発泡ウレタンの断熱材とは?メリット・デメリットなどを徹底解説!

近年、新築住宅やリフォームの工事現場でよく使用されている発泡ウレタンの断熱材。しかし、断熱材は専門的な分野で、私たち一般人には少し難しいと感じるかもしれません。そこでこの記事では、発泡ウレタンの断熱材の特徴や、リフォームに採用する場合のメリット・デメリットなどについて解説します。リフォームで後悔したポイントなどを参考に、建物に自宅に最適な断熱材を選べるようになりましょう。

2025年03月26日更新

監修記事
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発泡ウレタン断熱材とは

発泡ウレタンとは、ポリウレタンを主成分とした樹脂に発泡剤を混ぜた断熱材のことをいいます。

発泡ウレタンには、軟質と硬質の2種類があり、生活の中で幅広く使用されています。軟質ウレタンは、スニーカーの底や車両の内装など、主にクッション材としての役割がほとんどです。一方硬質ウレタンは、建物や冷蔵庫などの断熱材として使われています。

発泡ウレタンは、小さな気泡の集合体でできています。気泡の中には発泡ガスが含まれており、空気の動きを抑え、熱を伝えにくい構造となるのです。そのため、発泡ウレタン断熱材を建物の外周部に配置すると、外気の熱が家の中に伝わりづらく、また建物内の熱も外に逃げにくくなります。

発泡ウレタン断熱材は、断熱性や耐久性に優れているにもかかわらず、コストパフォーマンスが良いため、戸建て住宅のリフォームなどで多く採用されています。

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発泡ウレタンの断熱材の種類

発泡ウレタンの断熱材には、以下のような種類があります。

発泡ウレタンの断熱材の種類

ここでは、断熱材の特徴をそれぞれ見ていきましょう。

【種類1】発泡ウレタン現場吹き付けタイプ

現場吹き付けタイプの発泡ウレタンとは、2つの液材を混ぜて化学反応で発泡させ、専用の機械で霧状に吹き付けていく施工方法のことをいいます。壁の内側などに吹き付けた瞬間、モコモコと綿あめのように膨らみます。

ウレタンは自己接着力があるため、吹き付けた瞬間から構造材にすき間なく密着し、1時間もしないうちに固まります。

また、自由な場所に吹き付けられるため、ほかの断熱材では施工が難しい複雑な形状や、狭い箇所にも簡単に施工することが可能です。リフォームの場合、もとの建物の構造が複雑なケースであっても、短期間で効果的に断熱施工ができます。

ただし、ボードタイプの発泡ウレタンに比べて、一定の厚みに吹き付けるには技術力が必要です。そのため、施工業者の選定は慎重に行いましょう。

【種類2】発泡ウレタンボードタイプ

ボードタイプの発泡ウレタンは、工場生産で均一に発泡・成形されているので、品質のバラつきがありません。断熱材の厚みが一定に保たれるので、家全体で安定した断熱効果を得られます。ボードの厚みもいくつか種類があり、施工箇所によって選定し、現場でのカット加工が可能です。

板状の発泡ウレタンは、構造の外側に断熱材を張る「外断熱」として使用することも少なくありません。パネルを配置するだけで簡単に施工ができるため、基礎部分や床、屋根などにも多く採用されています。

しかし、現場吹き付けタイプに比べて使用できる場所の柔軟性が低く、工場生産した製品を現場に搬入するため、コストが高くなりがちです。

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発泡ウレタン断熱材のメリット

リフォーム等で発泡ウレタンの断熱材を採用するメリットは、以下のとおりです。

以上のメリットを詳しく解説していきます。

【メリット1】断熱性能が高い

発泡ウレタンの断熱材は、素材そのものが熱を伝えにくいため、他の断熱材より厚みが薄い場合も同等の断熱効果を発揮します。

断熱性が高い家は、外気温の影響を受けにくく室温の変化が少ないため、季節を問わず快適に過ごすことが可能です。さらに、室内の熱を建物の外に逃しにくいため、エアコンなど冷暖房の効率が上がります。

また、室内の温度変化が激しい家は結露が発生しやすく、その湿気によってカビやダニが繁殖し、アレルギーの原因になりかねません。湿気により建物が腐食・劣化するケースも。

その点、断熱性の高い家は室内温度が一定に保たれているため、結露によるカビが発生しにくく、建物の維持や居住する家族の健康にも良い影響があります。

【メリット2】湿気に強い

発泡ウレタンは独立した気泡の集合体であるため、水の浸入するすき間がありません。そのため、万が一濡れてしまっても断熱材が水を吸わなたいため、普段と変わらない断熱効果が期待できます。

たとえば、繊維系の断熱材は、水分を含みやすく湿気に弱いデメリットがあります。水分を含んでしまうと断熱効果は薄れてしまい、もとには戻りません。また、湿気を吸い濡れたままの断熱材は、柱など構造材を腐らせる原因となります。

しかし、発泡ウレタンは湿気を含まないため、壁内もカラッとした状態を保てます。壁の内部で起きる結露の影響も受けづらく、家の構造体を長く維持することが可能です。

【メリット3】気密性が高い

発泡ウレタンの断熱材は、ウレタンそのものにすき間が少ないため、気密性が高い素材です。さらに、現場吹き付けタイプのウレタンは、構造材にすき間なく密着するため、外気の侵入を防いで冷暖房の効率を向上させられます。

また、すき間風が入らないということは、外気温の影響を受けにくく、結露の心配がありません。電気配線のまわりや、配管のすき間など、狭く複雑な施工箇所であっても、すき間を埋めるよう密着します。

さらに、ウレタン自体に吸音性があり、気密が高い建物は音が漏れるようなすき間もないため、建物全体の遮音性も高まります。

【メリット4】経年劣化が少ない

発泡ウレタン断熱材は、経年劣化が少なく、長期間にわたって高い断熱性能を維持できるのが大きなメリットです。

他の断熱材は、施工した箇所から脱落・沈下したり、湿気を含んだりすることで、断熱性能が下がるリスクもあります。しかし、発泡ウレタンは断熱層にズレやすき間が生じにくく、湿気による劣化がほとんど起こりません。

とくに、ボードタイプのウレタンは、施工箇所にサイズをピッタリと合わせて施工するため、すき間がない状態を長い期間保てます。現場吹き付けタイプは、長く使用する中でガスが抜けて多少劣化するのに対し、ボードタイプは密度が高く品質も安定しているため、よりガス抜けしにくいのもメリットです。

【メリット5】柔軟な施工ができる

現場吹き付けの発泡ウレタンは形状やサイズを問わず、あらゆる場面で柔軟に施工することが可能です。

繊維状やボード状の断熱材では施工しにくい場所でも、発泡ウレタンであれば、わずかなすき間や凹凸のある場所にも入り込み密着します。複雑な形状の箇所にも躊躇することなく施工できるのです。

また、リフォームの際にも既存の構造に合わせて吹き付けられるため、複雑な構造であっても簡単に高い断熱性能を確保できます。

木造住宅であれば、1~2日で施工が完了するため、リフォームでの工期短縮も可能です。

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発泡ウレタン断熱材のデメリット

リフォーム等で発泡ウレタンを採用する場合、形状や施工方法によってはデメリットも考えられます。

新築やリフォームで断熱施工を検討している方は知っておきたい内容です。

【デメリット1】施工にムラが出るおそれもある

現場吹き付けタイプの発泡ウレタンは、現場環境や施工者の技術力によって、施工にムラが出るリスクもあります。

発泡ウレタンは、温度が高いほど膨らみが良く、少量の原液で施工が可能です。しかし、原液が少ないと密度が粗く、内部もスカスカの状態になってしまいます。そのため、現場吹き付けタイプのウレタンは、気温20〜25℃の環境で施工するのがベストです。

ただし、屋外である建築現場の温度管理は非常に難しいため、どうしても天候や季節に施工条件が左右されてしまいます。条件が悪いと、うまく発泡しなかったり、接着しなかったりするリスクも。

また、現場吹き付けタイプの施工には、発泡後の厚みを予測しながら吹き付ける高度な技術が必要です。施工不良はトラブルの原因となるため、断熱に関する技術と知識のある業者を選びましょう。

【デメリット2】リフォームの際に建材を再利用しにくい

発泡ウレタン断熱材は一度施工すると、リフォームの際に構造材などを再利用しにくいデメリットがあります。

現場吹き付けタイプのウレタンは、あたり一面を接着力のあるウレタンフォームで覆いつくします。たとえば、壁の場合、柱や壁の面材に吹き付けたウレタンがこびりつくため、再利用するにはウレタンを削り取らなければなりません。

しかし、きれいに断熱材が取れない木材や、断熱材そのものは再利用できないため廃棄となります。産業廃棄物の扱いとなるので、別途捨てるための費用もかかるのです。

そのため、将来的に増築やリフォームを検討する可能性が高い方には、新築時の現場吹き付けウレタンの採用はあまりおすすめできません。

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発泡ウレタン以外の代表的な断熱材の素材

発泡ウレタン以外の代表的な断熱材の素材は、以下のとおりです。

発泡ウレタン以外の代表的な断熱材の素材
  • 発泡プラスチック系
  • 繊維系
  • 天然素材系

ここでは、素材の特徴と代表的な断熱材について解説します。

【素材1】発泡プラスチック系

発泡プラスチック系には、プラスチック樹脂の発泡により細かい気泡をつくり、空気を含ませて断熱するという特徴があります。

ポリスチレンやウレタン、フェノールといったさまざまなプラスチック樹脂を使用した製品が開発されており、昨今の住宅では最も多く利用されている断熱材です。断熱性能が高く、耐水性もあり軽量で加工しやすいという特徴があります。

発泡プラスチック系の種類特徴
押出発泡ポリスチレン
(XPS)
水や湿気に強く、経年劣化が少ない
ビーズ法ポリスチレン
(EPS)
・コストパフォーマンスに優れ、軽量で加工しやすい
・耐水性があるものの、XPSよりやや劣る
高発泡ポリスチレン・柔軟性があり割れにくい
・燃焼時に有害物質が発生しにくく、環境にやさしい
フェノールフォーム・耐火性が非常に高い
・熱伝導率はウレタンより低く、断熱性能はトップクラスの素材
発泡ウレタン・現場吹き付けなど柔軟な施工が可能で、複雑な形状にも対応
・性能と価格のバランスが良い

【種類2】繊維系

繊維の間に空気の層ができることで断熱効果を発揮します。繊維系の断熱材は、無機質系と木質繊維系の2タイプがあり、ガラス・鉱物・木材・天然繊維などが原料です。リサイクル素材を活用した製品が多く、環境にやさしいという特徴があります。

繊維系の種類特徴
グラスウール・繊維系断熱材の中で、最もポピュラーでコストが低い断熱材
・防音効果がある
ロックウール・玄武岩や天然岩石が原料の岩綿を利用した断熱材
・重量はあるが、成形の自由度が高い
セルロースファイバー・パルプなど環境にやさしい天然素材の断熱材
・断熱、防音、調湿効果が高い
インシュレーションボード・木の繊維を加工して作られた板状の断熱材
・多孔質で防音性が高い
・耐水性に強い製品もある

【種類3】天然素材系

天然素材系の断熱材は、自然派の方に人気です。ただし、海外製のものが多く、コスト面では割高になりがちです。

天然素材系の種類特徴
羊毛・原料の70%以上がウールの純粋な天然素材の断熱材
・調湿効果が高い
・輸入品が多く、価格が高い
炭化コルク・ワインのコルクなどを作る際に出る廃材を加工した断熱材
・防虫効果がある
・価格は高め
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発泡ウレタンの断熱材を用いたリフォームで後悔したポイント

発泡ウレタンの断熱施工で後悔するポイントとして、正しく施工されないことが挙げられます。断熱リフォーム等における施工不良は、建物の性能値や住み心地に大きく影響を及ぼしかねません。

現場吹付ウレタンは、表面のモコモコ・ツルツルとしている「スキン層」が重要です。吹き付けたまま固まった表面が、水の吸収や経年劣化による断熱材のガス抜けを防いでいるからです。

しかし、上記を理解しておらず、スキン層を削る「スキンカット」をしてしまう施工者が少なくありません。スキンカットする理由は、ウレタンが膨らむ厚みを見越して壁面におさめる施工ができていないからです。柱の面からウレタンフォームが飛び出して石膏ボード(壁の下地)を張れなくなり、スキンカットします。

さらに、断熱力を稼ぐためにウレタンを大量に吹き付けるのも、壁面におさまらない原因のひとつです。

ウレタンが飛び出ないように、施工できる業者はあまり多くありません。そのため、実際の施工現場や現場の写真を確認して、スキンカットの要らない施工ができるのか、依頼前にチェックするのがおすすめです。

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発泡ウレタンの断熱材を用いたリフォームの費用相場

発泡ウレタンの断熱材を用いたリフォームの費用相場は、1平方メートルあたり3,000~7,000円が目安です。

そのため、40坪の建物で上記のリフォームをした場合の費用相場は、65万~90万円が目安となります。

施工方法費用相場
(1平方メートルあたり)
40坪の建物全体
現場吹き付けタイプ3,000~6,000円65万~80万円
ボードタイプ4,000~7,000円75万~90万円

発泡ウレタンの断熱材は、断熱性能が高いわりにコストが安いのが特徴のひとつ。しかし、発泡ウレタンの種類や製品、建物の形状や施工面積によって費用が変動するため、注意が必要です。

また、断熱リフォームでは既存の壁や床の処理が必要なため、新築より費用が高くなる可能性もあります。ただし、発泡ウレタンの断熱材は断熱効果が高く、光熱費の節約につながるため、長期的に見ればコストパフォーマンスが良いといえるでしょう。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】久田麻里子

マザーハウス 石田工務店

久田麻里子

2級建築士、インテリアコーディネーター、住環境福祉コーディネーター。ハウスメーカー、リフォーム会社での建築業を幅広く経験。主婦・母親目線で様々なリフォームアドバイスを行う。主な担当は水回り設備リフォーム、内装コーディネート、戸建てリフォームなど。

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