目次
- 1 なぜ今、断熱リフォームが注目されているのか?6つの項目でチェックしてみよう
- 2 断熱リフォームで得られる効果とメリット
- 3 断熱リフォームで後悔しないための3つの注意点
- 4 【箇所別】断熱リフォームの費用相場と工事期間の目安
- 5 断熱材の種類と特徴を比較!どれを選ぶべき?
- 6 断熱リフォームの最適なプランの選び方
- 7 【2025年最新】断熱リフォームで使える補助金・助成金制度
- 8 断熱リフォームのDIYは可能?
- 9 断熱リフォームでよくある失敗例と回避策
- 10 失敗しない!断熱リフォーム業者の見極めチェックポイント
- 11 【写真で見る】ハピすむ掲載!断熱リフォーム施工事例
- 12 断熱リフォームの相談から工事までの流れ
- 13 【Q&A】断熱リフォームに関するよくある質問
- 14 【まとめ】最適な断熱リフォームで、一年中快適な理想の住まいを実現しよう
なぜ今、断熱リフォームが注目されているのか?6つの項目でチェックしてみよう
「夏は2階が蒸し風呂状態で、夜も寝苦しい…」「冬はリビングは暖かいけど、廊下やトイレは凍えるように寒くて…」「エアコンをフル稼働させているのに、なかなか快適にならず電気代ばかりかさむ…」「窓の結露がひどくて、毎朝拭くのが大変。カビも心配…」こうした住まいの悩み、あなたも抱えていませんか?
- 光熱費が高いと感じる
- 部屋ごとの温度差が大きい
- 窓で結露が発生している
- 騒音が気になる
- 家族の健康(ヒートショックやアレルギーなど)が気になる
- 断熱材の劣化が気になる
断熱リフォームが今注目されている背景のひとつに「光熱費の高騰」が挙げられます。
電気代やガス代の値上げは家計を直撃し、冷暖房費の負担は増すばかり。経済産業省のデータによると、2022年度の電気料金は2010年度と比較して約59%も上昇しています。さらに、2025年4月以降も電気料金の上昇が見込まれるなど、光熱費対策としての断熱リフォームの重要性は増しています。
建物の断熱性能を高めることで、光熱費の削減だけでなく、結露の予防や騒音トラブルの回避などの効果も期待できるため「住まいの不満」がある場合は、断熱リフォームを検討してみましょう。
断熱リフォームで得られる効果とメリット
断熱リフォームによって建物の断熱性を高めることで、光熱費の削減や環境への負担を軽減するなどのメリットが得られます。このようなメリットを得ることで、日々の暮らしをより快適で、経済的なものに変えられるでしょう。
【効果1】光熱費の大幅ダウンで、家計の負担を軽減できる
断熱リフォームで建物の断熱性を向上させることで、冷暖房の効率も向上し、冷暖房にかかる費用を安く抑えられるでしょう。断熱性の高い建物は、外の冷えた空気が入りにくくなったり、室内の暖かい空気が外に出ていきにくくなったりと、熱の移動を抑えられます。
そのため、冷暖房の効率が向上して、光熱費の削減効果が期待できます。
環境省の調査では、家庭で消費されるエネルギーでは、暖房・冷房が20〜50%も占めていることがわかっています。とくに北海道では暖房のエネルギーの消費量が多く、全体の52%を占めています。
このように暖房や冷房で多くのエネルギーを消費しているため、断熱リフォームで冷暖房の効率を上げることで消費量も削減し、光熱費もリフォーム前より抑えられるでしょう。
【効果2】夏涼しく冬暖かい、1年中快適な家に
断熱性の低い建物では、外の気温が室内に伝わりやすいため、夏は蒸し暑く、冬は底冷えする傾向にあります。一方、断熱性の高い建物は、外の気温が室内に伝わりにくいため、快適な室温に保ちやすくなるでしょう。
たとえば、窓の断熱性を上げると、外気の影響を受けた窓からの冷気が室内に伝わるのを防いでくれます。そのため、室温も下がりにくく、冬も暖かい室温を維持しやすいのがメリットです。
このように、断熱リフォームは「心地よい暮らし」を送るための基盤づくりもできます。室内の温度変化がゆるやかになることで、体への負担も軽減され、快適に日々の暮らしが送れるようになるでしょう。
【効果3】室温の温度差を小さくして、ヒートショックのリスクを軽減
断熱性の高い建物は、外の気温の影響を受けにくいため、断熱性の低い建物よりも室温の温度差が小さい傾向にあります。また、室温の温度差が小さいことで「ヒートショック」のリスクも軽減できます。
ヒートショックとは、暖かい部屋と寒い部屋の温度差で、急激な血圧の変化が起こり、心筋梗塞などを引き起こす健康リスクのことです。ヒートショックで亡くなる人は、年間約19,000人と、交通事故の死亡者数の約4倍も多く、生活の中で注意すべき健康リスクであるといえます。
このように危険なヒートショックのリスクを軽減するには、部屋ごとの温度差を小さくして、体への負担を軽減することが重要です。もし既存の建物で「温度差にストレスを感じている」という場合は、断熱リフォームで温度差を改善できないか検討してみましょう。
【効果4】結露を抑えて、カビ・ダニが発生しにくい環境へ
断熱リフォームで窓や壁の断熱性を上げることで、温度差によって起きやすい結露の発生を抑え、カビやダニも発生しにくい清潔な環境を整えられるでしょう。
結露は、水蒸気を含んだ空気が冷たい窓などで冷やされ、水蒸気に含まれる水分が液体に変わることで発生します。
窓や壁で発生した結露を放置すると、湿度の高い状態が好きなカビやダニが発生して、アレルギーを発症するなどの健康被害が起きる原因にもなります。
このように健康を害するおそれのあるカビやダニの発生を予防するには、建物の断熱性の向上で結露の発生を抑えることが重要です。断熱リフォームで、カビ・ダニに悩まされない生活を目指しましょう。
【効果5】建物の耐久性アップで、おうちの寿命を伸ばす効果も
断熱リフォームで結露の発生や急激な温度の変化を抑えることで、建物の建材の腐食や伸縮を予防でき、建物の耐久性の向上も期待できます。
たとえば、外断熱で建物を断熱材で覆った場合、柱や梁の外側に断熱材を設置するため、それらを急激な温度変化から守れます。同様に、壁の内部に適切に断熱材を施工し、防湿・気密処理を施すことで、壁内結露の発生を抑制できます。壁内結露は、木造住宅の柱や土台といった構造上重要な木材を腐朽させたり、シロアリの発生原因となったりするリスクがありますが、これを防ぐことで建物の寿命を延ばすことに繋がります。
柱や梁などの木材は、急激な温度変化によって伸縮を繰り返すと、割れなどの劣化が起きやすいという弱点もあります。そのため、断熱リフォームで温度変化をゆるやかにすることで、建物に使われている木材を劣化から守り、おうちの寿命を伸ばす効果も期待できるでしょう。
【効果6】騒音を軽減する効果で、リラックスしやすい空間に
吸音性・遮音性の高い断熱材を採用することで、外部からの騒音の侵入を抑え、リラックスしやすい空間をつくれるでしょう。断熱リフォームの箇所によって、軽減できる音が異なるため、既存の建物で不満がある音について検討してみるのがおすすめです。
たとえば「屋根から雨音が響いて、夜ぐっすり眠れない」という場合は、天井裏断熱で天井裏に吸音性の高い断熱材を入れると、雨音を軽減できるかもしれません。
断熱リフォームの部位 | 騒音を軽減する効果が期待できる工法 |
---|---|
窓 | ・内窓の設置 ・窓ガラスの交換 (例:単板からトリプルガラスへ) |
壁 | ・内断熱で吸音性の高い繊維系断熱材を採用する ・断熱材と遮音シートを併用する |
天井 | 天井裏断熱で上階からの音や雨音を軽減する |
床 | 床上断熱で下階に響くの音を軽減する |
このように断熱リフォームでは、断熱性の向上だけでなく、騒音を軽減する効果も期待できます。もし建物の騒音に関する不満を解消したい場合は、断熱リフォームも検討してみましょう。
断熱リフォームで後悔しないための3つの注意点
断熱リフォームで後悔しないためには「室内のスペースが狭くなるケースもある」などの点に注意しなければいけません。
事前にリスクを把握して、満足度の高い断熱リフォームを実現できるように、断熱リフォームの注意点について理解しておきましょう。
【注意点1】リフォームの範囲によっては費用が高額になることも
建物全体の断熱性を上げるなど、断熱リフォームの範囲が広範囲に及ぶ場合、費用が高額になることもあります。たとえば、30坪の建物で、建物全体の壁の断熱リフォームする場合。外断熱を採用するなら、リフォームにかかる費用は150〜300万円が目安です。
このようにリフォームの費用が高額になる場合もあるため、予算を業者に伝えることが大切です。予算を伝えることで、業者も実現が可能な範囲で最適なプランを提案しやすくなるでしょう。
【注意点2】室内のスペースが狭くなるケースもある
断熱リフォームで、壁や床の内側に断熱材を設置する場合、既存よりも室内のスペースが狭くなるケースもあります。どれほどスペースが狭くなるかは、設置する断熱材の種類や厚みによって異なるものの、一般的には数センチから十数センチの変化になる傾向にあります。
特に、既存の部屋が比較的小さい場合はスペースの変化を感じやすい傾向もあるため、事前にリフォーム後の部屋の広さをシミュレーションしておくことがおすすめです。もし室内のスペースについて不安があるなら、床下断熱や外断熱など、スペースに影響のない工法の採用を検討しましょう。
【注意点3】施工不良で結露のリスクが高まることも
断熱材のあいだに隙間ができたり、換気計画が不適切であったりすると、既存の建物よりも結露の発生するリスクが高まるおそれもあります。
施工不良や不具合の内容 | 結露のリスクが高まる理由 |
---|---|
断熱材のあいだに隙間がある | 隙間の空気層で温度差が生じるため |
換気計画が不適切である | 空気の流れが悪く、湿気がたまるため |
このような断熱リフォームの施工不良や不具合を防ぐには、高い技術力のある業者に依頼することが重要です。業者を選ぶ際は、実績や評判を確認し、断熱に関する知識や経験が豊富な業者に依頼するようにしましょう。
【箇所別】断熱リフォームの費用相場と工事期間の目安
断熱リフォームの箇所ごとの費用相場や工事期間の目安を把握しておくと、断熱リフォームの計画が立てやすくなります。実際に業者と打ち合わせを進める前に、費用相場や工事期間の目安について理解しておきましょう。
断熱リフォームの箇所 | 費用相場 | 工事期間 |
---|---|---|
窓 (内窓の設置) | 5万〜20万円 (1箇所あたり) | 半日〜1日 |
壁 (外断熱) | 1.5万〜3万円 (1平方メートルあたり) | 1週間〜1か月 |
床 (床下断熱) | 0.8万〜2万円 (1平方メートルあたり) | 半日〜2日 |
天井・屋根 (天井断熱) | 0.5万〜1.5万円 (1平方メートルあたり) | 1〜3日 |
断熱性の高い断熱材は商品価格も高いため、そのような断熱材を採用する場合などは、上記の費用相場よりも高くなる傾向にあります。
断熱材の種類などで、断熱リフォームにかかる費用も大きく変動する点に注意しましょう。
【箇所1】窓の断熱リフォーム
窓の断熱リフォームにかかる費用は3〜50万円、工事期間は半日〜2日が目安です。ただし窓や窓ガラスの大きさや種類などによって、費用や工事期間も変動する点に注意しましょう。
断熱リフォームの内容 | 費用相場 (1箇所あたり) | 工事期間 (1箇所あたり) |
---|---|---|
内窓(二重窓)設置 | 3〜20万円 | 半日〜1日 |
窓(サッシ)の交換 (カバー工法/はつり工法) | 1〜50万円 | 半日〜2日 |
窓ガラスの交換 (ペアガラス/トリプルガラス) | 1〜15万円 | 半日〜1日 |
【1-1】内窓(二重窓)設置

窓の断熱リフォームの1つの方法である「内窓(二重窓)の設置」は、既存の窓の内側に、もう1つ窓を設置することで、既存窓との間に新たな空気層が生まれ、これが高い断熱効果を発揮します。
さらに、この空気層は音を伝えにくくするため、遮音性の向上や、外気との温度差を緩和することによる結露抑制効果も期待できます。工事が比較的簡単で、マンションなどで外窓の交換が規約上難しい場合や、手軽に窓の断熱性能を向上させたい場合に特におすすめです。
たとえば、LIXILが実施した実験では、既存の窓のみの場合よりも、内窓を設置した場合の方が7度も室内の温度が上昇しました。これは、内窓を設置することで、既存の窓よりも室内のあたたかい空気が外に逃げにくい状態となったことが理由として挙げられます。

このように窓の断熱性を向上させられる内窓は、比較的小さな窓であれば3〜10万円で設置できる場合もあります。工事期間も半日〜1日と短時間ですませられるため、壁や天井の断熱リフォームよりも気軽に実施しやすいでしょう。
費用を抑えるポイントとしては、複数の窓をまとめて工事することで単価を下げたり、補助金制度を積極的に活用したりすることが挙げられます。
【1-2】窓(サッシ)の交換(カバー工法/はつり工法)

既存の窓(サッシ)よりも断熱性の高い窓に交換することで、建物や部屋の断熱性の向上が期待できます。特に、古いアルミサッシの窓は熱伝導率が高く、大きな熱損失の原因となるため、樹脂サッシや木製サッシ、アルミ樹脂複合サッシといった断熱性能の高いサッシに交換することは非常に効果的です。
窓の交換には、既存の枠の上から新しい枠を取り付ける「カバー工法」と、既存の枠を撤去して新しい枠を設置する「はつり工法」の2つの工法があります。
窓の交換にかかる費用は、カバー工法の方が10万〜30万円と安く、壁を壊す必要がないため工事期間も短くすむ傾向にあります。騒音や粉塵も比較的少なく、住みながらのリフォームに適しています。
窓の交換方法 | 費用相場 | 工事期間 |
---|---|---|
カバー工法 | 10〜30万円 | 半日〜1日 |
はつり工法 | 20〜50万円 | 半日〜2日 |
ただし既存の枠の断熱性が低い場合、期待した断熱の効果が得られない場合もある点に注意しなければいけません。そのため、断熱性の高さを重視するなら、既存の窓の枠を撤去する「はつり工法」の採用がおすすめです。はつり工法は費用と工期がかかりますが、より根本的な断熱改修が可能です。
【1-3】窓ガラスの交換(ペアガラス/トリプルガラス)
既存の窓ガラスよりも枚数を増やしたり、断熱性の高い窓ガラスに交換したりすることで、窓の断熱性の向上が期待できます。
例えば、1枚のガラス(単板ガラス)から、2枚のガラスの間に空気層や特殊ガスを封入した「ペアガラス(複層ガラス)」や、3枚のガラスを使用した「トリプルガラス」に交換することで、熱の出入りを大幅に抑えることができます。さらに、ガラス表面に特殊な金属膜をコーティングした「Low-Eガラス」を選べば、夏の日差しを反射し、冬は室内の暖かさを逃がしにくくする効果があります。
窓ガラスの交換にかかる費用は1〜15万円、工事期間は半日〜1日が目安です。
ガラスの種類 | 費用相場 | 工事期間 |
---|---|---|
ペアガラス | 1〜5万円 | 半日〜1日 |
トリプルガラス | 5〜15万円 | 半日〜1日 |
ただし、既存の窓の枠と新しいガラスの規格が合わない場合などには、窓の枠の交換も必要になります。特に、単板ガラス用のサッシに厚みのあるペアガラスやトリプルガラスをそのまま取り付けることは難しく、アタッチメントを使用するかサッシごとの交換が必要になる傾向があります。
- 既存の窓の枠と新しいガラスの規格が合わない
- 既存の窓の枠が劣化している
- 窓全体の断熱性を向上させたい
【箇所2】壁の断熱リフォーム
壁の断熱リフォームには、既存の壁の内側に断熱材を入れる「内断熱(充填断熱)」と、建物の構造の外側を断熱材で覆う「外断熱(外張り断熱)」の2つの方法があります。どちらの工法も、壁からの熱の出入りを抑え、室内の温度を快適に保つ効果があります。
壁の断熱リフォームでかかる費用は、内断熱が1平方メートルあたり0.5〜1.5万円と、外断熱よりも安い傾向にあります。また、内断熱は大がかりな足場の設置が不要な場合も多いため、外断熱よりも工期は短くなるケースが多いでしょう。
断熱リフォームの内容 | 費用相場 (平方メートルあたり) | 工事期間 |
---|---|---|
内断熱 (充填断熱) | 0.5〜1.5万円 | 2日〜1週間 |
外断熱 (外張り断熱) | 1.5〜3万円 | 1週間〜1か月 |
ただし壁をはがした際に、下地の傷みが進んでいるなどして、断熱材を入れる前に補修が必要になる場合もあります。下地の補修などが必要になると、断熱リフォームにかかる費用のほかに、補修費用が発生する点に注意しましょう。
【2-1】内断熱(充填断熱)
「内断熱(充填断熱)」は、建物の柱と柱のあいだに断熱材を入れることで、建物の断熱性を上げるリフォームの方法です。主に木造住宅で採用され、壁の内部にグラスウールやロックウール、セルロースファイバーといった繊維系断熱材や、現場で発泡させる硬質ウレタンフォームなどを施工します。メリットとしては、外壁に影響を与えずに工事ができるため、外観を変えたくない場合や、隣家との距離が近い都市部でも施工しやすい点が挙げられます。また、部屋ごとに工事を進められるため、住みながらのリフォームも比較的容易です。
内断熱で主に使われる繊維系断熱材は、外断熱で使われる発泡プラスチック系断熱材よりも安価であるため、リフォームにかかる費用も安い傾向にあります。また、既存の内装の仕上げ材を再利用するなど、費用を安く抑える工夫も可能です。
ただし、施工不良によっては柱と断熱材のあいだに隙間ができてしまうと、期待される断熱効果が得られないおそれもあります。そのような施工不良によるトラブルを回避するには、施工実績が豊富な業者にリフォームを依頼することも重要です。
【2-2】外断熱(外張り断熱)
「外断熱(外張り断熱)」は、建物の構造の外側に断熱材を設置することで、建物の断熱性を上げるリフォームの方法です。柱や梁といった構造躯体を断熱材でまるごと覆うため、熱橋(ヒートブリッジ)が発生しにくく、建物全体の断熱性能を高めやすいのが大きなメリットです。また、構造躯体が室内側の温度環境に近くなるため、結露が発生しにくく、建物の耐久性向上にも寄与すると言われています。既存の柱や梁も断熱材で覆うため、高い断熱性を発揮しやすいのが魅力です。
また、建物の構造の外側を連続した断熱層で覆うことで、隙間が生じにくく、建物の気密性も高められる傾向にあります。
しかし一方で、建物全体を断熱材で覆うための「材料費」が高くなる傾向にあるため、内断熱よりも費用が高くなりやすいでしょう。外壁の仕上げ材(サイディングや塗り壁など)も新たに施工する必要があるため、工事が大掛かりになり、工期も長くなるのが一般的です。また、足場の設置も必須となるため、壁の断熱性を上げたい場合は、内断熱と費用を比較して検討するのがおすすめです。
【箇所3】床の断熱リフォーム
床の断熱リフォームには、1階の床下空間に断熱材を入れる「床下断熱」と、既存の床材の撤去後に断熱材を入れる「床上断熱」の2つの方法があります。床からの冷えは冬場の大きな悩みであり、特に足元の寒さは体感温度に大きく影響します。床の断熱性能を向上させることで、底冷えを解消し、暖房効率の改善も期待できます。
床の断熱リフォームにかかる費用は、床下断熱が1平方メートルあたり0.8〜2万円と、床上断熱よりも安い傾向にあります。また、床材の撤去が不要な分、工事期間も床下断熱の方が短く済むケースも多いでしょう。
断熱リフォームの内容 | 費用相場 (平方メートルあたり) | 工事期間 |
---|---|---|
床下断熱 | 0.8〜2万円 | 半日〜2日 |
床上断熱 | 1〜2.5万円 | 3日〜1週間 |
ただし既存の床材や床を支える木材が傷んでいるなど、補修が必要になる場合などは、上記の工事期間よりも長くなるかもしれません。リフォーム中の生活への影響を最小限に抑えられるように、事前に「補修が必要になった場合の工事期間」も業者と打ち合わせしておきましょう。
【3-1】床下断熱
床下断熱の工法には、床を支える木材(大引や根太)の間に板状やマット状の断熱材を敷く「敷き込み・貼り付け」と、液状の断熱材を床の裏側に吹き付ける「吹き付け」の2つの方法があります。床下からのアクセスが可能であれば、室内を解体せずに工事ができるため、比較的容易に施工が可能です。
専用の機械などが必要ない敷き込み・貼り付けの方が、リフォームにかかる費用も1平方メートルあたり0.8〜1.8万円と安く、工事期間も短い傾向にあります。使用される断熱材としては、ポリスチレンフォームやフェノールフォームなどの板状断熱材、グラスウールやロックウールなどのマット状断熱材があります。これらは、隙間なく正確に施工することが重要です。
一方、吹き付け(主に硬質ウレタンフォームなど)は敷き込み・貼り付けよりも費用が高いものの、複雑な形状にも隙間なく充填できるため、高い気密性が期待できるのも魅力です。
床下断熱の工法 | 費用相場 (1平方メートルあたり) | 工事期間 |
---|---|---|
敷き込み・貼り付け | 0.8〜1.8万円 | 半日〜1日 |
吹き付け | 1〜2万円 | 1〜2日 |
「敷き込み・貼り付け」と「吹き付け」のどちらを採用すべきかは、既存の床の状態や床下の形状(配管や配線の状況など)などによっても異なります。業者に床や床下を見てもらった上で、最適な工法を選択しましょう。
【3-2】床上断熱
床上断熱は、既存の床材をはがした後、断熱材を敷き詰めて、新しい床材を断熱材の上に設置する断熱方法です。床材の張り替えもあわせて実施できるため、既存の床材の傷みが進んでいる場合や、床材のデザインを一新したい場合に適した工法でもあります。
また、床上断熱は、床下の空間に余裕がない場合(床下に入れない、床下の高さが十分でないなど)でも断熱できるのが魅力。そのため、床下断熱が採用できないと判断された場合でも、床上断熱で対応できるケースもあります。断熱材としては、厚みのある板状の断熱材(ポリスチレンフォーム、フェノールフォームなど)を用いらる場合が多く見られます。
ただし、既存の床材の撤去や新しい床材の設置などで費用がかかるため、床下断熱よりも費用が高い傾向にある点がデメリットです。また、断熱材の厚み分だけ床が高くなるため、ドアの開閉に影響が出ないか、他の部屋との段差が生じないかなどを事前に確認する必要があります。
【箇所4】天井・屋根の断熱リフォーム
天井・屋根の断熱リフォームには、天井裏の空間の断熱性を上げる「天井裏断熱」と、屋根の断熱性を上げる「屋根断熱」の2つの方法があります。夏場の強い日差しによる室温上昇や、冬場の暖房熱の流出を防ぐために重要な箇所です。特に最上階の部屋の温熱環境改善に効果的です。
天井・屋根の断熱リフォームにかかる費用は、室内での作業の可能な天井裏断熱の方が安い傾向にあり、1平方メートルあたり0.3〜0.8万円が目安。工事期間も天井裏断熱は1〜2日で済む場合が多く、屋根断熱よりも工事にかかる日数が短いでしょう。
断熱リフォームの内容 | 費用相場 (平方メートルあたり) | 工事期間 |
---|---|---|
天井裏断熱 (敷き込み/吹き込み) | 0.3〜0.8万円 | 1〜3日 |
屋根断熱 (内側/外側) | 0.4〜2万円 | 2日〜1週間 |
天井や屋根の断熱リフォームは高所での作業となるため、足場を確保するなど、転落を防止する対策が必要です。そのような足場の設置にかかる費用は、上記の費用とは別途かかる点に注意しましょう。
【4-1】天井裏断熱(敷き込み/吹き込み)
天井裏断熱には、ボード状やマット状の断熱材を天井裏の床面(つまり最上階の天井の上)に敷いていく「敷き込み」と、専用の機械で繊維状の断熱材を空間に吹き込んでいく「吹き込み」の2つの工法があります。小屋裏(屋根裏)空間がある住宅で採用され、比較的簡単に施工できるのが特徴です。
断熱材の加工や設置の作業が比較的簡単な「敷き込み」は、吹き込みよりも費用が安い傾向にあり、1平方メートルあたり0.3〜0.6万円が目安。グラスウールや、ロックウールのマット状断熱材がよく使われます。ただし、敷き込みは断熱材同士の間に隙間ができやすく、吹き込みよりも気密性が低い傾向にあるため、気密シートを施工するなどの工夫が必要です。
天井裏断熱の工法 | 費用相場 (平方メートルあたり) | 工事期間 |
---|---|---|
敷き込み | 0.3〜0.6万円 | 1〜2日 |
吹き込み | 0.4〜0.8万円 | 1〜3日 |
一方「吹き込み(主にセルロースファイバーやグラスウールなど)」は、細かい隙間にも断熱材を充填できるため、気密性と断熱性のどちらにおいても高い効果が期待できます。特に、複雑な形状の天井裏や配線・配管が多い場合に有効です。
このように、天井裏断熱の工法にはそれぞれメリット・デメリットがあります。どちらも理解した上で、最適な工法を選択しましょう。
【4-2】屋根断熱(内側/外側)
屋根断熱には、屋根の裏側(垂木間など)に断熱材を施工する「内側断熱」と、屋根材の下(野地板の上など)に断熱材を施工する「外側断熱」の2つの工法があります。屋根断熱は、小屋裏空間を居室として利用する場合(ロフトや屋根裏部屋など)や、勾配天井で天井裏空間がない場合に採用されます。
室内での作業が可能な「内側断熱」の方が費用も安い傾向にあり、1平方メートルあたり0.5〜1.5万円が目安です。ただし、屋根通気層の確保が重要で、これを怠ると結露や木材の腐食を引き起こす可能性があります。一方、屋根の足場の設置が必要になるなど、大規模な工事になりやすい「外側断熱」は、費用も高い傾向にあります。
屋根断熱の工法 | 費用相場 (平方メートルあたり) | 工事期間 |
---|---|---|
内側断熱 | 0.5〜1.5万円 | 2〜5日 |
外側断熱 | 1〜3万円 | 1〜2週間 |
ただし、屋根の外側断熱は屋根材や屋根下地の補修も同時に施工できる点がメリットです。そのため「屋根のリフォーム(葺き替えやカバー工法)も検討している」という場合などは、外側断熱で屋根の断熱性を向上させる方法が適しているでしょう。
断熱材の種類と特徴を比較!どれを選ぶべき?
断熱リフォームで期待する効果を得るためには、適切な断熱材を選ぶことが重要です。断熱材の種類や特徴を理解して、後悔しない断熱材選びを実現しましょう。
断熱材名 | メリット | デメリット | 費用相場 (1平方メートルあたり/ 材料費のみ) |
---|---|---|---|
繊維系断熱材 (グラスウール) | ・価格が安い ・断熱性が高い ・吸音性が高い | ・湿気に弱い場合も ・固定が必要 | 600〜1,800円 |
発泡プラスチック系断熱材 | ・断熱性が高い ・耐水性や防湿性が高い ・隙間が生じにくい | ・価格がやや高め ・火に弱い ・湿気を通しにくい | 3,000〜6,000円 |
自然素材系断熱材 | ・化学物質の使用を控えられる ・防虫効果も期待できる | ・価格がやや高め ・商品によって品質に差が生じる | 2,000〜9,000円 |
上記の費用相場は「断熱材の材料費」です。断熱リフォームの際は、別途施工費がかかる点に注意してください。
【種類1】繊維系断熱材(グラスウール、ロックウールなど)
繊維系断熱材とは、繊維状の材料を主成分とする断熱材のことをいいます。繊維の中に空気の層を閉じ込めているため、熱の移動を抑えられ、比較的高い断熱性をもつのが特徴です。代表的なものに「グラスウール」や「ロックウール」があります。
また、繊維系断熱材はそのような高い断熱性をもっていながら、価格が安いのも魅力。そのため、断熱リフォームのコストを抑えたい場合におすすめの断熱材です。吸音性にも優れているため、外部からの騒音や室内の音漏れ対策にも効果が期待できます。
ただし、繊維系断熱材でも種類によって費用が異なるため、求める断熱性や耐火性などを考慮して、適切な断熱材を選びましょう。湿気に弱く、濡れると断熱性能が著しく低下するため、防湿シートの施工など、適切な結露対策が不可欠です。また、壁内に隙間なく充填するなど、正しい施工技術が求められます。
- 断熱リフォームの費用を安く抑えたい
- 防火性の高い断熱材を選びたい
- 外部からの騒音を軽減したい
断熱材の種類 | 特徴 | 費用相場 (1平方メートルあたり /材料費のみ) | 断熱性 |
---|---|---|---|
グラスウール | ・主成分はガラス繊維 ・不燃性に優れている ・吸音性が高い ・コストパフォーマンスに優れる | 600〜1,800円 | ◯ |
ロックウール | ・主原料は鉱物 ・耐火性が高い(グラスウールより高温に耐える) ・吸音性が高い ・撥水性を持つ製品もある | 600〜1,800円 | ◎ |
【種類2】発泡プラスチック系断熱材(ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォームなど)
発泡プラスチック系断熱材は、プラスチックを原料とした断熱材です。内部に多数の気泡を含んでおり、気泡の中の空気やガスが熱の伝わりを遮断するため、優れた断熱性を発揮します。代表的なものに「ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)」「押出法ポリスチレンフォーム(XPS)」「硬質ウレタンフォーム」「フェノールフォーム」などがあります。薄くても高い断熱性能を発揮しやすいため、スペースが限られている場所にも適しています。
ただし、繊維系断熱材と比較すると費用相場が高い傾向にあるため、断熱リフォームの箇所や求める断熱性などによって採用を検討する必要があるでしょう。また、多くの種類が燃えやすい性質を持つため、防火対策が必要になる場合があります。透湿性が低いものが多いため、壁内結露を防ぐための通気層の確保や換気計画が重要です。
- 高い断熱性を求める
- 隙間を少なくして気密性も上げたい
- 水まわりなど湿気の多い場所に使う
断熱材の種類 | 特徴 | 費用相場 (1平方メートルあたり/材料費のみ) | 断熱性 |
---|---|---|---|
ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS) | ・価格が比較的安め ・耐水性に優れている ・軽量で加工しやすい | 600〜3,000円 | ◯ |
押出法ポリスチレンフォーム(XPS) | ・EPSより強度が高く、吸水性が低い ・床下や基礎断熱に適している(別途見積もり) | (別途見積もり) | ◎ |
硬質ウレタンフォーム | ・断熱性と耐水性に優れている ・ボード状と吹き付けるタイプで選択できる ・自己接着性があり気密施工しやすい(吹き付けの場合) | 3,000〜6,000円 | ◎ |
フェノールフォーム | ・発泡プラスチック系の中でトップクラスの断熱性能 ・燃えにくい(比較的高い耐火性を持つ) ・経年劣化しにくい | 3,000〜6,000円 | ◎ |
【種類3】自然素材系断熱材(セルロースファイバー、羊毛など)
自然素材系断熱材は、羊毛や新聞古紙(セルロースファイバー)、木材を繊維状にしたもの(ウッドファイバー)、コルクなど、動植物由来の天然素材を主原料とする断熱材です。天然素材を主原料とすることで、化学物質の使用を抑え、シックハウス症候群が起きるリスクを軽減できるなどの魅力もあります。調湿性に優れているものが多く、室内の湿度を適切に保つ効果や、防音効果、防虫・防カビ効果(ホウ酸処理などによる)も期待できます。環境負荷が低い点もメリットです。
ただし、自然素材系断熱材は商品によって品質が大きく異なるケースも多いため、商品ごとの仕様などについても慎重に確認しておくことが大切です。一般的に、ほかの断熱材と比較して高価になる傾向があります。また、施工には専門的な知識や技術が求められる場合があります。
- 化学物質の使用を極力避けたい
- 再生可能な資源を採用したい
- 防虫効果の高い断熱材を使いたい
- 室内の調湿効果を期待したい
断熱材の種類 | 特徴 | 費用相場 (1平方メートルあたり/ 材料費のみ) | 断熱性 |
---|---|---|---|
セルロースファイバー | ・主原料は新聞古紙 ・高い調湿性、吸音性、防火性(ホウ酸処理による) ・隙間なく吹き込み施工できる | 6,000〜9,000円 | ◎ |
羊毛 (ウール) | ・調湿効果に優れている ・天然のタンパク質繊維 ・防虫効果がある(一部製品) ・空気清浄効果も期待できる | 2,000〜3,600円 | ◯ |
木質繊維 (ウッドファイバー) | ・木材を繊維状にした断熱材 ・吸音性と調湿性に優れている ・蓄熱性があり、夏の室温上昇を抑える効果も | 6,000〜9,000円 | ◯ |
炭化コルク | ・コルク樫の樹皮を炭化させた断熱材 ・防虫効果がある ・断熱性と調湿性に優れている ・独特の風合いがある | 5,000〜8,000円 | ◎ |
断熱リフォームの最適なプランの選び方
断熱リフォームで得られる効果は、リフォームの範囲や断熱材の種類などによって異なります。断熱リフォームの目的や予算を設定して、業者に最適なプランを提案してもらいましょう。
ここでは、ご自身でも建物にあった断熱リフォームのプランを選びやすいように、最適なプランの選び方を解説します。業者にプランを提案してもらった際などに、プラン選びの参考にしてみてください。
【選び方1】既存の建物の構造と相性がいい工法を選ぶ
既存の建物の構造によっては、断熱性の高い断熱材を採用しても、期待した効果が得られない場合もあるため、建物の構造と相性がいい工法を選ぶことが大切です。
たとえば、熱が伝わりやすい鉄を使った「鉄骨造」では、外気の気温の影響を受けた鉄から、室内に暑さや冷えが伝わりやすいという特徴もあります。そのため、床を断熱リフォームする際には、構造部分にある鉄から暑さや冷えが伝わらないように「床上断熱」を採用するのが一般的です。
このように建物の構造部の素材などによって、最適な断熱の工法が異なります。断熱リフォームの工法を決める際には、建物の構造についても考慮しましょう。
建物の構造 (工法) | 壁 | 床 | 天井・屋根 |
---|---|---|---|
木造軸組工法 | 内断熱 | 床下断熱 | 天井裏断熱 |
ツーバイフォー工法 | 外断熱 | 床下断熱 | 天井裏断熱屋根断熱 |
鉄骨造 | 内断熱外断熱 | 床上断熱 | 天井裏断熱屋根断熱 |
RC造 (鉄筋コンクリート造) | 内断熱外断熱 | 床上断熱 | 屋根断熱 |
ただし、建物の構造が同じでも建物の劣化の進行度などによっては、上記以外の断熱工法が適している場合もあります。実際に断熱リフォームの計画を立てる際は、業者に建物を調査してもらい、最適なプランを提案してもらいましょう。
【選び方2】初期費用と得られる効果のバランスを検討する
断熱リフォームでは、初期費用が高いほど効果も大きくなる傾向があります。しかし、常に高額なプランが最適というわけではなく、住まい方や予算に見合ったプランを選ぶことが重要です。
たとえば、2階建て住宅の壁全体を外断熱でリフォームする場合、かかる費用は150〜300万円が目安。建物全体の断熱性が大きく向上し、冷暖房効率も大幅にアップしますが、それなりのコストがかかります。
しかし一方で、もし入居者が1階だけで生活しているのであれば、1階の壁だけを内側断熱するリフォームという選択肢があります。この場合の費用は、40〜80万円が目安。建物全体を外断熱するケースと比較すると、110〜220万円も費用を抑えられる可能性があります。
断熱リフォームの範囲・工法 | 費用相場 |
---|---|
建物全体の壁で外断熱を採用 | 150〜300万円 |
1階のみの壁に内側断熱を採用 | 40〜80万円 |
差額 | 110〜220万円 |
断熱リフォームは「高性能・高コスト」だけが正解ではないため、生活スタイルや予算に応じて、最適な断熱リフォームの計画を立てましょう。
【選び方3】目指す断熱性能が達成できるかシミュレーションする
断熱リフォームは簡単にやり直しできないため「期待した効果が得られない」という失敗を回避するには、事前に断熱効果を数値化するなどして、シミュレーションするのがおすすめです。
たとえば、YKK APの公式サイトの「住宅省エネ性能計算ソフト」を活用すれば、壁や窓などの断熱性能が計算できます。採用する窓や断熱材の種類を変えて、複数のプランを作成することで、費用と断熱効果のバランスも検討できるのが便利です。
これらのソフトは専門家向けのものもありますが、一般の方でも簡易的に計算できるものや、業者に依頼して詳細な熱計算や温熱環境シミュレーション(例えば、サーモグラフィカメラを用いた断熱診断の結果を基にしたものなど)を行ってもらうことも可能です。シミュレーションにより、リフォーム後の室温変化や光熱費削減効果を具体的に予測でき、より納得のいくプラン選択に繋がります。
このように便利なシミュレーションソフトを活用して、断熱リフォームで得られる効果を数値化して、目指す断熱性能が達成できるかを検証してみましょう。
【選び方4】古い家では優先順位も考えて工事内容を決める
古い家では広範囲で断熱性が低下している場合も多いため、予算を設定した上で「どの箇所をリフォームするか」について検討するのがおすすめです。
古い家での断熱リフォームで、一般的に最も優先すべきなのは「窓」と考えられています。窓の優先度が高いのは、建物のなかで窓がもっとも熱の出入りの多い場所であることが理由です。また、窓から伝わる冷えや暑さは、生活のなかでも感じやすいため、断熱リフォームでの効果が体感しやすいことも理由として挙げられます。
建物の全体を断熱リフォームすることは、住まいの断熱性能を飛躍的に向上させ、冷暖房効率の大幅な改善といった大きな効果が期待できます。しかしその反面、工事範囲が広範にわたるため、費用も高額になるという点は、無視できないデメリットと言えるでしょう。
【選び方5】マンションでは工事が可能な範囲と内容を確かめる
マンションでは物件ごとに「管理規約」で、工事が可能な範囲と採用できる工法・断熱材などが定められています。そのため、マンションで断熱リフォームを実施するなら、事前に管理規約を確かめておく必要があります。
マンションの断熱リフォームで確かめておくべき点は、専有部分と共有部分の区分などです。
- どこまでが工事できる「専有部分」なのか
- 専有部分のなかでも、リフォームできる箇所や範囲に制限はあるか
- 工事できる時間帯や資材の搬入経路に決まりはあるか
マンションごとのルールを確かめておかなかった場合、管理会社から工事の中止を求められるなど、トラブルが起きてしまうおそれもあります。そのようなトラブルを回避するためには、管理規約を確かめ、必要があれば事前に管理会社や物件の所有者と打ち合わせしておくことも大切です。
【選び方6】目指す断熱レベルと将来を見据えたプランニングを
断熱リフォームを計画する際には、どの程度の断熱性能を目指すのかを具体的に設定することが重要です。住宅の断熱性能を示す指標には「UA値(外皮平均熱貫流率)」や「C値(相当隙間面積)」などがあります。UA値は数値が小さいほど断熱性能が高く、C値も数値が小さいほど気密性が高いことを示します。これらの数値を参考に、リフォームの目標を設定しましょう。
また、2025年4月から新築住宅には省エネ基準への適合が義務化されます。これは既存住宅の所有者にとっても、将来的な住宅の資産価値や快適性を考える上で無視できない動きです。さらに、より高い断熱性能を目指す指標として「HEAT20」があり、G1、G2、G3といったグレードが設定されています。例えばHEAT20 G2レベルを達成すると、冬でも暖房に頼りすぎずに室温を一定以上に保ちやすくなるなど、健康で快適な暮らしに繋がります。
初期費用だけでなく、将来的なエネルギー価格の変動リスクや、リフォームによる住宅の資産価値向上なども考慮に入れ、長期的な視点で最適なプランを選択することが大切です。
【2025年最新】断熱リフォームで使える補助金・助成金制度
断熱リフォームは費用がかかるため、国や自治体の補助金・助成金制度を賢く活用することが非常に重要です。2025年度も引き続き、大規模な支援事業が予定されており、これらを活用することで費用負担を大幅に軽減できる可能性があります。
2025年度に断熱リフォームで使える補助金・助成金制度には「子育てグリーン住宅支援事業」などがあります。
- 子育てグリーン住宅支援事業
- 先進的窓リノベ2025事業
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業
- 既存住宅における断熱リフォーム支援事業
- 次世代省エネ建材の実証支援事業
- 住宅エコリフォーム推進事業
- 地方自治体の補助金
2025年度に断熱リフォームで使える補助金・助成金制度の申請方法や交付条件などは、下記の記事でくわしく解説しています。補助金・助成金制度の活用を希望する場合は、下記の記事もチェックしてみてください。
国や地方自治体の補助金・助成金制度は、交付の条件などが変更される場合もあります。断熱リフォームで補助金・助成金制度に申請する際は、必ず公式サイトで最新の情報をチェックしましょう。
断熱リフォームのDIYは可能?
断熱リフォームは、部分的・簡易的なリフォームであればDIYでも可能です。しかし、DIYでの断熱リフォームでは、体で感じるほどの効果が得られないケースも多い点に注意しましょう。
- 窓に断熱シートやフィルムを貼る
- 隙間テープを窓枠に貼る
- アルミ断熱シートを壁に張る
「夏涼しく、冬あたたかい部屋にしたい」など、住まいの環境を改善したい場合は、専門的な知識と技術のある業者に断熱リフォームを依頼するのがおすすめです。
業者に断熱リフォームを依頼すれば、補助金・助成金制度が活用できるケースも多いため、リフォームにかかる費用も安く抑えられるかもしれません。
断熱リフォームでよくある失敗例と回避策
断熱リフォームは、住まいの快適性を向上させる効果が期待できるものの、工法や業者選びで失敗すると、結露が悪化してしまうケースなどもあります。
断熱リフォームでよくある失敗例と回避策をチェックして、これから進める断熱リフォームで同じような失敗が起きないように注意しましょう。
【失敗例1】思ったより効果がなかった…
断熱リフォームで、断熱材の種類が不適切だったなどの原因で、期待していた効果が得られない場合もあります。
- 断熱材の種類が不適切だった
- 気密処理が不十分だった
- 換気計画まで考慮されていなかった
断熱リフォームの効果は、断熱材の種類やリフォームの範囲などによって異なります。そのため、断熱リフォームの内容が地域の気候や建物の構造に適していないと、体感的な変化を感じるほどの効果が得られないかもしれません。
このような断熱リフォームで期待していた効果が得られない失敗を回避するには、希望する断熱レベルを具体的に伝える方法が有効です。たとえば「現状よりも光熱費を20%削減したい」「浴室と脱衣室の温度差を小さくしたい」など、削減率や断熱リフォームの効果を体感したい部屋を業者に伝えると、その要望にそったプランを提案してもらえるでしょう。
【失敗例2】結露が悪化してしまった…
断熱リフォームの後に結露が悪化するのは、換気計画の不十分さなどが原因として考えられます。
結露が悪化した原因 | 詳細 | 回避策 |
---|---|---|
換気計画の不十分である | 断熱リフォームで気密性を高めると、湿気が逃げにくくなり、結露が悪化することも。 | 結露を予防するために、湿気を逃がす換気計画が必要。 |
断熱されていない箇所で温度差が大きい | 一部分のみ断熱性を上げた場合、断熱されていない箇所との温度差で結露が発生しやすくなることも。 | 事前に温度差が生じやすい箇所であるかを検討して、断熱計画を慎重に立てる必要がある。 |
断熱材の選定や施工方法に問題が生じている | 湿気を通しやすい断熱材が適した場所に、湿気を通しにくい断熱材が施工されているなど、断熱材の選定で失敗すると、結露が悪化することも。 | 専門の業者に相談して、最適な断熱リフォームの内容を計画してもらうことが重要。 |
結露が悪化すると、カビの発生やダニの繁殖など、住まいにさまざまな悪影響が出てきます。結露した水分が木材に染み込み、木材が腐り、建物の耐久性を低下させてしまうおそれもあります。
建物の耐久性の低下や住まいのトラブルが発生しないように、断熱リフォームの前に、換気計画や断熱材の選定などは適切であるかを、業者と慎重に検討していきましょう。
【失敗例3】追加費用が思ったよりかかった…
断熱リフォームでは、工事を進める中で見つかった不具合の補修費用などによって、予想していなかった追加費用が発生するおそれもあります。
たとえば、壁や床をはがした際に、柱に雨漏りの跡が見つかったり、シロアリ被害が判明したりした場合。建物の雨漏りや構造体の被害を放置すると、木材の腐食などによって、建物の耐久性が低下してしまうため、早めの補修が必要です。
雨漏りの補修にかかる費用は、10〜50万円が目安。シロアリ駆除・防蟻処理も範囲によりますが数万円から数十万円かかることがあります。ただし、雨漏りの状況や範囲などによっては、相場よりも高い費用がかかるおそれもあります。
このように断熱リフォームを進める中で、予想外の追加費用がかかる場合もあります。そのため「リフォームで設定していた予算をオーバーしてしまった」という失敗が起きないように、あらかじめ追加でかかる可能性のある費用(例えば、下地補修費、構造材補修費、廃材処理費の増額など)を業者に確かめておくことも重要です。契約前に、どのような場合にどの程度の追加費用が発生しうるのか、書面で確認しておくと安心です。
追加で発生する可能性のある費用も含めて、断熱リフォームの予算を設定しておけば、思わぬ出費にも対応しやすいでしょう。
【失敗例4】業者とのコミュニケーション不足で…
断熱リフォームを進める際に、業者とのコミュニケーションが不足していると「壁紙の仕上がりが、事前に伝えていたものと違う」などの失敗も起きるおそれがあります。
- 内装の仕上げが打ち合わせした内容と異なる
- 工事の進捗が共有されず、工事の完了日がわからない
- 見積もりに含まれていると思っていた工事が、実際は含まれていなかった
- 工事中の養生が不十分で、既存の家具や床に傷がついた
- 職人さんのマナーが悪く、不快な思いをした
このような業者とのコミュニケーション不足が原因のトラブルは、業者と密にコミュニケーションをとっておくことで回避できる傾向にあります。少しでも不安に思う点がある場合、リフォームの担当者や現場の職人に相談してみましょう。
また、口頭での打ち合わせによる認識の違いを防ぐために、打ち合わせした内容は議事録や確認書といった形で書面で残しておくことをおすすめします。打ち合わせした人の名前や日付、内容などをメモして、業者と共有しておくと、トラブルが起きた場合にも冷静に対処できます。工事が始まる前には、工程表を提示してもらい、定期的な進捗報告を依頼することも有効です。
失敗しない!断熱リフォーム業者の見極めチェックポイント
断熱リフォームで失敗しないためには、施工実績や評判(口コミ)などをチェックして、信頼できるリフォーム業者を選ぶことが重要です。
「追加費用が思ったよりもかかった」などの失敗を回避するために、これらのチェックポイントを参考にして、依頼する業者を慎重に見極めましょう。
【ポイント1】施工実績・評判(口コミ)
断熱リフォームで失敗しないためには、業者のホームページやGoogleマップの口コミなどをチェックして「施工実績が豊富で、良い評判が多い業者」への依頼を検討しましょう。
業者の施工実績は「年間100件の工事を担当」などの件数だけでなく、ビフォーアフターの写真や担当者のコメントなどを施工事例や会社紹介でチェックすることも大切です。業者によって断熱リフォームの得意な工法や分野が異なるため、業者ごとの「こだわり」を知ることで、業者選びの際の判断材料にもなります。
また、業者にリフォームを依頼した人からの評判は、担当者の対応や施工品質などを知れる貴重な情報です。ただしインターネット上の情報は、匿名性が高いため、複数の情報をチェックするなどの工夫が必要でしょう。
【ポイント2】断熱工事に関する専門知識・資格の有無
断熱リフォームで、断熱性や快適性の向上などの期待される効果を得るためには、専門的な知識や技術が必要です。断熱工事や建物に関する専門的な資格をもっていれば、一定の知識レベルがあることの証明になるため、業者や担当者がもつ資格もチェックしましょう。
たとえば「断熱施工技士」という資格は、断熱工事に関する一定の知識と技術があると、国土交通大臣が認定する国家資格。断熱材や断熱リフォームの工法などに関する知識や技能が求められる資格であり、断熱施工技士をもっていることで、専門性の高い提案を受けられることが期待できます。
- 断熱施工技士
- 建築士
- 気密測定技能者
業者を選ぶ際には、このような専門的な資格をもっているかについても確かめ、安心してリフォームが任せられる業者を選びましょう。
【ポイント3】見積書の分かりやすさ
業者ごとに断熱リフォームの見積書の記載方法が異なるため、詳細に項目が記載されているかをチェックしましょう。
たとえば、業者によっては「断熱工事一式20万円」など、項目数が少なく、断熱リフォームの面積や使用する断熱材のメーカー・製品名・厚み、施工方法などが見積書に記載されていない場合もあります。内訳が不明な見積書で契約すると、リフォームの範囲がわからず「ここは見積もりに含まれていない」などのトラブルにつながるおそれもあります。

このような見積書のトラブルに巻き込まれないようにするには、工事範囲、使用材料、各工事の単価と数量、諸経費などが細かく記載されている見積書を提示してくれる業者に依頼することが大切です。業者から見積書を受け取った際には、金額だけでなく、項目や記載内容も必ずチェックしましょう。不明な点は遠慮なく質問し、納得できるまで説明を求める姿勢が重要です。
【ポイント4】相見積もりで提案力と価格を比較する
断熱リフォームで失敗しないためには、1社だけでなく、できれば2〜3社の業者から見積もりをとって、提案力と価格を比較するのがおすすめです。
1社だけでは比較対象がないため、提案の内容や価格を比較できず、相場よりも高い金額で契約してしまうおそれもあります。適正価格でリフォームするために、複数の業者の提案内容と価格を比較してみましょう。相見積もりを取る際は、各社に同じ要望・条件を伝え、同じ土俵で比較できるようにすることがポイントです。
また、業者の提案力の高さを比較するには、依頼者側の悩みや不安をどれほど丁寧に聞いてくれるかなどのポイントもチェックしておくことも重要です。
- 依頼者側の悩みや不安をどれほど丁寧に聞いてくれるか
- 断熱リフォームの効果をシミュレーションソフトなどを使って提示してくれるか、あるいは具体的なデータに基づいて説明してくれるか
- 結露対策や換気計画など、断熱性以外の住まいの課題についても考慮してくれるか
- 複数の断熱材や工法の選択肢を提示し、それぞれのメリット・デメリットを説明してくれるか
- こちらの質問に対して、専門用語を避け、わかりやすく丁寧に回答してくれるか
- 見積書の内訳が詳細で、追加費用の可能性についても事前に説明があるか
提案力の高い業者は、依頼者側の予算を把握した上で、最大限の効果が期待できるプランを提示してくれる傾向にあります。断熱リフォームの価格の安さだけでなく、このような提案力の高さについてもチェックして、安心してリフォームが任せられる業者を選びましょう。
ハピすむなら、匿名で複数のリフォーム会社に見積もり相談が可能です。くわしくはこちら!
【写真で見る】ハピすむ掲載!断熱リフォーム施工事例
「断熱リフォームの様子が見たい!」「実際にはどれほど費用がかかるの?」と思っている人のために、「ハピすむ」に掲載された施工事例を紹介していきます。
断熱リフォームでどのように窓や壁などが変わったのか、ビフォーアフターの写真を見てチェックしてみましょう。
【事例1】吹付断熱で建物の断熱性を向上


リフォーム費用 | 約980万円 ※断熱リフォーム以外も含む |
工期 | 1か月 |
建物タイプ | 一戸建て |
施工箇所 | 壁(内断熱) 外壁 キッチン 浴室 トイレ リビング ダイニング ベランダ 外構 |
活用した補助金制度 | 子育てエコホーム支援事業 |
リフォームを検討している際に、建物に雨漏りを発見。雨漏りの補修をきっかけに、断熱リフォームも実施した物件の施工事例です。
天井や建物の内側の柱も新しいものに入れ替えた上で、壁に吹付断熱を施工しました。
【事例2】断熱リフォームで1年中快適に過ごせる空間に

リフォーム費用 | お問い合わせください |
工期 | 90日間 |
建物タイプ | 一戸建て |
施工箇所 | リビング |
リビングの寒さが悩みでしたが、断熱材の追加と窓交換で、冬でも日中は暖房なしで過ごせる日が増えました。夏の暑さも和らぎ、一年を通して快適です。
「リビングの寒さをなんとかしたい」とお客さまからご相談があり、断熱リフォームを実施した物件の施工事例です。
冬に寒さを感じていた部屋に断熱材を入れたほか、断熱性の高い窓に交換したことで、建物の断熱性を向上させました。
【事例3】内窓の設置で断熱性を向上


リフォーム費用 | 約40万円 |
工期 | 1日間 |
建物タイプ | 一戸建て |
施工箇所 | 窓 |
メーカー名 | LIXIL |
活用した補助金制度 | 先進的窓リノベ事業 (18万円交付) |
子供部屋のエアコン効率を上げたかったのですが、内窓設置で効果を実感しています。結露もほとんどなくなり、窓際の寒さも気にならなくなりました。
「近い将来、子供部屋を活用する予定。エアコンを使いたいため、冷暖房の効率を上げたい」とご相談があり、窓への内窓の設置を提案した物件の施工事例です。
見積金額は40万円であるものの、補助金が18万円交付されたため、自己負担は22万円で済みました。このように窓の断熱リフォームでは、補助金制度を活用できるケースもあります。お得に断熱リフォームを実施できないか、業者に相談してみましょう。
【事例4】床の張り替えとセットで床の断熱リフォームを実施


リフォーム費用 | 約40万円 |
工期 | 7日間 |
建物タイプ | マンション・アパート |
施工箇所 | 洋室 |
建物に地下があるため冬場の床冷えがひどかったのですが、床断熱と床暖房の設置で足元から暖かく快適になりました。床材も新しくなり、部屋の雰囲気も明るくなりました。
「和室から洋室へ変更してほしい。デザイナーズマンションで地下があり、洋室の床下は外気に触れるため、断熱工事もあわせて実施したい」とお客さまからご相談がありました。
ご相談を受けて、洋室へのリフォームと、床断熱をご提案。断熱材のサンプルなどを確認していただいた上で、リフォームを進めました。
断熱リフォームの相談から工事までの流れ
断熱リフォームについて業者に相談する段階から、工事が終わるまでの流れは以下のとおりです。
本記事で解説した「業者の見極めチェックポイント」などを参考に、信頼できる業者を探しましょう。スマホから簡単に見積もりの依頼やリフォームの相談ができる「ハピすむ」を活用するのもおすすめです。
提示された見積もり内容に納得できたら、工事請負契約を結びます。工事日程や支払い条件などを確認しましょう。
工事期間は、断熱リフォームの範囲や工法などによって異なります。本記事の「断熱リフォームの工事期間の目安」も参考に、生活に支障がでないスケジュールを業者と打ち合わせしましょう。
【Q&A】断熱リフォームに関するよくある質問
ここでは、断熱リフォームに関するよくある質問とその回答をまとめました。疑問や不安を解消して、安心してリフォーム計画を進めましょう。
- 部分的な断熱リフォームでも効果はありますか?
-
部分的な断熱リフォームでも、適切に行えば室内の快適性や省エネ性の向上が期待できます。
特に効果を感じやすいのは、熱の出入りが大きい「窓」の断熱です。窓を断熱するだけでも、冬の冷気や夏の熱気の侵入を大幅に抑えられます。
ただし、断熱リフォームの工法や範囲、建物の状態によっては、期待したほどの効果が得られない場合もあります。例えば、壁の一部分だけを断熱しても、隣接する断熱されていない箇所から熱が逃げたり入ってきたりするため、効果が限定的になることがあります。
そのため、部分的に断熱リフォームする場合は、どこを優先的に行うべきか、専門知識のあるリフォーム業者とよく相談して、費用対効果の高い計画を立てることが重要です。 - 工事中はずっと家にいなければいけませんか?住みながらできますか?
-
断熱リフォームの規模や範囲によって異なりますが、多くの場合は住みながらリフォームすることが可能です。例えば、窓の交換や内窓の設置、天井裏や床下の断熱工事などは、生活空間への影響が比較的少ないため、住みながらでも対応しやすいでしょう。壁の断熱リフォームでも、部屋ごとに順番に工事を進めるなどの工夫で対応できる場合があります。
また、住みながらリフォームする場合でも、工事中も仕事や買い物などに出かけることは可能です。ただし、工事の開始時や終了時、重要な確認事項がある場合など、仕上がりのチェックなどで立ち会いが必要な場面もあるため、事前に業者と打ち合わせしておく必要はあります。
もしリフォームの際に「住みながらリフォームしたい」「この部屋はいつから使えるようにしたい」などの希望がある場合は、あらかじめ業者に伝え、生活への影響を最小限に抑えるリフォーム計画を立てましょう。 - 古い木造住宅でも断熱リフォームは可能ですか?
-
古い木造住宅でも、断熱リフォームは可能です。むしろ、築年数が古い木造住宅は、現在の省エネ基準と比較して断熱材が入っていなかったり、入っていても性能が低かったり、あるいは劣化していたりする場合が多いため、断熱リフォームの効果をより実感しやすいでしょう。
ただし、古い木造住宅では、断熱材を施工する前に、建物の状態を確認することが非常に重要です。木材の腐食やシロアリ被害、雨漏りなどのトラブルが隠れている場合も多く、これらの問題を解決せずに断熱工事を行うと、かえって状況を悪化させる可能性があります。
そのため、断熱リフォームと同時に、必要であれば耐震補強や構造躯体の修繕が必要になる場合もあります。信頼できる業者にしっかりと現地調査をしてもらい、建物全体の状況を把握した上で、適切なリフォーム計画を立てることが大切です。 - マンションの断熱リフォームで、戸建てと異なる注意点はありますか?
-
マンションの断熱リフォームでは、戸建てと異なるいくつかの注意点があります。最も重要なのは、マンションの「管理規約」を必ず確認することです。管理規約には、リフォームできる範囲(専有部分と共用部分の区別)、使用できる断熱材の種類や工法、工事可能な時間帯、資材の搬入経路などが定められている場合があります。
一般的に、窓ガラスやサッシは共用部分とされることが多く、個人で勝手に交換できない場合があります。ただし、内窓の設置は専有部分の工事として認められるケースも多く見られます。
壁の断熱についても、隣戸との界壁は共用部分となるため、基本的に断熱工事はできません。外気に接する壁の室内側や、床、天井などが主な対象となります。 希望する断熱リフォームが実施できないことや、制限があることもありますので、事前に管理組合や管理会社に確認し、必要であれば承認を得る手続きを進めましょう。 - 断熱リフォームの保証期間はどのくらいですか?
-
断熱リフォームの保証期間は、工事を依頼する業者や使用する断熱材によって異なります。
一般的に、リフォーム会社が独自に設けている「工事保証」は1~5年程度が多いようです。これとは別に、使用する断熱材や窓などの「製品保証」がメーカーによって設定されている場合があります。
たとえば、LIXILの断熱リフォームパネル「スーパーウォール」は、ウレタン素材の内部の無結露を35年間保証しています。このような長期保証が付いている製品を選ぶのも、一つの安心材料です。契約前には、必ず保証の対象範囲、期間、保証が適用される条件(どのような場合に無償修理や交換をしてもらえるのかなど)、そして保証書が発行されるのかを確認しましょう。
断熱リフォームの後には「結露が発生した」「期待した効果が出ない」などのトラブルが起きるおそれもあります。そのようなトラブルが発生した際に、業者や断熱材のメーカーなどに対応してもらえるように、保証期間や内容について必ず書面で確かめておきましょう。
参考元:断熱リフォームパネルの品質保証(LIXIL) - 断熱リフォームの費用を安く抑えるコツは?
-
断熱リフォームの費用を安く抑えるには、複数の業者から見積もりをとるなどの方法が有効です。
断熱リフォームの費用を安く抑えるコツ- 複数の業者から見積もりをとる
- 補助金や助成金を活用する
- 優先順位が高い場所からリフォームする
- 比較的安価な断熱材を選ぶ
- リフォーム時期を工夫する
- DIYできる部分は自分で行う(ただし限定的)
複数の業者の見積金額を比較することで、適正な価格で断熱リフォームができるでしょう。また、比較的安価な断熱材を使ったプランも提案してもらうなど、いくつかのプランを提案してもらい、プランごとの見積金額を比べて検討するのもおすすめです。
- 断熱材の寿命はどのくらいですか?また、古い家でアスベストが使われている可能性はありますか?
-
断熱材の種類や施工状況、建物の環境によって異なりますが、一般的にグラスウールやロックウールなどの無機繊維系断熱材は耐久性が高く、数十年以上の寿命が期待できます。発泡プラスチック系断熱材も種類によりますが、比較的長持ちします。ただし、結露などにより断熱材が濡れた状態が続くと、性能が低下したりカビが発生したりして寿命が短くなることがあります。適切な施工と換気が重要です。
アスベスト(石綿)については、1975年以前に建てられた古い住宅の場合、壁や天井、床下などに吹き付けアスベストやアスベスト含有の建材が使用されている可能性があります。アスベストは健康被害を引き起こすため、リフォームの際には注意が必要です。解体工事を伴う断熱リフォームを行う場合は、事前に専門業者によるアスベスト調査を行い、もし使用が確認された場合は、法令に基づいた適切な除去作業が必要になります。費用も別途かかるため、築年数が古い場合は業者に確認しましょう。 - ペットを飼っていますが、断熱リフォームで何か配慮すべき点はありますか?
-
ペットがいるご家庭での断熱リフォームでは、いくつか配慮したい点があります。
まず、工事中の騒音や臭いです。ペットの種類によっては非常に敏感な場合があるため、工事期間中はペットを別の部屋に移動させたり、一時的に預けたりするなどの対策を検討しましょう。
また、使用する断熱材や接着剤などの化学物質にも注意が必要です。可能であれば、天然素材系の断熱材や、VOC(揮発性有機化合物)の放散が少ない建材を選ぶと安心です。リフォーム後は室内の気密性が高まるため、換気計画も重要になります。ペットの臭いや毛がこもらないよう、適切な換気扇の設置や定期的な窓開け換気を心がけましょう。断熱リフォームによって室内環境が安定することは、ペットにとっても快適な生活につながります。
【まとめ】最適な断熱リフォームで、一年中快適な理想の住まいを実現しよう
断熱リフォームは、建物の断熱性を高めるだけでなく、光熱費の削減、ヒートショックのリスクの軽減などの効果が期待できます。賢くリフォームすることで「光熱費の高騰」や「暑い夏、寒い冬」の悩みから解放され、理想の暮らしに新たな一歩を踏み出せるでしょう。
この記事を参考に、ぜひ最適な断熱リフォームを見つけてください。より具体的な事例や業者選びに迷ったら、断熱リフォームの不安や、補助金の活用についてもプロに相談できる「ハピすむ」も活用してみてください。きっと、理想の住まいが見つかるはずです。
省エネ・断熱・太陽光リフォームの業者選びで後悔しないために
必ず相見積もりを複数取って比較しましょう!
なぜならリフォームの費用・工事方法は、業者によって大きく異なるからです。
とはいえ「信頼できる業者が分からない」「何度も同じ説明をするのが面倒」と踏み出せない方もいらっしゃると思います。
そのような方こそハピすむの一括見積もり比較を活用しましょう!
大手ハウスメーカーから地場の工務店まで、審査を通過した1000社以上の中から、まとめて見積もりを依頼できます。
また、ハピすむでリフォームされた方には最大10万円分の「ハピすむ補助金」もご用意しています。
詳細はこちら>>>ハピすむ補助金プレゼントキャンペーンの流れ