制度があります。

活用すれば、予算を抑えられるだけでなくリフォームや建て替えに回せるお金が増えるので、必ずチェックしておきましょう。

リフォームで使える補助金・減税制度

リフォームで使える可能性がある補助金と減税制度は、以下のとおりです。

制度内容
補助金・住宅省エネキャンペーン
・子育てエコホーム支援事業
・長期優良住宅化リフォーム推進事業
・子育て支援型共同住宅推進事業
・住宅建築物安全ストック形成事業
・次世代省エネ健在の実証支援事業
・既存住宅における断熱リフォーム支援事業
・介護保険法に基づく住宅改修費の支給
・高齢者住宅改修費用助成制度
減税所得税
・耐震リフォームバリアフリーリフォーム
・省エネリフォーム
・同居対応リフォーム
・長期優良住宅化リフォーム
・子育て応援リフォーム
固定資産税
・耐震リフォーム
・バリアフリーリフォーム
・省エネリフォーム
・長期優良住宅化リフォーム
リフォームで使える補助金・減税制度

補助金と減税制度は、それぞれの項目で受けられます。どの補助金・減税制度が受けられるか、リフォームを依頼した業者の担当者や住んでいる自治体のホームページで確認しておきましょう。

建て替えで使える補助金・減税制度

建て替えで使える可能性がある補助金と減税制度は、以下のとおりです。

建制度内容
補助金解体
・不燃化促進の助成金
・木造住宅耐震化の補助金
・空き家解体費用の補助金
・ブロック塀解体費用の補助金
新築
・ZEH支援事業
・子育てグリーン住宅支援事業
・建築物不燃化推進の補助金
・耐震化促進の助成金
設備導入
・給湯省エネ2025事業
・太陽光発電システム設置の補助金
・家庭用燃料電池設置の補助金
・合併処理浄化槽設置の補助金
減税・住宅ローンの減税
・固定資産税の減額
建て替えで受けられる補助金・減税制度

建て替えの場合は、解体時から補助金を受けられます。お得なので、必ず受けておきましょう。

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築35年のリフォームや建て替えに関するよくあるQ&A

築35年の家をリフォームや建て替えるときによくある3つの質問に答えます。

リフォームと建て替えの違いは?

リフォームは基礎を残して改修や設備の入れ替えを行います。一方、建て替えは基礎から建て直します。

リフォームでも間取りは変えられる?

建て替えなくても間取りを変えられます。ただし、工事の規模が大きくなるため、仮住まいが必要なケースは多いです。

築何年以上なら建て替えた方がいい?

築年数が40年以上経過しているなら、建て替えた方がいいでしょう

ダイニングが古い、和室が多いなど、現代にマッチしていない間取りが多いです。また、耐震性や断熱性が低い住宅は多いので、建て替えて新しくするのがおすすめです。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】下久保彰

2級建築士。建築設計や施工業務を30年以上経験。最近は自営にて各種請負業務を行う。

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