2024年04月23日更新

監修記事

キッチンの通路幅は平均何cm?使いやすい幅の目安は?

キッチン通路幅の失敗例と改善策を紹介します。
通路の幅別におすすめの利用シーンを解説。
一人での利用や複数人での料理シーンなど、あなたに合った通路幅を提案します。
キッチンのレイアウトや家事スペースに関心がある方は最後までご覧ください。

平均的なキッチン通路幅は?幅ごとの使い勝手とは?

前提として、人の肩幅は45cmが基準とされており、通路幅の目安として、人1人が歩くためには60cm、物を持って歩くためには75cmが必要とされています。

その上で、一般的には「80〜90cm」が平均的なキッチンの通路幅とされています。

とはいえ、キッチンを利用する人数などによって最適な通路幅は異なります。

「70~80㎝」・「90~100㎝」・「110~120㎝」3つのパターン(幅)別で、おすすめの利用シーンについて詳しく解説します。

1人で利用する分には使いやすい70~80㎝

70~80cmの通路幅は、狭いと感じる方が多いです。物を持って歩くために必要な目安寸法が75㎝なので、少し狭いと感じるのは分かると思います。

70㎝は人がすれ違うギリギリの寸法になるため、2人以上で調理するキッチンには向きませんが、メインで料理するのが一人であれば問題ないでしょう。特に小柄な女性であれば、背面収納に手が届きやすいなど、効率よく作業できます。

2人で料理するなら90~100㎝

2人で調理する場合は、通路幅を90~100cm確保することをおすすめします。すれ違う際も、ある程度ゆとりのある寸法で、2人同時の作業がスムーズに行えるでしょう。

ただし、背面に大型のカップボード(食器棚)や冷蔵庫を置く場合は、引き出しの収納やドアの開け閉めをする際に、調理動線の邪魔をしてしまう可能性がありますので、その点は注意が必要です。

3人以上でキッチンを使うなら110~120㎝

3人以上でキッチンを利用するのであれば、110~120㎝の通路幅が必要となるでしょう。そのため、ファミリー世帯で多く採用されているのが、こちらの幅になります。

背面に大型のカップボードや冷蔵庫などを置いても、ある程度余裕があるので、家族で利用するだけでなく、料理教室を行う場として使えるなど、様々なシーンに活用できます。

ゆとりがあって開放的な分、リビングダイニングを圧迫してしまう可能性があるので、全体の間取りから逆算して通路幅を設計することをおすすめします。

最低何cmの幅が必要?50~60cmは狭い?

50~60cmの通路幅が狭いキッチンは使いにくため、最低でも70cm以上確保することが望ましいす。

戸建て住宅にはほとんどみられませんが、賃貸住宅のなかには、キッチンの通路幅が50〜60cmという狭い物件も存在します。間取り(スペース)の制約から、このように狭い通路になるケースがあります。

ほとんど料理をしない方にとってはスペースの節約になったり、掃除が容易になるなど、狭いからこそのメリットもありますが、人がすれ違うどころか、一人であっても、小柄な方や痩せている方でないと料理することが難しいなどデメリットの方が大きそうです。また、一般的な冷蔵庫は奥行きが70cm前後のため、通路をかなり圧迫してしまうか、そもそも設置できない可能性があります。

特に、賃貸住宅を契約する際は、キッチンの通路幅が70㎝以上確保されているか事前に確認しておくことをおすすめします。

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キッチンの通路幅における失敗例や体験談を紹介

まずは、キッチンの通路幅でよくある失敗と体験談をご紹介します。

冷蔵庫を置いた部分の幅が狭い

キッチンの通路幅の失敗でよくあるのが、冷蔵庫を置いた部分が狭く感じられるというもの。

これは、食器棚の奥行きが約45cm、背面カウンターの奥行きが約60cmであるのに対し、冷蔵庫の奥行きが約70cmあるために起こる失敗です。

また、冷蔵庫を設置するときは、背面に熱がこもらないように約3cmのスペースを確保しなくてはいけません。

そのため、食器棚や背面カウンターをベースにキッチンの通路幅を決めると、冷蔵庫が思いのほか通路を圧迫し、狭いと感じることが多いのです。

しゃがみづらい・低い位置の収納が使いにくい

キッチンの通路幅が狭いとしゃがみづらく、低い位置の収納が使いにくくなることがあります。というのも、しゃがむときは、立っているときより広いスペースが必要になるからです。

狭い場所で無理矢理しゃがむと、腰を痛めることもあるので注意が必要です。

低い位置の収納はもともと使いにくいので、しゃがむたびに無理な姿勢をとらなくてはいけないとなると、より不便に感じるでしょう。

通路幅が狭く背面収納が使いにくい

キッチンの通路幅が狭いと、背面収納が使いにくくなることがあります。

特に、引出式や開き戸式の収納棚を開閉するときは、ある程度のスペースが必要です。

また、引出式の収納棚は、奥行きが長くなるほど必要なキッチンの通路幅も広くなります。

わざわざ設けた収納棚も、キッチンの通路幅によって使い勝手が悪くなってしまったという方もいるようです。

キッチンの通路ですれ違いにくい・すれ違えない

キッチンの通路幅が狭いと、すれ違いにくかったりすれ違えなかったりするので不便との声も聞かれます。

特に、すれ違うときに体勢を変えなくてはいけないほど通路が狭い場合は、作業効率の低下だけでなく、安全面も心配です。

例えば、通路が狭いキッチンで包丁を使ったり、コンロで調理をしたりしているときに人が通ると、ケガをするかもしれません。

キッチンに出入りする人が多い場合は、特に注意が必要でしょう。

キッチンスペースが広すぎてリビングダイニングを圧迫

キッチンスペースは広ければ広いほど良いのかというと、そうとも限りません。

特に、キッチンとダイニングやリビングがつながっている間取りだと、キッチンを広くすることで他のスペースが圧迫されることがあります。

リビングが狭くなることでテレビとの距離が近くなったり、ダイニングではテーブルの大きさが制限されたりと、窮屈に感じられるかもしれません。

キッチンスペースが広すぎて使いにくい

キッチンスペースが広すぎると、動線が長くなり使いにくいと感じる場合があります。

特に、背面カウンターが遠くなると、振り向いただけでは手が届かず何かと不便です。

ちょっとしたことですが、キッチンをよく使う方にとっては、ストレスを感じやすい部分でしょう。

キッチンをおすすめしていたプランナーが家事に詳しくない人だった

中には、キッチンをおすすめしていたプランナーが家事に詳しくなかったという失敗談もあります。

家事に詳しくなくても、製品の特徴や一般論なら説明できますが、使い心地や使う人目線でのアドバイスは難しい場合もあるでしょう。

そのため、プランナーにおすすめされるがままキッチンの通路幅を決めた方の中には、実際に使ってみると使いづらかったと感じている方もいるようです。

キッチンの通路幅を決める時のポイント7つ

適切なキッチンの通路幅は人によって異なるので決めるのが難しいですが、ポイントさえ押さえておけば、快適に過ごせるキッチンの通路幅が見つけやすくなります。

キッチンの通路幅を決める際のポイント7つを解説します。

ポイント1. キッチンを利用する人数・体型
ポイント2. 作業スペース
ポイント3. 冷蔵庫前の空間
ポイント4. カップボード(食器棚)や食洗器の出幅
ポイント5. ワークトライアングル
ポイント6. キッチンや家事に詳しいプランナー(スタッフ)と相談する
ポイント7. ショールームでレイアウトを見に行く

ポイント1. キッチンを利用する人数・体型

キッチンの通路幅を決める際に重要なのは、キッチンを利用する人数と体型です。

人数については、前述した通りですが、体型を考慮すると少し変わってきます。例えば、一人で利用する場合も、小柄な方であれば70㎝で十分なところ、大柄な方であれば100㎝必要なケースがあります。

通路幅の目安寸法を参考にしつつ、実際にキッチンを利用する方がどういった体型をしているのかも考慮して検討する必要があります。

ポイント2. 作業スペース

作業台のスペース(奥行き)も考慮する必要があります。

最も主流のI型キッチンの標準的な奥行寸法は「60~65cm」ですが、通路幅が狭いようであれば、奥行きが短い(55cm)タイプを選択するなど、作業スペースの寸法も検討する必要があるでしょう。

ポイント3. 冷蔵庫前の空間

失敗例にあったように、冷蔵庫を置いた部分の通路が狭くなってしまうケースが多いため、冷蔵庫の前の空間は余裕を持たせておく必要があります。

冷蔵庫のメーカーによって変わりますが、扉を開けた時、前に出てくる寸法を考慮して「70~75㎝」確保しておくことをおすすめします。

冷蔵庫自体の奥行と扉を開けた時に出てくる寸法を、あらかじめ図面などで確認しておくと安心でしょう。

ポイント4. カップボード(食器棚)や食洗器の出幅

冷蔵庫と同じように、カップボードや食洗器を設置する場合の出幅も考慮する必要があります。

カップボードの奥行は一般的に45㎝ですが、引き出しがどれくらい飛び出すか確認が必要です。

また食洗器は、扉の開け閉めの仕方が、メーカーによってスライドオープンタイプとフロントオープンタイプに分かれており、スライドオープンは出幅を調節できますが、フロントオープンの場合、扉を手前に倒さないと開かないので、通路への出幅が大きくなりがちです。

どちらについても、事前に出幅を確認しておくことをおすすめします。

ポイント5. ワークトライアングル

ワークトライアングルも考慮する必要があります。ワークトライアングルとは、調理を円滑に行うための重要な要素で、調理台、シンク、冷蔵庫の3つの位置関係を指しており、これらが直線距離で合計3〜7mにおさまっていることが理想とされています。

通路幅があまりに広いと、ワークトライアングルにおさまらなくなってしまい、作業効率が落ちてしまうことに繋がりますので、通路幅を見直す、または各設備の設置位置を見直す必要があるでしょう。

ポイント6. キッチンや家事に詳しいプランナー(スタッフ)と相談する

こちらも失敗例にありましたが、家事に詳しくないプランナーに相談してしまうと、最適な通路幅を設定できない可能性がありますので、キッチンや家事に詳しいプランナー(スタッフ)に相談することが重要です。

特に、普段からキッチンをよく使っているプランナーであれば、要望を理解してもらいやすく、使う人目線のさまざまなアドバイスがもらえるでしょう。

適切なキッチンの通路幅の答えが1つではない以上、キッチンや家事に詳しいプランナーの体験談やアドバイスが参考になるはずです。

ポイント7. ショールームでレイアウトを見に行く

キッチンの通路幅を決める際には、実際にショールームを訪れてレイアウトを確認することが大切です。

「キッチンの通路幅は〇cmがいいですよ」と言われたとしても、結局のところ人によって感じ方は異なるので、実物を体験したほうが失敗を避けやすいです。

ショールームでは、実物のキッチンの配置やサイズを目にすることができますし、専門のスタッフがいるため、通路幅の適切な決定やレイアウトに関するアドバイスを受けることができます。実際にすれ違ったりしゃがんだりしてみると、快適なキッチンの通路幅の感覚が掴めるので、理想的なキッチンが具体的にイメージしやすくなるでしょう。

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カウンター(笠木延長)を考慮すると通路幅を抑えられる

キッチンの通路幅を抑える方法の一つとして、カウンターの笠木をリビングダイニング側に延長することも考えられます。

笠木とは、カウンターの最上部に被せる仕上げ材を指します。これをリビングダイニング側に延長することで(=作業スペースが延長されるため)、キッチン通路を広くすることができます。

笠木延長 通路幅の変化 キッチン通路幅がおさられる要因
0㎝通常の通路幅笠木を延長しない場合は通常のキッチン通路幅を確保する必要がある
10㎝-10㎝笠木延長により、通路側のスペースを節約できる
20㎝-20㎝より広い作業スペースを確保するために通路幅を抑えられる
30㎝-30㎝カウンターの利用可能なスペースを最大限に活用することができる
40㎝-40㎝カウンターの機能性を高め、通路幅を最小限に抑えることが可能
50㎝-50㎝カウンターを拡張して多様な用途に活用することができる

上記表のとおり、キッチン通路幅が70cmであれば、笠木をリビングダイニング側に10〜20cm程度延長することで、単純に通路を80〜90㎝に広げることが可能です。

ただし、笠木の延長でリビングダイニング側を圧迫することも考えられるので、通路とリビングダイニングの空間のバランスを考慮する必要があります。

キッチンの通路幅に気遣った施工事例5選

キッチンの通路幅に気遣った施工事例5選を紹介します。

事例1. オープン収納によって通路を圧迫しない

リフォーム費用約300万円(キッチン以外のリフォーム含む)
工期3週間
建物戸建て

こちらは、キッチン背面に扉のないオープン収納を設置したことで、通路側に引き出しが出ないよう工夫されているキッチンです。

事例2. カウンター設置と設備の奥行をそろえて通路にゆとりを

リフォーム費用約298万円
工期10日間
建物戸建て

こちらは、カウンターの設置と、冷蔵庫や収納など設備の奥行きを合わせることで、通路を圧迫しない空間になっているキッチンです。

事例3. L型キッチンで料理がしやすくなる

リフォーム費用約123万円(キッチン以外のリフォーム含む)
工期2.5ヶ月
建物マンション

こちらは、L型キッチンを採用したことで、通路幅をそこまで大きくとらずとも、人がすれ違ったり、収納を引き出す余裕を生み出している事例です。

事例4. 圧迫感ゼロのゆとりある空間を

リフォーム費用約300万円(キッチン以外のリフォーム含む)
工期7日間
建物戸建て

こちらは、アイランドキッチン採用により、大人数がキッチンで料理をしても全く問題ない、圧迫感ゼロのゆとりある空間を実現している事例です。

事例5. 吊戸棚撤去と開口部拡大で解放感のあるキッチンに

リフォーム費用約300万円(キッチン以外のリフォーム含む)
工期5日間
建物マンション

こちらは、もともとシンク上にあった吊戸棚を撤去(背面にカップボードを設置)し、開口部を拡大したことで、リビングダイニング側が見渡せるようになり、通路幅を大きくとらずとも、圧迫感の無い広い空間が生まれたようにみえる事例です。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】久田麻里子

2級建築士、インテリアコーディネーター、住環境福祉コーディネーター。ハウスメーカー、リフォーム会社での建築業を幅広く経験。主婦・母親目線で様々なリフォームアドバイスを行う。主な担当は水回り設備リフォーム、内装コーディネート、戸建てリフォームなど。

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