
耐震補強は外からできる?木造住宅の外付け工法にかかる費用や注意点
工法や工事範囲によっては耐震補強を外から行い、住みながら進められる場合もあります。ただし、建物の状態や補強箇所によって…

筋交いは、木造住宅の耐震性を高めるために使われる部材です。住宅の耐震改修には、壁に筋交いを入れるほか、耐震パネルを張る方法などがあります。この記事では筋交いの役割や注意点、耐力壁の補強工事について解説します。
「筋交い」は「すじかい」と読み、壁の耐震性を高めるために、建物の柱と柱の間へ斜めに取り付ける部材です。
木造軸組工法では、柱や梁などの軸組で建物を支え、筋交いや構造用面材を用いた耐力壁で地震・風による水平力に抵抗します。筋交いがなくても、構造用面材などで耐力を確保している壁があるため、筋交いの有無だけでは壁の強さを判断できません。耐力壁は、部屋を区切るだけの間仕切り壁とは異なります。

必要な耐力壁の量は、床面積に加え、階数、屋根・外壁の仕様、太陽光発電設備の有無など、建物の重量に関わる条件によって変わります。耐力壁を各方向にバランスよく配置することも重要です。鉄骨造では、山形鋼や鋼管などの鋼材を斜めに組んだ「ブレース」が水平力を負担します。

対象となる木造建築物の筋交いは、建築基準法施行令第45条や第46条などに適合させる必要があります。筋交いには木材を用いるもののほか、鉄筋を用いる「鉄筋筋交い」もあります。第45条では、引張力を負担する筋交いに厚さ1.5cm以上・幅9cm以上の木材または径9mm以上の鉄筋などを用いること、圧縮力を負担する筋交いに厚さ3cm以上・幅9cm以上の木材などを用いることが定められています。また、筋交いの両端を金物で緊結することも必要です。
第46条では、耐力壁や筋交いを各方向にバランスよく配置し、地震・風に対する必要壁量を確保することが求められています。必要壁量は建物の実際の重量に応じて算定する基準に変わり、従来基準を選べる経過措置は2026年3月31日で終了しました。耐震補強では壁の量だけでなく、配置や接合部、基礎まで含め、建物全体の安全性を確認することが重要です。
※ 参考1:e-Gov法令検索「建築基準法施行令」
※ 参考2:国土交通省「木造建築物における必要な壁量等の基準」
耐力壁の筋交い工事では、筋交いの量だけでなく、耐震等級との関係や断熱材の施工、住宅の建築時期にも注意が必要です。
建物の耐震性能を示す指標の一つが「耐震等級」です。耐震等級は1~3の3段階に分かれ、基準は次のとおりです。

耐震等級は、筋交いの本数だけでは決まりません。筋交いの本数を単純に1.25倍または1.5倍に増やしても、耐震等級が上がるとは限らないためです。必要壁量に加え、耐力壁の配置、床の強さ、接合部、基礎なども含めて判定します。
※ 参考1:国土交通省「住宅性能表示制度」
※ 参考2:国土交通省「新築戸建(木造軸組)版チェックポイント」
筋交いのある壁へ断熱材を充填する際は、筋交いの周囲に隙間ができないよう施工し、断熱層と室内側の防湿層を連続させることが重要です。袋入りグラスウールやロックウール、発泡系断熱材の適否は、材料の種類だけで決まるものではありません。筋交いの裏側まで断熱材を充填し、防湿フィルムの重なりや取り合い部分を適切に処理したうえで、外側の防風層や通気層も確保します。内部結露は、断熱材の種類に加え、地域の気候、壁の構成、室内の湿度、施工精度などにも左右されます。断熱改修に詳しい施工会社へ相談し、壁の構成に合った施工方法を選ぶことが大切です。

1981年6月1日に新耐震基準が導入されましたが、木造住宅の接合部や耐力壁の配置に関する仕様が明確化されたのは2000年6月です。国土交通省は、1981年6月から2000年5月までに建てられた、2階建て以下の在来軸組構法の木造住宅などを対象に、接合部や壁の配置の確認を勧めています。1981年5月以前に建てられた住宅は、専門家による耐震診断を受け、結果に応じて改修を検討する必要があります。

※ 参考1:国土交通省「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法」
※ 参考2:国土交通省「補助金・支援制度について」
既存の壁の耐力を高める方法には、壁を解体して筋交いや構造用面材を入れる方法、室内側・屋外側から補強する方法、耐震改修用の金物やパネルを使う方法などがあります。ただし、構造用合板を既存の壁の上から張るだけでは、耐力壁になりません。耐震診断に基づき、柱や横架材への留め付け方、釘の種類・間隔、接合部まで含め、所定の仕様で施工する必要があります。
筋交いの入れ方には、斜めに1本取り付ける「片筋交い」と、X字状に2本取り付ける「たすき掛け」があります。同じ寸法・仕様であれば、たすき掛けのほうが高い壁倍率を確保できます。ただし、既存の壁を単純にたすき掛けへ変更したり、筋交いに構造用面材を重ねたりすればよいわけではありません。耐力壁が強くなるほど柱頭・柱脚や基礎にかかる力も大きくなるため、耐震診断に基づき、接合金物、基礎、壁の配置バランスまで含めて補強計画を立てる必要があります。

※ 参考:e-Gov法令検索「建築基準法施行令」
窓やガラス戸などの開口部は耐力壁として算入できないため、耐震診断で壁量が不足している場合は、開口部の一部を筋交いや構造用面材を用いた耐力壁へ変更する方法があります。ただし、建物の四隅を耐力壁にしても、必ず効果が得られるとは限りません。補強する位置は、各階・各方向の壁量と配置バランス、接合部、基礎の状態などによって変わります。窓を減らすと採光や換気にも影響するため、耐震診断の結果をもとに建築士と相談し、安全性と住みやすさの両立を図ることが大切です。

※ 参考:e-Gov法令検索「建築基準法施行令」
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