目次
梁の補強とはどのような工事なのか?
建物の梁を強化すると、何故住宅の強度を高めることができるのでしょうか?
まずは建物における梁の役割などについて見てみましょう。
建物における梁の役割とは?
住宅の梁は、建物の横方向に加わる力を抑え、地震や台風などの横揺れに耐えるための部分です。
梁の強度が低かったり、老朽化したりして脆くなったりしてしまうと、横揺れ発生時に建物を支えることができなくなってしまい、屋根や2階部分など、住宅上部の構造物が落下してしまうことがあります。
柱と梁の関係とは?
柱は屋根や2階部分などの上部構造物を支えていますが、建物は屋根の形状や部屋の形などによって部位ごとに重さが変わるため、そのままでは柱ごとにかかる負担が大きく変わってしまいます。
もし、柱にかかる重量バランスが崩れたままの状態が続くと、老朽化によって負担の大きい柱が折れてしまったり、建物が大きく揺れたりした際に重量を支えきれなくなってしまうのです。
これを防止しているのが梁で、梁は上部構造物の重量を支えつつ柱に分散して重さを伝える働きがあるため、柱にかかる重量のバランスを調整し、建物の強度をより高めることができるのです。
梁を補強するにはどのような方法がある?
リフォームで梁を強化する場合、どのような工法が用いられるのでしょうか?
鉄の梁に入れ替える方法
木造住宅の場合、構造上太くて強い梁に入れ替えるのが難しい場合もあります。
このような箇所に用いられるのが、H鋼などの鉄製の梁を用いる工法です。上記の方法が困難な場合、既存の梁・桁(躯体)の下部を炭素繊維シートで巻き込む補強があります。
長所と短所ですが、下部に新たに構造材を添える方法と違い既存の天井高を確保しやすくなります。工期についてはおおむね1週間ほど完了しますが、100%の強度に達するのに夏場は1週間から10日、冬場に至っては、1か月程度かかるのが、短所になります。
一方、費用については、約20~30万/箇所程になりますが、状況によって左右されます。
新しい梁を追加する方法
梁は屋根裏部分や2階の床下部分などに部屋をまたぐような形で取り付けられていますが、新たに部屋を覆う壁沿いに梁を追加するという方法もあります。
既存の柱に新しい梁を追加する工法のため、梁を交換する場合に比べて強度を高めることができますが、建物の重量が多少増えてしまうため、柱の強度との兼ね合いが重要です。
木の梁に金具で補強を施す方法
梁と柱やその他構造物との接続部に金具を追加して補強する方法もあります。
この工法は屋根裏部分でそのまま施工することができるため、比較的手軽に施工できますが、柱や梁が老朽化している場合には使用できません。
梁の補強などによる耐震補強工事は、建物の構造や状態によって施工方法が大きく変わりますので、まずはリフォーム会社等に調査を依頼し、プランを立ててもらいましょう。
梁を耐震補強するリフォームの方法と規模
梁の耐震補強工事では、どのように施工していくのでしょうか?
壁紙を剥がして室内から耐震補強リフォームを施す
これは金具の設置や梁の入れ替えなどで行われる施工方法です。
内装の壁紙や土壁を剥がし、壁の中にある梁を入れ替えたり、金具で補強したりします。
内壁を解体して施工を行うため、梁の補強後に内装の補修が必要となりますが、足場の設置などの手間がかからないため、比較的安価に施工できるようです。
室外から耐震補強リフォームを施す
こちらは外壁の一部を解体して梁に耐震補強工事を施す工法です。
建物を大きくまたぐような大きな梁を入れ替える場合などに用いられることが多いのですが、壁の内部にある梁に金具を設置する場合などにも用いられます。
スケルトンリフォームで梁を耐震補強するリフォーム
外壁や内壁などの部材を全て解体して柱と梁だけにしてから行うリフォームをスケルトンリフォームといいます。
この工事は、梁を全体的に入れ替える場合や、梁以外の場所、柱や屋根などの構造物にまで補強を施す際などに用いられる工法です。
大がかりな工事となるため、施工期間も費用が多くかかりますが、建物全体の耐震補強を行うことができるため、長期的な安全性を重視したり、老朽化した建物を蘇らせたりしたい場合などに向いています。
梁の耐震補強リフォームにかかる工期の目安
実際の工事ではどの程度工事期間がかかるのでしょうか?
室内から耐震補強リフォームを行う場合の工期の目安
室内から施工する場合については、内壁の解体工事に約1日、梁の補強工事に約2日、内装の補修に約2日の合計約5日が目安です。
これは、1部屋に金具の設置のみを行う場合の工期で、複数の部屋に施工したり、新しい梁に入れ替えたりする場合については、施工内容によって工期はさらに長くなることもあります。
また、内装のリフォームについても、塗壁かクロス貼りかによって施工期間が変わりますので、正確な工期について知りたい場合には、リフォーム会社に相談しておくと良いでしょう。
室外から耐震補強リフォームを行う場合の工期の目安
外壁を剥がして施工を行う場合については、足場の設置及び風雨の侵入を抑える養生シートの設置が約1日、外壁の解体が約1日、補強工事に約2日、補修及び足場等の撤去に約3日の合計7日が目安です。
複数の場所に施工する、梁を入れ替えるなどの大きな工事を行う場合については、建物の構造や工事の内容によって工期は大きく変わります。
スケルトンリフォームで梁の耐震補強を行う場合の工期の目安
スケルトンリフォームで耐震補強工事を行う場合については、一時的な引っ越し作業や足場の設置、内外壁の解体等の作業が必要になります。
また、柱や梁の補強後には内壁、外壁、屋根等の内外装を新しく施工しなければならないため、工期は合計で約半年からが目安です。
梁を補強するメリットとデメリット
梁を補強することによるメリットは、地震の揺れによって建物が倒壊しにくくなること、強い揺れでも梁によって上部構造物が支えられ、脱出する時間が稼げることなどです。
また、建物の基本的な強度が増すため、建物そのものの寿命も長くなると言われています。
デメリットについては、大がかりな工事になりやすいため、仮住まいの用意や引っ越しが必要となる場合があることです。
一部の部屋のみを補強する場合などはこの限りではありませんが、建物全体の梁に補強工事を施す場合などは一時的な引っ越しがほぼ必要となるため、費用や手間などが大きくなってしまうでしょう。
梁を耐震補強するリフォームにかかる費用の目安
梁の耐震補強リフォームにかかる費用は、約30万円から、場合によっては約1,000万円を超える場合もあります。
これは、工事内容によって施工費用が大きく変わることが理由で、簡単な金具の設置を行う場合が約30万円から、スケルトンリフォームで梁や柱を補強する場合が約1,000万円からです。
梁のリフォームによる耐震補強工事については、建物の構造や状態などに合わせて工事方法や範囲が変わりますし、工事方法についても外壁から行うか内壁から施工するかといった部分が変化します。
また、建物の傷み具合によってはスケルトンリフォームが必要となる可能性もあるため、一概に相場というものがつかみにくいのが実情です。
自宅に耐震補強を施す際の施工費用についてもっと詳しく知りたいという方は、リフォーム会社に調査を依頼し、施工プランと見積もりを立ててもらうと良いでしょう。
梁で補強して柱を抜くリフォーム施工ができる業者の探し方
耐震補強リフォームとは少し違いますが、強度の高い梁に入れ替える、梁を補強して柱を減らし、室内空間をより広げるというリフォーム方法があります。
この工法を用いると、柱の数が減ってしまうため、建物の強度が下がり、耐震性も低下してしまうのですが、梁の補強方法や柱のぬき方によっては十分な強度を維持することが可能です。
しかし、経験の少ない業者などに依頼すると十分な強度を維持することができず、住民を危険にさらしてしまうため、施工を依頼する際には実績や評判などから判断し、経験豊富な業者を探すようにしましょう。
経験豊富な業者の探し方は、リフォーム業者を紹介しているサイトからピックアップしていく方法や、複数のリフォーム会社に構造計算を含んだ見積もりを依頼する方法などがあります。
また、受け取った構造計算書を建築士に依頼して評価してもらうのもおすすめです。
耐震リフォームの業者選びで後悔しないために
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