耐震性を向上させる柱補強とは?
耐震リフォームでよく行われているのが、柱補強工事です。
木造住宅の場合、柱と梁を組み合わせるだけの構造となっており、耐久年数の観点から釘などの金属部品はあまり用いられてきませんでした。
これは、木材に刺さった釘などが錆びることで膨張し、木材が割れて強度が低下してしまうことが理由です。
木造住宅の耐震性については、古い文化財などを見てもわかるとおり、組木構造でも十分な強度を確保することはできますが、あくまでも太い高品質な木材をふんだんに利用した場合に限ります。
そのため、一般住宅のように比較的細い柱を使った建物の場合は、経年劣化によって強度が低下して耐震性が低下してしまう可能性が高いのです。
また、旧耐震基準で建てられた建物は震度5の地震を想定して設計が行われているため、元々の柱の強度や本数も現行の耐震基準で建てられた建物より弱く少なくなっています。
旧耐震基準で建てられた木造建築や老朽化した木造建築に対して行われるのが柱補強工事です。
この工事では、強度上のネックとなりやすい柱と梁や土台との接合部を錆びないステンレス製の金具で補強し、柱同士の間に筋交いを追加。
柱の本数が少なく十分な強度が確保できない場合には、新しい柱や壁を追加する工事も行います。
これらの工事により、建物の揺れを抑えて柱と梁や土台との接合部にかかる負担を低下させつつ、接合部の強度も向上、さらに柱の本数が増すことで基本的な建物の強度も向上するのです。
柱補強工事の特徴と注意点
建物の耐震性を高めるための工事では、柱そのものを交換する場合もあります。
これは、柱が老朽化して十分な強度が得られない場合などに行われる工事なのですが、施工の際は床や壁を全て撤去して構造をむき出しにしなければなりません。
そのため、どうしても工期が長くなってしまい、場合によっては半年以上工事が続く場合もあります。
柱の追加工事についても施工内容はほぼ同じで、壁や床を解体して土台や梁をむき出しにしてから工事を行う方法が一般的です。
工期については柱を何本追加するか、どこに追加するかによって変わりますが、こちらについても柱交換と同じく工期は比較的長くなります。
金具などによる補強の場合は、壁を撤去して金具を設置するだけで施工できますので、ここまで工期が長くなることはありません。
屋外側から外壁に取り付けられる場合や、床下の継ぎ目に設置する、屋根裏に取り付けるなどの方法を用いれば、約1週間での施工も可能です。
金具による施工は柱の追加や交換に比べて短期間で施工できるというメリットがありますが、耐震性の向上には十分な効果を得ることができます。
柱の追加や交換などを行えばより建物の耐震性を高めることができますが、費用や工期を抑えつつ建物の耐震性を高めたいという場合には、金具による耐震補強工事がおすすめです。
柱補強工事にかかる費用はどれくらい?
実際に金具を用いた柱補強工事を行う場合、費用はどれくらいが相場となるのでしょうか?
柱補強工事の費用は、どれだけ金具を入れるか、既存の柱がどれだけ傷んでいるかによって大きく変わります。
柱の状態が良く、金具を土台と梁に追加するだけで施工できる場合の費用については、金具を10個用いた場合で約40万円が相場です。
柱を追加したり、金具を追加したりする場合については、壁や床の解体および補修費用がかかりますし、施工期間も長くなりますので、約100万円からが相場となります。
金具の設置と同時に柱と柱の間に地震などによる揺れを防止する筋交いを設置する場合や、建物を支える耐力壁を設置する場合については、約150万円が相場です。
また、耐震補強工事の際にはあらかじめ耐震診断を行って必要な工事を決める必要がありますので、耐震診断費用として約10万円も費用に追加となります。
施工費用はやや高額ですが、さまざまな自治体で昭和55年5月以前の旧耐震基準で設計、建築された木造住宅の耐震診断および耐震補強工事費用の一部を助成する制度が実施されています。
助成金の額は自治体によって変わりますが、耐震診断費用を含めて合計費用の約2割が助成される場合が多いようです。
耐震診断および耐震補強工事は実際に地震が起きた際に家族の命が守れるかどうかに関わる重要な工事となります。
耐震補強リフォームを依頼する際には、複数のリフォーム会社で相見積もりを行い、対応や見積りを比較して信頼できる会社に施工を任せるようにしましょう。
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