2024年10月23日更新

監修記事

屋根葺き替えの費用相場を解説!工事を検討すべき時期は?

屋根の葺き替えはひび割れなどの劣化が著しい場合や、雨漏りを長く放置した際などに選ばれるリフォーム方法です。
屋根の葺き替えには建物の寿命を延ばせるなどのメリットがありますが、ほかのリフォーム工法に比べて費用が高額なので慎重に検討する必要があります。
そこでこの記事では、屋根リフォームを検討中の方に向けて葺き替えにの費用相場などを中心に紹介していきます。
葺き替えをすべき時期や注意点などについても施工事例付きで紹介しますので、検討中の方はぜひ参考にしてみてください。

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屋根葺き替えとはどんな工事?

葺き替え工事の防水シート施工の様子
瓦屋根の葺き替え工事

屋根葺き替えとは、既存屋根を撤去して新しい屋根を取り付ける工事のことです。

既存屋根に新しい屋根材を重ねる「カバー工法(重ね葺き)」とは違い、屋根の葺き替えと同時に屋根の下地まで補修・交換できるので、屋根はもちろんのこと建物の寿命を延ばせるのも魅力のひとつです。

葺き替えのメリット

  • 屋根の寿命を延ばせる
  • 雨漏りリスクを下げられる
  • 耐震性の向上が見込める
  • 美観を取り戻せる

ひび割れや剥がれなどの劣化症状が見られる既存屋根を撤去し、新しい屋根材に交換することで、屋根の耐久性が大幅に向上し、次回のメンテナンスまでの年数を延ばせます。

また、屋根の葺き替えと同時に屋根下地にあたる野地板や防水シート(ルーフィングシート)も交換できるので、雨漏りのリスクを下げることにもつながります。

屋根からの雨漏りの多くは屋根材本体の劣化だけでなく、野地板や防水シートの劣化も関わっています。

既存屋根の撤去を伴わないカバー工法(重ね葺き)や屋根塗装では、屋根下地の補修は難しいため、築20年以上が経っている場合や、屋根材の劣化が広範囲に及んでいる場合は、葺き替えを選択するのがおすすめです。

葺き替えのデメリット

  • 工事費用が高い
  • 工期が長い

屋根葺き替えでは、既存屋根の解体や野地板などの交換・補修を行うため、カバー工法や屋根塗装に比べて工事費用が高く、工期が長くなる傾向があります。

そのため、建物の築年数や劣化状態などをプロにチェックしてもらった上で「葺き替えが最適な工事方法であるか」を判断してもらうのがおすすめです。

次項で、屋根の葺き替えにかかる費用相場を紹介していくので、予算と照らし合わせながら最適な屋根のリフォーム方法を検討しましょう。

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屋根葺き替えの費用相場を種類・坪数ごとに紹介!

木造一戸建ての住宅における屋根葺き替えにかかる費用相場を、屋根材の種類と住宅の坪数ごとに紹介していきます。

屋根材の種類ごとの費用相場

現在の屋根材葺き替え後の屋根材費用相場
瓦屋根・瓦屋根
・スレート屋根
・ガルバリウム鋼板
・100万円~
・70万円~
・80万円~
スレート屋根・スレート屋根
・ガルバリウム鋼板
・70万円~
・90万円~
トタン屋根・スレート屋根
・アスファルトシングル
・ガルバリウム鋼板
・70万円~
・70万円~
・80万円~

屋根材別に見ると、葺き替えに最も時間のかかる瓦屋根が約100万円~という高額の価格帯になっています。

しかし、耐久性の高い陶器瓦であれば、瓦を撤去し、そのまま既存の瓦を使う「葺き直し」も選択可能で、葺き替えに比べて約20〜40万円ほど費用が安くなります。

これらのことから、瓦屋根からの葺き替えを検討する際は、プロに瓦の種類や劣化状況を見てもらった上でリフォーム方法を検討しましょう。

一方で、スレートやトタン屋根(金属屋根)などは、瓦とは異なり既存屋根の再利用はできないので、ほかのリフォーム方法より費用が高くなる傾向があります。

なお、上記の表には仮設足場や既存屋根の処分費などの費用が含まれていません。

また、建物の立地条件などにより材料の荷上げにレッカーが必要になるなど、追加費用が必要になる場合がある点にも注意してください。

30坪から50坪の坪数ごとの費用相場

坪数費用相場
30坪100〜150万円
40坪150〜200万円
50坪200〜250万円

屋根の葺き替え費用は、建物の大きさや屋根材の種類のほか、屋根の形状や勾配などによっても大きく変動します。

また、リフォーム会社によっても設定価格が異なるので、複数社で相見積もりをしてもらうのがおすすめです。

なお、前項と同様、上記の費用相場には仮設足場や既存屋根の処分費など、別途費用がかかる点についても注意しましょう。

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屋根の葺き替えを検討すべき時期は?

葺き替え工事前の瓦屋根
雨漏り診断の相談から葺き替え工事へ

屋根の葺き替えを検討すべき時期は、以下の3つです。

  • 屋根材の劣化が著しく、補修が困難
  • 野地板や垂木など、屋根下地に劣化が見られる
  • 屋根が原因で雨漏りが発生

屋根の葺き替えは、ほかの屋根リフォームより費用が高めですが、一方で屋根の耐久性・耐震性の向上や、雨漏りの改善などが期待できます。

しばらく屋根の点検をしていない方は、葺き替えをすべき時期であるかをプロと相談しながら検討していきましょう。

【検討時期1】補修が難しいほど屋根材が劣化

屋根材の種類耐用年数
和瓦50年〜
ガルバリウム鋼板30年〜
スレート屋根20年〜
アスファルトシングル20年〜
トタン屋根10年〜
屋根材種類ごとの耐用年数の目安

屋根材が耐用年数を超過すると、ひび割れや剥がれなどが広範囲で発生し、部分補修による対応が難しくなります。

部分補修は数万円で済ませられるので「部分補修で対応したい」という方も多いですが、耐用年数を超過した屋根材では根本的な改善が難しいため、結果的に何度も部分補修を繰り返すことになり、トータルで考えると費用が割高になりがちです。

屋根を支える木部の腐食や雨漏りの発生など、大きなトラブルにつながるおそれもあるので、屋根全体に著しい劣化が見られる場合には、業者のアドバイスを参考に葺き替えを検討しましょう。

【検討時期2】野地板や垂木の腐食が発生

屋根材が耐用年数を超過し、多くのひび割れや剥がれが発生すると、屋根材内部に雨水が浸入し、下地である野地板や垂木(屋根を支える木材)の腐食が起きやすくなります。

野地板には雨水の浸入を防ぐための「ルーフィングシート」と呼ばれる防水シートが張られていますが、代表的なルーフィングシートである「アスファルトルーフィング」の耐用年数は約10〜20年であるため、決して長寿命とは言えません。

屋根下地における耐用年数は、メーカー・商品、施工の質などによって年数は変動しますが、屋根材よりも耐用年数が短い場合が多いので、野地板や垂木の腐食につながります。

野地板や垂木が腐食すると、強風による屋根材の飛散や、腐食が広がって屋根の寿命を縮めてしまうおそれがあるため、大規模な修繕工事を避けるためにも早めの対処が必要です。

【検討時期3】劣化や破損による雨漏りの発生

雨漏りが起きている屋根
雨漏りが発生して葺き替え工事を決意

室内の天井や壁にシミがあったり、雨の日にポタポタと不自然な音が聞こえたりする場合は、雨漏りが起きていると考えられます。

この場合、雨漏りの原因が屋根以外であることも考えられますが、屋根材や野地板、防水シートの劣化・破損が原因で発生するケースも少なくありません。

雨漏りの被害は、家電が故障したり床材が濡れるなどの、目に見える範囲だけでなく、建物内部の構造体などにも及ぶので注意が必要です。

雨漏りを長く放置してしまうと、床下などにシロアリ被害が発生し、木材が食べられてしまうため、最悪の場合木造住宅では建て替えが必要になるケースも。

すぐに大きな被害になるとはかぎりませんが、屋根からの雨漏りが疑われる場合は、プロに相談し、葺き替えなどの屋根リフォームを検討しましょう。

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屋根の葺き替えでおすすめの屋根材3選!

屋根の葺き替えでおすすめの屋根材は、以下の3つです。

  • エスジーエル鋼板
  • ガルバリウム鋼板
  • 石粒付き金属屋根

それぞれの特徴と合わせて、主要メーカー・商品についても紹介していきますので、屋根材選びの参考にしてみてください。

【おすすめ1】エスジーエル鋼板

アイジー工業のスーパーガルテクトを施工した屋根
出典:アイジー工業-スーパーガルテクト
特徴・ガルバリウム鋼板にマグネシウムの防サビ効果をプラス
・耐久性がガルバリウムの3倍
・沿岸地域の塩害対策にも有効
主要メーカー / 商品・アイジー工業 / スーパーガルテクト
・ニチハ / 横暖ルーフ αプレミアムS
エスジーエル鋼板の特徴と主要メーカー / 商品

昨今の屋根工事で最も多く採用されているのが金属屋根。その中でも注目したいのが、耐久性が高く、採用が増加傾向にある「エスジーエル鋼板」です。

エスジーエル鋼板における耐久性の高さを裏付ける証拠として、エスジーエル鋼板を製造している日鉄鋼板株式会社が行った試験によると、ガルバリウムの約3倍の耐食性(サビへの強さ)が確認されました。

エスジーエル鋼板のような金属屋根でサビが発生すると、徐々にサビが広がっていき、屋根に穴が空くなどの劣化症状が発生しやすくなります。

金属屋根の弱点であるサビによる穴あきに対して、アイジー工業が販売するスーパーガルテクトは、穴あき保証を25年とする長期保証をつけているので、耐久性の高さと安心感を求める方におすすめです。

【おすすめ2】ガルバリウム鋼板

ケイミューのスマートメタルを施工した屋根
出典:ケイミュー-スマートメタル施工事例
特徴・トタン屋根に代わる代表的な金属屋根
・瓦屋根の約10分の1の軽さ
・トタン屋根の約4倍サビに強い
主要メーカー / 商品・ニチハ / 横暖ルーフα S
・ケイミュー / スマートメタル
ガルバリウム鋼板の特徴と主要メーカー / 商品

リフォームだけでなく新築でも幅広く採用されているのが、トタン屋根に代わって金属屋根の主流となったガルバリウム鋼板です。

瓦屋根と比べると約10分の1ほどの軽さなので、ガルバリウム鋼板へ葺き替えることにより耐震性の向上が見込めるのも魅力のひとつとなっています。

ニチハやケイミューなど、住宅建材を販売する多くの会社が取り扱っているほか、全国で施工実績が多い屋根材なので、施工可能な会社が多く、業者選びにも困りません。

【おすすめ3】石粒付き金属屋根

LIXILのTルーフを施工した屋根
出典:LIXIL-Tルーフシリーズ
特徴・金属屋根の表面に石粒をつけた屋根材
・韓国や中国などから輸入されている
・独特の外観で意匠性が高い
主要メーカー / 商品・LIXIL / Tルーフ
・伊藤忠建材 / スカイメタルルーフ
石粒付き金属屋根の特徴と主要メーカー / 商品

金属屋根の表面に石粒をつけた独特の風合いが魅力の石粒付き金属屋根は、韓国や中国、ニュージーランドから輸入して日本の住宅建材メーカーが販売しています。

スレート屋根やアスファルトシングルに施工方法が似ているほか、雪止めが基本的にいらない素材となっているので、比較的施工しやすいのが特徴です。

ただ、屋根の葺き替えで採用されることの多いエスジーエル鋼板やガルバリウム鋼板よりも対応できる会社が少ないため、石粒付き金属屋根の施工実績が豊富な依頼先を探すのが難しいことは頭に入れておきましょう。

なお、紹介してきた3つ以外の屋根材の種類や、費用相場・耐用年数などは下記記事で詳しく紹介していますので、葺き替えの屋根材選びで迷っている方は参考にしてみてください。

>>屋根材の種類・費用相場・耐用年数はこちら

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屋根の葺き替えをする際の注意点

屋根の葺き替えを検討する際に知っておきたい注意点をいくつか紹介していきます。

【注意点1】重量増加で耐震性が低下する可能性もある

屋根材重さ分類
瓦屋根約42kg / ㎡
(重い)
スレート屋根約20kg / ㎡
(軽い)
金属屋根約5kg / ㎡
(軽い)
屋根材ごとの重さ分類

建築基準法の屋根重量区分を見ると、スレート屋根は瓦屋根の約半分、金属屋根は瓦屋根の約10分の1ほどの重さとなっています。

既存屋根が「軽い屋根」に分類される屋根であった場合「重い屋根」に分類される瓦への葺き替えはおすすめできません。屋根の重さに建物自体が耐えられなくなってしまうためです。

軽い屋根に分類される金属屋根からスレート屋根であれば葺き替えは可能ですが、金属屋根に対してスレート屋根は約4倍重量があり、耐震性が低下する恐れがあるため、建物全体の強さを計算する必要があります。

「おしゃれなスレート屋根にしたい」など、理想の外観を求めるのも大事ですが、屋根の葺き替えを検討する際には事前に構造計算を実施し、安全に住み続けられるように屋根リフォームを進めましょう。

【注意点2】アスベストを含む屋根材は費用が高くなりがち

2006年に使用禁止となるまで、スレート屋根など住宅建材にアスベストが使われていました。

アスベストは有害な危険物質で、飛散して体内に入ると、健康を害する恐れがあるため、解体の際には資格をもつプロが対応する必要があります。

特別な作業・処理が必要になることもあり、アスベストを含まない屋根材を解体するよりも、一般的な30坪の住宅で約20〜30万円ほど費用がプラスされるので、見積もりの際にリフォーム会社に確認しておくことが大切です。

また、既存屋根の劣化が進み、アスベストが剥き出しになっている場合や、危険レベルが高く屋根面積が大きい場合などは、撤去や処分に100万円近くかかる可能性もあります。

アスベストを含む屋根材の葺き替えに対して、国や自治体で補助金・助成金を設けている場合もあるので、最新の情報をチェックした上で葺き替えを進めましょう。

>>屋根のアスベスト関する補助金助成金はこちらの記事でチェック!

【注意点3】工期がほかの屋根修理方法よりも長い

屋根リフォーム工期目安
葺き替え7〜10日
カバー工法5〜8日
屋根塗装7〜10日
部分補修1〜3日
屋根リフォーム方法ごとの工期目安

屋根の葺き替え工事にかかる日数の目安は、およそ7日〜10日です。

しかし、屋根の下地である野地板や垂木などの交換が必要になる場合、または屋根面積が大きい場合は2週間以上かかることもあります。

また、瓦屋根に葺き替えする際にも、ほかの屋根材に比べて日数が必要になるので、仕事などのスケジュールと調整したい場合は、見積もりや契約の際に工事にかかる日数を確認しておきましょう。

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葺き替えとカバー工法はどちらがおすすめ?

葺き替えとカバー工法でどちらがおすすめなのかは、屋根材の種類や築年数、劣化状態などによって異なります。

以下より屋根材や現状の住まい方から、葺き替えがおすすめな場合とカバー工法がおすすめな場合に分けて、具体的な例を紹介していくので、屋根リフォームや修理を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

葺き替えがおすすめな屋根

瓦屋根から金属屋根へ葺き替えを行なった屋根
瓦屋根の葺き替え工事
  • 2000年前後のノンアスベスト屋根材を使用している
  • 雨漏りを1年以上放置している
  • 耐震性や耐風性を不安に思う

2006年に使用が禁止されたアスベストからの切り替え商品である、2000年前後の「ノンアスベスト屋根材」を使用している場合は、耐用年数を過ぎている可能性が高く、葺き替えがおすすめです。

アスベストは屋根の耐久性を高める素材として使われてきたので、アスベストに代わる耐久性を強化する素材が採用されるようになるまで、耐久性の低い屋根材が販売されていました。

なかには築10年前後で屋根全体に著しい傷みが見られる商品もあり、その場合は下地等の腐食が起きている可能性も高いため、プロに相談しながら葺き替えの検討を進めましょう。

カバー工法がおすすめな屋根

スレートに金属屋根をカバー工法で施工する図
出典:セキノ興産-住宅のリフォーム商品-カバー工法
  • 屋根下地の劣化や耐震性に問題がない
  • 工事の際に騒音などの近隣トラブルを避けたい
  • 費用を安く抑えたい
  • 2006年以前のスレート屋根でアスベスト含有の可能性がある

カバー工法(重ね葺き)を採用する条件はたくさんありますが、屋根下地の状態に問題がないかが判断基準の1つとなります。

さらに、既存屋根の上から新たに重ねる屋根材が、既存屋根に比べて重量がある場合は巨大地震などに建物が耐えられるかどうかも大きなポイントです。

また、アスベストを含むスレート屋根である場合、撤去や処分にかかる費用が高額になるため、あらかじめ建物の構造計算をクリアしていればカバー工法をおすすめします。

アスベスト入りの屋根については、下記記事で詳しく解説していますので、2006年より前に施工したスレート屋根である場合はチェックしてみてください。

>>アスベスト入り屋根のリフォームについてはこちら

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屋根葺き替え工事で活用できる補助金

屋根の葺き替え工事は高額になりやすいため、活用できる補助金や助成金があれば工事費用を抑えられます。

具体的には、屋根を軽量化するなどの耐震リフォームが補助金の対象となることが多い傾向にあります。

また、屋根の断熱性が向上する工事に該当する場合も、補助金や助成金が活用できる可能性があります。

【制度1】長期優良住宅化リフォーム推進事業

補助額【補助の割合】
補助対象費用の1/3

【補助限度額】
80万円 / 戸
適用条件・建物診断をして、維持保全計画・履歴を作成する
・工事後に耐震性と劣化対策、省エネルギー性が確保されている
対象の施工内容・劣化対策
・建物構造部の補強
・省エネルギー対策 ほか
申請方法リフォーム会社が代行して申請
申請期限2024年5月中旬〜12月23日まで
※予算状況等により期限を短縮する場合があります
参考元令和6年度長期優良住宅化リフォーム推進事業

長期優良住宅化リフォーム推進事業は、既存住宅の長寿命化や省エネ性能の向上を目的としたリフォームに対して国が補助する制度です。

耐震・省エネリフォームなど、一定の条件を満たしたリフォームに対して補助金を活用できます。

補助を受けるには、建築士などの専門資格をもつプロによる建物診断など、専門的な作業・書類作成が必要になるので、葺き替え工事の見積もりや相談をする際に必ず相談しましょう。

なお、申請期間内でも予算に達した場合などは、申請期限を待たずに受付終了となる場合があるので、最新の情報をチェックしてください。

【制度2】次世代省エネ建材の実証支援事業

補助額【補助の割合】
補助対象経費の1/2

【補助限度額】
・地域区分1〜4地域
400万円/戸
・地域区分5〜8地域
300万円/戸
適用条件外張り断熱
内張り断熱
窓断熱
対象の施工内容戸建住宅を外張りや内張り断熱工法で改修すること
申請方法施主(リフォーム会社の代行も可能)
申請期限2024年5月7日~8月30日
※予算状況等により期限を短縮する場合があります
参考元令和6年度次世代省エネ建材の実証支援事業

次世代省エネ建材の実証支援事業は、省エネ改修の促進が期待される高性能断熱材などの次世代省エネ建材を使った既存住宅のリフォームを支援する事業です。

対象になるリフォーム工事は、

  • 外張り断熱
  • 内張り断熱
  • 窓断熱

上記の3種類なので、屋根葺き替えのほかに断熱工事をする必要があります。

また、申請は施主本人が行えますが、施工前の写真を撮ったり、断熱材の資料を送ったりと、専門的な知識がないと難しい作業が多いため、リフォーム会社に代行してもらうのがおすすめです。

【制度3】住宅・建築物の耐震化に関する支援制度

補助限度額【補助限度額】
・密集市街地等:150万円
・多雪区域:120万円
・その他:100万円
適用条件耐震診断の結果、現在の住宅の耐震性が不十分である
対象の施工内容耐震改修
申請方法居住している地方公共団体へ申請手続きを行う
申請期限地方公共団体によって異なる
応募状況地方公共団体によって異なる
参考元令和6年度住宅・建築物の耐震化に関する支援制度

住宅・建築物の耐震化に関する支援制度は、既存住宅の安全性の確保を図るため、耐震性能向上を目的としたリフォームを支援する制度です。

屋根の葺き替え工事に特化した補助金制度ではありませんが、住宅の耐震リフォームとして認められる場合には、補助金の支給対象となる可能性があります。

【制度4】住宅・建築物安全ストック形成事業

補助額【補助限度額】
240万円 / 戸
適用条件・所要の耐風性能を有する屋根に葺き替えること
・DID地区等(基準風速32m/s以上の区域)または地域防災計画等で地方公共団体が指定する区域であること
対象の施工内容瓦屋根の耐風改修工事
申請方法居住している地方公共団体へ申請手続きを行う
申請期限地方公共団体によって異なる
応募状況地方公共団体によって異なる
参考元住宅・建築物安全ストック形成事業

既存建物の瓦屋根の耐風対策として、住宅・建築物安全ストック形成事業が設けられています。

対象となる地域は、DID地区等(基準風速32m/s以上の区域)または地域防災計画等で地方公共団体が指定する区域です。

九州や四国、近畿地方、首都圏、青森、北海道の一部等がDID地区の対象地域となっているので、対象となる工事を行う場合はリフォーム会社に相談してみましょう。

なお、補助金・助成金については、下記記事でも詳しく紹介していますので、合わせてチェックしてみてください。

>>リフォームの補助金・助成金についてはこちら

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屋根の葺き替えの工程を紹介

工事日程日数の目安
足場の設置・養生約1日
既存屋根の撤去2日〜
下地の補修、防水シート張り1日〜
新しい屋根材の設置2日~
足場の撤去1日〜
合計7日~
屋根吹き替えの工程

屋根の上で安全に作業するために、そして外壁などを傷つけない目的で工事初日に足場設置と、養生の作業を行います。

足場設置の際は、金属音が響いたり、作業をする上である程度広いスペースが必要だったりします。そのため「夜勤で日中睡眠をとりたい」「庭に園芸用品が置いてある」など、生活に影響のある部分はあらかじめ業者に伝えておきましょう。

基本的には屋根の葺き替えは住みながら工事ができるほか、不在の時間があっても問題なく工事が進められます。

ただ、作業スペース確保のため、足場設置の前に外周りや駐車場にあるプランターや自転車などを移動が必要になる場合もあるので、工事当日にトラブルが起きないよう、現地調査や契約の際に不安な点は業者に相談しておくのがおすすめです。

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 屋根葺き替えの施工事例

実際に、屋根の葺き替えをした施工事例をいくつか紹介していきます。

【事例1】瓦屋根から金属屋根へ葺き替え

瓦屋根から金属屋根へ葺き替えをした様子
瓦屋根を金属屋根へ
工期約2日
建物一戸建て
施工箇所屋根
【事例1】瓦屋根から金属屋根へ葺き替え

重みのある瓦屋根から、軽い金属屋根の立平葺きに葺き替えをした施工事例です。

工期は約2日と短く、生活への影響を最小限に抑えた形で工事ができました。

【事例2】瓦屋根からアスファルトシングルへ葺き替え

アスファルトシングル屋根へ葺き替えした様子
屋根の剥がれを葺き替えで改善
リフォーム費用約470万円
※葺き替え以外も含む
工期約1ヶ月
建物一戸建て
施工箇所屋根・壁(耐震ボードの施工)
【事例2】瓦屋根からアスファルトシングルへ葺き替え

剥がれてしまっていた屋根材を撤去し、新たにアスファルトシングルを施工した葺き替えの施工事例です。

工事後「雨漏りの心配も無くなり、一石二鳥です、大変満足しております。」と喜びの声をいただきました。

築年数が経ってくると雨漏りへの不安が大きくなってくるので、定期的に点検を行い、葺き替えなどの工事が必要であれば適切な時期にしておくことが大切です。

【事例3】スレート屋根の葺き替え

スレート屋根の葺き替えビフォーアフター
劣化が進んでいた屋根を葺き替え
リフォーム費用約260万円
※葺き替え以外も含む
工期約18日
建物一戸建て
施工箇所屋根・ベランダ・壁
【事例3】スレート屋根の葺き替え

スレート屋根の劣化が進んでいた状態だったため、葺き替え工事をご提案し、葺き替えを行った物件の施工事例です。

傷みが全体に広がっている印象だった屋根から、新しい屋根材になったことで、美観を取り戻しました。

また、葺き替えと共に軒天の補修も行い、雨漏り対策もバッチリです。

【事例4】瓦から金属への葺き替えで大棟は瓦で仕上げを

瓦屋根から金属屋根に葺き替えを行なった様子
瓦屋根から金属屋根への葺き替え
リフォーム費用約180万円
工期約5日
建物一戸建て
施工箇所屋根
メーカー名/商品名アイジー工業
【事例4】瓦から金属への葺き替えで大棟は瓦で仕上げを

雨漏りの相談がきっかけで、屋根の葺き替え工事を行なった物件の施工事例です。

瓦から金属屋根への葺き替えとなりましたが、建物の和風の雰囲気とのバランスを考え、大棟部分は、あえて瓦で仕上げました。

「耐震棟」とし、耐震性についても向上するように仕上げています。

工事後、お客様より「仕上がり、価格、見栄え、全てに満足しています。」と言っていただけました。

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【Q&A】屋根の葺き替えでよくある質問

【Q1】葺き替えは費用が高いので塗装で済ませてもいい?

屋根材の耐用年数を迎えておらず、ひび割れや剥がれなどの劣化症状があまりない状態であれば、屋根塗装のほか、部分補修でも対応可能です。

しかし、耐用年数を過ぎている場合などは、塗装だけで済ませてしまうと、雨漏りや野地板・垂木の腐食の可能性が高まります。

塗装後に雨漏り補修や葺き替え工事が必要となると、工事の回数が増えることにより逆に費用が高くなってしまうので、プロに判断してもらうのがおすすめです。

【Q2】外壁塗装と一緒に工事すると安い?

外壁の塗り替え時期が近づいているのであれば、同時に工事を行うことで、足場費用の負担が1回で済むため、トータルでかかる費用を安くできます。

なお、屋根と同様に外壁にも塗装以外のリフォーム・メンテナンス方法があるため、信頼できる業者に最適なリフォーム方法を相談してみましょう。

【Q3】屋根の葺き替えには建築確認申請が必要?

一般的な住宅で屋根の葺き替えのみをするのであれば、基本的に建築確認申請は必要ありません。

2025年4月、建築基準法の改正において、建築確認申請が必要なリフォーム工事の規模や住宅の面積の変更が予定されていますが、国土交通省では屋根の葺き替えの単体工事は、建築確認申請が必要である大規模修繕に該当しないとしています。

しかし、工事を行う地域や、葺き替え以外に行う工事、工事の規模などによっては建築確認申請が必要な場合もあるので、事前に施工業者や地方自治体などに確認しましょう。

参考元:国土交通省-屋根及び外壁の改修に関する建築基準法上の取扱いについて

【Q4】屋根の葺き替えで火災保険は使える?

葺き替えをしなければならなくなった原因が、台風による強風などの「自然災害」である場合に、火災保険が適用になるケースがあります。

ただ、自然災害であっても風速などの保証条件に細かいルールがあり適用外になることもあるため、屋根葺き替え工事を進める前に、火災保険の窓口に申請可能かを確認するのがおすすめです。

屋根工事の火災保険申請については、下記記事で詳しく紹介していますので、こちらもチェックしてみてください。

>>火災保険の保険適用条件などについてはこちら

【Q5】信頼できる業者の選び方は?

リフォームの費用や対応の仕方など、1社だけでは良い悪いが判断しづらいため、複数社で相見積もりするのがおすすめです。

スマホやパソコンから、無料ですぐに簡単見積もり依頼ができるサービスなどを活用して、屋根の葺き替え工事を依頼する業者を探しましょう。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】久田麻里子

2級建築士、インテリアコーディネーター、住環境福祉コーディネーター。ハウスメーカー、リフォーム会社での建築業を幅広く経験。主婦・母親目線で様々なリフォームアドバイスを行う。主な担当は水回り設備リフォーム、内装コーディネート、戸建てリフォームなど。

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