目次
畳とは何か?
畳は日本独自の床材で、い草を編んで作られた畳表を畳床に張り付けて作られています。
日本固有の文化である畳は、日本の気候や風土に最適な床材です。
もともとは、平安時代の貴族の屋敷で板の間の上に敷く敷物として用いられ、身分や富の象徴とされていました。
畳が一般化したのは江戸時代のことで、部屋中に敷き詰める現在と同じ使われ方で庶民の間にも広まったのです。
畳の大きさは、地域や敷かれる場所によって何種類かに分かれています。
不動産の表示では、よく部屋の大きさに「畳」が使われますが、この際の畳1枚あたりの大きさは、1.62平方メートル以上の広さがあるという意味で用いることが定められています。
畳に張替えるメリット
フローリングやカーペット、クッションフロアなど床材はいろいろありますが、畳に張替えるメリットはたくさんあります。
自然素材のい草
畳に使用するい草は多年性の植物です。自然素材ならではの利点は、調湿効果があることです。
夏の不快な湿気は吸収し、乾燥している冬はい草が含んでいる水分を放出して湿度を調節してくれます。
睡眠中の汗で布団は湿気を含みます。フローリングの上に布団を敷いた場合と、畳に敷いた場合を比較してみると、布団の湿気を吸収してくれる畳の方が夏の熱帯夜の寝苦しさを軽減してくれます。
また新しい畳はい草の良い香りがしますね。い草のフィトンチッドという芳香成分はリラックス効果があると言われています。
空気を含んでいるい草はフローリングに比べてクッション性が高く、階下への物音を軽減させる防音効果もあります。
進化する畳床素材
畳は厚さ3~4cmほどある畳床にい草を貼ります。
従来は稲ワラを圧縮させた畳床でしたが、近年の気密性の高い住宅に合わせて新素材が開発され、耐湿性や断熱性に優れた畳床に進化しています。
汎用性の高さで部屋を有効活用
日本の住宅事情もあって居間と寝室を兼ねていた和室は、常にベッドやソファが置いてある洋室にはない、汎用性の高さがメリットと言えます。
お客様が来たときも、和室ならお布団を敷くだけで泊まってもらえますね。
ゴロンと寝転んでお昼寝したり、くつろぎのスペースとしても和室は重宝します。
空気をきれいにし、リラックス効果がある
畳の香りを嗅ぐとリラックスできるという人も多いかと思います。
畳に使われるい草には、フィトンチッドと呼ばれる芳香成分が多く含まれ、森で深呼吸した時と同様にリラックスできると言われています。
不眠症の方が改善するためによく使われるアロマ成分が含まれているため、ストレスの軽減効果も期待できるでしょう。
また、畳には人間に悪い影響を与える二酸化炭素や揮発性有機化合物などを吸着して、部屋の空気を浄化する力もあります。
調湿機能があり過ごしやすい室内環境になる
い草には、空気中の水分を吸収、放出するはたらきがあるため、畳は調湿効果に優れている床材といえます。
梅雨の時期には湿気を吸収して、乾燥する冬には水分を放出するのです。
夏に高温多湿となり、冬に乾燥しやすくなる日本の気候にぴったりな床材と言えるでしょう。
畳1枚で、500mlの水分を吸収することができるともいわれ、湿気の吸収に非常に優れた効果を発揮します。
また、い草は一本ずつ空気を含んでいるため、高い断熱性もあります。
熱伝導率の低い「空気」を取り込むことで、床下から来る冷気を遮断する断熱効果が期待でき、畳に直接座っても冷たく感じにくいのです。
夏は涼しく冬は暖かいため、冷暖房効率も高くなり、快適に過ごすことができるでしょう。
防音性が高い
い草は、内部に空気が含まれており、クッション性が高くやわらかいため、足音や物音などを軽減する効果もあります。
また、畳自体が厚みがあるため、フローリングなどと比較して、防音性能、防振性能にも優れています。
お子さんやペットがいるご家庭は、お子さんやペットが走り回っても、畳が音を吸収してくれるため響きづらくなります。
音を気にすることなく遊べるため、お子さんがいるご家庭に畳がぴったりです。
定期的なメンテナンスをすることで長く使える
畳は、定期的なサイクルでのメンテナンス内容が一般的に決まっており、長期的に使用することを前提に作られた床材です。
畳は、適切にメンテナンスすれば10年以上使用できます。
畳のように長期的に使うことを前提に工夫が凝らされている床材は珍しいでしょう。
畳に張替えるデメリット
たくさんのメリットがあることを分かっていただけたと思います。では畳に張替えるデメリットは何でしょうか。
定期的な裏返しと表替え
畳の欠点は自然素材であるがゆえ、定期的な裏返しや表替えなどのメンテナンスが必要になってくる点です。
3~4年に一度の裏返しや表替え、10年程度で畳床を交換することが望ましいです。
日焼けによる退色
新品の青い畳はキレイですね。畳は日焼けや酸化環境下を原因に、徐々にい草の色が変化し、やがて褐色になります。
この色の変化を退色と言いますが、決して畳の劣化ではありません。
自然素材のい草ならではの変化で、薄緑から黄色、薄茶色、褐色へと移りゆく経年変化を楽しめると思えば、欠点も利点になりますね。
素材の色の経年変化を楽しむのは、時を経ることで味わいが出る無垢フローリングも同じです。
虫が湧く可能性がある
い草など天然素材を使用している畳は、虫が湧いてしまう場合がありえます。
虫は、最初から畳に住み着いているわけではなく、外から侵入して虫が繁殖しやすい条件がそろった時に発生してしまいます。
虫の発生を防ぐためには、日頃からこまめな掃除や換気、防虫シートを敷くなどの対策を行うことが大切です。
湿度が高い環境だとカビが生える可能性がある
畳には吸湿効果があるものの、あまりにも高湿度な環境下ではカビが発生してしまうことがあります。
最近の住宅は気密性が高くなっているため、冬に暖房器具を使うことで結露が発生した場合は、畳にもカビが生えやすくなります。
湿気がたまりやすい部屋の奥の畳や、結露が発生しやすい窓際の畳は要注意です。
室内と外気の温度差が20℃以上の場合や、湿度が70%以上の条件下などではカビが発生しやすくなります。
カビの程度が軽度の場合には、消毒用アルコールを使用してカビを取り除くこともできます。
この際には、換気を十分に行いましょう。
また、水拭きや乾拭き、掃除機で吸うなどは、湿度をさらに高くしたり、カビ菌を撒き散らしてしまう原因になるため、行わないようにしてください。
畳の種類について
畳の種類について見ていきましょう。
国産表
国産の畳表は、国産の天然い草が使用されていて、弾力性や耐久性に優れています。
全国数十カ所で生産されており、色調、光沢、地合いなどそれぞれ地方によってさまざまです。
中国産に比べて自然な色合いで、い草にも粘りがあります。
価格は、中国産のものよりも高くなりますが、普及品から特選品まで豊富なバリエーションがそろっています。
中国表
中国産の畳表は、中国産の天然い草が使用されています。
価格が安いことから、多くの一般家庭で使用されています。
国内産のい草と比べると、耐久性にやや劣り、色合いを統一するためにほとんどの畳表に着色料が使われているため、国内産のような自然な風合いはあまり感じられません。
近年では、日本の天然い草を中国に持ち込み栽培し、日本の企業の技術指導をすることにより上質な畳表も作られるようになってきています。
化学表
天然のい草を使わずに、新しい素材を使って畳表に仕上げたものです。
原料はメーカーによって様々ですが、和紙やボリプロピレンなどが一般的に使われています。
天然い草の畳表と比べると、耐久性に優れ、変色もなくダニやカビの発生なども抑えられます。
また、工業製品であるため、商品ごとのばらつきがなく、安定した品質と価格で提供されている点も特徴の一つです。
ただ、天然のい草畳表と比べると、自然な風合いや、い草特有の香りなどが乏しく、価格も安いわけではありません。
畳のサイズについて
畳の名称 | 1畳の大きさ | 使われている地域 |
---|---|---|
京間(きょうま) | 丈191cm×巾95.5cm | 関西、中国、四国、九州 |
六一間(ろくいちま) | 丈185cm×巾92.5cm | 山陰地方、近畿の一部 |
中京間(ちゅうきょうま) | 丈182cm×巾91cm | 主に東海・中部、東北 |
江戸間(えどま) | 丈176cm×巾88cm | 静岡以北、関東エリア |
団地間(だんちま) | 丈170cm×巾85cm | 集合住宅で使われる |
畳の規格には、同じ一畳であっても上記のようにさまざまな種類があり、その種類ごとに一畳の大きさが異なります。
どの規格も、畳の長辺を丈、短辺を巾と呼び、丈と巾の比率はおおよそ2:1です。
一般的に、畳のサイズは地域によって異なります。しかし、団地間に関しては団地やアパート、マンションなどの集合住宅で使われる規格なので、全国共通のものであることが多く、地域による差はほとんどありません。
畳の構造や部位について
畳の構造や部位について見ていきます。
畳表
畳表は、平行に張られた経糸に対し、い草を緯糸として交互に織り込んで作ったゴザのことで、畳の表面を覆うためのものです。
近年では、い草よりも耐久性に優れた化学繊維や、バブルを使用した畳表も普及しています。
畳表には、い草による保温効果や除湿効果、空気の洗浄作用など、さまざまな効果があります。
畳床
畳床は、畳表を張るための芯材として使用され、畳の踏み心地や畳の弾力を左右するもの重要な下地です。
昔は、乾燥わらを糸締めにして何層にも重ね、圧縮する形で作られていましたが、現在では、ポリスチレンフォームボードや畳ボードなどを用途によって使い分けて代用するケースが多くなっています。
畳床は、弾力性や保温性、断熱性、吸湿性などに優れていて、畳の機能においてとても重要な部位といえます。
畳縁
畳縁は、畳側面に部位つけてある生地のことで、畳表の補強や畳同士の隙間を埋める役割をになっています。
畳縁にはさまざまな種類があるため、部屋の雰囲気に合わせて好きなものを使用できます。
畳の専門店などでは、シンプルなものから、色柄の入った華やかなものまでバリエーションが豊富です。
畳縁は伝統的で美しいため、近年では、バックや小銭入れ、がま口、小物などを製作する際にも、畳縁が使用されるようになっています。
畳のメンテナンスのタイミングとその費用は?
張替えの種類 | タイミング(年) | 費用(円/畳) |
---|---|---|
裏返し | 約4年〜約5年 | 約4,000円〜約6,000円 |
表替え | 約8年〜約10年 | 約7,000〜約12,000円 |
新調 | 約15年〜約20年 | 約11,000〜約25,000円 |
上記はあくまでも目安で、畳のメンテナンスのタイミングは、環境や日頃の手入れなどによっても大きく異なり、費用もグレードや使用する素材などによって変わってきます。
裏返し
裏返しは、既存の畳表を裏返して再利用する方法です。
畳表は、両面を使えるため、裏返すことによって、新品のような畳表になります。
畳の裏返しは、畳が日焼けしたり、色あせてきたり、擦り切れて傷んできたというタイミングに有効なメンテナンス方法です。
裏返しの費用は、畳メンテナンスの中でも一番安く済み、作業もほとんどの場合は一日で完了することが多いです。
昔は自宅で畳の張り替えをするのが主流でしたが、最近は業者が一旦畳を工場に持ち帰って作業し、完了後に納品する方法が一般的です。
近所の業者であれば、当日中に納品できることも多いようです。
表替え
表替えは、畳表と畳縁の部分だけを新しいものに交換し、畳床は既存のものを再利用します。
表替えをすると、新しいい草の香りを楽しむことができます。
また、表替えでは畳床を再利用するため、踏んだ時の感触はあまり変わりません。
ささくれ立った、い草が衣服に付着するようになってきたり、畳の光沢がなくなってきた際には表替えを検討しましょう。
表替えの作業時間は、裏返しと同様、畳を業者の作業場に一度持ち帰るケースが多いですが、ほとんどの場合は1日で完了します。
新調
新調では、畳表、畳床、畳縁のすべてを新しくします。
すべて新しいものに交換するため、見た目、感触、香りも全て一新されます。
裏返し、表替えをしても、使い続けた畳床は寿命を迎えます。
畳の弾力性がなくなり、歩くとブカブカする、畳と畳の間が空いている、カビくさいといった時には、新調することをおすすめします。
新調する場合には、既存の畳を業者が採寸に来た上で、新しい畳が完成してから入れ替えが行われます。
そのため、畳表の裏返しや表替えのように、作業中は畳がないという状態にはなりません。
製作から設置までにかかる日数は、2〜7日くらいが目安です。
おすすめの畳メーカーは?
セキスイ
セキスイは、機能性とデザイン性に優れている畳を販売しています。
MIGUSAという製品は、耐久性に優れたポリプロピレンと天然の無機材料がベースとなっていて、一般的に使用される汚れ落としや消毒液、消臭剤で簡単にお手入れできる点が特徴です。
畳表は、豊富なカラーバリエーションがそろっていて、部屋の雰囲気に合わせて畳を選べます。
また、畳表だけでなく、置き畳や敷込畳などのラインナップもそろっています。
大建工業
大建工業は創立70年の住宅内装建材メーカーです。
主に和紙畳を取り扱っており、畳表と畳床ともに高温熱処理減菌済みで、い草畳と比較してカビやダニの増殖が少ないという特徴を持っています。
洋風に合うモダンな畳から、和空間を上質に仕上げるベーシックな畳まで、幅広いシリーズやカラーバリエーションがそろっています。
キツタカ
キツタカは、畳、襖、障子などを取り扱う和室の総合メーカーです。
天然い草の畳はもちろんのこと、リノベーション畳、抗菌使用の畳、生産者の品質証明書がある国産の畳表など、製品のラインナップが豊富にそろっています。
バリエーションが豊富なため、部屋の雰囲気だけでなく、費用面や機能性などからも自分好みの畳を選べるでしょう。
畳からフローリングへ
平成になるとフローリングの人気に加え、家を建てる際に和室をつくると障子や襖などの付帯する建具も増えてしまい、コスト的な問題から和室自体をつくらないようになってきました。
しかし最近では「和ブーム」という言葉も生まれ、畳の良さも改めて見直されています。
フローリングの上に敷くユニット畳などもあり、和室がなくても洋室に畳を取り入れる事例がみられます。
和モダンな畳が人気上昇中
日本の住宅もすっかりフローリングの床が主流となってしまいましたが、近頃では畳の調湿効果や汎用性が見直され、あえて畳にリフォームするケースもみられるようになりました。
畳というと障子に襖がある昔ながらの和室を思い浮かべますが、最近では縁のない畳や半畳の大きさの琉球畳も和モダンな空間を演出することで人気があります。
和室がなくても、フローリングの一部に畳のスペースを作ったり、ラグマットの代わりに置き畳を敷いたり、フローリングと畳の融合を楽しんでもいいですね。
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