2024年04月17日更新

監修記事

窓の建て付けが悪くなる原因と調整する方法について

建て付けの悪い窓は、調整やリフォームによって快適さを取り戻すことができます。窓の基本的な構造、建て付けが悪い窓を自分で調整する症状別の方法、建て付けが悪くなる原因や窓のリフォームにかかる費用、また、リフォーム会社の選び方について紹介します。

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窓の基本的な構造について

立て 付け が 悪い 窓

窓には、引違い窓、すべり出し窓 、内や外への倒し窓、上げ下げ窓、ルーバー窓、オーニング窓など多様なタイプがあります。

以下では、一般的に使われている、左右にスライドして開閉する引き違い窓について、紹介します。

なお、「サッシ」の名称は、窓枠として用いる建材、または、窓枠を用いた建具であるサッシ窓そのものを意味し、一般的には、アルミ製などの窓枠にガラスなどをはめ込んで用いるガラス窓全体として使用されています。

窓は高度成長期以降、安価で腐食に強く加工しやすいアルミサッシが主流でした。

しかし、冷暖房効率に優れているとは言えず、結露も発生するため、最近では樹脂素材やアルミと樹脂の複合素材などに代わってきています。

窓枠

窓ガラスには、框(カマチ)と呼ばれる周囲を覆う4本の枠があり、ガラスと枠を合わせて「障子」と呼びます。

一般的な引き違い窓の場合、「窓枠」とは2枚の障子が収まっている外側の枠のことを指します。

窓枠の各箇所は、レールのある下側を敷居、溝のある上側を鴨居、左右を方立と呼びます。

敷居には、水抜き穴が設けられています。

引き違い窓の場合は、一般的に障子2枚で1セットの窓となります。

そしてこの2枚の障子をロックするために、クレセント錠と呼ばれる鍵が用いられています。

ガラスは框に直接固定すると割れやすくなるため、クッションとなるゴムパッキンまたはシーリング材によって框に固定されています。

ゴムパッキンはガラスに取り付けられ、シーリング材は、框とガラスの隙間に充填されます。

框は、四隅をキャップ付きのネジで固定されています。また、障子の下部は特徴的な構造となっていて、障子を移動させる戸車と呼ばれるローラーが付いています。

戸車

引き違い窓は、障子の下部にある戸車をレール上で滑らせることにより小さな力でもスムーズに動く構造となっています。

戸車は、一般的に1つの障子に2つずつ付けられています。

戸車は常に障子の重量がかかっているため、劣化しやすい消耗品と言え、戸車の不調はスムーズな移動を妨げる主な原因の一つとなります。

レール

引き違いの窓の場合、外側の障子用と内側の障子用でレールが分かれており、合計2本のレールが設置されています。

またレールは外側から吹き付ける雨を防ぐ役割も持っています。

レールにゴミや埃が溜まった場合や変形した場合には、スムーズな開閉に支障を来す原因にもなります。

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【症状別】建て付けが悪い窓を自分で調整する方法

右下に隙間ができてしまう場合

障子の立て付けが悪く、窓のスムーズな開閉ができない場合、多くのケースでは、左右の戸車の高さがずれているか、クレセント本体とクレセント受けがずれていることが原因です。

戸車の高さがずれている場合や、クレセントの位置がずれている場合には、プラスドライバーが1本あれば、多くの場合は自分で調整することが可能です。

障子の傾きを確認するには、隙間を目で確認する方法と、窓を手で押して隙間の有無を確認する方法とがあります。

実際に戸車の高さを調整する際には、障子の左右両側下に設けられている調整用のネジをプラスドライバーで左右いずれかに回すことで戸車を上げ下げでき、障子の傾きを調整することができます。

ネジは、障子の重量でスムーズに回らない場合もありますが、握り部分が太めのドライバーを使い、障子を持ち上げるようにしながら回すと容易に回すことができるでしょう。

しかし、回し過ぎてネジが外れないように注意が必要です。

右下に隙間ができている場合は、障子が左に傾いていると考えられるので、右側の戸車を下げ、左側の戸車を上げることによって、左右の障子の高さを揃えます。

また、クレセント錠を閉めた状態で障子が傾いている場合はクレセント本体とクレセント受けの位置が合っていない可能性があります。

戸車と同様、プラスドライバーを使って、クレセント調整用のネジで調節すれば、傾きを直すことが可能でしょう。

しかし、クレセント調整用のネジも、戸車調整用のネジと同様に緩めすぎて中の金具が落ちないように注意が必要です。

サッシや窓が重たくて窓が開けにくい場合

窓が重くて開けにくい主な原因の1つとして、レール部分にたまった砂や埃が考えられます。

レール部分は砂や埃が溜まりやすい構造となっているため、定期的な清掃を行うようにしましょう。

また不具合の原因として、障子とレールとの間の隙間を塞いでいる「下部摺動片」と呼ばれる部品の間隔が狭すぎることも考えられます。

風雨を防ぎ、気密性を高めるために隙間はより狭いことが求められますが、間隔が狭すぎると障子とレールが接触し、窓が開けにくくなってしまいます。

この場合は適度な間隔に調整する必要があります。

レールと下部摺動片との間隔を調整する場合は、障子の枠組みである框を固定するネジを反時計回りに緩めた状態で行います。

この際も、ネジを外してしまわないように回し過ぎに注意が必要です。

調整したらネジを締め、開閉を試しながら位置を決めていきます。

このほか、戸車の破損やレールの歪みなどが生じている場合は、戸車の交換やレールの修復が必要ですが、障子を外した状態での作業になるため、専門業者に依頼することをおすすめします。

戸車が破損したまま使い続けるとレールが破損する恐れもあるため、早めに対処するようにしましょう。

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建て付けが悪くなる原因やリフォームにかかる費用は?

建て付けが悪くなる原因にはどのようなものが考えられるのでしょうか?

建て付けがあまりに悪いと自分で調整を行うことは難しく、専門業者に調整や取替え、あるいはリフォームを依頼することになるでしょう。その場合の費用についてもご紹介します。

レール部分にゴミが溜まっている

窓サッシのレール部分は細かな凹凸形状となっているため、ゴミが溜まりやすく、このゴミによって窓の動きが阻害されることがあります。

この場合は掃除機や歯ブラシなどの小さなブラシを用いて、ゴミを取り除けば元通りスムーズな開閉が行えるようになるでしょう。

建て付けが悪い

建物はどうしても経年劣化によって微妙に歪みが生じます。

この歪みによって窓とレールの隙間が狭まると、窓がサッシで挟み込まれるような状態となるため、スムーズに開閉できなくなってしまうのです。

戸車がずれている

窓にはスムーズな開閉のために戸車という車輪のようなものが取り付けられていますが、この戸車の調整がずれてしまうと、窓が傾いてしまい隙間が空いてしまったり、開閉がスムーズに行えなくなったりしてしまいます。

また、戸車は車輪と同じ形状のため、頻繁に開閉する窓の場合、経年劣化で回転が悪くなったり、摩耗したりして動きが悪くなることもあります。

サッシのがたつきが原因の場合

レールの掃除や戸車の高さの調整などをしても不具合が直らない場合、建て付けが悪い原因の1つとして、サッシのがたつきが考えられます。

代表的な例として、戸車が損傷している場合です。

レール部分に戸車が擦れた跡や破片が残っている場合は戸車が破損していることが考えられるので、この場合には取替えが必要になります。

また、経年劣化によるサッシの傷みも原因の1つです。サッシの耐久年数は約30年程と言われています。

表面に白い粉のようなものが付着していたり、固定ネジ部分がさび付いているならば、経年劣化による腐食や劣化が疑われます。

その他にも地震などによる衝撃や風雨などによるクッション材や枠組みの劣化や破損なども、サッシの傾きやがたつきの原因となります。

窓や窓枠の一部に原因がある場合

障子の開け閉めがきつくなってしまったり、障子が傾いたりする原因として、障子や窓枠自体に原因がある場合も考えられます。

長期にわたって不具合が続くような場合はレールの損傷や劣化も引き起こす恐れがあるため、早めの対処が必要です。

具体的には、窓の下部摺動片などの気密部品が、経年劣化によってねじれたり縮むなどし、ひび割れやちぎれが発生している場合などです。

このようなケースでは部品の交換や窓自体の交換が必要になります。

また、窓枠の土台となっている木枠部分が変形しているケースもあります。

木材は空気中の水分を吸放出して伸縮する性質があるので、環境条件の変化に応じて反りが発生し変形してしまうことがあるのです。

構造自体が歪んでいる場合

築年数の古い家に多く見受けられる原因として、建物の構造自体が歪んでいることが挙げられます。

このような場合は、プロによる精密な調査を行った上で、建て替えなど本格的なリフォームを検討する必要も出てくるでしょう。

建物構造が歪む原因としては建物の経年変化や不同沈下などが考えられます。

建物が歪むと木材にも歪みが発し、部屋の鴨井が下がる、柱が傾く、窓枠が歪むなどの症状が現れます。

また、シロアリの被害によって基礎や土台、柱と梁などの接続部分が揺らいだために、施工当時の強度を保てなくなり、建物が歪んでしまったケースもあります。

一方で、障子が窓枠をこすっているような場合は不動沈下や傾斜など、建物の構造に由来する影響が疑われます。

不同沈下や傾斜による建物の症状は、建物の内外に現象が現れます。

リフォームにかかる費用の相場

サッシの調整や修理を業者に依頼して、がたつきの調整や部品交換を行う場合、約1~3万円程度が相場だと言われています。

戸車の交換だけの場合であれば、5千円~1万8千円程度ですむ場合がほとんどです。

ただし、サッシのモデルチェンジ周期は約4~5年と早いため、長期間が経過してしまうと部品の調達が難しくなり、費用がかさむ傾向にあります。

また、障子2枚分のサッシを新しいものに交換する場合は、約3~5万円程度が相場ですが、窓のサイズによって費用が変わるため注意が必要です。

窓枠も含めた交換になると、約30~50万円程度と費用の幅が大きく変化します。

窓枠の劣化が激しい場合は、その周辺の壁を壊してから設置しなければならないため、費用はより高額になるでしょう。

不動沈下や傾斜してしまった建物の補修には、いくつかの方法がありますが、専門業者に調査を依頼して家屋の状態にあった最適なリフォーム方法を提案してもらうことが大切です。

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窓の建付け修理のポイント

窓の建付けを修理するときに、覚えておくと役に立つポイントをまとめてみました。

アルミサッシを交換するなら断熱性が高いものにする

建付けの修理をしても改善されないという理由でサッシごと交換する場合は、サッシの性能をあげるよい機会です。

最近では断熱性に優れたサッシが開発されていますので、サッシからの寒さを感じているのであればサッシの断熱性に注目してサッシを選んでみましょう。

サッシの断熱性能を決定づけるのは「サッシの枠」と「ガラス」です。

それぞれの断熱性能については次の通りとなります。

断熱性能をあげるサッシの「ガラス」とは

ひと昔前まで窓といえば一枚のガラス板とその周辺の枠で構成されたものでした。

一枚ガラスのことを「単板ガラス」と呼ぶこともあります。

現在では断熱性能に優れた複層ガラスが主流です。

二枚のガラス板の間に空気の層を設けることによって、外の冷たい空気を内側のガラスに伝えにくくしたもので単板ガラスに比べて高い断熱性能があります。

さらには、複層ガラスのガラス間の層に空気以外の気体を充填して断熱性能を高めた窓や、ガラス板に膜を張ることで断熱性能を高めた窓ガラスも登場。

断熱性能を高めることで、結露の防止にも高い効果が期待できるので、結露の水分による木枠の歪みを防ぐ効果も高まります。

名称 特徴
複層ガラス
  • 二枚のガラスに間隔を設けている窓ガラス
Low-Eガラス(複層)
  • 室外側のガラスに金属膜を貼りつけたガラス
  • 遮熱・断熱効果に優れている
真空ガラス(複層)
  • 複層ガラスの中間層を真空にしたガラス
  • 空気がないので熱の対流が起こらず熱が伝わらない
  • 空気層の複層ガラスに比べて高価
アルゴンガラス(複層)
  • 空気よりも比重が重いアルゴンガスを充填
  • 比重の重さで対流が起こらず熱が伝わりにくい
  • Low-Eガラスとの組み合わせで高い断熱効果

<環境省ホームページ:断熱ガラス>
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/gel/ghg-guideline/house/measures/view/97.html

サッシ枠の種類

現在主流となっているサッシの枠(ガラスを囲んでいる枠)は、アルミ・樹脂・アルミと樹脂の複合の3タイプです。

タイプ 特徴
アルミサッシ
  • 枠のすべてが熱伝導率のよいアルミでできている
  • 熱を伝えやすいので遮熱、断熱効果は期待できない
  • 枠に結露することもある
樹脂サッシ
  • 枠を樹脂で作ったサッシの枠
  • 寒冷地では一般的に使用されている
  • 日射時間が長い地域では紫外線で劣化が早まる
  • アルミサッシに比べて非常に高価
複合サッシ
  • サッシ枠の室内側に熱が伝わりにくく紫外線に弱い樹脂、屋外側に紫外線に強く熱を伝えやすいアルミ枠を採用
  • 新築住宅では主流になっている

防火地域の窓について

住居が都市計画法で定められた防火地域及び準防火地域内にあるときは、サッシの交換や窓ガラスの交換の際に「防火性能」を有するサッシに交換しなければいけません。

敷地における建物の位置などから割り出される「延焼のおそれのあるライン」にかかる窓は、すべて防火窓にすることが法律によって決められています。

防火窓とは、「網入りガラス」を使った窓のことで火災の際に割れにくくなっていて延焼のスピードを遅くする効果のある窓です。

防火窓は一般のガラス窓に比べて価格が高価になります。

防火地域・準防火地域の住居のサッシを交換するならば網入りガラスのサッシにしなければいけません。

近年では、防火機能をもつ網のない耐熱強化ガラスもあります。

網のないクリアな視界と自然な色調が得られます。

マンションなら管理組合に相談

マンションは戸建て住宅と違い、住人がサッシの交換をするかどうかを決めることができません。

分譲で購入した部屋でも共有部分と専有部分とがあり、サッシは共有部分とされているので、住人の判断でリフォームを行うことができない決まりになっているからです。

共有部分とは、エントランスホールや廊下、エレベーターなどの住人同士で共有して使用する部分はもちろん、バルコニーや窓など外壁に面する部分も含まれます。

マンションに住んでいてサッシの交換などを検討しているときには、規約を確認し、規約に則った手順を踏んでリフォームを行わなければいけません。

窓 建 付け 修理

窓の建付け修理に関する見積もりのチェックポイント

【工事の内容が明確に記載されている】

建付けを修理する工事であっても、どのように修理を行うか、その手段が見積もりに記載されているかどうかをチェックしましょう。

建付け調整とだけ書かれていても、その内容は枠の調整から戸車の交換までさまざまです。

サッシの交換をする場合には、どのグレード(断熱性能や防火性能について)のサッシを使うのかが明記されていることが重要です。

グレードによって価格が変わりますので、サッシ一式などと書かれていては価格が適正かどうかを調べる手立てがありません。

【諸経費が適正かどうか】

サッシを交換する場合には、サッシの処分費や運搬費が諸経費に含まれることがあります。

この場合でも、諸経費が全体の工事費の1割を超えない見積書を選ぶようにしましょう。

諸経費と全体の工事費のバランスが悪い見積書は、諸経費のなかに大きく利益を上乗せしている可能性があります。

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リフォームする際の最適なリフォーム会社の選び方について

立て 付け が 悪い 窓

リフォーム会社ごとに得意不得意な工事もあることから、依頼する会社が何を得意としているかを把握したうえで、その分野が得意な業者に依頼するのがベストだと言えます。

窓のリフォームでは、窓に関する知識やリフォーム技術が確かで、施工経験も豊富で評判の良い会社を選ぶことが大切です。

リフォームでは、サッシの不具合に応じた調整や修理、取替えだけでなく、建物の構造的な補修を行うリフォームなども考慮する必要があります。

その際、経験豊富で技術が確かな業者なら適切なアドバイスや提案が受けられるでしょう。

また、リフォーム会社に依頼する際は、リフォームを行う範囲を明確にしておくことや、完成時のイメージを業者としっかり共有することもポイントになります。

特に、窓の場合は紫外線カット効果や断熱効果のある窓ガラスなど種類やデザインも豊富なため、窓に求める機能と予算を決めておくことで、より最適なプランを提案してもらいやすくなるでしょう。

そして、リフォーム会社を選ぶ際は、1社だけではなく複数の業者に見積もりを依頼するとことも重要です。

金額や費用の内訳を確認して、納得の上で依頼するようにしましょう。

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リフォームの業者選びで後悔しないために

必ず相見積もりを複数取って比較しましょう!

なぜならリフォームの費用・工事方法は、業者によって大きく異なるからです。

とはいえ「信頼できる業者が分からない」「何度も同じ説明をするのが面倒」と踏み出せない方もいらっしゃると思います。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】小川愛

二級建築士、宅地建物取引士。愛知県名古屋市にて高級分譲住宅設計・施工会社に勤務。土地取得からプランニング、施工、販売、お客様のお引っ越し、アフターサービスまでの、住宅に関わる全ての業務に従事。

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