外壁塗装の高圧洗浄は雨でもできる?役割や施工後の掃除で使う注意点を解説

外壁塗装の準備がされた現場の画像。コンクリートの外壁と窓の前に、緑色の脚立や養生された塗料缶、ローラーなどの道具が置かれている。画像の中央には黄色い縁取りの白い大きな文字で「外壁塗装の『高圧洗浄』 雨でもOK?施工後の掃除は? 正しい知識で失敗を防ぐ!」と表示されている。

外壁塗装における「高圧洗浄」は塗装の寿命を決める最も重要な工程の一つであり、雨の日であっても問題なく実施できます。一方で、塗装が終わった後のメンテナンスとして家庭用高圧洗浄機を使用することは、外壁を傷めるリスクが高いため推奨されないケースが多いです。


この記事では、なぜ高圧洗浄がそれほど重要なのか、雨天時の作業可否、そして施工後の正しいお手入れ方法について、プロの視点で詳しく解説します。

2025年11月28日更新

監修記事
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外壁塗装の工程における「高圧洗浄」の位置づけ

高圧洗浄は、足場を設置した翌日(工事2日目)に行われる「塗装のための土台作り」の工程です。

全工期は約10日間〜2週間が目安ですが、高圧洗浄がどのタイミングで行われるか、まずは全体の流れを確認しましょう。

1. 近隣挨拶・足場設置【初日】

工事前には近隣への挨拶を行い、初日に作業用の「仮設足場」と飛散防止の「メッシュシート」を設置します。

2. 高圧洗浄【2日目】

ここが最初の重要なステップです。専用の業務用高圧洗浄機を使用し、外壁や屋根についたコケ、カビ、藻、古い塗膜、チョーキング(白っぽい粉)などを徹底的に洗い流します。

3. 乾燥【3〜4日目】

洗浄後は外壁を完全に乾燥させます。水分が残っていると、後から塗る塗料が膨れたり剥がれたりする原因になるため、季節や天候によっては丸1日〜2日以上かけて乾かします。

4. 下地調整・養生〜塗装【5日目以降】

乾燥後、ひび割れの補修(下地調整)や窓の保護(養生)を行い、いよいよ「下塗り・中塗り・上塗り」の3回塗り工程へと進みます。

このように、高圧洗浄は単なる掃除ではなく、塗装の品質を左右する不可欠なプロセスです。

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なぜ重要?高圧洗浄の2つの効果と洗浄方法の種類

塗料を長持ちさせるためには、高圧洗浄による「不純物の除去」と「下地調整」が絶対に欠かせません。

ブラシでこする程度ではなく、なぜ「高圧洗浄」が必要なのか、その理由は主に以下の2点です。

1. 不純物を除去し、塗料の「密着性」を高める

外壁には、長年の排気ガス、ホコリ、コケ、カビなどが蓄積しています。これらが残ったまま塗装をするのは、汚れたテーブルの上にセロハンテープを貼るようなもので、すぐに剥がれてしまいます。

高圧洗浄で不純物を取り除くことで、塗料が外壁材にしっかりと密着します。

2. 劣化した古い塗膜を削ぎ落とす

既に寿命を迎えて剥がれかけている古い塗膜は、新しい塗装の邪魔になります。強力な水圧でこれらを削ぎ落とし、健全な下地を露出させる役割もあります。

汚れ具合で使い分ける「洗浄方法」の違い

汚れの状態に応じて、洗浄方法を使い分けることがあります。

洗浄方法特徴
通常高圧洗浄水圧のみで汚れを落とす一般的な方法。
通常のホコリや汚れに対応。
トルネード洗浄先端が回転するノズルを使用。
さらに水圧が強く、頑固な汚れに適する。
バイオ洗浄特殊な薬品(洗剤)を使用。
カビやコケを根元から分解・殺菌する。

※注意点(水道代について)

業務用の洗浄機を使用しますが、水自体はお客様宅の屋外水道を使用するのが一般的です。その分の水道代は施主負担となるケースが多いことを知っておきましょう。

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外壁塗装と「雨」の関係|高圧洗浄なら雨の日でもできる?

高圧洗浄に限っては、雨の日でも問題なく作業可能です。

外壁塗装は屋外作業のため天候に左右されますが、工程によって「できる作業」と「できない作業」が明確に分かれています。

塗装作業は「雨天中止」が原則

塗装中に雨が降ると、塗料が薄まり品質が低下したり、雨粒の跡がついて仕上がりが悪くなったりします。そのため、雨天時や湿度が著しく高い日(85%以上など)は、塗装作業は行いません。

「高圧洗浄」は雨の日でも作業可能

一方、高圧洗浄は作業自体が水を使うものであるため、雨天でも実施できます。

むしろ以下のようなメリットさえあります。

  • 近隣への配慮が楽になる: 雨の日はご近所の方が洗濯物を外に干していないため、水飛沫によるトラブルのリスクが減ります。
  • 汚れが落ちやすい: 湿気で汚れがふやけているため、洗浄効果が高まる場合があります。

「雨なのに作業しているけど大丈夫?」と不安になる必要はありません。高圧洗浄であれば、雨天決行は合理的かつ一般的な判断です。

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【注意】外壁塗装「後」に高圧洗浄機で掃除してもいい?

塗装後の外壁に対する高圧洗浄機の使用は、原則としておすすめしません。

強力な水圧によって、せっかく新しくなった塗膜やコーキングを傷つけ、家の寿命を縮めるリスクがあるからです。

どうしても使用したい場合は、外壁材ごとのリスクを理解し、細心の注意を払う必要があります。

素材別!塗装後の高圧洗浄におけるリスクと注意点

外壁の素材によって、高圧洗浄機が与えるダメージの種類が異なります。

素材の種類リスク注意点・対策
サイディング
(窯業系・金属系)
水漏れ・凹み目地(コーキング)は避ける。
金属系は水圧で凹む恐れあり。
距離を離して洗浄する。
モルタル
ALC
塗膜剥離表面のザラつきに汚れが溜まりやすいが、
至近距離だと塗装が剥げる。
ひび割れ部分には当てない。
木材腐食・変色使用NG
水が染み込みやすく腐食の原因に。
塗膜も非常に剥がれやすい。

共通する正しいお手入れ方法

家庭用高圧洗浄機を使う場合でも、以下のルールを守りましょう。

  1. 水圧は「最弱」にする: 強力な水流は塗膜を傷つけます。
  2. 目地(コーキング)には当てない: ゴム部分は水圧に弱く、劣化や断裂の原因になります。
  3. 基本は「ホースとブラシ」: 最も安全で確実なのは、散水ノズル程度の水圧で水をかけ、柔らかいスポンジやブラシで優しく汚れを落とすことです。
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高圧洗浄で起こりやすいトラブルと対策

高圧洗浄時は「水漏れ」「騒音」「乾燥不足」などのトラブルが起きやすいため、事前の対策が必須です。

工事中のよくあるトラブルとその回避策を押さえておきましょう。

1. 室内への水漏れ

窓の鍵をかけ忘れたり、サッシの隙間から水が入ってきたりすることがあります。

対策: 作業当日は戸締まりを徹底しましょう。また、古い家屋で隙間が多い場合は、業者が事前にテープ等で目張りを行うこともあります。

2. 近隣への飛散・騒音

洗浄の水が隣家の洗濯物や車にかかったり、洗浄機のエンジン音がうるさいといった苦情です。

対策: 工事前の挨拶で、洗浄を行う日程を明確に伝え、洗濯物の部屋干しや車のカバーなどの協力を仰ぐことが最も重要です。

3. 乾燥不足による施工不良

洗浄後、乾ききらないうちに塗装をしてしまうと、後から不具合が出ます。

対策: 「高圧洗浄の翌日にすぐ塗装していないか(十分な乾燥時間を取っているか)」を工程表で確認しましょう。冬場や湿気の多い時期は特に注意が必要です。

外壁塗装における高圧洗浄は、家の寿命を延ばすための土台作りであり、雨天でも進められる重要な工程です。また、施工後はむやみに高圧洗浄を行わず、素材に合わせた優しいメンテナンスを行うことで、美しい外観を長く保つことができます。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】岩本祐子

atelier comado

岩本 祐子

大学卒業後、建築設計事務所にて主に住宅、公共建築、店舗、マンションの設計に10年以上関わる。
住宅においては、基本設計から監理業務まで一連のフローに携わる。
その後大手インテリア関連企業にて7年間インテリアとリノベーションをメインに業務の幅を広げる。
現在代表をしているatelier comadoでは、インテリアコーディネート、リノベーション、住宅設計をメインに活躍中。

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