2024年04月12日更新

監修記事

トイレの位置を変える移動リフォームにかかる費用の相場は?

トイレ本体・便座の交換よりも費用は約10万円〜20万円ほど高くなりますが、トイレの移動リフォームは可能です。
この記事では、交換よりもトイレの位置を変えるリフォームが必要なケースを紹介していきますので、自分である程度はリフォーム内容を判断・検討することができます。合わせて、トイレの位置を変える際の費用相場や排水芯・止水栓の移動費用なども紹介していきますので「トイレの位置を変えたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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トイレ移動のリフォーム費用相場は?

トイレの位置を変える移動リフォームにかかる費用の相場は?

トイレ本体のメーカー・商品、移動距離などによって費用は変動しますが、約40〜60万円が相場です。

給排水管など大掛かりな工事が必要となるので、工期目安は約2日〜5日間となります。

トイレ移動リフォーム費用の内訳

トイレ本体約10万円〜
既存トイレ撤去約3万円〜
取付作業(新規トイレ)約3万円〜
電気配線約2万円〜
換気扇約1万円〜
給排水管設置約15万円〜
内装工事(壁や床)約10万円〜
合計約44万円〜
トイレ移動リフォーム費用の内訳

トイレットペーパーや掃除用具を収納するキャビネット・棚を設置する場合は、上記の価格に約4〜15万円追加となります。

また「床をはがしたら下地が腐っていた」など、工事開始後に追加の補修費がかかる場合もあるので、現地調査や見積もりの際に目安の金額を聞いておくのがおすすめです。

>>トイレのリフォーム費用はこちらで紹介!

トイレ移動費用が相場より高くなるケース

  • 1階から2階などフロア間で移動する
  • トイレ本体の他に手洗いも移動する
  • 新規で給排水や電気配線工事を行う

フロア間でトイレ移動を行う場合は、移動距離が長くなるだけでなく、床以外に壁や天井にも配管工事を行う必要があり、約20万円以上費用が高くなるケースもあるので注意が必要です。

一般的なトイレ移動の工期よりも長くなってしまうので、仮設トイレを借りる日数なども長くなるため、全体的に費用が上がります。

また、トイレ本体の他に手洗いも移動する場合や、移動先で給排水や電気配線工事が必要な場合も同様に費用が高くなるので、予算と見積もり金額を照らし合わせて検討することが大切です。

トイレの移動リフォームはどういうケースで必要?

トイレリフォーム中の写真
出典:写真AC-トイレリフォーム

トイレ本体・便座の交換のみのリフォームよりも約10〜20万円ほど費用が高くなる移動リフォームですが、以下のようなケースでは移動リフォームを検討するのがおすすめです。

  • トイレまでの移動が負担になっている
  • 使用時の音や臭いが気になる
  • 既存のトイレでは来客に気を遣わせてしまう

移動する場所などのプランニングを、リフォーム会社と進めていきましょう。

トイレまでの移動が負担になっている

介護が必要な状態であったり、足腰に不安があったりすると、トイレまでの移動が負担となります。

トイレは1日に何度も使用する場所になるので、生活の質に直接影響があるため、住宅の中での位置が重要です。

例えば、介護が必要な家族の寝室の近くにトイレを移動したり、洗面所やお風呂の隣に移動したりと、気兼ねなくトイレへ行ける場所に設置すると、サポートする側の方も安心できます。

トイレまでの動線に手すりを設置するなど、移動工事の他にもプラスアルファーで工事を行い、家族全員が負担なくトイレを使用できるようにプランニングをしましょう。

使用時の音や臭いが気になる

寝室の近くや普段過ごしているリビング・ダイニングなどの近くにトイレがあると、使用時の音や臭いが気になってしまう場合があります。

  • 夜中にトイレを使うと家族を起こしてしまう
  • トイレの臭いがリビングまで届いてしまう

など、トイレの位置によっては、家族に気を遣ったり、自分が不快な思いをしたりすることがあるため、既存のトイレ位置で対策が難しい場合は移動リフォームが必要です。

昨今では、自動脱臭機能がついているなど性能が上がっているので、本体を交換するだけで改善できる可能性もあります。

移動リフォームと本体交換のどちらもプランニングしてもらった上で、メリット・デメリットを比べて検討しましょう。

既存のトイレでは来客に気を遣わせてしまう

玄関からトイレが見える位置にあったり、来客対応するリビングや和室の近くにあったりすると、来客に気を遣わせてしまう場合があります。

また、来客がトイレを使用する場合、家族が過ごしているリビングや寝室の脇を通らなければいけないと「ゆっくりお過ごしのところ申し訳ない」と萎縮してしまう場面もあるため、来客が多い家ではトイレ位置が重要です。

100%来客に合わせたトイレ位置にする必要はないですが、来客があった際に家で過ごす家族も、来客側も気を遣わないような位置にすると、ストレスなく対応できます。

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排水芯とは?移動が必要なケースや費用相場を紹介

トイレの排水芯を表す図
出典:LIXIL-トイレリフォーム

排水芯とは「トイレの後ろの壁から排水口までの距離」です。

昨今では、20cmで施工されているのが一般的で、トイレ本体も排水芯20cmに対応できるような商品が販売されています。

トイレが設置されれば排水芯が見えることはなく「トイレ設置工事の際にチェックが必要な部分」なので、日常的に気にする必要はない箇所です。

排水芯の移動が必要なケース

主に「設置したいトイレ本体と既存の排水芯が合わない場合」に、排水芯の移動が必要です。

昨今では20cmで施工されていますが、1990年代前半までは排水芯の距離が様々で、50cm以上で施工されている場合もあります。

そのため、対応できる排水芯が限られているトイレを選ぶ場合、排水芯の移動が必要です。

様々な排水芯に対応できる商品もある

LIXILのリトイレのワイドアジャスターの説明図
出典:LIXIL-トイレカタログ トイレリフォームのポイント

LIXILやTOTOなど、各住宅メーカーのトイレには、様々な排水芯に対応できる商品・部材が販売されています。

例えば、LIXILのタンクレストイレ「サティスS」は、排水芯20cm〜58cmまで対応できる他、短い12cmまで対応可能です。

そのため、排水芯が20cmでなくとも、最新のトイレに排水芯の移動工事なしで交換できる場合もあります。

希望するトイレによって対応可能であるかが変わるので、リフォーム会社に見積もり依頼をする際に相談してみましょう。

排水芯の移動にかかる費用相場

移動費用約3万円〜
補修工事
※必要な場合のみ
約2万円〜
排水芯の移動にかかる費用相場

既存の排水芯を移動する場合は、約3万円〜が費用相場となります。

排水芯を移動する際に、配管や繋ぎ目の部材などが劣化していた場合、補修工事が必要です。

補修工事が必要な場合は、移動費用の他に約2万円〜の費用がかかります。

排水芯の確認方法

パナソニック製トイレの品番確認方法
出典:パナソニック-水洗便器排水芯一覧表

上記のパナソニック(旧:松下電工株式会社)のトイレのように、本体にはられているシールや、設置の際に受け取った取扱説明書があれば、便器の品番を確認しましょう。

「メーカー名 便器の品番 排水芯」と検索すると、排水芯を自分で確認できます。

メーカーや商品によってはWebに掲載されていない場合もありますが、リフォーム会社への見積もりの際に品番を伝えておくと、リフォーム会社の方で確認できる可能性が高いです。

排水芯を見積もり時に確認できていると、より詳細な費用が出せるので、プランニングもスムーズに進みます。

止水栓とは?移動が必要なケースと費用相場を紹介

トイレに施工されている止水栓
出典:写真AC-トイレ止水栓

止水栓は、給水管からの水の流れを止めたり調整したりする役割がある部材で、キッチンや洗面台など水回り設備にはついているものです。

トイレの止水栓は一般的に、便器に向かって左側についています。

日常生活の中では開閉をする場面はありませんが、水漏れなどのトラブルが発生した際に、給水を止める手段として開閉を行う部材です。

止水栓の移動が必要なケース

  • 給水ホースの納まりが悪い
  • ホースが長く掃除がしづらい
  • 便器の真裏に止水栓がある

止水栓が便器よりも高い位置にあったり、トイレに向かって右側についていたりすると、通常よりも給水ホースが長くなり、納まりが悪くなります。

「ごちゃごちゃしている」と感じるほど納まりが悪いと、水漏れのリスクも高くなるため、リフォームの際に移動するのがおすすめです。

また、トイレ本体を手前にずらせば、真裏に止水栓があっても設置できますが、選ぶトイレや排水芯の位置によっては設置が難しい場合もあります。

見た目や清掃性を改善したい、トイレ本体を替えたいなど、リフォームをする際は止水栓の位置を変えたほうがよさそうか相談してみましょう。

止水栓の移動にかかる費用相場

移動費用約2万円〜
補修工事
※必要な場合のみ
約2万円〜
止水栓の移動にかかる費用相場

給水方式によって、壁・床のどちらかを一部はがす必要があるため、移動費用は約2万円〜となります。

また、凍結防止のための断熱材を給水管に巻いたり、配管部材の劣化により補修が必要であったりする場合は、別途費用が必要です。

作業内容や既存状況などによりますが、補修工事についても約2万円〜が費用相場となっています。

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マンションでもトイレの移動リフォームは可能?

おしゃれなトイレプラン写真
出典:写真AC-トイレ空間

給排水管やマンションの構造・間取りなどに問題がなければリフォームは可能ですが、以下のような場合はトイレ移動ができません。

  • 排水勾配が確保できない
  • トイレ移動により水漏れリスクが高い直床である
  • 管理規約でトイレ移動が禁止されている

物件ごとに条件は異なるため、本格的にトイレ移動リフォームを検討する前に確認しましょう。

ケース①排水勾配が確保できない

マンションでは、各世帯のトイレからの排水管が集められ、地上の排水管へと繋がっているため、排水管の位置を戸建てのように大きく動かすことができません。

さらに、排水がうまく流れていくように、一定以上の勾配(傾き)を確保する必要があるため、移動する場所も限られています。

排水管を移動できる場所であっても勾配が確保できなければトイレ移動は難しいため、既存の位置でのリフォームなど、他の案を検討しましょう。

ケース②トイレ移動により水漏れリスクが高い直床である

マンションの床構造「直床」
出典:DAIKEN-直床工法

マンションの床構造が「直床」と言われる構造であれば、水漏れリスクが高いため、トイレ移動は難しいです。

直床というのは、マンションの構造をつくっているコンクリートスラブの上に、床材を直で施工している構造のことで、直床の他に、コンクリートスラブと床材の間に隙間がある二重床という構造があります。

二重床であれば、隙間部分に配管が通せるので水漏れを防げますが、直床の場合は床を上げるなどして構造を変更する工事なしでは水漏れリスクが高いです。

マンションの床構造については専門的な話となるので、リフォーム会社などに相談して確認しましょう。

ケース③マンション管理規約でトイレ移動が禁止されている

マンション管理規約で、トイレ移動など水回りのリフォームが禁止されている物件も多く、禁止事項に含まれている場合は移動できません。

「リフォーム会社と相談して、見積もりまで出してもらったのに」など、後々気づいて失敗しないよう、リフォーム会社に相談する前に管理規約を確認したり、管理会社や大家へ相談したりするのがおすすめです。

物件のリフォームに関する記載は、契約書など契約時にもらった資料の中に含まれています。

物件ごとに管理規約や禁止されているリフォーム内容は異なるため、お住まいの物件の決まりを確認してみましょう。

トイレの移動リフォームのDIYは可能なのか

作業中の手元写真
出典:写真AC-DIY作業

配管やトイレ本体など必要な部材を自分で購入すれば、DIYは可能ですが、移動後にトラブルが起こる可能性が高いので、おすすめできません。

自分の所有である戸建てであっても、建物の気密性・断熱性、構造の耐久性などを損ねてしまう恐れもあります。

水漏れや下水臭のトラブルに注意

トイレの移動先に給排水管が設置されていない場合、自分で配管工事をする必要がありますが、適切に施工しないと水漏れが起きたり、下水臭が上がってきたりと、トラブルが起きる可能性が高いです。

水漏れを起こすと、床材などの内装材の張り替えが必要になるなど、追加で費用がかかります。

また、水漏れに気づかないでいると、高額な水道料金の請求が来たり、床を支える構造部の木材が腐食したりと、大きなトラブルに発展する可能性もあるので、トイレ移動リフォームはリフォーム会社に相談するのがおすすめです。

DIY後の工事は費用が割高になる可能性大

配管やトイレ設置工事などをDIYで行ってみたものの、水漏れなどのトラブルが起きて断念した場合、リフォーム会社などの専門業者に補修や手直しを依頼することになります。

不適切な箇所を補修・手直しする作業から始まるため、ゼロの状態から依頼するよりも費用が割高になる可能性が高いです。

また、ゼロの状態から依頼するよりも納まりが悪くなってしまうなど、綺麗な仕上がりにならない場合もあります。

「少しでも安く済ませたい」と思って始めたDIYが、逆に費用がかさんでしまう事態を招きかねないので、専門的な知識・技術のある会社に相談しましょう。

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トイレを移動するリフォームの施工例

【施工例1】従来と同じ場所の2階部分にトイレを移動

洋式水洗仕様タンク付きトイレ約7万円〜
※タンク内蔵の場合は約18万円〜
トイレ内部の壁や床の内装約4万円〜
壁に埋め込み式キャビネット約7万円〜
※タンク内蔵の場合は約18万円〜〜
トイレの設置
給排水管
排気用ダクト
電気配線等の工事
約20万円〜
合計
※廃材処分代別途
約39万円〜
「従来と同じ場所の2階部分にトイレを移動」費用内訳

今まで1階にあった約1畳のトイレを同じ場所の2階部分に移動した場合、かかる費用・価格の内訳は上記の通りです。

使用するトイレの使用によって価格は変動しますが、フロアをまたがない工事の場合は約39万円〜の費用がかかります。

【施工例2】同じフロア内に2畳のトイレを移動

洋式水洗仕様タンク付きトイレ約8万円〜
トイレ内部の壁や床の内装約5万円〜
キャビネット付き洗面台
(幅750mm)
約16万円〜
トイレの設置
給排水管
排気用ダクト
電気配線等の工事
約17万円〜
合計
※廃材処分代別途
約46万円〜
「同じフロア内に2畳のトイレを移動」の費用内訳

1階の同じフロア内で、階段とエントランスの中間部に2畳のトイレを移動した場合の費用・価格の内訳は上記にようになります。

トイレを移動するリフォームには、材料費よりも工事費用が上がる場合が多いです。

価格が安い商品を選んだり、水回りの位置や移動する距離を短くしたりすると、相場よりも費用を抑えることが可能となります。

【施工例3】2台あったトイレを1台へ

2台あったトイレを1台にし、手洗いを追加したリフォーム事例
トイレの位置変更と手洗いを追加したリフォーム
リフォーム費用約135万円
工期6日間
建物戸建て
施工箇所トイレ・洗面所
メーカー名/商品名LIXIL/サティスG
「2台あったトイレを1台へ」の費用内訳

既存のトイレは、小便器とタンク付きトイレがありましたが、小便器を撤去し、新しくLIXILのサティスGを設置しました。

同じ空間内ではありますが、トイレの位置を移動したことで、手洗いの追加も可能となり、使いやすさが大幅に向上しています。

トイレ移動リフォームでよくある質問

トイレ移動にかかる費用を安くする方法はある?

トイレ移動によって省エネ基準を満たすトイレ本体に交換するなど、国や自治体の補助金制度の要件を満たす場合は、補助金の活用も可能です。

>>トイレリフォーム補助金の詳細はこちら

トイレ移動リフォームは介護保険の住宅改修に含まれる?

介護が必要な家族がいる場合、介護保険における「住宅改修」の内容として認められれば、介護保険を利用できます。

ケアマネージャーなど、専門家と相談しながら、プランニングや申請手続きを進めましょう。

リフォーム期間中は普段通りに生活できる?

トイレ移動リフォーム期間中は、排水・給水工事が完了するまで仮設トイレを利用しての生活となります。

工期目安である約2日〜5日間は、通常通りの生活とはいかないので、事前にスケジュール等を確認しましょう。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】久田麻里子

2級建築士、インテリアコーディネーター、住環境福祉コーディネーター。ハウスメーカー、リフォーム会社での建築業を幅広く経験。主婦・母親目線で様々なリフォームアドバイスを行う。主な担当は水回り設備リフォーム、内装コーディネート、戸建てリフォームなど。

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