目次
屋根の棟とは?
屋根の棟とは、勾配屋根の頂点にある、屋根面と屋根面が接した部分のことを言います。
勾配屋根の頂点は、風や雨の影響を受けやすい箇所であるため、浮きなどが発生しやすいのも弱点です。
屋根の棟において浮きなどのトラブルが起きると、建物で雨漏りが起きるおそれもあるため、早めに修理をおこなうことが大切です。
【特徴1】棟は屋根材によって種類が異なる
屋根の棟は、屋根材によって種類が異なります。
屋根の棟 | 屋根材の種類 |
---|---|
棟板金 | ・金属屋根 ・スレート屋根 ・アスファルトシングル屋根 |
棟瓦 | ・瓦屋根 (日本瓦・セメント瓦・モニエル瓦など) |
金属屋根やスレート屋根における屋根の棟には、金属製などの「棟板金」という部材が使われています。
一方、瓦屋根における棟で使われているのは、屋根材と同じ素材の瓦です。
瓦屋根の棟用に加工された瓦を、漆喰などで固定して「棟瓦」をつくっています。
【特徴2】屋根の棟における耐用年数は15年が目安
屋根の棟を取り付けてから15年ほど経過すると、棟板金や棟瓦において割れなどの経年劣化が起きやすくなります。
そのため、棟板金の交換や棟瓦の積み直しなどで、屋根の棟を修理する必要があります。
屋根の棟 | 必要な修理 |
---|---|
棟板金 | ・棟板金の交換 ・棟板金における釘の打ち直し ・貫板の交換 |
棟瓦 | ・棟瓦の積み直し ・棟瓦の漆喰補修 |
屋根における棟の種類を確かめて、取り付けから15年を目安に、屋根の棟における修理を検討しましょう。
屋根の棟を修理すべきタイミング
棟板金が浮いているなどのタイミングで、屋根の棟における修理が必要です。
ここでは、どういうタイミングで屋根の棟を修理すべきなのか学んで、雨漏りなどのトラブルを回避しましょう。
【タイミング1】棟板金でサビが発生
棟板金のサビを長く放置すると、サビによって棟板金に穴があき、棟板金の内側に雨水が入り込みやすくなります。
棟板金の内側に雨水が入ると、棟板金を支える貫板で腐食が起きたり、建物で雨漏りが起きたりする場合もあるため、早めに屋根の棟を修理しなければいけません。
もし棟板金に穴があいているなら塗装などによる補修は難しいため、新しい棟板金に交換しましょう。
【タイミング2】棟板金が浮いている
棟板金が浮いていると、強風で棟板金が飛ばされるなどのトラブルを起こすリスクもあります。
- 飛散した棟板金で窓ガラスが割れる
- 貫板が露出して腐食する
このようなトラブルを防ぐためには、棟板金における釘の打ち直し、または棟板金の交換が必要です。
専門業者に棟板金が浮いている原因を調査してもらい、屋根における棟板金の浮きを改善しましょう。
飛び込み営業から「お宅の棟板金が浮いているのを発見しました」と言われ、修理工事の契約後に高額な費用を請求されるケースが増えています。棟板金に浮きがあっても、飛び込み営業とはすぐに契約せず、相見積もりで依頼する業者を選びましょう。
【タイミング3】棟板金が飛ばされた
棟板金が風で飛ばされた場合、棟板金を支える貫板が露出するため、棟板金を支える貫板における腐食などの劣化が起きやすくなります。
また、屋根の棟部分から雨水が入り、建物で雨漏りが起きるリスクも高まります。
そのようなトラブルが起きないように、棟板金が飛ばされたタイミングで、新たな棟板金の設置をおこないましょう。
もし飛ばされていない棟板金にサビなどの劣化があるなら、既存の棟板金も含めて修理が必要です。
【タイミング4】棟瓦がずれている
屋根の棟瓦がずれていると、隙間から雨水が入って雨漏りを起こしたり、棟瓦が崩れてしまったりするおそれもあります。
そのため、そのようなトラブルが起きる前に、棟瓦の部分補修か積み直しが必要です。
棟瓦がずれてしまうのは、棟瓦を固定している漆喰や銅線などの劣化が原因として考えられます。
- 棟瓦を支える漆喰が崩れた
- 棟瓦をとめていた銅線が切れた
棟瓦がずれてしまった原因を調査し、雨漏りなどのトラブルが起きる前に棟瓦を修理しましょう。
【タイミング5】棟瓦の漆喰が崩れた
棟瓦の漆喰が崩れていると、漆喰の崩れ箇所から雨水が入って、建物で雨漏りを起こすリスクが高まります。
棟瓦は雨水が入りにくいような構造になっているため、すぐに雨漏りが起きるわけではないものの、漆喰の崩れを放置するのは危険です。
漆喰の崩れを放置すると、瓦を固定する力が弱まり、屋根の棟部分が崩れてしまうおそれもあります。
このようなトラブルが起きないように、棟瓦の漆喰が崩れたタイミングで修理を検討しましょう。
屋根の棟を修理する際の費用
屋根の棟を修理する際の費用は、棟板金の交換で5,000円〜、棟瓦の積み直しで10,000円〜が目安です。
修理内容 | 費用相場 |
---|---|
棟板金の交換 | 5,000〜7,000円/m |
貫板の交換 | 5,000〜7,000円/m |
棟板金の釘を打ち直す | 4〜10万円 |
棟瓦の積み直し (取り直し) | 10,000〜12,000円/m |
棟瓦の漆喰補修 | 4,000〜6,000円/m |
上記費用には、足場を設置する費用や諸経費などは含まれていません。それらの費用は別で必要になる点に注意しましょう。
このように、屋根の棟を修理する際の費用は、屋根の棟における修理内容によって異なります。
そのため、屋根における棟修理でかかる具体的な費用は、専門業者による見積もりで確かめましょう。
【修理費用1】棟板金の交換
屋根における棟板金の交換でかかる費用は、1メートルあたり5,000〜7,000円が目安です。
そのため、30坪の2階建て住宅の場合、棟板金の交換にかかる費用は5〜10万円ほどとなるでしょう。
ただし棟板金の長さによって作業時間や必要な部材の量が変わるため、棟板金の長さが変われば費用も多少変動します。
【修理費用2】貫板の交換
屋根における貫板の交換でかかる費用は、1メートルあたり5,000〜7,000円が目安です。
そのため、30坪の2階建て住宅なら、貫板の交換にかかる費用は5〜10万円ほどです。
修理内容 | 費用相場 ※30坪・2階建て住宅の場合 |
---|---|
貫板の交換 | 5〜10万円 |
貫板・棟板金どちらも交換 | 10〜20万円 |
ただし貫板の長さによって作業にかかる時間などが変動するため、費用も貫板の長さで多少変動する点を覚えておきましょう。
【修理費用3】棟板金の釘を打ち直す
屋根における棟板金の釘を打ち直す際にかかる費用は、4〜10万円が目安です。
ただし棟板金の釘を打ち直す必要がある箇所の多さによって、釘の打ち直しにかかる費用も多少変動します。
とくに寄棟屋根などの複雑な屋根形状は、棟板金の設置箇所が多い傾向にあるため、釘の打ち直しを必要とする箇所も多くなりがちです。
そのように棟板金が長い屋根形状である場合は、相場より費用が高くなりやすい点に注意しましょう。
【修理費用4】棟瓦の積み直し(取り直し)
屋根における棟瓦の積み直しにかかる費用は、1メートルあたり10,000〜12,000円が目安です。
30坪の2階建て住宅なら、棟瓦における積み直しの費用は10〜20万円ほど。ただしこの費用目安は「乾式工法」という方法で棟瓦の積み直しをおこなった場合です。
乾式工法とは、漆喰や葺き土など、水分が必要な素材を使わずに仕上げる方法のこと。
金具や樹脂などで棟瓦を仕上げるため、漆喰などを使うよりも手間がかからず、費用が安くすみます。
もし漆喰や葺き土などで棟瓦を積み直すなら、相場より費用が高くなる場合もある点を覚えておきましょう。
【修理費用5】棟瓦の漆喰補修
屋根における棟瓦の漆喰を補修する際の費用は、1メートルあたり4,000〜6,000円が目安です。
建物の大きさなどを参考に、屋根における棟の長さから、棟瓦の漆喰補修にかかる費用を算出してみましょう。
ただしメーター数から費用の目安を算出する場合、棟瓦の漆喰は左右に塗られていることに注意が必要です。
たとえば、屋根の棟が10メートルなら、棟瓦の漆喰補修が必要なのは20メートル(10メートル×2)です。
そのように漆喰における補修が必要なメーター数を出して、費用の目安を確かめてみましょう。
屋根の棟修理でかかる費用を安く抑える方法
屋根の棟修理でかかる費用を安く抑えるには、相見積もりをするなどの方法が有効です。
ここではどのようにしたら費用を抑えられるのかチェックして、家計への負担を軽減しましょう。
【方法1】補助金・助成金を活用する
屋根の修理で活用できる可能性があるのは、国や自治体による補助金・助成金制度です。
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業
- 既存住宅における断熱リフォーム支援事業
- 各自治体による補助金事業
これらの補助金・助成金制度の交付条件をクリアすれば、補助金・助成金が交付されます。
ただしそれぞれの補助金・助成金制度で、申請期限や必要書類などが異なるため、あらかじめ国や自治体のホームページなどで最新の情報をチェックしましょう。
【方法2】相見積もりをする
複数の業者による見積金額を比較することで、より安く屋根の棟を修理できる業者に依頼できます。
自分で専門業者を何社か探すか、専門業者の紹介サービスなどを活用して、相見積もりを進めましょう。
ほかの業者よりも極端に見積金額が安い場合は、くわしく見積内容を聞くなどの対処が必要である点に注意しましょう。
そのように見積金額が極端に安い場合、ほかの業者と見積内容が異なる、または必要な工事が含まれていない場合もあります。
【方法3】足場が必要な工事とセットで依頼する
屋根の棟修理でかかる費用を安く抑えるためには、足場が必要な工事とセットで依頼する方法も有効です。
屋根の棟修理は高所での作業となるため、足場を設置して修理するのが一般的。そのため、屋根塗装や外壁の張り替えなど、足場が必要な工事とセットで依頼すると、足場の設置にかかる費用を節約できます。
もし屋根塗装などを屋根の棟修理とは別に依頼した場合、工事回数の分だけ足場の設置にかかる費用が発生します。
そのように何度も足場の設置に費用がかからないよう、屋根塗装などのリフォームを検討しているなら、屋根の棟修理とセットで依頼しましょう。
屋根の棟を修理する際に火災保険は使える?
屋根における棟板金の浮きやはがれなどを修理する場合、火災保険を使える場合があります。
ただし屋根の棟における修理で火災保険が適用になるのは「自然災害が原因である」と認められた場合であるのが一般的です。
そのため、経年劣化で棟板金が浮いている場合などは、火災保険が適用にならない場合も多い点に注意しましょう。
屋根の棟板金や棟瓦はDIYで修理できる?
屋根の棟板金や棟瓦は、DIYでも修理できます。
しかし、屋根における修理は高所での作業となるため、転落などの事故が起きる危険性もあります。
そのため、屋根の棟板金や棟瓦の修理は、専門業者に依頼するのがおすすめです。
自分や家族が屋根での事故に巻き込まれないように、専門業者に棟板金・棟瓦の修理を依頼しましょう。
屋根の棟を修理してもらう業者選びのポイント
屋根の棟を修理してもらう業者は、アフターサービスが充実しているかなどをチェックした上で選ぶことも大切です。
ここでは、業者選びのポイントを確かめて「工事の後に雨漏りが起きた」などのトラブルが起きるのを回避しましょう。
【ポイント1】専門資格をもっている
建築やリフォームに関する専門資格をもっている業者であれば、建物の構造を理解しているため、雨漏りなどのトラブル回避が期待できます。
- 建築士
- 建築施工管理技士
- 雨漏り診断士
これらはそれぞれ国や法人によって、一定以上の専門知識があると認定されて取得する資格です。
そのため、専門資格をもつ専門業者に依頼すれば、雨漏りなどのトラブルが起きるリスクを回避できるでしょう。
【ポイント2】屋根棟の修理における実績が豊富
屋根の棟における浮きなどのトラブルを防ぐには、専門知識だけでなく豊富な経験も必要です。
豊富な経験が必要であるのは、屋根の棟で起きている劣化症状などに対して、必要な修理内容を判断しなければならないことが理由として挙げられます。
屋根の棟における状態は、建物によって異なるため、これまでの経験から最適な修理方法を提案してくれる業者に依頼しましょう。
【ポイント3】アフターサービスが充実している
屋根の棟を修理した後も、定期的に点検をおこなっている業者であれば、不具合が起きたときも安心です。
「屋根から変な音がする」など、工事後に不具合があった場合でも、気軽に相談できます。
屋根の棟は高所にあるため、自分たちで点検すると転落などの事故を起こす危険性があります。
そのため、工事後も点検をおこなってくれるような、アフターサービスが充実している業者を選びましょう。
屋根の棟における修理の施工事例
屋根の棟における修理の施工事例を紹介します。
実際に屋根の棟における施工事例をチェックして、自宅の屋根ではどのような修理が必要かを確かめましょう。
【事例1】破損した屋根の棟板金を修理
リフォーム費用 | 約135万円 ※屋根の棟以外も含む |
工期 | 21日間 |
建物の用途 | 一戸建て |
施工箇所 | 屋根外壁ベランダ |
「台風で破損した棟板金を修復したい」とご相談があり、棟板金の交換をおこなった施工事例です。
屋根を点検した結果、屋根の棟板金が飛ばされており、棟板金の内側にある貫板が見えている状態でした。
また、台風で飛ばされなかった棟板金においても、浮きが発生していたため、棟板金の交換を提案。屋根全体の棟板金を新しいものに交換し、雨漏りのリスクが少ない状態に仕上げました。
【事例2】屋根の棟板金と貫板を交換
リフォーム費用 | 約17万円 |
工期 | 2日間 |
建物の用途 | 一戸建て |
施工箇所 | 屋根 |
「台風の影響で棟板金がはがれて、雨漏りが起きているので補修してほしい」とご依頼があり、棟板金と貫板の交換をおこなった施工事例です。
建物で雨漏りが起きている状態であるため、屋根裏からサーモグラフィカメラを使って、雨漏りの状況を調査しました。
屋根や屋根裏の調査をした結果、棟板金と貫板の交換が必要であると判断。腐食していた貫板も含めて、屋根の棟における修理をおこないました。
【事例3】棟板金の浮きを修理
リフォーム費用 | 約46万円 |
工期 | 1週間 |
建物の用途 | 一戸建て |
施工箇所 | 屋根 |
「屋根の劣化が気になる」とご相談があり、棟板金の交換をおこなった施工事例です。
屋根を点検したところ、棟板金に浮きや割れが発生していたため、棟板金の交換が必要であると判断。ガルバリウム鋼板の棟板金への交換をおこないました。
【事例4】棟瓦の漆喰を補修
工期 | 3日間 |
建物の用途 | 一戸建て |
施工箇所 | 屋根 |
「大雨が多く、漆喰を一度も交換していないのが心配」とご相談があり、棟瓦の漆喰を補修した施工事例です。
夏場における漆喰の補修は、作業効率や温度・湿度管理を徹底する必要があります。
夏場における漆喰は乾燥するスピードが早く、漆喰内部との乾燥時間差によって、漆喰の割れが生じやすいという点に注意しなければいけません。
そのため、漆喰に割れが生じないように、丁寧さと作業のスピーディーさのどちらにも注意して、棟瓦における漆喰補修をおこないました。
屋根の棟を修理するまでの工程
屋根の棟を修理するまでの工程は、修理する箇所や内容によって異なります。
ここでは「棟板金の交換」と「棟瓦の積み直し」の工程を頭に入れて、屋根における棟の修理をスムーズに進めていきましょう。
【パターン1】棟板金を交換する工程
屋根における棟板金の交換工事は、1〜2日が工期の目安です。
棟板金の下地である貫板が腐食している場合、貫板の撤去もあわせておこないます。
貫板の撤去をした場合、新しい貫板を取り付けた後、貫板に棟板金を取り付けます。
コーキングで釘頭を処理することで、釘の抜けを防止します。
【パターン2】棟瓦を積み直しする工程
屋根における棟瓦の積み直しは、1〜3日が工期の目安です。
【Q&A】屋根棟の修理に関するよくある質問
- 屋根棟を修理するなら足場は必要?
-
屋根棟を修理するなら、基本的に足場の設置が必要です。
厚生労働省が定める労働安全衛生規則において「高さが2メートル以上の箇所は足場を設置して作業する」と定められています。
労働安全衛生規則第518条事業者は、高さが2メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。
引用元:労働安全衛生規則(厚生労働省)
屋根棟の修理は、2メートル以上の作業に該当するため、基本的に足場を設置する必要があります。
- 屋根棟の修理にリフォームローンは使える?
-
屋根棟の修理で、リフォームローンを利用できる場合があります。
ただし金融機関によって、リフォームローンの対象となる工事金額・内容が異なる点に注意しなければいけません。
もし屋根棟の修理でリフォームローンを利用したいなら、金融機関にリフォームローンの利用条件などを確かめておきましょう。
屋根リフォームの業者選びで後悔しないために
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