鉄骨造はリフォームできる?事例と共に費用やメリットを解説

鉄骨造の住宅はリフォーム可能です。スケルトンリフォームにおける費用相場は1,500〜2,500万円ですが、施工範囲や設備のグレードによって費用は大きく異なります。当記事では、鉄骨造の特徴をはじめ、リフォームにおけるメリットとデメリットを詳しく解説します。

2025年12月23日更新

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鉄骨造住宅の特徴と構造

鉄骨造戸建てを建てている場面で建物の手前に図面を拡げて打ち合わせをしている、ヘルメットをかぶった現場監督と作業員

鉄骨造住宅は、柱や梁などの構造部分に鉄骨を用いた建物です。鉄骨造は、Steel(鋼鉄)の頭文字を取ったS造とも呼ばれます。

鉄骨造住宅は戸建からアパート、工場や倉庫に至るまでさまざまな建物に用いられます。なお、住宅における鉄骨造では、対角線上に斜めのブレーズ(筋交い)を入れたブレーズ構造による軽量鉄骨造が一般的です。

軽量鉄骨造と重量鉄骨造の違いは?

軽量鉄骨造と重量鉄骨造の違いは、構造となる鉄骨の厚みです。鉄骨の厚みが6mm以下のものを軽量鉄骨造、6mm以上のものを重量鉄骨造と呼びます

軽量鉄骨造と重量鉄骨造の違いを表すイラスト
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鉄骨造の住宅における寿命・耐用年数

鉄骨造の住宅における寿命は、立地やメンテナンスの頻度によって一概に言えません。しかし、適切なメンテナンスを施すことで、鉄骨住宅は50年以上住み続けられると言われています。

また、住宅には寿命のほかに「法定耐用年数」と呼ばれる税制上設定された耐用年数を参考にできるでしょう。法定耐用年数によると、店舗・住宅用の鉄骨造住宅における耐用年数は構造として用いる鉄骨の厚さによって下記のように異なります。

鉄骨造の厚み法定耐用年数
3mm以下19年
3〜4mm以下27年
4mm以上34年
※鉄骨造の法定耐用年数

上記は実際の寿命とは異なりますが、法定耐用年数の過ぎた住宅は減価償却が終了しているため、建物を消費しきったと考えられます。

その他の構造における法定耐用年数

その他の構造における法定耐用年数は下記のとおりです。

構造法定耐用年数
木造22年
鉄筋コンクリート造47年
※構造別の法定耐用年数
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鉄骨造住宅のリフォーム費用相場

鉄骨造の戸建てをリフォームしている最中の写真。現場監督と作業員がいる

鉄骨造の住宅におけるスケルトンリフォームの費用相場は、70㎡の場合1,500〜2,500万円です。下記に費用の内訳をまとめたので、確認してみましょう。

項目費用
解体・撤去費用6〜7万円/坪
性能向上リフォーム費用300〜500万円
リフォーム費用800〜1,600万円
※鉄骨造住宅におけるスケルトンリフォーム費用の内訳

スケルトンリフォームとは、鉄骨造住宅の基礎だけ残し、壁や床をつくり替え、水回りの設備も一新するリフォームとなります。一口に「リフォーム」と言っても、施工範囲や設備のグレードがさまざまであるため、費用は一概に言えません。鉄骨造住宅の部分的なリフォームを検討している人は、下記の記事を参考にしましょう。

ハピすむ利用者で、500万円以上のリフォームを実施したお客様のデータ

①相見積もりをした際の見積額の金額差:平均467万円
例:A社は620万円、B社は850万円、C社は1,087万円の金額提示があった
👉現場調査を実施後、「どこまでリフォームをした方がいいか」「どんなプランを提案するか」がリフォーム会社によって異なるため、差額が生じます。

②リフォーム補助金の取得額平均:57.9万円
※参照データ「ハピすむ リフォームの相見積もり実態調査

ここまでお読みいただきありがとうございます。「鉄骨造の自宅のリフォーム相談をしてみたい!」と気持ちが盛り上がってきた方は是非、ハピすむにお問い合せをしてみてください。コールセンタースタッフが最大3社、地域のリフォーム会社をご紹介いたします。補助金申請に強い会社もご紹介しますよ

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鉄骨の家をリフォームするメリット

鉄骨造の住宅をリフォームすると、下記のメリットが得られます。

メリット💡
間取り変更の自由度が高い

鉄骨造住宅は、木造住宅と比較すると間取り変更における自由度の高い利点があります。鉄骨は木材よりも1本あたりの強度が高いため、使用する柱を少なく抑えられます。

木造では実現しにくい大開口の間取りや、開放感のある吹き抜けなど自由な間取りを設計可能です

メリット💡
建て替えよりコストが抑えられる

工事範囲や設備により一概には言えませんが、リフォームは建て替えよりも安くなるケースがあります。

リフォーム内容によっては、建て替え費用の半額程度に抑えられる可能性もあります。リフォームと建て替えどちらが適しているかについては、下記の記事を参考にしてみましょう。

メリット💡
耐用年数が長く世代を超えて住み続けられる

前述したとおり、鉄骨造住宅は耐用年数が長いため、世代を超えて住み続けられます。法定耐用年数は最大34年とされていますが、適切なメンテナンスを行えば50〜60年住み続けられるため、住宅を子の世代まで引き継げるでしょう。

メリット💡
部材の品質が安定している

鉄骨造住宅における鉄骨は、すべて工場で加工しているため、部材の品質が安定しています。現場で加工を行う木造住宅は、木材の種類や施工業者の腕によって品質に差が生じてしまいます

しかし、工場で加工した鉄骨造にそのような心配はありません。業者の技量によって住宅の精度が左右されないのも、鉄骨造住宅の利点と言えるでしょう。

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鉄骨の家をリフォームするデメリット

鉄骨造の住宅をリフォームするデメリットは、下記のとおりです。

デメリット⚡
防錆処理が必要となる

鉄骨造住宅は鉄骨の性質上、経年劣化により錆が生じてしまいます。錆はそのままにすると腐食し建物の強度を弱めるリスクがあるため、防錆処理は欠かせません。一般的に、防錆処理は施工業者が行います

デメリット⚡
 建築コストがかかる

鉄骨造住宅は、木造住宅と比較すると建築コストがかかります。鉄骨は木材とは異なり工場でつくられるため、製造コストが高くなりやすい部材です

また、木材と比較すると重さもあるため、地盤の状態によっては地盤調査や地盤改良が別途必要となる可能性もあるでしょう。地盤調査や地盤改良について詳しくは、下記の記事に記載されています。

デメリット⚡
施工業者が限られる

鉄骨造におけるリフォームは、木造と比較すると施工業者が限られてしまいます。日本の住宅における構造は、まだまだ木造が多く、鉄骨造を適切にリフォームできる施工業者は多くありません。

鉄骨造リフォームに失敗しないためには、施工実績が豊富な業者へ依頼しましょう

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鉄骨の家で快適に暮らすポイント

鉄骨造の洗練された戸建てで、快適に暮らしている家族のイラスト

鉄骨造はその特性から、快適に暮らすためのポイントがあります。住み良い鉄骨造住宅にリフォームするためにも、いくつかのポイントを押さえておきましょう。

POINT💡
防音性を高める

生活音や外部の音が響きやすい鉄骨造では、防音性を高めることで快適に暮らせます。リフォームとまとめて遮音シートや防音シートを壁紙や壁材の下に追加すると、高い防音効果が得られるでしょう。

防音リフォームについて詳しくは、下記の記事で解説しています。

POINT💡
断熱性能リフォームを実施する

断熱性能リフォームの実施も、快適に暮らす重要なポイントです。鉄骨造は、木造や鉄筋コンクリート造と比較すると熱伝導率が高く、熱しやすく冷めやすい特徴があります。

これは、構造の鉄骨部分が外気温を屋内に伝えるためです。断熱性能リフォームには、柱の隙間に断熱材を入れ込む「充鎮断熱(内断熱)」や、外壁と柱の隙間に断熱材を入れる「外張り断熱」があります。

鉄骨造住宅それぞれに適した断熱性能リフォームがあるため、施工業社と相談のうえ実施しましょう。

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鉄骨造住宅におけるリフォーム・リノベーション事例

つづいて、ハピすむを介して施工した、鉄骨造住宅におけるリフォーム・リノベーション事例をご紹介します。事例を参考に、費用感やリフォームのイメージを膨らませてみましょう。

Before
費用約2,500万円
工事期間6か月
面積
施工範囲トイレ、キッチン・台所、お風呂・浴室、
階段・廊下、玄関ドア・玄関、リビング、
ダイニング

築31年の鉄骨造住宅をリノベーションした事例では、店舗であった部分を居室スペースに改修し、二世帯住宅としました。

鉄骨造ならではの広々とした開放感のLDKが特徴で、二世帯でもゆったりと暮らせる空間となりました(施工:テンイチ)。

Before
費用約1,680万円
工事期間
面積
施工範囲トイレ、キッチン、浴室、洗面所、壁、床、
階段、廊下、和室、洋室、窓、玄関、
リビング、ダイニング

築年数の経過したこちらの戸建住宅では、新築とリノベーションを比較検討し、リノベーションを選択しました。床の下地構造材の補正をはじめ、断熱性や気密性対策を実施し、安心して長く住み続けられる住宅へ生まれ変わりました。

見た目はもちろん、目に見えない性能部分のリフォームも実施した事例です(施工:ロクリノ)。

費用約2,000万円
工事期間4か月
面積
施工範囲トイレ、キッチン・台所、お風呂・浴室、洗面台・
洗面所、壁紙・壁、床・フローリング、和室、
洋室、窓、階段・廊下、玄関ドア・玄関、
ベランダ、外構・エクステリア、
屋根・屋根塗装、外壁・外壁塗装、
庭・ガーデン、リビング、ダイニング

鉄骨造フルリノベーションでは、断熱性能を上げ、水回りは1箇所にまとめた快適な家にしたいという要望からリフォームを実施しました。屋根の断熱材を170mm、壁の断熱材を105mmに入れ替えることで、外気温に影響されない快適な住宅を実現しました。

また、急な階段をゆるやかにしたい家主の希望もあったため、構造はそのままに階段を1段増やし、老後まで安心して暮らせる家とした実例です(施工:cotoreno)

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リフォームに使える補助金・助成金

鉄骨造住宅では、リフォームに使える補助金・助成金制度があります。補助金・助成金制度は、要件を満たした上で申請する必要があるため、それぞれの要件を確認しておきましょう。

補助金・助成金制度助成金額対象
子育てグリーン住宅支援事業最大60万円断熱やエコ住宅設備
給湯省エネ2025事業最大20万円エコキュート・エネファーム・ハイブリッド給湯機
既存住宅における断熱リフォーム支援事業最大150万円高性能な建材を使用した断熱リフォーム
長期優良住宅化リフォーム推進事業最大210万円住宅診断において指示を受けた箇所
※鉄骨造住宅のリフォームに使える補助金・助成金制度             

補助金や助成金制度の要件は毎年異なり、予算がなくなり次第終了となります。お得にリフォームを実施するためにも、補助金・助成金制度を活用してみましょう。

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リフォーム・リノベーションする際の注意点

鉄骨造の住宅をリフォームする際、鉄骨の特性を加味しなければならない注意点があります。想定外の事態に対応できるよう、鉄骨造ならではの注意点を理解しておきましょう。

注意点⚠️
結露対策を行う

鉄骨造の住宅では、必ず結露対策を行わなければなりません。なぜなら、鉄骨は錆びやすい特徴があり、結露により生じる湿気も錆の原因となりうるからです

結露対策としては、24時間換気システムや断熱材を用いて室温を一定に保つものや、風通しの良い間取りが有効となります。

注意点⚠️
鉄骨部分に錆がないか確認する

鉄骨造住宅でリフォームを実施する際、鉄骨部分に錆がないか確認しましょう。構造となる鉄骨部分に錆があると、いずれ腐食が進み構造上の大きな問題となります。錆びた箇所は、程度に応じて錆の除去や錆止め塗装を行いましょう。

錆止め塗装の費用相場は1㎡あたり300〜900円が目安です

注意点⚠️
軽量鉄骨造の場合間取り変更が難しい

間取りを自由にできる鉄骨造ですが、軽量鉄骨造の場合間取り変更が難しい点に注意しましょう。鉄骨の厚みが6mm以上である重量鉄骨造は、太く強度がある柱により広い空間を実現できる構造です。

しかし、厚みが6mmに満たない軽量鉄骨では、筋交いであるブレースにより大幅な間取り変更ができないケースもあります

注意点⚠️
確認申請が必要となるケースがある

骨造住宅をリフォームする場合、下記のケースに該当すると確認申請が必要となります。

確認申請が必要なケース
延床面積200㎡以上の住宅
2階以上
主要構造部の半分以上を修繕
主要構造部分に手を加える工事
基礎からリフォーム(スケルトンリフォーム)工事

確認申請を怠った場合には、建築基準法違反となるため、事前に確認を行いましょう。

確認申請とは?

建築の計画段階で、建築基準法に基づいた新築・修繕が行われているか条例の適合性を確認する手続きです。

>>建築確認申請について詳しくはコチラ

注意点⚠️
耐震診断・耐震補強を実施する

築年数の経過している鉄骨造住宅では、必要に応じて耐震診断や耐震補強を実施しましょう。とくに、1981年以前の旧耐震基準で建てられた住宅は、現行の耐震基準を満たしていない可能性があります

耐震診断の結果、大幅な補強が必要な場合には、建て替えも視野に入れる必要があるでしょう。耐震補強工事について詳しくは、下記の記事を参考にしましょう。

注意点⚠️
鉄骨造リフォームの施工実績が豊富な業者に依頼する

鉄骨造リフォームには専門的な知識が必要です。安全に長く住める鉄骨造住宅へリフォームするためには、鉄骨の特性を熟知した業者に依頼する必要があるでしょう

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【まとめ】コストを抑えて長く住み続けられる鉄骨造リフォームはおすすめ

当記事では、鉄骨造住宅のリフォームについて解説しました。鉄骨造は木造よりも耐用年数が長いため、適切なリフォームを実施すれば、世代を超えて長く住み続けられるでしょう。一方で、錆や気密性など鉄骨造ならではのトラブルもあげられます。

トラブルを最小限にとどめてリフォームするためには、鉄骨造リフォームの実績がある施工業者へ依頼しましょう。

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【Q&A】鉄骨住宅のリフォームに関するよくある質問

木造と鉄骨造のリフォームではどちらが安くなりますか?

木造と鉄骨造のリフォームでは、一般的に木造の方が安くなります。建築現場で部材の加工を行う木造住宅に対して、鉄骨造住宅は現場での加工が難しく、部材を工場で加工する必要があります。

このため、木造よりも鉄骨造の方が高いコストとなるのです。

鉄骨造の建物は築何年まで住むことが可能ですか?

鉄骨造の建物は、築50年を超えても住むことが可能です。「鉄骨造の住宅における寿命・耐用年数」の項で前述したように、鉄骨造の法定耐用年数は鉄骨材の厚みごとに異なり、最大で34年となっています。

しかし、法定耐用年数は減価償却を計算する目的で設けられた基準のため、実際には適切なメンテナンスを実施することで50年以上住めます。

鉄骨造を骨組みだけ残してリフォームする場合、費用はどのくらいかかりますか?

鉄骨造を骨組みだけ残してリフォーム(スケルトンリフォーム)する場合、1,500〜2,500万円の費用がかかります。

費用内訳は1坪あたり6〜7万円の解体費用、リフォーム費用、必要に応じた補強工事費用です。

スケルトンリフォームは補強工事費用など予期せぬ費用の発生する可能性があるため、予算を多めに見積もっておく必要があります。

築40年以上の鉄骨造で安全に住む方法はありますか?

築40年以上の鉄骨造で安全に住むためには、住宅診断(ホームインスペクション)を実施しましょう。住宅診断では、住宅の施工不良や劣化とその改修費用の概算を教えてくれます。

木造住宅を鉄骨住宅にリフォームできますか?

木造住宅は、木の柱や梁を鉄骨に置き換え鉄骨住宅にリフォームできます。鉄骨住宅を0から建てるより、解体コストを抑えられる点が利点です。一方で、鉄骨住宅は木造住宅よりも重さがあるため、地盤によっては補強が必要な点には注意しましょう。

鉄骨住宅はDIYでリフォームできますか?

鉄骨住宅のリフォームはDIY可能です。しかし、鉄骨住宅は壁自体が構造の一部となっているケースが多く、素人が知識なく行えるものではありません

木造住宅と比較すると鉄骨住宅はDIYの難易度が高いため、鉄骨リフォームに特化した施工業者への依頼がおすすめです。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】株式会社フレッシュハウス 樋田明夫

株式会社フレッシュハウス

樋田明夫

フレッシュハウスでリフォームの営業担当を長年経験し、数々のリフォームコンテストでの受賞実績を持つ。現在はフレッシュハウス本社における営業戦略室の室長として、大規模リフォームから通常のリフォーム物件まで幅広く対応中。

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