目次
外壁のひび割れの種類と原因
外壁のひび割れにはいくつかの種類があり、それぞれ発生原因が異なるため、適切な対処法も変わってきます。
外壁のひび割れの種類と原因について以下にまとめましたので、参考にしてみてください。
ひび割れの種類 | 原因 | 緊急度 |
ヘアクラック | 経年劣化、紫外線 | 低 |
構造クラック | 建物の不動沈下、地震 | 高 |
乾燥クラック | モルタルの乾燥収縮 | 中 |
縁切りクラック | コンクリートやモルタルの作業中断や部分補修 | 中 |
開口クラック | 構造体の変形、膨張収縮、地震 | 高 |
ヘアクラック
ヘアクラックは外壁表面の塗装が乾燥収縮したり、経年劣化したりすることで発生する幅0.3mm未満のひび割れです。
ヘアクラックは建物の構造自体には影響がないため、緊急性は低いといえます。
ただし、放置すると水が浸入し、下地材の劣化を引き起こす可能性があるので、早めの補修がおすすめです。
構造クラック
構造クラックは、建物の不同沈下や地震によって発生する、幅0.3mm以上のひび割れです。
外壁だけでなく、建物の構造体にも影響を及ぼすため、緊急性が高い不具合です。
構造クラックを発見したら、速やかに業者に相談し、適切な補修を行いましょう。
乾燥クラック
乾燥クラックは、モルタルが乾燥する過程で収縮することにより発生するひび割れです。
ヘアクラックと同様に、建物の構造自体には影響ありませんが、水の浸入を招く恐れがあります。
乾燥クラックは発生から時間が経過すると、徐々にひび割れが大きくなる傾向にあるため、早期に補修が必要です。
縁切りクラック
縁切りクラックは外壁の下地材が劣化したり、塗装が剥離したりすることで発生するひび割れです。
下地材の劣化が進行すると、外壁全体の剥離や落下につながる恐れがあります。
開口クラック
開口クラックは、窓や扉など、建物の開口部の周りに斜め方向に発生するクラックです。建物の構造体が変形したり、地震の揺れなどが原因であらわれます。
開口クラックを放置すると、雨水の侵入や建物の劣化を引き起こすため、早めの補修が必要になります。
外壁のひび割れの補修方法と費用相場
外壁のひび割れを放置すると、雨水の浸入や建物の劣化につながるため、ひび割れを発見したら、できるだけ早く適切な補修を行うことが大切です。
ひび割れごとの補修方法と費用相場は以下の通りです。
ひび割れの種類 | 補修方法 | 費用相場 |
---|---|---|
ヘアクラック | フィラー刷り込み補修 | 150〜550円/m |
構造クラック (0.3mm〜1.0mmのひび) | 樹脂注入工法 | 3千〜4千/m |
構造クラック (1.0mm以上のひび) | カットシーリング充填工法 | 4.5千〜6千/m |
乾燥クラック | モルタルの再施工 | 1万〜10万円/箇所 |
縁切りクラック | コーキング補修 | 0.5千〜1千円/m |
開口クラック | 下地処理、コーキング補修 | 1万〜10万円/箇所 |
外壁のひび割れの発生を防ぐ方法
外壁のひび割れの発生を防ぐことで、ひび割れの補修にかかる費用を抑えられます。
外壁のひび割れの発生を防ぐ方法について解説します。
定期的な外壁観察
外壁のひび割れを早期に発見するためには、定期的な外壁観察が欠かせません。
少なくとも年に1回は外壁をチェックし、ひび割れやその他の異常がないかを確認しましょう。
もしひび割れを発見したら、自己判断をせず、業者に相談しましょう。
高弾性塗料の使用
外壁のひび割れを防ぐためには、高弾性塗料の使用もおすすめです。
高弾性塗料は一般的な塗料よりも柔軟性が高く、建物の微細な動きにも追従できます。
ひび割れの発生を抑制し、外壁の長寿命化につながるのです。
下処理の徹底
外壁塗装を行う際は、下処理を徹底することが重要です。
外壁の汚れやチョーキングを除去し、必要に応じて下処理を行ってから塗装をしてもらうようにしましょう。
下処理を怠ると、塗膜の密着不良や早期劣化を引き起こし、ひび割れの原因となります。
下処理について信頼できる業者を見つけるのが重要です。
外壁のひび割れを放置するリスク
外壁のひび割れを放置すると、以下のような悪影響が生じます。
- 雨の侵入による悪影響
- 美観を損なう
- 資産価値が下がる
- 建物の寿命が短くなる
一つひとつを詳しく見てみましょう。
雨の侵入による悪影響
外壁のひび割れを放置すると、雨水がひび割れから建物内部に浸入し、雨漏りを引き起こす恐れがあります。
雨漏りが発生すると、壁や天井、床などに水濡れのシミができたり、カビや腐朽といった二次的な被害が生じたりします。
また、電気配線やコンセントに水が触れると、ショートや火災のリスクも高まるため大変危険です。
そして、とくに注意したいのがシロアリの被害です。湿った木材はシロアリ好物なので、雨漏りを放置しているとシロアリの食害リスクがグンと上がります。
美観を損なう
外壁のひび割れは、建物の美観を大きく損ねます。
ひび割れが目立つと、建物全体が老朽化しているように見えたり、管理が行き届いていないような印象を与えたりします。
ひび割れが入った外壁をそのままにしていると、来客の印象を悪くする可能性があるため、外観の美しさを保つためにも、ひび割れの早期修繕が必要です。
資産価値が下がる
ひび割れが目立つ建物は、売却の際に敬遠される傾向にあります。
ひび割れが進行し、建物の構造に悪影響を与えることで修繕費用が増加し、資産価値が低下します。
また、ひび割れがある状態では、査定時にもマイナス評価を受ける可能性が高いため、資産価値を維持するためには早期の修繕が不可欠です。
建物の寿命が短くなる
外壁のひび割れを長期間放置することは、建物の寿命を短くする原因となります。
ひび割れから侵入した水分が内部に蓄積し、木材の腐食を引き起こすことで、建物の強度が低下します。
建物全体の寿命が縮まり、修繕や建て替えの必要性が生じることになるため、ひび割れの早期対応が重要です。
外壁のひび割れは自分で補修できる?
外壁のひび割れは自分で補修できる場合もありますが、おすすめはしません。
理由は以下の通りです。
- ヘアクラックなど軽度なひび割れなら、パテやコーキングがあればできそうだが、他にも専門道具が必要。
- 高所作業が必要になった場合、安全面に不安が残る。
- 外壁のクラックが深い場合、建物の劣化に直結するため、素人が補修をすると事態を悪化させてしまう可能性がある。
DIYをおすすめする人も多いかもしれませんが、まずは専門業者に見てもらうのが大切です。
外壁のひび割れは火災保険・地震保険で修理できる?
外壁のひび割れが保険の対象になるかどうかは、加入している保険の種類や補償内容によって異なります。
保険で修理できる場合もありますが、適用には条件があります。
とくに外壁の場合は、保険で修理できるケースは少ないのが現状です。
火災保険や地震保険でひび割れの修理ができるケースを見てみましょう。
火災保険でひび割れの修理ができる場合
火災保険では、火災や風災、雪災などによる外壁のひび割れをカバーできます。
たとえば、強風で飛ばされた物が外壁に衝突し、ひび割れが生じた場合などが対象です。
経年劣化や不適切な施工が原因のひび割れは、火災保険ではカバーできないので注意しましょう。
保険を利用する際は、ひび割れの発生原因を明確にし、証拠を提出することが重要になるため、発生時の写真などを画像データで残しておくといいでしょう。
地震保険でひび割れの修理ができる場合
地震保険は、地震による外壁のひび割れを補償する保険です。地震や余震によって建物が揺れ、外壁にひび割れが生じた場合に適用されます。
ただし、地震保険の補償は限られており、ひび割れの程度によっては修理費用が全額補償されないこともあるため注意が必要です。
また、火災保険と同様に、申請時には地震による被害であることを証明するため、写真や報告書などを準備することが求められます。
Q&A 外壁 ひび割れ補修でよくある質問
- 外壁のひび割れの補修には何日かかる?
-
外壁のひび割れの補修には、一般的に1日から数日かかります。
作業内容やひび割れの規模によって期間は異なります。小さなひび割れであれば1日で完了することが多いです。
- 外壁のひび割れは新築から何年で発生する?
-
外壁のひび割れは、8年〜10年ほど経つと生じやすくなります。
1年未満のひび割れは施工不良の可能性もあります。
- 外壁のひび割れはペンキで直せる?
-
外壁のひび割れはペンキで直せる場合もありますが、「ヘアクラック」に限られます。
深いひび割れや構造クラックの場合は、ペンキだけでは対処できません。
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