雨樋の継手(ジョイント)の付け方・外し方
経年劣化で雨樋が割れたり、ゆがんだり、外れたりすると、雨水を適切に排水できなくなります。破損した雨樋は取り外して新しい部材へ交換しますが、継手の種類によって外し方が異なります。高所作業は転落の危険があるため、無理をせず専門業者へ依頼しましょう。

雨樋のツメを外す
軒樋は「樋受金物」で固定されています。樋受金物には、軒樋を下から支えるタイプと、上からツメで引っかけるタイプがあり、吊り方は外吊りと内吊りの2種類です。金具が露出している外吊りタイプは比較的外しやすい一方、外から金具が見えにくい内吊りタイプは取り外しが難しく、専門業者は専用工具を使います。外吊りの樋受金物は、軒樋の外側を斜め上へ少し持ち上げると外れるものや、樋の上端を挟むツメを上から外側へ動かすと外れるものがあります。樋受金物は「鼻隠し」と呼ばれる木部にビスで固定されているため、交換時はインパクトドライバーなどで外すのが一般的です。
雨樋の固定バンド(でんでん)を外す
縦樋を固定する金具は「固定バンド」や「でんでん」と呼ばれます。外し方は製品ごとに異なるため、縦樋を支えながら固定方法を確認し、メーカーの施工説明に従って取り外してください。壁側の金具まで外した場合は、残った穴から雨水が入らないように防水処理を行います。
エルボやたて継手は外せないことが多い
雨樋のつなぎ目の外し方は、固定方法によって異なります。エルボやたて継手は、漏水を防ぐために「樋専用接着剤」で固定されており、簡単には外れません。たとえば、集水器下のエルボから漏水していても、エルボだけでなく集水器から交換することがあります。集水器とエルボの境目で切断すると、新しいエルボを接続する余裕が残らないためです。エルボと集水器を外すときは、呼び樋の中央付近で切断します。取り付け時は継手で新しい呼び樋をつなぎ、集水器とエルボを接続します。接着剤で固定されず、エルボが差し込まれているだけの場合もあるため、作業前に抜けるか確認しましょう。

縦継手から漏水している場合や縦樋が抜けた場合は、縦継手の上部をのこぎりで切り落とし、新しい縦継手と縦樋を接着して既存の樋へつなぎます。つなぎ直す前に接続部分のほこりやごみを取り除き、樋専用接着剤を使用してください。高所での作業はできるだけ専門業者に任せましょう。
雨樋の継手(ジョイント)の取り付け方
雨樋のパイプをつなぐジョイントは、軒樋用・縦樋用などで形状や施工方法が異なります。軒樋に継手を取り付ける場合は、部材に適合する雨樋専用接着剤を使い、メーカーの施工説明に従って接合します。縦樋やエルボも、製品によって接着位置や接着の要否が異なります。差し込むだけで施工できるとは限らず、無理に引き抜くと破損するおそれがあるため、既存部材のメーカーと型番を確認してから交換しましょう。

雨樋の継手の種類
雨樋の連結部分には、エルボ、パッキン継手、たて継手、軒継手などを使い、軒樋と縦樋の間には集水器を取り付けます。それぞれ役割や取り付け位置が異なるため、交換前に用途を確認しておきましょう。

エルボ
エルボは、雨樋の向きを変えるための継手です。曲がった形状のエルボに直線状の雨樋をつなぐことで、雨水を排水口までスムーズに導きます。
パッキン継手
パッキン継手は、厳密には継手ではありませんが、横方向の雨樋と縦樋を接続する部分から雨水が漏れるのを防ぐ部品です。継手は通常、接着剤で接合します。ただし、場所によっては十分に密閉できず、雨水が漏れやすくなることがあります。そのような場合は継手にパッキンを追加し、隙間からの漏水を防ぎます。
たて継手
たて継手は、縦樋(竪樋)をつなぐためのジョイントです。漏水を防ぐため、上側は配管にかぶせ、下側は配管へ差し込む形状になっています。
軒継手(軒樋のジョイント)
軒継手は、屋根に設置した軒樋同士をつなぐ継手です。左右から軒樋を差し込んで固定する形状で、交換や新設の際は、軒樋の長さを調整して接合します。
集水器
集水器は、軒樋を流れる雨水を集めて縦樋へ送る部品です。雨水が勢いよく流れ込んでもあふれにくいよう、容量に余裕を持たせた形状になっています。集水器に縦樋をつなぎ、排水口まで雨水を導きます。
雨樋の継手交換の注意点
雨樋の継手を交換するときは、部材の上下や接続方法を確認し、安全な足場を確保することが重要です。固定金具を外した箇所には防水処理も必要になるため、取り付けだけでなく作業後の処置まで確認しましょう。

継手の上下と接続方法に注意する
縦継手を交換するときは、上下の向きを間違えないようにしてください。縦継手は上側が太く、下側が細くなっています。向きを誤ると、交換後も縦継手と縦樋の境目から漏水するおそれがあります。正しく接続するには、上から延びる縦樋を縦継手の内側へ差し込み、縦継手の下側を下方の縦樋へ差し込みます。上側の縦樋を縦継手の外側へ接続すると、排水時に継ぎ目から漏れることがあるため注意しましょう。軒樋の場合は、切断した軒樋同士の中央に軒継手を当て、接着剤をむらなく塗って固定します。

足場に注意する
高さ2m以上で、墜落により作業員に危険を及ぼすおそれがある場所では、事業者は足場などの方法で作業床を設ける必要があります。作業床の設置が困難な場合は、防網を張る、要求性能墜落制止用器具を使用させるなどの措置が必要です。雨樋の修理は高所作業になることが多く、はしごだけでの作業は転落の危険があるため、専門業者に依頼しましょう。
※ 参考1:e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
※ 参考2:厚生労働省「安全帯が墜落制止用器具に変わります」

金具を外した穴はシーリング材で防水する
軒下の鼻隠しや外壁から雨樋の固定金具を外した後は、残った穴から雨水が入らないように防水処理を行います。下地や既存材に適合するシーリング材を選び、施工面を清掃して、製品の施工要領に従って充填しましょう。シーリング材の種類によって性質や硬化条件が異なるため、将来の痩せを見込んで必要以上に多く充填するのではなく、適切な材料と施工方法を選ぶことが大切です。

継手を理解するための雨樋の基礎知識
雨樋は、屋根から流れる雨水を集めて排水する設備です。形状や用途に応じて複数の部材で構成されています。
雨樋の役割
雨樋には、軒に設置する「軒樋」と、軒樋で受けた雨水を排水溝や雨水桝へ導く「縦樋」があります。屋根の周囲に取り付けられた軒樋が雨水を受け、接続された縦樋を通して排水溝や雨水桝へ流します。雨樋は、雨水が外壁を直接伝うのを防ぎ、外壁や土台を水による浸食から守る設備です。雨樋がなければ、屋根から流れ落ちた雨水が外壁を伝ったり、落ちたしずくが跳ねて外壁や土台を汚したり、水たまりを作ったりします。こうした状態が続くと、コケやカビで外観を損なうだけでなく、湿気によって木部が腐食し、シロアリが発生することもあります。

雨樋の種類

樋の形状には、「半円形」「角型」のほか、豪雪地域で使われる「特殊型」があります。また、構造によって次の3種類に分けられます。

- 溝型
樋の断面には、「半円形」「U字型」「横向きのコの字型」「V字型」「逆台形」などがあります。 - 管型
断面が筒状になっているものです。 - 鎖型
鎖状の部材に雨水を伝わせて下へ流すもので、縦樋として用いられます。
雨樋の主な素材には、「塩化ビニール」「合成樹脂」「ガルバリウム鋼板」などがあります。塩化ビニール製の雨樋は「塩ビ樋」とも呼ばれます。
雨樋が劣化するとどうなるのか
雨樋が普及したのは江戸時代といわれ、当時は木を彫り込んだものや、竹を半円形に切ったものが使われていました。明治時代になるとトタンやブリキ製が登場し、戦後以降は塩化ビニール製が主流となっています。一般的な塩化ビニール製雨樋の耐用年数は約20年といわれますが、紫外線がよく当たる南側や風雨にさらされやすい場所では、寿命が短くなる傾向があります。経年劣化が進むと、気づかないうちにひび割れや破損が生じることがあります。物の衝突や地震で外れることもあるため、こまめに状態を確認しましょう。
雨樋に使われる部品の材質
雨樋の固定には、金属製や樹脂製の部品が使われます。

ステンレス
ステンレス製の金具は、雨水によるさびが生じにくく、破損しにくいため、多くの建物で使われています。ただし、大きくゆがむと修正して再利用するのが難しく、交換が必要になることがあります。また、銀色の金具は目立ちやすく、雨樋の色や建物の外観によってはデザインになじまない場合があります。
樹脂
金属部品の表面を樹脂でコーティングした部品です。色や見た目を調整しやすく、雨樋に取り付けても目立ちにくい特徴があります。ただし、強い力が加わると樹脂が割れることがあり、経年劣化で表面がぼろぼろになる場合もあります。
亜鉛メッキ
雨樋の固定金具には、鋼材の表面に亜鉛めっきを施して耐食性を高めた製品があります。亜鉛めっき鋼板は一般にトタンと呼ばれますが、雨樋の固定金具がすべてトタンという意味ではありません。めっき層や表面の状態によって腐食の進み方は異なるため、定期的に変形やさびの有無を確認しましょう。
雨樋修理の費用相場と工期
雨樋の修理費用は工事範囲によって異なり、継手の交換は約5,000円から、雨樋の補修・交換は1mあたり約3,000円からが相場です。雨樋全体を交換する場合は、総延長にもよりますが、約20万円からが相場とされています。

台風や雹、雪などの自然災害で雨樋が損傷した場合は、加入している火災保険の補償対象になることがあります。ただし、経年劣化による損害は対象外で、契約内容や自己負担額によって受け取れる保険金も異なります。修理業者と契約する前に、保険会社または保険代理店へ相談してください。工期の目安は、継手の交換や雨樋の一部交換なら約半日、雨樋全体の交換なら約2日です。

※ 参考:日本損害保険協会「住宅の修理などに関するトラブルにご注意」
雨樋の継手修理を依頼するリフォーム業者の選び方
雨樋や継手の修理を依頼するときは、被害の拡大を防ぐため、早く対応できる業者を探しましょう。その際は、雨樋修理の実績や利用者の口コミも確認します。すぐに工事できない場合でも応急処置に対応する業者があるため、故障に気づいたら早めに相談してください。雨樋全体をリフォームする場合は、複数の業者から見積もりを取り、工事内容や費用を比較します。見積もりを依頼するときに希望するデザインや予算を明確に伝えると、要望に沿った提案を受けやすくなります。雨樋工事は簡単に見えても、適切な排水と作業の安全性を確保するには専門知識が必要です。また、業者に依頼しても、自分で材料や道具をそろえて施工する場合と比べて費用差が大きくないことがあり、工期も短縮しやすいため、満足度の高い仕上がりが期待できます。
雨樋の修理をプロに依頼するメリット
雨樋の修理をプロに依頼すると、どのようなメリットが考えられるのでしょうか?最大のメリットは、自分で高所作業をせずに済み、転落事故のリスクを抑えられることです。雨樋工事は高所作業になるため、命綱などの安全装備がなければ、転落時に大けがをするおそれがあります。工期の短さと仕上がりの良さも、プロに依頼するメリットです。DIYでは作業に時間がかかりやすく、修理前に雨が降ると破損箇所から雨水が漏れる可能性があります。また、軒樋の接合で勾配が変わると、雨水が集水器まで流れにくくなり、継手部分にたまってあふれることがあります。専門業者に依頼すれば、適切な勾配と接合方法で施工し、雨水がスムーズに流れるよう調整してもらえます。短期間で工事が終わりやすいため、雨の多い時期も被害の拡大を防ぎやすくなります。保証内容や不具合時の対応は業者ごとに異なるため、契約前に確認しておきましょう。










