

レンガ調外壁の種類と特徴
外壁をレンガ調に仕上げる方法は大きく4つあります。初期費用・耐久性・メンテナンス頻度がそれぞれ異なるため、予算と長期的な維持費をあわせて比較しましょう。

レンガ調サイディング
窯業系サイディングボードにレンガ模様を施した外壁材で、戸建て住宅の外壁に広く使われています。製品によって寸法や塗膜性能が異なり、メンテナンス時期も立地条件や劣化状態によって変わります。年数だけで判断せず、色あせ、塗膜の亀裂・剥離、シーリングのひび割れなどを定期的に確認しましょう。チョーキング(表面が白い粉状になる現象)が目立つ場合も、塗り替えを検討するサインです。レンガ調デザインを残すクリア塗装は、既存塗膜の劣化が進むと適さない場合があるため、施工前に製品メーカーや専門業者へ適否を確認してください。
レンガ調タイル(ブリックタイル)
粘土などの天然素材を焼き固めたタイルを、1枚ずつ外壁に貼り付ける工法です。ブリックタイル・レンガタイルとも呼ばれます。素材感が本物のレンガに近く、見た目の質感はサイディングより高くなります。施工方法には、モルタルで張る湿式工法と、有機系接着剤で張る工法や専用下地に引っ掛ける乾式工法があります。タイル・接着剤・下地は、採用する工法に適合する組み合わせを選ぶ必要があります。戸建てリフォームで乾式工法を採用する場合、専用下地は8,600〜9,000円/㎡の商品もあり、タイル・接着剤・役物・施工費は別途かかります。耐用年数は30年以上が目安で、塗装の塗り替えは基本的に不要です。ただし、タイルの浮きや目地のひび割れが生じた場合は、部分的に補修します。初期費用はサイディングより高めになりますが、維持費を含めた長期コストでは差が縮まる素材です。
スライスレンガ
本物のレンガを約20mm程度の薄さにスライスした建材で、外壁に貼り付けて仕上げます。4種類の中でもっともリアルなレンガの質感が出せる工法です。レンガ素材は紫外線・雨水への耐性が高く、塗装の必要がほぼありません。一方、施工は手作業が多く工期が長くなるため費用は高額です。また蓄熱性が高く、冬は暖かさを保ちやすい反面、夏は日が落ちた後もレンガに蓄えた熱が室内に影響する場合があります。ひび割れが起きた際はモルタルで補修するか、部分的な貼り直しで対応します。
レンガ調塗装(色分け塗装)
既存のタイル調サイディングの凹凸を利用して、複数の色で塗り分ける工法です。色分け塗装・塗り分け塗装・タイル柄工法などと呼ばれます。シーラー・中塗り・上塗りの通常工程を行った後、目地部分をマスキングテープで養生し、ローラーで凸部に色を重ねます。2色塗り分けは3,600〜5,000円/㎡、多彩模様仕上げは4,700〜8,600円/㎡が目安で、4種類の中では初期費用を抑えやすい工法です。いずれも足場・飛散防止ネット・高圧洗浄・下地補修などの付帯工事費が別途かかります。耐用年数の目安は8〜12年で、再塗装のタイミングで色のイメージを変えることも可能です。サイディング表面の質感によって発色が変わり、多色仕上げでは異なる色をランダムに配置することもできます。
レンガ造りとレンガ調の費用・耐久性の違い
東京駅丸の内駅舎では、1914年の創建時に使われた構造レンガと化粧レンガの一部が現在も保存されています。深谷市の日本煉瓦製造会社は1887年に設立され、日本初の大規模な機械式レンガ工場として東京駅などにレンガを供給しました。現在の日本の住宅外壁では、サイディングやタイルなどを張る仕上げや、モルタルなどの塗り壁が広く使われています。本物のレンガを積み上げる組積造には、建築基準法施行令で壁の長さ・厚さ・開口部・補強などの技術基準が定められています。構造や規模に応じた設計が必要になるため、採用する場合は組積造に詳しい設計者や施工業者へ相談しましょう。
※ 参考1:e-Gov法令検索「建築基準法施行令」
※ 参考2:深谷市「レンガのまち深谷」
レンガ造りのメリット・デメリット
メリットは、レンガ調では再現しにくい独特の重厚感と風合いです。レンガは耐火性や蓄熱性を備えていますが、住宅の断熱性能はレンガだけで決まるものではなく、断熱材や開口部を含む外皮全体で評価されます。適切に施工されたレンガ壁も、目地や周辺部を定期的に点検し、必要に応じて補修することが大切です。デメリットは費用の高さです。高価な外壁塗料を使った場合と比べても2〜3倍のコストになるとされています。既存住宅を本格的なレンガ造へ変更する場合は、建物の構造や基礎を含む検討が必要となり、工事が大掛かりになりやすい点に注意が必要です。外観をレンガ調にしたい場合は、既存外壁の状態に応じて乾式タイルなどを重ね張りできる場合もあります。
レンガ調のメリット・デメリット
メリットは、コストパフォーマンスの高さとデザインの自由度です。サイディングやタイルを使えばレンガ造りより大幅にコストを抑えられ、施工期間も短く済みます。色・サイズ・配置を組み合わせ、全面をレンガ調にするほか、一部だけをアクセントにすることも可能です。デメリットは、素材に応じて定期的な補修や塗り替えが必要になることです。特にサイディングは、塗膜やシーリングの劣化を放置すると外壁の不具合につながるため、定期的に状態を確認しましょう。
レンガ調外壁のリフォーム費用相場
費用は素材・工法・施工面積のほか、地域や依頼先によっても変わります。以下の相場を目安に、複数社の見積もりを比較して適正価格を判断してください。
種類別の材工費目安

| 種類 | 材工費の目安(1㎡あたり) | 費用相場(外壁100㎡) |
|---|---|---|
| レンガ調塗装(2色塗り分け) | 3,600〜5,000円 | 36万〜50万円 |
| レンガ調塗装(多彩模様仕上げ) | 4,700〜8,600円 | 47万〜86万円 |
| レンガ調サイディング(材料費) | 4,000〜8,000円 | - |
| レンガ調サイディング(施工費) | 2,500〜10,000円 | 65万〜180万円(材料費+施工費) |
| レンガ調タイル(材料費) | 12,600〜51,600円 | - |
| レンガ調タイル(張り替えの材工費・既存材撤去費) | 1万〜5万円 | 100万〜500万円 |
| スライスレンガ | 要見積もり | 300万円以上 |
タイルの材工価格はメーカーや製品グレードによって幅があります。リクシルのベルパーチやニッタイ工業のマジカルブリックプレミアムなど、デザイン性の高い製品は単価が上がる傾向があります。見積もりの際は製品名と単価を明示してもらうと、比較がしやすくなります。
付帯工事費(足場・高圧洗浄・目地補修など)
外壁リフォームでは、材工費に加えて付帯工事費がかかります。足場は足場架面積、洗浄は施工面積、目地補修は施工長さで算出されるため、次の単価を目安にしてください。
| 項目 | 費用相場 |
|---|---|
| 足場設置+飛散防止ネット | 500〜1,200円/㎡(足場架面積) |
| 高圧洗浄 | 100〜300円/㎡(洗浄面積) |
| 目地補修(増し打ち) | 500〜800円/m |
| 目地補修(打ち替え) | 800〜1,500円/m |
| 既存サイディングの撤去・処分 | 500〜2,000円/㎡ |
目地補修の費用は、既存のコーキングに重ねる「増し打ち」と、古いコーキングを撤去して施工し直す「打ち替え」で異なります。打ち替えは費用が高いものの、防水性を回復させやすい方法です。足場を組む機会に、樋の点検・補修や破風・軒裏の木部・鉄部塗装も行えば、後から個別に足場を組む手間とコストを省けます。
レンガ調タイルの張り方と積み模様の種類
レンガ調タイルは、色や質感だけでなく、サイズと張り方の組み合わせによってレンガを積み上げたような壁面模様を再現できます。どんな積み模様にするかは、外観の印象を左右する大きな選択です。
レンガ調タイルのサイズ規格
レンガ調タイルは下地に張る建材で、レンガの実寸を基準にサイズが設計されています。主な種類は次の2つです。

| 名称 | サイズ(W×H) | 対応するレンガの面 |
|---|---|---|
| 小口平タイル | W108×H60mm | 小口面(レンガの短い側面) |
| 二丁掛平タイル | W227×H60mm | 長手面(レンガの長い側面) |
この2種類を組み合わせると、実際のレンガ積みに近い壁面模様を再現できます。釉薬を塗って焼く施釉タイルは表面が滑らかで、釉薬を使わない無釉タイル(素焼き)は土や粘土の素朴な風合いがあります。レンガ調には、無釉タイルが多く使われます。
レンガ調タイルの積み方(長手積み・小口積み・フランス積み)
レンガ調タイルは、組み合わせ方や並べ方によって壁面の模様が大きく変わります。代表的な積み方は、長手積み・小口積み・フランス積みの3種類です。

- 長手積み
二丁掛平タイルだけを段違いに並べる方法です。花壇の外周などでもよく見る、もっともシンプルなパターンです。単調になりやすい分、タイルの色を複数混ぜることで味わいが出ます。 - 小口積み(ドイツ積み)
小口平タイルだけを段違いに並べる方法です。横幅が短いタイルを使うため曲面の外壁にも対応しやすく、円柱状の外壁などに向いています。 - フランス積み
長手と小口を1段の中に交互に並べ、さらに段を違えて積む方法です。小口部分のタイルをやや濃い色にすると、規則的な模様がきれいに浮き出ます。
レンガ調外壁の色選びとデザインのコツ
レンガ調の外壁は存在感が強く、色の選び方や使い方によっては周囲の街並みから浮いて見えます。色の濃淡や目地との組み合わせ、使用する面積を確認して選ぶことが大切です。
レンガ調に合う色の選び方
レンガ調外壁の定番は赤茶系です。濃い赤茶は重厚感のある外観に、薄い赤茶はカントリー調の柔らかい印象になります。淡いオレンジや黄みがかったベージュを選ぶと、南欧風のモダンな雰囲気になります。目地の色も仕上がりに影響します。深みのある目地を強調したいなら黒系、浅く控えめに見せたいなら白系を選ぶと、それらしい立体感が出ます。色見本は室内で確認するだけでなく、実際の外壁に当てて朝・昼・夕方・曇天と確認するのが基本です。光の当たり方で印象が大きく変わるため、時間帯を変えて複数回チェックしてください。業者によっては実際の外観写真を使ったカラーシミュレーションを用意しているため、活用すると仕上がりのイメージを掴みやすくなります。本物のレンガでよく見られる代表的な色は、次のとおりです。
- ブラウン/ダークブラウン
シンプルで採用率が高い - レッド
赤レンガ色。重厚でシックな印象 - ピンクベージュ/アイボリー/クリーム
明るく柔らかい印象 - グレー
モダンな印象。もう1色を白系にするとまとまりやすい
ツートンカラーにする場合のポイント
外壁全面をレンガ調にせず、別の色と組み合わせるツートンカラーも人気です。色の比率は1:1ではなく、6:4か7:3程度にするとバランスを取りやすくなります。塗り分けの境目は上下(1階と2階)が定番です。前面と側面で分ける方法や、ベランダ・張り出し部分など外壁の凹凸を境目にする方法もあります。

2色は同系色の濃淡で組み合わせると、まとまりやすくなります。個性的な色や濃い色を使う場合は、もう1色に白系(アイボリー・淡いベージュなど)を選ぶと主張を抑えられます。ただし、凹凸が少ない四角い建物は色の境目を作りにくく、ツートンが合わないこともあります。外壁の形状を確認し、業者にシミュレーション画像を作成してもらいましょう。
一部のみレンガ調にするアクセント活用
外壁全面ではなく、玄関まわりや柱、1階部分だけにレンガ調タイルを使う方法もあります。費用を抑えながら外観のアクセントを加えられるため、タイルのような初期費用が高めの素材でも取り入れやすくなります。全体の外壁色を1色でまとめつつ、一部だけレンガ調にする場合は、外壁全体に使う色との相性を先に確認しておきます。レンガ調部分が目立ちすぎると浮いた印象になるため、面積と配置のバランスが肝心です。また、外壁の色は周囲の住宅や街並みとの調和も考慮が必要です。海岸沿いなど塩害リスクのある地域では、素材の劣化が早まる場合があるため、地域の環境に詳しい業者に相談してください。
レンガ調外壁のメンテナンスと劣化サイン
レンガ調外壁は素材によってメンテナンスの内容と頻度が大きく異なります。劣化サインを見逃して放置すると、補修費用が膨らむだけでなく、雨漏りや下地の腐食につながるリスクがあります。
素材別のメンテナンスサイクルの目安
| 素材 | 主なメンテナンス内容 | 点検・補修の目安 |
|---|---|---|
| レンガ調サイディング | ・塗装の塗り替え ・コーキングの打ち替え | 年1回程度の目視点検+製品・劣化状態に応じて補修 |
| レンガ調タイル | ・目地補修 ・タイルの浮き・ひびチェック | 10〜15年 |
| スライスレンガ | ・モルタル目地の補修 ・防藻・防カビ洗浄 | 10〜15年 |
| レンガ調塗装 | ・再塗装 ・防水層の劣化補修 | 8〜12年 |
サイディングの外壁は、表面の塗膜だけでなく、継ぎ目のシーリングや外壁の内側にある透湿防水シートを含めて雨水の浸入を防いでいます。塗膜・シーリング・外壁材の状態を定期的に確認し、不具合を早めに補修することが重要です。タイルやスライスレンガも、目地や接着部、周辺のシーリングを定期的に点検しましょう。
劣化サインの見極め方

チョーキングと塗膜の剥がれ
外壁を手で触ると白い粉が付くチョーキング現象が、塗膜劣化の最初のサインです。放置するとやがて塗膜そのものが剥がれ始めます。現場でも、チョーキングの段階で気づかずそのままにして、塗膜が浮いたり剥落したりした状態で依頼が来るケースが少なくありません。剥がれが出た段階では高圧洗浄だけでは対処できず、下地処理を含めた再塗装が必要になります。チョーキングが現れた時点で補修を検討するほうが、結果的にコストを抑えられます。
コーキングのひび割れ・隙間
サイディングやタイルの目地に使われているコーキング(シーリング材)が経年で硬化・収縮した状態です。そのまま放置すると雨水が内部に侵入し、木材の腐食や断熱材の劣化につながります。増し打ちか打ち替えで対処します。
タイル・レンガの浮きやひび割れ
経年や地震の揺れで接着が弱まったサインです。浮いたタイルは落下の危険があるため、早めの調査と補修が必要です。玄関まわりや高所は特に注意してください。
黒ずみ・苔・カビの発生
北側外壁や日当たりの悪い面でよく見られます。美観を損なうだけでなく、外壁の含水率を上げて塗膜や防水層の劣化を早める要因にもなります。軽い汚れであれば、地上から無理なく手が届く範囲に限り、柔らかい布やスポンジで落とせます。高圧洗浄やバイオ洗浄が必要な場合は、水圧や当て方によって目地から漏水するおそれがあるため、外壁材の状態を確認できる専門業者へ相談してください。
外壁のレンガ調リフォームで失敗しないための注意点
レンガ調外壁のリフォームは、素材や業者の選び方によって、仕上がりへの不満や想定外のコストが生じることがあります。依頼前に、希望する工法への対応可否や長期的な維持費、完成後のイメージを確認しておきましょう。
取り扱える素材・工法を事前に確認する
スライスレンガや乾式タイル工法など、対応できる業者が限られる工法があります。レンガ調にしたいと伝えるだけでなく、希望する素材・工法を業者が施工できるかを最初に確認してください。
初期費用だけで素材を選ばない
サイディングは初期費用を抑えやすい一方、製品の塗膜性能や外壁の状態に応じた点検・補修が必要です。タイルやスライスレンガは初期費用が高いですが、維持費が少なく済む場合があります。10〜20年単位のトータルコストで比較することが判断の基本です。
外壁全体の形状とデザインの相性を確認する
レンガ調は主張の強いデザインです。建物の形状・凹凸・建具の色との組み合わせによっては、イメージと異なる仕上がりになることがあります。カラーシミュレーションを用意している業者に依頼すると、完成後のイメージを事前に確認できます。
使用する色は3色程度に抑える
外壁に色を使いすぎると、まとまりのない印象になります。レンガ調のデザイン自体にすでに複数の色が含まれているため、合わせる色は少なく抑えるのが基本です。玄関ドアや窓枠などの建具の色も含めてトータルで考えてください。
DIYの範囲は慎重に判断する
地上から安全に手が届く範囲の軽い汚れは、柔らかい布やスポンジで落とせる場合があります。コーキング補修、外壁塗装、サイディングの張り替え、高所の洗浄・点検は、施工不良や転落の危険があるため専門業者へ依頼しましょう。また、外壁工事や塗装を含む建築物の改修工事では、規模にかかわらず、工事部分に石綿(アスベスト)が含まれているかを事前に調査する必要があります。請負金額が税込100万円以上の改修工事では、調査結果を行政へ報告する義務もあります。
※ 参考1:石綿総合情報ポータルサイト「小規模工事等の着工前に必要な手続き」
※ 参考2:日本窯業外装材協会「メンテナンスについて」
複数社から見積もりを取る
レンガ調外壁のリフォームは費用の幅が広く、同じ工法でも業者によって金額が異なります。1社だけで決めず、最低でも2〜3社の見積もりを比較した上で判断してください。
【Q&A】外壁のレンガ調リフォームに関するよくある質問
レンガ調外壁はDIYでリフォームできますか?
地上から安全に手が届く範囲の軽い汚れは、自分で落とせる場合があります。ただし、コーキング補修、外壁塗装、サイディングの張り替え、高所の洗浄・点検はDIYで行わず、専門業者へ依頼しましょう。転落や施工不良だけでなく、既存建材の石綿(アスベスト)対策が必要になる場合もあります。
レンガ調外壁のリフォームはいつ頃依頼するのがよいですか?
外壁は築年数だけで区切らず、少なくとも年1回程度を目安に地上から目視で状態を確認しましょう。色あせ、塗膜の亀裂・剥離、シーリングのひび割れ、外壁材の反りや浮きが見られたら、専門業者へ点検を依頼するタイミングです。台風や地震の後も異常がないか確認してください。外壁塗装と屋根塗装をまとめて行うと、足場を共用できる場合があります。











