
基礎のひび割れ補修費用は?工法別の相場と耐震補強が必要なケースを解説
基礎のひび割れ補修費用は、ひび割れの幅・深さ・長さ・原因や、採用する工法によって変わります。この記事では、基礎のひび割…

鉄筋コンクリート造の建物は、一般的に耐震性を確保しやすい構造です。この記事では、過去の被災事例を踏まえ、耐震基準や耐震補強の方法を解説します。

目次
鉄筋コンクリート造は、鉄筋とコンクリートの構造上の特性を組み合わせることで、耐震性を確保しやすい構造です。ただし、木造住宅などと比べて必ず地震に強いとは限らず、設計や施工状態、建物の形状、劣化状況、地盤などによって耐震性は異なります。ここでは、素材の性質を中心に鉄筋コンクリートの建物が地震に強いと言われる理由を解説します。
鉄筋コンクリート造は、コンクリートと鉄筋を組み合わせた構造です。
コンクリートと鉄筋の特性
性質の異なる2つの材料が一体となることで、地震時に柱や梁、耐震壁などへ生じる曲げ・せん断・圧縮・引張などの力に抵抗します。地震の横揺れを鉄筋、縦揺れをコンクリートが別々に受け持つわけではありません。建物の倒壊を防ぐには、材料の特性に加え、部材の配置や接合部、施工品質も重要です。

住宅用の鉄筋コンクリート造は、税務上の法定耐用年数が他の構造より長く、国税庁では47年と定められています。ただし、これは減価償却費を計算するための年数であり、建物の寿命や耐震性能を示すものではありません。
鉄筋コンクリート造の建物が耐久性を保ちやすい理由
一方で、ひび割れや中性化、塩分の浸入などによって鉄筋が腐食すると、コンクリートの剥離が進み、耐久性や耐震性に影響することがあります。また、内装や下地に木材が使われている場合は、シロアリ被害を受ける可能性があります。長期的に性能を保つには、定期的な点検と適切な補修が重要です。
※ 参考1:国税庁「住宅の構造別耐用年数表」
※ 参考2:国土交通省「RC造躯体の劣化要因」
鉄筋コンクリート造の建物は耐火性が高く、火災時に構造部材が急激に加熱されにくい特徴があります。ただし、RC造であっても内装材や家具は燃えるため、地震後の火災そのものを防げるわけではありません。
鉄筋コンクリート造が耐火性に優れる理由
一方で、強い火災に長時間さらされると、コンクリートが爆裂して鉄筋が露出したり、材料の強度が低下したりすることがあります。そのため、RC造の耐火限界を「約1,000℃」と一律に示すことはできません。火災後は外観だけで安全と判断せず、構造部材の損傷について専門家の調査を受けることが大切です。
※ 参考:建築研究所「構造部材の耐火性能」
建築基準法の耐震基準は、1981年6月1日に大きく改正されました。原則として、建築確認を受けた日が同日以降かどうかで新耐震基準・旧耐震基準を確認します。

旧耐震基準(1981年5月31日以前に建築確認)
新耐震基準(1981年6月1日以降に建築確認)
新耐震基準は、大地震でも無傷で使い続けられることを保証する基準ではありません。また、制震・免震は必要に応じて採用する別の仕組みであり、新耐震基準の建物すべてに備わっているわけではありません。2000年に接合部や地盤・基礎に関する仕様が明確化された、いわゆる「2000年基準」は主に木造住宅に関するものです。RC造の耐震性を確認するときは、建築確認の時期に加え、建物の形状、部材や接合部、劣化状況、耐震診断・改修の有無を確認しましょう。
※ 参考1:国土交通省「マンションの管理状況チェックシート」
※ 参考2:国土交通省「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法」
過去の地震では、鉄筋コンクリート造の建物にも被害が生じています。阪神・淡路大震災と熊本地震の事例を見ていきましょう。
1995年の阪神・淡路大震災では、旧耐震基準で建てられた建物を中心に大きな被害が生じました。神戸市灘区の調査では、木造22,710棟、RC造3,814棟が対象となり、全壊は木造11,907棟(52.4%)、RC造354棟(9.3%)でした。なお、22,710棟と3,814棟は被害件数ではなく、調査対象の総数です。このデータではRC造の全壊率が低いものの、構造だけで耐震性の差を断定することはできません。建築年代や用途などの条件も異なり、調査の全壊・半壊の定義もほかの調査と異なるためです。RC造でも古い建物ほど被害率が高い傾向が示されており、旧耐震基準の建物では耐震診断と必要に応じた補強が重要です。
※ 参考:日本建築学会「自治体の被害調査結果に基づく兵庫県南部地震の建物被害関数」
2016年の熊本地震に関する国の調査では、倒壊・崩壊が確認されたRC造・SRC造の10棟は、すべて旧耐震基準の建物でした。一方、新耐震基準の建物でも、倒壊・崩壊には至らなかったものの、上部構造が「大破」と判定された建物が9棟ありました。ピロティ構造や鉄筋継手の品質、壁のモデル化、せん断設計などが被害要因として挙げられています。新耐震基準は倒壊・崩壊の防止に有効だったと考えられますが、新耐震基準であれば損傷しないとは限りません。建築確認を受けた時期だけでなく、建物の形状や施工品質、劣化状況も含めて確認することが重要です。
※ 参考:国土交通省「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会報告書」
鉄筋コンクリート造は耐震性を確保しやすい一方で、新築時には注意すべき点もあります。主な3つの注意点を確認していきましょう。
鉄筋コンクリート造はコンクリートと鉄筋を使用するため、建物が重くなる傾向があります。そのため、地盤の支持力が不足していると、沈下や傾斜が生じるおそれがあります。ただし、RC造だからといって必ず地盤改良が必要になるわけではありません。新築時は地盤調査の結果をもとに、直接基礎で支えられるか、地盤改良や杭基礎が必要かを判断します。

地盤調査で注意したい土地の例
土地の名称や土質だけで地盤改良の要否は決められません。建物の規模や重量、支持層の深さも含め、地盤調査と構造設計に基づいて工法を選ぶことが重要です。
鉄筋コンクリート造の建築には、鉄筋の組み立て・型枠の設置・コンクリートの打設といった複数の工程があります。コンクリートの養生にも時間を要するため、木造や鉄骨造より工期が長くなる傾向があります。なお、「夏場は3週間、冬場は4週間以上」といった期間は、建物全体の工期を示すものではありません。養生期間はセメントの種類や気温、部材、求める強度などによって異なり、建物全体の工期も規模や階数、工法、地盤工事、天候などに左右されます。計画段階で余裕のあるスケジュールを組み、工程表で養生期間や型枠を外す時期、検査日程まで確認しましょう。
鉄筋コンクリート造では、鉄筋・型枠・コンクリート工事に加え、建物の重量や地盤条件によっては地盤改良や杭基礎が必要になり、費用が高くなることがあります。30坪前後の戸建て住宅における地盤補強費の目安は、以下のとおりです。
| 工法 | 費用相場の目安 |
|---|---|
| 表層改良工法 | 20万~50万円 |
| 柱状改良工法 | 40万~100万円 |
| 小口径鋼管杭工法 | 90万~200万円 |
表の金額は、主に一般的な戸建て住宅を想定しています。重量の大きいRC造では、改良面積や深さ、杭の本数・径が増え、目安を上回ることがあります。建物規模、支持層の深さ、搬入条件、残土処分などで費用が大きく変わるため、地盤調査と構造計画に基づく個別見積もりで確認しましょう。
鉄筋コンクリート造の耐震性は、耐震壁の増設や柱・基礎の補強によって高められます。ここでは、主な3つの耐震補強方法を解説します。
耐震壁とは、地震時に建物へ加わる水平方向の力に抵抗する構造部材です。多くの鉄筋コンクリート造には、耐震壁があらかじめ設けられています。ただし、耐震診断で強度不足や壁配置の偏りが見つかった場合は、耐震壁や鉄骨ブレースを追加したり、既存の耐震壁を厚くしたりして補強します。

| 主な工法 | 概要 | 注意点 |
|---|---|---|
| RC造壁の増設 | 柱・梁で囲まれた部分にRC造の壁を新設する | 開口部がふさがり、採光や使い勝手に影響する場合がある |
| 既存壁の増し打ち | 既存の耐震壁にRC造の壁を追加して厚くする | 室内側で施工すると専有面積が減る場合がある |
| 枠付き鉄骨ブレース補強 | 柱・梁の内側に鉄骨枠とブレースを設置する | 開口を残しやすい一方、外観や採光に影響する場合がある |
| 外付けフレーム補強 | 建物の外側に柱・梁フレームを新設する | 室内への影響を抑えやすいが、敷地や基礎・杭の検討が必要 |
補強方法や配置は、耐震診断と構造計算の結果に基づいて決めます。配置によっては、建物のねじれや一部の階への力の集中を招くためです。
※ 参考:国土交通省「マンション耐震化マニュアル」
柱補強では、柱の強度に加えて、地震時に急激に壊れない粘り強さを高め、建物全体の耐震性を向上させます。鉄筋コンクリート造の柱を補強する主な方法は、以下のとおりです。

| 補強方法 | 概要 |
|---|---|
| RC巻き立て補強 | 既存の柱の周囲に鉄筋コンクリートを追加し、強度と粘り強さを高める方法 |
| 鋼板巻き立て補強 | 既存の柱を鋼板で囲み、主に粘り強さを高める方法 |
| 連続繊維巻き補強 | 炭素繊維やアラミド繊維などのシートを柱に巻き付け、主に粘り強さを高める方法 |
カーボンファイバーはFRPに使われる繊維の一種で、炭素繊維を用いる補強は連続繊維巻き補強に含まれます。どの工法が適するかは、建物の設計や補強目的、柱の破壊形式、施工スペースなどに応じて判断します。
※ 参考:国土交通省「マンション耐震化マニュアル」
基礎の補強は、調査で基礎や杭、地盤に問題が確認された場合に、上部構造の補強とあわせて検討します。ひび割れや沈下が見られても、適切な工法は建物の状態によって異なります。
| 主な補強方法 | 概要 |
|---|---|
| 基礎・基礎梁の増し打ち | 既存の基礎や基礎梁に鉄筋コンクリートを追加し、必要な強度を確保する方法 |
| 基礎や杭の新設 | 外付けフレームなどの補強部材を支える基礎や杭を追加する方法 |
| 既存杭の補修・補強 | 杭の損傷や支持力不足に応じて、補修や増杭などを行う方法 |
| 地盤改良 | 地盤の支持力不足や沈下の原因に応じて地盤を補強する方法 |
ジャッキアップは主に沈下や傾斜を修正する方法で、単独で耐震補強が完了するものではありません。基礎・杭・地盤の補強は建物ごとの調査と構造計算が必要なため、専門家へ相談しましょう。
※ 参考:国土交通省「マンション耐震化マニュアル」
築年数は耐震性を判断する目安の一つですが、それだけで地震への強さは決まりません。新耐震基準か旧耐震基準かは、原則として建築確認日が1981年6月1日以降かどうかで判断します。さらに、建物の形状、施工状態、劣化、耐震改修の有無も影響します。築年数と建築時期のおおよその関係は、以下のとおりです。
| 建物の築年数 | 建築時期の目安 | 耐震基準を確認するポイント |
|---|---|---|
| 築30年 | 1995~1996年ごろ | 原則として新耐震基準。図書と現況も確認する |
| 築40年 | 1985~1986年ごろ | 原則として新耐震基準。建築確認日を確認する |
| 築45年前後 | 1980~1981年ごろ | 新旧基準の境目に当たるため、建築確認日を必ず確認する |
| 築50年 | 1975~1976年ごろ | 原則として旧耐震基準。耐震診断を検討する |
新耐震基準の建物でも劣化や不適切な改修があれば耐震性に影響します。旧耐震基準でも、耐震診断で必要な性能が確認されている場合や、適切な耐震改修が行われている場合があります。
※ 参考:国土交通省「新耐震基準に適合していることの確認方法」
RC造の耐震診断では、建物の強度や粘り強さ、形状、経年劣化などを調べ、地震に対する安全性を評価します。一般的なマンションの第2次診断では、構造耐震判定指標(Is0)を0.6とした場合、Is値とq値を次のように判定します。

| Is値・q値の目安 | 大規模地震に対する倒壊・崩壊の危険性 |
|---|---|
| Is値が0.3未満、またはq値が0.5未満 | 高い |
| 上記と「危険性が低い」の条件の間 | ある |
| Is値が0.6以上、かつq値が1.0以上 | 低い |
Is値だけで判定するのではなく、建物の保有水平耐力に関するq値なども確認します。また「危険性が低い」と判定されても、無被害が保証されるわけではありません。診断結果に応じて、補強の必要性や優先順位を専門家と検討しましょう。
※ 参考:国土交通省「マンション耐震化マニュアル」
同じ耐震等級でも、建物の構造による違いがなくなるわけではありません。耐震等級は、住宅性能表示制度で地震に対する構造躯体の倒壊・崩壊のしにくさなどを示す指標です。木造・鉄骨造・RC造で評価方法は異なりますが、等級ごとに目標とする地震力の倍率は共通しています。

| 耐震等級(倒壊等防止) | 耐震性の目安 |
|---|---|
| 1 | 建築基準法で想定する極めてまれな地震力に対して、倒壊・崩壊しない程度 |
| 2 | 等級1の1.25倍の地震力に対して、倒壊・崩壊しない程度 |
| 3 | 等級1の1.5倍の地震力に対して、倒壊・崩壊しない程度 |
実際の揺れ方や損傷の現れ方は、建物の重量や硬さ、粘り強さ、形状、地盤、施工状態、劣化状況によって異なります。また、倒壊等防止の等級と損傷防止の等級は別の性能表示項目です。評価書では、どの項目の耐震等級かも確認しましょう。
※ 参考:国土交通省「日本住宅性能表示基準」
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