目次
配管リフォームの種類

配管のリフォームには、おもに5つの種類があります。
専門業者に配管の状態をチェックしてもらい、その上で、配管の状況や予算に合ったリフォームを選択しましょう。
【1】給水管の引き込み
給水管の引き込みは、道路の下に埋められている「水道本管」から敷地内に給水管を引き込み、住宅に水を供給するための工事です。
この工事は、宅内の給排水管工事とセットでおこなわれることが多く、費用は配管の長さや口径、道路の舗装状況によって大きく変動します。専門的な知識と技術が必要なため、指定された水道工事業者への依頼が必須です。
各市町村の水道局や自治体が、給水装置や排水設備について適切に工事できると認めて「指定」した業者のことをいいます。
お住まいの地域の指定業者は、市区町村の水道局や下水道課のウェブサイトで確認できます。リフォームを依頼する際は、必ず指定業者であるかを確認しましょう。
【2】下水道の排水工事
下水道の排水工事は、宅内のトイレや浴室、キッチンなどから出る汚水や雑排水を、公共の下水道に接続するための工事です。おもに「浄化槽から公共下水道に切り替える場合」と「水まわりをレイアウト変更する場合」に必要な工事です。
浄化槽から公共下水道に切り替える場合は、敷地内に新たな排水管を設置し、道路の下にある公共下水道の本管まで接続します。この際、自治体への申請が必須であり、許可が下りてから着工します。また、浄化槽を使用していた場合は、その撤去や埋め戻しも必要です。
下水道の排水工事にかかる費用は、配管の長さや浄化槽の有無、工事の規模によって大きく異なります。専門的な知識と技術が求められるため、自治体指定の工事業者に依頼することが一般的です。
【3】宅内の給排水管工事
宅内の給排水管工事は、住宅内にある給水管と排水管を新設したり、ルートを変更したりする工事です。おもに、間取りを大きく変更する大規模なリフォームの際に必要な工事です。
たとえば、キッチンの位置を移動させたり、浴室を拡張したりする場合、新しい設備に合わせて配管を設置し直す必要があります。この工事では、配管を通すために、壁や床を解体し、工事完了後に内装を復旧する作業が必要です。そのため、単なる配管の交換よりも大がかりになり、費用も高くなる傾向があります。
このように宅内の給排水管工事は、ほかのリフォームとあわせておこなうのが一般的です。間取りの変更など、ほかのリフォームプランも含めて、専門業者と方法や費用について相談してみましょう。
【4】給排水管の交換工事
給排水管の交換工事は、老朽化した配管を新しいものに一新するリフォームです。おもに、配管の腐食による水漏れや赤水の発生といったトラブルが起きた場合に検討すべき工事です。
- 配管の腐食による水漏れ
- サビが原因の赤水の発生
- 内部の詰まりによる水の流れの悪化
この工事は、配管が露出している場合は比較的簡単ですが、壁や床に埋め込まれた配管の場合は、内装の解体と復旧が必要になるため大がかりになります。そのため、浴室やキッチンと同時にリフォームするなど、解体・復旧費用を一本化することも検討するのがおすすめです。
【5】給排水管洗浄・詰まりの解消・防サビ
給排水管洗浄・詰まりの解消・防サビは、配管の機能を維持し、将来的なトラブルを予防するためのリフォームです。配管を交換するほどではないものの、気になる症状がある場合に検討します。
給排水管の洗浄では、高圧洗浄などを使い、配管内部に溜まった油汚れやヌメリを除去します。定期的におこなうことで、詰まりや悪臭の予防につながるでしょう。
配管の詰まりの解消は、排水の流れが悪い、または完全に詰まってしまった場合に、詰まりを解消するための緊急性の高い工事です。
配管の防サビは、おもに金属製の古い配管に行われるリフォームです。配管内部に防サビ効果のあるコーティングをほどこすライニング工法などがあり、赤水や水漏れのリスクを減らせます。
これらのリフォームは、早期におこなうことで、より大がかりで費用のかかる配管交換を遅らせる効果が期待できます。
配管の種類ごとの耐用年数と特徴
給排水管は、その種類によって耐用年数や特徴が大きく異なります。リフォームを検討する際は、現在使われている配管の種類や、交換する配管の種類について理解しておくことが重要です。
【種類1】金属管
金属管は、かつて住宅の給水管や給湯管として広く使われていた配管です。おもに鉄でできており、耐久性が高いというメリットもある一方で、耐用年数は15〜20年と比較的短いというデメリットがあります。
耐用年数が比較的短いのは、金属が水と酸素に触れることで内部にサビが発生して、配管が腐食してしまうのも原因として挙げられます。そのため、ほかの配管よりも耐用年数が短く、交換が必要な時期も早くおとずれるでしょう。
現在でも古い住宅やマンションでは、この金属管が使われている場合もあります。築年数が古い建物で、水道水から赤茶色の水が出たり、水の流れが悪くなったりしている場合は、金属管の劣化が原因かもしれません。
もし配管のリフォームを検討する際は、よりサビにくく耐久性の高いステンレス鋼管やポリエチレン管への交換を検討することが、長期的な安心につながります。
【種類2】ステンレス鋼管
ステンレス鋼管は、鉄製の配管に比べてサビにくく、腐食に強いという特徴を持つ配管です。耐用年数は30〜40年とされており、その優れた耐久性から、現在の住宅やマンションの給水管、給湯管として広く採用されています。
また、サビや腐食に非常に強いため、赤水が発生する心配もほとんどなく、衛生的に水を使用できるのも魅力です。
ステンレス鋼管は、他の配管材に比べてコストが高めになる傾向もあります。しかし、その分、長期間にわたって安心して使えるため、ランニングコストや将来の修理費用を考慮すると、費用対効果は高いと言えます。
【種類3】硬質ポリ塩化ビニル管
硬質ポリ塩化ビニル管(HIVP管)は、住宅の給排水管として現在もっとも普及している配管材の1つです。金属管とは異なり、プラスチック製のためサビることがないため、耐用年数も25〜30年と比較的長いのも魅力です。
また、配管の内面がなめらかで、汚れが付着しにくいことから、詰まりのリスクを軽減する効果も期待できます。
ただし、硬質ポリ塩化ビニル管は、衝撃には比較的弱いのがデメリットです。外部からの衝撃や地盤沈下などによって破損するリスクがあることには注意しなければいけません。
リフォームで給排水管を交換する際は、この硬質ポリ塩化ビニル管か、より柔軟性の高いポリエチレン管がよく検討されます。それぞれの特徴を比較し、ご自宅の環境に最適な配管を選びましょう。
【種類4】ポリエチレン管
ポリエチレン管は、近年の住宅で給水・給湯配管として広く採用されている配管材です。プラスチック製であるため、サビや腐食の心配がなく衛生的です。
また、ポリエチレン管は、高い耐熱性と耐圧性も備えており、給水だけでなく給湯にも安心して使用できます。これらの高い耐久性により、耐用年数は30年以上と非常に長く、一度リフォームすれば長期にわたって安心できる配管材です。
そのため、リフォームで給排水管を交換する際は、これらの優れた特性を持つポリエチレン管が、とくに給湯管として有力な選択肢となります。
配管リフォームを検討すべきタイミング
配管リフォームを検討すべきタイミングは、給排水管から漏水している時などです。
配管の状態は、見ただけでは判断しにくい部分も多いため、少しでも気になる点があれば、専門の業者に点検を依頼しましょう。
【1】給排水管から漏水している
給排水管から漏水している場合は、配管のリフォームを検討すべきもっとも重要なタイミングの1つです。漏水を放置すると、建物の構造に深刻なダメージを与えたり、下の階の住人に被害がおよんだりなど、大きなトラブルに発展する可能性があります。
そのため、漏水を発見した場合は、早めに専門業者に対処してもらうことが重要です。
給排水管の漏水は、とくに築20年以上が経過している住宅で起きやすく、そのほとんどが配管の劣化が原因であるため、配管全体のリフォームが必要になる傾向があります。部分的な修理で済ませても、他の箇所がすぐに劣化して、ふたたび漏水するリスクが高いでしょう。
このリスクを回避するには、専門業者に診断してもらい、配管全体の状態を把握した上で、最適な方法でリフォームする必要があります。
【2】給排水管から赤茶色の水が出る
給排水管から赤茶色の水が出る場合、配管の内部でサビが発生していることを示しており、放置するとさまざまな問題を引き起こす可能性があります。
- サビた水を長期間にわたり飲用すると、鉄分の過剰摂取による健康リスクが懸念される
- サビが配管の内側に付着することで、水圧が低下する
- サビがはがれて水の流れが悪くなったり、詰まりの原因となる
- 配管に穴が開き、水漏れにつながる可能性がある
このようなリスクがあるため、配管の交換や配管内部の洗浄などが必要です。早めに専門業者に点検を依頼し、配管のリフォームを検討しましょう。
【3】排水の流れが悪い
排水の流れが悪いと感じる場合、一時的な詰まりではなく、配管の劣化や構造的な問題が原因であるかもしれません。そのため、排水の流れが悪い場合も、リフォームを検討すべきタイミングの1つです。
- 配管内部の汚れの付着
- 配管の勾配(傾斜)不良
- 配管の老朽化による変形
排水の流れが悪い状態を放置すると、最終的に配管が完全に詰まり、水が逆流するなどの緊急事態につながることがあります。また、詰まった箇所に強い圧力がかかり、配管が破損して水漏れを引き起こす可能性もあるため、専門業者による早めの対処が必要です。
【4】掃除してもすぐに詰まる
給排水管を掃除してもすぐに詰まってしまう場合は、汚れが配管にたまっているだけでなく、配管自体に根本的な問題がひそんでいる可能性もあるため、配管リフォームを検討すべき重要なサインです。
- 配管内部への汚れの蓄積
- 配管の劣化
- 配管の勾配(傾斜)不良
- 配管の老朽化や変形
- 配管の構造的な問題(複雑な形状になっているなど)
このようなことが原因で、配管が詰まりやすい状態になっているかもしれません。配管の詰まりを放置すると、詰まった部分に水圧がかかり続け、配管が破損して水漏れを引き起こすリスクが高まるため、早めに専門業者に対処してもらうことが重要です。
配管内部の汚れが原因であれば、配管を洗浄することで、詰まりの頻度を減らす効果が期待できます。勾配不良や配管の老朽化が原因の場合は、配管を新しいものに交換することがもっとも確実な解決策です。
このように配管が詰まりやすい原因などによって、最適な対処法が異なります。もし自分で配管を掃除しても詰まりが改善しない場合は、専門の業者に相談し、どのような対処が必要かを判断してもらいましょう。
【5】排水時に変な音がする
排水時に変な音がする場合、配管内部で何らかの異常が発生している可能性もあります。
- ゴボゴボ
- コーン、コーン
- キュルキュル
- ポタポタ
このような異音を放置すると、配管が完全に詰まったり、振動や水圧によって配管が破損したりするリスクもあります。異音は、配管が「助けを求めている」サインととらえ、早めに専門業者に相談しましょう。
【6】水まわりをリフォームする
水まわりと同時に配管もリフォームすることで、リフォームにかかる費用や手間を削減できます。
また、配管の寿命は一般的に20~30年と、水まわり設備とほぼ同じタイミングで迎えます。古い配管を放置すると、新しい設備の設置後に水漏れなどのトラブルが発生するリスクもあるため、設備交換と同時に配管も新しくすることで、将来の不安を取り除くことができるでしょう。
【工事別】配管リフォームの費用相場
配管リフォームの費用は、工事内容によって大きく異なり、0.8万〜100万円が目安です。給排水管の洗浄や詰まりの解消は、比較的費用が安い傾向にあります。一方、下水道の排水や給排水管の交換工事は、大がかりな工事が必要になる場合も多く、費用も高額になりやすいでしょう。
リフォーム内容 | 費用相場 |
---|---|
給水管の引き込み | 30万〜50万円 |
下水道の排水工事 | 30万〜100万円 |
宅内の給排水管工事 | 25万〜50万円 |
給排水管の交換工事 | 10万〜100万円 |
給排水管洗浄 | 1.7万〜3.5万円 |
詰まりの解消 | 0.8万〜3万円 |
防サビ (ライニング工法) | 15万〜50万円 |
ただし上記の費用には、床や壁の解体・復旧にかかる費用は含まれていません。床や壁の解体・復旧が必要な場合は、別途費用が必要な点に注意しましょう。
配管リフォームの費用を抑えるコツ
工事の内容やタイミングを工夫することで、配管リフォームの費用を抑えられるかもしれません。配管リフォームの費用を抑えるコツについてチェックして、リフォームでかかる費用の負担を軽減させましょう。
【コツ1】水まわりと同時にリフォームする
キッチンや浴室などの水まわりと同時に配管をリフォームすることで、壁や床の解体や内装工事などにかかる費用を大幅に削減できるかもしれません。
水まわりと別々にリフォームすると、壁や床の解体と復旧の作業がそれぞれ2回ずつ発生します。しかし、水まわりと配管を同時にリフォームすれば1回で済みます。これにより、人件費や資材費、廃材処分費といったコストを大幅に削減できるでしょう。
また、工事を一度にまとめることで、職人の手配や現場管理にかかる費用も抑えられます。
もし配管のほかに水まわりのリフォームも検討している場合は、同時にリフォームできないか業者に相談してみましょう。
【コツ2】給排水管のトラブルを放置しない
給排水管の小さな異変を見過ごさず、早期に対応することで、大規模な工事や高額な修理費用を防げるかもしれません。
たとえば、配管からの小さな水漏れを放置すると、建物の壁や土台が腐食し、カビの発生やシロアリの被害につながることがあります。これらの被害が拡大すると、配管の修理費用だけでなく、建物の構造補修や内装の復旧費用など、当初の費用をはるかに上回るコストがかかります。
木造住宅で土台や柱の交換をする場合、被害の程度によって費用は変動するものの、数十万円から百万円以上もかかってしまう可能性もあるでしょう。
このように高額な費用の発生を回避するには、水道代の急な上昇などに注意しておく必要があります。
- 普段と比べて水道代が不自然に高くないか
- 排水口や蛇口からの水の流れが遅くなったり、詰まりやすくなったりしていないか
- 壁の中や床下から「ポタポタ」と水の滴る音がしないか
- 下水の臭いがしないか
これらのサインに気づいたら、すぐに専門の業者に点検を依頼しましょう。早期の対応が、結果的に費用を最小限に抑えることにつながります。
【コツ3】複数の業者で相見積もりをとる
配管のリフォームにかかる費用は、業者によって異なるため、1社だけの見積もりでは、その金額が適正かどうか判断できません。適正価格であるかを判断するには、複数の見積もりを比較する「相見積もり」が必要です。
複数の見積もりを比較することで、相場も把握でき、不当に高額な費用を請求されるリスクを避けられます。
また、相見積もりは、見積金額のほかに、工事内容や担当者の対応なども比較できるのがメリットです。適切な工事内容を提案してくれているか、丁寧に対応してくれているかなどもチェックして、より信頼できる業者に配管のリフォームを依頼しましょう。
配管のリフォームで活用できる補助金・助成金制度
国や自治体が実施している補助金・助成金制度のなかには、配管のリフォームで活用できる制度もあります。
ただし配管のリフォーム単体で補助金・助成金が交付されるケースは少ない点に注意が必要です。省エネ性を高めるためのリフォームなどで、水まわり設備の交換にともなって配管を交換する場合などに、補助金・助成金制度の対象となるケースが多いでしょう。
【1】国が実施している主な補助金・助成金制度
国が実施している補助金制度は、住宅全体の性能向上や高齢者や子どもが安全に暮らせる環境を整えることを目的としているものが多い傾向にあります。そのため、省エネ性の高い設備への交換や、家事負担を軽減するための工事にともなって配管をリフォームする場合に、補助金・助成金制度の交付の対象になる可能性があります。
- 子育てグリーン住宅支援事業
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業
- 住宅エコリフォーム推進事業
- 子育て支援型共同住宅推進事業
ただし補助金・助成金制度には、予算が定められています。申請額がこの予算に達した場合、申請期間内であっても受付が締め切られる可能性もある点に注意しなければいけません。
そのため、もし配管のリフォームで国の補助金・助成金制度を活用したいなら、最新の情報をチェックしておくことが重要です。また、補助金・助成金制度に詳しい業者に相談することで、スムーズに申請の作業が進められます。リフォーム工事の相談とあわせて、補助金・助成金制度の活用についても相談してみましょう。
【2】自治体が独自に実施している補助金・助成金制度
多くの地方自治体でも、住民の住環境改善などを目的とした独自の補助金・助成金制度をもうけています。
たとえば、東京都北区では、住宅内の給排水管の更新工事などに助成金を交付しています。
- 助成対象承認申請
- 助成対象工事
このように自治体が独自に実施している補助金・助成金制度を探す際は、自治体の公式サイトで検索するなどの方法が有効です。
- 自治体の公式サイトで検索する
- 「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」で検索する
- 補助金や助成金の活用に詳しいリフォーム業者に相談する
これらの方法を組み合わせて、お住まいの地域で利用できる制度がないか、情報を収集してみましょう。自治体の補助金・助成金制度にも申請期間や予算の上限があるため、早めの行動が重要です。
配管リフォームの施工事例
配管リフォームの施工事例は、物件の種類(戸建て、マンション)や工事の規模、目的によって費用や仕上がりが異なります。ここで実際の事例をチェックして、ご自身で計画している配管のリフォームの参考にしてみましょう。
【事例1】老朽化した排水管をリフォーム!詰まりやすさも解消


リフォーム費用 | 約360万円 |
工期 | 19日間 |
建物タイプ | マンション・アパート |
施工箇所 | キッチン 浴室 トイレ 玄関 |
築52年の物件にお住まいのお客さまより「配管が老朽化して、お湯が詰まり出なくなってしまった」とご相談をいただきました。
専有部分の配管は床下のスラブ上を通っているため、内装工事も含めて配管をリフォームするプランに決定。新しい配管に交換して、お湯の詰まりなどの問題を解決しました。
【事例2】マンション排水管の高圧洗浄!定期メンテナンスでトラブルを未然に防ぐ


マンション排水管の高圧洗浄!定期メンテナンスでトラブルを未然に防ぐ
リフォーム費用 | 約3万円 |
工期 | 1日間 |
建物タイプ | 一戸建て |
施工箇所 | キッチン 浴室 洗面所 トイレ |
お客さまより「キッチンの配管が詰まり、漏水が発生している」とご相談を受け、配管を洗浄したリフォームの事例です。
配管の高圧洗浄とあわせて、キッチンの下の配管を外し、油汚れや配管に詰まっている汚れを直接取り除きました。この作業のおかげで、配管の詰まりと漏水の問題が解消され、リフォーム後にお客さまから「気持ちよく安心して家事ができる」と喜びの声が届きました。
配管をリフォームする際の注意点
配管リフォームは、建物の見えない部分にかかわる重要な工事です。マンションの管理規約を確認するなど、いくつかの注意点を事前に理解して、管理組合とのトラブルや高額な工事費用の発生を回避しましょう。
【注意点1】マンションの管理規約を確認する
マンションで配管をリフォームする際にもっとも重要なのが「管理規約の確認」です。
管理規約とは、マンションなどの共同住宅に住む人々が、快適で円滑な共同生活を送るために定めた、そのマンション独自のルールのことをいいます。
管理規約で「水まわり設備の位置変更は不可」など、リフォームの範囲や内容が定められている場合があるため、リフォームの前に管理規約を確認しておく必要があります。
もし管理規約に違反した場合は、工事の中止や原状回復を求められるかもしれません。このようなトラブルを回避するために、リフォームを計画する段階で管理規約の内容について確認しておきましょう。
【注意点2】直床の場合は費用が高額になりやすい
お住まいのマンションの床が「直床」である場合、水まわり設備を移動する際の配管工事において、費用が高額になりやすい点に注意しなければいけません。
- 直床
- 二重床
床の構造が直床であると、床スラブと床材の間に配管を通す空間がないため、水まわり設備を移動する際に、床の解体や床の高さを変更する工事が必要になるでしょう。
この床の高さを変更する工事は、排水をスムーズに流すための勾配を確保するために必要です。しかし、床の解体・再構築だけでなく、建具の調整や、段差を解消するための追加工事が発生し、費用が大幅に増加する要因にもなります。
配管のリフォームを検討する際は、まずご自身のマンションが直床か二重床かを確認し、直床の場合は専門業者と入念に打ち合わせを行うことが重要です。
【注意点3】給排水管の延長ができないケースもある
配管をリフォームする際、給排水管の延長ができず、水まわり設備の位置を変更できないなど、希望どおりのリフォームができない場合もあります。
- 排水をスムーズに流すための勾配(傾斜)が確保できない
- 床の構造が「直床」である上に、床の高さを変えることも難しい(天井高が低くなるなどの理由から)
- 他の住戸の配管と干渉してしまう
給排水管を延長する場合、スムーズに給排水が流れるように配管を設置しなければいけません。配管の勾配が確保できないと、水が逆流したり、詰まりやすくなったりするため、配管のトラブルを回避するには一定の勾配の確保が必須です。
リフォーム業者に物件の構造や配管の状況を正確に把握してもらった上で、どの程度まで延長が可能か、費用はどれくらいになるのかを確認しましょう。
【注意点4】別途室内の壁や天井の解体が必要な場合もある
壁の中や天井裏にある配管をリフォームする場合、配管が通っている壁や天井の広範囲にわたる解体が必要になるかもしれません。
また、配管のリフォームが完了した後、解体した壁や天井を元に戻す復旧工事が必要です。この場合、壁紙や天井クロスの張り替えや塗装など、内装を仕上げるための費用が別途発生する点に注意しましょう。
工事内容 | 費用相場 (平方メートルあたり) |
---|---|
壁の解体・撤去・処分 | 4千〜6千円 |
天井の解体・撤去・処分 | 4千〜6千円 |
壁の下地補修 | 3千〜5千円 |
天井の下地補修 | 3千〜5千円 |
壁・天井の壁紙の張り替え | 1千〜2千円 |
上記の費用はあくまで目安です。解体する壁・天井の構造、使用する建材によって価格は大きく変動する点に注意しましょう。
また、リフォーム業者によっては、解体・復旧・内装工事をまとめて一式価格として提示する場合もあります。見積もりを依頼する際は、どの範囲の工事が見積もりに含まれているか、不明な点がないか確認しておくことも重要です。
【注意点5】騒音や振動などで近隣住民に迷惑がかかる
配管のリフォームでは、解体や内装工事にともない、騒音や振動が発生し、近隣住民とのトラブルにつながる可能性があります。とくにマンションでのリフォームでは、戸建てよりも音や振動が伝わりやすいため、事前の対策が不可欠です。
近隣住民とのトラブルを避けるためには、工事を始める前に、両隣や上下階の住人へ挨拶と説明を済ませておく必要があります。工事の期間や時間帯を具体的に伝えることで、理解と協力を得やすくなります。また、マンションの管理規約で定められた工事時間を厳守することが重要です。
管理会社や管理組合にも、管理規約の内容にそって工事の届け出を提出して、掲示板などを通じて全住民に周知してもらうことも有効です。リフォーム業者と連携し、共用部が汚れないような対策を徹底するなど、近隣への配慮をおこたらないようにしましょう。
【Q&A】配管のリフォームに関するよくある質問
- 壁・床配管のメリット・デメリットは?
-
壁配管と床配管には、それぞれ以下のようなメリット・デメリットがあります。どちらの配管方法を選ぶかは、メリット・デメリットを理解した上で、専門知識のある業者と相談することが重要です。
壁配管とは給排水管を壁の中に埋め込む配管方式のこと
- メリット
- デメリット
床配管とは給排水管を床下に通す配管方式のこと
- メリット
- 床下収納や点検口から配管にアクセスしやすい
- 配管のメンテナンスや修理が比較的簡単
- 配管のレイアウト変更が比較的容易
- デメリット
- 配管の見える場合があり、部屋の美観を損なう可能性がある
- 床下に配管スペースが必要
- 水漏れが発生した場合、発見が遅れやすい
- マンションでも、給排水管の移設やリフォームは可能?
-
マンションでも、給排水管の移設やリフォームは可能です。
ただし、マンションの管理規約で配管のリフォームにルールが定められている場合もあります。この管理規約で配管のリフォームが禁止されている場合、給排水管の移設やリフォームはできません。
また、マンションには、管理規約で許されている範囲でリフォームできる「専有部分」と、マンション全体の所有物である「共用部分」があります。共用部分にある配管は、個人の判断で移設やリフォームはできません。もし共用部分の配管を移設・リフォームしたい場合は、管理組合に相談してみましょう。 - トイレのむき出しになった配管はリフォームで隠せる?
-
トイレの露出した配管をリフォームで隠すことは可能です。キャビネット付きのトイレに交換するなど、いくつかの方法があるため、予算やトイレの構造に合わせて最適な方法を選びましょう。
トイレのむき出しになった配管を隠す方法- 配管を隠すキャビネットが一体になったトイレに交換する
- 配管を隠すための新たな壁(ふかし壁)を造作する
- DIYで配管カバーや目隠しを作る
トイレの排水方式が「床排水」か「壁排水」かによって、リフォームのしやすさや選べる商品が異なります。とくに、壁排水の場合は配管が複雑になりやすいため、リフォーム業者とよく相談して、どの方法が最適かを検討することが重要です。
トイレの配管工事・配管交換のリフォーム費用はいくら?つまりの原因とは? – トイレ – ハピすむトイレの配管工事や交換を伴うリフォームには、さまざまな方法があります。この記事では、工事の種類ごとの費用相場やトイレの詰まりや臭いの改善方法… - 配管の劣化による漏水は、火災保険が使える?
-
配管の劣化が原因の漏水である場合、漏水によって生じた建物や家財の「損害」は火災保険で補償される可能性があります。しかし、漏水の原因となった「配管自体の修理費用」は、原則として補償対象外となるケースが多いでしょう。
火災保険の補償内容などは、加入している火災保険によって異なります。契約時に受け取った「保険証券」で補償内容を確認するか、保険会社の担当窓口に相談するなどして、火災保険が使えるのかを確かめておきましょう。
- 配管リフォームの業者選びで失敗しないためのポイントは?
-
配管リフォームの業者選びで失敗しないためには、配管工事の実績が豊富であるかなどをチェックすることも重要です。
配管リフォームの業者選びで失敗しないためのポイント- 配管工事の実績が豊富であるか
- 配管技能士などの配管工事に関連する専門的な資格を持っているか
- 地域の水道局から「指定給水装置工事事業者」として指定を受けているか
複数の業者から相見積もりをとり、これらのポイントを比較してみましょう。複数社で同じポイントを比較することで、より信頼できる業者を見つけやすくなり、配管リフォームにおける失敗を回避できます。
【まとめ】配管のトラブルは重症化する前にリフォームで解決しよう
給排水管などのトラブルは、目に見えない場所で静かに進行し、放置すると高額な修理費用や生活への大きな影響につながります。水道水が赤茶色になったり、排水の流れが悪くなったりするサインは、配管が寿命を迎えているサインだととらえましょう。
給排水管からの漏水や詰まりは、建物の腐食やカビの原因となり、配管の交換費用だけでなく、内装の復旧費用までかさむことになります。また、掃除をしてもすぐに詰まる場合は、配管の構造的な問題や勾配不良が原因かもしれません。
これらのトラブルは、症状が軽いうちにリフォームで解決するのが、もっとも経済的で賢明な選択です。配管全体を新しくする交換工事だけでなく、部分的な補修・高圧洗浄・防サビ対策など、さまざまな方法があります。
まずは専門の業者に相談し、配管の状態を正確に診断してもらい、適切なタイミングでリフォームに踏み切りましょう。早期の対策が、長期的な安心につながります。
水回りリフォームの業者選びで後悔しないために
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