目次
高圧洗浄の効果・役割とは?
外壁塗装をする前の高圧洗浄は、非常に重要な工程です。この作業により、外壁の汚れを効果的に落とし、新しい塗料の密着性を高められます。
高圧洗浄の効果と種類について、詳しく見ていきましょう。
高圧洗浄の効果
高圧洗浄には、主に以下3つの効果があります。
- 外壁に付着した汚れや古い塗料の除去
- 外壁の劣化部分を洗い流す
- 外壁の状態をチェックできる
1つ目は、外壁に付着した汚れや古い塗料の除去です。長年の風雨や排気ガスにさらされた外壁には、目に見えない微細な汚れが蓄積しています。これらを取り除くことで、新しい塗料がムラなく均一に塗布できるようになります。
2つ目は、外壁の劣化部分を洗い流す効果です。経年劣化によってもろくなった部分や、剥がれかかっている古い塗膜を洗い流し、健全な下地を露出させることで新しい塗料との密着性が向上します。
3つ目は、外壁の状態をチェックできることです。高圧洗浄をすると、普段は気づきにくい外壁の傷みや劣化箇所が見つかります。よって、塗装前に必要な補修箇所を把握し、適切な処置ができるようになリります。
高圧洗浄の種類
種類 | 特徴 |
ストレート洗浄 | ・真っすぐな水流 ・強力な洗浄力 ・高い位置や広い面積に適する |
トルネード洗浄 | ・回転する水流 ・細かい汚れに効果的 ・やさしい洗浄が可能 |
バイオ洗浄 | ・洗剤を使用 ・しつこい汚れやカビ、コケに効果的 ・環境への配慮が必要 |
高圧洗浄は3種類あり、それぞれ特徴が異なります。
これらを適切に使い分けることで、外壁の状態に応じた効果的な洗浄ができます。
高圧洗浄とバイオ洗浄の違い
水洗いの高圧洗浄とバイオ洗浄については以下の点が異なります。
項目 | 高圧洗浄 | バイオ洗浄 |
洗浄方法 | 高圧の水流のみ | 洗剤と水流の併用 |
汚れへの効果 | 一般的な汚れに有効 | 頑固な汚れやカビに効果的 |
環境への影響 | 少ない | 洗剤使用により若干あり |
コスト | 安価 | 高価 |
作業時間 | 短い | 長い |
外壁への負担 | 大きい | 小さい |
それぞれの特徴を見てみましょう。
高圧洗浄とは?(水洗い)
高圧洗浄(水洗い)は、強力な水流を利用して外壁の汚れを落とす方法です。
高圧洗浄は環境への負荷が少ないです。洗剤を使用しないため、排水による環境汚染の心配がありません。また、一般的な汚れであれば十分な洗浄効果が期待できます。
また、コストが比較的安い点も特徴です。特殊な洗剤を使用しないため、バイオ洗浄と比べて費用を抑えやすいです。
一方で、頑固な油汚れやカビにはあまり効果が無いときもあります。そのような場合は、バイオ洗浄を検討する必要があるかもしれません。
バイオ洗浄とは?(洗剤使用)
バイオ洗浄は、特殊な洗剤を使用して外壁の汚れを分解する方法です。
最大の特徴は、頑固な汚れにも効果を発揮することです。油汚れやカビ、コケなどの除去に適しており、洗剤の効果で外壁表面の劣化を抑制する効果も期待できます。
とくに長期間メンテナンスをしていない外壁におすすめです。
特殊な洗剤の費用や、より丁寧な作業が必要になるため、費用は高圧洗浄よりも高くなります。
注意点としては、使用する洗剤の種類によって環境への影響を考慮する必要があることと、外壁の素材によっては適さない場合があることです。
外壁塗装に高圧洗浄が必要な理由
外壁塗装を行う際、高圧洗浄が欠かせない理由は以下の2つです。
- 外壁塗装の仕上がりをよくする
- 塗装の密着力を上げる
これらの理由について、詳しく見ていきましょう。
外壁塗装の仕上がりをよくする
高圧洗浄で外壁に付着した汚れやホコリを徹底的に落とすことで、新しい塗料が均一に塗れるようになり、美しい仕上がりなります。
また、高圧洗浄は外壁の状態を確認する絶好の機会にもなります。
洗浄後の外壁を観察することで、傷みや劣化が進んでいる箇所を発見しやすくなり、事前に補修ができ、期待通りの仕上がりになるのです。
加えて、高圧洗浄によって外壁の表面がわずかに荒れることで、新しい塗料が定着しやすくなります。
結果として、塗装後のムラや剥がれを防ぎ、長期間美しい状態を保てます。
塗装の密着力を上げる
高圧洗浄によって外壁表面の古い塗膜や劣化した部分を除去し、新しい塗料が直接外壁に接するため、密着力が大幅に向上します。
次に、高圧洗浄は外壁の微細な凹凸を作り出します。この凹凸があることで、新しい塗料が外壁にしっかりと食い込み、より強固な密着が可能になるのです。
最後に、高圧洗浄によって外壁の含水率を適切に調整できます。洗浄後、外壁を十分に乾燥させることで、新しい塗料が浸透しやすい状態を作り出します。よって、塗料の密着力がさらに高まり、長期間にわたって美しい外観を維持できるのです。
外壁塗装の高圧洗浄にかかる費用相場
外壁塗装の高圧洗浄にかかる費用は100〜300円/m2で、バイオ洗浄の場合は300〜500円/m2が相場です。
家の大きさや汚れの程度によって異なります。一般的な費用相場を以下の表にまとめました。上記費用には作業員の人件費や設備費用が含まれています。
長期的にはバイオ洗浄の方が効果的であり、塗装の寿命を延ばせるため、コストパフォーマンスがよい場合もあります。
外壁の状態や環境に応じて最適な方法を選びましょう。
高圧洗浄の作業手順
高圧洗浄は外壁塗装の重要な準備段階です。ここからは作業手順を詳しく見ていきましょう。
手順 | 内容 |
1 近隣住民への挨拶 | 作業開始前に周辺住民に通知 |
2 足場の設置 | 安全な作業環境の確保 |
3 高圧洗浄の準備 | 機材の準備、水源の確保 |
4 外壁、屋根の洗浄 | 上部から下部へ順に洗浄 |
5 洗浄後の乾燥 | 十分な乾燥時間の確保 |
一つずつ詳しく解説していきます。
1 近隣住民への挨拶
高圧洗浄は騒音や水飛沫を伴う作業です。事前に近隣住民へ作業の通知をすることで、トラブルを未然に防げます。
通知の内容は、作業日時や予想される騒音レベル、対策などです。
一般的には依頼した業者が行ってくれます。可能であれば同行して挨拶すると、良好な関係を構築しやすいです。
2 足場の設置
足場の設置は安全性と効率性を確保するために重要な工事です。
高所作業の危険を軽減し、作業員の安全を守るとともに、作業の効率を高められます。
また、周囲への配慮も可能になり、塗料の飛散などを防げます。法律上も、一定の高さ以上での作業には足場の設置が義務付けられており、これを遵守することで現場の安全性が確保されるのです。
3 高圧洗浄の準備
まず圧力の高い業務用高圧洗浄機を準備します。家庭用高圧洗浄機だと、圧力が足りないためです。
多くの場合、場所を選ばないガソリンエンジン式が使用され、洗浄は水道水をバケツに溜めて使用します。
水道は通常、お客様宅の屋外蛇口から供給され、水道代は施主負担です。使用量に応じて追加費用が発生することをあらかじめ知っておきましょう。
また、高圧洗浄当日は、近隣への配慮として、事前の挨拶と洗濯物の外干し自粛のお願いをすることが重要です。
4 外壁、屋根の洗浄
屋根から始め、その後外壁へと進みます。屋根は汚れが溜まりやすいため、とく丁寧な洗浄が必要です。
隣家との距離が近い場合は、ブルーシートで養生し洗浄水の飛散を防ぎます。
外壁洗浄作業は、建物の上部から下部へと順に行います。これは、下から洗浄すると上部の汚れが流れてきて再び汚れてしまうのを防ぐためです。
外壁材に応じた適切な圧力と距離を保ちながら、目地やサッシ周りなどの細部にも注意を払って洗浄していきます。
洗浄後は完全に乾燥させてから次の塗装工程に進みます。
5.洗浄後の乾燥
洗浄後は十分な乾燥時間を設けることが重要です。
外壁が湿った状態で塗装を行うと、塗料の密着性が低下し、剥がれや膨れの原因となります。
天候や気温にもよりますが、1〜2日程度の乾燥期間を設けるのが一般的です。
高圧洗浄にかかる時間
外壁の高圧洗浄にかかる時間は、一般的に3時間以上が目安です。
実際の所要時間は住宅の大きさや形状、外壁の汚れの程度によって大きく変わります。
30〜40坪程度の一般的な住宅であれば、朝9時頃から作業を始めて午後3時頃には終了することが多く、約6時間ほどです。
屋根も含めて洗浄する場合は、丸一日かかることもあり、作業員の人数や使用する機材によって変動します。
半日から1日程度を目安とし、作業時間が1〜2時間とあまりにも早い場合は、雑な作業を疑いましょう。
知っておきたい高圧洗浄の注意点
外壁塗装の高圧洗浄を行う際、以下3点に注意が必要です。
- 高圧洗浄の無料サービスに注意
- 劣化したコーキングは高圧洗浄前に補修する
- 高圧洗浄に使用する水は自費
これらの点に注意することで、より効果的かつトラブルの少ない高圧洗浄ができます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
高圧洗浄の無料サービスに注意
外壁塗装の見積もりで「高圧洗浄無料」というサービスを目にすることがあると思います。タダほど危険なものはないので、注意が必要です。
実際にはその費用が他の工事費用に上乗せされていることが多くあります。
高圧洗浄機は高額な機材であり、そのコストを回収するために、塗料代や足場代などで補填されていることも考えられます。
無料サービスを提供する業者に対しては、その理由を必ず確認しましょう。
短時間で洗浄を終える業者も注意が必要で、十分な洗浄を行っていない可能性があります。
適切な高圧洗浄には一定のコストがかかります。無料サービスに惑わされず、作業内容や質を重視して業者を選ぶことが大切です。
劣化したコーキングは高圧洗浄前に補修する
高圧洗浄機は非常に強い圧力で水を噴射するため、既存のコーキングが劣化していると、洗浄中に水が隙間から外壁内部へ侵入する可能性があります。
そうなると、漏水を引き起こす原因となるため、コーキングの打ち替えや補修を洗浄前に行いましょう。
一般的には、コーキング作業を行った後、数日間のコーキングの硬化を待ってから高圧洗浄を実施します。
コーキングの硬化が不十分だと、高圧洗浄の圧力でコーキングが変形する可能性もあるため、注意しましょう。
高圧洗浄に使用する水は自費
高圧洗浄に使用する水は、一般的に施主(家主)の負担となります。つまり、自宅の水道を使用する場合、その水道代は自己負担となるのです。
使用する水の量は、建物の大きさや汚れの程度によって異なりますが、一般的な戸建て住宅で2〜3トン程度です。
これは、水道代にして1,000〜2,000円ほどの負担となります。
ただし、業者によっては、自前のタンク車で水を持ち込む場合もあります。この場合、水道代の負担は不要ですが、その分作業費用に含まれているでしょう。
見積もりの際に、水の使用方法と費用負担について確認しておくことをおすすめします。
高圧洗浄時によくあるトラブルと回避術
外壁塗装の高圧洗浄は、適切に行えば効果的な前処理となりますが、いくつかのトラブルが発生する可能性もあります。ここからは以下のような、よくあるトラブルとその回避術について解説します。
苦情内容 | 回避術 |
騒音や水しぶきによる苦情 | ・事前に近隣へ作業を通知してもらう ・作業時間を配慮してもらう ・飛散防止シートの設置 |
洗浄後も汚れが残存する | ・必要に応じて洗剤を使用してもらう ・複数回洗浄してもらう |
高圧による外壁の損傷 | ・熟練した業者にお願いする |
近隣住民からの苦情
高圧洗浄は、騒音や水しぶきを伴う作業のため、近隣住民からの苦情が発生することもあります。とくに集合住宅や住宅密集地では注意が必要です。
苦情を避けるためには、まず作業前に近隣住民へ丁寧に通知することが大切です。
作業日時や予想される騒音レベル、対策など明記した案内を業者に配布してもらいましょう。余裕があれば同行すると近隣住民からの信頼度も増します。
作業時間は午前9時から午後5時までなど、生活に支障が出にくい時間帯に設定することも効果的です。
水しぶきによる迷惑を防ぐために、飛散防止シートを使用することも重要です。近隣への配慮を忘れずに作業を進めることで、トラブルを未然に防げるでしょう。
汚れが取りきれていない
高圧洗浄をしても期待通りに落ちない汚れもあります。これは、水圧や洗浄方法が適切でない場合に起こりやすいトラブルです。
汚れを効果的に落とすためには、外壁材に適した水圧と距離を保つことが重要です。たとえば、サイディング外壁の場合は、約20〜30センチの距離から50〜80気圧程度の圧力で洗浄します。
頑固な汚れには洗剤の使用も検討しましょう。
部分的にバイオ洗浄を行うと、より効果的に汚れを落とせます。汚れが落ちない場合は、乾燥を挟んで複数回洗浄することも有効です。
外壁材の破損
高圧洗浄は強力な水流を使用するため、不適切な方法で行うと外壁材を破損させてしまう可能性があります。
とくに経年劣化した外壁や、もろい素材の外壁では注意が必要です。
破損を防ぐためには、まず外壁材に適した圧力で作業をしてもらうことが重要です。
木材やモルタルなどのやわらかい素材には低めの圧力を使用します。
また、ノズルと外壁の距離にも注意が必要です。近すぎると局所的に強い圧力がかかり、破損の原因になります。
高圧洗浄は経験と技術を要する作業です。素人が行うと破損のリスクが高くなるため、熟練した専門業者に依頼することをおすすめします。
適切な知識と経験を持つ作業者が行うことで、効果的かつ安全な高圧洗浄が可能になります。
高圧洗浄のQ&A
- 高圧洗浄中は窓を開けられない?
-
開けられません。
高圧洗浄中は、強力な水流によって水が室内に入り込む可能性があります。そのため、窓やドアはしっかりと閉め切る必要があります。
- 高圧洗浄の音は大きい?
-
かなり大きい。
高圧洗浄機の音は、一般的に80〜90デシベル程度と言われています。
これは、電車が通過する際の音や大きな工事現場の音に近い騒音レベルです。
- 高圧洗浄は自分でできる?
-
おすすめしません。
高圧洗浄は一見簡単そうに見えますが、実際には専門的な知識と経験が必要な作業です。
適切な水圧の調整や、外壁材に応じた洗浄方法の選択など、多くの判断が求められます。
また、高所作業を伴うため、安全面でのリスクも高くなります。
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