目次
ガルバリウム鋼板とは?
ガルバリウム鋼板とは、ガルバリウムという合金で覆われた金属鋼板のことで、屋根材や水栓に使われているトタンやクロムと同じ分類になります。
以前は、住宅の屋根材としてトタン屋根が代表的でしたが、サビやすさなどの劣化症状が多く発生することから、昨今ではガルバリウム鋼板の方が高い人気を誇っています。
ガルバリウム鋼板のシェア率
住宅金融支援機構が2017年(平成29年)に行った屋根材のシェア率の調査によると、全国で使用されている屋根材の37.8%を「ガルバリウム鋼板またはジンガリウム鋼板」が占めています。
1995年(平成7年)では、スレート瓦が約50%、次いで粘土瓦が約30%の割合で採用されていましたが、徐々にガルバリウム鋼板またはジンガリウム鋼板の金属屋根が多くなってきました。
特に北海道・東北・北陸など、積雪が多い地域では、半数以上がガルバリウム鋼板またはジンガリウム鋼板を採用しており、瓦屋根を採用するケースが少ないです。
採用数が少ない理由としては、「積雪による瓦のズレや、凍結による瓦の割れ」による雨漏りの発生。
このような雨漏りを予防するために、ズレの心配がなく、吸水率が低いガルバリウム鋼板が最も多く採用されています。
ガルバリウム鋼板の耐用年数
ガルバリウム鋼板の耐用年数は25〜35年ですが、定期的な塗装などのメンテナンスが必要です。
建物の立地条件などにもよりますが、ガルバリウム鋼板の適切なメンテナンスを行い、穴あきなどが発生しなければ、40年以上の耐久性を維持できる場合もあります。
一方、ガルバリウム鋼板と同じ金属屋根のなかには、トタン屋根のように耐用年数が約10年前後の屋根材も存在します。
このような耐用年数の短い屋根材を採用している場合には、ガルバリウム鋼板に葺き替えることで、今後の屋根リフォームやメンテナンスにかかる費用を大幅に抑えらます。
葺き替えなどの屋根リフォームを検討するなら、リフォーム費用だけでなく、どれほどの耐用年数が期待できるかも合わせてチェックしましょう。
ガルバリウム鋼板を屋根材に採用するメリット・デメリット
ガルバリウム鋼板を、屋根材に採用するメリット・デメリットを紹介していきます。
ガルバリウム鋼板のメリット
- サビに強い
- 屋根の寿命を延ばせる
- 軽量で耐震性が高い
- 加工しやすい
- リフォームに適している
ガルバリウム鋼板は、一般的な金属屋根よりもサビに強く、耐用年数も25〜35年と長いので、ほかの屋根材を採用するよりも屋根の寿命を延ばせます。
さらに、軽量であるため、瓦などのガルバリウム鋼板よりも重い屋根材からの葺き替えをすれば、耐震性の向上も期待できます。
また、ガルバリウム鋼板は、加工しやすく、横葺きであれば複雑な形状でも対応できるので、屋根リフォーム全般で採用できるのも魅力の1つです。
ガルバリウム鋼板のデメリット
- 定期的なメンテナンスが必要になる
- 重厚感のある雰囲気はでない
- 断熱性や遮音性が低い
屋根材のなかには日本瓦のように塗装がいらないものもありますが、ガルバリウム鋼板は8~10年を目安に定期的なメンテナンスが必要です。
ガルバリウム鋼板に発生した「サビやひび割れ」を補修をせずに放置すると、劣化が広がり、屋根の寿命を縮めてしまう恐れがあります。
また、ガルバリウム鋼板には断熱性や遮音性が低いという特徴があります。そのため夏場に部屋が暑かったり、梅雨時の雨音などが響くおそれがあります。これらのデメリットが気になる場合は、断熱性・遮音性の優れた屋根材を選びましょう。
ガルバリウム鋼板のおすすめ屋根材|メーカーと価格を紹介!
ガルバリウム鋼板のおすすめの屋根材を、メーカーと価格も合わせて紹介していきます。
【おすすめ1】横暖ルーフα プレミアムS(ニチハ)
特徴 | ・断熱性が高い ・耐候性が高い ・保証が充実(穴あき25年保証など) |
価格目安 | 9,430円 / ㎡〜 |
ニチハの「横暖ルーフα プレミアムS」は、最大18mmの厚い断熱材を使用しているため、断熱性が高く、暑さや寒さの影響を受けづらいのが特徴です。
また、耐候性が高い「フッ素樹脂遮熱鋼板」を採用しているため、太陽光や雨などの影響を受けづらいのも魅力のひとつです。
さらに、横暖ルーフα プレミアムSは、穴あき25年・変色20年・塗膜20年・赤サビ20年とさまざまな項目で長期保証が用意されており、保証対象となれば、葺き替え後のメンテナンス面でもサポートしてもらえます。
ガルバリウム鋼板の商品選びをするなら、性能だけでなく、保証が充実しているかも確認しておきましょう。
【おすすめ2】スマートメタル(ケイミュー)
特徴 | ・防水性の高い独自形状 ・耐風性が高く飛散しづらい ・遮熱効果で暑さを抑える |
価格目安 | 8,455円 / ㎡〜 |
ケイミューの金属屋根の主力商品である「スマートメタル」は、リフォームだけでなく新築にも多く採用される屋根材のひとつです。
1枚ずつ固定する工法になっているので、台風などの強風に対しても強く、飛散しづらいのが魅力となっています。
耐風性の高さを裏付ける証拠として、ケイミューが行った台風試験では自動販売機が倒れる風速60m/sでも飛散しないことが確認されました。(参考元:ケイミュー-スマートメタルの特長)
昨今では、2019年9月に千葉県・神奈川県に大きな被害をもたらした台風15号などで、屋根材が飛散する被害が多く報告されているので、屋根リフォームの際には耐風性の高い屋根材を選びましょう。
【おすすめ3】スーパーガルテクト(アイジー工業)
特徴 | ・⽂部科学⼤⾂表彰を受賞 ・保証が充実(穴あき25年保証など) ・遮熱性と断熱性がともに高い |
価格目安 | 8,190円 / ㎡〜 |
アイジー工業のスーパーガルテクトシリーズは、文部科学大臣表彰を受賞した屋根リフォームで人気の屋根材です。
サビにくい「超高耐久ガルバリウム」を採用しており、耐用年数が長いので、将来のメンテナンスコストを抑えられます。
また、表面に遮熱性の高い塗料が採用されているので、夏の日差しの影響を受けづらく、屋根裏温度を従来の商品よりも下げられるのも魅力のひとつです。
ガルバリウム鋼板のメンテナンス方法と費用相場
ここでは、ガルバリウム鋼板を使った屋根材のメンテナンス方法や、屋根リフォームの費用相場を紹介します。
【メンテナンス方法1】変色やサビが起きたら屋根塗装
検討すべき時期 | ・変色や色あせがある ・コケやサビが発生 ・築10〜15年 |
費用相場 | 40〜100万円 ※2階建て30坪程度 ※工事費込み |
ガルバリウム鋼板は、基本的に塗装された商品を採用するため、築10〜15年で再塗装が必要です。
塗膜が劣化していくと、本体の鉄部分が水分に触れるようになり、金属製品の弱点である「サビ」が発生しやすくなります。
ガルバリウム鋼板は、耐久性が高いのが強みである一方、サビが広がっていくと、穴あきが発生し、雨漏りのリスクが高まるため注意が必要です。
屋根表面に、変色やひび割れなどの劣化症状が見られるようになったら、屋根塗装を検討しましょう。
【メンテナンス方法2】築20年以上を過ぎたら葺き替え
検討すべき時期 | ・築20年以上 ・穴あきが発生 ・雨漏りを放置している |
費用相場 | 100〜160万円 ※ガルバリウム鋼板からガルバリウム鋼板への葺き替えを想定 ※2階建て30坪程度 ※工事費込み |
葺き替えは、既存の屋根材を撤去して、新しい屋根材を施工するメンテナンス方法です。
ガルバリウム鋼板からガルバリウム鋼板へ葺き替える場合には、100〜160万円が費用相場となっています。
築20年以上、または前回の屋根リフォームから20年以上経過している場合、屋根下地にあたる野地板や防水シート(ルーフィングシート)の劣化が考えられるので、葺き替えがおすすめです。
メンテナンス方法の中で1番費用がかかってしまうのが葺き替えですが、住宅寿命を延ばせる、雨漏りを解消できるなどメリットもあるので、検討時期に差し掛かっている場合はリフォーム会社に相談してみましょう。
【メンテナンス方法3】施工方法など条件がクリアできればカバー工法
検討すべき時期 | ・築10〜15年 ・色あせなど劣化が全体的に起きている ・2000年前後のノンアスベストのスレート屋根が施工されている |
費用相場 | 100〜200万円 ※スレート屋根にガルバリウム鋼板を重ねる場合 ※2階建て30坪程度 ※工事費込み |
カバー工法(重ね葺き)は、既存屋根に新しい屋根材を重ねるメンテナンス方法です。
カバー工法(重ね葺き)を採用する条件はさまざまですが、構造計算の結果、耐震性・耐風性などに問題がないとされることが判断基準のひとつになります。
また、屋根材や野地板の劣化状況も大事な判断基準です。
劣化が著しい状態でカバー工法をすると、雨漏りや下地の腐食などを長い期間放置することになるので、屋根材や屋根裏を専門業者に点検してもらった上で採用を検討しましょう。
なお、屋根のメンテナンス方法ごとのメリット・デメリットなど、詳しい情報をチェックしたい場合は、下記記事でまとめていますので参考にしてみてください。
ガルバリウム鋼板の施工方法は3種類
ガルバリウム鋼板を使った屋根の施工方法は、以下の3種類があります。
それぞれの施工方法の特徴・メリット・デメリットを紹介していきますので、葺き替えやカバー工法など屋根リフォームをする際に、参考にしてみてください。
【施工方法1】縦葺き(立平葺き・縦ハゼ葺き)
メリット | ・工期が短い ・価格が安い ・雨水が流れやすい ・緩い勾配で施工できる |
デメリット | ・複雑な形状に対応しづらい ・デザインの種類が少ない ・断熱材一体型の商品を選べない |
ガルバリウム鋼板の縦葺きとは、屋根の棟から垂直にガルバリウム鋼板を並べていく工法のことで、立平葺きや縦ハゼ葺きとも呼ばれます。
雨水が流れやすいため、3寸未満の緩い勾配でも施工ができ、横葺きよりも工期が短いので、新築に多く採用される工法です。
しかし、複雑な形状の屋根には基本的に対応できない上、断熱性が高い「断熱材一体型」の商品は横葺きのみ施工可能となっているため、縦葺きでは採用できません。
そのため、断熱性の高さを求める場合は、屋根下地や天井裏への断熱工事が合わせて必要となります。
【施工方法2】横葺き
メリット | ・複雑な形状でも対応できる ・断熱材一体型の商品がある ・カバー工法に適している |
デメリット | ・雨水が流れにくい ・工期が長い ・リフォーム費用が高い |
ガルバリウム鋼板の横葺きは、屋根の棟と平行にガルバリウム鋼板を並べる工法で、リフォームで採用されることが多いです。
おすすめの屋根材として紹介したスーパーガルテクト(アイジー工業)など、断熱材が屋根材の内部に入っている断熱材一体型の商品は、基本的に横葺きでの対応となっています。
そのため、横葺きを選択すれば、性能が高い商品を採用できるのも魅力の1つです。
しかし、横葺きは雨水が流れにくい構造となっているため、3寸未満の緩い勾配には施工できません。
また、縦葺きよりも工期が長くかかるので、リフォーム費用が高いのがデメリットです。
なかには、緩い勾配の屋根に横葺きで施工して、雨漏りを起こし、下地などの腐食が発生した事例もあるります。大規模な修繕工事を避けるためにも、施工実績が豊富なリフォーム業者に依頼しましょう。
【施工方法3】差込葺き
メリット | ・施工しやすい |
デメリット | ・防水性は向上しない ・雨漏りのリスクが高まる |
ガルバリウム鋼板の差込葺きは、既存のスレート屋根の上に、コの字型のガルバリウム鋼板を差し込んでいく工法です。
カバー工法(重ね葺き)とは違い、新しい防水シートの施工も行わないので施工時間が短く、外観が綺麗になるのがメリットです。
しかし、スレート屋根が劣化していた場合、強風に耐えられず飛散する危険があります。
大規模な修繕工事が必要になる恐れがあるため、工事の回数を増やしたくないのであれば、葺き替えやカバー工法による縦葺き・横葺きを検討するのがおすすめです。
ガルバリウム鋼板の屋根リフォームで助成金や補助金は使える?
ガルバリウム鋼板を使った葺き替えやカバー工法などの屋根リフォームでは、助成金・補助金が使える場合があります。
耐震性や断熱性の改善を目的とした屋根リフォームで交付対象となる場合が多いですが、条件・必要書類・申請時期などは工事のタイミングによって異なるため、最新の情報をチェックすることが大切です。
また、地域によっても受け付けている助成金・補助金制度が異なるので、下記記事もチェックしながら、使える助成金・補助金制度がないか確認してみてください。
ガルバリウム鋼板の屋根リフォームの施工事例
ガルバリウム鋼板を使って屋根リフォームをした施工事例をいくつか紹介していきます。
【事例1】ガルバリウム鋼板を使ったカバー工法
リフォーム費用 | 約174万円 ※屋根工事以外も含む |
工期 | 約20日 |
建物 | 一戸建て |
築年数 | 約10〜20年 |
施工箇所 | 屋根・外壁塗装 |
メーカー名/商品名 | 屋根:稲垣商事/ヒランビー横葺き 外壁塗装:アステックペイント/リファイン1000Si-IR |
リフォーム計画のスタート当初は、外壁と同時に屋根塗装をする計画でのご相談でした。しかし、屋根の状態をチェックすると、屋根塗装よりもカバー工法が最適だったため、ガルバリウム鋼板によるカバー工法を施工しました。
今回採用した屋根材は、稲垣商事の「ヒランビー」。
既存屋根と同じ横葺きを選びました。
新品同様の見た目となり、塗装をした外壁と合わせて、新築時のような綺麗な外観に仕上がっています。
【事例2】アスファルトシングルにカバー工法
リフォーム費用 | 約118万円 |
工期 | 約10日 |
建物 | 一戸建て |
築年数 | 約10〜20年 |
施工箇所 | 屋根 |
メーカー名/商品名 | 稲垣商事 / ヒランビー |
「破損した屋根を修復したい」とご相談があり、ガルバリウム鋼板を使ったカバー工法を行った物件の施工事例です。
既存のアスファルトシングル屋根に、稲垣商事のヒランビーを使用し、カバー工法を施工しました。
気になっていた破損箇所も補修でき、綺麗な仕上がりとなっています。
【事例3】雨漏り対策でガルバリウム鋼板に葺き替え
リフォーム費用 | 約180万円 |
工期 | 約2週間 |
建物 | 一戸建て |
築年数 | 約20〜30年 |
施工箇所 | 屋根 |
メーカー名/商品名 | ケイミュー / カラーベスト |
「雨漏りが心配なので、最適なリフォーム方法を教えて欲しい」と相談があり、屋根の葺き替え工事をした物件の施工事例です。
瓦屋根からガルバリウム鋼板へと葺き替えを行い、雨漏りの不安を解消しました。
葺き替えは、屋根材の交換だけでなく下地部分をメンテナンスできるのが魅力のリフォーム方法。屋根からの雨漏り経験があるのなら、屋根下地も確認できる葺き替えがおすすめです。
なお、屋根の雨漏り修理は豊富な経験を持つ専門業者に依頼しましょう。
【Q&A】ガルバリウム鋼板の屋根リフォームでよくある質問
【Q1】ガルバリウム鋼板はDIYでリフォームできる?
ガルバリウム鋼板を使っての屋根DIYリフォームは可能です。しかし、転落の危険性があるためおすすめできません。
また、屋根工事に施工不良があると、住宅寿命を縮めるような雨漏りや木材の腐食が起きる恐れがあるため、専門業者に工事を依頼するのがおすすめです。
【Q2】ガルバリウム鋼板でおすすめの色はある?
ガルバリウム鋼板を屋根材に採用するなら、ブラウンやグレーなどの中間色がおすすめです。しかし、以下のようにお住まいの地域によっておすすめする色が異なります。
- 寒さが厳しい地域:熱吸収率が高い黒に近い色
- 暑さが厳しい地域:反射率が高い明るめのシルバーやグレー
地域によっては選べる屋根材の色が限定されている場合や、反射によってご近所トラブルになるおそれがあるため、お住まいの地域や環境も考慮して選びましょう。
【Q3】屋根が急勾配でもガルバリウム鋼板を使える?
ガルバリウム鋼板は、屋根が急勾配であっても対応できます。
ただし、緩やかな屋根に比べると施工面積が増えるので、費用相場が割高になりがちです。
また、メンテナンスの際に屋根足場を設置する必要があるなど、緩い勾配よりもメンテナンスにも費用がかかってしまうので、専門業者と相談しながら勾配や屋根材を決めましょう。
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