目次
屋上防水工事の種類
マンションなどの屋上は、定期的に防水工事を行う必要があります。
防水工事にはシート防水、ウレタン防水、FRP防水、アスファルト防水の4つの種類の工法が用いられますが、これらの工法には一体どのような違いがあるのでしょうか?
各工法の特徴と、施工の流れについて見てみましょう。
ウレタン防水の特徴とは
ウレタン防水とは、液状のウレタン樹脂を塗装する工法です。
塗装のように塗り重ねて施工するため、シート類を用いた防水方法と違い、継ぎ目のない仕上がりとなります。
また、施工箇所が複雑な場合でも施工が行いやすく、化学反応で硬化すれば防水膜として機能するため、比較的施工に手間も時間もかかりません。
耐用年数は約12年、施工が容易なため、マンションやアパートの屋上、ベランダなどに多く用いられています。
シート防水の特徴とは
シート防水は、塩ビなどの防水シートを接着材で貼り付けて行う工法です。
施工期間の短さが特徴で、貼り付けてしまえばすぐに防水性が得られるため、施工に時間の取れない場合などに良く用いられています。
ただ、施工の際に隙間ができてしまうと防水性が低下してしまいますので、施工を依頼する際にはシート防水に慣れた施工会社に依頼した方が良いでしょう。
耐久性については、約13年と言われており、施工の手軽さと耐久性の高さからこちらも人気です。
FRP防水の特徴とは
FRP防水は、ガラス繊維製のシートと、樹脂を使った防水工事です。
樹脂とガラス繊維を重ねるように施工を行い、施工後は強化プラスチックのような仕上がりとなります。
軽量で強度が高く、耐候性、耐食性、耐水性に優れていますが、ややメンテンナンスに手間がかかることが難点です。
FRP防水は紫外線に弱いという特徴があり、表面には紫外線から防水層を守るトップコートを塗布するのですが、この部分は使用にともなって劣化するため、定期的に塗り替えなければいけません。
そのため、屋上にはあまり使われることがなく、車両などの重量物が頻繁に通行する箇所などに使われることが多い防水方法です。
アスファルト防水の特徴とは
こちらは、アスファルトを染みこませた合成繊維の布を張り重ねる工法です。
アスファルトそのものが水を良く弾くため、耐水性が高く、屋上庭園などの水にさらされやすい箇所に向いています。
施工の際にはアスファルトを溶かす必要があるため、石油バーナーなどで加熱しなければならず、手間がかかるのが難点です。
また、加熱の際には煙と臭いが出るため、周辺への環境問題にも配慮しなければいけません。
アスファルトを染みこませたシートに接着剤を塗布することで加熱の必要の無い製品もありますので、臭いなどの発生を抑えたい場合はこちらを選ぶと良いでしょう。
各工法の施工費用の相場
防水工事にはさまざまな工法がありますが、それぞれの工法の施工価格の相場はどれぐらいなのでしょうか?
ウレタン防水の場合、平米あたりの単価は約7,500円、シート防水の平米単価は約8,000円が相場のようです。
FRPの場合は平米単価約9,000円、アスファルト防水は平米あたり約8,000円と、どの工法もそれほど単価に違いはありません。
工法ごとに施工期間や耐水性、耐用年数に違いがありますので、価格や目的、スケジュールなどに合わせて最適な工法を選ぶと良いでしょう。
マンションなどのように屋上に階段への出入り口がある場合は問題無いのですが、出入りを想定していない屋上の場合は、足場の設置などが必要となる場合があります。
この場合、足場の設置費用が追加で平米あたり約800円ほど必要になりますので、施工を依頼する際には注意しましょう。
マンションの屋上にはどの工法が向いている?
マンションの屋上に防水工事を施す場合、屋上部分をどう活用しているかによって向いている工法は変わってきます。
ほとんど出入りすることが無く、エアコン用室外機などを設置しているだけなら、安価で施工しやすいウレタン防水がおすすめです。
ウレタン防素は塗料を塗るのと同じように施工できるため、外壁塗装を行っているリフォーム会社でも取り扱っていることが多く、同時に施工を依頼できるため、価格や工期を短縮することができるでしょう。
屋上緑化など、マンションの屋上で水をよく利用するという場合はアスファルト防水がおすすめです。
重量物や水の問題が無く、人が多少出入りする程度ならシート防水が向いています。
ただ、屋上の形状が複雑な場合には施工が難しいため、ウレタン防水などを選んだ方が良いでしょう。
FRP防水については、紫外線に弱いという特徴があるため、屋上にはあまり向いていないとされています。
しかし、トップコートで十分に紫外線を予防すれば問題無く使用できるため、軽量で強度の高い防水層が必要な場合は選択肢として選ぶことができます。
断熱塗料を使用したい場合に向いている防水方法
屋上に防水工事と同時に断熱塗料を塗布したい場合には、どの工法を選べば良いのでしょうか?
基本的にどの防水工法でも専用の断熱塗料が各社から販売されていますので、対応したものを選べば施工することができます。
防水工法によって断熱塗料が使えないということは基本的にありませんので、防水工事を行う際には、性能面を重視して選ぶと良いでしょう。
事前調査の段階で見落とせないのは既に雨漏りがしている場合です。
水の進入場所を特定し修理をしておく必要があります。原因は屋根ばかりとは限らず壁からの漏水もよくあることですので気をつけましょう。
ウレタン防水の施工方法の種類
ウレタン防水には下地の状態によって2種類の施工方法があります。順に解説していきます。
密着工法
密着工法とは、下地に直接ウレタン樹脂を塗布する工法です。ウレタン樹脂を重ね塗りしていくなかに、補強のためにメッシュの補強布を併用することもあります。
密着工法は短い工期で費用も安価で施工ができることが魅力です。
一方、下地に直接塗布する工法なので、下地の影響を大きく受けます。そのため、密着工法は下地に問題がない新築や、劣化していない場所に使用することが多いです。中でも塗装面積の狭いベランダなどに多く施工されています。
通気緩衡工法
通気緩衝工法とは、下地に通気緩衝シートという通気性能があるシートを敷くことで、ウレタン樹脂を下地に密着させない工法です。
下地に水分が多く含まれている場合や、蒸気を発するコンクリートが下地となる場合には、通気緩衝工法が使われます。
そのため、築年数が古い建物や、マンションの屋上などの塗装面積が広い場合におすすめです。
通気緩衝工法は手間がかかるため、密着工法よりも費用と工期が必要となります。
ウレタン防水のメリット
次にウレタン防水のメリットについて解説していきます。
塗装の仕上がりにつなぎ目がない
ウレタン防水は塗料を塗っていく工法のため、塗装の仕上がり面につなぎ目などが一切ありません。
つなぎ目があるとそこから防水層が剥がれたり、雨水が浸入する原因になるおそれがありますが、ウレタン防水ではそのような心配はありません。
塗装面に複雑な形状の箇所があってもまるごと施工できる
ウレタン防水は、塗装場所を選びません。
凹凸部分や複雑な形状の箇所でも、液状のウレタン樹脂がスムーズに馴染み、しっかり入り込みます。
この施工性の良さが、豊富な施工事例の理由の一つともいえます。
アスファルト防水と比較して塗料の重量が軽い
アスファルト防水は厚さが約5mm以上になるのに対し、ウレタン防水の厚みは約3mm以上でその性能を十分に発揮します。
そのため、ウレタン防水は重量が軽く、建物への負担を軽減することが可能です。
ほかの防水塗装より施工費用・メンテナンス費用が安く抑えられる
ウレタン防水は材料費が安く、FRPや塩ビシートなどのほかの防水塗装よりも安価で施工が可能です。
リフォームの場合でも、既存の防水膜の表面を高圧洗浄などで綺麗にすれば、防水膜を剥がさずに重ね塗りができます。
その結果、ほかの防水塗装よりも施工の手間や工期、メンテナンス費用を抑えることができます。
ウレタン防水のデメリット
ウレタン防水のメリットを紹介しましたが、ここではデメリットについて解説していきます。
施工の難易度が高い
ウレタン防水では、職人が手作業で防水面を平らでなめらかになるように仕上げていきます。その施工難易度は非常に高く、職人の技術力が要求されます。
技術力が乏しく厚みにばらつきが出てしまった場合は、水が溜まってしまうなどの問題が生じたり、防水性が低くなるなどの不具合が発生したりするかもしれません。
職人の技術力が仕上がりに大きく影響しますので、実績やノウハウが豊富な塗装業者へ依頼するようにしましょう。
乾燥するまでに時間がかかる
ウレタン防水では最低でも2回重ね塗りを行います。その工程数の分乾燥にも時間がかかります。
また、天候不順の場合は工事ができずに、工期が延びてしまう可能性もありますので、工期には余裕を持っておきましょう。
ウレタン防水の劣化症状の見分け方
ウレタン防水は太陽の紫外線や風雨によって日々劣化していきます。ここでは、ウレタン防水の劣化症状の見分け方について解説していきます。
緊急性は低いが注意が必要なウレタン防水の劣化サイン
ウレタン防水の表面が色あせてきている
ウレタン防水の表面が色あせてきているのは、ウレタン防水を紫外線などから保護する役割があるトップコートが劣化しているサインです。
トップコートの劣化は、ウレタン防水層の劣化を早める原因となりますので、早めにトップコートの塗り替えを検討するようにしましょう。
ウレタン防水の塗膜にひび割れが現れている
ウレタン防水の塗膜の表面にひび割れがある場合は、トップコートが劣化している可能性が高いです。
ひびの深さが浅いようであれば、トップコートの塗り替えのみで対応が可能ですが、そのまま放置してしまうとひびが深くなり、雨漏りなどの実害が発生する危険性もあります。
そうならないためにも、トップコートの塗り替えはなるべく早期に行うようにしましょう。
排水溝(ルーフドレイン)にごみが溜まっている
排水溝には雨水が流れ込むのでごみが溜まりやすくなります。
ごみが溜まると排水溝が詰まり、雨水が流れにくくなることから漏水などにつながりますので、定期的に清掃するように心がけましょう。
雨が降った後などに雨水が一部分に溜まっている
雨水が一部分に溜まってしまう場合、防水層が浮いてしまっていたり、排水ルートにごみが付着していたりする可能性があります。
雨水が長期的に溜まると防水面の劣化を早めてしまうおそれがあります。
原因が特定できない場合は、業者に点検をお願いしてみましょう。
ウレタン防水の塗装面にコケ・藻・雑草が生えている
ウレタン防水の塗装面にコケ・藻・雑草が生えている場合、植物の根が防水層内に侵入している可能性があります。
防水層まで根が到達していない場合は抜くことで対応できますが、到達している場合にむやみに根まで抜いてしまうと、防水層に穴を開けてしまい、雨漏りの原因になりかねません。
コケ・藻・雑草は小さいうちであれば取り除くことで解決することが多いので、定期的に点検、清掃をするようにしましょう。
緊急性が高いウレタン防水の劣化サイン
雨漏りが発生している
雨漏りが発生している場合は、防水層が劣化して建物内部にまで雨水が浸食しているので、早急に補修する必要があります。
雨漏りの原因を特定するのは難しいので、業者に点検、全面改修などの対応をお願いするようにしましょう。
ウレタン防水の塗膜に浮きや剥がれがみられる
ウレタン防水の塗膜に浮きや剥がれがみられる場合は、下地が水分を含んでおり、雨漏りなどが発生しているおそれがあります。
浮いた部分を剥がしての補修や、全面改修を行う必要がありますので、業者に調査と工事を依頼しましょう。
深いひび割れがある
ウレタン防水面に深いひび割れがある場合には、雨水が浸食している可能性があります。
早急に対処しなければ、建物の内部が腐食し、雨漏りなどの被害につながりかねません。大規模な修繕工事が必要となる前に、早めに修繕するようにしましょう。
ウレタン防水の施工の流れ
ここではウレタン防水の施工の流れについて、順番に解説していきます。
塗装面の高圧洗浄・補修
まずは塗装面を塗装できる状態まで整えるために、高圧洗浄を行います。
塗装面に汚れが残っていると、仕上がりに大きな悪影響を及ぼすので、念入りな洗浄が必要です。
そして、ひび割れや不陸など塗装面の劣化があれば、補修も行います。
下塗り材の塗布(プライマーの塗布)
塗装面の準備が終わったら、プライマーと呼ばれる下塗り材を塗布していきます。
下塗り材が接着剤の役割を果たし、ウレタン防水と下地との密着性を高める効果があります。
通気緩衝工法の場合は、通気緩衝シートの貼り付け
通気緩衝工法の場合は、下地の上に通気緩衝シートを貼り付けます。
この通気性が優れたシートをウレタン防水が塗装される前に敷くことで、下地に含まれる水分や湿気を逃がすことが可能になります。
ウレタン防水中塗りと上塗り
下塗り材が完全に乾いてから、ウレタン防水塗料をローラーやコテなどを使って、2回から3回繰り返して塗布します。
そして約3mm程度の厚みをつくりますが、この厚みを均等に仕上げることが重要となります。
塗布するごとに十分に乾燥させて、繰り返し重ね塗りを行っていきます。
トップコートを塗って仕上げる
最後に、防水面を保護するためにトップコートを塗布します。トップコートを塗布することで、防水層を紫外線などから守ります。
トップコートが乾いたら工事完了です。
なお、塗装工事の場所によって施工方法が異なる場合がありますので注意しましょう。
ウレタン防水を施工した事例
ウレタン防水の施工事例を二つ紹介します。
雨漏り対策として屋根にウレタン防水を施工した事例
汎用性が高いウレタン防水の特徴を活かして、屋根にウレタン防水を施工しました。
ウレタン防水は既存の防水層に重ね塗りが可能なため、工期も約1日と短期間で施工ができました。
リフォーム費用 | 50万円未満 |
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工期 | 約1日 |
建物 | マンション |
バルコニーのウレタン防水を施工し直した事例
バルコニーのウレタン防水が劣化していたので、全面的に防水工事を行いました。
継ぎ目や凹凸もなく綺麗な仕上がりで、見栄えや使い勝手がリフォーム前よりも格段に向上しました。
リフォーム費用 | 50万円未満 |
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ウレタン防水を長持ちさせるポイント
ウレタン防水をなるべく長持ちさせるためにはどうすればいいのか、ここではそのポイントを紹介していきます。
排水溝(ルーフドレイン)の清掃を定期的に行う
排水溝は落ち葉や土など汚れが溜まりやすいので、定期的に清掃を行うようにしましょう。
排水溝に汚れが付着し続けると、ゴミが詰まり漏水の原因になります。
また、雑草や木が生い茂るような周辺環境では、コケなどが発生する原因にもなりますので、定期的に清掃するようにしましょう。
ウレタン防水のトップコートが傷んできたら塗り直す
トップコートにはウレタン防水を保護する役割があります。
ウレタン防水のトップコートの耐用年数は一般的に約5年程度です。5年を一つの目安にして、塗り直すようにしましょう。そうすることで、ウレタン防水層を保護することができ、ウレタン防水を長持ちさせることができます。
ウレタン防水とFRP防水の見分け方
ここでは、既存の防水面がウレタン防水なのか、それともFRP防水なのかを見分ける方法について解説します。
簡単に見分ける方法は、実際に防水面を触ってみることです。
ウレタン防水の場合は、ゴム状なので防水面を押しても柔らかく弾力が感じられます。
一方でFRP防水の場合は、素材が繊維強化プラスチックなので防水面を押しても固く、弾力は感じられません。また、FRP防水の場合は、表面が経年劣化で摩耗してくると、素材の性質上細かな繊維が見えてきます。
既存の防水工法とは違う工法で補修をしてしまうと、材料の違いにより塗膜が膨れる可能性があります。
そうならないためにも実際に触ってみて、ウレタン防水とFRP防水を見分けるようにしましょう。
それでも見分けがつかない場合は、業者に点検をお願いして確認してもらうようにしましょう。
ウレタン防水のリフォームの依頼で失敗しない方法
最後に、ウレタン防水のリフォームの依頼で失敗しない方法を紹介します。
ウレタン防水の施工実績のある業者に依頼する
ウレタン防水は塗装するのが難しく、職人の技術力が仕上がりに大きく影響しますので、ウレタン防水の施工実績が豊富な業者に依頼するようにしましょう。
例えば、塗装業者のホームページやSNSなどで、ウレタン防水の情報や施工事例を発信している業者だと安心感がありますね。
また、ご近所や知り合いの方でウレタン防水の工事を施工したことがある方がいれば、施工業者を紹介してもらうと良いでしょう。
アフターフォローがある業者を選ぶ
しっかりしたアフターフォローがあるかどうかも業者を選ぶ判断基準の一つとなります。
塗装業者によっては工事保証期間が設けられていたり、定期的に点検していたり、コールセンターを備えていたりなど、サービスが充実している業者もあります。
アフターフォローが充実していると施工後の安心にもつながりますので、しっかり確認しておきましょう。
同じウレタン防水の施工内容で相見積もりをとる
ウレタン防水の施工で金額や内容を比較するために、複数の塗装業者に依頼して相見積もりを取るようにしましょう。
1社だけでは見積もりの金額が適正かどうか判断することが難しく、リフォーム会社によって提示の金額も異なるので、複数の業者をしっかり比較検討することが大切です。
1社1社見積もりを依頼するのは手間と時間がかかり面倒だという方は、リフォーム一括見積もりサイトの「ハピすむ」を活用しましょう。
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