2024年01月24日更新

監修記事

防音性に優れた地下室のある家を建てる際のメリットや費用相場を解説

防音性に優れている地下室には、いろいろな利用方法があります。どのような利用方法やメリットがあるのでしょうか。地下室のある家を建てる際には、床面積や地下室の工期・費用相場・ドライエリアの重要性を知ったうえで、防音性に優れた地下室を建てましょう。

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防音性に優れた地下室のある家を建てるとどのようなメリットがあるのか?

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地下室は、防音性・防振性に優れ、温熱環境の安定した空間です。そのため、いろいろなことに利用できます。

たとえば、趣味部屋として利用したり、食品の貯蔵などにも利用されています。また、狭小敷地で住宅を建てる際に、地下室を設けることがあります。

それぞれの利用方法によりどのようなメリットがあるのか、まとめました。

シアターや音楽ルームなど趣味のスペースを持てる

防音性に優れた地下室の多い利用方法は、シアタールームや楽器練習室(ピアノや管楽器・声楽など)・音楽スタジオ(バンド練習室)などの趣味のスペースです。

また、機械を使ったトレーニングルーム・ダンスレッスン室なども人気があります。

地下室に趣味の部屋をつくると、広いスペースを確保できる、趣味に没頭できる、リビングや寝室などにスペースを作らなくても良いというメリットがあります。

音によるご近所トラブルの回避

地下室は鉄筋コンクリートで作られています。地下室は上部の家部分を支える基礎でもあるため、床や壁・天井が厚く、音や振動が外部に漏れにくくなっています。そのうえ、夏涼しく冬暖かい安定した温度環境です。

地下室にシアタールームや音楽室・ダンスルームなどを作るメリットは、音や振動が家の中や近隣に漏れにくいため、安心して趣味を楽しめることです。

また、騒音でご近所トラブルになることがないので、子供のプレイルーム・大人のパーティルームとしても使えます。

子供たちは雨の日でもおもいきり遊べ、大人は夜遅くまで、パーティを楽しめます。

限られた土地での居住スペースの確保

狭小敷地に家を建てる際には、建築基準法の床面積上限制限(容積率制限)で限られた床面積しか確保することができません。

しかし、地下室には建築基準法の容積率緩和があり、地上に階をつくるより、住宅全体に広い床面積を確保できます。

そのため、狭小敷地でも部屋数を増やすことが可能です。

趣味の部屋に利用する方法以外にも、家族の人数が増えた時(子供が増える・両親と同居するなど)には、寝室や子供室などに利用できます。

ワインセラーなど地下を活かした空間利用が可能

鉄筋コンクリートの地下室は、夏涼しく冬暖かく、一年を通して温度差があまり大きくありません。

また、気密性に優れているので、外気(気温や湿度)の影響を受けにくいという特徴があります。

そのため、地下室内の温度や湿度をコントロールしやすいというメリットがあり、地下室のメリットを活かしたワインセラーやお米・発酵食品の貯蔵室として向いています。

耐震性が上がる

地下室には、耐震性能があがるというメリットもあります。頑丈な地下室は、地震の揺れに対して、ばねのような役割をして地震の揺れを軽減します(=制震機能)。

そのため、地下室付きの住宅は、地下室がない住宅と比較すると、地震の揺れが半減するといわれています。

地震以外にも竜巻や暴風などの場合は、避難場所として地下室が注目されています。地下室を作ることで、家全体が地震や竜巻・暴風などの自然災害に強い、安心できる家になるでしょう。

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防音性に優れた地下室のある家を建てる際のデメリット

防音性が優れた部屋を作りたいと思い、地下室のある家を検討される方もいらっしゃるかと思いますが、地下室のある家にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

結露しやすい

地下室は温度が安定しているというメリットもありますが、温度が常に低く保たれる地下室は特に夏場に結露を起こしやすく、また、窓を設けることができないため湿気がたまりやいというデメリットがあります。

この場合、断熱工事を施したり、地下室に換気口を設置することで、結露の発生を防ぐことができます。

浸水しやすい

台風などで豪雨が降った場合、その水が地下室に流れ込み、浸水する恐れがある点もデメリットです。

そうなると室内にある家具も被害を受ける可能性があるため、雨水が地下室へ入り込まないための対策を講じておきましょう。

費用が高い

地下室を設ける工事は費用が高くなる点もデメリットです。

地下室を作る場合には、通常の部屋と比べて床面積を約3割ほど増やせますが、場合によっては、費用は約5割増しになるケースもあります。

地下室を造作する際には、重機で土を掘り、地盤が崩れないように対策を講じた上で、防水工事を行って鉄筋を配置してからコンクリートを打ちます。

このように、基本的な構造を造るだけでも、かなり大がかりな規模の工事を行う必要があるため、費用が高額になるのです。

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家に防音性に優れた地下室を設けた際に容積率が緩和される条件とは

家に地下室を作る時に建築基準法の一定の条件を満たせば、容積率の緩和を受けることができます。

容積率の緩和受けることができれば、地下室がない家より延べ床面積を増やすことができます。

地下室を作る時の容積率緩和条件の詳細をまとめました。

地下室の容積率の緩和条件

容積率とは、敷地面積に対して何パーセントの床面積の住宅を建てても良いかという上限です。

敷地面積30坪、容積率150%の場合、延べ床面積の上限は45坪です。

地下室を作る際の容積率の緩和は、住宅の延べ床面積の1/3の面積が受けられます。延べ床面積45坪ならば、15坪の緩和が受けられます。

(容積率緩和を受けられる延べ床面積の例)

  • 1階床面積 15坪 2階床面積15坪 地下床面積 15坪
  • 延べ床面積 45坪
  • 延べ床面積の1/3 45坪☓1/3=15坪
  • 地下室15坪分が容積率計算の対象となる床面積から除かれることとなります。

地階であること

容積率の緩和を受けるには、「地階」でなければ受けられません。

地階というと、全て埋まっていることを想像しますが、全て土の中(地盤面より下)に埋まっていなくても「地階」となります。

(「地階」と認められる要件)

  • 地下室の床の高さが地盤面(※)より下にあること
  • 地下室の床~地盤面の高さ(H)が、天井高さ(CH)の1/3以上であること
    A≧CH×1/3
    地下室の床から地盤面の高さ80cm・天井の高さ 240cmの場合
    80cm=240cm×1/3・・・OKとなります。

※地盤面とは建築本体が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面のことですが、高低差のある土地や建築基準法では定める設計GL=地盤面又は平均GL=地盤面ですので、詳しくは担当設計者に確認が必要です。

地盤面から地階の天井が1m以下であること

天井の高さにも規定があり、地盤面から地下室の天井高さは1m以下としなければなりません。

つまり、地盤面から上にある地下室の天井は1m以内の高さにしなさいということです。

住宅の用途に供されていること

容積率の緩和を受けるには、地下室をどんな用途で使われているかも重要で、「住宅の用途」でなければいけません。

住宅の用途とは、住宅の居室(リビング・寝室・洋室など)・トイレ・浴室・物置などです。車庫は入りません。

店舗や事務所などがある住宅では注意が必要で、店舗や事務所は住宅の用途にははいりません。

地下室を店舗や事務所として利用する場合は、容積率の緩和は受けられません。

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防音性に優れた地下室のある家を建てた場合追加でかかる工期と費用相場とは

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地下室のある家を建てた場合、地下室を建築するための工事期間や工事費用がプラスで追加になります。

地下室の追加でかかる工事期間の目安と費用相場をまとめました。

追加でかかる工期の目安

地下室を作るには、地盤と地質を調べるボーリング調査から工事がはじまります。その後、地下室の設計及び構造設計をし、地下室の土の掘削や土留め、地下室の建築の順に行います。

地下室の設計・構造設計で、2ヶ月~3ヶ月、土の掘削から地下室の建築で1ヶ月半から2ヶ月程の期間がかかります。工事面積や地盤や敷地・道路の状況により、工事期間が延びる場合があります。

追加でかかる費用相場

地下室の工事は、地下室を作る前の調査・設計費用と地下室を作る費用がかかります。

(地下室を作る前の調査・設計費用)

  • 地盤・地質を調査するボーリング調査費用:約25~30万円
  • 地下室の設計費用:約30~40万円
  • 家全体の構造設計費用:約20~30万円
  • 地下室の設計図:約30~60万円
  • 地下室を作るための土留め(地下室周りの土を留める)費用:約150~200万円
  • 地下室を作るために掘った土を捨てる費用(残土処分費用):約150~200万円
    (敷地の形状や地盤状況・道路事情により工事内容や費用が変わります。)

(地下室を作る費用)

  • 地下室本体費用:坪単価で約80~120万円
    (防水費用:約80万円、断熱費用:約40~60万円含む)
  • ドライエリア費用:約100~150万円

敷地の形状や地盤状況・道路事情により費用や工事内容が変わります。

地下室を作るには、地下室だけで費用を考えることはできません。

周囲の状況や間取り・地下室の使用用途により追加でかかる費用があります。地下室を検討する際には、家を建築する費用をトータルで考えるようにしましょう。

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防音性に優れた地下室のある家で重要なドライエリアとは

地下室は、「部屋の中が暗い」、「ジメジメして、カビがはえる」といわれます。

地下なので当たり前ですが、最近は「ドライエリア」を設けることで、光がはいる、風通しの良い地下室が作られています。

ドライエリアとは

ドライエリアは、地下室の外壁に沿って作られる「からぼり」のことで、建築基準法では地下室を作る場合、からぼり(窓があるドライエリア)又は換気設備又は湿度調整設備が必要となっています。

ドライエリアを設ける効果

ドライエリアを設けることで、地下室のデメリットである暗い、ジメジメしている住環境を良くする効果があります。ドライエリアは、建築基準法で一定基準の広さの確保と窓の設置が必要となっています。

そのため、ドライエリアから地下室に太陽の光がはいってきます。ドライエリアのない地下室では望めない太陽光を確保できます。

また、ドライエリアの窓からは、外への目線が確保され、通風も確保できます。地下室は鉄筋コンクリートでできているため、気密性が高く、外も見えにくいため、閉塞感があります。

ドライエリアをつくることで、大きい窓を設けることできるようになり、閉塞感が緩和され、地下室でも開放感がある部屋をつくることができます。

ドライエリアの窓は、地下室でも通風できるようになり、湿気対策にも有効です。窓を開けることで換気ができるため、室内の湿気を外に出すことができます。

ドライエリアの活用法

ドライエリアは、地下室に光を入れたり、通風を確保したりするだけでなく、+αのスペースとして利用されています。ドライエリアに面して窓があるため、庭やテラスとして使われています。

ドライエリアの重要な用途として、地下室の緊急時避難経路となっています。そのため、窓からの出入りに支障のある利用はできませんので、注意が必要です。

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防音性に優れた地下室をつくる際の注意点

地下室を造る場合には、いくつかの気をつけなければならない点があります。どのよう点に注意が必要なのかについて見ていきましょう。

湿度調節と日当たりの確保

湿度調節と日当たりの確保は最優先で設計しなくてはなりません。

地下室は閉じられた空間になりやすいため、息苦しさを感じず、快適にくつろげる空間にするためにも、採光や換気方法は重要です。

採光を得る対策としては「トップライト」と呼ばれる天窓を設けたり、建物の外壁に沿って地面を掘り下げて造る「ドライエリア」を設ける手段が効果的です。

ドライエリアの窓は、外気を入れる方法としても活用でき、除湿対策としても効果が高いでしょう。

避難経路の確保

避難経路の確保も重要です。地震や台風などで、万が一、地下室から出られなくなったら大変ですから、あらかじめ避難経路をきちんと確保して設計しましょう。

国土交通省でも地下室については、以下のような厳しいガイドラインを定めています。

【特定少数の者が利用する地下空間における技術的基準】

  1. 避難経路の階段が流入水により歩行困難とならないこと
  2. 避難経路となる階段は、地下空間に存する者が避難を終了するまでの間、階段上の浸水深が避難が困難となる水深以上にならない構造とすること
  3. ドアの開閉が可能なこと、昇降機による避難を計画しないこと、及び漏電しないこと

https://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/saigai/tisiki/chika/pdf/6-1_6-3.pdf

ドライエリアを設ける場合の雨水対策

ドライエリアとは、地下室に光や風を取り込むため、建物の周囲の地面を掘って造るスペースのことで、空堀(からぼり)とも呼ばれています。

しかし、ドライエリアを造る一番のデメリットは雨の問題です。ドライエリアに降りこんで溜まった雨水は、排水ポンプで排出しなければなりません。

排水ポンプの寿命は約10年で、放置しておくと不具合が起こりやすいため、定期的なメンテナンスも必要です。

排水ポンプのメンテナンスや交換は、ドライエリアの設置には欠かせないものであることを忘れないようにしてください。

また、ゲリラ豪雨やときなど、一時的に大量の雨が降りこんでしまう場合は、避難ルートを確保するため、地下空間への浸水をできるだけ遅らせる工夫が必要になってきます。

ドライエリアの周囲には立ち上がり壁を設けたり、地上に出ているドライエリアの壁を高くして、ドライエリアにそのまま水が流れ込まないように対策を講じておくと安心です。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】タクトホームコンサルティングサービス

タクトホームコンサルティングサービス

亀田融

一級建築施工管理技士、宅地建物取引士。東証1部上場企業グループの住宅部門に33年間勤務。13年間の現場監督経験を経て、住宅リフォーム部門の責任者として部分リフォームから大規模リノベーションまで2,000件以上のリフォームに関わる。2015年に退職して現在は、タクトホームコンサルティングサービス代表として、住宅診断を行う傍ら、住宅・リフォーム会社へのコンサルティング活動を行っている。

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