目次
草屋根とはどのような屋根なのか?
草屋根とは、戸建て住宅やマンションなどの屋根、屋上部分に土を入れ、芝などを植えて作られる屋上緑化工事で作られた、植物の茂った屋根のことです。
草屋根では屋根におかれた土と植物によって高い断熱性を確保することができ、光熱費の削減に効果があると言われています。
また、屋根部分は芝生の庭としても利用することができるため、屋上を庭として利用したいという方や、ガーデニングスペースを確保したいという方にとってもおすすめです。
屋根部分に土を乗せるため、リフォームで草屋根にする場合には屋根の勾配に注意する必要がありますが、形状についてはどのようなタイプでも対応可能です。
勾配については、約20度までなら問題なく設置でき、30度でも土留めや滑落防止などを施すことで施工することができます。
しかし、東北や北海道、北陸などの雪が多い地域については雪下ろし等の問題もあるため、傾斜等については十分な検討が必要です。
自宅の屋根を草屋根にリフォームできるかどうか判断する方法は?
自宅の屋根を草屋根にリフォームしたい場合、屋根の形状に制限はあるのでしょうか?
草屋根へとリフォームを行うにあたり、問題となるのは屋根の勾配です。
草屋根では、屋根に土を入れて芝生などを植えるため、土が流れてしまわないようある程度屋根の勾配は緩い方が望ましく、3寸勾配が良いとされています。
しかし、土の流出を抑える土留めの設置や、土を使わずに保水マットなどを利用した製品を利用した場合はもっと急勾配でも対応できるようです。
特に保水マットタイプの製品では、最大で15寸勾配まで草屋根にリフォームすることができるため、屋根勾配が急な場合はこのような製品を利用すると良いでしょう。
草屋根による屋上緑化については、元々の屋根材や屋根の形状そのものについてほとんど制限はありません。
ただ、草屋根はどうしても内部に水を含む必要があるため、面積あたりの重量が多くなる傾向があり、特に水やりの後や雨の日などは屋根重量が増加してしまいます。
そのため、建物の強度が不足している場合などについては、施工の際に補強工事も必要です。
草屋根による屋上緑化リフォームを行う際には、草屋根の施工に慣れたリフォーム会社に現地調査を依頼し、建物強度や屋根の勾配などを実際に確認して施工できるかどうか判断してもらうと良いでしょう。
草屋根へのリフォーム費用はどれぐらい?
草屋根へのリフォームでは、まず屋根材を撤去して下地を作って行きます。
50平方メートルの屋根を草屋根へリフォームする場合、足場の設置と屋根材の撤去および下地処理が約25万円。
下地処理後、雨漏りを防ぐための防水層と、根が建物に入り込まないようにする耐根層を設置しますが、こちらの費用は合計で約6万円が相場です。
下地づくりが全て完了したら芝生を植え付ける植栽基盤と水をバランス良く全体に届けるための配水層を設置し、隙間を目土で埋め、滑落防止処理等を実施していきます。
これらの工事の費用については、配水層が約10万円、植栽基盤が約55万円、滑落防止処理については約7万円が相場です。
植栽基盤の設置等が終わったら高麗芝などの芝を植えて完成となります。
芝の価格は使用する品種にもよりますが、50平方メートルなら約5万円が相場です。
費用は足場等の準備から芝生の植え付けまでで約110万円、これに芝生への水やり設備の設置費用が追加で約15万円かかりますので、合計で約125万円が目安となります
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草屋根のメンテナンスはどれぐらいの費用がかかる?
草屋根は瓦屋根などと違い、生きている植物を利用した屋根材ですので、定期的なメンテナンスが欠かせません。
定期的な水やり、芝刈り、雨などによって流れた目土の補充などの作作業については、どの程度の費用がかかるのでしょうか?
一年間でのランニングコストについては、水やりに使う水道代が約2万円、芝刈りや目土の補充については業者に依頼した場合約5万円が目安となります。
水道代については雨水の貯蔵システムを作ることで比較的安価に抑えることもできるため、水道代を抑えたいという方は草屋根にリフォームする際に雨水の貯蔵システムも導入しておくと良いでしょう。
雨水の貯蔵システムについては、規模にもよりますが約5万円で設置可能です。
芝刈りについては自分でメンテナンスを行うこともできますが、滑落等の危険もあるため、安全性を考えて業者に施工を依頼した方が良いでしょう。
草屋根にリフォームするとどんなメリットやデメリットがある?
住宅の屋上を草屋根にリフォームした場合、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
一般的な瓦屋根を草屋根にリフォームした場合のメリットやデメリットをご紹介します。
草屋根にリフォームするメリットとは?
メリットについては、断熱性能の高さによる室温の安定および植物の光合成による周辺環境の向上です。
室温の変化を抑えることができるため、高気密住宅や高断熱住宅で草屋根を利用すれば、夏は涼しく、冬は暖かくなり、光熱費の上昇を抑えることができるでしょう。
また、勾配の緩い屋根を草屋根にリフォームすれば、庭がない住宅でもガーデニングを行うことができますし、天気の良い日には寝転がってひなたぼっこを楽しむこともできます。
屋上部分に出て楽しむ場合には落下防止のために柵を設置するなどの安全対策が必須となりますが、庭がないために諦めていたことも、草屋根にリフォームすれば楽しめるようになるでしょう。
草屋根にリフォームするデメリットとは?
草屋根にリフォームした場合、どのようなデメリットが考えられるのでしょうか?
ひとつめのデメリットは、他の屋根材に比べてメンテナンスの回数が多くなるということです。
屋根材のメンテナンスでは、日本瓦なら約20年、金属瓦では約10年に一度塗装や防水工事などのリフォームが必要となりますが、草屋根では年に一度、場合によっては季節ごとにメンテナンスを行わなければなりません。
これは、芝生のカットや雑草の処理、土壌部分の補充、水やり装置の定期点検が必要となるためです。
芝生の手入れや土壌の補充については自力でも対処できるため、コストはそれほどかかりませんが、水やり装置については数年に一度しっかりとしたメンテナンスを業者に依頼した方が良いでしょう。
ふたつめのデメリットは、屋上部分が緑化されることによって虫が生息しやすい環境となることです。
森や山中ほどは虫が増えることはありませんが、通常の庭と同程度には虫が集まってきますので、どうしても虫が苦手だという方は避けておいた方が良いでしょう。
その他にも芝の状態を保つための水やりが必要となりますので、水道代が月々かかる点には注意してください。
水道代については、50平方メートルの草屋根に日常的に水やりをした場合、地域にもよりますが1年あたり約2万円増加します。
これについては施工の際に雨水貯蔵システムを追加するなどすれば抑えることができますので、水道代が気になるという方は施工の際に雨水貯蔵システムおよび雨水利用システムの導入を行うと良いでしょう。
草屋根へのリフォームには補助金が受けられる?
一部の自治体などでは、屋上や屋根の緑化に関して補助金を受けることができます。
補助金額は自治体にもよりますが、屋根緑化なら費用の約1割程度をまかなうことができるため、草屋根へのリフォームをお考えの方はできるだけ補助を申請しておくと良いでしょう。
助成、補助制度を利用する場合の流れについては、まず役所の担当部署に相談を行い、事前調査等の上で書類による申請を行います。
この申請については、工事前に申請を行い、交付が決定していないと助成金を受けることができなくなりますので、必ず工事着工前に相談および調査、申請を行っておきましょう。
交付が認められたらリフォーム工事を行い、工事終了後完了報告を実施すると職員による現地調査が行われ、この現地調査で問題がないと認められれば実際に助成金が交付されることになります。
どの自治体でも基本的な流れはほとんど同じですが、金額や予算、工事内容の制限などに違いがあるため、草屋根へのリフォームをお考えの方はまず役所の担当部署を調べ、制度を利用することができるか相談しておきましょう。
草屋根へのリフォームをDIYで行うことはできる?
屋根のリフォームをDIYで行うことはできるのでしょうか?
草屋根は基本的に下地の防水をシート等でしっかり行い、植栽基盤および耐根層の処理と土砂の滑落防止処理さえできればDIYでリフォームすることは可能です。
しかし、メンテナンスと同様に高所作業となるため、作業者の滑落等の危険がついて回りますし、防水処理が不十分な場合建物そのものに大きなダメージを与えてしまう可能性もあります。
また、芝が根付くまでは強い雨が降ると土砂が流れ落ちてしまい、作業のやり直しなどが必要となる場合もありますので、できる限りプロに施工を依頼した方が将来的な問題を防ぐことができるでしょう。
DIYでの施工は費用が抑えられ、趣味としても楽しいものですが、屋根については事故などのトラブルが起こりやすい部位ですので、個人での施工はあまりおすすめできません。
手入れを怠った草屋根は見た目も悪いだけでなく建物全体に悪影響を与えます。
日頃の水撒き以外に最低でも年に2回程度の定期契約で専門家に依頼することをお勧めします。
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