目次
瑕疵保険とは
瑕疵保険の「瑕疵(かし)」とは、本来であれば持つべき性能・品質・機能が備わっていないこと意味します。
住宅における瑕疵をわかりやすくいうと、建物の欠陥や不具合になります。
瑕疵保険は、このような住宅の欠陥や不具合の補修にかかる費用を補償するものです。
瑕疵を売主に申し出れば、売主側は保険金を元手にして補修工事をします。
売主側が倒産している場合は、補修工事に必要な金額が買主側に直接支給されます。
そのため、瑕疵保険に加入していれば瑕疵による補修費用を買主側が負担することはありません。
瑕疵保険は買主側にある瑕疵リスクを軽減し、安心して住まいの購入・リフォームができるようにするために大切な保険といえます。
瑕疵保険の補償対象となる範囲
瑕疵保険の対象となる瑕疵範囲は、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分です。

戸建て住宅か共同住宅かによって、対象範囲は異なります。
戸建て住宅 (木造:在来軸組工法) | 共同住宅 (鉄筋コンクリート造) | |
---|---|---|
構造耐力上主要な部分 | 小屋組 屋根版 斜材 壁 横架材 柱 床版 土台 基礎 | 屋根版 床版 外壁 壁 基礎 基礎杭 |
雨水の浸入を防止する部分 | 屋根 開口部 外壁 | 排水管 屋根 開口部 外壁 |
上記の対象範囲に瑕疵が見つかった場合、無償で補修してもらえます。
補償してもらえるのは、補修にかかる直接的な費用だけではありません。
補修のために家を空ける必要があるのなら仮住居・転居費用、補修範囲や補修方法の確定に必要な調査費用なども支給されます。
瑕疵保険はいらないといわれる理由
瑕疵保険は買主にとって安心材料となる一方で、入る必要はないという声もあります。
ここからは、瑕疵保険はいらないといわれる理由を解説します。
【理由1】保険料や検査料などの費用負担が大きい
瑕疵保険では、保険料や検査料の支払いが必要になります。
保険料 | 40,800~76,200円 |
検査料 | 26,290~38,170円 |
新築住宅の場合、売主側に加入義務があるため保険料や検査料を請求されることはありません。
しかし、リフォームや中古住宅の購入では買主側が負担するケースもあります。
そのため、新築を購入しない人は瑕疵保険の加入にメリットを感じにくいのかもしれません。
ただ、瑕疵保険に入っていない状態で欠陥や不具合を直す場合には、数百万円以上と高額な負担が発生する可能性もあるでしょう。
そのため、瑕疵保険は加入しておいたほうが安心です。
【理由2】リフォームや中古住宅購入では保証期間が短い
リフォームや中古住宅の売買向けの瑕疵保険における保証期間の短さも、瑕疵保険がいらないとされる理由です。
ここでは、各保険の保険期間をみていきましょう。
保険の種類 | 保険期間 |
---|---|
住宅瑕疵担保責任保険 | 10年 |
リフォーム瑕疵保険 | 1~10年 |
既存住宅瑕疵保険 | 1~5年 |
住宅瑕疵担保責任保険の保証期間は10年ですが、既存住宅瑕疵保険やリフォーム瑕疵保険は最短1年となっています。
仮にリフォームから1年を過ぎた段階で瑕疵が見つかった場合、補修は自己負担になる可能性があります。
保険に加入しても補償を受けられない可能性があるため、瑕疵保険は不要だと考える人も多いようです。
【理由3】入居日が予定よりも遅くなる可能性がある
瑕疵保険が不要とされる理由のひとつに、入居日の遅延が挙げられます。
瑕疵保険の加入では、現場検査への合格が必要です。
検査の結果、合格基準に満たない場合は追加で工事が必要になります。
そのため、場合によっては入居日が予定より遅くなる可能性も。
ただ、保険を契約せずに予定通りに入居したとしても、不具合が見つかり家を空けなければならなくなるケースもあります。
そのうえ、補修費用として高額な出費が発生する可能性もあります。
安心して入居日を迎えられるようにするためにも、瑕疵保険は重要といえるでしょう。
新築・中古住宅を購入する際に利用できる瑕疵保険
ここからは、新築・中古住宅の購入時に利用できる瑕疵保険を紹介します。
住宅瑕疵担保責任保険
新築住宅向けの瑕疵保険です。
新築住宅を購入後、瑕疵が見つかったときの補修費用をカバーできます。
構造耐力上主要な部分が建築基準法に満たないとき、雨漏りの浸入を防ぐ部分の防水性能が基準を満たしていないときが補修対象です。
対象範囲 | 構造耐力上主要な部分 雨漏りの浸入を防ぐ部分 |
保険期間 | 10年間 |
保険金額 | 2,000万円以上 |
既存住宅瑕疵保険
既存住宅瑕疵保険は、中古住宅を購入する人向けの保険です。
中古住宅の購入後に瑕疵が見つかった際、補修に必要な費用を全額補償してもらえます。
対象範囲は、住宅瑕疵担保責任保険と同様に構造耐力上主要な部分と雨漏りの浸入を防ぐ部分です。
特約の付帯により、給排水管や引渡し前リフォーム工事なども補償範囲に追加できます。
保険の契約者は宅建業者・検査事業者・仲介業者ですが、保険料は買主と協議して決めるケースも少なくありません。
対象範囲 | 構造耐力上主要な部分 雨漏りの浸入を防ぐ部分 給排水路・引渡し前リフォーム工事 |
保険期間 | 1年 2年 5年 |
保険金額 | 500万円 1,000万円 |
リフォーム時に利用できる瑕疵保険
リフォーム時に利用できる瑕疵保険は「リフォーム瑕疵保険」です。
リフォーム後、瑕疵が見つかったときに無償で補修してもらえます。
ただし、外構や庭など建物自体に付帯していない部分のリフォームは対象外です。
対象範囲 | リフォーム工事を実施したすべての部分 |
保険金額 | 100万~2,000万円 |
保険期間 | 1~10年 |
瑕疵保険の加入手続きの流れ
ここからは、瑕疵保険への加入手続きの流れを解説します。
事業者が瑕疵保険の申し込み手続きを済ませます。
申し込みを行うと、現場検査が実施されます。加入には現場検査の合格が条件のため、検査の基準を満たすまで追加工事が行われます。
現場検査で問題なければ、保険契約が締結されます。
引渡し日が決まった段階で保険証券の発行手続きが行われ、住宅を取得した人に保険証券・保険付保証明書が渡されます。
瑕疵保険を契約する際の注意点
ここからは、瑕疵保険を契約する際の注意点を解説します。
【注意点1】契約不適合が該当するかを確認する
瑕疵保険の補償を受けるためには、発見した瑕疵は引渡し以前からのものであると買主が立証しなければなりません。
そのため、施工中も現場に行って日付入りの写真を撮るのがおすすめです。
また、業者とのやり取りを双方にわかる形で書面に残しておくと、立証時の有力材料になるでしょう。
【注意点2】欠陥・不具合などはすべてカバーできない
瑕疵保険でカバーできる範囲は、構造耐力上主要な部分と雨漏りの浸入を防ぐ部分のみ。
構造上関係のない床鳴りや、ひび割れなどは補償対象外です。
瑕疵保険を契約していれば、すべての欠陥・不具合の補修を無償で直してもらえるわけではない点に注意しましょう。
【注意点3】保険期間が1年の場合もある
リフォーム瑕疵保険・中古住宅瑕疵保険の保険期間は、最短1年です。
引渡し前のリフォーム工事、玄関にある土間のコンクリート工事などが1年保証にあたります。
保険期間を過ぎてから瑕疵に気づいても、補償は受けられません。
瑕疵保険を契約している場合には、あらかじめ保険期間をよく確認しておきましょう。
【注意点4】住宅瑕疵担保責任保険は加入義務がある
売主側に加入義務があるのは、住宅瑕疵担保責任保険のみです。
リフォーム瑕疵保険や既存住宅瑕疵保険に加入義務はありません。
そのため、リフォームや中古住宅の購入時に瑕疵保険への加入を依頼しても断られる可能性があります。
ただ、保険の契約者になれるのは売主側のみです。
そのため、瑕疵保険でリスクに備えたい場合は売主側とよく相談しましょう。
【注意点5】現場検査に合格しないと保険に加入できない
瑕疵保険の加入には、現場検査の合格が必須です。
不合格の場合、改善に向けた追加工事が行われます。
検査結果によっては工期が長引く可能性もあるため、保険の申し込みは余裕をもって行いましょう。
【Q&A】瑕疵保険に関するよくある質問
- 瑕疵担保保証とは?
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瑕疵担保保証とは、売主側が買主側に対して負う責任のことをいいます。住宅の購入・リフォーム後に瑕疵が見つかった場合、補修にかかる諸費用が保証されます。
- 1号保険と2号保険の違いは?
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1号保険と2号保険の違いは、加入義務があるかどうかです。1号保険は、資力確保義務のある事業者側が加入するものです。住宅瑕疵担保責任保険が1号保険に該当します。
また、2号保険とは1号に該当しない任意加入の保険を指します。中古住宅購入向けの既存住宅瑕疵保険やリフォーム瑕疵保険が該当します。 - リフォーム瑕疵保険で支払い対象となる費用は?
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リフォーム瑕疵保険で保険金として支払われる費用には、修補費用・調査費用・転居・仮住まい費用などがあります。
- 住宅瑕疵担保責任保険の保険料は誰が払うのか?
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住宅瑕疵担保責任保険の場合、保険料は建設業者・宅建業者などの業者側が支払います。リフォーム瑕疵保険・既存住宅瑕疵保険は任意保険であるため、保険料を誰が払うかは決められていません。
- 瑕疵担保責任は何年?
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新築住宅の売買では、売主側に10年間の瑕疵担保責任があります。中古住宅は、最低2年間です。なお、瑕疵保険を契約すればリフォーム・中古住宅の購入でも最長5年間の保証を受けられます。
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