浄化槽の設置費用はいくら?撤去・交換・維持費や補助金も解説【2025年最新情報】

浄化槽とは、下水道を使用せずに汚水を処理する設備で、設置費用は80~150万円です。
この記事では、浄化槽の撤去費用・交換費用・維持費・補助金など費用面を中心に解説します。浄化槽のメリット・デメリットのほか、工事における注意点も確認しましょう。

2025年12月11日更新

監修記事
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浄化槽の設置費用・撤去費用・交換費用は?【2025年相場】

浄化槽の各コストは、浄化槽の大きさによって決まります。

浄化槽の大きさは「〇人槽」という単位で表されます。家庭用として使用される浄化槽の大きさは、一般的に「5人槽」「7人槽」「10人槽」の3種類です。

槽の大きさ設置・交換費用撤去費用
5人槽80〜100万円5万円~
7人槽100〜130万円5万円~
10人槽120〜150万円7万円~
浄化槽の設置費用はいくら?

浄化槽を設置する費用は、80万~150万円が相場で、5人槽なら80万円〜100万円、7人槽なら100万円〜130万円、10人槽なら120万円〜150万円です。(2025年11月現在)

槽の大きさ設置費用
5人槽80〜100万円
7人槽100〜130万円
10人槽120〜150万円
浄化槽(合併槽)の写真

工事期間の目安は、大きさによらず3〜7日です。単独処理浄化槽から合併浄化槽に切り替える場合や、トイレの改装工事が絡む場合などの付帯工事も行う場合には費用がさらにかかり、工期も延長になります。
また、工事期間中は水を使用できない時間帯が発生します。

浄化槽の大きさと工期

「7人槽」を導入する場合には、延床面積が広い住宅であるため、浄化槽までの配管工事が長くなる可能性があり、工事費用や工期が上振れすることがあります。
「10人槽」の場合は、二世帯住宅であることから、浄化槽工事にかかる手順は同じですが、つなぎ込みをする配管の数が多くなります。工事費、工期ともに上振れする可能性があります。

浄化槽の撤去費用はいくら?

浄化槽の撤去費用は、5万~7万円が相場ですが、条件や工法によって上振れする可能性があります。

浄化槽を撤去する場合は、事前に浄化槽内の清掃・消毒を行う必要があります。この清掃と消毒は「浄化槽法で定められており、費用は3万円前後かかります。自治体から許可を受けた専門業者に依頼しましょう。

なお、浄化槽の撤去には「全撤去」「埋め戻し」「埋め殺し」の3つの方法があります。

STEP
全撤去

「全撤去」とは、浄化槽の本体や周辺設備などすべてを撤去し、地中になにも残らない状態にすることです。浄化槽の撤去方法として最も推奨されている方法で、全撤去後はいつでも土地の売却が可能になります。

STEP
埋め戻し

「埋め戻し」とは、浄化槽本体の1/3程度を解体して装置や部材を撤去し、残りの本体は地中に埋設する方法です。
「全撤去」に比べて費用が安く、作業がしやすいというメリットがあります。

浄化槽の埋め戻し工事(ハピすむの事例より)

しかし、埋め戻しをしたまま放置すると不法投棄とみなされる可能性があります。また、土地を売却する場合は全撤去が必要で二度手間になってしまうため、あまりおすすめできる方法ではありません。

STEP
埋め殺し

「埋め殺し」とは「全撤去」「埋め戻し」と同様、浄化槽内の汚水を取り除きますが、浄化槽自体はそのまま地中に埋設する方法です。埋め戻しと同様に不法投棄になる可能性があるため、注意が必要です。

浄化槽の交換費用は?

浄化槽の交換費用は、80~150万円が相場です。設置費用と同等となるケースが多いです。

浄化槽と各部品の耐用年数

浄化槽の耐用年数は約30年とされていますが、現実的な使用可能年数は約50年が目安です。

入れ替えの目安としては、浄化槽本体にひびが入るなどの経年劣化がみられる場合や、ブロアーポンプなどの付帯設備が故障したタイミングに入れ替えを検討してみると良いかもしれません。
一般的な浄化槽の部品の耐用年数を表にまとめました。交換時期の参考にしてください。

部品耐用年数
ブロアーポンプ5~10年
接触材・ろ材20年~
エアー配管など20年~
マンホールの蓋20年~
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浄化槽のランニングコストはいくら?

浄化槽のランニングコスト(維持費)は、年間5~9万円が目安です。

維持管理項目5人槽7人槽10人槽
保守点検20,000円22,000円24,000円
清掃・汲み取り20,000円30,000円50,000円
法定検査5,000円5,000円5,000円
電気代5,000円7,000円10,000円
年間コスト50,000円64,000円90,000円

浄化槽の維持管理に必要な費用には「保守点検費用」「清掃費用」「法定検査費用」「電気代」があります。
これらの費用は、浄化槽の大きさによって異なります。

上記のコスト以外に故障した場合の【不定期】修理費用は、工事費込みで8万円~かかります。

保守点検

保守点検」とは、浄化槽や周辺設備の機能が低下していないか点検し、設備の調整、消毒剤の補充を行うことです。
浄化槽の大きさによって、保守点検費用が変わります。
浄化槽の保守点検の回数は、年間3〜4回が目安です。

清掃・汲み取り

浄化槽は汚水を分離・消毒して放流します。機能を正常に保つため、槽内に溜まった汚泥はバキュームカーで汲み取り、清掃しなければなりません。
清掃は浄化槽の種類によりますが、年1回以上(目安1〜2回)必要です。費用は自治体や業者によって異なり、補助金が出る場合もあります。

法定検査

「法定検査」とは、保守点検や清掃が適正に行われているか、浄化槽の機能が正常に維持されているかを公的機関が行うもので、浄化槽を総合的に判断するために行う検査です。
法定検査の費用は自治体により異なりますが、おおむね5,000円です。なお、法定検査は年1回受ける必要があります。

電気代

浄化槽は「ブロアー」という浄化槽に空気を送り込む設備で電気代がかかります。浄化槽は、水中の微生物の働きによって汚水を浄化しますので、微生物を活性化させる酸素は必要不可欠です。
ブロアーは基本的に24時間365日稼働していますが、ブロアーの種類によって電気の使用量は異なります。

【不定期】修理費用

浄化槽が故障したときの修理費用は、8万円からが目安です。故障範囲が大きいと高額になる可能性があります。
なお、浄化槽本体の耐用年数は約30年と言われていますが、ブロアーなどの周辺設備はさらに短いため、気を付けましょう。浄化槽の寿命を延ばすためには、定期的なメンテナンスが重要です。

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浄化槽とは?浄化槽の種類と処理の仕組み

浄化槽とは、トイレから出る排水、台所やお風呂の生活排水などのいわゆる汚水を処理するための設備のことで、主に公共の下水道が整備されていない地域で使用されます。

浄化槽にはさまざまな種類があり、仕組みもそれぞれ異なりますが、共通している点は微生物を活用して汚水をきれいに消毒していることです。
浄化槽が汚水を消毒するまでの工程、浄化槽の種類とくみ取り式との違い、浄化槽の大きさについて説明します。

浄化槽が水を浄化するまでの4つの工程(仕組み)

浄化槽は一般的に4つの工程に分けて、順番に汚水を消毒しています。

沈殿・分離槽

「沈殿・分離槽」は、汚水が最初に通過する槽で、汚水を液体と固体に分離させます。
仕組みは簡単で、水をしばらく滞留させることで汚水内の軽い固体は浮上貯留させ、重い個体を沈殿貯留させます。
そして、その中間の液体のみになった状態で次の槽に送ります。

ばっ気槽

「ばっ気槽」は、ブロアーポンプという空気を送り込む装置や汚水に接触させる接触材を活用して、汚水を処理するための微生物を繁殖させます。
汚水がこのばっ気槽を通過することで、微生物が汚れを浄化してくれます。

沈殿槽

「ばっ気槽」で汚水内に繁殖した微生物や、取りきれなかった固体の汚れを再度沈殿させます。
きれいになった水だけを次の消毒槽に送り、沈殿物はばっ気槽に戻します。

消毒槽

最後に流れてきた水を塩素剤を用いて消毒し、放流します。

浄化槽の種類と汲み取り式との違い

浄化槽は、大きく分けて「単独処理浄化槽」「合併処理浄化槽(合併浄化槽)」の2種類があります。

単独処理浄化槽

「単独処理浄化槽」はトイレ汚水のみを処理するタイプの浄化槽で、生活雑排水は未処理で放流されるため、悪臭や水質汚染の原因となります。
環境保全のため、平成13年4月1日以降、単独処理浄化槽の新設は原則禁止されています。
現在、浄化槽の新設や交換時には「合併処理浄化槽」の設置が義務付けられており、既存の単独処理浄化槽使用者も合併処理浄化槽への転換に努めなければなりません。

合併処理浄化槽(合併浄化槽)

「合併処理浄化槽」は、単独処理浄化槽と異なり、トイレ汚水だけでなく台所や風呂など全ての生活排水を浄化して放流するタイプの浄化槽です。
浄化槽法改正により、現在「浄化槽」といえば基本的にこの合併処理浄化槽を指します。
単独処理浄化槽より環境に優しく、その処理性能は下水処理場の2次処理と同等レベルです。

一方、これら浄化槽とは仕組みが根本的に異なるのが「汲み取り式(ボットン便所)です。

「汲み取り式」は、汚水を処理せず便槽に溜めるだけで排水機能がありません。そのため、定期的な汲み取り作業が必要で、未処理のため臭いが強い傾向があります。

「単独処理浄化槽」と同様にトイレ排水のみが対象ですが、便槽自体に浄化機能はありません。水を流して臭いを抑える簡易水洗式もありますが、その分汲み取り頻度が高くなります。

どのくらいの大きさの浄化槽を設置すべき?

浄化槽の大きさは、住宅の延べ床面積によって定まります。

設置する浄化槽の大きさは、建築物の用途別による屎尿浄化槽の処理対象人員算定基準に基づいて、住宅の延床面積によって決まります。住宅の所有者が自由に決められるわけではないため、その点には注意しましょう。

住宅の延床面積槽の大きさ
130㎡未満
(約40坪未満)
5人槽
130㎡以上
(約40坪以上)
7人槽
キッチン・浴室が
2つ以上
(2世帯住宅)
10人槽
【例1】住宅の延床面積が130㎡以上

7人槽

※ 3人家族でも「7人槽」の設置が必要

【例2】二世帯住宅+キッチンor浴室が2つ以上

10人槽

※ 4人家族でも「10人槽」の設置が必要

このように、家族の人数と浄化槽の大きさは異なるため注意しましょう。

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浄化槽の設置(新設)と撤去の流れ

浄化槽の新設工事の写真

浄化槽の設置(新設)の流れ

浄化槽の設置(新設)に必要な手続きと工事についての流れは、以下の通りです。

新設
見積もり

業者に見積りを依頼し、現地調査をしてもらいます。浄化槽を設置する場所や周辺の状況など、浄化槽設置に必要な情報のための調査を行います。
浄化槽の設置工事は、特例浄化槽工事業や浄化槽工事業に登録された業者のみ工事することができます。どの業者でも施工できるわけではないので、各自治体のホームページで登録業者を確認する必要があります。
登録業者2、3社から見積りを取り、比較して業者を決定します。

新設
工事・補助金の申請

浄化槽の設置を自治体に申請し、同時に補助金の申請を行います。設置のための書類は、自治体ごとに異なりますので確認が必要です。

新設
工事開始〜完成

申請がおりたら浄化槽の工事が始まりますが、浄化槽を埋設する場所の掘削工事を行い、浄化槽が沈まないように基礎コンクリートを打設します。
浄化槽本体の据え付け、排水設備工事を行います。浄化槽の上部にコンクリートを打設して完了です。

新設
完成届の申請

工事が完了したら、自治体、保健所へ浄化槽設置の完成届の申請を行い、自治体による水質検査の手続きをします。また、浄化槽を使い始める時は、自治体に知らせる必要があるため、浄化槽使用開始報告書で報告します。
浄化槽使用開始報告書は、使用開始から30日以内に提出する必要があります。

新設
自治体の検査

自治体による浄化槽設置後の水質検査を受けます。
浄化槽所有者は、浄化槽法により水質検査を受ける必要があります。水質検査は、浄化槽が適正に維持管理され、浄化機能が十分に発揮されているかどうかを検査することで「法定検査」とも呼ばれます。
法定検査には、浄化槽設置後の水質検査のほか年1回の定期検査があります。

新設
補助金の交付

工事完了後、2〜3週間で、自治体から補助金が交付されます。

新設
工事費用の支払い

業者へ設置費用を支払い、完了となります。
また、浄化槽既設住宅の変更工事も既存の浄化槽の撤去が加わるだけで、同様の流れとなります。

浄化槽の撤去の流れ

浄化槽の撤去に必要な手続きと工事についての流れは、以下の通りです。

撤去
見積もり

業者に見積りを依頼し、浄化槽撤去に必要な情報のための現地調査を行います。
浄化槽の撤去工事は、設置工事と同様、特例浄化槽工事業や浄化槽工事業に登録された業者のみ工事することができます。どの業者でも施工できるわけではないので、各自治体のホームページで登録業者を確認する必要があります。
登録業者2、3社から見積りを取り、比較して業者を決定します。

撤去
工事・補助金の申請

浄化槽の廃止を自治体に申請し、同時に補助金の申請を行います。廃止のための書類は、自治体ごとに異なりますので確認が必要です。

撤去
撤去開始〜完成

申請がおりたら浄化槽の撤去工事が始まりますが、浄化槽内の清掃や消毒は事前に済ませておく必要がありますので注意しましょう。業者に任せきりにするのではなく、自分の目で確認する必要があります。

撤去
廃止届の申請

工事が完了したら、自治体へ浄化槽の廃止の申請を行う必要があるため浄化槽使用廃止届出書で報告します。浄化槽法に定められており、浄化槽を撤去した日から30日以内に届ける必要があります。
また、届出の際には最終清掃の記録が必要な自治体もありますので、事前に居住している自治体に確認しておきましょう。

撤去
補助金の交付

工事完了後、2〜3週間で自治体から補助金が交付されます。

撤去
工事費用の支払い

業者へ撤去費用を支払い、完了となります。

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浄化槽のメリットとデメリット、注意点

浄化槽のメリット3つ

浄化槽の最大のメリットは、災害時に使えることでしょう。地震などで被害があっても復旧が早いため安心です。それぞれ詳しく解説します。

メリット
災害時にも使える

浄化槽は停電時でも使用でき、処理水は災害時の緊急用水として活用できるため、災害時も安心です。
ただし、ブロアーは停電で停止するため、微生物の活動が弱まり処理能力が低下します。停電が長期化すると不具合の可能性もあるため注意が必要です。
また、設備が敷地内で完結しているため、故障時に原因特定がしやすい点もメリットです。

メリット
水道代が抑えられるケースがある

浄化槽を設置している場合、水道代は上水道料金のみとなり、下水道料金がかかりません。そのため、使用量によっては水道代を抑えられるケースがあります。
ただし、浄化槽には別途、維持管理費がかかるため、トータル費用で考える必要があります。

メリット
環境に配慮した排水ができる

浄化槽は微生物の働きにより、家庭から出る汚水や雑排水を下水処理場並みに浄化します。
窒素やリン除去などの高度処理にも対応可能で、環境に配慮した排水ができる点がメリットです。

浄化槽のデメリット3つ

浄化槽は設置する際の導入費用に加え、浄化槽を維持管理するために、ランニングコストが発生します。費用負担は大きいと言えるでしょう。

デメリット
悪臭を発生する可能性がある

浄化槽は、微生物が弱ると悪臭を放つ可能性があります。主な原因は、ブロアー故障による酸素不足や、油・アルコール・漂白剤などの流入です。
また、新設時も微生物が安定するまでの3ヶ月程度は、臭いが発生することがあります。

デメリット
ランニングコストがかかる

浄化槽は下水道料金がかからない一方、保守点検・清掃・法定点検の費用や電気代といったランニングコストが毎年かかります。
一般的な5人槽で月額約4,200円が目安となり、下水道料金より高くなるケースもあります。

デメリット
設備に寿命がある

浄化槽本体や周辺設備には寿命があり、交換が必要です。
一般的に本体は20~30年、ブロアーは5~10年が寿命と言われています。寿命を超えて機能が低下すると、悪臭が発生し生活や近隣に迷惑をかける可能性があるため注意が必要です。

浄化槽の注意点5つ

浄化槽は「浄化槽法」や「環境省令」によって、さまざまな取り決めがされているため、気をつけるべき注意点が多いです。
ここでは、制度に関する注意点を具体的に5つ紹介します。

注意点
浄化槽の新設には届け出が必要

浄化槽を新設する場合、工事の約3週間前までに「浄化槽設置届出書」の届け出が必要です。
なお、新築に伴い浄化槽を新設する場合は建築確認も必要となり、手続きが変わるため注意しましょう。

提出時期や届け出先は自治体・浄化槽により異なるため、お住まいの役場に事前確認してください。

注意点
浄化槽の構造の変更・規模変更にも届け出が必要

浄化槽の構造や規模を変更する場合は、浄化槽法に基づき変更届が必要です。
また、浄化槽の管理者を変更する際にも、同様の届け出が必要なため忘れないようにしましょう。

注意点
水質検査は初回だけ「自身」で申し込み

浄化槽設置後4~8ヶ月の間に行う「初回の水質検査」は、自分で申し込む必要があります。
申し込みについては、まず施工業者に相談すれば、方法を教えてくれたり対応してくれたりすることがあるため確認しましょう。

注意点
下水道が整備された場合、3年以内に接続

現在浄化槽を使用している場合でも、下水道が整備された場合には遅くとも3年以内に接続しなければなりません。
下水道整備の予定については各市区町村の役場にて確認することができるため、気になる場合には事前に確認してみるようにしましょう。

注意点
自治体から指定を受けている浄化槽工事業者から選ぶ

浄化槽の設置・撤去は、自治体から指定を受け、「浄化槽工事業」等の登録がある業者しか行えません。
施工には「浄化槽設備士」の監督が必須な専門性の高い工事です。
必ず有資格者が在籍する登録業者を選びましょう。指定業者であれば料金・施工トラブルが起きにくく、事前にホームページで実績やアフターサービスを確認するのもおすすめです。

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下水道と浄化槽ではどちらの方が良い?

マンホールの写真

まず前提として、下水道が整備されている地域では、基本的に下水道への接続が義務付けられています。浄化槽は、主に下水道が未整備の地域で必要とされる設備です。

両者には、以下のような違いがあります。

【比較1】費用面(導入費用やランニングコスト)

導入費用(初期費用)
下水道

「加入金(受益者負担金)」と「宅内への接続工事費」がかかります。

浄化槽

「浄化槽本体の設備費」と「設置工事費」がかかります。

維持費用(ランニングコスト)
下水道

「下水道料金(上水道の使用量に応じて計算)がかかります。

浄化槽

下水道料金はかかりませんが、別途「保守点検・清掃・法定検査の費用」と「ブロアーの電気代」がかかります。

結局どちらが安い?

どちらの維持費が安くなるかは、水道の使用量やお住まいの地域の下水道料金、浄化槽の管理費用によるため、一概には言えません

【比較2】設置・管理面

下水道

一度接続すれば、定期的な点検や清掃といった管理の手間は基本的にありません。

浄化槽

法律で定められた定期的な点検・清掃が必要です。また、浄化した水を流すための水路や側溝が近くに必要です。

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補助金制度を利用して浄化槽を安く設置しよう

浄化槽における補助金制度には、以下の3つがあります。

なお、これらの補助金制度は、自治体により補助金の額や受け取り条件が異なります。居住している市区町村に問い合わせするか、ホームページで確認しましょう。自治体によっては「新築補助金」「転換補助金」ともに制度自体がなく、利用できない場合があります。

制度
新築補助金

新築住宅に合併処理浄化槽を設置する場合に、利用できる補助金です。
ただし、お住まいの地域が下水道整備地区の場合は対象外となる可能性や、自治体によっては建売住宅・増築が対象外となる可能性もあるため、事前の確認が必要です。

【新築補助金例】山口県山口市

山口市では、自己の居住のための新築住宅等に合併処理浄化槽を設置する費用に対し、人槽(大きさ)に応じて以下の補助限度額が設定されています。

人槽区分補助限度額
5人槽332,000円
6人槽~7人槽414,000円
8人槽10人槽548,000円
参考:合併処理浄化槽の設置費用を補助します(山口市上下水道局)

さらに、設置にあたり既存の設備を撤去する場合、上記の額に以下の費用が上乗せされます。

単独処理浄化槽の撤去を伴う場合

120,000円

汲み取り便槽の撤去を伴う場合

90,000円

主な注意点
  • 補助金の申請・交付決定前に工事に着手すると、補助金は交付されません。
  • 公共下水道の事業計画区域内については、市への確認が必要です。
  • 補助金は年度ごとに変更される可能性があり、予算がなくなり次第締め切られる場合があります。
制度
転換補助金

既存の単独処理浄化槽や汲み取り便槽から、合併処理浄化槽へ設置替え(転換)する際に利用できる補助金です。
国が環境保全のためにこの転換を推進しているため、多くの自治体で支援制度が設けられています。

【転換補助金例】山口県山口市

山口市では、既存の住宅で単独処理浄化槽または汲み取り便槽から合併処理浄化槽へ転換する費用に対し、人槽(大きさ)に応じて以下の補助限度額が設定されています。

人槽区分補助限度額
5人槽360,000円
6人槽~7人槽462,000円
8人槽10人槽585,000円
参考:合併処理浄化槽の設置費用を補助します(山口市上下水道局)

転換補助金の特徴として、基本額に加え、撤去や配管工事に対しても以下の補助金が上乗せされます。

単独処理浄化槽の撤去費用

120,000円

汲み取り便槽の撤去費用

90,000円

転換に伴う宅内配管工事費

320,000円

主な注意点
  • 補助金の申請・交付決定前に工事に着手すると、補助金は交付されません。
  • 予算がなくなり次第、受付終了となります。
制度
市営浄化槽

「市営浄化槽」制度は、個人が設置する際に補助金を受け取る仕組みとは異なり、自治体(市など)が主体となって個人の敷地に合併処理浄化槽を設置し、その後の維持管理も行う事業です。

市の所有物として設置・管理されるため、この制度の対象エリアでは、前述の「新築補助金」や「転換補助金」といった個人向けの補助金制度は利用できないのが一般的です。

利用者は設置時に「分担金」を一度支払い、利用開始後は市の定める「使用料」や、ブロアー等の「電気代・水道代」を継続的に負担します。

【例】広島県広島市

広島市では、下水道が整備されない区域を対象に市営浄化槽事業を行っています。

利用者の負担は、以下の通りです。

設置時
  • 設置分担金:30万円(※1)

※1:1回限り

利用開始後
  • 市営浄化槽使用料(※2)
  • 電気料金
  • 水道料金

※2:毎月(または定期的)に発生

参考:市営浄化槽のご案内(広島市 下水道局管路課)

設置にかかる費用(分担金を除く)や、その後の保守点検・清掃・修繕費用は広島市が負担しますが、利用者は月々の「使用料」(市の維持管理費に充当)と、浄化槽稼働に必要な「電気・水道代」を負担します。

主な注意点
  • 補助金は年度ごとに変更される可能性があり、予算がなくなり次第締め切られる場合があります。
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浄化槽を長く使うためのポイント

浄化槽を長く使うためには、正しく使用することが重要です。浄化槽を長く使うためにも、以下の5点に気をつけましょう。

POINT
油類・トイレットペーパー以外を流さない

調理で使用した食用油などの油脂類、トイレットペーパー以外の紙は浄化槽に流さないようにしましょう。通常、浄化槽内の水と混合しているものは沈殿させて分離させますが、油脂類や紙は分離せず沈殿もしないため、水と共に流れてしまうので注意が必要です。

また、調理で使用した食用油は、固めるか紙で拭き取って燃えるゴミとして捨てるようにしましょう。多少の油脂類は処理することができますが、油脂類の量が多い場合には対応しきれないため、油脂類はしっかり拭き取った上で、洗い流すようにしましょう。

POINT
劇薬などの使用は避ける

劇薬(特に塩素系漂白剤など)を含む洗剤は、浄化槽内の微生物を死滅させ、浄化機能を停止させる恐れがあるため注意が必要です。

洗剤は事前に確認し、キッチン、浴室、トイレの掃除には中性洗剤や浄化槽対応のものを使いましょう。どうしても汚れが取れない時にごく少量の漂白剤やアルコールを使う程度であれば、微生物への影響はさほどありません。

POINT
マンホールの上に重いものを置かない

浄化槽のマンホールの上には、重いものを置かないでください。清掃や点検で開閉できるよう、物置など容易に移動できないものの設置は禁止されています。

浄化槽の上を駐車場にする場合は、事前の業者への相談と補強工事が必要です。ただし、その場合もマンホール上をタイヤが通過すると破損する恐れがあるため注意しましょう。

POINT
通気口を塞がない

通気口を塞ぐと、汚水の流れや微生物の働きが悪くなり、害虫や悪臭の原因となるためやめましょう。

悪臭を改善したい場合は、通気口を塞がずに排気管を風通しの良い場所まで延ばすのが効果的です。また、排気口が落ち葉やゴミで塞がれていないか、定期的に確認することをおすすめします。

POINT
ブロアーの電源は切らない

ブロアーの電源は、切らないでください。ブロアーには、浄化槽内の微生物に酸素を送って活性化させる役割があります。

電源を切ると微生物が死滅し、浄化機能の低下や悪臭の原因となります。電気代はかかりますが、24時間365日稼働させましょう。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】久田麻里子

マザーハウス 石田工務店

久田麻里子

2級建築士、インテリアコーディネーター、住環境福祉コーディネーター。ハウスメーカー、リフォーム会社での建築業を幅広く経験。主婦・母親目線で様々なリフォームアドバイスを行う。主な担当は水回り設備リフォーム、内装コーディネート、戸建てリフォームなど。

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