2024年08月20日更新

監修記事

火災保険で外壁は修理できる?適用条件や申請の過程をくわしく解説

災害によって外壁が破損した場合、火災保険を利用した修理を検討しなければなりません。火災保険をうまく活用できなければ、急な出費で家計にダメージを与えてしまうことも。
この記事では、外壁修理における火災保険の適用条件や申請の流れ、修理業者の選び方などをくわしく解説します。適切に保険金を請求して、スムーズに外壁を修理できるようにしましょう。

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火災保険とは

火災保険とは火災だけでなく、さまざまな自然災害による建物などの破損を補償する保険のことを指します。

外壁の修理で火災保険を利用するには、自然災害での破損と認められなければなりません。

火災保険の対象であるおもな自然災害は、以下のとおりです。

  • 火災
  • 風災
  • 雹(ひょう)災
  • 水災
  • 雪災
  • 落雷 など

修理業者と保険会社の見積金額の差によって、全額補償される場合もあれば一部負担が必要な場合もあります。

なお、火災保険を利用することにデメリットはありません。条件を満たした場合は、積極的に活用しましょう。

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火災保険の種類

火災保険には、補償内容によって以下のように種類が分けられています。

住宅火災保険
補償内容
  • 火災
  • 落雷
  • 破裂
  • 爆発
  • 風災
  • 雹災
  • 雪災
被害の例
  • 風による外壁の剥がれ
  • 風による飛来物での外壁破損
  • 屋根から落下した雪による外壁破損
  • 雹の直撃による外壁破損
住宅総合保険
補償内容
  • 火災
  • 落雷
  • 破裂
  • 爆発
  • 風災
  • 雹災
  • 雪災
  • 落下物
  • 衝突
  • 水漏れ
  • 盗難
  • 水災
被害の例
  • 泥棒が侵入した際の外壁破損
  • 洪水による外壁破損
  • 自動車の衝突による外壁破損

住宅火災保険では、台風による被害を補償している場合でも台風による浸水は補償対象外です。また、台風による破損が補償対象でも、竜巻については補償対象外とする保険会社もあります。

住宅総合保険では水災による被害を補償してくれるので、洪水などの水害がおこりやすい地域に住んでいる場合は加入を検討しましょう。

このほかオールリスクタイプの保険もあり、住宅総合保険での保証内容に加えてさまざまなリスクに対応しています。対応内容については保険会社によって異なるため、複数社で比較することをおすすめします。

どの種類の火災保険でも地震には対応していないため、地震での被害を補償したい場合は地震保険への加入を検討しましょう。

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火災保険に適用されやすい風災

どの種類の火災保険でも、風災による外壁や屋根などの被害は補償対象です。

風災

台風や暴風、つむじ風、突風などの強い風による災害のこと

外壁に風災による被害があった場合に火災保険で補償を受けるには、以下の条件を満たしている必要があります。

風災の条件
  • 最大瞬間風速が秒速20m以上の風による被害
  • 外壁修理の費用が20万円以上
  • 被害発生から3年以内

一方で、以下の場合は風災として認められないため、火災保険を適用できない可能性が高いでしょう。

風災として認められない可能性が高い
  • 損害保険鑑定人に風災と認定されなかった場合
  • 経年劣化による外壁の損傷 など
損害保険鑑定人

保険会社に火災保険の申請があった場合、被害を受けた建物を調査して申請内容に問題がないかを鑑定する専門家のこと

外壁の亀裂が原因の雨漏りなどは、経年劣化によるものか風災によるものかの判断がしにくい場合があります。

原因がはっきりしない場合は、火災保険での外壁修理に慣れているリフォーム会社などに調査して判断してもらいましょう。

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外壁・サイディング修理における火災保険適用までの流れ

外壁・サイディング修理における火災保険適用までの流れは、以下のとおりです。

保険会社へ連絡

外壁修理業者へ連絡

必要書類を保険会社へ提出

損害補償鑑定人による調査

それでは、くわしく見ていきましょう。

【流れ1】保険会社へ連絡

被害を受けた場合、保険会社へ連絡することで申請に必要な書類が送られてきます。連絡の際には、以下の内容を伝えられるように把握しておきましょう。

  • 被害を受けた日時
  • 被害のあった箇所
  • 被害の内容

なお、外壁修理で火災保険を申請するには、被害部分の写真が必要になります。そのため、被害を受けた部分に応急処置を施す場合は、処置前の写真を残しておきましょう。

また、保険契約している家なのかを保険会社が判断しやすいように、家全体がわかる写真も撮っておく必要があります。

【流れ2】外壁修理業者へ連絡

保険会社への連絡と同時に、外壁修理業者へ連絡して被害の調査や修理の見積もりをしてもらいましょう。

見積もり内容などに納得できた場合は、業者と外壁修理の契約を交わします。

火災保険の申請代行も依頼する場合は、このタイミングで代行契約も交わすことになるでしょう。

【流れ3】必要書類を保険会社へ提出

以下の必要書類をそろえたら、保険会社へ提出しましょう。

必要書類
  • 保険金請求書
  • 事故状況説明書
  • 被害部分・家全体の写真
  • 工事見積書
  • 損害証明書・罹災(りさい)証明書
  • 建物の登記簿謄本(登記事項証明書)
  • 印鑑証明書

>>火災保険申請から支払いまでを徹底解説!必要書類や請求時のコツも

【流れ4】損害補償鑑定人による調査

提出した書類をもとに、保険会社による審査が行われます。

なお、以下の内容に該当する場合は、損害補償鑑定人による現地調査が実施されやすくなる傾向があります。

損害補償鑑定人による現地調査が実施されやすいケース
  • 高額な申請金額
  • 提出書類の不備
  • 提出書類の信ぴょう性が疑わしい
  • 申請をサポートした業者がブラックリストに掲載されている

なお、外壁の修理業者の見積金額が、損害補償鑑定人の見積金額と同等かそれ以上の場合は、保険金で全額の支払いが可能です。

一方で、修理業者の見積金額のほうが高い場合には、不足分を負担しなければなりません。また、経年劣化と判断された場合は審査に落ちる可能性が高くなります。

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外壁修理の費用相場

外壁修理の際に火災保険の適用を受けるには、20万円以上の修理でなければなりません。

おもな外壁修理の費用相場は、以下のとおりです。

症状修理費用相場
ひび割れ1,800円〜2,500円/㎡
目地の劣化700円〜1,200円/m
タイルの浮き1,000円〜2,000円/1箇所
金属部分のサビ500円〜2,000円/㎡
汚れ200円〜300円/㎡
さまざまな条件で修理費用は変動する

被害状況や被害箇所、仮設足場の有無などで費用は変わるため、外壁の修理業者に調査を依頼した上で正確な見積もりをだしてもらうようにしましょう。

>>家の外壁の種類によって外観はどう変わる?施工費用や特徴を紹介!

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外壁修理に利用できる補助金制度

通常の外壁修理や塗装などのリフォームは火災保険の対象外ですが、自治体によっては補助金などの制度を設けている場合もあります。外壁をリフォームする場合は、住んでいる地域の自治体に問い合わせることで、活用できる補助金が見つかるかもしれません。

国による補助金制度もありますが、外壁工事単体のものはありません。ほかの工事と組み合わせることで補助金がもらえる場合もありますので、検討してみましょう。

>>【2024年】最新のリフォーム補助金一覧はこちら

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外壁修理に火災保険が適用されない場合の対処法

災害による破損で火災保険を申請した場合でも、災害と破損の因果関係が認められないなどで適用されないことも。その場合、どのように対処すべきなのかを解説します。

【対処法1】追加の書類を保険会社に提出

火災保険が適用されない場合、被害を受けた部分が火災保険の保証範囲であることを説明できる資料を用意することで、適用される可能性があります。

自分で資料を用意するのが難しい場合は、外壁の修理業者などに依頼して調査報告書を作成してもらうことをおすすめします。

【対処法2】保険会社のサポート窓口に相談

火災保険が適用されない場合、保険会社のサポート窓口に相談してみましょう。

保険会社や代理店は、担当者によって審査の厳しさが異なる場合があり、それが原因で適用されていない可能性もあるでしょう。

サポート窓口へ相談することで、担当者だけでなく保険会社全体で審査することになり、火災保険が適用される可能性があります。

【対処法3】そんぽADRセンターに相談

そんぽADRセンターへ連絡して相談することも、1つの選択肢といえます。

そんぽADRセンター

「一般社団法人 日本損害保険協会」内に設置されたサポート窓口のこと。
専門の相談員に、原則として無料で損害保険について相談できます。

>>そんぽADRセンター

相談内容によっては、火災保険適用までの道筋を示してくれるかもしれません。

火災保険が適用されずに悩んでいる場合は、そんぽADRセンターへ相談することも検討しましょう。

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火災保険の申請を代行会社に依頼する場合の注意点

【注意点1】訪問販売での強引な契約

被災地域に訪問してきて強引に契約しようとする業者には、注意が必要です。

解約の希望を伝えたときに、高額な手数料を請求されることもあるようです。訪問販売の場合はその場での契約はせず、ほかの業者にも見積もりをとった上で判断することをおすすめします。

もし契約してしまった場合、契約書面を受け取った日を含む8日以内であればクーリング・オフを利用して、無条件で解約できる可能性があります。

クーリング・オフ

訪問販売などの取引において、契約したあとでも一定の期間内であれば一方的に無条件で契約を解除できる制度のことを指します。

【注意点2】法外な申請代行料金の提示

リフォーム会社などと工事の契約を結ぶ際に、代行も同時に依頼する場合があります。その際に注意しなければならないのが、法外な代行料金です。

あとから高額な代行料金を請求されないためにも、契約の際に代行料金を聞いておくようにしましょう。事前に複数社で、代行料金の相場を問い合わせておくことも有効といえます。

【注意点3】虚偽の申請

実際は経年劣化で外壁が破損しているにもかかわらず「風災として申請できます」「風災以外の破損も請求できます」などの言葉で契約を迫られるケースもあります。

経年劣化による破損が明確な場合に風災として申請することは、保険金詐欺に該当する可能性があります。

虚偽の申請を持ちかけられた場合は、同意しないようにしましょう。

【注意点4】修理代金の前払いを要求

修理が完了してから代金を支払うのが一般的ですが、前払いを要求される場合があります。

このようなケースでは、着工しなかったり修理がずさんだったりすることがあるため、注意しておかなければなりません。

前払い請求されないためにも、事前に支払いのタイミングなどを聞いておきましょう。

【注意点5】無料修理の提案

業者によっては無料での修理をうたって契約を迫られる場合がありますが、無料で修理できるかは火災保険の審査後でなければわかりません。

無料で修理できると聞いていたのに、最終的には費用が発生してしまう可能性もあります。

はじめから無料での修理を提案してくるような業者には、注意しておきましょう。

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火災保険での外壁修理はどこに頼むべき?上手な業者の選び方

【選び方1】火災保険を利用した外壁修理の経験豊富な業者を選ぶ

火災保険における外壁修理の実績が豊富な業者であれば、申請についてのアドバイスや正確な見積もりに期待できるといえます。

火災保険を利用した外壁修理の経験がない業者の場合、申請までスムーズに進めなかったり見積もりと保険金額に差がでたりするかもしれません。

スムーズに進めるためにも、火災保険の外壁修理で実績のある業者を選ぶようにしましょう。

【選び方2】複数の業者で相見積もりをとる

見積もりをとる際は、1社だけでなく複数の業者に依頼することをおすすめします。

外壁の状態や被害の範囲、修理のための材料などさまざまな要因で見積金額は決まります。1社のみの見積もりでは、相場感をつかめない可能性が高いでしょう。

適切な金額の見積もりをとるためにも、複数の業者に依頼するようにしましょう。

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【Q&A】火災保険での外壁修理に関するよくある質問

経年劣化による外壁塗装は火災保険の対象になる?

経年劣化による外壁の損傷などは補償の対象外のため、火災保険を利用できません。風災や雪災など、火災保険の対象となる災害での破損にのみ適用が可能です。

外壁のひび割れは火災保険を利用して修理できる?

風災や雪災など、補償対象の災害による外壁のひび割れの場合は、火災保険を利用して修理できる可能性があります。

サイディングの浮きは火災保険の対象になる?

台風などの強風の影響でサイディングが浮いてしまった場合は、火災保険の対象になる可能性があります。

外壁に車をぶつけた場合は火災保険の対象になる?

火災保険の1つである住宅総合保険に加入している場合は、外壁に車をぶつけた際に火災保険を利用して修理できる可能性があります。

保険会社によって異なる場合があるため、加入している火災保険の種類や対象の被害を確認してみましょう。

凍害による外壁修理は火災保険の対象になる?

凍害による外壁の損傷は経年劣化との区別が難しいため、火災保険の対象とならない可能性が高いといえます。

凍害による被害がある場合は、リフォーム業者や保険会社に相談することをおすすめします。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】下久保彰

2級建築士。建築設計や施工業務を30年以上経験。最近は自営にて各種請負業務を行う。

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