2024年09月24日更新

監修記事

浄化槽の設置費用はいくら?撤去・交換費用、維持費や補助金も解説!

浄化槽とは、下水道を使用せずに汚水を処理する設備です。浄化槽の設置費用・撤去費用・交換費用・維持費・補助金など費用面について詳しく解説します。
また、浄化槽を利用するメリット・デメリットのほか、工事における注意点なども紹介します。

まずは
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浄化槽の設置費用・撤去費用・交換費用は?

浄化槽(合併槽)のイメージ

浄化槽の各コストは、浄化槽の大きさによって決まります。
浄化槽の大きさは、〇人槽という単位で表されます。家庭用として使用される浄化槽の大きさは、一般的に、5人槽・7人槽・10人槽の3種類です。

浄化槽の大きさごとの設置費用・撤去費用の目安は以下の表の通りです。

槽の大きさ設置費用撤去費用
5人槽80〜100万円5万円~
7人槽100〜130万円5万円~
10人槽120〜150万円7万円~
浄化槽の大きさと設置費用・撤去費用

浄化槽の設置費用は?

浄化槽を設置する費用は、80万円~150万円が相場です。費用相場は、浄化槽の大きさにより変動します。
単独処理浄化槽から合併浄化槽に切り替える場合や、トイレの改装工事が絡む場合など付帯工事も行う場合には費用がさらにかかり、工期も延長になります。

工事期間の目安は大きさによらず、概ね3日〜7日です。工事期間中は水を使用できない時間帯が発生するため、覚えておきましょう。

5人槽の設置費用

5人槽の設置費用は80万円〜100万円です。

7人槽の設置費用

7人槽の設置費用は100万円〜130万円です。

基本的な工事内容は5人槽と同様です。
ただし、7人槽を導入する場合には延床面積が広い住宅であるため、浄化槽までの配管工事が長くなる可能性があり、このような場合には工事の費用や工期が上振れします。

10人槽の設置費用

10人槽の設置費用は120万円〜150万円です。

浄化槽工事にかかる手順は同じですが、10人槽の場合は二世帯住宅であることから、つなぎ込みをする配管の数が多くなります。
施工条件によっては工事費、工期ともに上振れする可能性があるといえるでしょう。

>>トイレのリフォーム費用を解説!

浄化槽の撤去費用は?

浄化槽の埋め戻し工時(ハピすむの事例より)

浄化槽の撤去費用は、5万円~7万円が相場ですが、条件や工法によって上振れする可能性があります。

浄化槽を撤去する場合は、浄化槽を撤去する前に、浄化槽内を清掃、消毒を行う必要があります。この清掃と消毒は、浄化槽法で定められており、費用は3万円前後かかります。自治体から許可を受けた専門業者に依頼しましょう。

浄化槽の撤去には、「全撤去」、「埋め戻し」、「埋め殺し」の3つの方法があります。

全撤去」とは、浄化槽の本体、周辺設備などすべてを撤去し、地中になにも残らない状態にすることです。浄化槽の撤去方法で最も推奨されている方法で、全撤去後は、いつでも土地の売却が可能になります。

「埋め戻し」とは、浄化槽本体の1/3程度を解体して装置や部材を撤去し、残りの本体は地中に埋設する方法です。埋め戻しのメリットは、全撤去と比べて費用が安く、作業がしやすいことです。
しかし、埋め戻しをしたまま放置すると不法投棄とみなされる可能性があり、また土地を売却する場合は全撤去が必要となり、二度手間になるためあまりおすすめできる方法ではありません。

「埋め殺し」とは、全撤去、埋め戻しと同様、浄化槽内の汚水を取り除きますが、浄化槽自体はそのまま地中に埋設する方法です。埋め戻しと同様に不法投棄になる可能性がありますので注意が必要です。

浄化槽の交換費用は?

浄化槽の耐用年数と交換費用

浄化槽の交換費用は設置費用と同等となるケースが多いです。

浄化槽の耐用年数は約30年とされていますが、現実的な使用可能年数は約50年が目安です。

入れ替えの目安としては、浄化槽本体にひびが入るなどの経年劣化がみられる場合や、ブロアーポンプなどの付帯設備が故障したタイミングに入れ替えを検討してみると良いかもしれません。

各部品の耐用年数

一般的に浄化槽の部品の耐用年数を下記の表にまとめました。交換時期の参考にしてください。

部品耐用年数
ブロアーポンプ5~10年
接触材・ろ材20年~
エアー配管など20年~
マンホールの蓋20年~
浄化槽の部品と耐用年数

浄化槽とは?浄化槽の種類と処理の仕組み

浄化槽とは、トイレから出る排水、台所やお風呂の生活排水などのいわゆる汚水を処理するための設備のことで、主に公共の下水道が整備されていない地域で使用されます。

浄化槽にはさまざまな種類があり、仕組みもそれぞれ異なりますが、共通している点は微生物を活用して汚水をきれいに消毒していることです。浄化槽が汚水を消毒するまでの工程、浄化槽の種類とくみ取り式との違い、浄化槽の大きさについて説明します。

浄化槽の4つの工程(仕組み)

ここでは浄化槽の一般的な仕組みについて紹介します。
浄化槽は主に下記の4つの工程に分けて、順番に汚水を消毒しています。

1.沈殿・分離槽

沈殿・分離槽は、汚水が最初に通過する槽で、汚水を液体と個体に分離させます。
仕組みは簡単で、水をしばらく滞留させることで汚水内の軽い個体は浮上貯留させ、重い個体を沈殿貯留させます。
そして、その中間の液体のみをになった状態で次の槽に送ります。

2.ばっ気槽

ばっ気槽はブロアーポンプという空気を送り込む装置や汚水に接触させる接触材を活用して、汚水を処理するための微生物を繁殖させます。
汚水がこのばっ気槽を通過することで、微生物が汚れを浄化してくれます。

3.沈殿槽

ばっ気槽で汚水内に繁殖した微生物や、取りきれなかった個体の汚れを再度沈殿させます。
きれいになった水だけを次の消毒槽に送り、沈殿物はばっ気槽に戻します。

4.消毒槽

最後に流れてきた水を塩素材を用いて消毒し、放流します。

以上が浄化槽の仕組みです。

浄化槽の種類と汲み取り式との違い

ここからは浄化槽の種類について解説していきます。

単独処理浄化槽とは?

単独処理浄化槽とは、トイレからの汚水のみを処理して放出するタイプの浄化槽です。

単独処理浄化槽の場合、台所やお風呂などの生活雑排水は処理されることなく、水路などに流されます。そのため、悪臭が発生したり、河川などの水質汚染の原因になったりします。

この影響を受けて環境保全のために平成12年に浄化槽法が改正され、
平成13年4月1日以降、単独浄化槽の新設が原則として禁止されています。

浄化槽の新設にはこれから解説する合併処理浄化槽の設置が義務付けられ、現在単独処理浄化槽を使用している方も、合併浄化槽の設置に努めなければなりません。

劣化などにより交換する場合は、際には合併処理浄化槽の設置が原則義務となります。

合併処理浄化槽(合併浄化槽)とは?

合併処理浄化槽とは、単独処理浄化槽とは異なり、全ての生活排水を浄化し、きれいな水を放出するタイプの浄化槽です。
浄化槽法の改正もあり、基本的に現在の浄化槽というと、この合併処理浄化槽を指します。

また、トイレの排水のみ対応する単独処理浄化槽よりも、当然ながら環境に配慮しており、性能としても下水処理場の2次処理と同等の処理が可能になっています。

汲み取り式との違い

汲み取り式は、ボットン便所ともいわれ、浄化槽とは異なり便槽と呼ばれるタンクに汚水をためる仕組みです。
排水することができないため、定期的にバキュームカーでの汲み取り作業が必要です。
また、一切の処理をしないまま便槽にためるため、汚水の臭いがひどい場合が多いです。

汲み取り式は、基本的には単独処理浄化槽と同様にトイレのみしか対応していません。合併浄化槽とは異なり、便槽には汚水をきれいにするための処理機能がありません。

臭いを抑えるために、簡易水洗式と呼ばれる、水だけを流して臭いを抑える仕組みもありますが、この場合では汲み取り頻度が高くなってしまいます。

どのくらいの大きさの浄化槽を設置すべき?

住宅の延床面積と浄化槽の大きさは以下の表の通りです。

住宅の延床面積槽の大きさ
130㎡未満(約40坪未満)5人槽
130㎡以上(約40坪以上)7人槽
2世帯住宅でキッチン・浴室が2つ以上10人槽
住宅の大きさと、浄化槽の大きさ

浄化槽の大きさは、住宅の延べ床面積で定まります。
具体的には、設置する浄化槽の大きさは、建築物の用途別による屎尿浄化槽の処理対象人員算定基準に基づいて、住宅の延床面積によって決まります。住宅の所有者が自由に決められるわけではありませんので注意しましょう。

例えば、住宅の延床面積が130㎡以上ある場合は、仮に3人家族であったとしても7人槽の浄化槽を設置する必要があります。実際に使用する人数とは異なりますので注意が必要です。
また、二世帯住宅でキッチンまたは浴室が2つ以上ある場合は、4人で住んでいても10人槽を設置する必要があります。

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浄化槽の年間のランニングコストの内訳

浄化槽のランニングコスト(維持費)は、5万~9万円/年です。
浄化槽の維持管理に必要な費用には、保守点検費用、清掃費用、法定検査費用、電気代があります。浄化槽の大きさにより費用は異なります。

維持管理項目5人槽7人槽10人槽
保守点検2万円2.2万円2.4万円
清掃2万円3万円5万円
法定検査5千円5千円5千円
電気代5千円7千円1万円
年間コスト5万円6.4万円9万円
浄化槽の大きさとランニングコスト(費用は概算)

上記のコスト以外に、故障した場合の修理費用は、工事費込みで8万円~かかります。

保守点検

保守点検とは、浄化槽や周辺設備の機能が低下していないか点検し、設備の調整、消毒剤の補充を行うことです。
浄化槽の大きさで保守点検費用が変わります。
浄化槽の保守点検の回数は、3〜4回/年が目安です。

清掃・汲み取り

浄化槽は、各排水から流れ込む汚水を個体と液体に分離し、消毒したきれいな水だけ放流します。浄化槽の機能を正常に保つためには、浄化槽内に溜まった汚泥物をバキュームカーで汲み取り、清掃する必要があります。
清掃費用は、自治体や清掃業者によって異なり、補助金が出る自治体もあります。
浄化槽の種類によりますが、多くの浄化槽は年1回以上の清掃が必要となっており、1〜2回/年が目安です。

法定検査

法定検査とは、保守点検や清掃が適正に行われているか、浄化槽の機能が正常に維持されているかを公的機関が行うもので、浄化槽を総合的に判断するために行う検査です。
法定検査の費用は自治体により異なりますが、おおむね5,000円です。
法定検査は年1回受ける必要があります。

電気代

浄化槽は、「ブロアー」という設備に電気代がかかります。ブロアーとは、浄化槽に空気を送り込む設備です。浄化槽は、水中の微生物の働きによって汚水を浄化しますので、微生物を活性化させる酸素は必要不可欠です。
ブロアーは基本的に24時間365日稼働していますが、ブロアーの種類によって電気の使用量は異なります。

修理費用

浄化槽が故障したときの修理費用は、8万円~です。故障範囲が大きいと高額になる可能性があります。

浄化槽本体の耐用年数は約30年と言われていますが、ブロアーなどの周辺設備はさらに短いため、気を付けましょう。

浄化槽の寿命を延ばすためには、定期的なメンテナンスが重要です。

浄化槽の設置(新設)と撤去の流れ

新設の流れ

浄化槽の新設に必要な手続きと工事についての流れは以下の通りです。

工事の流れ内容
見積もり・見積もり依頼
・現地調査
・依頼先を選定
②工事・補助金の申請・浄化槽の新規設置の申請
・補助金の申請
③工事開始〜完成・浄化槽の設置工事
④完成届の申請・自治体・保健所へ完成届の申請
⑤自治体の検査・自治体による法定検査
・使用開始を自治体に報告
⑥補助金の交付・自治体から補助金が交付
⑦工事費用の支払い・業者へ工事費用を支払い
浄化槽新設・変更工事の流れ

①浄化槽設置の見積もり

業者に見積りを依頼し、現地調査をしてもらいます。浄化槽を設置する場所や周辺の状況など、浄化槽設置に必要な情報のための調査を行います。

浄化槽の設置工事は、特例浄化槽工事業や浄化槽工事業に登録された業者のみ工事することができます。どの業者でも施工できるわけではないので、各自治体のホームページで登録業者を確認する必要があります。

登録業者2、3社から見積りを取り、比較して業者を決定します。

②工事・補助金の申請

②浄化槽の設置を自治体に申請し、同時に補助金の申請を行います。設置のための書類は、自治体ごとに異なりますので確認が必要です。

③工事開始〜完成

申請がおりたら浄化槽の工事が始まりますが、浄化槽を埋設する場所の掘削工事を行い、浄化槽が沈まないように基礎コンクリートを打設します。

浄化槽本体の据え付け、排水設備工事を行います。浄化槽の上部にコンクリートを打設して完了です。

④完成届の申請

工事が完了したら、自治体、保健所へ浄化槽設置の完成届の申請を行い、自治体による水質検査の手続きをします。また、浄化槽を使い始める時は、自治体に知らせる必要があるため、浄化槽使用開始報告書で報告します。

浄化槽使用開始報告書は、使用開始から30日以内に提出する必要があります。

⑤自治体の検査

自治体による浄化槽設置後の水質検査を受けます。

浄化槽所有者は、浄化槽法により水質検査を受ける必要があります。水質検査は、浄化槽が適正に維持管理され、浄化機能が十分に発揮されているかどうかを検査することで、法定検査とも呼ばれます。

法定検査には、浄化槽設置後の水質検査のほか年1回の定期検査があります。

⑥補助金の交付

工事完了後、2〜3週間で、自治体から補助金が交付されます。

⑦工事費用の支払い

業者へ設置費用を支払い、完了となります。

また、浄化槽既設住宅の変更工事も既存の浄化槽の撤去が加わるだけで、同様の流れとなります。

浄化槽の撤去の流れ

浄化槽の撤去に必要な手続きと工事についての流れは以下の通りです。

工事の流れ内容
①見積もり・見積もり依頼
・現地調査
・依頼先を選定
②工事・補助金の申請・浄化槽の撤去の申請
・補助金の申請
③撤去開始〜完成・浄化槽の撤去工事
④廃止届の申請・自治体・保健所へ廃止届の申請
⑤補助金の交付・自治体から補助金が交付
⑥工事費用の支払い・業者へ工事費用を支払い
浄化槽撤去工事の流れ

①浄化槽撤去の見積もりをする

業者に見積りを依頼し、浄化槽撤去に必要な情報のための現地調査を行います。

浄化槽の撤去工事は、設置工事と同様、特例浄化槽工事業や浄化槽工事業に登録された業者のみ工事することができます。どの業者でも施工できるわけではないので、各自治体のホームページで登録業者を確認する必要があります。

登録業者2、3社から見積りを取り、比較して業者を決定します。

②工事・補助金の申請

浄化槽の廃止を自治体に申請し、同時に補助金の申請を行います。廃止のための書類は、自治体ごとに異なりますので確認が必要です。

③撤去開始〜完成

申請がおりたら浄化槽の撤去工事が始まりますが、浄化槽内の清掃や消毒は事前に済ませておく必要がありますので注意しましょう。業者に任せきりにするのではなく、自分の目で確認する必要があります。

浄化槽を撤去後、配管を直し整地をして完了です。

④廃止届の申請

工事が完了したら、自治体へ浄化槽の廃止の申請を行う必要があるため浄化槽使用廃止届出書で報告します。浄化槽法に定められており、浄化槽を撤去した日から30日以内に届ける必要があります。

また、届出の際には最終清掃の記録が必要な自治体もありますので、事前に居住している自治体に確認しておきましょう。

⑤補助金の交付

工事完了後、2〜3週間で、自治体から補助金が交付されます。

⑥工事費用の支払い

業者へ撤去費用を支払い、完了となります。

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浄化槽のメリットとデメリット、注意点

浄化槽のメリットは3点あります

  1. 災害時にも使える
  2. 水道代が抑えられるケースがある
  3. 環境に配慮した排水ができる

浄化槽の最大のメリットは、災害時に使えることでしょう。地震などで被害があっても復旧が早いため安心です。それぞれ詳しく解説します。

メリット1. 災害時にも使える

浄化槽自体は停電時でも使うことができるため災害時でも安心です。浄化槽設備は、敷地内で完結しているため故障した場合や不具合があった場合は、原因箇所を見つけやすいのもメリットと言えるでしょう。

ただし、浄化槽の周辺設備であるブロアーは、電気を使うため停電時は使用できません。停電によりブロアーが止まることで、浄化槽内の微生物の活動が低下し、浄化槽の処理能力も低下します。

2日間程度であれば、さほど影響はないですが、停電が長期にわたると浄化槽内に汚れがたまり、不具合を起こす可能性がありますので注意が必要です。

また、浄化槽内で適切に処理した排水は、災害時の緊急用水として使用することが可能です。

メリット2. 水道代が抑えられるケースがある

水道使用量によっては、水道代が抑えられるケースがあります。
浄化槽を設置していれば、水道代は上水道料金のみの負担で下水道料金がかかりません。

水道料金は地域によって変わりますが、下水道料金は上水道の使用量を汚水排出量とみなし計算されますので、使用量によっては水道代が抑えられるケースがあります。

しかし、現実的には、浄化槽には維持管理費がかかりますので、トータルでの費用で考える必要があるでしょう。

メリット3. 環境に配慮した排水ができる

浄化槽は、微生物による浄化機能を活用し、下水処理場並みの汚水処理が可能となっており、窒素やリン除去など高度処理にも対応しています。浄化槽によって処理することにより、環境に配慮できていることもうれしいメリットです。

家庭から出た汚水や雑排水は自宅の浄化槽によってきれいにして排水しますので、環境に配慮していると言えるでしょう。

浄化槽のデメリットも3点あります

  1. 悪臭を発生する可能性がある
  2. ランニングコストがかかる
  3. 設備に寿命がある

浄化槽は設置する際の導入費用に加え、浄化槽を維持管理するために、ランニングコストが発生します。費用負担は大きいと言えるでしょう。
それぞれ詳しく解説します。

デメリット1. 悪臭を発生する可能性がある

浄化槽は、微生物による浄化機能を活用しているため、微生物が弱ると悪臭を放つ可能性があります。

微生物が弱る原因としては、ブロアーの故障による酸素供給不足や、油・アルコール・漂白剤などを浄化槽に流してしまったことが考えられますので注意が必要です。

また、浄化槽を新しく設置した場合は、微生物が落ち着くまで時間がかかりますので、3カ月程度悪臭がするかもしれません。

デメリット2. ランニングコストがかかる

浄化槽は下水道料金がかからないメリットがありますが、浄化槽を維持・管理するランニングコストがかかります。保守点検費用、清掃費、法定点検費、電気代が毎年かかり、一般的な5人槽の浄化槽で、約4,200円/月ほどかかります。

下水道料金と比較した場合、浄化槽のほうが高いケースもあるでしょう。

デメリット3. 設備に寿命がある

浄化槽本体や周辺設備には寿命があります。一般的に、浄化槽本体は20〜30年、ブロアーは5〜10年が寿命と言われており、時期が来たら交換する必要があります。

浄化槽本体や周辺設備には耐用年数があるため、寿命がきた場合は取り替える必要があります。

浄化槽の機能が低下すると悪臭を発生する可能性があり、生活に支障をきたすほか近隣にも迷惑をかける可能性があります。

浄化槽、5つの注意点

浄化槽は浄化槽法や環境省令によって、さまざまな取り決めがされているため、気をつけるべき注意点が多いです。
ここでは制度に関する注意点やを具体的に5つ紹介します。

注意点1. 浄化槽の新設には届け出が必要

浄化槽を新設する場合、浄化槽設置工事に着工する予定日の約3週間前までに浄化槽設置届出書という書類の届け出が必要になります。

なお、この日程に関しては自治体によって異なり、使用する浄化槽によっても異なるため、事前に確認することをおすすめします。

届け出先も自治体によってさまざまであるため、まずはお住まいの地域の役場に連絡して対応を仰ぐようにしましょう。

また、住宅の新築に伴って浄化槽を新設する場合には建築確認も必要となり、手続きの内容が変わるため、注意するようにしましょう。

注意点2. 浄化槽の構造の変更・規模変更にも届け出が必要

浄化槽は浄化槽法に則って設置できる浄化槽の選定を行っています。
そのため、浄化槽の構造や規模を変更したい場合にも変更届が必要です。
特に世帯数が増えて増築する場合や、減築、増築をして規模の変更が必要になる場合には注意しましょう。

浄化槽の管理者を変更したい場合にも同様の届け出が必要になるため、忘れずに届け出てください。

注意点3. 水質検査は初回だけ「自身」で申し込み

浄化槽は設置してから4カ月目から8カ月目の間に一度水質の検査を受ける必要があります。
初回の申し込みに関しては、自分で申し込みをしなければなりません。

申し込みは基本的に施工してもらった業者に相談することで依頼の仕方を教えてもらえたり、その業者が対応してくれたりすることもあるため、一度相談してみましょう。

注意点4.下水道が整備された場合、3年以内に接続

現在浄化槽を使用している場合でも、下水道が整備された場合には遅くとも3年以内に接続しなければなりません。

下水道整備の予定については各市区町村の役場にて確認することができるため、気になる場合には事前に確認してみるようにしましょう。

注意点5. 自治体から指定を受けている浄化槽工事業者から選ぶ

浄化槽は浄化槽工事業や特例浄化槽工事業の登録をしている業者にしか設置することができないため、対応可能な業者を探して依頼する必要があります。
また、施工する際には浄化槽設備士という資格を持っている監督を置かなければなりません。

それだけ専門性の高い工事であることから、必ず浄化槽設備士の有資格者が在籍していて、工事業登録されている業者を選定するようにしましょう。

浄化槽の設置・撤去を依頼する場合は、浄化槽工事業や特例浄化槽工事業の登録をし、自治体から指定を受けている業者から選ぶようにしましょう。

浄化槽の設置・撤去は専門性の高い工事のため、施工する際には浄化槽設備士という資格を持っている監督を置く必要があります。

浄化槽設備士の有資格者が在籍し、自治体から指定を受けている業者であれば、料金面や施工面においてのトラブルの可能性は低いでしょう。

ホームページで実績を確認したり、アフターサービスの有無も確認することをおすすめします。

下水道と浄化槽ではどちらの方が良い?

基本的に浄化槽は下水道が整備されていない場合の処置になるため、下水道が整備されている場合には下水道を利用する必要がありますが、下水道と浄化槽ではどちらが良いのでしょうか。

ここでは3つの視点からそれぞれ比較し、解説していきます。

費用面の差 (導入費用やランニングコストなど)

下水道の方が維持費は安く済みます。

下水道が元々整備されている地域は下水道工事を盛り込んで工事をしているため、導入費用はそこまで高額ではなく、下水道料金のほかには維持管理をするための費用も基本的にはかかりません。
しかしながら、浄化槽には設備機器費用と工事費が導入費用としてかかり、年に数回の清掃作業と点検、加えて年1回の定期検査を実施する必要があります。
また、設備機器である以上当然寿命があるため、定期的にメンテナンスする必要があり、修理や交換などの維持費がかかってしまいます。

下水道の料金は上水道の使用に準じている

浄化槽の方が、下水道料金がかからない分、安く済みます。

下水道の料金は上水道の使用量に準じているため、上水道をよく利用する場合には、下水道の料金が高額になります。
浄化槽の場合には下水道を利用しないため、受益者負担金がかからず、上水道を使用しても下水道料金がかからないため、浄化槽の方がメリットを受けられる可能性があります。

どちらの方が使用環境に適しているか

浄化槽は宅内で出た生活排水をきれいにして排出するため、比較的どのような環境でも使用できる可能性がありますが、水路や側溝が隣接していない場合には排水方式を検討する必要があります。

また、基本的に下水道が整備されている場合には、下水道に接続しなければならないため、浄化槽を設置できない可能性があることも覚えておきましょう。

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補助金を利用して浄化槽を安く設置しよう

浄化槽における補助金制度は、「新築補助金」、「転換補助金」、「市営浄化槽」の3種類あります。

新築補助金とは、新築住宅に合併処理浄化槽を設置する場合の補助金です。居住している地域が下水道整備地区の場合は、新築補助金は受けられない可能性があります。
また、新築建売住宅や増築した場合は補助金対象外となる可能性もありますので注意しましょう。

転換補助金とは、単独処理浄化槽または汲み取り槽を合併処理浄化槽へ転換する場合の自治体の補助金です。
単独処理浄化槽または汲み取り槽を合併処理浄化槽への転換することを国が推進しているため自治体が行う浄化槽整備事業に対して交付金により支援が行われます。

市営浄化槽とは、市が個人敷地に設置し、維持管理を行う合併処理浄化槽のことです。市営浄化槽の対象エリアに居住している場合は、補助金制度を利用することはできません。
維持管理は市が行いますが、市営浄化槽の使用や保守点検・清掃時に必要となる電気料金および水道料金は、使用者の負担となります。

浄化槽における上記3つの補助金は、自治体により補助金の額や受け取り条件が異なります。居住している市区町村に問い合わせするかホームページで確認しましょう。
自治体によっては、新築補助金、転換補助金ともに制度自体がなく、利用できない場合があります。

以下は山口市の例となります。

新築補助金

槽の大きさ補助金の支給額
5人槽33.2万円
7人槽41.4万円
10人槽54.8万円
出典:山口市上下水道局-合併処理浄化槽の設置費用を補助に関する詳細

山口県山口市合併処理浄化槽設置整備事業新築補助金の紹介です。
山口県山口市は、新築住宅における合併処理浄化槽の設置に要する費用に相当する額を補助します。

5人槽33.2万円、7人槽41.4万円、8人槽54.8万円ですが、単独処理浄化槽の撤去を伴う場合は、上記の表の額に12万円(上限)、汲み取り便槽の撤去を伴う場合は、上記の表の額に9万円(上限)を上乗せします。

転換補助金

槽の大きさ補助金の支給額
5人槽36万円
7人槽46.2万円
10人槽58.5万円
出典:山口市上下水道局-合併処理浄化槽の設置費用の補助限度額

山口県山口市合併処理浄化槽設置整備事業転換補助金の紹介です。
山口県山口市は、転換における合併処理浄化槽の設置に要する費用に相当する額を補助します。

5人槽36万円、7人槽46.2万円、8人槽58.5万円ですが、単独処理浄化槽の撤去を伴う場合は、上記の表の額に12万円(上限)、汲み取り便槽の撤去を伴う場合は、上記の表の額に9万円(上限)を上乗せします。

また、単独処理浄化槽または汲み取り便槽から合併処理浄化槽への転換に伴う宅内配管工事費に対して、上記の表の額に30万円(上限)を上乗せします。

市営浄化槽

出典:広島市(下水道局管路課)-市営浄化槽のご案内より、市が管理する区画のイメージ
市営浄化槽利用の項目費用
設置分担金30万円/1基
負担金電気料金、水道料金
出典:広島市(下水道局管路課)-市営浄化槽のご案内

市営浄化槽は、設置費用の9割を国や自治体が負担し、残り1割は分担金として申請者が支払います。

市営浄化槽設置後は、基本的に自治体が維持管理を行いますが、使用者は、市営浄化槽の使用や保守点検・清掃時に必要となる電気料金および水道料金を負担する必要があります。

以下は広島市の例になります。

>>トイレリフォームで利用できる補助金はこちらの記事で紹介!

浄化槽を長く使うためのポイント

浄化槽を長く使うためには、正しく使用することが重要です。浄化槽を長く使うために以下の5点に気をつけましょう。

  1. 油類・トイレットペーパー以外を流さない
  2. 劇薬などの使用は避ける
  3. マンホールの上に重いものを置かない
  4. 通気口を塞がない
  5. ブロアーの電源は切らない

ポイント1. 油類・トイレットペーパー以外を流さない

調理で使用した食用油などの油脂類、トイレットペーパー以外の紙は浄化槽に流さないようにしましょう。

通常、浄化槽内の水と混合しているものは沈殿させて分離させますが、油脂類や紙は分離せず沈殿もしないため、水と共に流れてしまいますので注意が必要です。

調理で使用した食用油は、固めるか紙で拭き取って燃えるゴミとして捨てるようにしましょう。

多少の油脂類は処理することができますが、油脂類の量が多い場合には対応しきれないため、油脂類はしっかり拭き取った上で、洗い流すようにしましょう。

ポイント2. 劇薬などの使用は避ける

便器や台所、浴室の掃除をする際に劇薬が含まれている洗剤を使用して流してしまうと、浄化槽内の微生物が死んでしまう恐れがあります。

微生物がいなくなってしまうと浄化槽が機能しなくなってしまうため、注意が必要です。

特に、塩素系の漂白剤など劇薬が含まれる洗剤を使用すると、浄化槽内の微生物の働きを弱めたり、死滅させる可能性がありますので注意が必要です。

洗剤によっては問題なく使用できるものもあるため、事前に確認して洗剤を選ぶようにしましょう。
キッチン、浴室、トイレの掃除には中性洗剤や浄化槽対応の洗剤を使うようにしましょう。

どうしても汚れが取れない時は、ごく少量の漂白剤やアルコールであれば、さほど浄化槽内の微生物には影響ないでしょう。

ポイント3. マンホールの上に重いものを置かない

浄化槽のマンホール上には、重いものを置かないように気をつけましょう。基本的に浄化槽のマンホール上は、清掃や点検のため開閉ができるようにしておく必要があります。
そのため、物置や倉庫など容易に移動できないものをマンホール上に置くことは禁止されています。

また、浄化槽の上を駐車場にする場合は、あらかじめ業者に相談し、補強工事などの対策をする必要があります。
ただし、マンホール上をタイヤが通過する際にマンホール自体が破損する恐れがありますので注意しましょう。

ポイント4. 通気口を塞がない

通気口を塞ぐことは悪臭の原因となるため、やめましょう。通気を塞ぐと汚水の流れが悪くなり、害虫が発生しやすくなります。微生物の働き低下につながり、悪臭の原因になります。

通気口の位置が悪く、悪臭を改善したい場合は、通気口を塞ぐのではなく、通気口の排管を風通しの良いところまで延ばすと効果的でしょう。

また、排気口が落ち葉やゴミなどで塞がれていないか定期的に確認することをおすすめします。

ポイント5. ブロアーの電源は切らない

ブロアーの電源は切らないようにしましょう。浄化槽内の微生物は、ブロアーによる空気の送り込みにより活性化します。酸素がなくなると微生物は死滅してしまいます。

電気代はかかりますが、浄化槽の機能低下や悪臭を防ぐためにも24時間365日電源を入れておくようにしましょう。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】久田麻里子

2級建築士、インテリアコーディネーター、住環境福祉コーディネーター。ハウスメーカー、リフォーム会社での建築業を幅広く経験。主婦・母親目線で様々なリフォームアドバイスを行う。主な担当は水回り設備リフォーム、内装コーディネート、戸建てリフォームなど。

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