住宅の耐震性を高めるには建て替えと補強工事のどちらを選ぶべき?

完成した戸建て住宅と筋交いのある木造骨組みを対比した「建て替え?補強工事?」のイメージ

住宅の耐震性を高める方法は、建て替えと耐震改修の2つです。この記事では、自宅に合った方法を選べるよう、それぞれの特徴や利用できる補助金などを解説します。

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建て替えと耐震補強工事はどちらを選ぶべき?

住宅の耐震性を高める方法には、建て替えと耐震補強工事があります。どちらを選ぶかは、住宅の状態に応じて判断しましょう。2011年の東日本大震災以降、地震への防災意識は一層高まっています。それぞれの特徴を理解し、自宅の状況に合う方法を選ぶことが大切です。

耐震性を高める建て替えと耐震補強工事を、建物の更新、性能確認、費用、診断・補強の観点で比較した図
建て替えと耐震補強工事の比較

建て替えを選ぶ場合

住宅の建て替えを行う場合、新築住宅は現行の建築基準法に適合させる必要があります。建築基準法が求める耐震性能の最低水準は、住宅性能表示制度の耐震等級1に相当します。ただし、住宅性能評価を受けていない住宅に耐震等級が自動的に付与されるわけではありません。耐震等級2や3を希望する場合は、設計段階で目標とする等級を伝え、必要な構造計算や性能評価について確認しましょう。

建て替えでは現行基準の最低水準が耐震等級1相当で、等級2・3は設計段階で依頼することを示す図
建て替え時の耐震等級の考え方

建て替えでは、既存の建物をいったん取り壊し、新たに住宅を建築します。必要な工程や使用する資材を事前に決められるため、総費用を把握しやすい点が特徴です。また、2025年4月以降は、木造住宅の仕様や重量に応じて必要な壁量や柱の小径を算定する基準が適用されています。耐震性能は、追加費用の多寡だけで決まるものではありません。壁の配置や接合部、構造計算の方法も含め、目標とする耐震性能に合った設計を依頼しましょう。

また、建て替え後は新築住宅となるため、設計上の耐震性能を確認しやすい点もメリットです。設計・施工に問題がなければ、想定した耐震性能が期待できます。収益物件の場合は、耐震性を確保した新築物件として、入居需要の向上も見込めるでしょう。

※ 参考1:国土交通省「日本住宅性能表示基準」
※ 参考2:国土交通省「木造建築物における省エネ化等による建築物の重量化に対応するための必要な壁量等の基準」

耐震補強工事を選ぶ場合

耐震補強工事では、まず耐震診断を行い、建物の弱点に合わせて補強計画を立てます。木造住宅では、上部構造評点が1.0未満の場合が耐震改修を検討する目安です。補助制度や税制では、改修後に評点1.0以上などの基準を求められることがあります。現在の新耐震基準は1981年6月1日に施行され、2000年には木造住宅の壁の配置や、柱・筋交いなどの接合部に関する仕様が明確化されました。1981年6月から2000年5月までに建てられた木造住宅も、接合部などを確認したうえで耐震性を検証することが推奨されています。補強方法には、屋根の軽量化、耐力壁の増設、柱への筋交いの設置、柱・梁・基礎の補強などがあります。必要な工事は、耐震診断の結果によって異なります。

耐震診断から弱点特定、補強工事までの流れと、屋根・耐力壁・筋交い・基礎の補強方法を示す図
耐震補強工事の流れと主な補強方法

一般的に、耐震補強工事は建て替えよりも費用を抑えられます。ただし、住宅の状態によって工事費が変わり、想定以上に高額になる場合もあります。また、耐震性を高めても、建物自体が新しくなるわけではありません。収益物件では費用を回収できるかも考慮し、建て替えと補強工事のどちらを選ぶか判断しましょう。

※ 参考1:国土交通省「耐震改修の進め方」
※ 参考2:国土交通省「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法」

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耐震性能を高めるための建て替えでは補助金を利用できる

耐震性向上を目的に建て替える場合、自治体の補助金を利用できることがあります。制度の有無や要件は、お住まいの自治体に確認しましょう。ここでは、自治体が実施する補助制度の例を紹介します。

自治体への相談、申請、交付決定、契約・着工の順序と、交付決定前に着手しない注意点を示す図
耐震建て替え補助金を申請する順序

地方自治体が実施する住宅の耐震支援事業の一例

和歌山市・宇都宮市・大田原市の2026年度耐震建て替え補助金の上限額と県産材加算を比較した図
2026年度の耐震建て替え補助金3自治体比較

和歌山市の住宅耐震改修事業(建替え)

和歌山市では、耐震診断で耐震性が低いと判定された旧耐震基準の戸建て住宅を建て替える場合、費用の一部が補助されます。2026年度の補助額は、建替工事費の5分の2以内の額と、建替設計費・建替工事費に応じて算定する額の合計で、最大131万6千円です。対象は、1981年5月31日以前に着工された延べ面積400平方メートル以下の戸建て住宅です。木造住宅の場合は、2階建て以下かつ上部構造評点1.0未満などの要件も満たす必要があります。建て替え後の住宅は同じ敷地内に建築し、省エネ基準に適合させる必要があります。なお、土砂災害特別警戒区域内での建て替えは対象外です。2026年度は30戸程度が予定され、受付期間は4月10日から9月18日までです。交付決定前に契約・着手せず、2027年2月22日までに工事完了を報告しましょう。

※ 参考:和歌山市「住宅耐震改修事業(住宅の建替え費の一部補助)」

宇都宮市の耐震診断・耐震改修の促進事業

宇都宮市では2026年度、旧耐震基準の木造住宅を対象に、耐震診断士を無料で派遣しています。対象は、1981年5月31日以前の基準で建築された木造2階建て以下の一戸建て住宅です。在来軸組工法・伝統的構法・枠組壁工法のいずれかに該当し、賃貸を目的としていないことも要件です。耐震診断で上部構造評点の最小値が1.0未満となった住宅を改修する場合、補助額は費用の5分の4以内です。上限は、補強計画の補助を利用していない場合が115万円、利用済みの場合が107万円となります。耐震建て替えへの補助は、耐震改修費相当分の5分の4以内で最大100万円です。栃木県産出材を10立方メートル以上使用すると、10万円が加算されます。いずれも先着順かつ予算の範囲内となるため、工事前に相談しましょう。

※ 参考:宇都宮市「耐震診断・耐震改修の促進」

大田原市の木造住宅の耐震診断・耐震改修・建替え補助制度

大田原市では2026年度、旧耐震基準の木造住宅を対象に、耐震診断士の派遣や耐震改修・建て替えへの補助を実施しています。対象は、1981年5月31日以前に着工された木造2階建て以下の一戸建て住宅です。在来軸組工法・伝統的工法・枠組壁工法のいずれかに該当し、賃貸を目的としていないことも要件です。要件を満たす住宅には耐震診断士が派遣され、自己負担なしで診断を受けられます。耐震改修への補助は費用の5分の4以内で最大115万円、耐震建て替えへの補助は耐震改修費相当分の5分の4以内で最大100万円です。県産出材を10立方メートル以上使用して建て替える場合は10万円が加算され、上限は110万円となります。2026年度の受付は4月15日に始まっており、予算の範囲内で交付されます。契約や解体の前に、事前相談を行いましょう。

※ 参考:大田原市「木造住宅の耐震診断士派遣制度・耐震改修・建替え補助制度」

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