目次
ウレタン塗装とは
ウレタン塗装とは、主成分として「ウレタン樹脂」を含む塗料を用いて行う塗装工事のことです。かつては価格と性能のバランスの良さから外壁塗装の主流でしたが、現在ではより高い耐久性を持つシリコン塗料が多く採用されています。
しかし、その優れた柔軟性とさまざまな素材への密着性の高さから、特定の箇所では今もなお大きな強みを発揮する塗料として位置づけられています。
ウレタン塗料の種類
ウレタン塗料は、主成分の種類によって「ポリウレタン樹脂塗料」と「アクリルウレタン樹脂塗料」の2つに大別されます。
耐摩耗性に非常に優れており、物理的な負荷や化学薬品にさらされる環境に適しています。塗膜が厚く、硬く仕上がるため、床材の保護コーティングなどにも使用されます。
ウレタン塗料の柔軟性に加え、アクリル樹脂の特性である耐候性と耐久性のバランスが良いのが特徴です。また、光沢があり、滑らかで美しい仕上がりになるのが特徴です。
現在、外壁塗装でウレタン塗料といえば、この「アクリルウレタン樹脂塗料」が主流となります。
外壁塗装でウレタン塗料を使用するメリット
外壁塗装において、ウレタン塗料は多くのメリットを持っています。たとえば、「価格が安く初期費用を抑えられる」「柔軟性や密着性が高い」という点は、特定の場所や状況においてシリコン塗料にはない強みとなります。
これらの特性を理解した上で、ウレタン塗料を賢く活用し、後悔のない塗装リフォームを計画しましょう。
【メリット1】初期費用を安く抑えられる
ウレタン塗料は、ほかの塗料と比較して初期費用を安く抑えられることが大きなメリットです。
特に、現在主流であるシリコン塗料と比べると、1平方メートルあたりの単価が安いため、工事全体の費用を抑えられます。
| 塗料の種類 | 単価 (1平方メートルあたり) |
|---|---|
| ウレタン | 1,800〜2,500円 |
| シリコン | 2,500〜3,500円 |
| フッ素 | 3,500〜5,000円 |
ウレタン塗料はこの単価の安さから、「まずは費用を抑えたい」「数年後に建て替えや大規模なリフォームを検討している」という場合に最適な選択肢となります。
しかし、初期費用が安くても、塗料の耐用年数が短いため、長期的なコストで考えると必ずしも「お得」とは限りません。塗料選びで失敗しないためには、長期的な視野をもち、予算やライフプランを考慮することが重要です。
【メリット2】塗料の種類が豊富
ウレタン塗料は、日本ペイントや関西ペイント、エスケー化研など、国内の主要な塗料メーカーからさまざまな製品が販売されています。これらの製品は、「油性と水性」「1液型と2液型」など、用途や施工場所に合わせて幅広く選択できます。
このように、多くの製品があることから、外壁だけでなく木部や鉄部、塩化ビニルなど、多様な素材でできている「付帯部」にも柔軟に対応することが可能です。
雨樋や破風板、軒天など、住宅の外壁や屋根以外の部分を指します。
【メリット3】扱い慣れている業者が多い
ウレタン塗料は、昔から多くの塗装現場で使われてきた歴史があり、現在でも付帯部や防水工事などで幅広く使われています。そのため、多くの塗装業者がウレタン塗料の扱いに慣れており、安心して施工を任せられるというメリットがあります。
また、施工が比較的容易なため、品質のばらつきが少ないのも特徴です。
【メリット4】弾性があるためひび割れしにくい
ウレタン塗料は、塗膜に優れた柔軟性があります。この柔軟性により、温度変化や建物の微細な振動によって外壁材が伸縮しても、塗膜がその動きに追従し、ひび割れが発生しにくいというメリットがあります。
この特性は、サイディングやALCパネルといった、目地の動きが大きい外壁材の場合に特に有効です。
【メリット5】高級感のある見た目に仕上がる
ウレタン塗料は、硬化すると滑らかで美しい光沢のある仕上がりになるという特徴があります。この光沢感は、建物の外観に高級感を与えます。
また、ほかの塗料と比較して顔料の粒子が細かいため、色あせしにくく、鮮やかな色を長期間保つことが可能です。
外壁塗装でウレタン塗料を使用するデメリット
ウレタン塗料は多くのメリットがある一方、外壁全体に使う場合にはいくつかのデメリットも存在します。最大の弱点は耐久性の低さで、この点が長期的なコストやメンテナンス計画に影響を与えます。
デメリットを正しく理解し、ほかの塗料の選択肢も視野に入れた上で、ウレタン塗料が本当にあなたの家に適しているか判断しましょう。
【デメリット1】長期的なメンテナンスコストがかかる
ウレタン塗料は初期費用が安い一方、ほかの塗料に比べて耐用年数が短いというデメリットがあります。
| 塗料の種類 | 耐用年数 |
|---|---|
| ウレタン | 8〜10年 |
| シリコン | 10〜15年 |
| フッ素 | 15〜20年 |
ウレタン塗料は、耐用年数が短いことにより塗り替えサイクルが早くなります。また、塗膜が経年変化すると、手で触ったときに白い粉が付着する「チョーキング現象」が起こりやすくなるほか、塗膜の剥がれなどの劣化症状も早期に現れる可能性があります。
結果として、メンテナンスや部分的な補修が頻繁に必要となり、30年といった長期的なスパンで見ると、シリコン塗料よりもトータルコストが高くなります。初期費用が安くても、将来的なメンテナンスコストがかかるという点は、あらかじめ理解しておく必要があるでしょう。
【デメリット2】紫外線の影響が大きい
ウレタン塗料は、紫外線に弱いという弱点があります。特に淡い色の塗料の場合、紫外線による劣化で塗膜が黄色く変色しやすいのが特徴です。
これにより、せっかくの美しい見た目が損なわれてしまう可能性があります。紫外線は建物の外観だけでなく、塗料の保護機能そのものも低下させるため、塗膜がひび割れたり剥がれたりする原因にもなります。
【デメリット3】塗膜が膨むおそれがある
ウレタン塗料は、下地処理が不十分だったり、重ね塗りをする際の乾燥時間が守られなかったりすると、気泡のような「膨れ」が生じることもあります。
塗膜の膨れを放置すると、見た目が悪くなるだけでなく、塗膜の剥離が生じるケースも少なくありません。塗膜が剥がれた場合、建物の保護機能が大きく損なわれることにつながるため注意が必要です。
【デメリット4】汚れが付着しやすい
ウレタン塗料の塗膜は、ほかの塗料と比べて静電気が発生しやすく、空気中のホコリや砂、排気ガスなどの汚れを吸着しやすい性質があります。そのため、特に交通量の多い道路沿いや線路沿い、工場地帯近くに建物がある場合は、汚れが目立ちやすくなる可能性があります。
また、親水性が低いため、雨水で汚れが流れにくいことも汚れが付着しやすい要因といえるでしょう。
ウレタン塗装の真価を発揮する賢い使い方
外壁塗装を検討する際、ウレタン塗料は「シリコン塗料より安価」という理由だけで選ばれるケースがほとんどです。しかし、その真価は「適材適所」で使うことによって最大限に発揮されます。
ウレタン塗料の適材適所の使い方を把握し、塗料本来の性能を最大限に活かせるようにしましょう。
【使い方1】付帯部の塗装
ウレタン塗料が真価を発揮する場所のひとつが、付帯部の塗装です。付帯部とは、雨樋や軒天、破風板など、外壁や屋根以外の部分を指します。これらの部分は、木部や塩化ビニル、鉄部などさまざまな素材でできていることから、ウレタン塗料の素材を選ばずに密着する高い付着性が重宝されます。
また、その柔軟性によって、日々の温度変化や湿度の影響で伸縮しやすい木部や塩ビ製の部材の動きにも追従し、塗膜の剥がれやひび割れを防ぎます。
これらの特性から、ウレタン塗料は費用を抑えつつ美観と保護機能を両立できる、最適な選択肢のひとつです。
【使い方2】ベランダ防水
ウレタン塗料は、その防水性の高さから、ベランダの防水工事にも非常に適しています。
具体的には、ウレタン塗料は液体状の塗料を塗り重ねることで継ぎ目のない一体型の防水層を形成できるため、高い防水効果を発揮します。また、その柔軟性は、建物の揺れや伸縮にも追従し、防水層のひび割れを防ぐことも可能です。
建物の築年数が経ち、ベランダからの雨漏りが懸念される場合は、外壁塗装と同時にベランダの防水工事も検討することで、将来的なメンテナンスコストを抑えることにつながります。
ウレタン塗装の費用相場
ウレタン塗装の費用には、塗料本体の価格だけでなく、足場代や高圧洗浄費など、さまざまな付帯工事費が含まれています。そのため、工事全体の費用相場は、これらの内訳によって変動します。
以下に、一般的な内訳をまとめました。
| 内容 | 費用相場 (1平方メートルあたり) |
|---|---|
| ウレタン塗料 | 1,800〜2,500円 |
| 足場代 | 800〜1,200円 |
| 高圧洗浄 | 150〜250円 |
| 養生 | 250〜400円 |
| 下地処理 | 500〜800円 |
| 施工費 | 1,500〜2,000円 |
| 諸経費 | 1,000〜1,500円 |
これらの内訳を理解することで、見積もり書の内容を正しく判断し、適正な価格で工事を依頼できるようになります。
>>外壁塗装の費用相場を詳しく見る
>>足場費用について詳しく見る
【徹底比較】ウレタン vs シリコン あなたに合うのはどっち?
外壁塗装において、ウレタン塗料と並んで主流なのがシリコン塗料です。どちらを選ぶべきか迷ったときは、それぞれの特徴を理解し、あなたの目的やライフスタイルに合った塗料を選ぶことが重要となります。
- 初期費用を安く抑えたい
- 付帯部を塗装したい
- ベランダの防水工事をしたい
- 数年後に建て替えやリフォームを検討している
- 長期的なコストパフォーマンスを重視したい
- 高い耐久性を求める
- 汚れにくい外壁に仕上げたい
ウレタン塗料は、工事費用をできるだけ抑えたい場合や、短期間だけ建物を保護したい場合に、費用対効果の高い選択肢となります。
一方、シリコン塗料は耐用年数が長いため、塗り替え回数が減り、30年という長いスパンで見るとトータルコストが安くなる傾向にあります。そのため、現在の住まいに長く住み続ける場合に適しています。
ウレタン塗装の手抜き工事を避けるには?施工時の注意点
ウレタン塗装は比較的扱いやすい塗料ですが、業者の塗装のやり方によっては、塗膜の膨れや剥がれといった施工不良を引き起こす可能性があります。特に、乾燥時間の不足や下地処理の不備は、塗料の性能を大きく損なう原因となるかもしれません。
このような手抜き工事や施工不良を未然に防ぐためには、施工時の注意点をあらかじめ把握しておくことが重要です。
【注意点1】乾燥時間をしっかり確保する
塗装工程において、下塗りや中塗りの乾燥時間を十分に確保することは非常に重要です。乾燥が不十分なまま次の塗料を重ねてしまうと、塗料に含まれる溶剤や水分が抜けきらず、塗膜が完全に硬化しません。
その結果、塗料の密着度が低下し、本来の性能を発揮できなくなるだけでなく、塗膜の膨れや剥がれといった施工不良の原因となります。
特に、季節や天候によって乾燥時間は変動するため、適切な時間を守ることが大切です。
【注意点2】下地処理した上で塗装する
外壁塗装において、塗料の性能を最大限に引き出すためには、下地処理が必要不可欠です。古い塗膜の剥がれやひび割れ、チョーキングなど、下地をきれいに整えずにそのまま塗装してしまうと、塗料が下地にしっかりと密着せず、本来の性能を発揮できません。
その結果、塗膜の剥がれやひび割れが再発したり、期待した防水性が得られなかったりするなど、施工不良の原因となります。
業者が適切な下地処理を行っているかを確認することで、ウレタン塗料の持つ柔軟性や密着性を最大限に活かし、長持ちする美しい仕上がりを実現できます。
【注意点3】下地に合った塗料を選ぶ
下地は建材によって特性が異なるため、その建材に合った塗料を選ぶことが重要です。主要な塗料メーカーは、それぞれの建材に最適なウレタン塗料を開発・販売しており、代表的な製品としては以下のようなものがあります。
- ファインウレタンU100(日本ペイント)
- セラMレタン(関西ペイント)
- クリーンマイルドウレタン(エスケー化研)
これらの製品は、いずれも高い品質と実績を持つ信頼できる塗料です。塗装を依頼する際は、業者がどのような塗料を使用するのか、そしてその塗料があなたの家の外壁材に適しているかを確認することが欠かせません。
ウレタン塗装で活用できる補助金制度
ウレタン塗装は、それ自体を目的とした補助金制度は基本的にありません。多くの補助金や助成金は、省エネルギーや耐震性の向上を目的としたリフォーム工事を対象としています。
しかし例外として、国が定める省エネ基準を満たす「高断熱塗料」や「遮熱塗料」などを使用する「断熱改修」と見なされる場合に限り、補助金の対象となる可能性があります。ただし、この基準を満たすことは非常に限定的なケースです。
補助金に関する情報は頻繁に更新されるため、一次情報源である国土交通省の公式サイトを確認しましょう。
お住まいの自治体で、補助金制度が利用できる場合もあります。各自治体の窓口やホームページを確認し、正しい情報を把握しましょう。
ウレタン塗装はDIYで可能?自分で塗装するリスク
「補助金が利用できないなら、費用を抑えるためにDIYでウレタン塗装をしたい」と考える方もいるかもしれません。しかし、DIYによるウレタン塗装は、さまざまなリスクを伴うため、プロの業者に任せることを強くおすすめします。
DIYによるウレタン塗装のリスクは、以下のとおりです。
- 高所作業による事故のリスク
- 下地処理の失敗
- 乾燥時間・重ね塗りの失敗
- ムラのある仕上がり
なかでも、古い塗膜の除去やひび割れ補修といった下地処理には、専門的な知識と技術が必要になるため、素人の場合は不十分な仕上がりになりがちです。
これらのリスクを考慮すると、費用を抑えるためにDIYを選んだつもりが、かえって塗り直しや補修で高額な費用がかかってしまう可能性もあります。安全かつ高品質な塗装工事を行うためにも、専門知識と技術を持つプロに依頼するのが賢明な選択と言えます。
【Q&A】ウレタン塗装に関するよくある質問
- ウレタン塗装のやり方は?
-
ウレタン塗装には、主にスプレーや吹き付け、ローラーといった複数の塗装方法があります。
ウレタン塗装のやり方- スプレー・吹き付け
- ローラー
プロの業者は、建物の形状や外壁の状態、周囲の環境に応じてこれらの方法を使い分け、最適な仕上がりを目指します。どの方法で塗装するのか、事前に業者に確認しておくと良いでしょう。
- ウレタン塗装を重ね塗りするとどうなる?
-
ウレタン塗料は、塗装工程を正しく守らないと、かえって劣化を早めてしまう可能性があります。特に、乾燥時間を守らずに重ね塗りすると、以下のようなリスクが生じます。
ウレタン塗装における重ね塗りのリスク- 塗装の剥がれや膨れ
- ひび割れや密着性の低下
ウレタン塗装の性能を最大限に引き出すには、各工程でメーカーが定める乾燥時間を守り、適切に塗装を重ねることが必要不可欠です。
- ウレタン塗装は下塗りする必要がある?
-
ウレタン塗装を行う際は、下地処理の後に必ず下塗りを行う必要があります。下塗りの主な役割は、以下のとおりです。
下塗りの役割- 密着性の向上
- 塗料の吸い込み防止
- 下地の色の調整
下塗りを省略してしまうと、塗膜の剥がれやひび割れといった施工不良の原因となります。高品質で長持ちする塗装を実現するためには、下塗りは不可欠な工程なのです。
【まとめ】ウレタン塗装で後悔しないためのポイントは、適材適所で使用すること
ウレタン塗装で後悔しないための最大のポイントは、「適材適所」で使用することです。
ウレタン塗料は初期費用が安く、優れた柔軟性と密着性を持つ一方で、耐用年数が短く、紫外線に弱いという弱点があります。この特性を理解せずに、費用を抑える目的だけで外壁全体に使用してしまうと、塗り替えサイクルの短さから、長期的に見るとかえってコストがかさんでしまうことも。
しかし、その柔軟性と密着性の高さは、「付帯部の塗装」や「ベランダの防水工事」などにおいて大きな強みとなります。
この記事を通じて、ウレタン塗料のメリット・デメリット、そして賢い使い方を理解し、あなたの家と目的に合った最適な塗料を選ぶことが重要です。そして、専門的な知識と技術をもつプロの業者に依頼し、後悔しない外壁塗装を実現させましょう。


















