目次
雨樋の継手の役割と種類について
建物には「雨樋」が取り付けられていますが、雨樋はどのような役割を果たすのでしょうか?雨樋を構成するパーツについてもご紹介します。
雨樋の役割
雨樋には軒に設置する「軒樋」と、軒樋で受けた雨水を排水溝や雨水桝に誘導する「縦樋」があります。
屋根の形状に合わせて屋根の周りに軒樋が取り付けられており、屋根に降った雨はこの軒樋に流れ落ちるようなっています。
軒樋に溜められた雨水は接続された縦樋に流れ落ち、排水溝や雨水桝に流れていきます。
このように直接雨水が外壁に流れ落ちないようにしている理由は、水の侵食により外壁や土台が傷まないように保護する役割があるからです。
「雨樋」がないと屋根から流れ落ちた雨水が外壁を伝わったり、屋根から落ちてくる雫が跳ねて、土台や外壁を汚したり水たまりを作ったりします。
このような状況が頻繁に起こると、コケやカビが発生してしまい外壁の景観を損ねるだけではなく、湿気が発生することで木部の腐食が起き、シロアリが発生することもあります。
雨樋の種類
樋の形は「半円形」、「角型」、豪雪地方で使われる「特殊型」があります。具体的には下記のように分けられます。
- 溝型・・・樋の断面の形状が「半円形」、「U字型」、「コの字が倒れている型」、「V字型」、「逆台形」があります。
- 管型・・・断面の形が管の形をしたものをいいます。
- 鎖型・・・鎖の部分に雨水が伝わり下に流れるもので、鎖のような形の物で縦樋に用いられます。
また、雨樋に多く使われる主な素材は「塩化ビニール」、「合成樹脂製」、「ガルバリウム鋼板」などがあります。
雨樋は劣化するとどうなるのか
雨樋が普及したのは江戸時代と言われ、その頃の樋の材質は木を彫り込んだものや、竹を半円形に切り取ったものが使われていました。
明治時代の頃になるとトタンやブリキ製が出てきましたが、戦後以降は塩化ビニールが主流になり現在に至っています。
通常使われる塩化ビニールの雨樋の耐用年数は約20年と言われていますが、紫外線がよくあたる南側や雨風のよく当たる箇所は若干寿命が短くなります。
雨樋が経年劣化すると気が付かないうちにひびが入っていたり、割れたりしてしまいます。
また、物がぶつかることで割れてしまったり、地震などで外れることがあるため、こまめに状態を確認するとよいでしょう。
雨樋の継手の種類について
エルボ
エルボとは、雨樋の角度を変更する際に用いられる継手です。
パイプを曲げた形状となっており、真っ直ぐな雨樋をこれに繋ぐことで角度を変え、排水口までスムーズに雨水を導くことができます。
パッキン継手
パッキン継手は正確には継手ではないのですが、横方向の雨樋を縦坑に繋げる際に、雨水が隙間から漏れてしまわないように用いられる部品です。
通常、継手は接着剤などを用いて接合しますが、場所によっては十分な密閉ができない場合があり、雨水が漏れやすくなってしまいます。
このような場合に、パッキンを継手に追加すると、隙間が空きにくくなり、雨水の漏れを防いでくれるのです。
たて継手
たて継手は、縦坑の配管を繋ぐ際に用いられる継手です。
漏れを防ぐために上側は配管に被せ、下側は配管に差し込む形状がとられています。
軒継手
軒継手は、屋根に設置した雨樋同士を繋ぐ継手です。
継手に左右から雨樋を差し込んで固定する形状がとられており、雨樋の交換や新設の際には、雨樋の長さを調整して継手に差し込んで施工します。
集水器
集水器とは、雨樋の雨水を集めて縦坑に流すための部品です。
勢いよく流れ込んでも溢れないようある程度体積に余裕を持って作られており、この部分に縦配管を繋いで排水口まで雨水を通します。
雨樋の継手の付け方・外し方
雨樋が経年劣化で割れたり、歪んだり外れたりすると、基本的な役割が出来なくなることがあります。
その場合は雨樋を外し、新しいものに交換すると良いのですが、どのようにして継手部分を外せば良いのでしょうか?
雨樋を外す方法についてご紹介しますが、高所での作業は転落などの危険性が高くなるので、可能ならば専門の業者に依頼することをおすすめします。
雨樋のツメを外す
軒樋は「樋受金物」によって固定されています。
この樋受金物は軒樋を下から支えるタイプと、上からツメで引っかけて固定するタイプとがあり、吊り方も外吊りと内吊りの2種類があります。
金具が露出している外吊りタイプは外しやすいのですが、内吊りタイプは外から見えにくいので外すのが難しく、専門業者の場合は専用道具を用いて外します。
外吊りの樋受金物を外す時は、軒樋の外側を斜め上に少し持ち上げると外れるものや、樋の上端をかんでいるツメを、上から外に向けて動かすと外れるものがあります。
「樋受金物」は「鼻隠し」と呼ばれる木部にビス止めされているので、交換時はインパクトドライバーなどで外すのが一般的です。
エルボや縦継手は外れないケースが多い
エルボや縦継手部分は「樋専用接着剤」で簡単に外れず漏水しないように接着、固定されています。
そのため、エルボや縦継手部分のみを外すことができない場合が多く、集水器下のエルボで漏水が起きている場合などでも、エルボ部分だけではなく集水器から交換する場合があります。
これは集水器とエルボが接着されていると、集水器とエルボの境目でカットしても、新たなエルボが接続できるほどの余裕がないためです。
エルボと集水器を外すためには呼び樋の真ん中あたりでカットし、取り付ける時は継ぎ手で新しい呼び樋をつなげて、集水器とエルボを接続する必要があります。
まれに接着剤などで固定されておらず、エルボが差し込まれているだけのこともあるので、事前に抜けるかチェックしておくとよいでしょう。
また、縦継手部分で漏水したり、縦樋が抜けてしまった場合などは、縦継手の上部をのこぎりを使って切り落とし、縦継手を新たにつなげる樋の両端に接着して既存の樋に接続させ、雨水の排水ができるようにします。
雨樋をつなぎ直す場合は接続部分の埃や塵を除去し、専用の「樋専用接着剤」を使用し、高所作業はできるだけ専門業者に任せるようにしましょう。
雨樋の継手の取り付け方
軒樋に継手を取り付ける場合は、軒樋に接着剤を塗りつけて接合します。
縦坑やエルボも接着剤を用いて接合することもありますが、基本的に軒樋以外の部分は接着剤を用いずに差し込んで繋げるため、力を加えて配管を引っ張れば継手から管を引き抜くことができるでしょう。
配管を撤去したら、新しい継手に交換し、外した時の逆の手順で配管を差し込んでいきます。
雨樋の継手交換で気を付けたいポイント
継手交換で注意するポイント
縦継手を新しく交換する時に間違えていけないのは「上」と「下」です。縦継手は「上」が太く、「下」が細くなっています。
これを間違えると新しく付け替えたにもかかわらず縦継手と樋の境目で漏水が起きてしまうでしょう。
正しい接続方法は、縦樋の場合は、上から降りてくる樋が縦継手の内部に差し込まれるようにしなければいけません。
下につなげる樋の中に縦継手を差し込みます。この場合、上からの縦樋を外側に接続してしまうと雨水排水の際に継ぎ目から漏れてくることがあるので気をつけましょう。
軒樋の場合は、切断した軒樋同士の真ん中に「軒継手」をあてがい、満遍なく接着剤を塗り込んで固定します。
足場に注意する
2m以上の高所作業の場合はヘルメットと安全ベルトの着用が義務付けられています。
2階ベランダの外側でヘルメットを着帽せず、作業していた作業員が亡くなった事例もあるほど高所作業は危険を伴います。
また、屋根に近づくほど足場は揺れるので、危険性は倍増します。
継手交換の修理や交換はハシゴなどで作業すると、足場が固定されず大けがの危険性があります。
必ず足場を立てて安全に作業ができる環境をつくった上で作業するようにしましょう。
外壁から金具を外したらコーキング剤を注入する
軒下の鼻隠しと言われる木部や外壁から樋の止め金具を外した後に残っている穴を防水処理するためには、コーキング剤を詰めなければなりません。
穴を埋めずにいると、そこから雨水が浸入して雨漏れの原因となり、建物内部の木部が腐食して建物に被害を及ぼす可能性があります。
固定金具である「デンデン」や軒樋の受け金具を外した場合は、コーキング剤を注入して防水や穴埋めの作業を忘れずに行うようにしましょう。
また、コーキング剤は1か月ほどで水分が抜けて痩せてくるので、多めに打つのもポイントです。
雨樋に用いられている部品の材質
雨樋は建物に固定するために金属や樹脂で作られた部品を用います。
ステンレス
ステンレス製の金具は、雨水による錆が起こりにくく、部品の破損も少ないとして多くの建物に用いられています。
ただ、一度大きく歪んでしまうと修正してからの再利用が難しいという特徴があるため、場合によっては交換が必要です。
また、ステンレスは見た目が銀色でやや目立つため、使用する雨樋の色や建物によってはデザインが崩れてしまうという問題もあります。
樹脂
金属部品を樹脂でコーティングして作られている部品です。
見た目のデザインをある程度調整することができ、雨樋に設置した際も部品が目立ちません。
ただ、樹脂と金属を合わせて作られているため、大きい力が加わると樹脂が割れてしまう場合がありますし、経年劣化で表面がぼろぼろになる場合もあります。
亜鉛メッキ
鉄などに亜鉛でメッキを施して錆びにくくしている素材です。
トタンとも呼ばれており、雨樋の固定金具として広く用いられています。
亜鉛メッキによって錆を防止していますが、雨樋が風で揺れた際などに擦れて傷が付くと簡単に錆びてしまうため、定期的なメンテナンスが欠かせません。
雨樋の継手修理にかかる費用について
雨樋は樹脂系や金属系など材質や形状によって費用は異なりますので事前に確認して置きましょう。また破損原因が天災の場合、火災保険が適用され実質無償で修理できます。
雨樋を修理する費用の相場と工期
雨樋の修理を業者に依頼した場合、費用や工期はどれくらいかかるのでしょうか?
修理費用は工事を行う範囲によって変わり、継手の交換なら約5,000円から、雨樋の補修及び交換は1メートルあたり約3,000円からが相場です。
雨樋全体が老朽化していて全て交換する場合は、雨樋の総延長にもよりますが、約20万円からが相場とされています。
工事期間については、継手の交換や雨樋の一部交換だけなら約半日、雨樋全体を交換する場合については、約2日が目安です。
雨樋の継手修理を依頼する際に最適なリフォーム業者の選び方について
雨戸や継手の修理を業者に依頼する際には、被害の拡大を防ぐためにできるだけ速く対応してくれる業者を探しましょう。
この時、業者の評判についても調べておき、雨樋修理の実績が豊富か、施工を依頼したユーザーからの評判が良いかも調べておきます。
工事がすぐに行えない場合でも、応急修理を行ってくれる業者もありますので、雨樋の故障が起こったらまず業者に連絡して相談してみると良いでしょう。
雨樋全体をリフォームしたい場合は、複数の業者に見積もりを依頼して相見積もりを行い、プランや費用などが良い業者を選びます。
また、見積りを依頼する際には、雨樋のデザインや予算などを明確に伝えておけば、希望に添ったプランを立ててもらうことができるでしょう。
雨樋の修理やリフォームは一見簡単な作業に思えますが、スムーズな雨水の排出や作業の安全性などを考慮すると、個人での施工は難しいと言えます。
業者に作業を依頼しても、自分で材料や道具を依頼した場合に比べてそれほど費用に違いはありませんし、工期も短く済むため、雨樋に関連する工事については、業者に依頼した方が満足度は高くなるでしょう。
雨樋の修理をプロに依頼するメリット
雨樋の修理をプロに依頼すると、どのようなメリットが考えられるのでしょうか?
まず、最も大きなメリットは、作業中の事故による怪我等のリスクをなくすことができる点です。
雨樋工事はどうしても高所作業となるため、命綱などがないと転落した際に大怪我に繋がります。
工事期間の短さと仕上がりの良さもプロに依頼するメリットです。
DIYでの作業は慣れていないとどうしても時間がかかるので、修理が終わる前に雨が降ってしまうと、そこから雨水が漏れてしまいます。
また、軒樋の接合で角度が変わってしまうと、雨水がスムーズに集水器まで流れなくなってしまうため、雨水が継手部分などに溜まってしまい、溢れやすくなってしまうのです。
プロに依頼すれば、きちんと勾配をつけてスムーズに流れるよう調整してもらえますし、短期間で工事が終わるため雨が多い時期でも被害の拡大を防ぐことができます。
もちろん、施工ミスによる雨水の漏れもまず起こりませんので、後で対応する手間も省けます。
屋根リフォームの業者選びで後悔しないために
必ず相見積もりを複数取って比較しましょう!
なぜならリフォームの費用・工事方法は、業者によって大きく異なるからです。
とはいえ「信頼できる業者が分からない」「何度も同じ説明をするのが面倒」と踏み出せない方もいらっしゃると思います。
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