2023年11月28日更新
和式トイレのメリットとデメリットは?なぜ未だになくならないのか?
近年、トイレのリフォームにおいても、和式トイレから洋式トイレへ交換する家庭が非常に多くなりました。和式トイレは本当に欠点ばかりなのでしょうか。日本独特なスタイルでもある和式トイレの利点とは?和式トイレの変遷とともにメリットとデメリットを解説します。
和式トイレの歴史および変遷について
日本における和式トイレの歴史は古く、形も様々に変化してきています。
では、現在使われている陶製の水洗式和式トイレはいつ頃作られたのでしょうか?
現在の和式トイレができる過程を簡単にみてみましょう。

現在見られる陶製の和式トイレの歴史
現在使用されている陶製の水洗式和式トイレは1900年代に入ってから作られました。
1904年、日本陶器合名会社が日本で初めての「和風水洗大便器」と「洋風小便器」を造ったといわれています。
洋式トイレや洋風小便器は、明治時代には既にヨーロッパから入ってきていました。
しかし、当時はまだ衛生陶器の研究が進んでいなかったため、日本製は市場には出ておらず、すべて欧米メーカーから輸入されていたようです。
その後、研究が進み1914年に「製陶研究所製水洗式便器」が日本で初出荷され、その後、少しずつ変化しながら現在に至っています。
和式トイレ減少の原因
昭和30年代頃までは、ほとんどの家庭が和式トイレでしたが、1959年に日本住宅公団が洋式トイレを採用したことがきっかけとなり、洋式トイレが普及し始めます。
その後、浄化槽や上下水道の整備が進み、さらに温水洗浄便座の登場や節水ブームなど、洋式トイレのメリットが多く伝えられるようになり、1980年代になると和式トイレの出荷台数は全体の2割を下回ってしまいました。
これらの時代背景と、洋式トイレの機能が向上していく過程で、洋式の利点ばかりが取り上げられるようになりました。
反対に和式トイレは欠点ばかりのようにいわれてしまいがちですが、決して欠点ばかりではないようです。
和式トイレのメリットについて
トイレのリフォームにおいても、ほとんどの家庭で洋式トイレを採用するようになりました。
確かに、温水洗浄機付き便座などが使える洋式のトイレは魅力的です。しかし、和式のトイレにも利点があります。
既存の洋式トイレから和式のトイレに、リフォームするという家庭はないと思いますが、古い和式トイレから新しい和式トイレに交換リフォームするということは考えられます。
和式トイレの隠れた利点についてみてみましょう。
掃除が楽!
洋式トイレに比べると、形がシンプルなので掃除がしやすいのが特徴です。
また、床がタイルなどの場合は一緒に洗うことができ、汚れた水もトイレに流すことができるので、掃除が楽にできます。
また、槽が浅いので排便時には、水跳ねしにくいという利点もあります。
排便しやすい!
しゃがむという姿勢は、背骨が真っ直ぐになり、力が入りやすくなります。
洋式に比べるとスムースに早く排便できるといわれています。
また、しゃがんだり立ったりすることで、足腰の筋肉も鍛えられれます。
価格が安い!
洋式のトイレに比べるとシンプルな構造なので、価格も比較的安価です。
しかし、実際には和式トイレにリフォームするということは考えにくいのが実情です。
但し、デパートや公衆トイレなどの公共施設では、和式を採用しているところもあります。
お尻が汚れない!
洋式トイレのように直接便座に座ることがないので、お尻が汚れることがありません。
他の人が座った後に座りたくないというような潔癖症の人には良いでしょう。
和式トイレのデメリットについて
和式トイレは洋式のトイレ比べると様々な欠点があるのも事実です。
どのようなデメリットがあるのかみてみましょう。
悪臭が強い!
槽が浅いために排便時に悪臭を放ちやすいという欠点があります。
ビジュアル的に不衛生!
和式トイレは便器の中や周辺が丸見えになってしまうため、見た目に不衛生な印象を与えてしまいがちです。
詰りなどのトラブルが発生したとき修理できない!
和式トイレは埋め込んでしまうために、詰りなどの故障が生じて改善しない場合は、撤去して新たに便器を交換するリフォームが必要になります。
洗浄時に水跳ねしやすい!
槽が浅いため、洗浄する際には水跳ねしやすいというデメリットがあります。
トイレットペーパーが流れにくい!
和式トイレの多くが水勢のみを利用した洗い出し方式なので、吸引する作用がありません。
洗浄するための水を流しても、水流によってはトイレットペーパーがうまく流れないでクルクル回っている状態になることがあります。
妊婦さんや高齢者や介護には不適切!
メリットのところで、和式トイレは筋肉を使うということを説明しました。
反対に妊婦さんや高齢者や介護を必要とする人、または筋力のない人にとっては、とても辛い姿勢を強いられることになり、肉体的負担が大きくなってしまいます。
洋式トイレのメリット・デメリットはこちらの記事で説明しています
和式トイレを洋式トイレにリフォームする費用・注意点・事例
現代の住居では、ほとんどが洋式トイレです。
今現在和式トイレの方は、使いやすさの面からリフォームを検討されているのではないでしょうか?
この記事では、和式トイレから洋式トイレに交換するメリット・デメリット、工事にかかる日数や、実際の施工事例などをご紹介していきます。
トイレのリフォームをご検討中の方、ぜひご参考ください。
和式トイレから洋式トイレに交換するメリット

和式トイレから洋式トイレに交換するメリットを5つご紹介します。
節水機能で水道代の節約ができる
最新のトイレは、少ない水量でしっかりと流せるよう、各社が技術を磨いています。
現在では1回あたりの洗浄水量が、20年前と比べて約2分の1程度、さらに和式トイレの時代だった40年以上前に比べると約4分の1〜5分の1程度で済むようになりました。
和式トイレから新しい製品に交換すれば、水道代の大幅な節約につながります。
座面暖房やウォシュレット機能で快適
現在の洋式トイレは、座面暖房やウォシュレット機能など快適にトイレを使える機能を兼ね備えたものがほとんどです。
体勢が楽になる
和式トイレは、使用する際の体勢が辛いというデメリットがあります。
洋式トイレにすることで、足腰が弱いご年配の方や小さいお子様の負担を軽減することができます。
バリアフリーにも対応
洋式トイレでは、手すりをつけるなどのバリアフリー化がより有効に働きやすいです。
衛生面の心理的作用が大きい
和式トイレを使用する際には、便器と顔の距離や、跳ね返り、臭いなど衛生面において、心理的に負担を感じる方もいるのではないでしょうか?
洋式トイレにすれば、体と便器の距離が離れ、臭いなどによる嫌悪感も抑えられます。
和式トイレを洋式トイレに交換するデメリット

和式トイレから洋式トイレに交換するデメリットを3つご紹介します。
掃除が大変になる
和式トイレは洋式トイレと比べると構造がシンプルで、汚れがたまる場所や手が届かない場所が少ないのが特徴です。
そのため、洋式トイレに交換すると掃除がやや大変と感じることもあるでしょう。
座面が体に触れる
和式トイレではお尻が浮いている状態です。
しかし洋式トイレの場合、便座に直接お尻が触れます。
人によってはその点に抵抗がある方もいるかもしれません。
スペースが必要になる
和式トイレよりも洋式トイレのほうが設置にスペースが多少広く必要になります。
洋式トイレの設置に際してスペースが足りない場合には、壁を取り壊してスペースを広げるなど多少大掛かりな工事が必要になることもあります。
和式トイレから洋式トイレに交換する方法

洋式トイレへの具体的な交換方法についてご紹介します。
リフォーム業者に依頼する
和式トイレから洋式トイレに交換する場合には、通常、リフォーム業者へ依頼します。
トイレの本体価格の相場については、グレードや機能によって大きく異なり、約4万円〜約33万円と大きな幅があります。
工事費用の費用相場は、約13万円〜約25万円です。
和式トイレから洋式トイレにする場合には、便器の撤去・取付だけでなく、配管工事、床の張り替え工事などが伴い、場合によっては壁などの工事が必要になることもあるため、工事費用が思ったより高くなる傾向にあります。
工事の施工期間は3日〜5日程度です。
業者に依頼することで、配管や床・壁などもまとめて新しくできますが、その分費用は高額になります。
カバーを取り付ける
和式トイレの上から簡易洋式便座と呼ばれるカバーをかぶせることで、洋式トイレにする方法もあります。
この簡易洋式便座は1万円前後で購入できるため、費用を抑えて簡単に洋式トイレに交換できます。
一方で、かぶせているだけなので安定性には欠け、カバーの内側の汚れはねの掃除がしにくい点などが簡易洋式便座のデメリットです。
和式のトイレを洋式にするときの注意点

和式のトイレから洋式のトイレにリフォームする場合には、想像以上に工事の費用がかかります。
和式トイレから洋式のトイレに交換する際には、床や壁のリフォームも同時に行わなくてはなりません。
また、シャワートイレや暖房付きのトイレを選択すると電気工事も必要になります。
また和式トイレとは趣の違った、洋式トイレに合わせた棚やぺーパーホルダー、さらに洋風なドア(扉)にリフォームしようとすると、費用は思いのほかかさんでしまいます。
しっかりと費用の計画を立ててから発注するのが良いでしょう。
なお工期は3日から5日ほどかかるので、その間は多少不便を感じることもあるかもしれません。
価格に差がでるグレードの違い
洋式トイレのタイプには非常に多くの選択肢があり、グレードによって価格も大きく異なります。
タンクとトイレ本体だけのシンプルなものでは約10万円からありますが、多くの機能がついたハイグレードなトイレは約60万円というものもあり、幅広いグレードの中から予算に合ったものを選ぶ必要があります。
和式トイレが狭い部屋の場合
0.3坪(畳半畳)より小さい場所に和式トイレがある場合は、洋式トイレは部屋の角を利用したコーナータイプを設置しなくてはならないので、この場合は約5万円ほど割高になります。
和式トイレから洋式トイレに交換する際にかかる費用の相場

和式のトイレから洋式のトイレに交換、リフォームした家庭の75%が約25万~約40万円の費用がかかったと回答しています。
大多数を占めるこの価格帯が相場ともいえます。
詳しくみてみましょう。
和式トイレから洋式トイレに交換した際の工事費の内訳は?
和式から洋式へのトイレ交換リフォームでは、工事費が全体の6割を占めるといわれています。
ここでは工事費の内訳の一例を紹介します。
基本工事
- 解体処分費用…約2万円~
- 大工工事…約3万円~
- 床や壁の工事…約4万円~
- 汚水の位置換え及び配管工事…約5万円~
- 便器取り付け工事…約4万円~
- 電気工事…約2万円~
- 諸経費…約2万円~
その他の費用
- ドアや棚の取り付けなどの建具工事…約8万円~
費用全体の価格はトイレ本体を25万円とし、そこから4割引きと想定します。
基本工事の最低価格を加えると約37万円となり、相場に近い価格が算出されます。
しかし、洋式トイレのグレードを最高機種にすると、全体で約60万円以上かかることになります。
さらに壁紙や床材の選択、手洗いや棚の設置などによっても価格は上昇していきます。
相場を参考にして、見積もりをしっかり確認しながら予算を立てることが大切になります。
和式トイレを洋式トイレに交換した施工事例
和式トイレから洋式トイレへとリフォームした施工事例をご紹介していきます。
手すり、手洗い器の設置で使いやすい空間へ

画像出典:みやこリフォーム
建物種別 | 戸建 |
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施工費用 | 43.2万円(税込)うちトイレ本体約14万円 |
施工期間 | 3日 |
洋式トイレへの交換だけでなく、壁をタイル張りにし、手すりや手洗い器も設置しました。
より快適でバリアフリーにも優れたトイレ空間へとリフォームした事例です。
手すりを設置するだけでも、座る・立つなどの動作の負担を大きく軽減できます。
狭い個室を一室にまとめた大掛かりな工事で空間丸ごとリフォーム

画像出典:みやこリフォーム
建物種別 | 戸建 |
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施工費用 | 51.9万円(税込)うちトイレ本体約10万円 |
施工期間 | 5日 |
狭い個室2部屋を一室にして、洋式トイレへとリフォームした事例です。
壁や床、天井なども解体しスッキリとした印象を与える空間になっています。
空間を丸ごとリフォームするという大掛かりな工事でも1週間以内で工事を終わらせられることがほとんどです。
解体は最小限にして費用を抑えたリフォーム

画像出典:みやこリフォーム
建物種別 | 戸建 |
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施工費用 | 36.0万円(税込)うちトイレ本体約6万円 |
施工期間 | 2日 |
タイルなどはそのまま残し、工事を床などの必要箇所だけにとどめることで費用を抑え、和式トイレから洋式トイレへとリフォームした事例です。
そのほか、クロスの下地部分など劣化が進んでいる箇所もしっかりと補修しています。
段差の解消と一体型トイレでスッキリ空間

画像出典:フレッシュハウス
建物種別 | 戸建 |
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施工費用 | 50万円未満 |
施工期間 | 2〜3日 |
簡易洋式便座を使用していた和式トイレを洋式トイレへとリフォームした事例です。
それまでの床段差をなくし、おしゃれな一体型洋式トイレに交換しました。
壁装の一部にアクセントカラーを加えたことで、スタイリッシュで落ち着いた雰囲気の空間になっています。
ダークなアクセントクロスでおしゃれで清潔感のあるスペースに

画像出典:フレッシュハウス
建物種別 | 戸建 |
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施工費用 | 50万円未満 |
施工期間 | 2〜3日 |
和式トイレから洋式トイレへの交換だけでなく、タイルや壁紙なども含めて大胆にリフォームした事例です。
白を基調とし、アクセント壁紙にダークグレーを取り入れたことでシックで清潔感のある空間に仕上がっています。
和式トイレを洋式トイレに交換する工事期間はどれくらい?

和式トイレを洋式トイレに交換する際にかかる工事期間について、工事の流れとともに解説していきます。
工事の流れと各工程でかかる時間は以下のとおりです。
解体
既存の和式便器、それに段差や床、必要に応じて壁クロスなどの解体と撤去作業をおこないます。
この工程では約半日ほどの時間がかかります。
床下の地作り
段差などを解体し、むき出しになっている床部に、木材で新たな床下地の骨組みをし、その上で床下地板を張ります。
この工程も約半日ほどはかかります。
電気・配管工事
洋式トイレの設置位置に合わせ給水管と排水管を延長するなどの工事をします。
また、トイレにコンセントがない場合には、電気工事も必要になってきます
状況によって前後しますが約半日ほどで工事は終わるでしょう。
壁や床クロスの工事
壁や床などの内装工事です。
ここでも状況により前後しますが、約半日はかかるでしょう。
内装工事の内容によっては1日程度かかることもあります。
トイレ本体・キャビネット手洗い場などの設置
最後に新しい洋式トイレを取り付け、手洗い器などを導入する場合には同時に行っていきます。
トイレの設置・接続は、約2時間〜約3時間ほどでできるでしょう。
和式トイレから洋式トイレへの交換は全体で約3日〜約5日ほどかかります。
既存のトイレの状況や、内装工事の内容などによって施工日数は前後することがあります。
和式トイレから洋式トイレに交換できないケースとは?

洋式トイレは和式トイレよりもスペースを必要とするため、場合によっては洋式トイレに交換できないことがあります。
洋式トイレにする場合には少なくとも0.4坪程度の広さは必要なため、現在のトイレのスペースがそれより狭い場合は、工事によって広げる必要があるでしょう。
壁などを壊しトイレのスペースを広げてトイレの交換を行う場合には、トイレのグレードにもよるものの約32万円〜約55万円程度はかかると見込んだほうがいいでしょう。
和式トイレから洋式トイレに交換する費用を抑えるには?

トイレ本体の価格を抑えてコストダウン
洋式トイレには「一体型トイレ」「組み合わせトイレ」「タンクレストイレ」などの種類やグレードがあります。
タンクレストイレは他の種類に比べて費用が高い傾向にあるため、費用を抑えたい場合には一体型トイレや組み合わせトイレなどを選ぶとよいでしょう。
壁や床クロス、建具など削れる部分で抑える
壁や床クロス、入り口部分の建具などにも幅広いグレードがあります。
なるべくお手頃なグレードのものを選ぶことで、全体的な費用を抑えることができるでしょう。
洋式便座カバーを設置する
業者に依頼し、本格的な洋式トイレにリフォームする場合、ある程度高額の工事費用が必要になります。
現在の和式トイレにカバーするだけの簡易洋式便座であれば、1万円前後で購入することもできるため、費用を抑えて洋式トイレにしたい場合には利用を検討してみてください。
相見積もりをとって業者を選ぶ
リフォームをする際には業者に見積もりを依頼する際には、一社のみに依頼するのではなく、複数業者に同じ内容で見積もりをお願いするようにしましょう。
数社の見積もりを比較する事で、リフォームの費用相場をつかむことができます。
また、費用だけでなく業者のサービスの質なども比べることができるでしょう。
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トイレリフォームに対応する優良な会社を見つけるには?
ここまで説明してきたトイレリフォームは、あくまで一例となっています。
「費用・工事方法」は物件やリフォーム会社によって「大きく異なる」ことがあります。
そのとき大事なのが、複数社に見積もり依頼して必ず「比較検討」をするということ!
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後悔しない、失敗しないリフォームをするためにも、リフォーム会社選びは慎重に行いましょう!
この記事の監修者プロフィール

株式会社KURODA一級建築士事務所
坂田理恵子一級建築士、一級施工管理技士。和歌山市で設計事務所に勤務。住宅のリフォームや新築を中心に携わり、女性目線で、家事や掃除、片付けがしやすく暮らしやすい家の提案を行う。

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