目次
マンションにおけるタイル外壁の種類
外壁タイルは磁器質タイル・せっ器質タイル・陶器質タイルに分類され、吸水率がそれぞれ異なります。
タイルの種類 | 吸水率 |
---|---|
磁器質タイル | 3%以下 |
せっ器質タイル | 10%以下 |
陶器質タイル | 50%以下 |
吸水率が低いほど水が浸透しにくいため、外壁に適したタイルと言えるでしょう。
ここでは、それぞれのタイルが持つ特徴を解説します。
【種類1】磁器質タイル
石英や長石などを1250℃の高温で焼いて作られた磁器質タイル。
このタイルは耐久性が高く、水に強いのが特徴です。
吸水率はわずか3%以下で、湿気や寒暖差に強く、特に雨の多い地域や寒冷地に適しています。
耐久性・耐水性が高いので、外装はもちろん、水まわりの壁や床に使われていることが多いタイルです。
ちなみに表面は透明感があり、美しい仕上がりになるため、高級感のある印象を与えます。
【種類2】せっ器質タイル
せっ器質タイルは、長石や粘土などを約1200度で焼いて作られています。
素地は硬く、耐久性に優れています。
吸水率は10%以下と言われ、磁器質タイルよりも耐水性が低いタイルです。
せっ器質タイルを使用した建物は、素朴で自然な風合いになり、あたたかい雰囲気をつくり出します。
【種類3】陶器質タイル
陶器質タイルは、陶土や石灰などを1,000度で焼いて作られています。
タイルの表面は小さい穴が無数に空いているため、水を吸いやすい特徴があります。
吸水率が50%以下と高く、外装には少々不向きなタイルです。
一方で加工がしやすいという利点があり、さまざまな形状やサイズに対応できる場合が多いため、内装でよく使われています。
マンションにおけるタイル外壁の耐用年数
タイル外壁の耐用年数を表でまとめました。
タイルの種類 | 耐用年数 |
---|---|
磁器質タイル | 30~40年 |
せっ器質タイル | 30~40年 |
陶器質タイル | 20~40年 |
上記の表はあくまでも目安です。
建物がある環境や自然災害の影響などで、耐用年数は変化するため注意が必要です。
専門業者に「打診検査」を依頼し、必要であれば補修を検討しましょう。
マンションにおけるタイル外壁の施工方法
タイル外壁では湿式工法、または乾式工法が採用されています。
ここからは、各工法の特徴を解説します。
【方法1】湿式工法
湿式工法は、昔からよく採用されている伝統的な工法です。
モルタル・コンクリート・漆喰などを現場で水と混ぜ合わせ、下地の上から手作業で仕上げます。
- 手作業でおこなうため、外壁の仕上がりに個性が出る
- カビやダニの繫殖を防止できる殺菌作用がある
- 工期が長い
- 手作業でおこなうため、施工費用が高くなる場合がある
- 高い技術力が求められる
湿式工法は施工期間や費用がかかるため、現在はあまり採用されていません。
ただ、外壁の素材を生かし、あたたかみのある雰囲気や個性を出したい人にはおすすめの工法です。
【方法2】乾式工法
乾式工法は、工場で製造されたパネルや合板などの既製品を現場で組み立てる工法です。
現在の外壁では主流な施工方法で、主に外壁でサイディングボードを採用するときに使用されています。
- 工期が短い
- 技術力は関係なく、一定の品質で仕上げられる
- 施工費用を抑えられる場合がある
- 仕上がりに個性が出にくい
- つなぎ目が気になる場合がある
乾式工法は湿式工法とは異なり、乾燥期間を設ける必要がないため、施工期間を短縮できます。
マンションにタイル外壁を採用するメリット・デメリット
マンションの外壁にタイルを採用する際のメリット・デメリットは、以下の通りです。
- 耐久性が高い
- 将来におけるメンテナンスの頻度や費用が抑えられる
- 防火性が高い
- デザインの種類が豊富で高級感を出しやすい
- 施工費用が高い
- 経年でタイルが剝離する場合がある
- 施工期間が長くなる場合がある
- 高い技術力が必要
サイディングを使用した外壁に比べ、タイル外壁の施工には高い技術力が必要です。
経験が少ない業者が施工すると、数年でタイルがゆがんだり、剝離したりする場合があります。
そのため、タイル外壁をマンションに採用する場合は、経験豊富で施工実績が多い業者に依頼しましょう。
マンションにおけるタイル外壁の劣化症状
タイル外壁の主な劣化症状は剝離・亀裂、シーリングの劣化などが挙げられます。
ここでは、タイル外壁の劣化症状について解説します。
【劣化症状1】外壁タイルの剝離
タイルを固定する接着剤やモルタルが劣化すると、タイルが剝離します。
放置すると落下して通行人にあたる危険性があるため、タイルの剝離が発覚した際は早めに修繕しましょう。
【劣化症状2】外壁タイルに亀裂
亀裂から雨水が浸入すると雨漏りを引き起こす可能性があります。
亀裂から発生した雨漏りによって防水性が低下するため、定期的な点検と修繕が重要です。
【劣化症状3】シーリングの劣化
マンションにおける外壁のシーリングが劣化すると、タイルの剝離や浮きが生じます。
また、タイル外壁に剝離や浮きなどの症状が出てる場合は、シーリングが劣化していることも考えられます。
シーリングの劣化は、マンションの耐久性に大きな影響を及ぼす可能性があるため、定期的な点検は大切です。
マンションにおけるタイル外壁の修繕方法
タイル外壁の劣化は建物の安全性に関わるため、早急な修繕が必要です。
次に、劣化症状ごとに分けて修繕方法を解説します。
【方法1】タイルが剥離した場合
主な修繕方法に「アンカーピンニング方法」があります。
剝離したタイルの目地に穴をあけて、接着剤を注入してアンカーピンで固定する方法。
剝離した範囲が小さい場合は、アンカーピンニング方法で修繕すると、工事の規模や費用を抑えられるでしょう。
しかし、タイルの剝離が広範囲に及ぶ場合は、全体的な張り替えが必要な場合があります。
【方法2】タイルに亀裂が生じた場合
修繕方法は、亀裂の大きさや深さで異なります。
小さくて浅い亀裂は、接着剤で補修できる場合があります。
しかし、亀裂が大きくて深い場合は、タイルの部分撤去・交換が必要になります。
さらに、亀裂が下地まで生じている場合は、下地補修をしなくてはいけません。
亀裂の状態に適した修繕方法を選ぶためには、事前に現地調査を専門業者に依頼しましょう。
【方法3】シーリングが劣化した場合
タイル壁のシーリングが劣化している場合、シーリング材の打ち替えや打ち増しで修繕が可能です。
劣化したシーリング材をすべて除去し、新しいシーリング材で隙間をしっかり埋める方法。
既存のシーリング材の上に新しいシーリング材を追加し、隙間を補修する方法。
劣化の状態や修繕が必要な範囲に応じて、適した方法を選択しましょう。
マンションにおけるタイル外壁の修繕にかかる費用相場
マンションのタイル外壁修繕にかかる費用は、修繕内容や施工面積などで異なります。
修繕内容 | 費用相場 |
---|---|
タイル張り替え | 15,000~25,000円 (1平方メートルあたり) |
シーリングの打ち替え | 900~1,500円 (1平方メートルあたり) |
シーリングの打ち増し | 500~900円 (1平方メートルあたり) |
タイルの剝離を補修 (アンカーピンニング方法) | 400~800円 (1箇所あたり) |
タイルの劣化状況に応じて修繕範囲が異なるため、広範囲の張り替えが必要な場合は、費用が高額になります。
一方で、劣化が小規模の場合は、部分的な修繕で済むため、比較的費用を抑えられます。
修繕範囲は自己判断が難しいため、信頼できる専門業者に調査を依頼しましょう。
マンションの外壁タイル補修の費用を抑えるポイント
マンションの外壁タイルにおける修繕費用を抑えるポイントを紹介します。
【ポイント1】劣化部位を把握しておく
タイル外壁の劣化状態をしっかりと把握しておくことで、適切な修繕方法を選択することが可能です。
劣化部位によっては、部分的な修繕で済む可能性があるため、コストも抑えられるでしょう。
不必要な工事で高額な修繕費用を払わないように、劣化部位やその状態を明確に把握しておくことが大切です。
【ポイント2】補修部位によっては無足場工法を検討する
補修が必要な部位に手が届く場合、無足場工法で足場代を削減できることがあります。
しかし、他にも目視で確認できない場所が劣化している可能性があるため、事前に現地調査を専門業者に依頼しましょう。
【ポイント3】大規模補修では補助金制度を活用する
マンションを大規模補修する場合は、補助金制度を活用することで費用を抑えられます。
- 劣化診断の補助事業
- 共用部分改修費用補助・助成制度
補助金の活用を検討する際は、地方自治体のホームページや窓口で利用条件や補助金の金額などを確認しましょう。
【ポイント4】専門業者による定期的な点検を実施する
修繕費用を抑えるためには、専門業者に定期的な点検を依頼しましょう。
タイル外壁の劣化部位を早期発見することで、工事の規模が小さくなり、費用を抑えることが可能です。
新築マンションの場合は保証期間内であれば、保証が適用される可能性があります。
複数の業者から見積もりを依頼する
タイル外壁の修繕を検討する場合は、複数の業者に見積りを依頼しましょう。
複数の業者から見積りをもらうことで、工事費用が適切かどうか判断できます。
費用だけを注目して業者を選ぶのではなく、施工実績・口コミ・顧客対応などをトータルで比較し検討することが大切です。
マンションのタイル外壁を修繕する際の注意点
マンションのタイル外壁を修繕するときの注意点を解説します。
【注意点1】入居者に工事内容を事前に告知する
マンションの大規模修繕工事では、以下のような問題が起こる可能性があります。
- ほこりの飛散
- 工事による騒音
- 仮設足場の設置による日当たりの悪化
マンションの入居者や近隣住民に工事のお知らせをしないと、上記のようなトラブルに発展する可能性があります。
そのため、施工前に入居者や近隣住民に対して、工期・工事内容・騒音などを周知しておくことが大切です。
【注意点2】同じ種類のタイルが用意できない場合がある
通常の補修では既存と同じタイルを使いますが、状況によっては同じものが用意できないことがあります。
例えば、タイルが廃盤になっていたり、既存のタイルが日焼けや経年劣化で色が変わっていたりする場合は、完全に同じものを揃えるのが難しくなります。
そのような際には、似たデザインのタイルを代用することもありますが、必要に応じて特注でタイルを製作することも可能です。
ただし、特注タイルは製作に時間がかかり、費用も増えるため、計画に余裕を持つことが大切です。
【注意点3】実際の補修費用が見積もりより高くなる場合がある
最終的なタイルの補修費は、見積もりよりも高くなる場合があります。
タイル補修の費用計算では、実際の作業量に応じて請求する「実数精算方式」が一般的です。
実数精算方式では、補修したタイルの数や範囲に基づいて費用が確定します。
大規模修繕ではタイル補修の費用は概算で計算されるため、実際に足場を組んで劣化状況を確認するまで、正確な数量や範囲が把握できません。
このため、追加費用が発生し、見積もり額と最終的な請求額が異なるケースがあります。
【Q&A】マンションの外壁タイルに関するよくある質問
- 外壁タイルと吹き付けタイルのちがいは?
-
外壁タイルと吹き付けタイルの大きなちがいは「施工方法」です。
- 外壁タイル…外壁を石材や磁器質のタイル張りで仕上げる
- 吹き付けタイル…外壁のコンクリート面に合成樹脂やモルタルなどを合わせた素材をスプレーで吹き付ける
ほかに、費用や仕上がりなどのちがいがあるため、施工方法を選ぶときは業者に相談しましょう。
- 外壁タイルは塗装できる?
-
可能です。
外壁タイルを塗装することで、タイル本体や目地が保護できます。
タイルのデザインを保持したい場合は、透明なクリア塗装を施すのがおすすめです。
- 外壁タイルの浮き率とは?
-
外壁タイルの浮き率とは、全体で浮いているタイルの割合を示すものです。
一般的には、築年数に0.6%を掛けた値が浮き率の目安とされています。
たとえば、築10年の建物では約6%、築15年では約9%のタイルが浮くと考えられています。
この浮き率は、建物の劣化具合を把握するための重要な指標です。
- マンションのタイル外壁が剥離した場合、だれの責任になる?
-
施工業者の保証期間が過ぎている場合、多くはマンション管理者の責任になります。
マンションのタイル外壁が剝離して通行人にぶつかってしまった場合、裁判に発展して法的責任を問われる場合があります。
このようなトラブルを防ぐために、マンション外壁の点検は定期的に実施しましょう。
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