2024年10月13日更新

監修記事

外壁カバー工法(重ね張り)の費用・施工方法・ポイントをご紹介します!

外壁カバー工法で住宅の外壁をリフォームする場合、費用はどれぐらいかかるのでしょうか?カバー工法を用いた外壁リフォームの特徴と、工事の流れ、リフォーム費用の目安、カバー工法を用いることで得られるメリットなどをご紹介していきます。

まずは
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外壁カバー工法(重ね張り工法)とは?

外壁カバー工法とは、モルタルやサイディングなどで作られた住宅外壁に、新しいサイディングボードを重ね張りしてリフォームを行う工法です。

ほとんどのサイディングボードの耐用年数は30年で経年劣化で塗装などではリフォームできなくなっているので上から重ねてしまおうと言う工事です。

既存の外壁をそのまま残して施工することができるため、解体および廃材を処分する手間がかからず、比較的短期間で安価に外壁リフォームを行うことができるでしょう。

サイディングボードには窯業系サイディングや金属サイディング、木材サイディングに樹脂サイディングなど、色々な種類がありますが、重ね張りで用いられるのは薄くて強度の高い金属サイディングが主流となっています。

これは、カバー工法では既存の外壁材を残したまま施工するため、窯業系サイディングや木材サイディングでは外壁の重量が増えすぎてしまい、耐震性が低下することが理由です。

外壁のカバー工法と他の工法との違いとは?

外壁のリフォームには、カバー工法と張替え、外壁塗装の3種類があります。

それぞれ紹介していきましょう。

カバー工法

今ある外壁を解体せず、その上に新しい外壁を張るのがカバー工法です。

カバー工法を行うと、外壁の耐久性・防水性が上がり、見栄えも改善されることがメリットです。

ただし外壁が2重張り状態になるため、外壁下地の通気性を確保できない場合もあり、施工方法には十分な注意が必要です。

撤去費用・廃材処理費がほとんどかからないため、リーズナブルな方法です。

また、今の外壁にアスベストが使われていて、特殊処理撤去費用を抑えたい人にも向いています。

一方で、外壁の重みが増すため構造体への負担は大きくなるというデメリットも見逃せません。

修理に火災保険が使えないことも頭に入れておきたいものです。

外壁の張替え

張替え工法は、これまでの外壁材を解体・撤去して、新しい外壁材を張る工法です。

建物の外観を美しくして、耐久性や防水性を高められます。

一度、外壁材を解体するため、下地材補修もできるのがメリットです。

金属系だけでなく窯業系など、外壁材を自由に選べます。

デメリットは、カバー工法よりも工期が長くなり、費用が高いという点です。

外壁塗装

外壁塗装は、現状の外壁の上から塗装する方法です。

塗料には様々な種類があり、種類によって得られる効果が異なってきますが、主なものとして防水性や耐候性、耐汚性や防カビ性などが挙げられます。

外壁塗装のメリットは何と言っても工期が短く費用も抑えることができる点でしょう。

また、自分好みの色を使用することもできます。

しかし、外壁の状態によっては、そのままの状態に塗装を行うことができない場合があります。

外壁塗装は外壁表面の保護力を高めることは可能ですが、それは適正な下地の上に塗装することが前提です。

既にあるひび割れなどの劣化箇所がある場合は、その修復と下地補修を行なった上で塗装することが求められます。

劣化した状態のままの下地に塗装を行ってしまうと、塗装することにより求められる効果が得られないばかりでなく塗装が剥がれてしまう恐れがあります。

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外壁のカバー工法のメリット

外壁をカバー工法でリフォームすることのメリットについて見ていきましょう。

張り替え工法よりも費用や工事日数を削減できる

通常、外壁を張り替える際には、現状の外壁を解体撤去するところからスタートします。

撤去する手間や廃材の処分費などが発生する分、費用も高くなります。

カバー工法では、既存外壁を撤去する必要がないため、その分張り替え工法よりも費用を抑えることが可能なほか、工事日数を削減することができます。

断熱性や防音性が良くなる可能性がある

カバー工法では、既存の外壁を残したまま、その上から新しい外壁を重ね張りしていきます。

外壁が二重構造になるため、建物の断熱性や防音性が高まることが期待できます。

建物の断熱性が高まることで、多少なりとも室温が保たれやすくなり、光熱費の節約にもつながると言えるでしょう。

もとの外壁表面が傷ついていても綺麗に隠すことができる

既存の外壁が傷ついてしまっていても綺麗に隠すことができるという点もカバー工法のメリットです。

ひび割れなどの劣化が激しい場合、外壁塗装ですとまずは傷を修復してから塗装を行う必要があります。

その際に塗料の種類によっては修復した傷を隠すことが難しい場合もありますが、カバー工法ですと、張り替えをすることなく外壁の傷を隠すことができ、既存の外壁の材質とは異なる材質に変えることも可能です。

ライフサイクルコストを低減できる

画像出典:アイジー工業‐アイジーサイディングの維持管理について

外壁にカバー工法を採用することで、建物のライフサイクルコストを低減できるメリットがあります。

カバー工法で多く採用されている金属サイディングの場合、約30年以上の耐久年数を誇る製品もあります。

耐久性の高いサイディングを採用すると、短い期間で外壁塗装のメンテナンスをする必要がなくなります。

これによりメンテナンス費用を削減することができるため、ライフサイクルコストの低減につながるというわけです。

アスベスト含有建材を撤去せずに保護できる

築年数の古い住宅の場合、アスベストが含まれている外壁建材が使われていることがあります。

アスベスト含有建材を除去する際には、石綿作業主任者による作業計画のもと、除去作業を行います。

通常の撤去作業とは異なり、アスベストが周囲に飛散しないよう対策を講じて作業をする必要があるため、撤去費用や処分費用も高額になってしまいます。

一方で、外壁カバー工法の場合、アスベスト建材を撤去せずに覆い被せて保護することができます。

高額な除去費用や処分費用をかけずに仕上げることができるのは、大きなメリットといえるでしょう。

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外壁のカバー工法のデメリット

次に外壁をカバー工法でリフォームする際のデメリットについて見ていきましょう。

工期が比較的長め

カバー工法は工期において、塗装と比べると比較的長めにかかる傾向にあります。

とにかく早く工事を終わらせたいという方にとっては、デメリットの一つになるでしょう。

建物内部の劣化・腐食はそのままになる

外壁のカバー工法は既存の外壁を撤去せずに工事を行うため、建物内部の劣化や腐食はそのままになってしまうデメリットがあります。

例えば、見えない箇所から雨漏りが発生している場合、思いのほか下地の木部が腐食しているケースもあります。

また、外壁の透湿防水シートが破断している場合、そこから雨漏りが起きている場合もあります。

張り替え工事なら、これらの腐食箇所も一緒に直すことができます。
しかし、下地の外壁を活かして施工するカバー工法では、建物内部の劣化・腐食箇所はそのままになってしまうということを理解しておきましょう。

外壁塗装よりは費用が高額になりやすい

カバー工法は張り替え工法と比べると費用を抑えることができますが、それでも平均しておよそ約160万円〜の費用がかかってきます。

もちろん建物の状況や使う材料などによっても大きく異なってきますが、外壁塗装ではおよそその半分程度の費用で工事を行うことができるため、カバー工法を行う際には費用についてよく検討した方がよいでしょう。

建物の総重量が増えて耐震性に影響が出る可能性も

カバー工法では、既存の外壁に新しい外壁を重ねる分、建物全体の重量が増えることになります。

耐震性の面からも外壁材の重量はなるべく軽くすることが望ましいとされています。

カバー工法を行う際には、建物の重量が増えることによって耐震性に大きな影響がないかどうかを確認することが大切です。

外壁カバー工法で結露が起きることもある

外壁のカバー工法を実施する際に注意すべき点の一つに、内部結露の問題があります。

サイディングには大きく分けると、直接張り付ける「直張り工法」と通気層を設けて張り付ける「通気工法」の二通りの施工方法がありますが、内部結露は通気層が設けられない直張り工法で起こる問題です。

外壁との間に通気層がないと気温差が生じてしまうため、内部結露が発生してしまいます。

湿気や結露の問題を長期間放置すると、下地の腐食にも繋がります。

通常、経験豊富な業者であれば通気層を設ける通気工法で工事を行うため、このような内部結露の問題は発生しません。

しかし、正しい知識を有しておらず、直張り工法で施工された場合、内部結露の問題が起きる可能性もあるので注意しましょう。

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外壁のカバー工法のリフォーム費用相場はどのくらい?

外壁のカバー工法によるリフォームの費用相場と工期の目安について見ていきます。

費用は建物の状況や、使用する外壁材などにより異なってきますが、一般的にサイディング張りの費用は外壁1平方メートルあたり約9,000円〜約13,000円程度になります。

全体的な外壁のカバー工法のリフォーム工事予算は、30坪の住宅でおよそ約170万円〜約230万円が費用相場となっています。

外壁のカバー工法にかかる費用の内訳は?

外壁のカバー工法を実施する場合、サイディングの張付工事以外にも必要になる工事がいくつか存在します。

どういった工事にどの程度の費用がかかってくるのか事前に把握しておくことで、業者の出した見積書も理解することができます。

ここからは、戸建て住宅(約30坪)にて、外壁カバー工法を実施した際にかかる費用の内訳について紹介します。

工事項目費用相場
仮設足場工事約15万円〜約20万円
(約700円/平方メートル)
シート養生約8万円〜約12万円
防水シート約4万円〜約6万円
下地胴縁設置約20万円〜約25万円
(約750円〜約1,870円/平方メートル)
土台水切り設置約5万円〜約7万円
サイディング材約55万円〜約75万円
(約3,000円〜約10,000円/平方メートル)
重ね張り作業約30万円
(約2,500円〜約3,200円/平方メートル)
シーリング約25万円〜約35万円
(約900円〜約1,200円/平方メートル)
運搬費・諸経費工事費用の5%〜10%程度
合計約170万円〜約230万円

上記の費用相場はあくまで一例です。

外壁の劣化状況や作業する環境、使用する材料によっても工事費用は変動します。

工事業者によっても単価設定が異なるので、まずはご自宅の状況でどの程度の費用になるのか見積もりを取得して正確な費用を確認しましょう。

工事日数の目安

一般的な25坪程度の住宅の外壁をカバー工法で仕上げる場合、工事日数は約2週間~約3週間程度必要になります。

ただし、同じ施工面積でも凹凸の多い住宅など施工する環境によっては、全体の工事日数が前後します。

また、天候不良が続いた場合、その分工事日数も増えてしまうことを理解しておきましょう。

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外壁カバー工法でリフォームした施工事例を紹介

カバー工法で外壁をリフォームした事例について画像と共にご紹介します。

モルタル外壁のひびを補修し、カバー工法で外壁を仕上げた事例

リフォーム費用約100万円~約300万円
工期約1カ月

モルタルとは、砂と水とセメントを混ぜて作った外壁材のことを言います。

モルタル外壁はデザイン性が高く耐火性にも優れていますが、その一方で表面にひび割れが生じやすかったり、汚れやカビなどが発生しやすいという面もあります。

この事例では表面に生じていたひび割れを修復し、その上からカバー工法を行ったことでひび割れの修復痕や既存の外壁の汚れなどを隠し、綺麗なサイディング外壁が施工されています。

外壁を美しくするため金属サイディングでカバー工法を行った事例

リフォーム費用約100万円~約300万円
工期約1カ月~約2カ月

こちらは、金属サイディングでカバー工法を行い、外壁を新しくした事例です。

カバー工法によって、劣化が目立っていた既存の外壁を隠し、以前の外壁とは異なる材質の外壁材を使うことで建物全体の雰囲気を大きく変えることができました。

コケや亀裂で傷んだ外壁に金属サイディングでカバー工法を行った事例

リフォーム費用約100万円~約300万円
工期約1カ月

既存の外壁はモルタルの外壁で、表面にコケや汚れ、亀裂が目立っていました。金属サイディングでカバー工法を行ったことにより、それらの汚れやひび割れを隠し、新築のような綺麗な外壁へと一新した事例です。

中古で購入した物件を外壁カバー工法でキレイに仕上げた事例

リフォーム費用
工期約2週間

中古物件の戸建て住宅を購入し、外壁のカバー工法を行った事例です。

築年数も古く外壁の経年劣化が進んでいたため、サイディングのカバー工法でメンテナンスを実施しました。

外壁に合わせて玄関ドアや照明にもこだわったことで、新築のように仕上げることができました。

ゆがみの多い外壁を段差調整して仕上げたカバー工法の事例

リフォーム費用
工期約2週間

ゆがみの多い外壁を段差調整することでキレイにした後、カバー工法で仕上げた事例です。

経年劣化の影響で外壁にゆがみが発生している場合、外壁塗装でゆがみが解消されることはありません。

今回の事例では下地処理でゆがみの段差調整を行い、外壁カバー工法によってゆがみのない外壁に仕上げています。

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外壁カバー工法で使用するサイディングの種類と特徴

外壁のカバー工法で選択できる外壁材には、下記4つがあります。

費用耐久年数メンテナンス性
窯業系サイディング約4,000円〜約6,000円/平方メートル約20年~約40年
金属サイディング約6,000円〜約20,000円/平方メートル約20年~約40年
木材サイディング約8,000円〜約15,000円/平方メートル約15年〜約30年
樹脂サイディング約9,000円〜約23,000円/平方メートル約30年〜約40年

それぞれの特徴を詳しく紹介していきましょう。

窯業系サイディング

画像出典:旭トステム-ロッサーノVZの紹介ページ
費用約4,000円〜約6,000円/平方メートル
耐久年数約20年~約40年
メンテナンス性

窯業系サイディングは、セメント質と繊維質原料でできています。

防火性・耐震性・防水性に優れたバランスの良い外壁材です。

重量があるためカバー工法で使われる例は少なく、新築の際や、張替えに選ばれることが多いでしょう。

金属サイディング

画像出典:旭トステム-デューネの紹介ページ
費用約6,000円〜約20,000円/平方メートル
耐久年数約20年~約40年
メンテナンス性

外壁材としてのシェアを拡大しているのが、金属サイディングです。

窯業系サイディングの約1/4の重量しかないため、建物への負担が非常に少ないのが特徴です。

デザインバリエーションも非常に豊富で、木調やレンガ風、塗り壁調など多彩な柄が選べるメリットもあります。

断熱性や防水性にも優れているので、新築・リフォーム問わず多く採用されています。

木材サイディング

画像出典:高広木材株式会社-本実サイディングの紹介ページ
費用約8,000円〜約15,000円/平方メートル
耐久年数約15年〜約30年
メンテナンス性

木材サイディングは、木材を材料とし、表面に塗装を施した外壁材です。

断熱性と遮音性が高いというメリットがあります。

しかし、吸水性が高く、他のサイディングに比べると、耐久年数は短いといえるでしょう。

温かみを感じる木の見た目で、デザイン性が高いのも特徴です。和風住宅や和モダン住宅に広く使われています。

樹脂サイディング

画像出典:旭トステム-WALLJの紹介ページ
費用約9,000円〜約23,000円/平方メートル
耐久年数約30年〜約40年
メンテナンス性

樹脂サイディングとは、塩化ビニール樹脂素材でできている外壁材の一種です。

コーキングを使用せずに仕上げることができるので、コーキング部分のメンテナンスが必要ありません。

非常に軽量で耐久性の長い外壁材のため、金属サイディングと同様にカバー工法にも適しています。

一方、デザインのバリエーションが少なく、樹脂サイディングを施工できる工事業者の数も限られており、工事費用も割高な傾向にあります。

メンテナンス性が非常に優れている外壁材なので、ライフサイクルコストを抑えたい方におすすめです。

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外壁カバー工法に最適な金属サイディングの種類とは?

外壁のカバー工法をする際には、軽量でデザインも豊富な金属サイディングがおすすめです。

金属サイディングは大きく分けて、ガルバリウム鋼板とSGL(エスジーエル)鋼板、アルミニウム合金塗装板の3種類に分類することができます。

ここからは、各金属サイディングの特徴について紹介します。

ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板とは、アルミニウムと亜鉛合金でメッキ加工された鋼板です。

建築用の建材として多く普及している鋼板で、金属サイディングはもちろんのこと、屋根材にも採用されています。

通常の金属とは違い錆に強く、耐久性にも優れています。
広く普及している金属建材なので、価格も抑えられている点は大きなメリットと言えるでしょう。

SGL(エスジーエル)鋼板

昨今、次世代ガルバリウム鋼板として普及しているのが、SGL(エスジーエル)鋼板です。

ガルバリウム鋼板よりも耐食性が3倍以上も向上しており、錆びに強い金属としてサイディング市場にも広く普及しています。

金属サイディングの場合は切断面から錆が発生することがあります。
しかし、SGL(エスジーエル)鋼板なら切断面からの腐食にも強いため、錆の進行を抑制してくれるメリットがあります。

アルミニウム合金塗装板

比較的歴史の古い金属サイディングの一つが、アルミニウム合金塗装板です。

アルミサイディングは耐久性に優れているほか、錆にも強く、軽量で丈夫な金属サイディングとして広く普及しています。

ただし、アルミのサイディングは割高な傾向にあるため、以前のように採用されることは少なくなりました。
昨今の主流はガルバリウム鋼板であり、一部のメーカーを除き多くのメーカーがアルミサイディングの製造を終了しています。

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外壁工事でカバー工法が適しているケースとは?

下記の場合は、外壁のカバー工法が最適です。

  • 建物の構造体や外壁の下地材に問題がない
  • 工期を短くしたい
  • できるだけ費用を抑えたい
  • 現在の外壁材はモルタル外壁
  • 現在の外壁材にアスベストが使われている

現在の外壁材に、大きな損傷がなく建物の構造体や下地材にも問題が考えられない場合は、カバー工法が最適です。

下地をやりかえる必要がないため、作業の手間が少なく工期を短くできます。

そして、外壁撤去費用がかからないため費用を抑えられるでしょう。

また、外壁がモルタル外壁だと張替えができないため、カバー工法をおすすめします。

古い外壁材にアスベストが使われている場合は、撤去費用・産業廃棄物処理費用がかからないカバー工法を選んだ方が価格を抑えられるでしょう。

外壁の張り替えが向いている場合とは?

現在の外壁に大きな劣化が見られる、またその劣化が雨漏りなど建物内部へも影響を与えている場合には張り替えをおすすめします。

外壁自体に大きな劣化がある場合には、塗装で修復することはできません。

又、劣化が建物内部まで影響を及ぼしている場合には、カバー工法で新たに外壁材を重ね張りして見た目だけ綺麗にしたとしても内部の老朽化を止めることにはつながりません。

また、建物自体の築年数が古い場合にも、張り替えがおすすめです。

外壁塗装が向いている場合とは?

外壁塗装は、外壁自体に大きな劣化などがなく、建物の築年数も浅い場合におすすめです。

外壁塗装で十分対応可能な外壁のひび割れの目安としては、幅が0.3mm以下の場合です。

外壁塗装には、外壁表面の保護機能を向上させる効果はありますが、表層よりも内部側にある劣化を修復する効果は期待できません。

0.3mmをこえるひび割れがある場合には、まずはひび割れを補修してから塗装を行うか、もしくはそのほかの工法を検討しましょう。

外壁カバー工法がおすすめな人の特徴

ここからは、外壁のカバー工法がおすすめの人とおすすめできない人の特徴について紹介します。

カバー工法が適している方

以下の項目に当てはまる方は、外壁のカバー工法が適しています。

  • 外観のデザインを一新したい方
  • メンテナンスの頻度を極力少なくしたい方
  • 機能性を向上させたい方

塗り替えには再現できない多彩なデザインを選ぶことができるので、現状の外観を一新させたい方は外壁カバー工法が適しているでしょう。

また、メンテナンス頻度を少なくしたい方にもおすすめです。

耐久性の高いサイディング材を選ぶことで、メンテナンスフリーの期間を長くすることができます。

なお、外壁が二重構造になるカバー工法は遮音性や断熱性が向上するため、機能性を向上させたい方もカバー工法が適しています。

カバー工法以外を検討するべき方

以下に当てはまる方は、外壁のカバー工法以外を検討してみるのがおすすめです。

  • コスト重視で考えている方
  • 雨漏りで下地の腐食が激しい方

外壁のカバー工法は張り替えよりは費用が安いですが、塗装よりは高額な傾向にあります。

コスト重視でメンテナンスを考えている方は、外壁塗装の方がカバー工法よりも費用を抑えられるでしょう。

また、雨漏りの影響などで下地の腐食が激しい場合、下地を活かしたカバー工法は適していないことが多いです。

外壁の種類や劣化状況に応じてメンテナンス方法を決める必要があるため、プロの専門家と相談して最適な工事方法を検討しましょう。

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外壁をカバー工法でリフォームする際の施工手順や流れは?

外壁をカバー工法で行うには、足場の設置から下地処理、外壁材取り付けの流れですすみます。

ここからは、外壁をカバー工法でリフォームする際に必要な工事日数の目安と実際の流れを詳しく紹介していきます。

1.現在の外壁材の状態を確認

まずは、カバー工法を行う外壁材の状態を施工業者が確認します。

カバー工法では、現在の外壁材が新しい外壁材の素地となるため、雨漏り・ひび割れ・腐食はないかを入念に調べます。

2.足場設置


見積りの提出から契約が終わると、工事が始まります。

まずは足場の設置です。

カバー工法では、一棟全体を工事するため、家のまわりをぐるっと一周する形で設置します。

3.土台水切り設置

土台と外壁の間にある金物を水切りといいます。

カバー工法では、外壁材が以前よりも厚くなるため、現在の水切りを撤去し新しい水切りを設置していくケースが多いでしょう。

4.胴縁の留め付け

次は、サイディングをつけるための下地となる胴縁を留め付ける作業です。

胴縁は外壁と垂直方向になるため、縦張りであれば横方向に、横張りであれば縦方向に施工します。

5.見切り材の取り付け

窓サッシとの間の金物を見切りといいます。

見切り材を取り付けて、外壁とサッシの間の防水処理を行っていきます。

6.サイディングの張付け

胴縁にサイディングを1枚1枚、張付けていきます。

建物の角部分には、役物とよばれる角専用の部材が使われるのが一般的です。

7.コーキング処理

換気扇やエアコンの配管など、開口部と外壁材の間をコーキングで埋めていきます。

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外壁カバー工法で工事費用を抑える方法とは?

外壁のカバー工法は大掛かりなリフォーム工事のため、比較的高額な費用が必要になります。

そのため、少しでも費用を節約したいと考えている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、外壁カバー工法で工事費用を抑える代表的な方法について紹介します。

足場が必要な工事は同時に行う

足場が必要な工事を同時に行うことで、外壁カバー工法の工事費用を抑えることができます。

例えば、外壁と同様に経年劣化する屋根を一緒にメンテナンスすることで、通常単価よりも低く外壁カバー工法を行える可能性があります。

また、外壁と屋根を分けて工事をすると2回分の足場費用が必要になりますが、同時にまとめることで1回の足場設置費用で済ますことができます。

ライフサイクルコストを低減させることにも繋がるので、足場が必要な工事は同時に行うことをおすすめします。

複数の業者から相見積もりを取る

合理的に工事費用を抑える方法として、複数の業者から相見積もりを取るという方法があります。

1社のみから見積もりを取得した場合、提示された価格が適正価格かどうかが分かりません。

しかし、複数の業者から見積もりを取った場合、仮に法外な値段を提示してきた業者がいたとしても、他の業者と見比べることで相場より高いことが分かるので、正しい判断をすることが可能というわけです。

また、相見積もりは施工業者同士の競争力を生む効果も期待できます。
競争相手がいることで各社が企業努力をすることが期待でき、無理な値引き交渉をせずに工事費用を抑えることが可能です。

外壁工事で補助金・助成金制度を活用する

国や自治体で行っている補助金・助成金制度を活用することで、工事費用を抑えることができます。

制度によって利用するための条件や補助率は変動しますが、数万円から数十万円の費用が補助される場合があります。

ただし、これらの制度は予算や申込期限が設けられていることが多いため、予算が消化される前に申し込みをすることが大切です。

リフォーム減税制度を活用する

外壁のカバー工法の場合、リフォーム減税制度を活用できる場合があります。

例えば、住宅ローン減税の場合、外壁カバー工法はもちろんのこと、屋根のカバー工法も対象工事として含まれる可能性があります。

Q 屋根や外壁のカバー工法による葺替え/張替えは減税の対象になりますか?
屋根や外壁について各部位の面積の過半について工事が行われ、建築士が大規模修繕又は大規模模様替えと判断した場合は第1号工事となります。

引用:住宅リフォーム推進協議会‐住宅リフォームの減税制度「よくあるお問い合わせQ&A」より

住宅ローンを活用して外壁カバー工法を行うことで、最長10年間で年0.7%の所得税控除を受けることが可能です。

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外壁カバー工法で利用できる補助金・助成金制度について

ひとくちに補助金・助成金制度といってもさまざまな制度が存在します。

そこでここからは、外壁カバー工法の工事でも対象になりやすい補助金や助成金制度について紹介します。

長期優良住宅化リフォーム推進事業

長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、国土交通省が実施しているリフォーム補助制度のひとつです。

住まいの性能向上に関するリフォーム工事が対象となっており、劣化した外壁をカバー工法で一新する場合も対象となる可能性があります。

補助金の割合 対象工事費の1/3
補助金の上限額上限額100万円/戸
対象となる工事特定の性能項目を一定の基準まで向上させる工事

ただし、長期優良住宅化リフォーム推進事業を活用するためには、次の3つの要件をクリアしなければなりません。

  • インスペクション(現況調査)を実施する
  • リフォーム後に一定の性能基準を満たすこと
  • リフォーム履歴と維持保全計画を作成する

これらの要件を満たした場合、リフォーム工事費用の1/3、1戸あたり最大100万円が補助されます。

※2023年10月19日時点での情報です。

各自治体で行っている補助金・助成金制度の例

リフォームに活用できる補助金・助成金制度には、各自治体が行っている制度も存在します。

例えば、東京都八王子市で実施している「居住環境整備補助金」の場合、建物の長寿命化改修工事が対象となっています。

補助金の割合 対象工事費の20%以内
補助金の上限額上限額5万円
対象となる工事住宅の長寿命化を図るための改修工事で、工事費が10万円以上のもの

※2023年10月19日時点での情報です。

また、北海道夕張市が行っている「リフォーム工事費補助金」では、築5年以上の住宅を対象にしたリフォーム補助金があります。

※2023年10月19日時点での情報です。

補助金の割合 対象工事費の20%
補助金の上限額上限額50万円
対象となる工事・バリアフリーリフォーム工事
・省エネリフォーム工事
・耐久性向上リフォーム工事

これらの制度は各自治体が独自に行っているため、お住まいの地域で補助金や助成金の制度がないか確認してみましょう。

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外壁カバー工法を採用する際に注意すべきポイント

既存の外壁にカバー工法を採用する際には、いくつかの点に注意しなければなりません。

予期せぬトラブルや問題を起こさないためにも、事前に確認しておきましょう。

ここでは、具体的にどのような点に注意するべきなのかを紹介します。

劣化状況によってはカバー工法を採用できないことがある

外壁のカバー工法は、建物の劣化状況によっては採用できないことがあります。

例えば、既存外壁の劣化や腐食が進行している場合、カバー工法では対処できず張り替えになるケースがあります。

また、下地補修の範囲が著しく広い場合も同様に、カバー工法では割高になってしまうので張り替えを選択した方がよいケースもあるでしょう。

カバー工法はあくまで既存の外壁を下地として利用するため、劣化状況によってはベストな選択にならない可能性があります。

採用できるサイディングの種類が限定されることがある

外壁が二重になるカバー工法は建物の総重量が増加するため、耐震性の観点から使用するサイディングの種類が限定されることがあります。

例えば、窯業系サイディングは金属サイディングよりも重量があるので、建物に対する負担も大きくカバー工法で採用することが少ない傾向にあります。

カバー工法の場合、軽量で建物への負担が少ない金属サイディングや、樹脂サイディングを用いることが一般的です。

同じ面積でも建物形状によって工事費用が変動する

外壁カバー工法にかかる工事費用は、同じ面積でも建物の形状によって変動します。

シンプルな形状で加工が少ない場合は、加工の手間が少ないので工事費用が抑えられます。

一方、アーチ状や凹凸など複雑な形状が多い場合は、加工の手間も多くなるので工事費用も増加する傾向にあります。

このように同じ面積の場合でも、形状によって施工費用や使用する材料の数も変わるため、工事費用が変動することを理解しておきましょう。

経験と実績の豊富な施工業者を選ぶ必要がある

外壁でカバー工法を採用する際には、経験と実績の豊富な施工業者を選ぶことが重要です。

カバー工法は張り替え工事と違い、事前の適性を判断する必要があります。

下地の状況や施工条件など、現状の外壁がカバー工法に適しているかどうかの判断は、経験豊富な業者さんでなければ正しい判断をすることは難しいでしょう。

また、カバー工法は内部結露を防ぐためにも、空気の通り道を作る外壁通気工法で施工する必要があります。

しかし、知識のない施工業者の中には、通気層を設けずに直接張り付ける「直張り工法」で施工してしまうことがあり、施工後に内部結露の問題が起きてしまう可能性もあります。

工事後のトラブルに発展させないためにも、カバー工法は経験と実績が豊富な施工業者に依頼しましょう。

外壁カバー工法のDIYは危険なのでやらないこと

昨今は自分でリフォームを行うDIYが人気を博していますが、外壁のカバー工法については危険なのでやめましょう。

内装のクロスやフローリングの張り替えとは違い、外壁カバー工法は危険を伴う高所での作業になります。

カバー工法はプロでも難易度が高い工事な上に、高所作業は転落事故に繋がってしまう可能性もあるので、DIYはせずにきちんと専門家に依頼しましょう。

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外壁カバー工法で失敗しない業者選びのコツ

ここからは、外壁カバー工法で失敗しないために重要な業者選びのコツについて紹介します。

複数の業者から相見積もりを取る

外壁のカバー工法を実施する際には、複数の業者から相見積もりを取ることが重要です。

複数の業者から見積もりを取得した場合、以下のようなメリットがあります。

  • 適正価格を判断できる
  • 工事内容を比較できる
  • 各業者の姿勢を判断できる

1社だけでは提示された価格が適正なのか判断できませんが、複数社の見積を比較することで適正価格を知ることができます。

同様に、工事内容も比較できるというメリットもあります。

また、実際に工事業者と話す上で、各社の姿勢を判断できる点もメリットといえるでしょう。

カバー工法は高額な工事のため、複数社から見積もりを取って正しい判断を行うことが重要です。

保証書の発行・メンテナンス体制の有無を確認する

優良業者を選定する上で重要なポイントになるのが、工事品質保証書の発行とメンテナンス体制になります。

工事品質保証書とは、実際に工事をした部分に不具合が発生した際に業者が一定の品質を保証するための書類です。

保証書が発行されない場合、引き渡し後に施工不良を発見しても修理されない可能性があるので注意してください。

また、引き渡し後のメンテナンス体制も重要なポイントです。

アフターサービスの体制が整っている業者を選ぶことで、工事後も安心して過ごすことができます。

施工実績をチェックする

業者を選ぶ際には、ホームページなどで施工実績をチェックしてカバー工法に慣れている業者を選びましょう。

施工実績の多さというのは、その業者の信頼性を担保する重要な要素の一つです。

外壁カバー工法の作業に不慣れな業者に依頼してしまうと、トラブルの原因になる可能性が高くなります。
そのため、事前に施工実績をチェックしてカバー工法に慣れている業者を探しましょう。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】岩納年成

大手ゼネコン会社にて、官公庁工事やスタジアム、免震ビル等の工事管理業務を約4年経験。
その後、大手ハウスメーカーにて注文住宅の商談・プランニング・資金計画などの経験を経て、木造の高級注文住宅を主とするビルダーを設立。
土地の目利きや打ち合わせ、プランニング、資金計画、詳細設計、工事統括監理など完成まで一貫した品質管理を遂行し、多数のオーダー住宅を手掛け、住まいづくりの経験は20年以上。
法人の技術顧問アドバイザーとしても活動しながら、これまでの経験を生かし個人の住まいコンサルテイングサービスも行っている。

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